説明

ネットワーク通信装置、使用ネットワークインターフェイス部を選択する方法、パケットの送受信を行う方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】ネットワークインターフェイス部の切り替えによるネットワーク通信装置を用いた通信の中断を抑制しつつ、適切なネットワークインターフェイス部の選択を実現する。
【解決手段】ネットワーク中継装置は、複数の第1のネットワークインターフェイス部と、通信処理部と、所定の第1の条件に基づき、使用ネットワークインターフェイス部を選択するインターフェイス選択部と、既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる第1のネットワークインターフェイス部が、使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否を決定する切替決定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにおけるパケットの送受信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータ等の通信端末によるインターネットアクセスを実現するために、通信端末と接続するためのネットワークインターフェイス部と、インターネットに接続するための複数のネットワークインターフェイス部とを備え、複数のネットワークインターフェイス部の中から所定の条件に従って、使用するネットワークインターフェイス部を選択するネットワーク中継装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−21878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のネットワーク中継装置では、受信信号強度や通信速度などの随時変化し得る情報に基づき、使用するネットワークインターフェイス部を随時選択するので、使用するネットワークインターフェイス部が随時切り替わり得る。このため、例えば、ユーザが映像及び音声の配信(ストリーミング再生)等のアプリケーションを実行中に使用するネットワークインターフェイス部が切り替わり、アプリケーションが突然に中断されてしまうという不具合が起こり得る。
【0005】
上述した問題は、ネットワーク中継装置に限らず、携帯電話装置などの任意のネットワーク通信装置において共通する問題であった。例えば、携帯電話装置についても、使用するネットワークインターフェイス部が随時切り替わるために、データ通信を伴うアプリケーションを実行中に、アプリケーションが突然に中断されてしまうことが発生し得る。
【0006】
本発明は、ネットワークインターフェイス部の切り替えによるネットワーク通信装置を用いた通信の中断を抑制しつつ、適切なネットワークインターフェイス部の選択を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]ネットワーク通信装置であって、互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部と、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用して、パケットの送受信を行う通信処理部と、所定の第1の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、前記通信処理部によるパケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択するインターフェイス選択部と、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否を決定する切替決定部と、を備える、ネットワーク通信装置。適用例1のネットワーク通信装置によると、既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる第1のネットワークインターフェイス部が使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否が決定される。したがって、論理的な接続の有効性に関わらず既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替わることを抑制できるので、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えによるネットワーク通信装置を用いた通信の中断を抑制することができる。また、第2の条件を調整することにより、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切り替えが可能であると決定させることができるので、所定の第1の条件に合致した適切な第1のネットワークインターフェイス部の選択を実現できる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載のネットワーク通信装置において、さらに、前記論理的な接続の有効性を特定可能な情報を記録した通信データベースを備え、前記切替決定部は、前記通信データベースを参照して、前記論理的な接続が有効である場合に前記切替が可能でないと決定し、前記論理的な接続が有効でない場合に前記切替が可能であると決定する、ネットワーク通信装置。このような構成により、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合に切替が可能でないと決定されるので、かかる論理的な接続を介して通信が行われている際における使用ネットワークインターフェイス部の切替を抑制することができる。
【0010】
[適用例3]適用例1に記載のネットワーク通信装置において、さらに、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性を特定可能な情報、及び前記論理的な接続において用いられるプロトコルを特定可能な情報を記録した通信データベースを備え、前記切替決定部は、前記通信データベースを参照して、前記論理的な接続が有効であり、かつ、前記論理的な接続において用いられるプロトコルが所定のプロトコルである場合に、前記切替が可能でないと決定し、前記論理的な接続が有効であり、かつ、前記論理的な接続において用いられるプロトコルが前記所定のプロトコルでない場合、または、前記論理的な接続が有効でない場合に、前記切替が可能であると決定する、ネットワーク通信装置。このような構成により、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続において用いられるプロトコルが所定のプロトコルである場合に、かかるプロトコルを用いた通信の中断を抑制できる。加えて、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続において用いられるプロトコルが所定のプロトコルでない場合に、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えを許容することができる。
【0011】
[適用例4]適用例3に記載のネットワーク通信装置において、前記所定のプロトコルは、映像及び音声の配信に用いられるプロトコルである、ネットワーク通信装置。このような構成により、既選択ネットワークインターフェイス部を介して映像及び音声の配信が行われている際には、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えを抑制して、映像及び音声の配信が中断されることを抑制できる。加えて、映像及び音声の配信以外のアプリケーションが行われている際には、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えを許容し、所定の第1の条件に従った適切な第1のネットワークインターフェイス部を介して通信を行うことができる。
【0012】
[適用例5]適用例2ないし適用例4のいずれかに記載のネットワーク通信装置において、前記切替決定部は、前記切替が可能でないと決定した後において、前記通信データベースを参照することにより前記論理的な接続の有効性を監視し、前記論理的な接続が有効でなくなった場合に前記切替が可能であると決定する、ネットワーク通信装置。このような構成により、論理的な接続が有効でなくなった場合、つまり、論理的な接続を介した通信が終了した場合に、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えを許容できるので、その後、所定の第1の条件に従った適切な第1のネットワークインターフェイス部を介して通信を行うことができる。
【0013】
[適用例6]適用例2ないし適用例5のいずれかに記載のネットワーク通信装置において、前記論理的な接続は、OSI(Open System Interconnection)参照モデルにおける第4層のプロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)を用いるセッションである、ネットワーク通信装置。このような構成により、既選択ネットワークインターフェイス部を介してTCPを用いるセッションが有効である場合に、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えに伴ってかかるセッションを用いた通信が中断することを抑制できる。
【0014】
[適用例7]ネットワーク通信装置であって、互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部と、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用して、パケットの送受信を行う通信処理部と、所定の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、前記通信処理部によるパケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択するインターフェイス選択部と、を備え、前記通信処理部は、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えずにパケットの送受信を行い、前記論理的な接続が有効でない場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えて、パケットの送受信を行う、ネットワーク通信装置。適用例7のネットワーク通信装置によると、既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる第1のネットワークインターフェイス部が使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、使用ネットワークインターフェイス部を切り替えずにパケットの中継が行われる。したがって、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えに伴い、かかる論理的な接続を用いたアプリケーションの中断が発生することを抑制できる。また、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効でない場合には、使用ネットワークインターフェイス部を、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えてパケットの中継が行われる。したがって、所定の第1の条件に合致した適切な第1のネットワークインターフェイス部を用いてパケットの中継を行うことができる。
【0015】
[適用例8]適用例1ないし適用例7のいずれかに記載のネットワーク通信装置において、さらに、通信端末との間で無線通信又は有線通信を行う第2のネットワークインターフェイス部を備え、前記通信処理部は、前記使用インターフェイス部と前記第2のネットワークインターフェイス部との間でパケットの中継を行い、前記インターフェイス選択部は、前記使用ネットワークインターフェイス部を、前記通信処理部によって前記第2のネットワークインターフェイス部との間でパケットの中継が行われる前記第1のネットワークインターフェイス部として、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から選択する、ネットワーク通信装置。このような構成により、ネットワーク通信装置が、第2のネットワークインターフェイス部を介して通信端末から受信するデータ(パケット)を、第1のネットワークインターフェイス部に中継している際に、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えによる通信の中断を抑制できる。
【0016】
[適用例9]互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有し、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行うネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択する方法であって、(a)所定の第1の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、前記使用ネットワークインターフェイス部を選択する工程と、(b)前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否を決定する工程と、を備える方法。適用例9の方法によると、既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる第1のネットワークインターフェイス部が使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否が決定される。したがって、論理的な接続の有効性に関わらず既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替わることを抑制できるので、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えによるネットワーク通信装置を用いた通信の中断を抑制することができる。また、第2の条件を調整することにより、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切り替えが可能であると決定させることができるので、所定の第1の条件に合致した適切な第1のネットワークインターフェイス部の選択を実現できる。
【0017】
[適用例10]互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有するネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行う方法であって、(a)所定の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を選択する工程と、(b)前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えずにパケットの送受信を行い、前記論理的な接続が有効でない場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えて、パケットの送受信を行う工程と、を備える方法。適用例10の方法によると、既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる第1のネットワークインターフェイス部が使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、使用ネットワークインターフェイス部を切り替えずにパケットの中継が行われる。したがって、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えに伴い、かかる論理的な接続を用いたアプリケーションの中断が発生することを抑制できる。また、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効でない場合には、使用ネットワークインターフェイス部を、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えてパケットの中継が行われる。したがって、所定の第1の条件に合致した適切な第1のネットワークインターフェイス部を用いてパケットの中継を行うことができる。
【0018】
[適用例11]互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有し、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行うネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択するためのコンピュータプログラムであって、所定の第1の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、前記使用ネットワークインターフェイス部を選択する機能と、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否を決定する機能と、をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。適用例11のプログラムによると、既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる第1のネットワークインターフェイス部が使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否が決定される。したがって、論理的な接続の有効性に関わらず既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替わることを抑制できるので、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えによるネットワーク通信装置を用いた通信の中断を抑制することができる。また、第2の条件を調整することにより、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切り替えが可能であると決定させることができるので、所定の第1の条件に合致した適切な第1のネットワークインターフェイス部の選択を実現できる。
【0019】
[適用例12]互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有するネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行うためのプログラムであって、所定の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を選択する機能と、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えずにパケットの送受信を行い、前記論理的な接続が有効でない場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えて、パケットの送受信を行う機能と、をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。適用例12のプログラムによると、既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる第1のネットワークインターフェイス部が使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、使用ネットワークインターフェイス部を切り替えずにパケットの中継が行われる。したがって、使用ネットワークインターフェイス部の切り替えに伴い、かかる論理的な接続を用いたアプリケーションの中断が発生することを抑制できる。また、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効でない場合には、使用ネットワークインターフェイス部を、既選択ネットワークインターフェイス部から新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えてパケットの中継が行われる。したがって、所定の第1の条件に合致した適切な第1のネットワークインターフェイス部を用いてパケットの中継を行うことができる。
【0020】
[適用例13]適用例11または適用例12に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。このような構成により、かかる記録媒体を用いてコンピュータにプログラムを読み取らせ、各機能を実現させることができる。
【0021】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、ネットワーク通信装置を含むネットワーク通信システムや、ネットワーク中継装置や、携帯電話装置や、これら装置又はシステムの制御方法や、これら装置又はシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例としてのネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ネットワーク中継装置を用いた通信態様を模式的に示す説明図である。
【図3】図1に示すSPI−DBの設定内容の一例を示す説明図である。
【図4】図1に示すアドレス変換テーブルの設定内容の一例を示す説明図である。
【図5】第1実施例のネットワーク中継装置において実行される中継ネットワークインターフェイス部選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】第1実施例における切替可否決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第2実施例のネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施例における切替可否決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第3実施例における切替可否決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明のネットワーク通信装置を適用した一実施例としての携帯電話装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第4実施例における携帯電話装置を用いた通信態様を模式的に示す説明図である。
【図12】第4実施例における使用ネットワークインターフェイス部選択処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.第1実施例:
A1.装置構成:
図1は、本発明のネットワーク通信装置を適用した一実施例としてのネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。ネットワーク中継装置10は、可搬性の高い、いわゆるモバイルルータ装置であり、無線LAN(Local Area Network)インターフェイス部(以下、「無線LAN−IF部」とも表記する)40と、無線WAN(Wide Area Network)インターフェイス部(以下、「無線WAN−IF部」とも表記する)50と、移動体通信インターフェイス部(以下、「移動体通信IF部」とも表記する)60と、CPU(Central Processing Unit)20と、フラッシュROM(Read-Only Memory)34と、RAM(Random Access Memory)32とを備えている。ネットワーク中継装置10は、パーソナルコンピュータやゲーム機などの無線LANクライアントを、インターネットや、無線LANクライアントが所属する無線LANとは異なる無線LANに接続させる。
【0024】
無線LAN−IF部40は、変調器や、アンプや、アンテナを含み、例えばIEEE802.11b/g/nに準拠した無線LANのアクセスポイントとして、無線LANのクライアント(例えばパーソナルコンピュータやゲーム機)と無線通信を行う。
【0025】
無線WAN−IF部50は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えばIEEE802.11a/b/g/nに準拠した無線LANのクライアントとして、無線LANのアクセスポイント(例えば公衆無線LANのアクセスポイント)と無線通信を行う。
【0026】
移動体通信IF部60は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えば3G/HSPAに準拠した移動体通信の端末として、図示しない移動体通信網の無線基地局と無線通信を行う。
【0027】
このように、第1実施例のネットワーク中継装置10は、それぞれが互いに異なる無線ネットワークにおける無線通信を行う複数のネットワークインターフェイスを有している。
【0028】
フラッシュROM34には、予めプログラム群が格納されており、CPU20は、このプログラム群をそれぞれ実行することにより、転送処理部21、転送制御部22、インターフェイス選択部23、切替決定部24、アドレス変換部25として、それぞれ機能する。
【0029】
転送処理部21は、ルータ機能部21rと、ブリッジ機能部21bとを有しており、各無線通信インターフェイス部(無線LAN−IF部40、無線WAN−IF部50、移動体通信IF部60)を介して入力されるパケット(OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおける第3層(レイヤ3)のパケット及びOSI参照モデルにおける第2層(レイヤ2)のフレーム)を、宛先アドレスに従って転送する。ルータ機能部21rは、レイヤ3パケットの中継を行う。ブリッジ機能部21bは、レイヤ2フレームの中継を行う。ネットワーク中継装置10は、ルータ機能部21r及びブリッジ機能部21bがいずれも機能することによりルータ装置として動作し、ブリッジ機能部21bのみが機能することによりブリッジ装置として動作する。
【0030】
転送制御部22は、転送処理部21を制御する。具体的には、転送処理部21がパケットを中継する際に用いる経路選択用の各種テーブル(ルーティングテーブルや、ARPテーブル等)や、後述するSPI(Stateful Packet Inspection)データベース(以下、単に「SPI−DB」と呼ぶ)341や、後述するアドレス変換テーブル342の更新等の処理を行う。
【0031】
インターフェイス選択部23は、無線WAN−IF部50及び移動体通信IF部60のうち、いずれか一方のネットワークインターフェイス部を、無線LAN−IF部40から受信したパケットの中継先のネットワークインターフェイス部(以下、「中継ネットワークインターフェイス部」または「中継ネットワークIF部」と呼ぶ)として選択する。
【0032】
切替決定部24は、中継ネットワークIF部として新たにWAN側IF部(無線WAN−IF部50及び移動体通信IF部60)が選択された際に、新たに選択されたWAN側IF部への中継ネットワークIF部の切り替えの可否を判定する。
【0033】
アドレス変換部25は、ローカルIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換し、また、その逆に、グローバルIPアドレスをローカルIPアドレスに変換する。かかるアドレス変換の方式として、本実施例では、IPマスカレード(NAPT:Network Address Port Translation)を採用する。したがって、OSI参照モデルにおける第4層(レイヤ4)におけるポート番号もIPアドレスと併せて変換される。なお、アドレス変換方式として、IPマスカレードに代えて、NAT(Network Address Translation)を採用することもできる。
【0034】
フラッシュROM34には、上述したプログラム群に加えて、SPI−DB341と、アドレス変換テーブル342とが格納されている。SPI−DB341及びアドレス変換テーブル342の詳細については後述する。
【0035】
図2は、ネットワーク中継装置を用いた通信態様を模式的に示す説明図である。図2の通信態様では、通信端末として動作するパーソナルコンピュータ100と、ネットワーク中継装置10とは、同じ無線LAN201に接続されている。無線LAN201において、ネットワーク中継装置10は無線LANアクセスポイントとして動作し、パーソナルコンピュータ100は無線LANクライアントとして動作する。このとき、無線LAN−IF部40は、通信端末との間で無線通信を実行するネットワークインターフェイス部(端末側IF部)として動作する。
【0036】
また、図2の通信態様では、ネットワーク中継装置10と、無線LANアクセスポイント装置150とは、同じ無線LAN202に接続されている。無線LAN202において、ネットワーク中継装置10は、無線LANクライアントとして動作し、無線LANアクセスポイント装置150は、無線LANアクセスポイントとして動作する。ネットワーク中継装置10は、無線WAN−IF部50を用いて無線LANアクセスポイント装置150との無線通信を行う。無線LAN202は、図示しないISP(Internet Services Provider)のネットワークを介してインターネットINTに接続されている。
【0037】
また、図2の通信態様では、ネットワーク中継装置10は、移動体通信IF部60を用いて、移動体通信網203の無線基地局160との間で無線通信を行う。移動体通信網203は、インターネットINTに接続されている。このように、ネットワーク中継装置10は、インターネットINT側のネットワーク(換言すると、パーソナルコンピュータ100が所属しないネットワーク)と接続するためのネットワークインターフェイス部(以下、「WAN側IF部」と呼ぶ)として、無線WAN−IF部50と移動体通信IF部60とを備えている。
【0038】
図2に示すように、パーソナルコンピュータ100には、IP(Internet Protocol)アドレスとして、プライベートIPアドレスである「192.168.1.1」が設定されている。また、無線WAN−IF部50にはグローバルIPアドレスである「202.113.44.1」が、移動体通信IF部60にはグローバルIPアドレスである「10.22.293.1」が、それぞれ設定されている。
【0039】
このような図2の通信態様では、パーソナルコンピュータ100は、無線LAN201及び無線LAN202を介してインターネットINTに接続された装置(例えば、図2に示すWEBサーバ500)と通信を行うことができる。この場合、無線WAN−IF部50は、中継ネットワークIF部として機能する。また、パーソナルコンピュータ100は、無線LAN201及び移動体通信網203を介してインターネットINTに接続された装置(例えば、WEBサーバ500)と通信を行うことができる。この場合、移動体通信IF部60は、中継ネットワークIF部として機能する。
【0040】
図3は、図1に示すSPI−DBの設定内容の一例を示す説明図である。SPI−DB341には、ネットワーク中継装置10を介する論理的な接続を特定可能な情報、及びかかる論理的な接続における状態を示す情報が記録される。本実施例では、論理的な接続としてレイヤ4のセッションを採用する。図3に示すように、SPI−DB341は、レイヤ4の通信プロトコルを記録する第1フィールドF1と、送信元IPアドレスを記録する第2フィールドF2と、送信元のレイヤ4におけるポート番号を記録する第3フィールドF3と、中継先IPアドレスを記録する第4フィールドF4と、中継先のレイヤ4におけるポート番号を記録する第5フィールドF5と、セッションの状態を示す第6フィールドF6とを備えている。
【0041】
転送制御部22は、レイヤ4のセッションの開始と共にSPI−DB341に新たなエントリを記録する。具体的には、レイヤ4のプロトコルがTCP(Transmission Control Protocol)であるセッションについては、例えば、公知の3ウェイハンドシェイクシーケンスの開始であるSYNパケットの送信と共に、SPI−DB341に新たなエントリを記録する。また、例えば、終了シーケンス(FINパケット及びFIN_ACKパケットのやりとり)の終了と共に、SPI−DB341からエントリを削除する。レイヤ4のプロトコルがUDP(User Datagram Protocol)の場合には、パケット(ユーザデータ)の中継開始と共に、SPI−DB341に新たなエントリを記録し、パケットを所定期間だけ受信しない場合にエントリを削除する。
【0042】
図3の例では、SPI−DB341には、第1エントリE1及び第2エントリE2の2つのエントリ(すなわち、2つのセッションに関するエントリ)が記録されている。第1エントリE1では、第1フィールドF1に「TCP」が設定され、また、第2フィールドF2に「192.168.1.1」が、第3フィールドF3に「554」が、第4フィールドF4に「202.113.44.1」が、第5フィールドF5に「554」が、第6フィールドF6に「CONNECTED」が、それぞれ設定されている。すなわち、第1エントリE1は、パーソナルコンピュータ100が送信元であり、レイヤ4の通信プロトコルがTCPであり、上位プロトコルが「ポート番号554を利用するプロトコル」(つまり、RTSP(Real Time Streaming Protocol))であり、ネットワーク中継装置10における中継先(中継ネットワークIF部)が無線WAN−IF部50であるセッションが、「CONNECTED」の状態であることを意味している。なお、「CONNECTED」とは、3ウェイハンドシェイクシーケンスが終わって、パーソナルコンピュータ100とWEBサーバ500との間でパケットの送受信が可能な状態(換言すると、セッションが確立されている状態、すなわちセッションが有効である状態)を意味する。第1エントリE1は、例えば、パーソナルコンピュータ100とWEBサーバ500との間において動画像ストリーミング再生が実行される際に記録される。
【0043】
図3に示す第2エントリE2では、第1フィールドF1に「TCP」が設定され、また、第2フィールドF2に「192.168.1.1」が、第3フィールドF3に「3350」が、第4フィールドF4に「202.113.44.1」が、第5フィールドF5に「30020」が、第6フィールドF6に「WAIT_ACK」が、それぞれ設定されている。すなわち、第2エントリE2は、パーソナルコンピュータ100が送信元であり、レイヤ4におけるプロトコルがTCPであり、上位レイヤのプロトコルが「ポート番号3350を利用するプロトコル」(つまり、FINDVIATV)であり、ネットワーク中継装置10における中継先(中継ネットワークIF部)が無線WAN−IF部50であり、中継先のポート番号が「30020」のセッションが、「WAIT_ACK」の状態であることを意味している。なお、「WAIT_ACK」とはSYN_ACKパケットを送出した後であってACKパケットを待っている状態、換言すると、未だパーソナルコンピュータ100とWEBサーバ500との間のセッションが確立されていない状態(セッションが有効でない状態)を意味する。
【0044】
図4は、図1に示すアドレス変換テーブルの設定内容の一例を示す説明図である。アドレス変換テーブル342は、ローカルIPアドレスを記録する第1フィールドf1と、ローカル側で用いるレイヤ4におけるポート番号を記録する第2フィールドf2と、グローバルIPアドレスを記録する第3フィールドf3と、グローバル側で用いるレイヤ4におけるポート番号を記録する第4フィールドf4と、レイヤ4の通信プロトコルを記録する第5フィールドf5とを備えている。
【0045】
図4の例では、アドレス変換テーブル342には、第1エントリe1及び第2エントリe2の2つのエントリが記録されている。第1エントリe1では、第1フィールドf1に「192.168.1.1」が設定され、また、第2フィールドf2に「554」が、第3フィールドf3に「202.113.44.1」が、第4フィールドf4に「554」が、第5フィールドf5に「TCP」が、それぞれ設定されている。すなわち、第1エントリe1は、ローカルIPアドレス「192.168.1.1」及びポート番号「554」の組み合わせ(ソケット)が、グローバルIPアドレス「202.113.44.1」及びポート番号「554」の組み合わせ(ソケット)に変換され、また、その逆の変換が行われることを示す。
【0046】
図4に示す第2エントリe2では、第1フィールドf1に「192.168.1.1」が設定され、また、第2フィールドf2に「3350」が、第3フィールドf3に「202.113.44.1」が、第4フィールドf4に「30020」が、第5フィールドf5に「TCP」が、それぞれ設定されている。すなわち、第2エントリe2は、ローカルIPアドレス「192.168.1.1」及びポート番号「3350」の組み合わせ(ソケット)が、グローバルIPアドレス「202.113.44.1」及びポート番号「30020」の組み合わせ(ソケット)に変換され、また、その逆の変換が行われ得ることを示す。
【0047】
アドレス変換テーブル342の各エントリは、パーソナルコンピュータ100からインターネットINTに接続された装置にデータを送る際に、アドレス変換部25によって記録される。また、各エントリの第3フィールドf3については、後述する中継ネットワークインターフェイス部選択処理により、中継ネットワークIF部として選択されたインターフェイス部(無線WAN−IF部50又は移動体通信IF部60)に設定されているIPアドレスに更新される。
【0048】
ネットワーク中継装置10では、WAN側IF部である2つのネットワークインターフェイス部(無線WAN−IF部50及び移動体通信IF部60)のうち、中継ネットワークIF部として機能させるネットワークインターフェイス部を、後述の中継ネットワークIF部選択処理を実行することにより選択する。かかる選択処理によると、パーソナルコンピュータ100とWEBサーバ500との間で確立されているセッションが切断され、アプリケーション(例えば、動画像のストリーミング再生)が中断されてしまうことを抑制することができる。
【0049】
前述のネットワーク中継装置10は、請求項におけるネットワーク通信装置に相当する。また、無線WAN−IF部50及び移動体通信IF部60は、請求項における複数の第1のネットワークインターフェイス部に、中継ネットワークインターフェイス部は請求項における使用ネットワークインターフェイス部に、無線LAN−IF部40は請求項における第2のネットワークインターフェイス部に、転送処理部21及び転送制御部22は請求項における通信処理部に、SPI−DB341は請求項における通信データベースに、それぞれ相当する。
【0050】
A2.中継ネットワークインターフェイス部選択処理:
図5は、第1実施例のネットワーク中継装置において実行される中継ネットワークインターフェイス部選択処理の手順を示すフローチャートである。ネットワーク中継装置10では、電源オンの後、中継ネットワークインターフェイス部選択処理が繰り返し実行される。
【0051】
インターフェイス選択部23は、所定の条件に従い、いずれかのWAN側IF部(無線WAN−IF部50及び移動体通信IF部60)を、中継ネットワークIF部として決定する(ステップS105)。ステップS105における「所定の条件」として、任意の条件を選択することができる。例えば、「対応するネットワークの無線基地局から出力される信号を受信可能な領域に存在する」との条件を採用することができる。この条件を採用することにより、例えば、ネットワーク中継装置10(移動体通信IF部60)が、移動体通信網の無線基地局のセル内に存在しない場合に、中継ネットワークIF部として移動体通信IF部60が選択されることを抑制できる。換言すると、かかる条件を採用することにより、無線基地局との間で無線通信が可能なWAN側IF部を、中継ネットワークIF部として選択させ得る。なお、この条件を満たすWAN側IF部が複数(2つとも)の場合、予め定めておいたWAN側IF部を選択することもできる。
【0052】
また、例えば、「所定の条件」として、「受信信号強度が所定値よりも高い」との条件を採用することもできる。この条件を採用することにより、受信信号強度が低いために通信が不安定となる可能性の高いネットワークに対応するWAN側IF部が、中継ネットワークIF部として選択されることを抑制できる。換言すると、受信信号強度が所定値よりも高く、安定した通信を実現可能なWAN側IF部を、中継ネットワークIF部として選択させ得る。
【0053】
また、例えば、「所定の条件」として、「予め設定されている優先度が最も高い」との条件を採用することができる。この優先度は、予めユーザが無線WAN−IF部50及び移動体通信IF部60に対して任意に設定することができる。例えば、ユーザは、通信費用が低いWAN側IF部に対してより高い優先度を設定することができる。このような設定により、より通信費用を抑えた通信が可能なWAN側IF部を、中継ネットワークIF部として選択させ得る。また、例えば、ユーザは、消費電力量が少ないWAN側IF部に対してより高い優先度を設定することができる。このような設定により、通より消費電力量を抑えた通信が可能なWAN側IF部を、中継ネットワークIF部として選択させ得る。
【0054】
また、例えば、「所定の条件」として、各WAN側IF部を用いた通信速度に関する任意の条件を採用することができる。例えば、「平均通信速度が最も高い」や、「最小通信速度が最も高い」等の条件を採用することができる。なお、ステップS105における「所定の条件」は、請求項における「所定の第1の条件」及び「所定の条件」に相当する。
【0055】
ステップS105において、中継ネットワークIF部が選択されると、切替決定部24は、新たに選択されたWAN側IF部が、既に選択されている(前回選択された)WAN側IF部(以下、「既選択ネットワークインターフェイス部」と呼ぶ)と同じであるか否かを判定する(ステップS110)。新たに選択されたWAN側IF部が既選択ネットワークインターフェイス部と同じであると判定されると(ステップS110:YES)、中継ネットワークインターフェイス部選択処理が再実行される。
【0056】
ステップS110において、新たに選択されたWAN側IF部が既選択ネットワークインターフェイス部と同じでないと判定されると(ステップS110:NO)、切替決定部24によって切替可否決定処理が実行される(ステップS115)。
【0057】
図6は、第1実施例における切替可否決定処理の手順を示すフローチャートである。切替決定部24は、SPI−DB341を参照して、既選択ネットワークインターフェイス部を介する有効なTCPセッション(以下、「アクティブなTCPセッション」と呼ぶ)を検索し(ステップS205)、該当するTCPセッションの有無を判定する(ステップS210)。本実施例では、有効なTCPセッションとは、状態が「CONNECTED」であるTCPセッションを意味する。例えば、既選択ネットワークインターフェイス部が無線WAN−IF部50である場合には、SPI−DB341において、第1フィールドF1の値が「TCP」であり、第4フィールドF4の値が「202.113.44.1」であり、第6フィールドF6の値が「CONNECTED」のエントリが検索される。その結果、図3に示す第1エントリE1が見つかり、「該当するTCPセッションが有る」と判定される。
【0058】
切替決定部24は、ステップS210において「該当するTCPセッションが有る」と判定されると、新たに選択されたWAN側IF部への中継ネットワークIF部の切り替えが可能でないと決定する(ステップS215)。これに対し、ステップS210において、「該当するTCPセッションが無い」と判定されると、新たに選択されたWAN側IF部への中継ネットワークIF部の切り替えが可能であると判定する(ステップS220)。
【0059】
図5に示すように、上述した切替可否決定処理(ステップS115)の結果、切り替えが可能であると判定されると(ステップS120:YES)、転送制御部22は、新たに選択されたWAN側IF部を、図示しないルーティングテーブルに登録して、中継ネットワークIF部を、新たに選択されたWAN側IF部に切り替える(ステップS125)。その結果、パーソナルコンピュータ100とインターネットINTに接続された装置との間の通信を行う際に、新たに選択されたWAN側IF部(無線WAN−IF部50又は移動体通信IF部60)が用いられる。また、転送制御部22は、新たに選択されたWAN側IF部のIPアドレスを、SPI−DB341及びアドレス変換テーブル342に登録する。
【0060】
一方、ステップS115の結果、切り替えが可能でないと判定されると(ステップS120:NO)、中継ネットワークインターフェイス部選択処理が再実行される。その結果、図示しないルーティングテーブルは更新されず、中継ネットワークIFは、既に選択されているWAN側IF部(前回選択されたWAN側IF部)のまま変わらない。なお、本実施例において「アクティブなTCPセッションの有無」は、請求項における所定の第2の条件に相当する。
【0061】
上述した中継ネットワークインターフェイス部選択処理の具体的な動作を、以下に説明する。例えば、無線WAN−IF部50が中継ネットワークIF部として既に選択されている状態において、ステップS105において新たな中継ネットワークIF部として移動体通信IF部60が選択されると、切替可否決定処理のステップS205により、図3に示す第1エントリE1のセッションが見つかる。この場合、ステップS215において、切り替えが可能でないと判定されるので、中継ネットワークIF部は、無線WAN−IF部50から移動体通信IF部60に切り替わることなく、中継ネットワークインターフェイス部選択処理が再び実行されることとなる。したがって、図3の第1エントリE1のセッションにより実行されていたアプリケーション(例えば、動画像のストリーミング再生等)は中断されることはない。
【0062】
また、かかるアプリケーションが終了して、図3に示す第1エントリE1のセッションが終了した場合には、切替可否決定処理のステップS205が実行された結果、SPI−DB341においてアクティブなTCPセッションが見つからないので、ステップS220が実行されて切り替えが可能であると決定される。その結果、ステップS125が実行され、中継ネットワークIF部は移動体通信IF部60に切り替わることとなる。このとき、上位レイヤで実行されるアプリケーションは終了しているので、中継ネットワークIF部の切り替えに伴ってアプリケーションが中断されることはない。また、中継ネットワークIF部が切り替わることにより、ステップS205における「所定の条件」にしたがったインターフェイス部が中継ネットワークIF部として機能することとなる。
【0063】
以上説明したように、第1実施例のネットワーク中継装置10は、既選択ネットワークインターフェイス部を介した有効な(状態が「CONNECTED」である)TCPセッションであるアクティブなTCPセッションの有無を確認し、アクティブなTCPセッションがある場合には、中継ネットワークIF部を新たに選択されたWAN側IF部に切り替えないようにしている。したがって、第1実施例のネットワーク中継装置10によると、中継ネットワークIF部の切り替えに伴うネットワーク中継装置10を介した通信の中断を抑制することができる。また、アクティブなTCPセッションが無い場合には、中継ネットワークIF部を、新たに選択されたWAN側IF部に切り替える。したがって、所定の条件に従った適切なWAN側IF部への中継ネットワークIF部の切り替えを実現できる。また、第1実施例のネットワーク中継装置10では、中継ネットワークインターフェイス部選択処理が繰り返し実行されるので、アクティブなTCPセッションが終了した後には、中継ネットワークIF部を、ステップS105の所定の条件を満たすWAN側IF部に切り替えることができる。
【0064】
B.第2実施例:
図7は、第2実施例のネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。第2実施例のネットワーク中継装置10aは、フラッシュROM34がアプリケーション情報格納部343を備えている点において、図1に示す第1実施例のネットワーク中継装置10と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。
【0065】
アプリケーション情報格納部343には、予めユーザによって指定されたアプリケーション(OSI参照モデルにおける第5層(レイヤ5)以上の上位レイヤにおけるプロトコル)に対応するレイヤ4におけるポート番号が格納されている。図7に示すように、本実施例では、ユーザによって、動画像のストリーミング再生に用いられるプロトコルに対応するポート番号が、アプリケーション情報格納部343に格納されている。具体的には、アプリケーション情報格納部343には、ポート番号「80」(HTTP:HyperText Transfer Protocol)と、ポート番号「554」(RTSP)と、ポート番号「3389」(リモートデスクトップ)とが予め格納されている。
【0066】
図8は、第2実施例における切替可否決定処理の手順を示すフローチャートである。第2実施例の切替可否決定処理は、ステップS205に代えて、ステップS205aを実行する点において、図6に示す第1実施例の切替可否決定処理と異なり、他の手順は第1実施例と同じである。
【0067】
切替決定部24は、SPI−DB341を参照して、アクティブなTCPセッションであり、かつ、かかるセッションで用いられる上位レイヤのプロトコルが、ユーザ指定の所定のプロトコルであるセッションを検索する(ステップS205a)。切替決定部24は、SPI−DB341における第3フィールドF3の値が、アプリケーション情報格納部343に格納されているポート番号と一致する場合に、上位レイヤのプロトコルがユーザ指定の所定のプロトコルであると特定することができる。したがって、例えば、既選択ネットワークインターフェイス部が無線WAN−IF部50である場合には、SPI−DB341において、第1フィールドF1の値が「TCP」であり、第4フィールドF4の値が「202.113.44.1」であり、第6フィールドF6の値が「CONNECTED」であり、かつ、第3フィールドF3の値が「80」,「554」,「3389」のいずれかであるエントリの有無が検索される。その結果、図3に示す第1エントリE1が見つかることとなる。
【0068】
ステップS205aが完了すると、上述したステップS210〜S220が実行される。第2実施例では、アクティブなTCPセッションがなければ、切替可能であると判定される点(ステップS220)は、第1実施例と同じである。しかしながら、アクティブなTCPセッションが存在しても、上位レイヤのプロトコルがユーザ指定の所定のプロトコルでない場合には、切替可能であると判定される(ステップS220)。その結果、中継ネットワークIF部は、新たに選択されたWAN側IF部に切り替えられることとなる。これに対して、アクティブなTCPセッションであり、かつ、かかるセッションで用いられる上位レイヤのプロトコルがユーザ指定の所定のプロトコルであるセッションが有る場合には、選択されたWAN側IF部への中継ネットワークIF部の切り替えは行われない。したがって、例えば、ユーザが、パーソナルコンピュータ100において、HTTPを利用した動画像のストリーミング再生のアプリケーションを行っている際には、中継ネットワークIF部の切り替えは行われない。このため、かかるアプリケーションは、中断されることなく実行される。
【0069】
この例からも理解できるように、ユーザは、予め、中継ネットワークIF部の切り替えによって中断されることを抑制したいアプリケーションに対応するポート番号を、アプリケーション情報格納部343に格納しておくことにより、中継ネットワークIF部の切り替えに伴うアプリケーションの中断を避けることができる。
【0070】
このように、アクティブなTCPセッションが存在しても、かかるセッションで用いられる上位レイヤのプロトコルがユーザにより指定されたプロトコルでない場合には、中継ネットワークIF部を切り替えるのは、かかるプロトコルを利用するアプリケーションであれば、中断しても構わないとユーザが判断したと考えられるからである。このような構成により、第2実施例のネットワーク中継装置10aでは、アプリケーション情報格納部343に格納されているポート番号とは異なるポート番号に対応するアプリケーション(すなわち、ユーザが中断しても構わないと判断したアプリケーション)が実行されている場合には、中継ネットワークIF部の切り替えを行うことにより、所定の条件に従った適切なWAN側IF部を利用して通信を行うようにしている。一方、アプリケーション情報格納部343に格納されているポート番号に対応するアプリケーション(すなわち、ユーザが中断させたくないと判断したアプリケーション)が実行されている場合には、中継ネットワークIF部の切り替えを実行せず、ユーザの意図に沿ってアプリケーションの中断を抑制するようにしている。
【0071】
以上の構成を有する第2実施例のネットワーク中継装置10aは、第1実施例のネットワーク中継装置10と同様の効果を有する。加えて、アクティブなTCPセッションであり、かつ、ユーザにより予め指定されたプロトコルを上位レイヤのプロトコルとして利用するセッションがある場合には、中継ネットワークIF部の切り替えを実行しないので、ユーザにより指定されたプロトコルを上位レイヤのプロトコルとして用いるアプリケーションが中断されることを抑制できる。加えて、アクティブなTCPセッションであり、かつ、ユーザにより予め指定されたプロトコルとは異なるプロトコルを上位レイヤのプロトコルとして利用するセッションがある場合には、中継ネットワークIF部の切り替えを実行するので、所定の条件に従った適切なWAN側IF部を利用して通信を行うことができる。また、第2実施例のネットワーク中継装置10aでは、アプリケーション情報格納部343に格納されているポート番号を参照して、アクティブなTCPセッションが切り替え可能な状態のセッションであるか否かを決定するので、ユーザは、アプリケーション情報格納部343に格納するポート番号を調整することにより、セッションの切り替え可否の決定を制御することができる。
【0072】
C.第3実施例:
図9は、第3実施例における切替可否決定処理の手順を示すフローチャートである。第3実施例のネットワーク中継装置は、切替可否判断処理において、ステップS205に代えてステップS205bを実行する点において、第1実施例のネットワーク中継装置10と異なり、他の構成(装置構成及び切替可否決定処理の他の手順)は、第1実施例と同じである。
【0073】
第3実施例のネットワーク中継装置の切替決定部24は、切替可否決定処理として、まず、アドレス変換テーブル342を参照して、既選択ネットワークインターフェイス部を介するTCPセッションを検索し(ステップS205b)、前述のステップS210を実行する。例えば、ステップS105において新たに選択されたWAN側IF部が無線WAN−IF部50である場合には、アドレス変換テーブル342において、第5フィールドf5の値が「TCP」であるエントリの有無が検索される。その結果、図4に示す第1エントリe1及び第2エントリe2が見つかり、「既選択ネットワークインターフェイス部を介するTCPセッションが有る」と判定される。ステップS210が実行された後は、その判定結果に応じて、前述のステップS215又はステップS220が実行される。
【0074】
以上の構成を有する第3実施例のネットワーク中継装置は、第1実施例と同様な効果を有する。また、切替可否の決定を、アドレス変換テーブル342におけるアドレス変換テーブル342の第5フィールドf5として「TCP」が設定されているセッションの有無により決定するので、簡単な処理によりかかる決定を行うことができる。したがって、切替可否決定処理に要する期間を短くすることができると共に、CPU20の処理負荷を軽減させることができる。なお、第3実施例では、アドレス変換テーブル342は、請求項における通信データベースに相当する。
【0075】
なお、上述した第1ないし第3実施例からも理解できるように、既に中継ネットワークIF部として選択されているWAN側IF部を介した有効なTCPセッションの有無(TCPセッションの有効性)に関する任意の条件に基づき、中継ネットワークIF部の切替可否を決定することができる。
【0076】
D.第4実施例:
上述した第1ないし第3実施例では、本発明のネットワーク通信装置をネットワーク中継装置(モバイルルータ)に適用した例を述べたが、本実施例では、本発明のネットワーク通信装置を、携帯電話装置に適用した例を示す。
【0077】
図10は、本発明のネットワーク通信装置を適用した一実施例としての携帯電話装置の構成を示すブロック図である。携帯電話装置600は、無線WAN−IF部650と、移動体通信IF部660と、CPU620と、フラッシュROM632と、RAM631と、音声入出力部641と、表示部642と、操作部643とを備えている。携帯電話装置600は、電話機として他の電話機との間で音声通話を行うことができると共に、データ通信端末として、例えば、インターネットに接続された装置との間でデータ通信を行うことができる。
【0078】
第4実施例のCPU620は、転送処理部21及び転送制御部22に代えて、データ通信制御部621と、電話機能部622と、表示制御部623と、操作制御部624と、アプリケーション実行部625として機能する点において、第1実施例のCPU20と異なる。
【0079】
データ通信制御部621は、携帯電話装置600がネットワークを介してデータ通信を行う際に、かかる通信を制御する。例えば、携帯電話装置600で実行されるアプリケーションが、携帯電話装置600とネットワークを介して接続された装置との間におけるTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)通信を伴う場合には、TCPやIPの処理を実行する。具体的には、例えば、フラッシュROM632に記憶されている図示しないルーティングテーブルに従って、レイヤ3のパケットの送信や受信を行う。なお、第4実施例では、データ通信制御部621は、請求項における通信処理部に相当する。
【0080】
電話機能部622は、呼接続及び呼切断や、音声符号化や、ノズル除去等の電話機能を実現するための各種処理を行う。表示制御部623は、表示部642における画像表示(例えば、アプリケーション実行の結果得られたWEB画面の表示等)を制御する。操作制御部624は、操作部643からの入力情報を解釈して、他の各機能部621〜625に伝える。アプリケーション実行部625は、フラッシュROM632に格納されているアプリケーションソフトウェアに従って、アプリケーションを実行する。
【0081】
なお、第4実施例のCPU620は、上述した各機能部621〜625として機能すると共に、インターフェイス選択部626、切替決定部627、及びアドレス変換部628としても機能する。第4実施例のインターフェイス選択部626は、第1実施例のインターフェイス選択部23と同じ機能を実現するため、説明を省略する。同様に、第4実施例の切替決定部627は第1実施例の切替決定部24と、第4実施例のアドレス変換部628は第1実施例のアドレス変換部25と、それぞれ同じ機能を実現するため、説明を省略する。
【0082】
音声入出力部641は、図示しないマイクロフォン及びスピーカを備え、入力される音声に基づき音声信号を生成したり、音声信号に基づき音声の再生を行う。表示部642は、操作メニュー画面や、アプリケーションの実行結果として得られた画像や映像を表示する。表示部642としては、例えば、タッチパネル式の液晶ディスプレイを採用することができる。操作部643は、音量を調整するためのボタンや、表示部642に表示されるカーソルの位置を移動させるためのボタンなど、各種操作ボタンを備えている。
【0083】
なお、第4実施例の無線WAN−IF部650は、第1実施例の無線WAN−IF部50と同じ機能を有するため説明を省略する。同様に、移動体通信IF部660は第1実施例の移動体通信IF部60と、RAM631は第1実施例のRAM32と、フラッシュROM632は第1実施例のフラッシュROM34と、それぞれ同じ機能を有するため、説明を省略する。また、第4実施例のSPI−DB633は第1実施例のSPI−DB341と、第4実施例のアドレス変換テーブル634は第1実施例のアドレス変換テーブル342と、それぞれ同じであるので、説明を省略する。
【0084】
図11は、第4実施例における携帯電話装置を用いた通信態様を模式的に示す説明図である。図11の通信態様は、通信端末と接続する側の構成を有していない点において、図2に示す第1実施例の通信態様と異なり、他の構成は、第1実施例の通信態様と同じである。具体的には、携帯電話装置600は、端末側IF部を備えておらず、携帯電話装置600とは別の通信端末(例えば、第1実施例におけるパーソナルコンピュータ100)から受信するデータ(パケット)の中継や、別の通信端末宛のデータ(パケット)の中継を行わない。携帯電話装置600は、第1実施例のパーソナルコンピュータ100で実行されるアプリケーションと同様なアプリケーションを自ら実行し、かかるアプリケーションが通信を伴う場合に、WAN側IF部(ネットワークに接続するためのインターフェイス部)である無線WAN−IF部650又は移動体通信IF部660のいずれかを用いてパケットの送受信を行う。
【0085】
第4実施例の携帯電話装置600では、後述する使用インターフェイス部選択処理を実行して、2つのWAN側IF部(無線WAN−IF部650及び移動体通信IF部660)のうち、パケットの送受信に利用するネットワークインターフェイス部(以下、「使用ネットワークインターフェイス部」又は「使用ネットワークIF部」と呼ぶ)を選択することにより、使用ネットワークIF部の切り替えに伴う通信の中断を抑制し、また、所定の条件に従った適切なWAN側IF部への使用ネットワークIF部の切り替えを実現できる。
【0086】
なお、本実施例において、携帯電話装置600は、請求項におけるネットワーク通信装置に相当する。また、データ通信制御部621は請求項における通信処理部に相当する。
【0087】
図12は、第4実施例における使用ネットワークインターフェイス部選択処理の手順を示すフローチャートである。第4実施例の使用ネットワークインターフェイス部選択処理は、ステップS105に代えてステップS105aを実行する点、ステップS110に代えてステップS110aを実行する点、及びステップS125に代えてステップS125aを実行する点において、図5に示す第1実施例の中継ネットワークインターフェイス部選択処理と異なり、他の手順は第1実施例の中継ネットワークインターフェイス部選択処理と同じである。
【0088】
インターフェイス選択部626は、所定の条件に従い、いずれかのWAN側IF部(無線WAN−IF部650及び移動体通信IF部660)を、使用ネットワークIF部として決定する(ステップS105a)。所定の条件の詳細については、第1実施例と同じである。
【0089】
ステップS105aにおいて、使用ネットワークIF部が選択されると、切替決定部627は、新たに選択されたWAN側IF部が、既選択ネットワークインターフェイス部(本実施例では、使用ネットワークIF部として既に選択されているWAN側IF部を意味する)と同じであるか否かを判定する(ステップS110a)。新たに選択されたWAN側IF部が既選択ネットワークインターフェイス部と同じであると判定されると(ステップS110a:YES)、使用ネットワークインターフェイス部選択処理が再実行される。一方、ステップS110aにおいて、新たに選択されたWAN側IF部が既選択ネットワークインターフェイス部と同じでないと判定されると(ステップS110a:NO)、上述したステップS115、S120が実行される。
【0090】
上述した切替可否決定処理(ステップS115)の結果、切り替えが可能であると判定されると(ステップS120:YES)、データ通信制御部621は、新たに選択されたWAN側IF部を、図示しないルーティングテーブルに登録して、使用ネットワークIF部を、新たに選択されたWAN側IF部に切り替える(ステップS125a)。その結果、携帯電話装置600とインターネットINTに接続された装置(例えば、WEBサーバ500)との間の通信において、新たに選択されたWAN側IF部(無線WAN−IF部650又は移動体通信IF部660)が用いられる。また、データ通信制御部621は、新たに選択されたWAN側IF部のIPアドレスを、SPI−DB633及びアドレス変換テーブル634に登録する。
【0091】
以上説明した第4実施例の携帯電話装置600は、第1実施例のネットワーク中継装置10と同様な効果を有する。すなわち、使用ネットワークIF部の切り替えに伴うTCPセッションを利用した通信の中断を抑制することができ、また、所定の条件に従った適切なWAN側IF部への使用ネットワークIF部の切り替えを実現できる。加えて、第4実施例の携帯電話装置600では、使用ネットワークインターフェイス部選択処理が繰り返し実行されるので、アクティブなTCPセッションが終了した後には、使用ネットワークIF部を、ステップS105aの所定の条件を満たすWAN側IF部に切り替えることができる。
【0092】
E.変形例:
この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、各実施例を組み合わせたり、次のような変形も可能である。
【0093】
E1.変形例1:
各実施例では、切替可否決定処理において、切替可能であるとの決定(ステップS215)又は切替可能でないとの決定(ステップS220)の各処理を行っていたが、これら処理を省略することもできる。例えば、第1実施例では、図6に示すステップS210において該当するTCPセッションが有ると判定された場合に、ステップS215を実行せずに、中継ネットワークインターフェイス部選択処理を再び実行することができる。また、ステップS210において該当するTCPセッションが無いと判定された場合に、図5に示すステップS125を実行することもできる。
【0094】
E2.変形例2:
各実施例では、切替可否決定処理において、有効なTCPセッションの有無により切り替え可否を決定していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、有効なTCPセッション有無に代えて、又は、有効なTCPセッションの有無に加えて、有効なUDPセッションの有無により切り替え可否を決定することもできる。具体的には、既選択ネットワークインターフェイス部を介したUDPセッションであって、状態が「ASSURED」のセッションの有無に基づき、切り替え可否を決定することもできる。すなわち、既選択ネットワークインターフェイス部を介したレイヤ4のセッションの有効性に基づき、切り替え可否を決定することもできる。また、例えば、TCPやUDPといったレイヤ4のセッションに代えて、または、レイヤ4のセッションに加えて、レイヤ5以上の上位レイヤのセッション(論理的な接続)の有効性に基づき、切り替え可否を決定することもできる。例えば、第4実施例の携帯電話装置600において、アプリケーション実行部625は上位レイヤでのセッションの有効性を判定できるので、切替決定部627は、かかる有効性に基づき、切り替え可否を決定することもできる。すなわち、一般には、既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する任意の条件に基づき、中継ネットワークIF部又は使用ネットワークIF部の切り替え可否を決定することができる。
【0095】
E3.変形例3:
第1ないし第3実施例では、中継ネットワークインターフェイス部選択処理は、ネットワーク中継装置10,10aの電源がオンすると繰り返し実行されていた。また、第4実施例では、使用ネットワークインターフェイス部選択処理は、携帯電話装置600の電源がオンすると繰り返し実行されていた。しかしながら、本発明において、これら処理が実行されるタイミング及び実行頻度は、これに限定されるものではない。例えば、常時又は定期的に受信信号強度を監視して、受信信号強度が所定の度合い以上に変化した場合に、中継ネットワークインターフェイス部選択処理及び使用ネットワークインターフェイス部選択処理を実行する構成を採用することもできる。このように、受信信号強度の変化の発生やWAN側IF部の交換の発生といった、中継ネットワークインターフェイス部選択処理及び使用ネットワークインターフェイス部選択処理に影響を与える任意のイベントが発生したことをトリガとして、中継ネットワークインターフェイス部選択処理及び使用ネットワークインターフェイス部選択処理を実行することができる。また、例えば、第1ないし第3実施例の中継ネットワークインターフェイス部選択処理であれば、所定の期間ごと(例えば、100ミリ秒ごと)に1サイクル(ステップS105〜S125)が実行されて終了する構成を採用することもできる。同様に、第4実施例の使用ネットワークインターフェイス部選択処理についても所定の期間ごとに1サイクル(ステップS105a〜S125a)が実行されて終了する構成を採用することもできる。また、例えば、第1ないし第3実施例であれば、パーソナルコンピュータ100からインターネットINTに向けてデータを送信し、かかるデータを含むパケットをネットワーク中継装置10,10aが受信したことを契機として、中継ネットワークインターフェイス部選択処理が実行されてもよい。この構成では、例えば、第1実施例の切替可否判断処理において、切替可能でないと決定されると(ステップS215)、中継ネットワークインターフェイス部選択処理が終了してしまう。このため、その後、ステップS205で見つかったTCPセッションが終了しても、中継ネットワークIF部は切り替わらない。そこで、例えば、切替可能でないと決定された場合(ステップS215)、SPI−DB341を定期的に参照して、ステップS205で見つかったセッションの終了を監視し、セッションの終了が検出された場合に切替可能と決定して、中継ネットワークIF部を、ステップS105で新たに選択されたWAN側IF部に切り替える処理を実行することもできる。同様にして、第4実施例の使用ネットワークインターフェイス部選択処理についても、携帯電話装置600からインターネットINTに向けてデータを送信しようとする場合に実行されてもよい。
【0096】
E4.変形例4:
各実施例では、本発明を、ネットワーク中継装置(モバイルルータ装置)及び携帯電話装置に適用した例を示したが、適用する装置としては、ネットワーク中継装置及び携帯電話装置に限定されるものではない。例えば、据え置き型のルータ装置や、携帯型レイヤ3スイッチや、据え置き型のレイヤ3スイッチなど、任意のネットワーク通信装置に本発明を適用することができる。
【0097】
また、本発明を据え置き型のネットワーク中継装置に適用する場合、SPI−DBや、アドレス変換テーブルが、本発明を適用したネットワーク中継装置とは異なる他の装置に格納される構成を採用することもできる。例えば、ネットワーク中継装置と同じネットワークセグメント内にファイアウォール装置が存在し、かかるファイアウォール装置がSPI−DBを備える構成を採用することができる。また、例えば、ネットワーク中継装置と同じセグメント内にゲートウェイ装置が存在し、かかるゲートウェイ装置がアドレス変換テーブルを備える構成を採用することができる。このように、本発明を適用したネットワーク通信装置とは異なる他の装置がSPI−DBやアドレス変換テーブルを備える構成を採用した場合、ステップS205,S205a,S205bにおいて、かかる他の装置に対して、所定のTCPセッションの有無を問い合わせることにより、TCPセッションを検索することもできる。また、このような構成においては、ネットワーク通信装置及び上記他の装置(ファイアウォール装置やゲートウェイ装置)を含むネットワーク通信システムとして、本発明を適用させることもできる。
【0098】
E5.変形例5:
第2実施例では、切替可否決定処理のステップS205aにおいて用いられる「所定のプロトコル」の指定方法として、アプリケーション情報格納部343に「ポート番号」を記憶させていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、「ポート番号」に代えて、プロトコル名を示す文字列を、アプリケーション情報格納部343に記憶させることもできる。この構成では、SPI−DBにおいてプロトコル名の文字列を記録するフィールドを設け、ステップS205aでは、かかるフィールドに設定されている値と、アプリケーション情報格納部343に格納されている文字列とを比較することにより、TCPセッションを検索することができる。すなわち、一般には、論理的な接続において用いられるプロトコルを特定可能な任意の情報を記録したSPI−DBを、本発明のネットワーク通信装置における通信データベースとして採用することができる。
【0099】
E6.変形例6:
第2実施例では、ユーザによって指定されたプロトコルは、HTTP,RTSP及びリモートデスクトップであったが、これらに代えて、または、これらに加えて、例えば、MMS(Microsoft Media Server Protocol)や、RTMP(Real Time Messaging Protocol)など、動画像ストリーミングの再生(映像及び音声の配信)に用いられる任意のプロトコルを採用することもできる。また、動画像ストリーミングの再生に用いられるプロトコルに代えて、または、加えて、FTP(File Transfer Protocol)やBirTorrent等のファイル転送用のプロトコルや、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)など、任意のアプリケーションを実現するプロトコルを採用することができる。特に、レイヤ4のセッションの切断が、サービスの中断などのユーザにとって重大な不利益を与えるおそれのあるプロトコル(アプリケーション)をユーザが指定することにより、これらプロトコル実行中におけるセッションの切断を抑制でき、かかる不利益を回避することができる。
【0100】
E7.変形例7:
各実施例では、中継ネットワークインターフェイス部選択処理の一手順として、中継ネットワークIF部を、新たに選択されたWAN側IF部に切り替えていたが(ステップS125)、かかる工程を中継ネットワークインターフェイス部切替処理から省略して、他の処理として実行することもできる。例えば、中継ネットワークインターフェイス部選択処理では、中継ネットワークIF部として用いるWAN側IF部の特定と、切り替えの可否の結果の特定とを行うに留め、特定されたWAN側IF部に実際に切り替える処理は、さらなる条件を満たした場合に実行される構成を採用することもできる。なお、使用ネットワークインターフェイス部選択処理についても同様に、使用ネットワークインターフェイス部の切り替え工程を、使用ネットワークインターフェイス部選択処理とは別の処理として実行することもできる。
【0101】
E8.変形例8:
各実施例におけるネットワーク中継装置10,10a及び携帯電話装置600の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、各実施例において、無線LAN−IF部40や無線WAN−IF部50,650は、IEEE802.11a/b/g/nに準拠した無線LANに限らず、将来的に利用可能となる無線LAN一般により無線通信を行う無線通信インターフェイスであるとしてもよい。また、移動体通信IF部60,660は、3G/HSPAに準拠した移動体通信に限らず、例えばLTE(Long Term Evolution)や次世代モバイルWiMAX(IEEE802.16m)、次世代PHS(XGP:eXtended Global Platform)といった将来的に利用可能となる移動体通信一般により無線通信を行う無線通信インターフェイスであるとしてもよい。
【0102】
また、ネットワーク中継装置10,10aは、パーソナルコンピュータ100との接続を、無線LAN−IF部40を用いた無線接続により実現していたが、無線接続に代えて、有線接続により実現することもできる。この構成では、ネットワーク中継装置10,10aに、有線接続用のネットワークインターフェイス部を設け、かかるネットワークインターフェイス部とパーソナルコンピュータ100とをネットワークケーブルで接続する。なお、有線接続用のネットワークインターフェイス部としては、例えば、IEEE802.3abや、IEEE802.3au等に準拠したネットワークインターフェイス部を採用することができる。同様に、WAN側IF部として、無線WAN−IF部50及び移動体通信IF部60に代えて、または、加えて、有線接続用のネットワークインターフェイス部を設けることもできる。
【0103】
また、各実施例では、WAN側IF部の数は、無線WAN−IF部50,650及び移動体通信IF部60,660の2つであったが、3つ以上とする構成を採用することもできる。この構成において、同じ種類のネットワークインターフェイス部を複数備える構成を採用することもできる。
【0104】
また、各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【符号の説明】
【0105】
10,10a…ネットワーク中継装置
20…CPU
21…転送処理部
21b…ブリッジ機能部
21r…ルータ機能部
22…転送制御部
23…インターフェイス選択部
24…切替決定部
25…アドレス変換部
32…RAM
33…フラッシュROM
341…SPIデータベース(SPI−DB)
342…アドレス変換テーブル
343…アプリケーション情報格納部
40…無線LANインターフェイス部(無線LAN−IF部)
50…無線WANインターフェイス部(無線WAN−IF部)
60…移動体通信インターフェイス部(移動体通信IF部)
100…パーソナルコンピュータ
150…無線LANアクセスポイント
160…無線基地局
201,202…無線LAN
203…移動体通信網
500…WEBサーバ
E1…第1エントリ
E2…第2エントリ
F1…第1フィールド
F2…第2フィールド
F3…第3フィールド
F4…第4フィールド
F5…第5フィールド
F6…第6フィールド
e1…第1エントリ
e2…第2エントリ
f1…第1フィールド
f2…第2フィールド
f3…第3フィールド
f4…第4フィールド
f5…第5フィールド
600…携帯電話装置
620…CPU
621…データ通信制御部
622…電話機能部
623…表示制御部
624…操作制御部
625…アプリケーション実行部
626…インターフェイス選択部
627…切替決定部
628…アドレス変換部
631…RAM
632…フラッシュROM
641…音声入出力部
642…表示部
643…操作部
650…無線WANインターフェイス部(無線WAN−IF部)
660…移動体通信インターフェイス部(移動体通信IF部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク通信装置であって、
互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部と、
前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用して、パケットの送受信を行う通信処理部と、
所定の第1の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、前記通信処理部によるパケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択するインターフェイス選択部と、
前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否を決定する切替決定部と、
を備える、ネットワーク通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク通信装置において、さらに、
前記論理的な接続の有効性を特定可能な情報を記録した通信データベースを備え、
前記切替決定部は、前記通信データベースを参照して、前記論理的な接続が有効である場合に前記切替が可能でないと決定し、前記論理的な接続が有効でない場合に前記切替が可能であると決定する、ネットワーク通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワーク通信装置において、さらに、
前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性を特定可能な情報、及び前記論理的な接続において用いられるプロトコルを特定可能な情報を記録した通信データベースを備え、
前記切替決定部は、前記通信データベースを参照して、
前記論理的な接続が有効であり、かつ、前記論理的な接続において用いられるプロトコルが所定のプロトコルである場合に、前記切替が可能でないと決定し、
前記論理的な接続が有効であり、かつ、前記論理的な接続において用いられるプロトコルが前記所定のプロトコルでない場合、または、前記論理的な接続が有効でない場合に、前記切替が可能であると決定する、ネットワーク通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワーク通信装置において、
前記所定のプロトコルは、映像及び音声の配信に用いられるプロトコルである、ネットワーク通信装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のネットワーク通信装置において、
前記切替決定部は、前記切替が可能でないと決定した後において、前記通信データベースを参照することにより前記論理的な接続の有効性を監視し、前記論理的な接続が有効でなくなった場合に前記切替が可能であると決定する、ネットワーク通信装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のネットワーク通信装置において、
前記論理的な接続は、OSI(Open System Interconnection)参照モデルにおける第4層のプロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)を用いるセッションである、ネットワーク通信装置。
【請求項7】
ネットワーク通信装置であって、
互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部と、
前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用して、パケットの送受信を行う通信処理部と、
所定の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、前記通信処理部によるパケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択するインターフェイス選択部と、
を備え、
前記通信処理部は、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えずにパケットの送受信を行い、前記論理的な接続が有効でない場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えて、パケットの送受信を行う、ネットワーク通信装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のネットワーク通信装置において、さらに、
通信端末との間で無線通信又は有線通信を行う第2のネットワークインターフェイス部を備え、
前記通信処理部は、前記使用インターフェイス部と前記第2のネットワークインターフェイス部との間でパケットの中継を行い、
前記インターフェイス選択部は、前記使用ネットワークインターフェイス部を、前記通信処理部によって前記第2のネットワークインターフェイス部との間でパケットの中継が行われる前記第1のネットワークインターフェイス部として、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から選択する、ネットワーク通信装置。
【請求項9】
互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有し、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行うネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択する方法であって、
(a)所定の第1の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、前記使用ネットワークインターフェイス部を選択する工程と、
(b)前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否を決定する工程と、
を備える方法。
【請求項10】
互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有するネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行う方法であって、
(a)所定の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を選択する工程と、
(b)前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えずにパケットの送受信を行い、前記論理的な接続が有効でない場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えて、パケットの送受信を行う工程と、
を備える方法。
【請求項11】
互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有し、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行うネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を、選択するためのコンピュータプログラムであって、
所定の第1の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、前記使用ネットワークインターフェイス部を選択する機能と、
前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続の有効性に関する所定の第2の条件に基づき、前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部への切替の可否を決定する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
互いに異なるネットワークに接続され、無線通信又は有線通信を実行する複数の第1のネットワークインターフェイス部を有するネットワーク通信装置において、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、いずれか1つの前記第1のネットワークインターフェイス部を利用してパケットの送受信を行うためのプログラムであって、
所定の条件に基づき、前記複数の第1のネットワークインターフェイス部の中から、パケットの送受信に用いられる前記第1のネットワークインターフェイス部である使用ネットワークインターフェイス部を選択する機能と、
前記複数の第1のネットワークインターフェイス部のうち、既に前記使用ネットワークインターフェイス部として選択されている前記第1のネットワークインターフェイス部である既選択ネットワークインターフェイス部とは異なる前記第1のネットワークインターフェイス部が、前記使用ネットワークインターフェイス部として新たに選択されると、前記既選択ネットワークインターフェイス部を介した論理的な接続が有効である場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えずにパケットの送受信を行い、前記論理的な接続が有効でない場合には、前記使用ネットワークインターフェイス部を前記既選択ネットワークインターフェイス部から前記新たに選択された第1のネットワークインターフェイス部に切り替えて、パケットの送受信を行う機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−98819(P2013−98819A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240859(P2011−240859)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】