説明

ハウスの排液、排水等の回収システムと、その切換えバルブの構造

【課題】 従来、ハウスにおいて、薬剤、水を、散布機等のノズルから散布しているが、散布終了後、配管等に残留する薬剤等を回収する必要がある。理由は、薬剤等の排液には、残留薬液の固化と、配管、バルブの詰りの問題、残留排水に残った藻の胞子による藻の発生と、配管等の損傷、藻の発生による配管、バルブの詰りと、その凍結問題等がある。しかし、現実には、個々の対策が採られているが十分でない。
【解決手段】 本発明は、タンク、動力噴霧機、及び噴霧装置を配管で接続し、動力噴霧機と噴霧装置を連繋する配管中に、切換えバルブを配する。この噴霧装置、切換えバルブ、及び動力噴霧機、並びにタンクを連繋する配管で、給液水の供給をする第一のルートと、噴霧装置、切換えバルブ、及び動力噴霧機、並びにタンクを連繋する配管で、排液水の回収をする第二のルートとで構成したハウスの排液、排水等の回収システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウス(ビニールハウス、ガラスハウス等の建屋)の排液、排水(残液、残水)等の回収システムと、このシステムに使用する切換えバルブの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウスにおいて、作物に向かって、薬剤、又は水を、散布機とか、その他の機器のノズルから散布する。そして、散布を終了した時点で、散布機、又は配管(ホース)に残留する薬液(排液)、又は残留する水(排水)を、回収する必要がある。
【0003】
その理由は、例えば、排液の場合には、残留薬液の固化と、この固化に基づく配管、バルブ等の詰りの問題、又は残留排水で、殊に井戸水の場合では、藻の胞子が残留し、藻の発生と、配管等の損傷とか、藻の発生に基づく配管、バルブ等の詰りの問題、さらには、寒冷地では、この残留排液、残留排水による凍結問題、等があることから、これまでは(現状では)、各個人のレベルによる、個々の対策が採られている。例えば、動力噴霧機を逆回転し、排液、又は排水を、この動力噴霧機に戻した後、タンクにリターンする方法である。
【0004】
しかし、この現状の各個人のレベルによる、個々の対策では、十分でなく、また効果も有効でないことが判明していること、また、この各個人のレベルによる、個々の対策は、各配管について、それぞれ排液、排水回収処理(排液と排水回収処理)を行なう構造であるので、作業が面倒であり、また手間を要すること、等の問題も指摘されている。従って、簡易で、かつ効率的に排液水処理を行なう構造と手段(排液、排水等の回収システム)と、この排液、排水等の回収システムに適する切換えバルブの構造が要望されている。
【0005】
そして、この要望が叶えられる最適な情報を、先行文献から検討し、その一例を、以下、複数の文献として挙げる。
【0006】
文献(1)は、特開2000−254416の「ストレーナ洗浄装置及び液体散布装置」の発明であり、タンクに設けたストレーナに接続した吸液管を三連往復ポンプの吸込側に接続し、また、ハウス、畜舎内に設けたノズルに接続された吐出管を三連往復ポンプの吐出側に接続し、この吐出管には蓄熱手段とエアチャンバーを設けて蓄圧と、空気の導入とを図る構造とし、そして、吸液管の流体を、三連往復ポンプと、蓄圧及び空気の導入とを介して、吐出管からノズルに送り、このノズルより流体を噴霧する構造である。尚、残留流体は、吐出管より吸液管を経由し、ストレーナからタンクにリターンするとともに、蓄圧解除と、空気の導入とを停止し、ノズルからの流体のボタ回避を図ることを特徴とする。しかしながら、この発明は、蓄熱手段とエアチャンバーを設けて蓄圧・蓄圧解除と、空気の導入・導入停止と、この三連往復ポンプの動作とを介して、噴霧、又は排液回収とボタ落ち回避を図る構造であり、多数の構成部材で成り立つことから、構造の複雑化と、それぞれ操作する必要性があり、操作の複雑性の問題を抱えている。また、蓄熱手段とエアチャンバーと、三連往復ポンプ、並びにモータ等の構成部材が、一体に組付け形成された構造でなく、小型化、操作の容易化、又は低コスト化等に課題を残すものと考えられる。
【0007】
また、文献(2)は、特開平9−24314号の「薬液散布装置及び薬液散布車」の発明であり、薬液源に繋がる薬液圧送ポンプで吸入した薬液を、電動式三方コックを備えた薬液供給通路を介してノズルへ導き、ノズルより噴射する薬液散布装置であって、薬液圧送ポンプから圧送される薬液を駆動流体として作動する噴流ポンプを設け、ノズルからの薬液の噴射停止時に、薬液供給通路に残存する薬液を噴流ポンプにより吸入して薬液源へ送る構造である。尚、残留薬液は、噴流ポンプより薬液供給通路を経由し、ストレーナから薬液源にリターンするし、ノズルからの流体のボタ回避を図ることを特徴とする。しかしながら、この発明は、噴流ポンプと薬液供給通路を介して、噴霧、又は排液回収とボタ落ち回避を図る構造であり、噴流ポンプに掛かる負荷が大きく、ハウスの如く、大きな場所への設置には、不向きであると考えられる。また、噴流ポンプに掛かる負荷が大きく、残留薬液の効率的な解消には、少なからず、問題を抱えているものと考えられる。
【0008】
そして、文献(3)は、実開昭61−144232号の「内燃機関の吸気制御装置」の考案であり、独立吸気用スロットルバルブにおいて、バルブシャフトを縦設し、スロットルバルブの中央にアクセルレバーを配置し、各気管のスロットルバルブのスロットルレバーを、アクセルレバーにスロットルリンクを介して連繋した構造である。しかしながら、この考案は、アクセルレバーの操作で、多数のスロットルレバーを介して、スロットルリンクと、同じ開閉方向のスロットルバルブの開閉作動する構造に留まっており、一本のハンドルから数本のリンクを動作し、この各リンクに、それぞれ設けた各弁棒と、開閉方向が異なる各弁の開閉を、ワンタッチで行なう構造でない。
【0009】
尚、文献(4)は、実開昭62−116138号の「多気筒エンジンの気化器取付け装置」の考案であり、多気筒エンジンの各気筒の吸気孔に各々気化器を連結し、気化器を中央部分に集める構造であって、各気筒の吸気孔を入口を内側に向けて傾け、各気化器のスロットル操作杆が横一直線に並ぶように形成し、一つの操作ロッドの複数のレバーを各スロットル操作杆に連結し、一つの操作ロッドで操作できるようにした構造である。しかしながら、この考案も、文献(3)と同じ構造に留まっており、一本のハンドルから数本のリンクを動作し、この各リンクに、それぞれ設けた各弁棒と、開閉方向が異なる各弁の開閉を、ワンタッチで行なう構造でない。
【0010】
【特許文献1】特開2000−254416
【特許文献2】特開平9−24314号
【特許文献3】実開昭61−144232号
【特許文献4】実開昭62−116138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記文献(1)は、前述の如く、多数の構成部材で成り立つことから、構造の複雑化と、それぞれ操作する必要性があり、操作の複雑性の問題を抱えている。また、一体に組付け形成された構造でなく、小型化、操作の容易化、又は低コスト化等に課題を残すものと考えられる。そして、文献(2)は、前述の如く、噴流ポンプに掛かる負荷が大きく、ハウスの如く、大きな場所への設置には、不向きであると考えられる。また、噴流ポンプに掛かる負荷が大きく、残留薬液の効率的な解消には、少なからず、問題を抱えているものと考えられる。
【0012】
また、前記文献(3)は、アクセルレバーの操作で、多数のスロットルレバーを介して、スロットルリンクと、同じ開閉方向のスロットルバルブの開閉作動する構造に留まっており、一本のハンドルから数本のリンクを動作し、この各リンクに、それぞれ設けた各弁棒と、開閉方向が異なる各弁の開閉を、ワンタッチで行なう構造でない。そして、文献(4)は、文献(3)と同じ構造に留まっており、一本のハンドルから数本のリンクを動作し、この各リンクに、それぞれ設けた各弁棒と、開閉方向が異なる各弁の開閉を、ワンタッチで行なう構造でない。
【0013】
上記に鑑み、本発明は、排液と排水回収処理を確実に行って、残留薬液をなくし、固化問題の解消と、この固化に基づく配管、バルブ等の詰りを無くすこと、又は残留排水と、藻の胞子をなくし、配管等の損傷とか、藻の発生防止と、配管、バルブ等の詰りの問題の解消と、さらには、寒冷地では、この残留排液、残留排水による凍結問題の解消を図ること、等を意図する。また、本発明は、切換えバルブ、及び動力噴霧機と、配管、並びに噴霧装置とを、一体に組付けできる構造とし、構造の単純化と、コストの低廉化を図り、また、ワンタッチで、かつ簡易な操作を図ること、等を意図する。さらに、切換えバルブの一操作で、動力噴霧機、及び配管、並びに噴霧装置と介して、給液水の供給と、排液水の回収を可能なハウスの排液、排水等の回収システムとすることを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1・2の発明は、排液と排水回収処理を確実に行って、残留薬液をなくし、固化問題の解消と、この固化に基づく配管、バルブ等の詰りを無くすこと、又は残留排水と、藻の胞子をなくし、配管等の損傷とか、藻の発生防止と、配管、バルブ等の詰りの問題の解消と、さらには、寒冷地では、この残留排液、残留排水による凍結問題の解消を図ること、等を意図する。また、請求項1の発明は、切換えバルブ、及び動力噴霧機と、配管、並びに噴霧装置とを、一体に組付けできる構造とし、構造の単純化と、コストの低廉化を図り、また、ワンタッチで、かつ簡易な操作を図ること、等を意図する。さらに、請求項1の発明は、切換えバルブの一操作で、動力噴霧機、及び配管、並びに噴霧装置と介して、給液水の供給と、排液水の回収を可能なハウスの排液、排水等の回収システムとすることを意図する。
【0015】
請求項1は、前記ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、この動力噴霧機と前記噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、給液水の供給を可能とする第一のルートと、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、排液水の回収を可能とする第二のルートと、
で構成したハウスの排液、排水等の回収システムである。
【0016】
請求項2は、ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、この動力噴霧機と前記噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
前記噴霧装置と、この切換えバルブとを給排液水用の第一配管で接続し、
この第一配管の開放側に逆止弁を設け、また、前記切換えバルブと、動力噴霧機とを給排液水用の第二・第三配管で接続し、
この切換えバルブと、タンクとを給排液水用の第四・第五配管で接続し、
前記動力噴霧機と、タンクとをオーバフロー用の第六配管で接続し、
前記第一配管と、前記噴霧装置の管路中の排液水を、切換えバルブ、及び前記第三配管を経由し、動力噴霧機から、全第六配管を介して、タンクにリターン可能とする構成としたハウスの排液、排水等の回収システムである。
【0017】
請求項3の発明は、ハウスの排液、排水等の回収システムにおいて、構造と操作の簡単な切換えバルブの構造を提供し、排液と排水回収処理を確実に行って、残留薬液をなくし、固化問題の解消と、この固化に基づく配管、バルブ等の詰りを無くすこと、又は残留排水と、藻の胞子をなくし、配管等の損傷とか、藻の発生防止と、配管、バルブ等の詰りの問題の解消と、さらには、寒冷地では、この残留排液、残留排水による凍結問題の解消を図ること、等を意図する。また、請求項3の発明は、動力噴霧機と、配管、及び噴霧装置等でなるハウスの排液、排水等の回収システムに、一体に組付けできる構造簡単な切換えバルブの構造を提供することで、コストの低廉化を図り、また、ワンタッチで、かつ簡易な操作を図ること、等を意図する。さらに、請求項3の発明は、切換えバルブの一操作で、動力噴霧機、及び配管、並びに噴霧装置と介して、給液水の供給と、排液水の回収を可能さすること、等を意図する。そして、また、請求項3の発明は、切換えバルブの形状(U字形)を提供し、この切換えバルブの小型化と、後述するハンドルとの組合せと、ワンタッチ操作を図ることを意図する。
【0018】
請求項3は、ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、この動力噴霧機と前記噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、給液水の供給を可能とする第一のルートと、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、排液水の回収を可能とする第二のルートと、
で構成したハウスの排液、排水等の回収システムにおいて、
前記切換えバルブは、略U字形の管路を備えた本体と、この本体の一面管路に設けた前記動力噴霧機に連繋する一本、又は数本の配管の差込み口と、前記タンクに連繋する一本、又は数本の配管の差込み口を、それぞれ設け、また、前記本体の他面管路に設けた前記多数の噴霧装置に連繋する一本、又は数本の配管の差込み口を、それぞれ設けた構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造である。
【0019】
請求項4の発明は、請求項3の目的を達成することと、この目的を達成するのに、最適な切換えバルブの形状と、ハンドルとの組合せの相乗効果と、そのワンタッチ操作等を図ることを意図する。
【0020】
請求項4は、請求項3に記載のハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造であって、
前記切換えバルブには、複数本の差込み口に設けた開閉弁、又はこの切換えバルブの本体に設けた開閉弁と、この各開閉弁を支持する差込み口、又は本体に垂設した弁軸と、この各弁軸を同時に操作するハンドルを取付け、このハンドルを連繋する前記本体の軸芯方向に添って移動するリンクを取付け、かつこのリンクを、切替えレバーに取付ける構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造である。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4の目的を達成することと、この目的を達成するのに、最適な切換えバルブの形状と、切替えレバーとの組合せの相乗効果と、そのワンタッチ操作を確実に実行し、かつスムーズな操作等を図ることを意図する。
【0022】
請求項5は、請求項4に記載のハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造であって、
前記切換えバルブ、及びリンクをケース内に収容し、このケースに長孔を開設し、この長孔に挿入した前記切替えレバーを、前記リンクに取付ける構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明は、ハウスの排液、排水等の回収システムであって、
ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、動力噴霧機と噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
噴霧装置と、切換えバルブ、及び動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、給液水の供給を可能とする第一のルートと、
噴霧装置と、切換えバルブ、及び動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、排液水の回収を可能とする第二のルートと、
で構成したハウスの排液、排水等の回収システムである。
【0024】
請求項2の発明は、ハウスの排液、排水等の回収システムであって、
ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、動力噴霧機と噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
噴霧装置と、切換えバルブとを給排液水用の第一配管で接続し、
第一配管の開放側に逆止弁を設け、また、切換えバルブと、動力噴霧機とを給排液水用の第二・第三配管で接続し、
切換えバルブと、タンクとを給排液水用の第四・第五配管で接続し、
動力噴霧機と、タンクとをオーバフロー用の第六配管で接続し、
第一配管と、噴霧装置の管路中の排液水を、切換えバルブ、及び第三配管を経由し、動力噴霧機から、全第六配管を介して、タンクにリターン可能とする構成としたハウスの排液、排水等の回収システムである。
【0025】
従って、請求項1・2は、排液と排水回収処理を確実に行って、残留薬液をなくし、固化問題の解消と、この固化に基づく配管、バルブ等の詰りを無く得ること、又は残留排水と、藻の胞子をなくし、配管等の損傷とか、藻の発生防止と、配管、バルブ等の詰りの問題を解消し得ること、さらには、寒冷地では、この残留排液、残留排水による凍結問題の解消が図れること、等の特徴を有する。また、請求項1は、切換えバルブ、及び動力噴霧機と、配管、並びに噴霧装置とを、一体に組付けできる構造とし、構造の単純化と、コストの低廉化が図れ、また、ワンタッチで、かつ簡易な操作が図れること、等の実効性がある。さらに、請求項1は、切換えバルブの一操作で、動力噴霧機、及び配管、並びに噴霧装置と介して、給液水の供給と、排液水の回収を可能なハウスの排液、排水等の回収システムと提供できる実益がある。
【0026】
請求項3の発明は、ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、動力噴霧機と前記噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
噴霧装置と、切換えバルブ、及び動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、給液水の供給を可能とする第一のルートと、
噴霧装置と、切換えバルブ、及び動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、排液水の回収を可能とする第二のルートと、
で構成したハウスの排液、排水等の回収システムにおいて、
切換えバルブは、略U字形の管路を備えた本体と、本体の一面管路に設けた前記動力噴霧機に連繋する一本、又は数本の配管の差込み口と、タンクに連繋する一本、又は数本の配管の差込み口を、それぞれ設け、また、本体の他面管路に設けた多数の噴霧装置に連繋する一本、又は数本の配管の差込み口を、それぞれ設けた構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造である。
【0027】
従って、請求項3は、ハウスの排液、排水等の回収システムにおいて、構造と操作の簡単な切換えバルブの構造を提供し、排液と排水回収処理を確実に行って、残留薬液をなくし、固化問題の解消と、この固化に基づく配管、バルブ等の詰りを無く得ること、又は残留排水と、藻の胞子をなくし、配管等の損傷とか、藻の発生防止と、配管、バルブ等の詰りの問題を解消できること、さらには、寒冷地では、この残留排液、残留排水による凍結問題の解消が図れること、等の特徴がある。また、請求項3は、動力噴霧機と、配管、及び噴霧装置等でなるハウスの排液、排水等の回収システムに、一体に組付けできる構造簡単な切換えバルブの構造を提供することで、コストの低廉化を図り、また、ワンタッチで、かつ簡易な操作が図れること、等の利点がある。さらに、請求項3は、切換えバルブの一操作で、動力噴霧機、及び配管、並びに噴霧装置と介して、給液水の供給と、排液水の回収が可能となること、等の実益がある。そして、また、請求項3は、切換えバルブの形状(U字形)を提供し、この切換えバルブの小型化と、後述するハンドルとの組合せと、ワンタッチ操作が図れること、等の実益がある。
【0028】
請求項4の発明は、請求項3に記載のハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造であって、
切換えバルブには、複数本の差込み口に設けた開閉弁、又は切換えバルブの本体に設けた開閉弁と、各開閉弁を支持する差込み口、又は本体に垂設した弁軸と、各弁軸を同時に操作するハンドルを取付け、ハンドルを連繋する本体の軸芯方向に添って移動するリンクを取付け、かつリンクを、切替えレバーに取付ける構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造である。
【0029】
従って、請求項4は、請求項3の目的を達成できることと、この目的を達成するのに、最適な切換えバルブの形状と、ハンドルとの組合せの相乗効果と、そのワンタッチ操作等が図れること、等の特徴がある。
【0030】
請求項5の発明は、請求項4に記載のハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造であって、
切換えバルブ、及びリンクをケース内に収容し、ケースに長孔を開設し、長孔に挿入した切替えレバーを、リンクに取付ける構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造である。
【0031】
従って、請求項5は、請求項4の目的を達成できることと、この目的を達成するのに、最適な切換えバルブの形状と、切替えレバーとの組合せの相乗効果と、そのワンタッチ操作を確実に実行し、かつスムーズな操作等が図れること、等の特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ハウスの排液、排水等の回収システムの全体の模式図
【図2】ハウスの排液、排水等の回収システムの通常噴霧運転時(第一のルート)の模式図
【図3】ハウスの排液、排水等の回収システムの排液、又は排水の回収運転時(第二のルート)の模式図
【図4】噴霧装置の一例を示した正面俯瞰図
【図5】噴霧装置の一例を示した側面俯瞰図
【図6】ハウスの排液、排水等の回収システムに採用する切換えバルブの一例を示した平面図
【図7】切換えバルブの本体に数枚のハンドルを(開放時において45°の角度を確保できるように)取付けた状態の平面図
【図8】図7の状態で、ハンドルにリンクを取付けた状態の一部破線で示した平面図
【図9】切換えバルブの本体に、数枚のハンドルを介して、リンクを(前記図2の状態であり、開放時において45°の鋭角のハンドル角度を確保できるように)取付けた状態の一部破線で示した平面図
【図10】切換えバルブの本体に、数枚のハンドルを介して、リンクを(前記図3の状態であり、閉塞時において135°の鈍角のハンドル角度を確保できるように)取付けた状態の一部破線で示した平面図
【図11】前記図2の状態の切替えレバーとリンクとの関係において、ケースに収容する過程を説明した一部破線で示した平面図
【図12】図11の状態を正確に示した平面図
【図13】ハウスの排液、排水等の他の回収システムの全体の模式図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明のハウスの排液、排水等の回収システムにおける、好ましい、一実施例を説明すると、1はハウスで、このハウス1の外には、タンク2と、薬液、又は水を圧送する動力噴霧機3を有する。そして、ハウス1内には、複数基の細霧冷房用ファン5(噴霧装置の一例である)が設けられている。この細霧冷房用ファン5は、その本体部5aを、筒状を呈するベルマウス部を備えたケーシング500と、このケーシング500の吸込み側(後方側)に位置する鍔部500aに設けた複数本のブラケット501と、このブラケット501に支持したモータ502と、このモータ502の出力軸502aに軸承した羽根車503と、また、ケーシング500の吹出し側(前方側)に形成した巻絞り部500bの吹出し方向端部のやや内方に設けた渦巻き形の静翼504と、前記ブラケット501に支持したガード505とで構成する。そして、前記静翼504は断面視して吹出し方向に向かってテーパー形状を呈しており、風の吹出しをスムーズにして、到達距離の補助と、翼体504aの強度の確保と、又は樹脂成形の特性を利用することにある。そして、また、細霧冷房用ファン5は、その噴霧部5bを、ケーシング500を囲繞して設けた環状の配管506と、この配管506に等間隔に設け、かつケーシング500の吹出し方向端部の前方に位置する複数のノズル507と、前記配管506に薬液、水を供給する供給管508とで構成される。
【0034】
尚、図中505は、細霧冷房用ファン5のガードである。
【0035】
図中6は、切換えバルブで、この切換えバルブ6は、U字形を呈する本体6aの両外側面6b、6c(一面管路、多面管路)に、かつその水平方向Aにそれぞれ突設した数本の差込み口600と、この各差込み口600に開閉自在に設け、かつ本体6aに開閉自在に設ける開閉弁601と、この開閉弁601をそれぞれ支持し、かつ差込み口600に垂設し、かつ本体6aの開閉弁601をそれぞれ支持し、かつ本体6aに垂設した弁軸602と、この各弁軸602を同時に操作する本体6aに回動自在に設けたハンドル603と、この各ハンドル603を連繋する前記本体6aの軸芯方向Bに添って移動する数本のリンク604とで構成する。従って、例えば、このハンドル603は、開閉弁601の開放時において45°の角度を確保できるように、図示の如く、軸芯方向B、又は差込み口600の軸芯方向B1に対して45°の鋭角とする。このハンドル603が45°の鋭角の状態で、リンク604を軸芯方向Bの最先端位置にセットする。このセットは、前記図2の状態であり、開放時(本体6aの開閉弁601は閉塞である)において45°の鋭角のハンドル603の角度を確保できる。また、例えば、このハンドル603は、開閉弁601の閉塞時において135°の角度を確保できるように、図示の如く、軸芯方向B、又は差込み口600の軸芯方向B1に対して135°の鈍角とする。このハンドル603が135°の鈍角の状態で、リンク604を軸芯方向Bの最後端位置にセットする。このセットは、前記図3の状態であり、閉塞時(本体6aの開閉弁601は開放である)において135°の鈍角のハンドル603の角度を確保できる。以上の構造と、動きが、ハウス1の排液、排水等の回収システムにおける切換えバルブ6の構造であり、かつハンドル603とリンク604の構造である。
【0036】
また、図11、12の如く、切換えバルブ6、及びリンク604をケース7内に収容し、このケース7に長孔7aを開設し、この長孔7aに挿入した切替えレバー608(リンク操作用のレバー)を、リンク604に取付けることで、ワンタッチ操作を可能にし、かつスムーズな操作を実現できる。
【0037】
そして、前記ハウス1に設置した細霧冷房用ファン5と、切換えバルブ6とを給排液水用の第一配管10と、この第一配管10より継ぎ手11を介して分岐した、分岐管10aとで接続する。この第一配管10と分岐管10aは、切換えバルブ6と細霧冷房用ファン5との間に薬液水の供給ルートであり、また、排液水の回収ルートとなる。尚、この第一配管10の開放側1000に逆止弁12を設け、回収時において、外気等の空気を吸込み、回収時において、細霧冷房用ファン5の配管506と、ノズル507、並びに第一配管10と分岐管10aに残留する排液水の確実な回収を図る。また、細霧冷房用ファン5の配管506と、ノズル507、並びに第一配管10と分岐管10aに対して、薬液水を供給する際には、閉塞する構造である。
【0038】
また、切換えバルブ6と、動力噴霧機3とを給排液水用の第二・第三配管13・15で接続する。そして、この第二配管13は、その中間にストレーナ18を介して、動力噴霧機3に接続され、薬液水の供給ルートとなる。従って、タンク2から供給された薬液水を動力噴霧機3と、この第二配管13を経由して、切換えバルブ6から、さらに、第一配管10と分岐管10aを経由した後、細霧冷房用ファン5の配管506を介して、ノズル507に供給する(送る)構造である。そして、この第三配管15は、切換えバルブ6からの排液水の回収ルートとなる。従って、この第三配管15は、前記細霧冷房用ファン5の配管506と、ノズル507、並びに第一配管10と分岐管10aに残留する排液水を、切換えバルブ6を介して、動力噴霧機3に回収する(戻す)構造である。
【0039】
処で、切換えバルブ6と、タンク2とを給排液水用の第四・第五配管16、17で接続する。そして、この第四配管16は、切換えバルブ6の差込み口600とタンク2に接続され、薬液水の供給ルートとなる。従って、タンク2から供給された薬液水を切換えバルブ6に導き、その後、切換えバルブ6の他の差込み口600を経由し、前記第三配管15を経由して、動力噴霧機3に供給する。即ち、図2に示した、通常細霧運転の供給ルートである。そして、この第五配管17は、タンク2と切換えバルブ6のさらに別の差込み口600に接続される。そして、この第五配管17には、常開弁19を設け、切換えバルブ6内の余剰の給排液水を、タンク2にリターンする。従って、本発明の給液、給水の供給システムと、その排液、排水等の回収システムの安全性を担持する。尚、この切換えバルブ6の側面6cには、多数本の第一配管10(多数基の細霧冷房用ファン5)を接続する複数の差込み口600を有することと、この切換えバルブ6の本体6aの他端の接続口605には、多数本の第一配管10(多数基の細霧冷房用ファン5)を接続する一本〜多数本の切換えバルブ6を接続することも可能である。図中606は接続口605のキャップを示す。
【0040】
また、動力噴霧機3と、タンク2とをオーバフロー用の第六配管20で接続する。従って、動力噴霧機3の余剰の排液水、又は給液水を、タンク2にリターンする構造である。
【0041】
続いて、図2に示した通常噴霧運転時の模式図と、図3に示した排液、又は排水の回収運転時の模式図とを基に、好ましい一例を説明する。
【0042】
先ず、図2において、切換えバルブ6の複数の差込み口600の開閉弁601を、リンク604の軸芯方向Bの最先端位置への操作と、ハンドル603の移動で開放、又は閉塞する(その他の差込み口600と、別の差込み口600とのそれぞれの開閉弁601を、それぞれ開放する。また、本体6aの側面6bに設けた中央の開閉弁601の閉塞する)。この状態では、タンク2の薬液(水も同じであり、以下、薬液で説明する)を第四配管16から、切換えバルブ6の本体6aの通路を経由し、その他の差込み口600から、動力噴霧機3の吸込口を介して、この動力噴霧機3に導き、この動力噴霧機3で加圧し、その吐出口から、第二配管13を経由した後に、別の差込み口600より、切換えバルブ6の本体6aの通路から、第一配管10と、継ぎ手11を介して分岐管10aに導き、最終的には、細霧冷房用ファン5の配管506を介して、ノズル507に供給する構造の第一のルートである。
【0043】
また、図3において、切換えバルブ6の他の差込み口600の開閉弁601を、リンク604の軸芯方向Bの最後端位置への操作と、ハンドル603の移動で閉塞、又は開放する(その他の差込み口600と、別の差込み口600とのそれぞれの開閉弁601を、それぞれ閉塞する。また、本体6aの側面6bに設けた中央の開閉弁601の開放する)。この状態では、細霧冷房用ファン5の配管506と、ノズル507、又は第一配管10と、継ぎ手11、及び分岐管10a等の何れかに残っている液(残液、残水)を、切換えバルブの本体6aの通路から、開放された他の差込み口600から、第三配管15を経由し、動力噴霧機3の吸込口を介して、この動力噴霧機3に導き、さらに、この動力噴霧機3の余水吐出口(余液吐出口)から、第六配管20を経由した後に、タンク2に戻して回収する構造の第二のルートである。この第二のルートを介して、略100%の残液を回収できることと、有効利用できる。また、残液による前記弊害解消と、再霧化の際の残液が噴霧される弊害、例えば、作物への濃縮液害、汚染水弊害の解消とか、作物に付加される余剰薬液量、水弊害の解消に役立つこととかが考えられる。
【0044】
そして、図13は、ノズル50(噴霧装置の一例である)を、分岐管10aに設けた一例であり、例えば、主として、薬液の噴霧を意図する。従って、前述した、噴霧装置の一例である。その他は、前述の例に準ずる。
【符号の説明】
【0045】
1 ハウス
2 タンク
3 動力噴霧機
5 細霧冷房用ファン
50 ノズル
5a 本体部
5b 噴霧部
500 ケーシング
500a 鍔部
500b 巻絞り部
501 ブラケット
502 モータ
502a 出力軸
503 羽根車
504 静翼
504a 翼体
505 ガード
506 配管
507 ノズル
508 供給管
6 切換えバルブ
6a 本体
6b 側面
6c 側面
600 差込み口
601 開閉弁
602 弁軸
603 ハンドル
604 リンク
605 接続口
606 キャップ
608 切替えレバー
7 ケース
7a 長孔
10 第一配管
10a 分岐管
1000 開放側
11 継ぎ手
12 逆止弁
13 第二配管
15 第三配管
16 第四配管
17 第五配管
18 ストレーナ
19 常開弁
20 第六配管
A 水平方向
B 軸芯方向
B1 軸芯方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、この動力噴霧機と前記噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、給液水の供給を可能とする第一のルートと、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、排液水の回収を可能とする第二のルートと、
で構成したハウスの排液、排水等の回収システム。
【請求項2】
ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、この動力噴霧機と前記噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
前記噴霧装置と、この切換えバルブとを給排液水用の第一配管で接続し、
この第一配管の開放側に逆止弁を設け、また、前記切換えバルブと、動力噴霧機とを給排液水用の第二・第三配管で接続し、
この切換えバルブと、タンクとを給排液水用の第四・第五配管で接続し、
前記動力噴霧機と、タンクとをオーバフロー用の第六配管で接続し、
前記第一配管と、前記噴霧装置の管路中の排液水を、切換えバルブ、及び前記第三配管を経由し、動力噴霧機から、第六配管を介して、タンクにリターン可能とする構成としたハウスの排液、排水等の回収システム。
【請求項3】
ハウスに設置したタンクと、動力噴霧機、及び噴霧装置とを配管を介して接続し、この動力噴霧機と前記噴霧装置とを連繋する配管中に、切換えバルブを配し、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、給液水の供給を可能とする第一のルートと、
前記噴霧装置と、この切換えバルブ、及び前記動力噴霧機、並びにタンクとを連繋する給排液水用の配管を介して、排液水の回収を可能とする第二のルートと、
で構成したハウスの排液、排水等の回収システムにおいて、
前記切換えバルブは、略U字形の管路を備えた本体と、この本体の一面管路に設けた前記動力噴霧機に連繋する一本、又は数本の配管の差込み口と、前記タンクに連繋する一本、又は数本の配管の差込み口を、それぞれ設け、また、前記本体の他面管路に設けた前記多数の噴霧装置に連繋する一本、又は数本の配管の差込み口を、それぞれ設けた構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造。
【請求項4】
請求項3に記載のハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造であって、
前記切換えバルブには、複数本の差込み口に設けた開閉弁、又はこの切換えバルブの本体に設けた開閉弁と、この各開閉弁を支持する差込み口、又は本体に垂設した弁軸と、この各弁軸を同時に操作するハンドルを取付け、このハンドルを連繋する前記本体の軸芯方向に添って移動するリンクを取付け、かつこのリンクを、切替えレバーに取付ける構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造。
【請求項5】
請求項4に記載のハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造であって、
前記切換えバルブ、及びリンクをケース内に収容し、このケースに長孔を開設し、この長孔に挿入した前記切替えレバーを、前記リンクに取付ける構成としたハウスの排液、排水等の回収システムの切換えバルブの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−19734(P2012−19734A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159966(P2010−159966)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】