説明

ハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

【課題】 本発明の目的は、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像性を変動させることなく、酸化劣化耐性に優れ、安定性の高いハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像処理液用添加剤組成物を提供することであり、また、酸化劣化耐性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【解決手段】 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成に用いる発色現像処理液に添加するハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物であって、下記一般式(1)で表される化合物を15質量%以上含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関し、更に詳しくは、発色現像プロセスにおいて発色現像液の空気酸化による劣化を防止し、長期間にわたって安定した処理特性が得られるハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理は、基本的には、発色現像工程と脱銀工程との2工程から構成されており、脱銀工程は漂白工程と定着工程または、漂白定着工程から構成されている。この他には、付加的な処理工程として、例えば、リンス処理、安定化処理などが加えられる。
【0003】
発色現像工程で用いられる発色現像液は、主に、発色現像主薬、酸化防止剤、バッファー剤等を含有しており、これらの添加剤を含む発色現像液の中でも、特に、発色現像主薬の酸化を防ぐため、従来から、酸化防止剤(保恒剤ともいう)として、ヒドロキシルアミン塩、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体等が広く用いられている。ヒドロキシルアミン誘導体の具体的化合物としては、特開平1−298351号公報に記載されており、例えば、ジエチルヒドロキシルアミンなどが知られている。
【0004】
近年、デジタルカメラの普及により、フィルム自動現像機、ペーパー自動現像機などを有するプリント店においては、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量は減少の一途をたどっている。一方、コンビニエンスストア、大型スーパーマーケットの営業時間の長時間化により、それらの店舗に設置されている自動現像機の温調時間は、以前より延びており、1日当たり平均10時間〜16時間にわたり所定の温度で加温し続ける状態となっている。すなわち、現像使用液(タンク液)は、長時間にわたり約35〜40℃の温度を保つために攪拌され続けているが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量に応じて補充されるはずの補充液は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量が少ないために、少量しか補充されない状態となる。この結果、現像使用液、補充液ともに空気酸化による劣化が問題となっている。ここで現像使用液とは処理タンク槽内の処理液であり、現像補充液とは現像使用液に対し、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量に応じて添加される処理液である。
【0005】
上記のような状況において、とりわけ発色現像液が酸化されると、現像処理したハロゲン化銀カラー写真感光材料に、適正な発色濃度、例えば、所望の階調特性が得られず、最終的に得られる画像の品質低下を招く結果となる。
【0006】
自動現像機における現像液の酸化による性能劣化を防止する手段としては、例えば、炭酸塩などのpH調整用の添加剤を加える方法(例えば、特許文献1参照。)や、処理量に応じて現像使用液に補充する現像補充液量を増やす方法、あるいは、現像使用液、現像補充液の液面が空気に晒されるのを防止するために、浮板等を液面に浮かべて液が空気と接する面積を減らす方法などが知られている。
【0007】
しかし、これら従来より適用されている現像補充液の補充量を増やしたり、浮板、浮き球を補充タンクに浮かべたりする方法をもってしても、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理後の性能劣化を補いきれない程度まで、近年のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量は減少しているのが現状である。
【0008】
一方、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を自動現像機などにより連続処理する処理方法においては、成分濃度の変化による現像仕上がり性能の変化を避けるため、発色現像液の成分を一定濃度の範囲に保つための手段が必要であり、通常は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量に応じた現像補充液を補充することによって達成されている。
【0009】
このような自動現像機においては、現像補充液の補充量をむやみに増やすことは、現像使用液のpHに影響を与えたり、あるいは処理廃液量を増やしたりしてしまう問題がある。また、過度に多量の現像補充液を補充すると、逆に現像主薬の通常状態での酸化劣化による消失以上の現像主薬が現像使用液に補充される結果となり、成分濃度が通常の連続運転において変動する一定範囲を超えて変動し、例えば、過度に現像活性となる条件となり、同様に、最終的に得られる画像の品質低下を招く。
【0010】
また、保恒剤としては、ジエチルヒドロキシルアミンを用いた処理方法(例えば、特許文献2参照。)や、従来から知られているヒドロキシルアミン塩、亜硫酸塩などを用いる方法が知られており、これらの保恒剤をより多く現像使用液や現像補充液に添加しておく方法も考えられる。しかし、亜硫酸塩は保恒効果も大きが、反面、多量に発色現像液に添加すると、現像主薬の発色工程における現像性を阻害することが、例えば、「写真工学の基礎」日本写真学会編に記載されており、発色工程での現像性が阻害されると、上記と同様に最終的に得られる画像の品質が低下することとなる。
【0011】
他の保恒剤であるヒドロキシルアミン塩やジエチルヒドロキシルアミンに関しても、現像主薬の現像作用を阻害したり、その化合物自体がハロゲン化銀カラー写真感光材料に悪影響を与えたりして、結局、最終的に得られる階調に変動を与えるため、むやみに多く添加することはできないのが現状である。ただし、現像補充液を調製するための濃縮組成物に添加する場合には、常に処理量に応じた一定量の現像補充液が現像使用液に補充される結果、現像使用液における現像主薬の濃度変動が一定範囲に保たれ、発色現像主薬、抑制剤、階調調整剤とのバランスによって、保恒剤の添加量を適宜増減させることはできる。保恒効果を高めるためにヒドロキシルアミン塩を増量した場合には、現像主薬も増量し、現像使用液中で各種成分のバランスが一定範囲に保たれれば、階調の変動も少なく問題は低減される。このため、発色現像液の補充液を調製する際に、濃縮組成物を使用して、濃縮組成物の保恒剤濃度を適宜調整する、あるいは濃縮組成物中の保恒剤を2種以上併用する等の方法が通常とられている。
【0012】
一方、従来の現像補充液の補充量を増やす方法とは別に、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理量の少ない自動現像機においては、処理量の少ない時期だけ、適宜、保恒剤を含む添加剤組成物を現像使用液、あるいは現像補充液などの処理液に直接添加して使用するという方法も考えられる。添加剤組成物とは、写真用、例えばハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成を行うための処理に必要とされる処理液、すなわち現像使用液または現像補充液に添加することを目的とした組成物であり、粉体形態の添加剤組成物、濃縮水溶液形態の濃縮添加剤組成物などが挙げられる。すなわち、処理量に応じて補充される現像補充液を調製するために使用される濃縮組成物の他に、粉体、又は濃縮水溶液として提供される添加剤組成物であり、現像使用液に直接添加されたり、現像補充液に添加されたりして使用される。
【0013】
上述のように、添加剤組成物として必要な成分を、必要な時期に、必要とする処理液に直接添加する使用方法は、即効性もあり、大きな効果を発揮する場合もあるが、「処理液の成分を一定範囲に保つ」という自動現像機における連続運転の原則から外れる使用方法であるため、注意を要する方法でもある。特に、添加剤組成物を発色現像液に使用する場合、発色現像液の成分の変動は、最終的に得られる画像の品質に大きく影響するため、特に注意が必要である。
【0014】
これまで知られている保恒剤である亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、ジエチルヒドロキシルアミン等を、不定期に使用される添加剤組成物として提供すると、処理量の少ない自動現像機に対しては、発色現像液の空気酸化による劣化を一時的に抑えることは可能となるが、前述のごとく保恒剤自体が現像主薬の発色工程を阻害したりして、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色濃度に影響を与えるため、現像使用液における保恒剤濃度が、添加剤組成物を使用する場合と使用しない場合で大きく変動し、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色濃度が大きく変動してしまう結果となる。
【0015】
このように、不定期に使用される添加剤組成物として保恒剤を含む組成物を使用する場合、保恒剤自体の影響で発色濃度が変動し、最終的に得られる画像の品質が一定でなくなるという問題を抱えているのが現状である。
【特許文献1】特開2004−109738号公報
【特許文献2】特開平1−298351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像性を変動させることなく、酸化劣化耐性に優れ、安定性の高いハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像処理液用添加剤組成物を提供することであり、また、酸化劣化耐性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0018】
(請求項1)
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成に用いる発色現像処理液に添加するハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物であって、下記一般式(1)で表される化合物を15質量%以上含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【0019】
【化1】

【0020】
〔式中、R1、R2は、それぞれ水素原子またはアルキル基を表す。ただし、R1とR2の少なくとも一方はアルキル基であって、かつ少なくとも1つのアルキル基がカルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基で置換されている。また、R1とR2を構成する炭素数の合計は3以上、8以下である。〕
(請求項2)
水溶液であって、前記一般式(1)で表される化合物を15質量%以上、70質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【0021】
(請求項3)
前記一般式(1)で表される化合物が、少なくともカルボキシ基またはスルホ基を有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【0022】
(請求項4)
前記水溶液のpHが、4以上、13以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【0023】
(請求項5)
酸素透過係数が40ml/m2・atm・day以下のプラスチック容器に充填されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【0024】
(請求項6)
下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【0025】
一般式(2)
X−R−SO3
〔式中、Xはヒドロキシル基、ハロゲン基、アルコキシ基、スルホ基、硫酸エステルまたはスルホニルハライドを表す。Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、MはLi、Na、KまたはNH4を表す。〕
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物を、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成に供する発色現像補充液または発色現像使用液に添加して処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像性を変動させることなく、酸化劣化耐性に優れ、安定性の高いハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像処理液用添加剤組成物を提供することができ、また、酸化劣化耐性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0028】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成に用いる発色現像処理液に添加するハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物であって、前記一般式(1)で表される化合物を15質量%以上含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物を用いることにより、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像性を変動させることなく、酸化劣化耐性に優れ、安定性の高いハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0029】
なお、本発明の発色現像処理液用添加剤組成物とは、発色現像液の現像使用液または現像補充液に付加的に添加して使用することを特徴とする組成物をいう。
【0030】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0031】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物(以下、単に添加剤組成物ともいう)では、前記一般式(1)で表される化合物を15質量%以上含有することを特徴とする。
【0032】
前記一般式(1)においては、R1、R2はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。ただし、R1とR2の少なくとも一方はアルキル基であって、かつ少なくとも1つのアルキル基がカルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基で置換されている。また、R1とR2を構成する炭素数の合計は3以上、8以下である。
【0033】
前記一般式(1)において、R1とR2の少なくとも一方はアルキル基であって、そのアルキル基の炭素数の合計は、3以上、8以下である。アルキル基の炭素数の合計が3未満である場合、あるいは炭素数の合計が3以上であっても、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基により置換されていないアルキル基である場合には、添加剤組成物を添加したり、添加しなかったり、という使用形態で使用されると、添加した場合と添加しない場合での現像性が異なり、最終的に得られる画像の品質が一定でなくなるという問題が発生する。また、R1、R2で表されるアルキル基が、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基により置換されていてもその総炭素数が9以上の場合には、保恒性が低下するため好ましくない。本発明でいう炭素数の合計とは、例えば、アルコキシ基で置換されたアルキル基の場合は、アルコキシ基を構成する炭素数も含める。
【0034】
1、R2で表されるアルキル基は、カルボキシル基またはスルホ基で置換されていることが特に好ましい。この場合、カルボキシル基またはスルホ基は、アルカリ金属塩やアンモニウム塩等の塩であってもよい。
【0035】
以下、本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示した化合物に限定されるものではない。
【0036】
1−1:HO−N(CH2CH2SO3H)2
1−2:HO−N(CH2CH2SO3Na)2
1−3:HO−N(CH2CH2COOH)2
1−4:HO−N(CH2CH2COOK)2
1−5:HO−NH−CH2CH2CH2SO3
1−6:HO−N(CH2CH2OH)2
1−7:HO−N(CH2CH2CH2SO3H)2
1−8:HO−N(CH2CH2OCH32
【0037】
【化2】

【0038】
本発明においては、前記一般式(1)で表される化合物を、発色現像処理液用添加剤組成物中に15質量%以上含有することを特徴とする。なお、本発明の発色現像処理液用添加剤組成物は、粉体、顆粒、錠剤等の固体であってもよいし、水溶液であってもよい。本発明の発色現像処理液用添加剤組成物が水溶液である場合には、前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、15質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上、50質量%以下である。
【0039】
本発明の発色現像処理液用添加剤組成物においては、上述した本発明に係る一般式(1)で表される化合物と共に、前記一般式(2)で表される化合物を含有することが、本発明の目的効果をより一層発揮できる観点から好ましい。本発明に係る前記一般式(2)で表される化合物を併用することにより、添加剤組成物を長期間にわたり保管した場合でも、本発明に係る一般式(1)で表される化合物の劣化がより抑制される。
【0040】
一般式(2)
X−R−SO3
上記一般式(2)において、Xはヒドロキシル基、ハロゲン基、アルコキシ基、スルホ基、硫酸エステルまたはスルホニルハライドを表す。アルコキシ基は置換基を有するものも含む。Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、MはLi、Na、KまたはNH4を表す。
【0041】
以下、本発明に係る一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示した化合物に限定されるものではない。
【0042】
2−1:HO−CH2CH2−SO3
2−2:HO−CH2CH2−SO3Na
2−3:HO−CH2CH2−SO3
2−4:HO−CH(CH3)CH2−SO3Na
2−5:HO−CH2CH(CH3)−SO3Na
2−6:HO−CH2CH2CH2−SO3Na
2−7:HO−CH2CH(C25)−SO3Na
2−8:HO3SO−CH2CH2−SO3
2−9:NaO3SO−CH2CH2−SO3Na
2−10:KO3SO−CH2CH2−SO3
2−11:HO3S−CH2CH2−SO3
2−12:NaO3S−CH2CH2−SO3Na
2−13:Cl−CH2−SO3
2−14:Br−CH2CH2−SO3Na
2−15:Br−CH(CH3)CH2SO3Na
2−16:ClO2S−CH2CH2SO3
2−17:NaO3S−CH2CH2−O−CH2CH2SO3Na
【0043】
【化3】

【0044】
本発明の発色現像処理液用添加剤組成物には、添加後の発色現像使用液またはその補充液のpHが、添加前のpHから変化しないように、pH調整剤を含有させることができる。また、本発明の発色現像処理液用添加剤組成物が水溶液である場合には、添加剤組成物自体の安定性の観点から、pHとして4〜13の範囲に調整されていることが好ましい。pH調整のための好ましいアルカリ剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましい酸としては、例えば、硫酸、硝酸などが挙げられる。
【0045】
本発明の発色現像処理液用添加剤組成物は、例えば、カルシウムやマグネシウムによる沈澱防止や安定性向上のため、各種キレート剤を含有させることができ、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。
【0046】
また、本発明の発色現像処理液用添加剤組成物には、必要に応じて、蛍光増白剤を含有させることができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販のジアミノスチルベン系増白剤を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号等の各公報に記載の化合物が好ましい。その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。
【0047】
また、本発明の発色現像処理液用添加剤組成物には、保管中にカビやバクテリアが発生しないよう各種の防黴剤を含有させることができる。例えば、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾリン−3−オン、ベンズイソチアゾリン−3−オン、o−フェニルフェノール、p−クロロ−m−クレゾールなどが挙げられる。このほか、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典−原体編−」(防菌防黴 1998 VOL.26)に記載されている公知の防菌防黴剤を使用することができる。
【0048】
本発明の発色現像処理液用添加剤組成物が顆粒や錠剤等の固体である場合、結合剤や賦形剤を含有させることができる。結合剤や賦形剤は、発色現像処理に影響が小さい化合物が好ましく、例えば、ソルビット、マンニットなどの糖アルコール、リボース、ラクトースなどの単糖類および二糖類、デキストリン、ポリエチレングリコール(平均分子量1000〜10000)などの水溶性高分子化合物が挙げられる。
【0049】
本発明の発色現像処理液用添加剤組成物を保存する容器には、内容物に応じた公知の材料を適宜選択して用いることができるが、酸素透過係数が40ml/m2・atm・day(温度20℃、相対湿度65%)以下のプラスチック容器に充填されていることが好ましく、さらに好ましくは20ml/m2・atm・day以下のプラスチック容器に充填することにより、本発明の効果をより顕著に奏する。
【0050】
なお、酸素透過係数は、「O2パーミエイション オブ プラスチック コンテイナー,モダーン パッキング」(O2 permeation of plasticcontainer,Modern Packing;N.J.Calyay,1968)の12月号第143〜145頁に記載された方法により測定することができる。
【0051】
本発明に用いる容器を形成するプラスチック包装材としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等の酸素透過係数の小さいプラスチックよりなるシート;あるいはこれらのシートにアルミニウム等の金属箔をラミネートしてなるシートもしくはアルミニウム等の金属を蒸着してなるシート;またこれらのシートをポリエチレンあるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体等よりなるシートに貼り合わせてなる積層シート;等を用いることができる。またこれらのシートを単独で用いて容器を形成してもよいし、複数のシートを組合わせて用いて容器を形成してもよい。
【0052】
これらのプラスチック包装材のなかでも、酸素透過係数が小さいこと、容器の形体にしたときの強度が大きいこと、容器に容易に加工できる点から、特にポリ塩化ビニリデン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を好ましく用いることができる。
【0053】
容器の具体的な形態としては、特に限定されないが、例えば、瓶タイプ、キュービックタイプ、ピロータイプ等のいずれの形態であってもよい例えばキュービックタイプの容器を得る場合には、上記の如きプラスチック包装材を用い共押出しにより積層材として成型することもできる。特にコンパクトで取扱いが容易な点から、フレキシブルなピロータイプの容器が好ましい。
【0054】
容器の外壁を形成するシートが1枚である場合には、当該シートの酸素透過係数が既述のように40ml/m2・atm・day以下であることが好ましいが、容器の外壁を形成するシートが2枚である場合には、これら2枚のシートの全体における酸素透過係数が40ml/m2・atm・day以下であればよい。外壁を形成するシートとしては、1層構成のプラスチックシート、複数のプラスチックシートを貼り合わせてなる多層構成のプラスチックシート等を用いることができる。また、プラスチックシートとしては、プラスチックのみよりなるシートであってもよいし、プラスチックシートに金属箔もしくは紙等をラミネートしてなるシートであってもよいし、プラスチックシートに金属の蒸着膜を設けてなるシートであってもよい。
【0055】
1層構成のプラスチックシートとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリビニリデンクロライド等よりなるプラスチックシート;これらのプラスチックシートにアルミニウム等よりなる金属箔あるいは紙等をラミネートしてなるシート;上記プラスチックシートにアルミニウム等の金属を蒸着してなるシート;等を挙げることができる。複数のプラスチックシートを貼り合わせてなる多層構成のプラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/ポリエチレンの3層構成、延伸ポリプロピレン/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/ポリエチレンの3層構成、未延伸ポリプロピレン/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/ポリエチレンの3層構成、ナイロン/アルミニウム箔/ポリエチレンの3層構成、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/ポリエチレンの3層構成、セロファン/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンの4層構成、アルミニウム箔/紙/ポリエチレンの3層構成、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンの4層構成、ナイロン/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンの4層構成、紙/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンの4層構成、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレンの4層構成、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレート/高密度ポリエチレンの4層構成、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/ポリエチレン/低密度ポリエチレンの4層構成、ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/ポリプロピレンの2層構成、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/ポリプロピレンの3槽構成、紙/アルミニウム箔/ポリエチレンの3層構成、特に好ましくは、ポリエチレン/ポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレン/エチルビニルアセテート・ポリエチレン縮合物の4層構成、ポリエチレン/ポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレンの3層構成、エチルビニルアセテート・ポリエチレン縮合物/ポリエチレン/アルミニウム蒸着ナイロン/ポリエチレン/エチルビニルアセテート・ポリエチレン縮合物の5層構成、アルミニウム蒸着ナイロン/ナイロン/ポリエチレン/エチルビニルアセテート・ポリエチレン縮合物の4層構成、延伸ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレンの3層構成、ポリエチレン/ポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレン/ポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレンの5層構成、延伸ポリプロピレン/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/低密度ポリエチレンの3層構成、延伸ポリプロピレン/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/未延伸ポリプロピレンの3層構成、ポリエチレンテレフタレート/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/低密度ポリエチレンの3層構成、延伸ナイロン/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/低密度ポリエチレンの3層構成、未延伸ナイロン/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体/低密度ポリエチレンの3層構成、等を挙げることができる。
【0056】
また、酸素透過係数が40ml/(m2・atm・day)以下であるプラスチックシートに、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等よりなる酸素透過係数は大きいが柔軟性の高いプラスチックシートを貼り合わせてなる多層構成のプラスチックシートを用いて容器を形成する場合には、十分な酸素の不透過性能が得られるうえ、ピンホールの生じにくい耐久性の優れた容器を得ることができる。
【0057】
容器の外壁を形成するシートの厚さは、具体的にはその構成材料によって異なり、一概に規定することはできないが、概ね5〜1500μm程度が好ましく、特に好ましくは10〜500μmである。
【0058】
本発明の添加剤組成物は、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラープリント材料等のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理を行う、従来公知のいずれの処理プロセスと発色現像処理液に適用することができる。
【0059】
本発明の添加剤組成物は、発色現像処理液に添加することにより高い保存安定性を得ることができるが、他の脱銀工程の処理液、例えば、漂白液、漂白定着液などに誤って添加したとしても脱銀工程を阻害することはない。
【0060】
本発明の添加剤組成物を適用することができる具体的な処理プロセスとしては、例えば、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムである場合には、コニカミノルタフォトイメージング社のプロセスCNK−4、イーストマン・コダック社のプロセスC−41、ECN−2、富士写真フィルム社のプロセスCN−16、アグファ社のプロセスAP70等を挙げることができ、また、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラープリント材料である場合では、例えば、コニカミノルタフォトイメージング社のプロセスCPK−2、イーストマン・コダック社のプロセスRA−4、富士写真フィルム社のCP−48S、アグファ社のプロセスAP94等の名称で行なわれているプロセスが挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
本発明の添加剤組成物を用いて処理されるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、支持体上に、感光性ハロゲン化銀乳剤層、例えば、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層と、非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及びシアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0062】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の構成要素の一例が、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
【0063】
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion,Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0064】
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RD17643号23〜27頁、RD18716号647〜650頁、RD307105号866〜868頁、及び、873〜879頁、RD36544号501〜541頁に記載のものを挙げることができる。これらのRDは、有用なハロゲン化銀乳剤(ネガまたはポジ型)及びその調製方法、各種増感剤、色素形成カプラー、画像色素安定化剤、染料、紫外線吸収剤、フィルター、バインダー、硬膜剤、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤、スタチック防止剤、マット剤、紙及びフイルム支持体、あるいはネガ像及びポジ像形成カラー要素の種々の画像形成法等に関するものである。分光増感色素、強色増感剤については、いかなるものを用いても良いが、例えば、上記のRDに記載されているものが挙げられる。
【0065】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を適用可能なハロゲン化銀カラー写真感光材料の具体例としては、市販のカラーネガフィルムとしては、例えば、コニカミノルタ・センチュリアスーパーフィルム(以上、コニカミノルタフォトイメージング社製)、フジカラー・スペリアフィルム、フジカラー・リアラエース(以上、富士写真フイルム社製)、コダック・ゴールドフィルム、コダック・マックスビューティーフィルム(以上、イーストマン・コダック社製)、アグフアカラー・ビスタフィルム(以上、アグフア社製)(いずれも商品名)などの製品群が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また本発明は「シングルユースカメラ」として市販されている撮影材料にも適用することができる。また、市販カラープリント材料としては、例えば、コニカミノルタQAペーパー(コニカミノルタフォトイメージング社製)、フジカラー・クリスタル・アーカイブペーパー、フジカラー・スーパーFAペーパー(以上、富士写真フイルム社製)、コダック・エクタカラー・エッジペーパー、コダック・エクタカラー・ロイヤルペーパー(以上、イーストマン・コダック社製)、アグフアカラー・タイプペーパー、アグフアカラー・プレステージペーパー(以上、アグフア社製)(いずれも商品名)などの製品群が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0067】
実施例1
《添加剤組成物の調製》
表1に記載の各化合物の30gを、水70gに添加、溶解した後、pHを50%硫酸または50%水酸化カリウムを用いて、10.00に調整して、添加剤組成物1〜12を調製した。
【0068】
《発色現像液の調製》
〔発色現像液使用液1の調製〕
下記各添加剤を順次混合、溶解して、カラーネガフィルム用の発色現像液使用液1を調製した。
【0069】
亜硫酸ナトリウム 13g
炭酸カリウム 35g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 3g
臭化ナトリウム 1.5g
4,5−ジヒドロシキベンゼン−1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.2g
ヒドロキシルアミン硫酸塩 3g
N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩(CD−4) 5.2g
水で1Lに仕上げ、pHを50%硫酸または50%水酸化カリウムを用いて10.00に調整した。
【0070】
〔発色現像液使用液2の調製〕
上記の調製した発色現像液使用液1の1Lに、上記調製した添加剤組成物1を20g添加して、添加剤組成物を含む発色現像液使用液2を調製した。
【0071】
〔発色現像液使用液3〜13の調製〕
上記発色現像液使用液2の調製において、添加剤組成物1に代えて、添加剤組成物2〜12をそれぞれ用いた以外は同様にして、発色現像液使用液3〜13の調製した。
【0072】
なお、表1に略称で記載した各化合物の詳細は、以下の通りである。
【0073】
HAS:ヒドロキシルアミン硫酸塩
DMHA:ジメチルヒドロキシルアミン
SEHA:スルホエチルヒドロキシルアミン
DEHA:ジエチルヒドロキシルアミン
【0074】
【化4】

【0075】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理》
発色工程では、上記調製した発色現像液使用液1〜13をそれぞれ使用し、漂白以降の工程では、下記の市販のコニカミノルタ社製のカラーネガティブフィルム用処理剤を所定量の水で希釈した使用液を使用して、5400°Kでウェッジ露光を施したカラーネガフィルムであるコニカミノルタCenturia Super 400 (コニカミノルタフォトイメージング社製)を下記の現像条件に従って現像処理1〜13を行った。
【0076】
〔処理条件〕
〈処理工程〉 〈処理時間〉 〈処理温度〉 〈使用する処理液〉
発色現像 3分15秒 38.0℃ 表1に記載の発色現像液使用液
漂白 45秒 38.0℃ 漂白剤:*1
定着−1 45秒 38.0℃ 定着剤:K−52N3R
定着−2 45秒 38.0℃ 同上
安定−1 30秒 38.0℃ *2
安定−2 30秒 38.0℃ 同上
安定−3 30秒 38.0℃ 同上
乾燥 1分00秒 55.0℃
*1:K−52N2R及びK−52N2S
*2:安定化剤:スーパースタビライザー K−52N4R
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評価》
〔最大濃度Dmaxの測定〕
上記方法に従って現像処理を行ったハロゲン化銀カラー写真感光材料のウェッジ画像濃度をX−rite社製の透過濃度計により測定し、横軸に露光量T(対数)、縦軸に透過濃度Dをプロットしたイエロー、マゼンタ、シアンの各特性曲線を作成し、イエロー、マゼンダ、シアンの各色画像の最大濃度Dmax2を測定した。
【0077】
次いで、添加剤組成物を添加していない発色現像液使用液1を用いた処理で得られた特性曲線のイエロー、マゼンダ、シアンの各色画像の最大濃度をDmax1とし、下式に従って各添加剤組成物の添加による各画像の最大濃度変動幅ΔDmax1を求めた。
【0078】
最大濃度変動幅ΔDmax1=最大濃度Dmax1−最大濃度Dmax2
〔現像品質安定性の評価〕
上記作成した添加剤組成物を添加していない発色現像液使用液1を用いた処理で作成した特性曲線を基準として、各添加剤組成物を添加した処理で作成したイエロー、マゼンタ、シアンの各特性曲線について比較検討し、下記の基準に従って現像品質安定性の評価を行った。
【0079】
○:各色の特性曲線の変動が、基準に対し極めて小さくほぼ近似の特性を示した
△:各色の特性曲線の変動がやや認められるが、プリント品質への影響が小さく実用上許容される品質である
×:各色の特性曲線の変動が大きく、また各色の変動幅が異なり、プリント品質への影響が大きい
〔発色現像液使用液の保存安定性の評価〕
300mlビーカーに、上記調製した各発色現像液使用液をそれぞれ150ml採取し、時計皿で蒸発を防ぐようにフタをした状態で、38℃の恒温槽に入れ、7日間、開口保存を行い、これを保存処理品とした。次いで、200mlのプラスチックボトルに、150mlの発色現像液使用液を入れ、密栓した状態で5℃の冷蔵庫に保存して、これを保存基準品とした。
【0080】
次いで、保存処理品及び保存基準品中の発色現像主薬(N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩)の定量を、液体クロマトグラフィ法(HPLC法)を用いて、逆相系のカラムを用いてHPLC装置により分離し、定量分析を行った。下式に従って、発色現像主薬残存率を測定し、これを発色現像液使用液の保存安定性の尺度とした。
【0081】
発色現像主薬残存率=保存処理品の発色現像主薬量/保存基準品中の発色現像主薬量×100(%)
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1に記載の結果から明らかなように、発色現像主薬残存率の結果からは、いずれの添加剤組成物においても現像主薬の酸化劣化を抑える効果は認められるが、現像処理特性は、添加剤組成物で用いた化合物が一般式(1)で示すR1とR2を構成する炭素数の合計が3未満である場合、または3以上であっても無置換のアルキル基である場合には、最大画像濃度の変動が大きく、現像処理品質に与える影響が大きい。また、R1とR2を構成する炭素数の合計が3以上で、かつ本発明で規定する置換基で置換されたアルキル基を有する化合物は、添加剤組成物とした場合にも、添加しない場合に比べて画像濃度の変動が小さく、実用上問題とならないため、添加剤組成物として使用可能であることが分かる。また、発色現像主薬残存率の結果より、R1、R2を構成する炭素数の合計が8以下の場合に、保存安定性(保恒性)に優れ、更にR1、R2を構成するアルキル基の置換基が、カルボキシル基、スルホ基の場合に、特に、保恒性に優れていることが分かる。
【0084】
実施例2
《添加剤組成物の調製》
例示化合物1−2を、表2に記載の濃度となる量採取し、これにジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウムを1g、適量の水を加えて攪拌、溶解し、最後に水を加えて総量を100gに仕上げ、pHを50%硫酸、または50%水酸化カリウムを用いて8.00に調整して、添加剤組成物13〜20を調製した。
【0085】
《添加剤組成物の高温保存安定性1の評価》
上記調製した各添加剤組成物を、酸素透過係数が16ml/m2・atm・dayのプラスチック容器に入れ、密栓して50℃の恒温槽中で1ヶ月間保存した。次いで、保存前及び保存後の例示化合物1−2量を、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)法により定量し、下式に従って例示化合物1−2の残存率を求め、これを高温保存安定性1の尺度とした。
【0086】
化合物残存率=高温保存後の例示化合物1−2量/保存前の例示化合物1−2量×100(%)
《添加剤組成物の低温保存安定性の評価》
各添加剤組成物をガラスビンに入れ、密栓して0〜5℃の冷蔵庫で1週間保存し、保存後のサンプル溶液中の析出物状況を目視で確認した。次いで、実施例1に記載の発色現像液使用液1Lに低温保存後の各添加剤組成物を20g添加し溶解性を目視観察し、下記の基準に従って添加剤組成物の低温保存安定性の評価を行った。
【0087】
◎:澄明に溶けており、低温保存後も析出物の発生が見られず、また発色現像液使用液に添加しても全く問題はない
○:低温保存後に析出物が僅かに発生しているが、室温で澄明に溶解し、また発色現像液使用液に添加しても全く問題はない
△:低温保存で析出物の発生が認められ、室温放置でも析出物は溶解しないが、発色現像液使用液に添加すると溶解し、実用上許容される品質である
×:低温保存で析出物が多数発生し、発色現像液に添加しても溶けずに実用上問題となる品質である
以上により得られた結果を表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
表2に記載の結果から明らかなように、例示化合物1−2を15質量%未満含有する添加剤組成物は、高温保存時に例示化合物1−2自体が分解して、その成分が減少してしまう。これに対し、例示化合物1−2の濃度が15質量%以上である場合には、高温保存後でも良好に例示化合物1−2が残存している。一方、低温保存の結果より、70質量%を越えた濃度の場合、低温保存で析出物がやや発生するが、発色現像液に添加すると溶けるので、実用上は問題ない品質である。例示化合物1−2の濃度が70質量%以下、特に50質量%以下の場合、低温保存後も析出物の発生がなく、低温保存性が良好であることが分かる。
【0090】
実施例3
《添加剤組成物の調製》
例示化合物1−2の40gに、ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウムを1g、適量の水を加えて攪拌、溶解し、最後に水を加えて総量を100gに仕上げ、50%硫酸、または50%水酸化カリウムを用いて、表3に記載のpHに調整して、添加剤組成物21〜27を調製した。
【0091】
《添加剤組成物の高温保存安定性2の評価》
上記調製した各添加剤組成物を、酸素透過係数が16ml/m2・atm・dayのプラスチック容器に入れ、密栓して50℃の恒温槽中で2ヶ月間保存した。次いで、保存前及び保存後の例示化合物1−2量を、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)法により定量し、下式に従って例示化合物1−2の残存率を求め、これを高温保存安定性2の尺度とした。
【0092】
化合物残存率=高温保存後の例示化合物1−2量/保存前の例示化合物1−2量×100(%)
以上により得られた結果を、表3に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
表3に記載の結果から明らかなように、添加剤組成物のpHが4以上、13以下の場合、高温保存後にも例示化合物1−2の分解が抑制され、高い残存率を示していることが分かる。
【0095】
実施例4
《高温保存処理済みの添加剤組成物の調製》
実施例3で調製した添加剤組成物25(pH:10.00)を、プラスチック容器の厚み及び材質を適宜調整して、表4に記載の酸素透過係数を備えた各プラスチック容器に充填、密栓して50℃1ヶ月間保存して、高温保存処理済みの添加剤組成物28〜34を調製した。
【0096】
《現像処理》
実施例1に記載の発色現像液使用液1Lに、上記高温保存処理済みの各添加剤組成物を20g添加し、添加剤組成物入りの発色現像液使用液を得た。比較として、添加剤組成物を添加していない発色現像液使用液も同時に調製した。
【0097】
以上のようにして調製した各発色現像液使用液を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして現像処理を行った。
【0098】
《処理特性の評価》
〔マゼンタ最大濃度Dmaxの測定〕
現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料(コニカミノルタCenturia Super 400)のウエッジ画像濃度をX−rite社製の透過濃度計により測定し、マゼンダの最大濃度Dmax4を測定した。
【0099】
次いで、添加剤組成物を添加していない発色現像液使用液を用いた処理で得られた特性マゼンダ最大濃度をDmax3とし、下式に従って各添加剤組成物の添加による各画像のマゼンタ最大濃度変動幅ΔDmax2を求めた。
【0100】
最大濃度変動幅ΔDmax2=最大濃度Dmax3−最大濃度Dmax4
〔現像品質安定性の評価〕
上記作成した添加剤組成物を添加していない発色現像液使用液を用いた処理で作成した特性曲線を基準として、各添加剤組成物を添加した処理で作成したイエロー、マゼンタ、シアンの各特性曲線について比較検討し、下記の基準に従って現像品質安定性の評価を行った。
【0101】
○:各色の特性曲線の変動が、基準に対し極めて小さくほぼ近似の特性を示した
△:各色の特性曲線の変動がやや認められるが、プリント品質への影響が小さく実用上許容される品質である
×:各色の特性曲線の変動が大きく、また各色の変動幅が異なり、プリント品質への影響が大きい
以上により得られた結果を、表4に示す。
【0102】
【表4】

【0103】
表4に記載の結果から明らかなように、酸素透過係数が40ml/m2・atm・day以下のプラスチック容器中で保存した添加剤組成物は、マゼンダの最大画像濃度の変動が小さく、現像処理品質が特に良好であることが分かる。
【0104】
実施例5
《発色現像液の調製》
〔カラーペーパー用発色現像液使用液Aの調製〕
下記の各添加剤を順次混合、溶解してカラーペーパー用の発色現像液使用液Aを調製した。
【0105】
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 3.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 5.0g
亜硫酸ナトリウム 0.4g
ジエチルヒドロキシルアミン 4.5g
4−(N−エチル−N−2−メタンスルホニルアミノエチル)−2−メチルフェニレンジアミン硫酸塩1水和物(発色現像主薬CD−3) 9.0g
炭酸カリウム 35.0g
KCl 3.5g
水で1Lに仕上げ、pHを50%硫酸または50%水酸化カリウムを用いて10.1に調整した。
【0106】
〔カラーペーパー用発色現像液使用液B〜Hの調製〕
上記調製した発色現像液使用液Aの1Lに、実施例1で調製した添加剤組成物1(化合物:HAS)、添加剤組成物2(化合物:DMHA)、添加剤組成物4(化合物:DEHA)、添加剤組成物5(例示化合物1−2)、添加剤組成物6(例示化合物1−4)、添加剤組成物7(例示化合物1−6)、添加剤組成物9(例示化合物1−8)をそれぞれ20g添加して、添加剤組成物入りの発色現像液使用液B〜Hを調製した。
【0107】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理》
発色工程では、上記調製した発色現像液使用液A〜Hをそれぞれ使用し、漂白以降の工程では、下記の市販のコニカミノルタ社製のカラーペーパー用処理剤を所定量の水で希釈した使用液を使用して、5400°Kでウェッジ露光を施したカラーペーパーであるコニカミノルタQAペーパー(コニカミノルタフォトイメージング社製)を下記の現像条件に従って現像処理A〜Hを行った。
【0108】
〔処理条件〕
〈処理工程〉 〈処理時間〉 〈処理温度〉 〈使用する処理液〉
発色現像 22秒 40.0℃ 表1の発色現像液使用液
漂白定着 22秒 38.0℃ 漂白定着補充剤 K−28P2R
安定−1 20秒 38.0℃ *3
安定−2 20秒 38.0℃ 同上
安定−3 20秒 38.0℃ 同上
乾燥 30秒 70〜85℃
*3:スーパースタビライザー補充剤 K−P3R
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評価》
〔最大濃度Dmaxの測定〕
上記方法に従って現像処理を行ったハロゲン化銀カラー写真感光材料のウェッジ画像濃度をX−rite社製の反射濃度計により測定し、横軸に露光量T(対数)、縦軸に透過濃度Dをプロットしたイエロー、マゼンタ、シアンの各特性曲線を作成し、イエロー、マゼンダ、シアンの各色画像の最大濃度Dmax6を測定した。
【0109】
次いで、添加剤組成物を添加していない発色現像液使用液Aを用いた処理で得られた特性曲線のイエロー、マゼンダ、シアンの各色画像の最大濃度をDmax5とし、下式に従って各添加剤組成物の添加による各画像の最大濃度変動幅ΔDmax3を求めた。
【0110】
最大濃度変動幅ΔDmax3=最大濃度Dmax5−最大濃度Dmax6
〔現像品質安定性の評価〕
上記作成した添加剤組成物を添加していない発色現像液使用液Aを用いた処理で作成した特性曲線を基準として、各添加剤組成物を添加した処理で作成したイエロー、マゼンタ、シアンの各特性曲線について比較検討し、下記の基準に従って現像品質安定性の評価を行った。
【0111】
○:各色の特性曲線の変動が、基準に対し極めて小さくほぼ近似の特性を示した
△:各色の特性曲線の変動がやや認められるが、プリント品質への影響が小さく実用上許容される品質である
×:各色の特性曲線の変動が大きく、また各色の変動幅が異なり、プリント品質への影響が大きい
〔発色現像液使用液の保存安定性の評価〕
300mlビーカーに、上記調製した各発色現像液使用液をそれぞれ150ml採取し、時計皿で蒸発を防ぐようにフタをした状態で、38℃の恒温槽に入れ、7日間、開口保存を行い、これを保存処理品とした。次いで、200mlのプラスチックボトルに、150mlの発色現像液使用液を入れ、密栓した状態で5℃で冷蔵保存して、これを保存基準品とした。
【0112】
次いで、保存処理品及び保存基準品中の発色現像主薬(4−(N−エチル−N−2−メタンスルホニルアミノエチル)−2−メチルフェニレンジアミン硫酸塩1水和物)の定量を、液体クロマトグラフィ法(HPLC法)を用いて、逆相系のカラムを用いてHPLC装置により分離し、定量分析を行った。下式に従って、発色現像主薬残存率を測定し、これを発色現像液使用液の保存安定性の尺度とした。
【0113】
発色現像主薬残存率=保存処理品の発色現像主薬量/保存基準品中の発色現像主薬量×100(%)
以上により得られた結果を、表5に示す。
【0114】
【表5】

【0115】
表5に記載の結果から明らかなように、発色現像主薬残存率の結果からは、いずれの添加剤組成物においても現像主薬の酸化劣化を抑える効果は認められるが、現像処理特性は、一般式(1)で示すR1とR2を構成する炭素数の合計が3未満である場合、または3以上であっても無置換のアルキル基である場合には、最大画像濃度の変動が大きく、現像処理品質に与える影響が大きい。また、R1とR2を構成する炭素数の合計が3以上で、かつ本発明で規定する置換基で置換されたアルキル基を有する化合物は、添加剤組成物とした場合にも、添加しない場合に比べて画像濃度の変動が小さく、実用上問題とならないため、添加剤組成物として使用可能であることが分かる。
【0116】
実施例6
《添加剤組成物の調製》
〔添加剤組成物35の調製〕
下記の各添加剤を順次添加、溶解して添加剤組成物35を調製した。
【0117】
例示化合物1−2 40g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 1g
水を加えて100gに仕上げ、pHを50%硫酸または50%水酸化カリウムを用いて8.0に調整した。
【0118】
〔添加剤組成物36、37の調製〕
上記添加剤組成物35の調製において、一般式(2)の例示化合物2−2、2−17をそれぞれ4g添加した以外は同様にして、添加剤組成物36、37を調製した。
【0119】
《添加剤組成物の高温保存安定性3の評価》
上記調製した各添加剤組成物を、酸素透過係数が16ml/m2・atm・dayのプラスチック容器に入れ、密栓して50℃の恒温槽中で3ヶ月間保存した。次いで、保存前及び保存後の例示化合物1−2量を、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)法により定量し、下式に従って例示化合物1−2の残存率を求め、これを高温保存安定性3の尺度とした。
【0120】
化合物残存率=高温保存後の例示化合物1−2量/保存前の例示化合物1−2量×100(%)
以上により得られた結果を、表6に示す。
【0121】
【表6】

【0122】
表6に記載の結果から明らかなように、添加剤組成物が、本発明に係る一般式(1)で表される化合物に、更に一般式(2)で表される化合物を含有することにより、高温保存時の例示化合物1−2の分解が更に抑制されていることが分かる。
【0123】
実施例7
《添加剤組成物の調製:水溶液形態》
下記添加剤を順次混合、溶解して添加剤組成物を調製した。
【0124】
例示化合物1−2 40g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 1g
水を加えて100gに仕上げ、pHは50%硫酸、または50%水酸化カリウムを用いてpHを8.00に調整した。
【0125】
《添加剤組成物の作製:錠剤型形態》
例示化合物1−2の5000gと、結合剤としてポリエチレングリコール(#6000)の500gを秤量し、(株)松坂技研社製のレーディゲミキサー(商品名;M−20型)に投入した。ミキサーの回転数を250rpm、チョッパーの回転数を3000rpmとし、3分間プレ混合した。次いで、チョッパーを停止し、ミキサーの回転数を250rpmに維持したまま、70℃の温水をウォータージャケットに循環させることで、レーディゲミキサーを加熱し、結合剤が溶融して顆粒状になるまで練り合わせた。なお、この時の顆粒温度は約58℃であった。
【0126】
次いで、ミキサーの回転数を100rpmにするとともに、ウォータージャケットに15℃の冷水を循環させて、レーディゲミキサーを冷却し、顆粒温度が35℃まで冷えたところで排出した。
【0127】
出来上がった顆粒を、菊水製作所(株)社製のタフプレスコレクト1527HU(ロータリー式打錠機)により加圧圧縮し、錠剤型の添加剤組成物を得た。臼杵は錠剤直径30mm用を使用し、1錠の質量は10gとした。打錠条件は、予圧力30MPa、本圧力100MPaとし、ターンテーブルの回転数は10rpmとした。
【0128】
《カラーネガ用自動現像機を用いた連続処理》
自動現像機は、コニカミノルタフォトイメージング社製のKP46QAを改造したものを使用し、下記の処理条件で連続処理を行った。
【0129】
連続処理は、処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料としてウエッジ露光を施したコニカミノルタCenturia Super 400 (コニカミノルタフォトイメージング社製)を使用した。連続処理は1日あたり30本のハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理し、発色現像液のトータル補充量がタンク容量と同じになる(1ラウンド)まで行った。
【0130】
処理液は、コニカミノルタフォトイメージング社製のカラーネガティブフィルム用処理剤タイプ52を使用した。具体的には、発色現像液は発色現像剤K−52N1R、漂白液は漂白補充剤K−52N2R、定着液は定着補充剤K−52N3R、安定化液にはスーパースタビライザーK−52N4Rを使用した。
【0131】
〔処理条件〕
〈処理工程〉 〈処理時間〉 〈処理温度〉 〈補充量:ml/24exp〉
発色現像 3分15秒 38.0±0.3℃ 20.1
漂白 45秒 38.0±0.3℃ 5.0
定着−1 45秒 38.0±0.3℃ カスケードフロー
定着−2 45秒 38.0±0.3℃ 33.0
安定−1 20秒 38.0±0.3℃ カスケードフロー
安定−2 20秒 38.0±0.3℃ カスケードフロー
安定−3 20秒 38.0±0.3℃ 44.0
乾燥 1分00秒 55.0℃
〔添加剤組成物の添加方法〕
発色現像剤K−52N1Rを用いて希釈、溶解して発色現像補充液及び発色現像使用液を調製する時には、添加剤組成物を添加しない状態で調製し、補充タンクと処理タンクにそれぞれ装填した。
【0132】
連続処理を行い、補充タンクの発色現像補充液が無くなり、次に発色現像補充液を調製する時に、発色現像剤K−52N1Rを用いて所定の希釈率で希釈、溶解して5Lの発色現像液補充液を調製し、この補充液に上記調製した添加剤組成物の水溶液を100g全て添加した。
【0133】
更に、連続処理を継続し、次に補充タンクの発色現像補充液を調製する時に、発色現像剤K−52N1Rを用いて、添加剤組成物を添加しないで補充液とした。そして、この時の連続処理においては、現像処理タンクへ通じるフィルター槽(補充液がポンプから補充される部分)に、直接、上記調製した固体の添加剤組成物を、1日おきに1錠ずつ添加し、同様に連続処理を行った。
【0134】
《現像処理特性の評価》
現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料のウエッジ画像濃度をX−rite社製の透過濃度計により測定し、実施例1に記載の方法と同様にして現像品質安定性の評価を行った結果、添加剤組成物の使用の有無によって、特性曲線は変動せず、現像処理品質は一定であった。更に、添加剤組成物を添加した場合に、補充液に水溶液として添加する、使用液に固体として添加する、等の使用形態の変化によっても、特性曲線は変動せず、現像処理品質は一定であることを確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成に用いる発色現像処理液に添加するハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物であって、下記一般式(1)で表される化合物を15質量%以上含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【化1】

〔式中、R1、R2は、それぞれ水素原子またはアルキル基を表す。ただし、R1とR2の少なくとも一方はアルキル基であって、かつ少なくとも1つのアルキル基がカルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基で置換されている。また、R1とR2を構成する炭素数の合計は3以上、8以下である。〕
【請求項2】
水溶液であって、前記一般式(1)で表される化合物を15質量%以上、70質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物が、少なくともカルボキシ基またはスルホ基を有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【請求項4】
前記水溶液のpHが、4以上、13以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【請求項5】
酸素透過係数が40ml/m2・atm・day以下のプラスチック容器に充填されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
【請求項6】
下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物。
一般式(2)
X−R−SO3
〔式中、Xはヒドロキシル基、ハロゲン基、アルコキシ基、スルホ基、硫酸エステルまたはスルホニルハライドを表す。Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、MはLi、Na、KまたはNH4を表す。〕
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理液用添加剤組成物を、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成に供する発色現像補充液または発色現像使用液に添加して処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。