説明

ノリ由来水溶性成分を含有する制癌剤、及び、ノリ由来水溶性成分を含有する食品組成物

【課題】本発明は、ノリの新規用途を見出すことを主な課題とする。
【解決手段】本発明は、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を有効成分として含有する制癌剤を提供する。本発明は、さらに、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を10〜90重量%含有する食品組成物、並びに、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を含有し、癌を抑制する作用を有することを特徴とし、癌を抑制する旨の表示が付された食品組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、ノリ由来水溶性成分を含有する制癌剤、及び、ノリ由来水溶性成分を含有する食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ノリは、板ノリ、佃煮、粉末等に加工され、主に東南アジアで広く摂取されている食品である。ノリは、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の栄養価に富んでおり、人々の食生活の健全化に大きく寄与している。
【0003】
しかし、近年、ノリ生育環境の悪化により、ノリの色落ちや品質低下がもたらされており、商品価値の低い「色落ちノリ」や「下等ノリ」が大量に廃棄されている。
【0004】
このような廃棄ノリに新たな価値を見いだし、有効利用することが急務となっている。
【0005】
近年、褐藻類由来の多糖類が抗血管新生作用を通じて制癌効果を発現することが報告された(非特許文献1)。しかしながら、ノリ由来の水溶性成分の制癌効果については何ら示唆されていない。
【0006】
また、アマノリ属藻類由来のグリセロ糖脂質がテロメラーゼ阻害を通じて制癌作用を発現する可能性が示された(非特許文献2、及び、非特許文献3)。しかしながら、グリセロ糖脂質はメタノール/クロロホルム混液等の毒性の強い有機溶媒を用いて抽出しなければならないため、グリセロ糖脂質を有効成分とする制癌剤の製造には、このような有機溶媒の調製、有機溶媒からのグリセロ糖脂質の精度の高い精製、有機溶媒の後処理等の工程が必要であり、省力化、省エネルギー化、環境保護等の観点から望ましくない。
【0007】
近年、ノリに含まれる高分子多糖類であるポルフィランに抗腫瘍活性を介した制癌作用があることが見出された(非特許文献4)。ポルフィランは約100,000又はそれ以上の分子量を有する分子であるが、体内への吸収効率の点では、一般的に、より低分子であることが望ましい。
今まで、水等の水性溶媒により簡便に抽出できる低分子ノリ由来成分の制癌作用は報告されていない。
【非特許文献1】P. F. Dias et al.,Cancer Chemother. Pharmacol., 56, 436−446, 2005.
【非特許文献2】Eitsuka et al., Cancer Letters 212, 15−20, 2004
【非特許文献3】野口聡子ら,日本食品化学学会誌,Vol.10(2),101−107,2003
【非特許文献4】H. Noda et al., 日本水産学会誌, 55, 1265-1271 (1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ノリの新規用途を見出すことを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ノリの新規用途を見出すべく鋭意研究を行った結果、ノリから抽出した水溶性成分のうち、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過する成分が癌細胞の増殖を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の事項に関する。
〔項1〕ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を有効成分として含有する、制癌剤。
〔項2〕前記ノリ由来水溶性成分が、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、及びヘキサンに不溶である、項1に記載の制癌剤。
〔項3〕前記ノリ由来水溶性成分が、
(i)253nmに吸収極大を示すメタノール不溶性成分、及び
(ii)336nmに吸収極大を示すメタノール可溶性成分、
からなる群より選択される少なくとも1の成分を含有する、項1又は2に記載の制癌剤。
〔項4〕前記ノリが、アマノリ属藻類である、項1〜3のいずれかに記載の制癌剤。
〔項5〕アマノリ属藻類がスサビノリである、項4に記載の制癌剤。
〔項6〕骨髄性白血病細胞、及び、悪性黒色腫細胞からなる群より選択される少なくとも1の癌細胞において制癌作用を発揮する、項1〜5のいずれかに記載の制癌剤。
〔項7〕癌細胞の増殖を抑制することにより制癌作用を発揮する項1〜6に記載の制癌剤。
〔項8〕ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を10〜90重量%含有する食品組成物。
〔項9〕前記ノリ由来水溶性成分が、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、及びヘキサンに不溶である、項8に記載の食品組成物。
〔項10〕前記ノリ由来水溶性成分が、
(i)253nmに吸収極大を示すメタノール不溶性成分、及び
(ii)336nmに吸収極大を示すメタノール可溶性成分、
からなる群より選択される少なくとも1の成分を含有する、項8又は9に記載の食品組成物。
〔項11〕前記ノリが、アマノリ属藻類である、項8〜10のいずれかに記載の食品組成物。
〔項12〕アマノリ属藻類がスサビノリである、項11に記載の食品組成物。
〔項13〕さらに、天然物又はその抽出物、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤及び湿潤剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項8〜12のいずれかに記載の食品組成物。
〔項14〕ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を含有し、癌を抑制する作用を有することを特徴とし、癌を抑制する旨の表示が付された食品組成物。
〔項15〕前記ノリ由来水溶性成分が、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、及びヘキサンに不溶である、項14に記載の食品組成物。
〔項16〕前記ノリ由来水溶性成分が、
(i)253nmに吸収極大を示すメタノール不溶性成分、及び
(ii)336nmに吸収極大を示すメタノール可溶性成分、
からなる群より選択される少なくとも1の成分を含有する、項14又は15に記載の食品組成物。
〔項17〕前記ノリが、アマノリ属藻類である、項14〜16のいずれかに記載の食品組成物。
〔項18〕アマノリ属藻類がスサビノリである、項17に記載の食品組成物。
〔項19〕骨髄性白血病細胞、及び、悪性黒色腫細胞からなる群より選択される少なくとも1の癌細胞において癌を抑制する、項14〜18のいずれかに記載の食品組成物。
〔項20〕癌細胞の増殖を抑制することにより、癌を抑制する項14〜19のいずれかに記載の食品組成物。
【0011】
以下、本発明をより詳細に説明する。
〔I〕ノリ由来水溶性成分
本発明の制癌剤及び食品組成物に含まれるノリ由来水溶性成分は、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過する。例えば、本発明の制癌剤及び食品組成物に含まれるノリ由来水溶性成分は、水に溶解した場合に、pH3〜10程度、好ましくはpH4〜8程度、さらに好ましくはpH5〜7程度、温度0〜90℃程度、好ましくは3〜65℃程度の限外濾過条件下において、2000オングストロームのポアサイズを有するセラミック膜式濃縮装置(例えば、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製セラミックフィルター)を通過することができる分子である。このようにポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過できる分子は、約10,000以下の分子量を有する低分子であると考えられる。それゆえ、本発明の制癌剤の有効成分であるノリ由来水溶性成分は、約100,000程度、あるいはそれ以上の分子量を有するポルフィランのような高分子とは異なる低分子であると考えられる。
【0012】
本発明におけるノリ由来水溶性成分は、水、水系緩衝液(リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液等)、生理的食塩水、ブドウ糖溶液、リンゲル液等の水をベースとする溶液には実質的に可溶性であるが、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、ヘキサンには実質的に不溶性である。それゆえ、本発明におけるノリ由来水溶性成分の主構造は、典型的な脂質又は糖脂質とは異なる構造であると考えられる。
【0013】
本発明におけるノリ由来水溶性成分は、常法により製造することができ、例えば、ノリを水中で常温〜120℃にて0.5〜20時間加熱し、水の添加による冷却後、固液分離を行い、熱水可溶性抽出液を得たのち、2000オングストロームのポアサイズを有するフィルターを用いて限外濾過を行なうことにより製造することができる。限外濾過フィルターとしては、2000オングストロームのポアサイズを有する平膜式限外濾過装置、中空糸膜式限外濾過装置、セラミック膜式濃縮装置(例えば、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製セラミックフィルター)を好適に用いることができる。限外濾過のフィルターとして中空糸膜やセラミックフィルター等の限外濾過膜を使用した場合には、濃縮と高分子成分の除去を同時に達成することができる。限外濾過に供するときのノリ由来水溶性成分を含む溶液のpHは、ノリ由来水溶性成分の構造変化をもたらすような強酸又は強アルカリでない限り特に限定されず、例えば、pH3〜10程度、好ましくはpH4〜8程度、さらに好ましくはpH5〜7程度であり、温度は、特に限定されず、作業効率を高めるには、例えば、0〜90℃程度、好ましくは3〜65℃程度である。ノリ由来水溶性成分を水で抽出した溶液を、pH調整しないまま限外濾過に供する場合、溶液のpHは通常pH5〜7程度になる。限外濾過中多少のpH変化が生じることがあるが、上記範囲内であれば、限外濾過やノリ由来水溶性成分の抗癌作用にはほとんど影響しないと考えられる。また、温度の変化が、限外濾過やノリ由来水溶性成分の制癌作用に及ぼす影響もほとんどないと考えられる。必要に応じて、殺菌、濃縮、乾燥、造粒等の操作を行ってもよい。このとき濃縮は、例えば、常圧加熱濃縮、減圧濃縮等の常法により行うことができる。また乾燥は、噴霧乾燥、真空乾燥、エバポレーターによる乾燥、凍結乾燥等の常法により行うことができる。ノリ由来水溶性成分を得る方法は、これらの方法に限定されない。
【0014】
ノリの由来は、特に限定されないが、好ましくはアマノリ属藻類及びウシケノリ属藻類からなる群より選択される少なくとも1種であり、特にアマノリ属藻類が好ましい。アマノリ属藻類の中でも、特に、スサビノリ、アサクサノリ及び檀紫菜からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、特にスサビノリが好ましい。スサビノリから得られた本発明のノリ由来水溶性成分は、癌細胞に対して強い増殖抑制効果を発揮することができる。
〔II〕ノリ由来水溶性成分中のメタノール可溶性成分及びメタノール不溶性成分
本発明者らは、さらに、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分がメタノール可溶性成分とメタノール不溶性成分とを含有し、この各々が癌細胞に対して増殖抑制効果を発揮することを見出した。
【0015】
メタノール可溶性成分及びメタノール不溶性成分は、常法、例えば次のような方法により得ることができる:ノリ由来水溶性成分をメタノールに懸濁し、4〜100℃にて0〜20時間抽出し、次いで抽出液を遠心分離し、遠心上清及び沈殿物を別々に回収する。遠心上清および沈殿物は、適宜、濃縮、乾燥、凍結乾燥、精製、造粒、殺菌等を行ってもよい。このように得られた遠心上清をメタノール可溶性成分、沈殿物をメタノール不溶性成分として使用することができる。メタノール可溶性成分及びメタノール不溶性成分を得る方法は、これらの方法に限定されない。
【0016】
メタノール可溶性成分及びメタノール不溶性成分は、オートクレーブ滅菌してもその制癌作用が低下しない。
【0017】
メタノール可溶性成分及びメタノール不溶性成分をpH7.4の生理リン酸緩衝液(PBS)に懸濁し、Ultraspec 3000 Spectrophotometer(Pharmacia Biotech, City, State)により紫外可視スペクトルを測定したところ、メタノール可溶性成分は336nm、メタノール不溶性成分は253nmに吸収極大を示した。
〔III〕制癌作用
本発明におけるポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分は、骨髄性白血病細胞(例えば、ヒト前骨髄性白血病細胞HL−60)、悪性黒色腫細胞(例えば、マウスメラノーマB16)等の癌細胞の増殖を抑制することができる。
【0018】
制癌作用の程度は、ノリ由来水溶性成分存在下における癌細胞の増殖率が、ノリ由来水溶性成分非存在下における癌細胞の増殖率と比べて低い限りにおいて限定されない。例えば、ノリ由来水溶性成分113μg/mlの存在下では、ヒト前骨髄性白血病細胞HL−60の増殖率を、ノリ由来水溶性成分非存在下の場合の約50%以下にまで低減させることができる。
【0019】
さらに、前記ノリ由来水溶性成分に含まれるメタノール可溶性成分及びメタノール不溶性成分は、それぞれ単独で、骨髄性白血病細胞(例えば、ヒト前骨髄性白血病細胞HL−60)、悪性黒色腫細胞(例えば、マウスメラノーマB16)等の癌細胞の増殖を抑制する作用を有する。
〔IV〕制癌剤
本発明の制癌剤は、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を有効成分として含有し、さらに必要に応じて薬学的に許容される担体、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味・矯臭剤、安定剤等の当該分野において使用される添加剤等を含有する。これらの添加剤については、例えば、本書においてその全体が援用される「医薬品添加物事典2000、日本医薬品添加剤協会 編集、2000年4月28日発行」に記載されるものを使用することができる。
【0020】
本発明の制癌剤は、癌の治療及び/又は予防に用いられる他の化学療法剤及び/又は免疫療法剤をさらに含有してもよい。
【0021】
本発明の制癌剤が固形又は半固形製剤である場合、制癌剤におけるノリ由来水溶性成分の含量は、特に限定されないが、例えば10〜95重量%程度、好ましくは15〜90重量%程度、さらに好ましくは20〜90重量%程度である。特に、20〜90重量%程度のノリ由来水溶性成分を含有する本発明の制癌剤は、癌細胞の増殖を効果的且つ長期的に抑制することができる。本発明の制癌剤における有効成分は水溶性であるため、水分と接したときに迅速に溶解することができ、また唾液などの少量の水分にも容易に溶解することができる。
【0022】
固形又は半固形製剤としては、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、トローチ剤、座剤、散剤、パウダー等が含まれる。
【0023】
本発明の制癌剤が経口液体製剤である場合、制癌剤におけるノリ由来水溶性成分の含量は、特に限定されないが、0.1〜70重量%程度、好ましくは0.15〜70重量%程度、さらに好ましく0.2〜60重量%程度とすることができる。制癌剤における含水率は製剤に求められる物性に応じて、例えば30〜99重量%程度の範囲で設定することができる。特に、0.2〜30重量%程度のノリ由来水溶性成分を含有し、含水率が70〜95重量%程度である本発明の経口液体制癌剤は、癌細胞の増殖を効果的且つ長期的に抑制することができ、且つ、服用しやすい粘性を有し得る。
【0024】
経口液体製剤としては、例えば、液剤、シロップ剤、エアゾール剤、煎剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の制癌剤が非経口液体製剤である場合、制癌剤におけるノリ由来水溶性成分の含量は、特に限定されないが、0.001〜10重量%程度、好ましくは0.01〜5重量%程度、さらに好ましく0.01〜3重量%程度とすることができる制癌剤における含水率は製剤に求められる物性に応じて、例えば30〜99重量%の範囲で設定することができ、特に、0.2〜30重量%程度のノリ由来水溶性成分を含有し、含水率が70〜99重量%程度である本発明の非経口液体制癌剤は、癌細胞の増殖を効果的且つ長期的に抑制することができ、且つ、注射針やカテーテル内部をスムーズに通過し得る粘性を有する。
【0026】
非経口製剤としては、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、浸剤等が挙げられる。
【0027】
本発明の制癌剤における有効成分は水溶性であるため、ドリンク剤等の経口液体製剤、或いは、注射液、点滴液等の非経口液体製剤に好適に適用することができる。本発明の制癌剤における有効成分は水溶性であるため、点滴液や注射液の基液として慣用されている生理的食塩水等の水性溶液中で容易に溶解し、長期に渡り均一な状態で存在することができる。
【0028】
また、生理的食塩水は、細胞液、血液、リンパ液等の体液の浸透圧とほぼ等しいため、生理的食塩水に溶解された成分は体内に効率的に吸収され得る。それゆえ本発明の非経口液体制癌剤の基液として生理的食塩水を用いることにより、ノリ由来水溶性成分の体内への吸収効率が高まり、制癌作用の即効性・効き目を向上させることができる。
【0029】
アマノリ属藻類から熱水抽出されたノリ由来水溶性成分中には、メタノール可溶性成分とメタノール不溶性成分とが、通常5:5〜7:3程度の比率で含まれるので、アマノリ属藻類から熱水抽出されたノリ由来水溶性成分をメタノール抽出せずにそのまま制癌剤に用いる場合には、制癌剤におけるメタノール可溶性成分とメタノール不溶性成分との比率は、通常5:5〜7:3程度となる。
【0030】
メタノール可溶性成分とメタノール不溶性成分をノリ水溶性成分における存在比と異なる比率で制癌剤中に含有させてもよい。また、メタノール可溶性成分とメタノール不溶性成分をそれぞれ単独で制癌剤中に含有させてもよい。
【0031】
製剤形態は、投与形態、投与量等に応じて適宜選択されるため特に限定されないが、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、トローチ剤、座剤、散剤、パウダー等の固形又は半固形剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、ローション剤、エアゾール剤、浸剤、煎剤等の液剤等が好適に選択される。好ましい製剤形態は、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤である。
【0032】
本発明の制癌剤は、各製剤形態の分野における常法に従って調製することができる。調製方法については、例えば、本書においてその全体が援用される「第十三改正 日本薬局方解説書、日本薬局方解説書編集委員会 編集、平成8年7月10日発行」を参照することができる。
【0033】
投与形態は、特に限定されないが、経口投与、筋肉内投与、静脈内投与、経腸投与、直腸内投与、皮下投与等であり得る。
【0034】
投与量は、投与形態、製剤形態、使用目的、或いは、患者の年齢、体重、重症度、様態等によって適宜設定されるため一定ではないが、制癌剤に含まれるノリ由来水溶性成分の成人一日当たりの投与量は、経口投与の場合、通常1〜5000mg程度であり、非経口投与の場合、通常0.1〜1000mg程度である。投与量は、医者の判断により適宜変更されてもよい。本発明の制癌剤は、一日1回の投与でもよいし、一日数回に分けて投与してもよい。
〔V〕食品組成物
本発明は、さらに、ノリ由来水溶性成分を含有する食品組成物を提供する。
【0035】
本発明の食品組成物が固形又は半固形である場合、ノリ由来水溶性成分の含量は、例えば10〜95重量%程度、好ましくは15〜90重量%程度、さらに好ましくは20〜50重量%程度である。
【0036】
15〜50重量%程度のノリ由来水溶性成分を含有する固形又は半固形食品組成物としては、ガム、トローチ、飴、キャンディー、ゼリー、グミ、ふりかけ等が挙げられる。10〜95重量%程度のノリ由来水溶性成分を含有する固形又は半固形食品組成物としては、粉末、錠剤、顆粒、タブレット、チュアブルタブレット、カプセル、ソフトカプセルが挙げられる。
【0037】
本発明の食品組成物が液体である場合、食品組成物中のノリ由来水溶性成分の含量が、0.1〜70重量%程度、好ましくは0.15〜70重量%程度、さらに好ましく0.2〜60重量%程度とすることができる。含水率は組成物の種類に応じて規定され、例えば、ジュース、清涼飲料、野菜/果物飲料、コーヒー、茶、乳製品の場合、含水率を75〜99重量%程度にすることができ、ドレッシング、たれ、ソース、醤油、ケチャップ、マヨネーズ等の場合、含水率を30〜95重量%程度にすることができる。
【0038】
約10重量%以上、特に約15重量%以上、とりわけ約20重量%以上の含量でノリ由来水溶性成分を含有する本発明の食品組成物は、癌細胞の増殖をより高いレベルで抑制することができる。
【0039】
本発明の食品組成物は、適宜、天然物又はその抽出物、ミネラル類(金属塩類)、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等の成分を更に含有してもよい。ここで、各成分については、本書においてその全体が援用される「指定品目 食品添加物便覧 1999年版、岸 眞之輔 編集、平成11年12月10日発行」に記載されるものを好適に用いることができる。
【0040】
天然物又はその抽出物としては、天然に存在するあらゆる食物及びその抽出物が含まれ、特に限定されないが、例えば、酵母、アロエエキス、ヨモギエキス、ケールエキス、ニンニクエキス、ニラエキス、シソエキス、玄米エキス、カキエキス、茶エキス、サメ軟骨粉末、カテキン、イソフラボン、セサミン、リコピン、アントシアニン、褐藻多糖類、及びβ−グルカンからなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。この中でも、制癌作用を有すると考えられているアロエエキス、ケールエキス、ニンニクエキス、ニラエキス、シソエキス、玄米エキス、カキエキス、褐藻多糖類、β−グルカン等と組み合わせることにより優れた制癌効果を発揮し得る。天然物又はその抽出物の含量は、天然物の種類や抽出物形態によって大きく異なるためこれらの範囲に限定されないが、例えば、ノリ由来水溶性成分100重量部に対して、通常10〜1000重量部程度、好ましくは20〜50重量部程度含有される。
【0041】
ミネラル類としては、特に限定されないが、例えばカルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。ミネラル類は、ノリ由来水溶性成分100重量部に対して、通常0.01〜50重量部程度、好ましくは0.03〜30重量部程度含有される。
【0042】
ビタミン類としては、特に限定されないが、例えばビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ユビキノン、及びL−アスコルビン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。ビタミン類は、ノリ由来水溶性成分100重量部に対して、通常0.0001〜30重量部程度、好ましくは0.0003〜15重量部程度含有される。
【0043】
フラボノイド類としては、特に限定されないが、例えばアントシアニン、ケルセチン、カテキン、ヘスペリジン、ノビレチン、ルテオリン、イソリクイリチゲニン、ゲニスティン、ダイゼイン、グリシテイン、及びリスベラトロールからなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。フラボノイド類は、ノリ由来水溶性成分100重量部に対して、通常1〜100重量部程度、好ましくは1〜75重量部程度含有される。
【0044】
キノン類としては、特に限定されないが、例えば、ユビキノン10が挙げられる。キノン類は、ノリ由来水溶性成分100重量部に対して、通常1〜100重量部程度、好ましくは1〜75重量部程度含有される。
【0045】
本発明の食品組成物の形態は、特に制限されず、例えば、粉末、錠剤、顆粒、タブレット、チュアブルタブレット、ガム、カプセル、ソフトカプセル、トローチ、飴、キャンディー、ゼリー、グミ、ビスケット、クッキー、ケーキ、パン、麺類、ふりかけ、乳製品等の固形又は半固形食品;ジュース、野菜/果物飲料、清涼飲料、コーヒー、茶などの液状飲料;たれ、ドレッシング、ソース、醤油、ケチャップ、マヨネーズ等の調味食品;食品添加物等として使用できる。
【0046】
本発明の食品組成物は、組成物形態等に応じて、常法により製造することができる。
【0047】
本発明の食品組成物の摂取量は、組成物形態、摂取目的、或いは、摂取する人の年齢、体重、性別、健康状態等に応じて選択されるため特に限定されないが、ノリ由来水溶性成分の成人一日当たりの摂取量が10〜50000mg程度、好ましくは20〜10000mg程度、さらに好ましくは50〜5000mg程度となるように摂取することが望ましい。
【0048】
本発明の食品組成物は、特定保健用食品又は保健機能食品などとして流通され得る。このとき、本発明の食品組成物に癌を抑制する旨の表示を付してもよい。すなわち、本発明は、ノリ由来水溶性成分を含有し、癌を抑制する作用を有することを特徴とし、癌を抑制する旨の表示が付された食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0049】
本発明は、ノリ由来水溶性成分を含有する新規制癌剤、及び、ノリ由来水溶性成分を含有する新規食品組成物を提供した。
【0050】
本発明の制癌剤は、ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を有効成分として含有し、骨髄性白血病細胞、悪性黒色腫細胞等の癌細胞に対して効果的且つ持続的に癌細胞の増殖を抑制することができる。
【0051】
本発明の制癌剤又は食品組成物に含まれるノリ由来水溶性成分は、複雑な工程を必要としない簡便な方法により得ることができるため、省力化、省エネルギー化の点で優れている。また、ノリ由来成分が水溶性であるため、メタノール/クロロホルム混液等の毒性の高い有機溶媒を用いることなく製造することができ、環境保護の点でも優れている。
【0052】
本発明の制癌剤に含まれるノリ由来成分は、水溶性であるため、水系緩衝液、生理的食塩水、リンゲル液、ブドウ糖溶液等の液体製剤によく使用される水性溶液に容易に溶解し、長期に渡り安定且つ均一に存在することができる。
【0053】
本発明の制癌剤又は食品組成物に含まれるノリ由来水溶性成分は、古くから多くの人々に食されてきたノリに含まれる成分であるため、従来の制癌剤のように強い副作用がもたらされる可能性が非常に低いと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の実施例を示す。この実施例は、本発明をより容易に理解するための説明であって、本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0055】
<ノリ由来水溶性成分>
スサビノリ(板海苔、有明海産、2003年2月6日製)5kgに純水50kgを投入後、密閉釜中で120℃にて約3時間加熱した。純水35kgの加水による冷却後固液分離を行い、熱水可溶性抽出液を得た。抽出液をセラミック膜式濃縮装置(セラミックフィルター、株式会社ノリタケカンパニーリミテド、名古屋)を用いて限外濾過して高分子成分(紅藻多糖類及びタンパク質)を除去し、透過液を得た。限外濾過膜として2000オングストロームのものを用いた。透過液を噴霧乾燥装置(LB−8型、大川原化工機株式会社、横浜)にて乾燥し、ノリ由来水溶性成分を得た。ノリ由来水溶性成分1000mgを100mlの生理リン酸緩衝液(137mM NaCl、2.68mM KCl、8.1mM NaHPO、1.47mM KHPO、pH7.4)(PBS)に溶解し、10000xgで5分間遠心分離し、上清をオートクレーブ滅菌した。これをノリ由来水溶性成分サンプルとし、後の癌細胞増殖抑制試験に用いた。
<ノリ由来水溶性成分中の各種有機溶媒可溶性成分及び不溶性成分>
有機溶媒として、特級のメタノール、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル(いずれもナカライテスク(京都)より購入)、クロロホルム、ヘキサン(いずれも関東化学(東京)より購入)を使用した。
【0056】
これらの有機溶媒100mLに1000mgのノリ由来水溶性成分を懸濁し、37℃で1時間抽出した。この懸濁液を300xgで30秒間遠心分離した。遠心上清を減圧乾燥し、有機溶媒可溶性成分を得た。この有機溶媒可溶性成分全量を秤量後、有機溶媒と同量のPBS100mlに再溶解した。一方、沈殿物を減圧乾燥し、有機溶媒不溶性成分を得た。この有機溶媒不溶性成分全量を秤量後、有機溶媒と同量のPBS100mlに再溶解した。各PBS溶液を10000xgで5分間遠心分離し、上清をオートクレーブ滅菌し、それぞれ有機溶媒可溶性成分サンプル及び有機溶媒不溶性成分サンプルとし、後の癌細胞増殖抑制試験に用いた。
【0057】
<癌細胞の培養>
癌細胞として、ヒト前骨髄性白血病由来HL−60細胞及びマウスメラノーマB16細胞を使用した。各癌細胞株は、5%FBS含有RPMI1640培地を用いて37℃で培養し、5〜7日の周期で継代して株細胞を維持させた。各培養液を5x10cells/mLの細胞密度になるよう1%FBS含有RPMI1640培地にまきこみ、24時間培養した。この癌細胞培養プレートを、後の癌細胞増殖抑制試験に用いた。
【0058】
<癌細胞増殖抑制試験>
1.癌細胞の増殖に及ぼす影響
前述のノリ由来水溶性成分(PBS溶液、10mg/ml)を各癌細胞培養プレートに培地の10分の1量添加し、37℃にて48時間培養後、細胞数を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
この結果から、ノリ由来水溶性成分の顕著な増殖抑制効果が明らかとなった。
【0061】
更に、前述の有機溶媒可溶性成分(PBS溶解品)及び有機溶媒不溶性成分(PBS溶解品)をHL−60細胞培養プレートに培地の10分の1量添加し、48時間培養後、細胞数を測定した。結果及びノリ由来水溶性成分の各種有機溶媒への分配率を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
この結果から、メタノールを除く試験した全ての有機溶媒に対してノリ由来水溶性成分は溶解性をほとんど示さず、また、僅かな可溶性画分も細胞増殖の抑制作用を認めなかった。しかしながら、メタノールに対しては、水溶性成分の総重量の約65.6%がメタノール可溶画分に、約34.4%がメタノール不溶性画分にそれぞれ分配され、両方の画分において細胞増殖の抑制活性が認められた。
【0064】
メタノール可溶性成分サンプル及びメタノール不溶性成分サンプルが、コントロールサンプル(PBSのみ)と比べてHL−60細胞に対して有意に強い増殖抑制作用を示した。
【0065】
そこで、メタノール可溶性成分サンプル及びメタノール不溶性成分サンプルについてUltraspec 3000 Spectrophotometer(Pharmacia Biotech, City, State)を用いて紫外可視スペクトルの測定を行った。メタノール可溶性成分は336nmに吸収極大を示し、メタノール不溶性成分は253nmに吸収極大を示した。
【0066】
2.癌細胞の増殖に及ぼす濃度依存的影響
ノリ由来水溶性成分サンプル(10mg/ml)の2倍、2倍、2倍、2倍、2倍、2倍、2倍希釈液を調製した。各希釈液を各癌細胞培養プレートに培地の10分の1量添加し、48時間培養後、細胞数を測定した。結果を図1に示す。
【0067】
この結果から、細胞増殖の抑制は2倍希釈液で既に有意に認められ、その作用は濃度依存的に上昇した。
【0068】
更に、メタノール可溶性成分サンプル(6.56mg/ml)及びメタノール不溶性成分サンプル(3.44mg/ml)の2倍、2倍、2倍、2倍希釈液を調製した。各濃度の希釈液を各癌細胞培養プレートに培地の10分の1量添加し、48時間培養後、細胞数を測定した。結果を図2に示す。
【0069】
この結果からメタノール可溶性画分と不溶性画分の両方に、濃度依存的な細胞増殖の抑制作用が認められることがわかる。なお、その抑制作用はメタノール不溶性画分において、より強く認められた。
【0070】
3.癌細胞の増殖に及ぼす経時的影響
ノリ由来水溶性成分サンプル(10mg/ml)を各癌細胞培養プレートに培地の10分の1量添加し、0、24、48、72、96、120時間培養後の細胞数を測定した。結果を図3に示す。
【0071】
この結果から、ノリ由来水溶性成分は培養期間120時間においても顕著な増殖抑制効果を示すことがわかる。
【実施例2】
【0072】
ノリ由来水溶性成分を含有する制癌剤及び食品組成物の処方例を以下に示す。
<制癌剤>
錠剤
ノリ由来水溶性成分 30重量%
乳糖 50重量%
賦形剤 19重量%
滑沢剤 適量
合計 100重量%

シロップ剤
ノリ由来水溶性成分 5g
甘味剤 35g
フレーバー 適量
賦形剤 適量
安定剤 適量
保存剤 適量
pH調整剤 適量
水 残余
合計 100ml

注射剤
ノリ由来水溶性成分 10mg
保存剤 適量
安定剤 適量
緩衝剤 適量
注射用水 残余
合計 10ml
【0073】
<食品組成物>
錠剤
ノリ由来水溶性成分 30重量%
乳糖 50重量%
賦形剤 19重量%
滑沢剤 適量
合計 100重量%

飲料
ノリ由来水溶性成分 3重量%
無水クエン酸 0.1重量%
クエン酸三Na 0.02重量%
L−アスコルビン酸 0.05重量%
乳酸カルシウム 0.05重量%
香料 0.1重量%
甘味料 0.02重量%
水 96.66重量%
合計 100重量%
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、HL−60細胞の増殖に及ぼすノリ由来水溶性成分の濃度依存的効果を示す。
【図2】図2は、HL−60細胞の増殖に及ぼすメタノール可溶性および不溶性成分の濃度依存的効果を示す。
【図3】図3は、ノリ由来水溶性成分を共存させたHL−60細胞の増殖曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を有効成分として含有する、制癌剤。
【請求項2】
前記ノリ由来水溶性成分が、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、及びヘキサンに不溶である、請求項1に記載の制癌剤。
【請求項3】
前記ノリ由来水溶性成分が、
(i)253nmに吸収極大を示すメタノール不溶性成分、及び
(ii)336nmに吸収極大を示すメタノール可溶性成分、
からなる群より選択される少なくとも1の成分を含有する、請求項1又は2に記載の制癌剤。
【請求項4】
前記ノリが、アマノリ属藻類である、請求項1〜3のいずれかに記載の制癌剤。
【請求項5】
アマノリ属藻類がスサビノリである、請求項4に記載の制癌剤。
【請求項6】
骨髄性白血病細胞、及び、悪性黒色腫細胞からなる群より選択される少なくとも1の癌細胞において制癌作用を発揮する、請求項1〜5のいずれかに記載の制癌剤。
【請求項7】
癌細胞の増殖を抑制することにより制癌作用を発揮する請求項1〜6に記載の制癌剤。
【請求項8】
ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を10〜90重量%含有する食品組成物。
【請求項9】
前記ノリ由来水溶性成分が、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、及びヘキサンに不溶である、請求項8に記載の食品組成物。
【請求項10】
前記ノリ由来水溶性成分が、
(i)253nmに吸収極大を示すメタノール不溶性成分、及び
(ii)336nmに吸収極大を示すメタノール可溶性成分、
からなる群より選択される少なくとも1の成分を含有する、請求項8又は9に記載の食品組成物。
【請求項11】
前記ノリが、アマノリ属藻類である、請求項8〜10のいずれかに記載の食品組成物。
【請求項12】
アマノリ属藻類がスサビノリである、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項13】
さらに、天然物又はその抽出物、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤及び湿潤剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項8〜12のいずれかに記載の食品組成物。
【請求項14】
ポアサイズ2000オングストロームのフィルターを通過するノリ由来水溶性成分を含有し、癌を抑制する作用を有することを特徴とし、癌を抑制する旨の表示が付された食品組成物。
【請求項15】
前記ノリ由来水溶性成分が、エタノール、アセトン、1−ブタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、及びヘキサンに不溶である、請求項14に記載の食品組成物。
【請求項16】
前記ノリ由来水溶性成分が、
(i)253nmに吸収極大を示すメタノール不溶性成分、及び
(ii)336nmに吸収極大を示すメタノール可溶性成分、
からなる群より選択される少なくとも1の成分を含有する、請求項14又は15に記載の食品組成物。
【請求項17】
前記ノリが、アマノリ属藻類である、請求項14〜16のいずれかに記載の食品組成物。
【請求項18】
アマノリ属藻類がスサビノリである、請求項17に記載の食品組成物。
【請求項19】
骨髄性白血病細胞、及び、悪性黒色腫細胞からなる群より選択される少なくとも1の癌細胞において癌を抑制する、請求項14〜18のいずれかに記載の食品組成物。
【請求項20】
癌細胞の増殖を抑制することにより、癌を抑制する請求項14〜19のいずれかに記載の食品組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−261963(P2007−261963A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86643(P2006−86643)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年2月25日 社団法人日本農芸化学会発行の「日本農芸化学会2006年度(平成18年度)大会プログラム集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年3月5日 社団法人日本農芸化学会発行の「日本農芸化学会2006年度(平成18年度)大会講演要旨集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年3月26日 社団法人日本農芸化学会主催の「日本農芸化学会2006年度(平成18年度)大会」において文書をもって発表
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(000003171)株式会社戸上電機製作所 (29)
【出願人】(590003722)佐賀県 (38)
【Fターム(参考)】