説明

ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

【課題】 搬送性及び裏面汚れが改良された白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムを支持体として有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供する。
【解決手段】 支持体が白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムである反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料を、一定のサイズに断裁した後、発色現像工程、漂白定着工程または漂白工程及び定着工程、安定化工程またはリンス工程、及び乾燥工程から構成される処理工程を経て処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法であって、該発色現像工程で用いる発色現像液が、下記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関し、詳しくは、白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムを支持体として有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、高感度で、高品位の画質が得られ、かつ画像形成方法の簡易性から、非常に広い分野で用いられている。
【0003】
近年、反射鑑賞用のプリント材料としては、例えば、紙支持体の両面を樹脂層で被覆した支持体を用いた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料、いわゆる、一般用カラーペーパーの他に、白色顔料を含有したプラスチック樹脂フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、ホワイトPETともいう)上にハロゲン化銀感光性層を設けた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料が使用されている。
【0004】
上述のホワイトPETを用いた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、屋内や屋外のディスプレイ用として主に用いられているため、設置時の高い平面性を維持させるため、厚膜のポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられている。その結果、ハロゲン化銀カラー写真感光材料としては、極めて腰が強く、高い剛性を持つことととなる。
【0005】
この様なホワイトPETを用いた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理を行う場合、大型の現像所での処理では、大型の自動現像機を用いて多量に処理するため、その現像方式は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料をシート状にして断裁して搬送ローラにより搬送する「シート搬送方式」ではなく、ロール状のハロゲン化銀カラー写真感光材料を使用して、連続的に処理する「ロール搬送方式」であり、また大型の自動現像機を使用するため、処理槽間でハロゲン化銀カラー写真感光材料が方向変更するターン部の曲率半径は十分に大きいため、高い剛性を有するホワイトPETを用いた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料でも、搬送不良等を起こすことなく安定な搬送が可能となっている。
【0006】
一方、近年の写真処理のサービス業界においては、ユーザーに対するサービス向上の一環として、また生産性向上の手段として、小型の自動現像機、いわゆるミニラボ等を用いて、例えば、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像から乾燥までの処理速度が非常に短縮化された処理が普及している。
【0007】
上記の小型の自動現像機では、処理量の少ないハロゲン化銀カラー写真感光材料は、ロール搬送方式による処理ではなく、シート搬送方式によりシート状で処理される場合が多い。この様な状況において、高い剛性を有するホワイトPETを用いた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料をシート搬送方式で処理すると、自動現像機自身が小型であるが故に、ターン部の曲率半径が極めて小さく、その結果、ターン部で引っ掛かったりして搬送不良を引き起こすという重大な課題を抱えている。
【0008】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の搬送性改良に対し、自動現像機から改良する試みかなされている。
【0009】
例えば、ローラ対の一方に永久磁石を内蔵させ、この永久磁石内蔵ローラを、処理液系外からの電場あるいは磁場により回転駆動し、このローラ対により感光材料を搬送することにより、処理路長の長い(処理時間の長い)カラー処理でも感光材料の搬送性が良好な感光材料の現像処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、処理槽間の液外ターン部の曲率半径、処理槽の処理液浸漬部のパス長、搬送速度の関係を特定の範囲に規定することにより、搬送性、擦り傷、先端折れ、エッジ汚れを改良したペーパー用現像処理装置が開示されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
【0010】
しかしながら、現像処理装置が上述の様な小型化されたミニラボ等では、上記の様な装置面からの改良だけでは困難となり、特に、高い剛性を有するホワイトPETを用いた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理には限界があり、早急な改良が求められている。
【0011】
一方、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理において、集中処理を行う大型現像所では、1日あたり24時間近く処理を行うほどその処理量は多く、その結果、補充液の多量に投入されるため、処理液の更新率が高くなる。これに対し、ミニラボを用いた店頭処理においては、その稼働時間は6〜12時間程度であり、間欠的にハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理がなされている。このため、ミニラボを用いた処理では、処理間隔が広がると、搬送ローラ等にタール状の異物が付着し、その付着した異物がその後処理するハロゲン化銀カラー感光材料の裏面に付着し、搬送不良や裏面汚れを引き起こし易くなってきている。特に、高い平面性を維持するため前述の高い剛性を有するホワイトPETを用いた反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料では、裏面に親水性コロイド層を塗設して表裏面間のカールバランスを調整している場合が多く、そのようなハロゲン化銀カラー写真感光材料では、搬送不良や裏面汚れがより顕著に発現することが判明し、早急な改良が求められている。
【特許文献1】特開平11−109589号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平11−223912号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平11−223914号公報 (特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、搬送性及び裏面汚れが改良された白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムを支持体として有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0014】
(請求項1)
支持体が白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムである反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料を、一定のサイズに断裁した後、発色現像工程、漂白定着工程または漂白工程及び定着工程、安定化工程またはリンス工程、及び乾燥工程から構成される処理工程を経て処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法であって、該発色現像工程で用いる発色現像液が、下記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0015】
【化1】

【0016】
〔式中、Lはアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子またはアルキル基を表す。Bはアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。〕
(請求項2)
前記プラスチック樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0017】
(請求項3)
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料を、130mm以下の送り幅で搬送して処理することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0018】
(請求項4)
前記発色現像液が、下記一般式〔II〕〜〔V〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0019】
【化2】

【0020】
〔式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を表し、R2は水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し、R3及びR4は独立に水素原子、水酸基、アルキル基または−COOM4(M4は水素原子またはアルカリ金属原子を表す)を表し、Xは−CO−または−SO2−を表し、Yは−O−、−S−または−CONR5−(R5は水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表す)を表し、M3は水素原子またはアルカリ金属原子を表し、kは0または1、m1は0〜2の整数、n1は1〜3の整数を表す。〕
一般式〔III〕
6−(O)xSO36
〔式中、R6は脂肪族基またはヘテロ環基を表し、xは0または1を表し、M6は水素原子またはカチオンを表す。〕
【0021】
【化3】

【0022】
〔式中、R1は炭素原子数1ないし2のアルキル基、または水素原子を表し、R2は炭素原子数1ないし3のアルキル基、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、または水素原子を表し、R3は水素原子または水酸基を表す。pは0〜2の整数、rは1〜3の整数を表す。Aはベンゼン環の任意の位置の水素原子に置換されて良い。又、sは0〜50、tは0または1の整数、uは2〜150の整数を表す。〕
一般式〔V〕
HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
〔式中、nは0〜200の整数を表し、mは0〜50の整数を表し、mとnが同時に0になることはない。〕
(請求項5)
前記発色現像液の処理温度が、38℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、搬送性及び裏面汚れが改良された白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムを支持体として有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0025】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体が白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムである反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料を、一定のサイズに断裁した後、発色現像工程、漂白定着工程または漂白工程及び定着工程、安定化工程またはリンス工程、及び乾燥工程から構成される処理工程を経て処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法であって、該発色現像工程で用いる発色現像液が、前記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法により、搬送性及び裏面汚れが改良された白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムを支持体として有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0026】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0027】
はじめに、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に適用しうる各処理液組成、処理条件、現像処理機について説明する。
【0028】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法(以下、単に処理方法ともいう)では、発色現像液を用いる発色現像工程、漂白定着液を用いる漂白定着工程または漂白液を用いる漂白工程及び定着液を用いる定着工程、安定化液を用いる安定化工程またはリンス液を用いるリンス工程、及び乾燥工程から構成される処理工程を用い、それぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、あるいは補充用漂白定着液、補充用安定化液、補充用リンス液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。
【0029】
本発明の処理方法においては、上記発色現像工程で用いる発色現像液が前記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とする。
【0030】
発色現像液が本発明に係る前記一般式〔I〕で表される化合物を含有することにより、発色現像液の保恒性が飛躍的に向上し、処理量の少ない条件下でも発色現像主薬の酸化等を防止しタール等の異物の発生を抑制することにより、特に、バックコート層を有する白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムである反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理した際の裏面汚れを効果的に防止することができる。
【0031】
以下、本発明に係る一般式〔I〕で表される化合物について説明する。
【0032】
上記一般式〔I〕において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子またはアルキル基を表す。Bはアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
【0033】
上記一般式〔I〕において、Lで表されるアルキレン基は置換基を有するものを含み、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アンモニオ基などが挙げられ、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基またはアルコキシ基を表し、それぞれ置換基を有しても良い。特に、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、カルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rがアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。更に置換基を有してもよく、好ましい置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アルコキシル基、−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。なお、B及びR′は前記Aの説明に記載のそれらと同義である。置換基は二つ以上あってもよい。Rとしては、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
【0034】
以下に、一般式〔I〕で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0035】
【化4】

【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

【0038】
【化7】

【0039】
本発明に係る前記一般式〔I〕で表される化合物は、発色現像処理液、発色現像液補充液に1×10-3mol/L以上、1×10-1mol/L以下で含有することが好ましい。
【0040】
また、本発明に係る発色現像液においては、前記一般式〔I〕で表される化合物と共に、前記一般式〔II〕〜〔V〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが、本発明の目的効果をより発揮できる観点から好ましい。
【0041】
前記一般式〔II〕において、R1はアルキル基またはアルケニル基を表し、R2は水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し、R3及びR4は独立に水素原子、水酸基、アルキル基または−COOM4(M4は水素原子またはアルカリ金属原子を表す)を表し、Xは−CO−または−SO2−を表し、Yは−O−、−S−または−CONR5−(R5は水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表す)を表し、M3は水素原子またはアルカリ金属原子を表し、kは0または1、m1は0〜2の整数、n1は1〜3の整数を表す。
【0042】
上記一般式〔II〕において、R1は好ましくは炭素数5〜20の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基であり、R2は好ましくは水素原子、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐アルキル基またはヒドロキシアルキル基である。
【0043】
以下に、一般式〔II〕で表される化合物の具体的例を以下に示す。
【0044】
【化8】

【0045】
【化9】

【0046】
【化10】

【0047】
【化11】

【0048】
上記例示した化合物の他に、例えば、特開昭62−56961号第4〜6頁記載の例示化合物〔II〕−1〜〔II〕−55等も使用することが出来る。
【0049】
上記例示化合物は、公知化合物、または、市販されており通常ルートで入手が可能である。
【0050】
次いで、一般式〔III〕で表される化合物について説明する。
【0051】
前記一般式〔III〕において、R6は脂肪族基またはヘテロ環基を表し、置換基を有してもよい。xは0または1を表し、M6は水素原子またはカチオンを表す。
【0052】
上記一般式〔III〕において、R6で表される脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などがあり、アルキル基としては、例えばメチル、エチル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル等の各基が挙げられる。これらのアルキル基は、更にハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、1,1−ジメチルエトキシ、ヘキシルオキシ、ドデシルオキシ等の各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等の各基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルカルボニル等の各基)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル等の各基)、複素環基(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、モルホリル、ピペリジン、ピペラジル、ピリミジン、ピラゾリン、フリル等の各基)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アミノ基(例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、アニリノ等の各基)、シアノ基、スルホアミド基(例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、オクチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の各基)によって置換されてもよい。
【0053】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられ、アルキニル基としては例えばプロパルギル基が挙げられる。
【0054】
6で表される複素環基としては、例えば、ピリジル基(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等の各基)、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、チェニル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペジリニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられる。
【0055】
上記、アルケニル基、アルキニル基、複素環基は、いずれもR6で表されるアルキル基及びアルキル基の置換基、置換原子として示した基、原子と同様な基、原子によって置換することができる。
【0056】
6で表されるカチオンとしては、好ましくは金属イオンまたは有機カチオンである。金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられ、有機カチオンとしては、例えば、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の各イオン)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラフェニルホスホニウムイオン等)、グアニジルイオン等が挙げられる。
【0057】
以下、一般式〔III〕で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
III−1:CH3(CH25SO3Na
III−2:CH3(CH26SO3Na
III−3:CH3(CH27SO3Na
III−4:CH3(CH25OSO3Na
III−5:CH3(CH26OSO3Na
III−6:CH3(CH27OSO3Na
III−7:CH3O(CH22SO3Na
【0059】
【化12】

【0060】
III−11:CH3(CH25SO3Na
次いで、一般式〔IV〕で表される化合物について説明する。
【0061】
前記一般式〔IV〕において、R1は炭素数1または2のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)または水素原子を表し、R2は直鎖または分岐の置換、未置換の炭素原子数1ないし3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、(i)プロピル基、ヒドロキシメチル基、スルホメチル基、ヒドロキシエチル基、スルホエチル基、ジスルホエチル基、ジヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−スルホプロピル基、2−スルホプロピル基、トリヒドロキシ(i)プロピル基、1,2−ジスルホプロピル基)、スルホ基、カルボキシル基、水酸基及び水素原子を表し、R3は水素原子、または水酸基を表す。
【0062】
pは0〜2の整数、rは1〜3の整数を表す。Aはベンゼン環の任意の位置の水素原子に置換されて良い。又、sは0〜50、tは0または1の整数、uは2〜150の整数を表す。
【0063】
以下に、前記一般式〔IV〕で表される具体的化合物を示す。
【0064】
【化13】

【0065】
【化14】

【0066】
【化15】

【0067】
上記に示した具体的化合物の中でも、好ましくはIV−2、IV−3、IV−4、IV−5、IV−6、IV−9、IV−13、IV−17であり、更に好ましくはIV−2、IV−3、IV−4、IV−5である。
【0068】
次いで、一般式〔V〕で表される化合物について説明する。
【0069】
一般式〔V〕
HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
上記一般式〔V〕において、nは100〜200の整数を表し、mは10〜50の整数を表し、以下に具体的化合物を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0070】
V−1:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)30−H
V−2:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)10−H
V−3:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)15−H
V−4:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)20−H
V−5:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)20−H
V−6:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)40−H
V−7:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)30−H
V−8:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)40−H
V−9:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)50−H
V−10:HOCH2CH2OH
V−11:HOCH2CH2OCH2CH2OH
V−12:HOCH2CH(CH3)OH
本発明において、上記一般式〔II〕〜〔V〕で表される化合物の添加量は、発色現像処理液及びその補充液ともに1リットルあたり0.0001〜0.06モルである。
【0071】
次いで、本発明で用いられる発色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定化液、リンス液について説明する。
【0072】
本発明に係る発色現像液に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0073】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル)−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル)−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキンメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは遊離塩基型(フリー体ともいう)である。上記芳香族第1級アミン現像主薬の使用液中の濃度は、現像液1L当たり2mmol〜200mmolが好ましく、より好ましくは6mmol〜100mmolであり、特に10mmol〜40mmolが好ましい。
【0074】
発色現像処理液には、有機保恒剤を添加してもよい。有機保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、発色現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、発色現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であり、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報又は明細書に開示されている。
【0075】
また、その他の有機保恒剤としては下記一般式(Y)で表される化合物を含有させることもできる。
【0076】
【化16】

【0077】
上記一般式(Y)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素を表わす。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表わす。sは0または1を表す。sが1をとる場合、Aは
【0078】
【化17】

【0079】
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(Y)で表されるポリマーを示し、一般式(Y)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
【0080】
sが0をとる一般式(Y)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ」(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。以下、一般式(Y)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0081】
【化18】

【0082】
【化19】

【0083】
また、その他の有機保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。上記有機保恒剤の発色現像組成物は1L当たり1×10-3モル以上、1×10-1モル以下で含有することが好ましい。また、発色現像液には、対象とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の種類によって、少量の亜硫酸イオンを含んだり、あるいは実質的に含まない場合もあるが、本発明においては、亜硫酸イオンを少量含むことが好ましい。また、ヒドロキシルアミンを少量含有してもよい。ヒドロキシルアミン(通常、塩酸塩や硫酸塩の形で用いるが、以下塩の形は省略する)は、亜硫酸イオンと同様に現像液の保恒剤として作用するが、同時にヒドロキシルアミン自身の銀現像活性のために写真特性に影響することもあるので、この添加量も少量に留める必要がある。
【0084】
また、発色現像液は、ベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸等のアリールスルフィン酸を含有しても良い。
【0085】
発色現像使用液のpHは9.0〜13.5が好ましく、その補充液のpHは9.0〜13.5が好ましい。このため、発色現像使用液及びその補充液には、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含有させることもできる。
【0086】
上記pHを保持するための緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった点から、特に好ましい緩衝剤である。
【0087】
上記緩衝剤の具体例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0088】
上記緩衝剤の添加量は、発色現像使用液及びその補充液ともに1リットルあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0089】
発色現像処理液には、その他の発色現像液成分として、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1L当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
【0090】
発色現像処理液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報又は明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報又は明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報又は明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類又はイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.001〜0.2mol、好ましくは0.01〜0.05molになるように組成物中の添加量が決められる。
【0091】
発色現像処理液には、必要に応じて、前記ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0092】
発色現像処理液には、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.0001〜0.2molが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05molになるように添加量が決められる。
【0093】
発色現像処理液には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販の物を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkolBRKが好ましい。
【0094】
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。上記蛍光増白剤の添加量としては、発色現像使用液及びその補充液ともに1リットルあたり0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0095】
また、発色現像処理液中に臭素イオンが含まれる場合は、1.0×10-3モル/リットル以下であることが好ましい。発色現像処理液では、塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有することが好ましいが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のこともある。
【0096】
また、本発明において、処理方法で適用されうる発色現像の処理温度は、通常、30〜55℃の範囲であるが、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点からは38℃以上であることが好ましく、より好ましくは38〜55℃であり、更に好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、5〜90秒が好ましく、より好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。なお、本発明でいう発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程(例えば、漂白定着液)に入るまでの時間をいう。自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程に向けて液外を搬送される時間(いわゆるクロスオーバータイム)との両者の合計を発色現像時間という。また、クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。
【0097】
本発明において、漂白液あるいは漂白定着液において用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸などのアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸および有機ホスホン酸などの錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸;過硫酸塩;過酸化水素などが好ましい。
【0098】
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄などとアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットルが好ましく、より好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
【0099】
漂白液あるいは漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージャー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
【0100】
その他、漂白液あるいは漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、グリコール酸などのpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸およびこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジンなどの腐蝕防止剤などを添加することができる。
【0101】
定着液あるいは漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.1〜5.0モルが好ましく、更に好ましくは0.3〜2.0モルの範囲である。漂白定着液または定着液のpH領域は、3〜10が好ましく、更には5〜9が特に好ましい。
【0102】
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
【0103】
漂白液、定着液、漂白定着液は、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等などの添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。
【0104】
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加してもよい。また、漂白液、定着液、漂白定着液のアンモニウムカチオン濃度は作業性の点からは全カチオンに対して50mol%以下であること好ましいが、処理性の点からはアンモニウムカチオン濃度が50mol%以上であること好ましい。
【0105】
また、本発明の処理方法に適用されうる漂白定着工程に要する時間は、90秒以下であることが好ましく、より好ましくは45秒以下である。ここでいう漂白定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また。漂白定着液の温度は20〜70℃が好ましく、望ましくは25〜50℃である。また、漂白定着液の補充量は200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜100ml/m2である。
【0106】
漂白処理液の補充量は、200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは50ml/m2〜200ml/m2である。また、漂白工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう漂白工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。定着処理液の補充量は、600ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜500ml/m2である。また、定着工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。
【0107】
次に、リンス工程または安定化工程及びそこで用いる処理液について説明する。
【0108】
安定化工程で用いるリンスまたは安定化液には、キレート剤(例えば、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(例えば、炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(例えば、ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、蛍光増白剤(例えば、トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(例えば、亜鉛塩、マグネシウム塩等)等、通常安定化液に含有せしめる成分を適宜用いることができる。
【0109】
更にリンスまたは安定化液には、液保存性の点からp−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有させてもよく、亜硫酸塩、重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩も含有させることが好ましい。亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの塩は安定化液中に少なくとも1×10-3モル/L以上になるような量が添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-3モル/L〜5×10-2モル/Lになるようなに添加されることである。
【0110】
安定化工程またはリンス工程の好ましいpHは4〜10が好ましく、更に好ましくは5〜8である。
【0111】
安定化工程またはリンス工程の温度は、処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には15〜45℃が好ましく、より好ましくは20〜40℃である。時間は任意に設定できるが短い方が処理時間の低減の見地から望ましい。好ましくは5秒〜2分30秒であり、更に好ましくは10秒〜1分であるが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合には、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることが好ましい。
【0112】
ここでいう安定化工程またはリンス工程に要する時間とは、該工程が1槽の場合は、例えば、後続する乾燥工程へ感光材料が搬送されるまでの時間を指し、複数槽で構成される場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムとは、安定化工程またはリンス工程が1槽である場合には、ハロゲン化銀カラー写真感光材料が安定化液またはリンス液から出てから、次工程である乾燥工程に入るまでの時間を指し、また、安定化工程またはリンス工程が複数槽から構成されている場合には、前方槽の液から排出されたハロゲン化銀カラー写真感光材料が、次槽液中に侵入するまでの液外時間の合計時間と、最終槽の液を出てから、次工程である乾燥工程に入るまでの時間とを合算した時間を指す。安定化工程またはリンス工程での各槽間の液外時間、及び最終槽の液を出てから次工程である乾燥工程に入るまでの時間は、全てが等しい時間であっても、あるいはそれぞれが異なった時間で設定されていても良い。本発明では、各クロスオーバータイムが各工程の処理時間に占める比率をもって、クロスオーバータイム比率とする。
【0113】
本発明に係る安定化工程またはリンス工程において、好ましいクロスオーバータイム比率は12%〜20%である。
【0114】
補充量は、少ない方がランニングコスト、排出量減、取扱い性等の観点で好ましいが、具体的な好ましい補充量は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料、単位面積あたり前浴からの持込み量の0.5〜50倍が好ましく、より好ましくは3倍〜40倍である。またはハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり1リットル以下が好ましく、より好ましくは500ml以下である。また補充は連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
【0115】
本発明の処理方法においては、安定化液またはリンスを用いた安定化工程またはリンス工程の構成としては、1槽で構成されていても、あるいは2槽以上で構成されていても良いが、好ましくは2槽以上で構成された多段向流方式を用いることが好ましい。
【0116】
多段向流方式とは、複数に分割された安定化槽またはリンス槽において、感光材料の搬送方向の下流から上流にかけて安定化液が多段の各分割安定化槽にオーバーフローしながらハロゲン化銀写真感光材料の搬送路に沿って流れ、安定化処理またはリンス処理がなされる方式である。
【0117】
次いで、本発明に使用可能な乾燥工程について説明する。
【0118】
本発明の処理方法に適用される乾燥工程における乾燥温度は50℃以上が好ましく、特に、75℃以上において本発明の効果がより発揮される点でより好ましく、更に好ましくは75〜85℃である。また、乾燥時間は20秒〜2分が好ましく、特に40秒〜80秒が好ましい。更に、迅速な現像処理を行うために乾燥時間を短くする手段として、感光材料側の手段としては、ゼラチンなどの親水性バインダーを減量することで膜への水分の持込み量を減じることでの改善が可能である。また、乾燥工程への持込み水分量を減量する観点から、最終槽から搬出された直後に、スクイズローラーや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0119】
本発明の処理方法においては、自動現像機を用いて処理を行なうことが好ましい。
【0120】
以下、本発明に好ましく用いられる自動現像機について説明する。
【0121】
図1は、自動現像機とハロゲン化銀カラー写真感光材料への焼付機とが一体になったカラーペーパー用自動現像機の一例を示す全体構成図である。
【0122】
図1において、ハロゲン化銀カラー写真感光材料用の自動現像機APの写真焼付機Bの左下部には、未露光のハロゲン化銀カラー写真感光材料をロール状に収納したマガジンMがセットされる。マガジンから引き出されたハロゲン化銀カラー写真感光材料pは、送りローラR1及びカッター部Ctを介して所定のサイズに切断され、シート状のハロゲン化銀カラー写真感光材料pとなる。このシート状のハロゲン化銀カラー写真感光材料pは、ベルト搬送手段Beによって搬送され、露光部Eにおいて光源およびレンズLにより、原画Oの画像を露光される。露光されたシート状のハロゲン化銀カラー写真感光材料pはさらに複数対の送りローラR2、R3、R4により搬送され、自現機AP内に導入される。自現機APでは、シート状のハロゲン化銀カラー写真感光材料pは、処理液槽であるそれぞれ発色現像槽1A、漂白定着槽1B、安定化槽1C、1D、1E内(実質的に3槽構成の処理液槽1)をローラ搬送手段(参照記号ナシ)により順次搬送され、それぞれ、発色現像処理、漂白定着処理、安定化処理がなされる。前記各処理がなされたシート状印画紙pは、乾燥部6において乾燥されて機外に排出される。上記発色現像槽1A、漂白定着槽1B、安定化槽1Eの各処理液槽には、溶解槽2A、2B、2E、循環槽2C、2D及び固体処理剤を供給する固体処理剤供給装置3A、3B、3Eが設けてある。4は発色現像槽1A、安定化槽1Eに補充水を供給する補充水タンクである。
【0123】
本発明の処理方法では、本発明に係る白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムである反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料を上記の様な自動現像機を用いてシート搬送方式により処理を行う際には、ハロゲン化銀カラー写真感光材料のサイズとして130mm以下の送り幅で搬送するときに、本発明の目的効果である優れた搬送性を実現することができ、好ましくは70mm以上、130mm以下の送り幅であるときに、より顕著に発揮される。
【0124】
本発明に係る自動現像機は、搬送の線速度が100mm/秒以下であることが好ましく、より好ましくは27.8mm/秒〜80mm/秒、特に好ましくは27.8mm/秒〜50mm/秒である。
【0125】
カラーペーパー用自動現像機の搬送では、カラーペーパーを最終サイズにカットしてから現像処理を行う方式(シート型搬送方式)と、ロール状のハロゲン化銀カラー写真感光材料で現像処理し、処理後に最終サイズにカットする方式(シネ型搬送方式)とがある。シネ型搬送方式は、画像間に2mm程度の感光材料の無駄が発生するため、シート型搬送方式が好ましい。
【0126】
本発明に係る各処理液では、処理槽及び補充液槽で、液が空気と接触する面積(開口面積)はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、開口面積(cm2)を槽中の液体槽(cm3)で割った値を開口率とすると、開口率は0.08(cm-1)以下が好ましく、更に好ましくは0.01(cm-1)以下である。
【0127】
また、空気と接触する面積を小さくする為に、処理槽及び補充槽では液面に浮かぶ固体または液体の空気非接触手段を設けることが好ましい。具体的には、プラスチック製の浮きなどを液面に浮かべる方法や、処理液と混ざらず、また化学反応を起こさない液体で覆うことが好ましい。液体の例としては、流動パラフィン、液状飽和炭化水素などを用いることができる。
【0128】
本発明においては、感光材料を搬送する際に前槽の処理液が次槽へ混入することを防止するために、混入防止板を取り付けたクロスオーバーラックの構造が好ましい。本発明に係る各処理液には、処理液の蒸発分に相当する水を供給する、いわゆる蒸発補正を行うことが好ましく、特に、発色現像液や漂白定着液に適用することが好ましい。
【0129】
このような水の補充を行う具体的方法としては、特に制限はないが、中でも特開平1−254959号や同1−254960号公報に記載の漂白定着槽とは別のモニター水槽を設置し、モニター水槽内の水の蒸発量を求め、この水の蒸発量から漂白定着槽における水の蒸発量を算出し、この蒸発量に比例して漂白定着槽に水を補充する方法や液レベルセンサーやオーバーフローセンサーを用いた蒸発補正方法が好ましい。最も好ましい蒸発補正方法は、蒸発分に相当する水を予想して加えるもので、日本発明協会公開技報94−49925号1頁の右欄26行目〜同3頁左欄28行目に記載されているように自動現像機の運転時間、停止時間及び温調時間の情報に基づいて予め求められた係数により計算された加水量を添加するものである。また、蒸発量を減少させる工夫も必要であり、開口面積を少なくしたり、排気ファンの風量を調節することが要求される。例えば、カラー現像液の好ましい開口率は前記した通りであるが、他の処理液においても同様に開口面積を低下させることが好ましい。
【0130】
蒸発量を減少させる手段として、特開平6−110171号記載の「処理槽の上部空間の湿度を80%RH以上に保持する」ことが特に好ましく、上記公報の図1、2に記載の蒸発防止ラック及びローラー自動洗浄機構を有することが特に好ましい。温調時の結露防止のために排気ファンが通常取付けられているが、好ましい排気量としては毎分0.1m3〜1m3であり、特に好ましくは、0.2〜0.4m2である。ハロゲン化銀カラー写真感光材料の乾燥条件も処理液の蒸発に影響する。乾燥方式としては、セラミック温風ヒーターを用いるのが好ましく、供給風量としては毎分4〜20m3が好ましく、特に6〜10m3が好ましい。セラミック温風ヒーターの加熱防止用サーモスタットは、伝熱によって動作させる方式が好ましく、取付け位置は、放熱フィンや伝熱部を通じて風下または風上に取り付けるのが好ましい。
【0131】
以上で述べた自動現像機の処理槽には、必要に応じて、ヒーター、温度センサー、液面センサー、循環ポンプ、フィルター、スクイジー、窒素攪拌装置、エアー攪拌装置等を設けてもよい。
【0132】
本発明の処理方法においては、発色現像工程、漂白定着工程または漂白工程及び定着工程、安定化工程またはリンス工程のそれぞれの処理槽にポンプを取り付けて液の循環経路を設けることは、液の活性度を維持し液温調の効率を上げるために有効な手段である。本発明に於いては、各工程における処理液の循環量が50〜300ml/minであることが、本発明の効果がより一層発揮される観点から好ましい。
【0133】
通常、処理使用液の補充に際しては補充ポンプが用いられるが、ベローズ式の補充ポンプが好ましい。また、補充方式としては、直接処理槽に処理液濃縮組成物を添加するとともに、希釈率に見合った水を処理槽に直接加えても良く、また補充タンク内で処理液濃縮組成物を溶解・希釈して補充液として補充しても良く、また補充タンク内で自動調製装置を用いて処理液濃縮組成物を自動的に溶解・希釈して補充液として補充しても良い。また、補充精度を向上させる方法としては、ポンプ停止時の逆流を防止するため、補充ノズルへの送液チューブの径を細くしておくことが有効である。好ましい内径としては1〜8mm、特に好ましい内径として2〜5mmである。
【0134】
自動現像機には種々の部品材料が用いられ、好ましい材料を以下に記載する。
【0135】
処理槽及び温調槽等のタンク材質は、変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)樹脂が好ましい。変性PPOは、日本ジーイープラスチック社製「ノリル」、変性PPEは、旭化成工業製「ザイロン」、三菱瓦斯化学製「ユピエース」等が挙げられる。また、これらの材質は、処理ラック、クロスオーバー等の処理液に接触する可能性のある部位に適している。
【0136】
処理部のローラー材質は、PVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、TPX(ポリメチルペンテン)等の樹脂が適している。また、これらの材質は、その他の処理液接触部にも使用することが可能である。尚、PE樹脂はブロー形成による補充タンクの材質にも好ましい。
【0137】
処理部、ギヤ、スプロケット、軸受などの材質には、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、UHMPE(超高分子量ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(全芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリマー)等の樹脂が適している。
【0138】
PA樹脂は、66ナイロンや12ナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂で、ガラス繊維や炭素繊維等を含有したものは、処理液による膨潤に対して強く、使用可能である。
【0139】
また、MCナイロンの様な高分子量品やコンプレッション形成品は、繊維強化なしでも使用することが可能である。UHMPE樹脂は、未強化品が適しており、三井石油化学(株)製「リューブマ」、「ハイゼックス・ミリオン」、作新工業(株)製「ニューライト」、 旭化成工業(株)製「サンファイン」等が適している。分子量は、好ましくは100万以上、より好ましくは100万〜500万である。PPS樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維強化のものが好ましい。LCP樹脂は、ICIジャパン(株)製「ビクトレックス」、住友化学(株)製「エコノール」、日本石油(株)製「ザイダー」、ポリプラスチック(株)製「ベクトラ」などが含まれる。特に、搬送ベルトの材質としては、特開平4−151656号記載の超高強力ポリエチレン繊維やポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。スクイズローラー等の軟質材料としては、発泡塩化ビニル樹脂や発泡シリコン樹脂、発泡ウレタン樹脂が適している。発泡ウレタン樹脂としては東洋ポリマー(株)製「ルビセル」が挙げられる。配管の継手やアジテーションジェットパイプの継手、シール材などのゴム材質としては、EPDMゴム、シリコンゴム、バイトンゴムなどが好ましい。本発明に使用される処理液濃縮組成物は、各工程用の処理液濃縮組成物を個別に製品形態とするほかに、一組にまとめたカートリッジ形態で用いても良い。また、その場合はカートリッジを一括して装着できる装置を自動現像機が有していることが好ましい。
【0140】
次いで、本発明に係る反射観賞用ハロゲン化銀カラー写真感光材料について説明する。
【0141】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、支持体として、白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムを用いる。
【0142】
本発明において、支持体を構成するプラスチック樹脂フィルムを形成するポリマーとしては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ビニルアルコール、塩化ビニル、弗素化ビニル、酢酸ビニル等のホモポリマー及びコポリマー、酢酸セルロース、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリロニトリル、アルキルビニルエステル、アルキルビニルエーテル、ポリアミド等のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
【0143】
これらのポリマーのうち特に好ましいものは、ポリエステル樹脂である。ここでいうポリエステル樹脂とは、ポリエステルのみからなる熱可塑性樹脂はもちろんのこと、主成分であるポリエステルの樹脂特性を実用的に変動させない範囲において他のポリマー、添加剤等を加えたものも包含される。
【0144】
ポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸のほか、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などと、これらの低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を使用することができる。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。本発明においては、支持体としてはテレフタル酸とエチレングリコールの反応により得られたポリエチレンテレフタレート(PETともいう)であることが好ましい。
【0145】
主成分がポリエチレンテレフタレートであるとは、ポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上の共重合体、あるいはブレンドされている場合は、ポリエチレンテレフタレートを80質量%以上含有していることをいう。
【0146】
PETフィルムは、水を浸透せず、平滑性に優れ、引張強度、引裂き強度等の機械的特性に優れ、熱収縮等の寸法安定性に優れ、更に現像処理時の耐薬品性に優れている。
【0147】
本発明のプラスチック樹脂フィルム支持体では、反射性を持たせるため白色顔料を含有する。
【0148】
白色顔料としては、無機及び/又は有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料であり、具体的には硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩のシリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタンである。
【0149】
白色顔料をプラスチック樹脂フィルム支持体に含有する場合、白色顔料はプラスチック樹脂フィルムを形成するポリマーの質量に対し5〜50質量%の範囲で存在させるのが好ましい。
【0150】
白色度としては、例えば、JIS Z−8722、Z−8730に定められた方法に従って測定される値(L***)であるが、これに準ずればL*が80%以上が好ましく、更に好ましくはL*が90%以上であり、a*は−1.0〜+1.0、b*は−2.0〜−5.0の範囲のものが好ましい。
【0151】
本発明に係る白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルム上には、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の各種構成層が設けられる。
【0152】
以下、本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の主要構成要素について説明する。
【0153】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルム上に、感光性ハロゲン化銀乳剤層、例えば、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層と、非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有することが好ましい。イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及びシアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0154】
以下に、本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の構成要素の一例が、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
【0155】
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion,Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0156】
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
化学増感剤 996 III−A項 23 648
分光増感剤 996 IV−A−A、
B、C、D、 23〜24 648〜649
H、I、J項
強色増感剤 996 IV−A−E、J項
23〜24 648〜649
カブリ防止剤 998 VI 24〜25 649
安定剤 998 VI 24〜25 649
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕〔RD17643〕〔RD18716〕
色濁り防止剤 1002VII−I項 25 650
色素画像安定剤 1001VII−J項 25
増白剤 998V 24
紫外線吸収剤 1003VIII−I項、
XIII−C項 25〜26
光吸収剤 1003VIII 25〜26
光散乱剤 1003VIII
フィルター染料 1003VIII 25〜26
バインダー 1003IX 26 651
スタチック防止剤1006XIII 27 650
硬膜剤 1004X 26 651
可塑剤 1006XII 27 650
潤滑剤 1006XII 27 650
活性剤・塗布助剤1005XI 26〜27 650
マット剤 1007XVI
現像剤(ハロゲン化銀カラー写真感光材料に含有)
1001XXB項
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
【0157】
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕
イエローカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
マゼンタカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
シアンカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
カラードカプラー 1002VII−G項 VIIG項
DIRカプラー 1001VII−F項 VIIF項
BARカプラー 1002VII−F項
その他の有用残基放出 1001VII−F項
カプラー
アルカリ可溶カプラー 1001VII−E項
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することが出来る。
【0158】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることも出来る。
【0159】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることが出来る。
【実施例】
【0160】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0161】
実施例1
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
支持体として、硫酸バリウムを4.0g/m2を含有する厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートからなる白色ポリエステル反射支持体を用い、この両面にゼラチン下引層を設けた後、表1、表2に示す構成の各構成層を塗設し、反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料である試料101を作製した。
【0162】
上記試料101の作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0163】
【表1】

【0164】
【表2】

【0165】
なお、表1、表2に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0166】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフル オロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
【0167】
【化20】

【0168】
【化21】

【0169】
【化22】

【0170】
【化23】

【0171】
【化24】

【0172】
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
【0173】
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
【0174】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
【0175】
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
【0176】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10-4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
【0177】
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
【0178】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
【0179】
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10-3モル添加した。
【0180】
【化25】

【0181】
《処理液の調製》
発色現像液、漂白定着液及び安定化液のタンク液及び補充液を、下記のようにして調製した。
【0182】
〔発色現像液:1L当たり〕
タンク液 補充液
ジエチレングリコール 80.0g 110g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 9.1g 13.0g
塩化カリウム 5.0g 7.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン硫酸 10.5g 15.0g
表3に記載の化合物 表3の記載量 表3の記載量
炭酸カリウム 30.0g 30.0g
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム 6.0g 8.6g
pH 10.02 10.6
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0183】
なお、表3に略称で記載した各化合物の詳細は、以下の通りである。
【0184】
HAS:ヒドロキシルアミン硫酸塩
DEHA:ジエチルヒドロキシルアミン
例示化合物I−27:ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン
例示化合物I−15:ジナトリウム−N,N−ビス(カルボネートエチル)ヒドロキシルアミン
〔漂白定着液:1L当たり〕
タンク液 補充液
エチレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 0.15モル 0.20モル
チオ硫酸ナトリウム 0.54モル 0.72モル
亜硫酸アンモニウム 0.15モル 0.20モル
コハク酸 20.0g 27.0g
イミダゾール 5.0g 9.5g
pH 5.8 5.4
水を加えて1Lとし、pHは水酸化アンモニウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0185】
〔安定化液:1L当たり〕
タンク液=補充液
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸3ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
o−フェニルフェノール 0.1g
亜硫酸ナトリウム 0.5g
pH 7.0
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0186】
《露光及び現像処理》
上記作製した試料101を2Lサイズ(127×178mm)に断裁し、標準的なデーライトシーンを撮影し、現像処理したカラーネガフィルムを介して、タングステンランプを用いた下記プリンターによりにより露光を行った後、下記の現像処理条件により、現像処理を行った。
【0187】
コニカミノルタフォトイメージング社製のプリンタープロセッサーNPS−808Goldを使用した。なお、2Lサイズの試料は178mmを送り巾としてカット搬送により露光、現像処理を行った。
【0188】
各上記各処理液は、標準的なデーライトシーンを撮影し、現像処理したカラーネガフィルムを介して露光を行ったコニカミノルタQAペーパー センチュリア フォー デジタル(コニカミノルタフォトイメージング社製)を用いて、下記の補充量条件に従って1Rに達するまで1日当たり0.2R相当の処理量でランニング処理を行って収斂液1〜7を調製した。尚、本発明でいう1R(ラウンド)とは、発色現像補充液のトータル補充量がタンク容量の1倍量となることを意味する。
【0189】
(処理条件)
処理工程 処理温度 処理時間 タンク容量 補充量
(℃) (秒) (L) (ml/m2
発色現像 40.0 22 15.5 125
漂白定着 39.0 22 15.2 200
安定化−1 39.0 22 15.0
安定化−2 39.0 22 15.0
安定化−3 39.0 22 15.0 248
乾燥 60〜85 180
安定化工程は、安定化−3→安定化−2→安定化−1への多段向流方式とした。
【0190】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評価》
上記の方法に従って得た収斂液1〜7をそれぞれ用いて、前記作製した2L判サイズの試料を処理して、処理試料1−1〜1−7を作製し、下記の方法に従って裏面汚れ耐性の評価を行った。
【0191】
〔裏面汚れ耐性の評価〕
上記現像処理した各試料の裏面側(画像形成層を有する面とは反対側の面)への異物等の付着状況を目視観察し、下記の基準に従って裏面汚れ耐性を評価した。
【0192】
◎:裏面への汚れの付着が全く認められない
○:裏面にうっすらと汚れの付着は認められるが、実用上許容される品質である
△:裏面に汚れが認められ、実用上も美観を損ね、実用上問題となる品質である
×:裏面への汚れが明らかに認められ、実用に耐えない品質である
以上により得られた結果を、表3に示す。
【0193】
【表3】

【0194】
表3に記載の結果より明らかな様に、本発明に係る一般式〔I〕で表される化合物を含む発色現像液で連続処理を行った後、2L判サイズの白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムを有する試料を処理した本発明は、比較例に対し、裏面への処理汚れの付着が低減していることが分かる。
【0195】
実施例2
《現像処理》
実施例1で調製した収斂液2(DEHA添加:比較例)及び収斂液3(例示化合物I−27)を用いて、実施例1で作製した試料を、表4に記載のサイズ(E判、L判、2L判、六切判)に断裁し、かつ処理時の搬送方向(送り幅)を表4とした以外は同様にして、それぞれ1000枚ずつ処理を行って、処理試料2−1〜2−14を作製した。
【0196】
《搬送性の評価》
上記各1000枚の処理において、自動現像機の搬送過程で引っ掛かり等により、搬送不良が発生した回数を計測し、下記の基準に従って搬送性の評価を行った。
【0197】
◎:搬送不良の発生はなく、1000枚の処理が問題なく行えた
○:搬送不良が発生した枚数が、1枚以上、3枚以下である
△:搬送不良が発生した枚数が、4枚以上、10枚以下である
×:搬送不良が発生した枚数が、11枚以上、20枚以下である
××:搬送不良が発生した枚数が、21枚以上である
以上により得られた結果を、表4に示す。
【0198】
【表4】

【0199】
表4に記載の結果より明らかな様に、収斂液2を用いた処理では、送り幅が127mm以下になると搬送不良が顕著に発生し、実用に耐えないことが分かる、これに対し、本発明の収斂液3を用いた処理では、送り幅が127mm以下となっても安定して搬送することができることが分かる。
【0200】
実施例3
《発色現像液の調製》
実施例1で調製した発色現像液タンク液3、発色現像液補充液3の調製において、発色現像液タンク液及び発色現像液補充液に一般式〔II〕〜〔V〕で表される化合物を、それぞれ表5に記載の量添加した以外は同様にして、発色現像液(発色現像液タンク液及び発色現像液補充液)9〜16を調製した。
【0201】
《ランニング処理》
実施例1に記載の現像処理において、発色現像液として上記調製した発色現像液9〜16を用いた以外は同様にして現像処理を行って、処理試料3−1〜3−9を作製した。
【0202】
ランニング処理は、実施例1で作製した試料101を127mm幅、長さ200mのロール状に断裁し、L判にカット、露光して、それぞれ計1,000枚の処理を行った。
【0203】
次いで、各処理液を所定の温度で保温しながら24時間放置し、その後、更に100枚の処理を行った。
【0204】
《裏面汚れ耐性の評価》
上記各現像処理で最後に処理した100枚のうち、91枚目から100枚目の試料の裏面側(画像形成層を有する面とは反対側の面)について、異物等の付着状況を目視観察し、下記の基準に従って裏面汚れ耐性を評価した。なお、評価は、10枚の評価試料の平均値とした。
【0205】
◎:裏面への汚れの付着が全く認められない
○:裏面にうっすらと汚れの付着は認められるが、実用上許容される品質である
△:裏面に汚れが認められ、実用上も美観を損ね、実用上問題となる品質である
×:裏面への汚れが明らかに認められ、実用に耐えない品質である
以上により得られた結果を、表5に示す。
【0206】
【表5】

【0207】
表5に記載の結果より明らかな様に、本発明に係る一般式〔I〕で表される化合物を含む発色現像液で連続処理を行う際、更に本発明に係る一般式〔II〕〜〔V〕で表される化合物を共存させることにより、裏面汚れ耐性がより向上することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】自動現像機とハロゲン化銀カラー写真感光材料への焼付機とが一体になったハロゲン化銀カラー写真感光材料用自動現像機の一例を示す全体構成図である。
【符号の説明】
【0209】
AP ハロゲン化銀カラー写真感光材料用の自動現像機
B 写真焼付機
C 補充液部
E 露光部
p シート状のハロゲン化銀カラー写真感光材料
1A 発色現像槽
1B 漂白定着槽
1C、1D、1E、1F 安定化槽(リンス槽)
2A、2B、2E 溶解槽
2C、2D 循環槽
3A、3B、3E 固体処理剤供給装置
4 補充水タンク
6 乾燥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体が白色顔料を含有するプラスチック樹脂フィルムである反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料を、一定のサイズに断裁した後、発色現像工程、漂白定着工程または漂白工程及び定着工程、安定化工程またはリンス工程、及び乾燥工程から構成される処理工程を経て処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法であって、該発色現像工程で用いる発色現像液が、下記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【化1】

〔式中、Lはアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子またはアルキル基を表す。Bはアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。〕
【請求項2】
前記プラスチック樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料を、130mm以下の送り幅で搬送して処理することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【請求項4】
前記発色現像液が、下記一般式〔II〕〜〔V〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【化2】

〔式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を表し、R2は水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し、R3及びR4は独立に水素原子、水酸基、アルキル基または−COOM4(M4は水素原子またはアルカリ金属原子を表す)を表し、Xは−CO−または−SO2−を表し、Yは−O−、−S−または−CONR5−(R5は水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表す)を表し、M3は水素原子またはアルカリ金属原子を表し、kは0または1、m1は0〜2の整数、n1は1〜3の整数を表す。〕
一般式〔III〕
6−(O)xSO36
〔式中、R6は脂肪族基またはヘテロ環基を表し、xは0または1を表し、M6は水素原子またはカチオンを表す。〕
【化3】

〔式中、R1は炭素原子数1ないし2のアルキル基、または水素原子を表し、R2は炭素原子数1ないし3のアルキル基、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、または水素原子を表し、R3は水素原子または水酸基を表す。pは0〜2の整数、rは1〜3の整数を表す。Aはベンゼン環の任意の位置の水素原子に置換されて良い。又、sは0〜50、tは0または1の整数、uは2〜150の整数を表す。〕
一般式〔V〕
HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
〔式中、nは0〜200の整数を表し、mは0〜50の整数を表し、mとnが同時に0になることはない。〕
【請求項5】
前記発色現像液の処理温度が、38℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。

【図1】
image rotate