説明

ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

【課題】 本発明の目的は、低補充化や高温処理を行っても、処理タンク中での沈殿発生が抑制され、高濃度に発色現像主薬を溶解しても発色現像主薬の保恒性が十分保たれ、かつカルシウムイオンが混入した場合の保存安定性の改良がされ、カブリ濃度安定性が向上したハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像液濃縮組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式〔1〕で表される化合物を含有し、かつN−ヒドロキシアルキル置換−p−フェニレンジアミン系発色現像主薬及び下記一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体を含有する1パート構成の濃縮物であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【化1】


一般式〔2〕 HO−N(R1)−L−A

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関し、詳しくは長期間にわたる保存性安定性、カルシウムイオンが混入した際の保存安定性、及びカブリ濃度安定性が改良されたハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発色現像剤組成物は、目的の画像を提供するカラー写真フィルム、カラーペーパー等に代表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理するのに用いられている。このような発色現像剤組成物は、一般的に、還元剤として発色現像主薬、例えば、4−アミノ−3−メチル−N−(2−メタンスルホンアミドエチル)アニリン等を含有し、ハロゲン化銀カラー写真感光材料中に含有されている色画像生成カプラーと反応して所望の色素を形成する。発色現像主薬としては、例えば、米国特許第4,892,804号、同第4,876,174号、同第5,354,646号及び同第5,660,974号等の各明細書に、各種の発色現像組成物が記載されている。
【0003】
上述のような発色現像処理を用いてハロゲン化銀カラー写真感光材料を連続処理する際には、現像反応時に消費するか、もしくは処理されるハロゲン化銀カラー写真感光材料によって系外に持ち出される処理液成分を補充するため、処理槽の発色現像液に「発色現像補充液」を添加する補充方式が一般的に行われている。この様な補充方式をとることにより、現像レベルと発色現像主薬の安定性が維持できるように設計されている。
【0004】
また、上記のように、発色現像液中には発色現像主薬を含有させ、ハロゲン化銀カラー写真感光材料中のカプラーと反応させて色素を形成するが、一般に、発色現像主薬自身は空気中の酸素によって酸化されやすいため、通常は保恒剤と呼ばれる酸化防止剤を発色現像液に添加する方法がとられている。発色現像液の保恒剤としては、古くからヒドロキシルアミン誘導体が知られており、例えば、特開平1−298351号公報にはモノあるいはジ置換されたヒドロキシルアミン誘導体が記載されている。また、米国特許第6,028,225号明細書にも同様の保恒剤が開示されている。
【0005】
近年、処理時間の短縮や環境保全を目的とした補充量低減がますます求められており、これらの目的を達成するため、発色現像液中に発色現像主薬を高濃度に添加したり、処理温度を上げることが必要になってきている。ところが、補充量が低くなり発色現像液の更新率が低下したり、高温処理において発色現像液が劣化しやすい状況が発生している。このような条件では、上記の保恒剤を用いたとしても、発色現像主薬に対し十分な保恒性を維持することができないことが判明してきた。
【0006】
発色現像液の調合に用いる発色現像液組成物は、通常、使用直前に混合される3つ以上の「パート(part)」もしくは、溶液に分離した形でユーザーに供給される。各組成物を複数のパートに分離することによって、成分の化学活性度や溶解度を維持することができ、例えば、1つのパートとした場合には、アルカリ性条件下で長時間保存すると劣化したり、相互に反応が生じてしまう。この様な3つ以上のパートから構成される発色現像液組成物としては、例えば、あるパートは発色現像主薬を含有し、もう一つのパートはアルカリ性を保つためのアルカリ剤を含有し、さらに、別のパートは保恒剤等を含有する。これら全てのパートと水とを混合することにより、均質な発色現像液を得ることができる。
【0007】
写真業界では、発色現像液の調製、特に、補充液を調製するのに使用するパートの数を減らす要望が存在し、これらの要望に対し、例えば、ready to useタイプの溶液、濃縮物もしくは粉剤配合物等が当該分野で市販されている。更に、例えば、欧州特許第793,141号明細書には、固体形態、あるいは液体形態で供給できる2パート発色現像組成物が開示されている。
【0008】
最適な処理性能を提供するためには、一般的に、写真処理槽中の処理液成分の濃度を一定の範囲に保たなければならないことが知られている。そのような写真処理における最も重要な溶媒は水であり、ここで使用する無機塩も有機塩も水への溶解度が重要となる。しかしながら、ready to useタイプの溶液は使い勝手はいいものの、全ての成分を目的濃度にしているため多量の水を含み、製造、輸送及び貯蔵のコストが高くなっている。そのために、写真業界では、製造者及びユーザーが、大量の水について、輸送もしくは貯蔵に費用をかける必要が無いように、濃縮形態で写真処理組成物(発色現像組成物を含む)を提供し、より小さな容器での使用を可能とする傾向がある。更に、写真業界では、種々の成分を混合する必要が無く(それによって、混合ミスを減らす)、その容器から出して直ぐ使用できる処理組成物が要望されている。
【0009】
一方、他の濃縮形態としては、例えば、欧州特許第204,372号及び第800,111号明細書に記載されているような薬剤ペーストもしくはスラリーである。しかしながら、これら提案されている配合物は、他の欠点、即ち、均質性に欠けるあるいは固体成分の溶解速度が遅い等の課題を抱えているのが現状である。
【0010】
上記の問題を克服した発色現像組成物の単一調合物が市販されているが、沈殿物もしくは複数の溶媒相が存在するために、使用前に良く攪拌するか混合する必要がある。そのため、複数相組成物を良く攪拌するための適切な装置が必要となる。
【0011】
均質で濃縮され、かつ安定な単一組成の発色現像濃縮組成物の要望が写真業界では継続してある。そのような発色現像濃縮組成物は、大量の水によって希釈された溶液を搬送し保存するコストを削減できるばかりでなく、複数パートを混合するか複数相組成物を攪拌する必要性を無くし、ユーザーに魅力的な製品を提供する。
【0012】
上述のような課題を解決するための方法が種々提案されており、例えば、フリーベースの発色現像主薬を有機溶媒に溶解する方法(例えば、特許文献1参照。)や、アルキルスルホン酸を含有させた発色現像組成物(例えば、特許文献2参照。)が知られている。あるいは、有機溶媒で発色現像主薬のパート部とそれ以外のパートの2層に分離したシングルパートキット形態も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0013】
しかしながら、上記の各特許文献で開示されている方法では、低温保存時の析出性には有効であるが、高温保存時の処理液組成の劣化に問題を抱えており、保存後に発色現像処理液を調合して現像処理を行うと、処理タンク中に沈殿が発生することが判明した。特に、溶解水にカルシウムイオンの混入がある場合にこの傾向が加速されることが明らかになった。
【特許文献1】米国特許第6,077,651号明細書
【特許文献2】特開2001−109115号公報
【特許文献3】ドイツ特許第19,916,933号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、第1の目的は、低補充化や高温処理を行っても、処理タンク中での沈殿発生が抑制されたハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像液濃縮組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することであり、第2の目的は、高濃度に発色現像主薬を溶解しても、発色現像主薬の保恒性が十分保たれるハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像液濃縮組成物を提供することである。第3の目的は、カルシウムイオンが混入した場合の保存安定性の改良がされ、更にカブリ濃度安定性を向上したハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像液濃縮組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0016】
(請求項1)
下記一般式〔1〕で表される化合物を含有し、かつN−ヒドロキシアルキル置換−p−フェニレンジアミン系発色現像主薬及び下記一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体を含有する1パート構成の濃縮物であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【0017】
【化1】

【0018】
〔式中、Rは水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立して−CX2(OH)CHX1−であり、X1及びX2はそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、またはX1及びX2が一緒になって5〜8員の炭素環を形成するのに必要な炭素原子を表す。n及びmはそれぞれ1〜100の整数を表す。〕
一般式〔2〕
HO−N(R1)−L−A
〔式中、Lはアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アルコキシル基、−O−(B−O)n−R2基または置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基またはアルキルスルホニル基を有するアリール基を表し、Bはアルキレン基を表し、R2は水素原子またはアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。R1は水素原子またはアルキル基を表す。また、LとR1が連結して環を形成してもよい。〕
(請求項2)
前記一般式〔1〕で表される化合物と亜硫酸とのモル比が、1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【0019】
(請求項3)
下記一般式〔3〕で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【0020】
【化2】

【0021】
〔式中、R3〜R6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アシルオキシ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、またはフェニル基を表す。ただし、R3がヒドロキシル基または水素原子を表す場合、R5が水素原子であることはない。〕
(請求項4)
臭化物を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【0022】
(請求項5)
請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物を3倍以上に希釈して調製した発色現像処理液を用いて、像様露光したハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像し、その後脱銀工程を行うことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0023】
(請求項6)
前記発色現像処理液の補充量が、ハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり300〜500mlであることを特徴とする請求項5記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、低補充化や高温処理を行っても、処理タンク中での沈殿発生が抑制され、高濃度に発色現像主薬を溶解しても発色現像主薬の保恒性が十分保たれ、かつカルシウムイオンが混入した場合の保存安定性の改良がされ、カブリ濃度安定性が向上したハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像液濃縮組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0026】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、前記一般式〔1〕で表される化合物を含有し、かつN−ヒドロキシアルキル置換−p−フェニレンジアミン系発色現像主薬及び前記一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体を含有する1パート構成(以下、シングルパートともいう)の濃縮物であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物により、低補充化や高温処理を行っても、処理タンク中での沈殿発生が抑制され、高濃度に発色現像主薬を溶解しても発色現像主薬の保恒性が十分保たれ、かつカルシウムイオンが混入した場合の保存安定性の改良がされ、カブリ濃度安定性が向上したハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像液濃縮組成物を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0027】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0028】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像液濃縮組成物(以下、単に発色現像液濃縮組成物ともいう)では、前記一般式〔1〕で表される化合物を含有することを1つの特徴とする。
【0029】
前記一般式〔1〕において、Rは水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立して−CX2(OH)CHX1−であり、X1及びX2はそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、またはX1及びX2が一緒になって5〜8員の炭素環を形成するのに必要な炭素原子を表す。n及びmはそれぞれ1〜100の整数を表す。
【0030】
以下に、本発明に係る一般式〔1〕で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物のみに限定されるものではない。
【0031】
【化3】

【0032】
本発明に係る発色現像処理液においては、本発明に係る一般式〔1〕で表される化合物の含有量は、2×10-4モル/L以上、1×10-1モル/L以下であることが好ましい。
【0033】
また、本発明の発色現像液濃縮組成物では、本発明に係る一般式〔1〕で表される化合物を、1×10-3モル/L以上、5×10-1モル/L以下含有することが好ましい。
【0034】
また、本発明の発色現像液濃縮組成物は亜硫酸塩を含有していることが好ましく、その例としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。本発明に係る一般式〔1〕で表される化合物と亜硫酸とのモル比を1:1〜1:5の範囲とすることにより、本発明の目的効果をより奏する点から好ましい。
【0035】
本発明の発色現像液濃縮組成物においては、上記一般式〔1〕で表される化合物と共に、前記一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体を含有することを特徴とする。
【0036】
前記一般式〔2〕において、L及びBはそれぞれアルキレン基を表し、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキレン基が好ましく、特に炭素数1〜5のものが好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、n−プロピレン、i−プロピレンが好ましい例として挙げられる。L及びBで表されるアルキレン基は置換基を有するものを含み、置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基(このアミノ基はアルキル(好ましくは炭素数1〜5)置換したものを含む)、アルコキシル基が好ましいものとして挙げられ、その中でもカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、が特に好ましい例として挙げられる。
【0037】
Aは、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アルコキシル基、−O−(B−O)n−R2基、置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、またはアルキルスルホニル基を有するアリール基を表し、Aで表されるアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アルコキシル基、−O−(B−O)n−R2基、およびアリール基の置換基であるアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基若しくはアルキルスルホニル基は置換基を有するものを含む。該置換基としてはアルキル基(例えば、メチル、1,1−ジメチル−2−スルホエチル、カルボキシエチル等)、スルホ基が好ましいものとして挙げられる。
【0038】
A及びAがアリール基の場合に該アリール基に置換する置換基の好ましい例としては、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコキシル基が挙げられる。上記の各基がアルキル置換基を有する場合、その好ましいアルキル基は、炭素数1〜5であり、中でもメチル基及びエチル基が好ましい。
【0039】
Aがアンモニオ基を表す場合、一般式〔2〕で表される化合物は、アンモニオ基の対イオンとして硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、塩素イオン、亜硫酸イオンなどを伴ってもよい。また、L及びAがカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基などの酸根を有する置換基を伴う場合は、その酸根の水素は、アルカリ金属原子、アンモニウム原子団と置き代わってもよい。
【0040】
Aが表すアリール基としてはフェニルが好ましい。Aがアルコキシル基の場合はLにはヒドロキシル基が置換していることが好ましく、−L−Aとして3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピルが好ましい。
【0041】
−L−Aの具体例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−プロポキシ−2−ヒドロキシプロピル基、p−カルボキシベンジル基、−(CH2CH22H、−(CH2CH23Hが好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。
【0042】
1は水素原子またはアルキル基を表し、該アルキル基は置換基を有するものを含む。アルキル基としては炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のものが好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。該アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましいものとして挙げられる。上記の置換基として挙げられるアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールスルホニル基は置換基を有するものを含む。該置換基としてはアルキル基、スルホ基が好ましいものとして挙げられる。これらの置換基に含まれるあるいはさらに置換したアルキル基は、炭素数1〜5が好ましく、特に1〜3が好ましい。
【0043】
中でもR1として好ましくは、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を挙げることができ、特に好ましい例としては、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基を挙げることができる。
【0044】
また、L、A、R1、R2の置換基は二つ以上あってもよい。
【0045】
LとR1が連結して環を形成してもよい。LとR1が環形成する場合は、LとR1が直接環形成してAを置換基として有するか、あるいはAがアルキル置換してもよいアミノ基を表し、該アミノ基の窒素原子を介してLとR1が環形成(例えば、ピペラジン環の形成)することもできる。
【0046】
特に好ましい一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体は、総炭素数が1〜8のモノ−又はジ−アルキルヒドロキシルアミンである。
【0047】
以下に、本発明に係る一般式〔2〕で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物のみに限定されるものではない。
【0048】
【化4】

【0049】
【化5】

【0050】
【化6】

【0051】
(2−57)HON(−CH2CH(OH)CH2(OH))2
(2−58)HON(isoC37)CH2CH2SO3
本発明に係る一般式〔2〕で表される化合物は、市販されているヒドロキシルアミン類をアルキル化反応(求核置換反応、付加反応、マンニッヒ反応等)することにより合成することができ、例えば、西ドイツ特許第1,159,634号明細書、「インオルガニカ・ケミカ・アクタ」(Inorganica Chimica Acta)、93、(1984) p101〜108などに記載の合成法に準じて合成できる。また、より具体的な化合物の合成法については、特開平3−266837号公報に記載されている。
【0052】
本発明に係る一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体の添加量は、発色現像濃縮組成物の濃縮度によっても異なるが、いずれも発色現像処理液1リットル当たり0.2g〜100g、好ましくは0.5g〜20gである。
【0053】
本発明発色現像液濃縮組成物においては、一般式〔1〕で表される化合物と、一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体とのモル比は、1:1〜1:30であることが好ましく、より好ましくは1:2〜1:20の範囲である。
【0054】
本発明の発色現像液濃縮組成物においては、前記一般式〔1〕で表される化合物、前記一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体と共に、発色現像主薬として、N−ヒドロキシアルキル置換−p−フェニレンジアミン系発色現像主薬を用いることを特徴とする。
【0055】
N−ヒドロキシアルキル置換−p−フェニレンジアミン系発色現像主薬は、N、N−ジエチル−p−フェニレンジアミン等の水溶性基を有しないパラフェニレンジアミン系発色現像主薬に比べ、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の汚染がなく、かつ皮膚感作性が低いという長所を有するばかりでなく、特に、本発明に係る一般式〔1〕で表される化合物と組み合わせることにより、本発明の目的をより効果的に奏することができる。
【0056】
以下に、本発明に係るN−ヒドロキシアルキル置換−p−フェニレンジアミン系発色現像主薬の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物のみに限定されるものではない。
【0057】
【化7】

【0058】
上記例示したパラフェニレンジアミン系発色現像主薬の中でも、本発明に用いて好ましいのは、例示化合物(C−1)、(C−2)であり、特に好ましくは例示化合物(C−2)である。
【0059】
本発明に係るパラフェニレンジアミン系発色現像主薬は、通常、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩のかたちで用いられる。
【0060】
本発明に用いられる水溶性基を有するパラフェニレンジアミン系発色現像主薬は、通常、発色現像処理液1当たり1×10-2〜2×10-1モルの範囲で使用することが好ましいが、迅速処理の観点から発色現像処理液1当たり1.5×10-2〜2×10-1モルの範囲がより好ましい。
【0061】
本発明の発色現像濃縮組成物においては、上記で規定した構成に加えて、前記一般式〔3〕で表される化合物を含有することが好ましい。
【0062】
前記一般式〔3〕において、R3〜R6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アシルオキシ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、またはフェニル基を表す。R3〜R6で表されるアルキル基、アルケニル基は炭素原子数1〜7が好ましい。また、R3〜R6で表されるアルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アシルオキシ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、フェニル基はそれぞれ置換基を有するものを含む。また、R3がヒドロキシル基または水素原子を表す場合、R5が水素原子であることはない。
【0063】
以下、本発明に係る前記一般式〔3〕で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物のみに限定されるものではない。
【0064】
(3−1)4−イソプロピル−1,2−ジヒドロキシベンゼン
(3−2)1,2−ジヒドロキシベンゼン−3,5−ジスルホン酸
(3−3)1,2,3−トリヒドロキシベンゼン−5−カルボン酸
(3−4)1,2,3−トリヒドロキシベンゼン−5−カルボキシメチルエステル
(3−5)1,2,3−トリヒドロキシベンゼン−5−カルボキシ−n−ブチルエステル
(3−6)5−t−ブチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン
(3−7)1,2−ジヒドロキシベンゼン−3,5,6−トリスルホン酸
(3−8)1,2−ジヒドロキシベンゼン−6−クロロ−3,5−ジスルホン酸
(3−9)1,2−ジヒドロキシベンゼン−3,4,5,6−テトラスルホン酸
上記一般式〔3〕で表される化合物中で、本発明において特に好ましく用いられる化合物としては、例示化合物(3−2)1,2−ジヒドロキシベンゼン−3,5−ジスルホン酸がが挙げられ、これらはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩などとしても使用することができる。
【0065】
また、本発明に係る一般式〔3〕で表される化合物は、発色現像処理液1L当り、0.01〜1.0gの範囲で使用することができ、好ましくは0.02〜0.3g、さらに好ましくは0.05〜0.2gであり、上記の添加量範囲で本発明に係る一般式〔3〕で表される化合物を用いることにより、本発明の目的効果をより奏することができる。
【0066】
また、本発明に係る一般式〔3〕で表される化合物は、単独で用いても、あるいは2種以上組み合わせて用いても良い。また、アミノトリ(メチレンホスホン酸)もしくはエチレンジアミンテトラリン酸等のアミノポリホスホン酸、クエン酸もしくはグルコン酸等のオキシカルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等のホスホノカルボン酸、トリポリリン酸もしくはヘキサメタリン酸等のポリリン酸等のその他のキレート剤と組み合わせて使用しても良い。
【0067】
本発明の発色現像液濃縮組成物においては、更に下記一般式〔4〕で表される化合物を含有することが好ましい。
【0068】
一般式〔4〕
HO−(W−O)n−H
上記一般式〔4〕において、Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、または−CH2CH(CH3)−を表し、nは1〜30の整数を表す。
【0069】
以下、本発明に係る前記一般式〔4〕で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物のみに限定されるものではない。
【0070】
(4−1)エチレングリコール
(4−2)ジエチレングリコール
(4−3)トリエチレングリコール
(4−4)テトラエチレングリコール
(4−5)プロピレングリコール
(4−6)ジプロピレングリコール
(4−7)トリプロピレングリコール
(4−8)ポリエチレングリコール#200(平均分子量200)
(4−9)ポリエチレングリコール#300(平均分子量300)
(4−10)ポリエチレングリコール#400(平均分子量400)
(4−11)ポリエチレングリコール#600(平均分子量600)
(4−12)ポリエチレングリコール#1000(平均分子量1000)
(4−13)ポリプロピレングリコール(平均分子量400)
(4−14)ポリプロピレングリコール(平均分子量700)
本発明に係る発色現像処理液においては、上記一般式〔4〕で表される化合物を10g/L以上、100g/L以下含有することが好ましい。また、本発明の発色現像濃縮組成物においては、上記一般式〔4〕で表される化合物を50g/L以上、700g/L以下含有することが好ましい。
【0071】
本発明の発色現像濃縮組成物は、シングルパート構成であることを特徴とするが、その濃縮率が1.2倍以上、10倍以下であることが好ましく、特に好ましくは3.0倍以上、10倍以下である。濃縮率が3.0倍以上であれば、保管スペースや輸送上の観点及び本発明の効果の点からより好ましく、上限としては、濃縮状態での安定性や溶解性などの点から5倍以下であることがより好ましい。
【0072】
本発明でいうシングルパートとは、発色現像処理液に必要な成分(例えば、アルカリ、現像主薬、保恒剤等)を全て含んでいるキット、すなわち、従来広く用いられていた発色現像主薬を含有するパート、アルカリ性を保つための素材(アルカリ剤)を含有するパート、更に、酸化防止剤等を含有するパートといったそれぞれの目的機能にあわせて、個別のパートで構成されている多構成パートに対し、本発明でいうシングルパートとは、上記の様な各発色現像組成物を、全て1つのパートで構成したものである。
【0073】
高濃縮した本発明のシングルパート構成の発色現像濃縮組成物は、水等により1.2倍以上、10倍以下、好ましくは3.0倍以上、10倍以下に希釈した発色現像処理液(ワーカー液)あるいは発色現像補充液を調製して、像様露光したハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像処理し、次いで脱銀処理を施す。よって、本発明でいう濃縮率とは、以下の様に定義することができる。
【0074】
濃縮率=発色現像処理液(ワーカー液)あるいは発色現像補充液の容積/シングルパート発色現像濃縮組成物の容積。
【0075】
次いで、本発明の発色現像濃縮組成物のその他の構成要素について説明する。
【0076】
発色現像液には、上記説明した本発明に係る保恒剤の他に、下記に示す保恒剤の使用を制限するものではない。保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、芳香族第一級アミン発色現像主薬の劣化速度を減じる化合物全般を指している。即ち、発色現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であり、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などを挙げることができる。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
【0077】
その他、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンの如き特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
【0078】
また、本発明の発色現像濃縮組成物は、発色現像主薬を高濃度に含有させるためにpHを高く設定することが好ましく、好ましいpHは12.0以上の範囲にあり、更に好ましくは12.5〜13.5の範囲にある。それから調製される発色現像液や現像補充液は好ましくはpH9.5以上、より好ましくは9.7〜12.5で用いられる。また、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含ませることができる。
【0079】
発色現像処理液を調整したときに、上記pHを保持する観点からは、下記に示す緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH10.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カプリなど)がなく、安価であるといった観点から好ましい緩衝剤である。
【0080】
上記緩衝剤の例示化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0081】
緩衝剤は、反応・消費される成分ではないので、その濃度は、発色現像処理液及びその補充液ともに1リットルあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルになるように組成物または濃縮組成物中の添加量が決められる。
【0082】
本発明の発色現像濃縮組成物には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像処理液及びその補充液ともに1リットルあたり0.001〜0.2モル、好ましくは0.01〜0.05モルになるように濃縮組成物中の添加量を決めることが好ましい。
【0083】
本発明の発色現像濃縮組成物には、必要に応じて、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0084】
また、本発明の発色現像濃縮組成物には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販のニアミノスチルベン系増自剤を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkol BRKが好ましい。
【0085】
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。上記した蛍光増白剤の添加量としては、発色現像処理液及びその補充液とした時、1リットルあたり0.1ミリモル〜0.1モルとなるよう濃縮組成物中の添加量を決ることが好ましい。
【0086】
また、本発明の発色現像濃縮組成物を用いたカラーネガフィルム用の発色現像液では、通常臭素イオンを0.2×10-2〜15.0×10-2モル/リットル、好ましくは0.5×10-2〜5.0×10-2モル/リットル含有することが多いが、臭素イオンは、通常現像の副生成物として発色現像処理現像液に放出されるので、本発明の発色現像濃縮組成物においては、実質的に臭化物を含まないことが好ましい。また、沃素イオンを0.2×10-3〜15.0×10-3モル/リットル、好ましくは0.5×10-3〜5.0×10-3モル/リットル含有することが多いが、沃素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されることもあり、逆に未現像ハロゲン化銀に吸着して消費されることもあるので、発色現像処理液中の沃素イオン濃度を維持するために補充液には添加不要のこともあり、または補充液にも添加することもある。また、本発明の発色現像濃縮組成物を用いたカラーペーパー用の発色現像処理液中に臭素イオンが含まれる場合は、1.0×10-3モル/リットル以下であるが、本発明の発色現像濃縮組成物においては、実質的に臭化物を含まないことが好ましい。
【0087】
また、本発明において、処理方法で適用されうる発色現像の処理温度は、現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、30〜55℃が好ましく、より好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、5〜90秒が好ましく、より好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。一方、カラーネガフィルムの発色現像処理の場合は、現像温度は20〜55℃が好ましく、より好ましくは30〜55℃であり、更に好ましくは35〜45℃である。発色現像処理時間は、20秒〜6分が好ましく、より好ましくは30〜220秒である。
【0088】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法においては、補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり100〜800mlが適当であり、好ましくは200〜500mlであるが、本発明では、特に発色現像処理液の補充量を300〜500mlとすることが好ましい。なお、本発明でいう発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程(例えば、漂白定着液)に入るまでの時間をいう。自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程に向けて液外を搬送される時間(いわゆるクロスオーバータイム)との両者の合計を発色現像時間という。また、クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。
【0089】
上記説明した構成からなる本発明の発色現像濃縮組成物は、酸素透過率が50ml/(m2・day・atm)以下の容器に収容されていることが好ましく、酸素透過係数が20ml/(m2・atm・day)以下の包装材料で包装されることがより好ましい。特に長期間保存した際に、容器内部での沈澱物の生成が低減され、外気による影響を著しく改良でき、その結果、長期間に亘り発色現像組成物及び包装容器を安定に保つことができる。
【0090】
本発明の発色現像濃縮組成物の収納に適用できる容器の形態としては、ボトル容器形態、ピロー形態、スタンディングパウチ形態等、気密性が維持された任意の形態からなる容器を用いることができ
るが、中でも、本発明の発色現像濃縮組成物は長期保存した際にも分解ガス等の発生が抑制される特性を備えているため、取り扱い性に優れた可撓性容器を用いることが好ましい。
【0091】
本発明に係る容器の材質としては、紙、ガラス、プラスティック等いかなる材質でもよいが、酸素透過度の下限は、ゼロでも良いが、実際的な容器の密閉性を踏まえた下限は0.1ml/(m2・day・atm)程度である。
【0092】
本発明でいう酸素透過係数の測定は、常法に従い、JIS 1707で規定されている方法に準じて求めることができる。
【0093】
本発明の発色現像濃縮組成物を用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法においては、露光を施したハロゲン化銀カラー写真感光材料を、本発明の発色現像処理液濃縮液を希釈して用いた発色処理工程(発色現像液)に続いて、漂白工程(漂白液)、定着工程(定着液)あるいは漂白定着工程(漂白定着液)、安定化工程(安定化液)を経て、乾燥する。
【0094】
また、それぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、あるいは補充用漂白定着液、補充用安定化液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。
【0095】
本発明において、漂白液あるいは漂白定着液において用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸などのアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸および有機ホスホン酸などの錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸;過硫酸塩;過酸化水素などが好ましい。
【0096】
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄などとアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットルが好ましく、より好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
【0097】
漂白液あるいは漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージャー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
【0098】
その他、漂白液あるいは漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、グリコール酸などのpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸およびこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジンなどの腐蝕防止剤などを添加することができる。
【0099】
定着液あるいは漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.1〜5.0モルが好ましく、更に好ましくは0.3〜2.0モルの範囲である。漂白定着液または定着液のpH領域は、3〜10が好ましく、更には5〜9が特に好ましい。
【0100】
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
【0101】
漂白液、定着液、漂白定着液は、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。
【0102】
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加してもよい。また、漂白液、定着液、漂白定着液のアンモニウムカチオン濃度は作業性の点からは全カチオンに対して50mol%以下であること好ましいが、処理性の点からはアンモニウムカチオン濃度が50mol%以上であること好ましい。
【0103】
また、本発明の処理方法に適用されうる、漂白定着工程に要する時間は90秒以下であることが好ましく、より好ましくは45秒以下である。ここでいう漂白定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また。漂白定着液の温度は20〜70℃が好ましく、望ましくは25〜50℃である。また、漂白定着液の補充量は200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜100ml/m2である。
【0104】
漂白処理液の補充量は、200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは50ml/m2〜200ml/m2である。また、漂白工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう漂白工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。定着処理液の補充量は、600ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜500ml/m2である。また、定着工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。
【0105】
次に、リンスまたは安定化工程及びそこで用いる処理液について説明する。
【0106】
安定化工程で用いるリンスまたは安定化液には、キレート剤(エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、蛍光増白剤(トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(亜鉛塩、マグネシウム塩等)等、通常安定化液に含有せしめる成分を適宜用いることができる。
【0107】
更にリンスまたは安定化液には、液保存性の点からp−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリールスルフィン酸などを含有させてもよく、亜硫酸塩、重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩も含有させることが好ましい。亜硫酸塩を放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの塩は安定化液中に少なくとも1×10-3モル/L以上になるような量が添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-3モル/L〜5×10-2モル/Lになるように添加されることである。
【0108】
安定化工程の好ましいpHは4〜10が好ましく、更に好ましくは5〜8である。
【0109】
安定化工程の温度は、処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には15〜45℃が好ましく、より好ましくは20〜40℃である。時間は任意に設定できるが短い方が処理時間の低減の見地から望ましい。好ましくは5秒〜1分45秒、更に好ましくは10秒〜1分であるが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合には、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることが好ましく、またハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムである場合には、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒であることが好ましい。
【0110】
補充量は、少ない方がランニングコスト、排出量減、取扱い性等の観点で好ましい。
【0111】
具体的な好ましい補充量は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料、単位面積あたり前浴からの持込み量の0.5〜50倍が好ましく、より好ましくは3倍〜40倍である。またはハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり1リットル以下が好ましく、より好ましくは500ml以下である。また補充は連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
【0112】
本発明の処理方法においては、安定化液を用いた安定化工程の構成としては、1槽で構成されていても、あるいは2層以上で構成されていても良いが、好ましくは2槽以上で構成された多段向流方式を用いることが好ましい。
【0113】
多段向流方式とは、複数に分割された安定化槽において、感光材料の搬送方向の下流から上流にかけて安定化液が多段の各分割安定化槽にオーバーフローしながらハロゲン化銀写真感光材料の搬送路に沿って流れ、安定化処理がなされる方式である。
【0114】
本発明の発色現像濃縮組成物を用いた処理方法に適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料としては、支持体上にハロゲン化銀感光性層を有する多種多様の写真要素、例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができる。
【0115】
本発明の発色現像濃縮組成物を用いた処理方法に適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、支持体上に、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層および非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0116】
本発明の発色現像濃縮組成物を用いた処理方法に適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料の具体的な構成としては、例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
【0117】
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion, Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0118】
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
化学増感剤 996 III−A項 23 648
分光増感剤 996 IV−A−A、
B、C、D、 23〜24 648〜649
H、I、J項
強色増感剤 996 IV−A−E、J項
23〜24 648〜649
カブリ防止剤 998 VI 24〜25 649
安定剤 998 VI 24〜25 649
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕〔RD17643〕〔RD18716〕
色濁り防止剤 1002VII−I項 25 650
色素画像安定剤 1001VII−J項 25
増白剤 998V 24
紫外線吸収剤 1003VIII−I項、
XIII−C項 25〜26
光吸収剤 1003VIII 25〜26
光散乱剤 1003VIII
フィルター染料 1003VIII 25〜26
バインダー 1003IX 26 651
スタチック防止剤1006XIII 27 650
硬膜剤 1004X 26 651
可塑剤 1006XII 27 650
潤滑剤 1006XII 27 650
活性剤・塗布助剤1005XI 26〜27 650
マット剤 1007XVI
現像剤(ハロゲン化銀カラー写真感光材料に含有)
1001XXB項
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
【0119】
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕
イエローカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
マゼンタカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
シアンカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
カラードカプラー 1002VII−G項 VIIG項
DIRカプラー 1001VII−F項 VIIF項
BARカプラー 1002VII−F項
その他の有用残基放出 1001VII−F項
カプラー
アルカリ可溶カプラー 1001VII−E項
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することが出来る。
【0120】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることも出来る。
【0121】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることが出来る。
【実施例】
【0122】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0123】
実施例1
《発色現像濃縮組成物の調製》
下記の各添加剤を順次混合、溶解して、発色現像濃縮組成物1−1〜1−10を調製した。
【0124】
〔発色現像濃縮組成物の組成:発色現像補充液5L当たりの添加量〕
亜硫酸ナトリウム 表1に記載の添加量
炭酸カリウム 200g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 15g
臭化カリウム 0.15g
一般式〔1〕で表される化合物(表1に記載の種類) 表1に記載の添加量
一般式〔2〕で表される化合物(表1に記載の種類) 表1に記載の添加量
発色現像主薬:例示化合物(C−3)の硫酸塩 30g
pH 10.20
水で濃縮率が5倍となるように水で1Lに仕上げ、pHは50%硫酸または水酸化カリウムで調整した。例えば、1Lの発色現像濃縮組成物を、水で5Lに仕上げて発色現像補充液を調製する場合、濃縮率が5倍となる。
【0125】
《発色現像濃縮組成物の評価》
〔保存安定性の評価1:発色現像主薬残存率の測定〕
上記調製した各発色現像濃縮組成物をそれぞれ密閉容器に入れ、50℃の恒温槽中で1ヶ月間の保存処理を行った後、未処理の発色現像濃縮組成物と上記保存処理済みの発色現像濃縮組成物中の発色現像主薬(例示化合物(C−3)の硫酸塩)を下記の方法に従って測定し、下式により発色現像主薬残存率を求めた。
【0126】
発色現像主薬(例示化合物(C−3)の硫酸塩)の定量は、液体クロマトグラフィ法(HPLC法)を用いて、逆相系のカラムを用いてHPLC装置により分離し、定量分析を行った。次いで、下式に従って、発色現像主薬残存率を測定し、これを発色現像濃縮組成物の保存安定性の尺度とした。
【0127】
発色現像主薬残存率=(保存処理品の発色現像主薬量/未処理品の発色現像主薬量)×100(%)
〔保存安定性の評価2:析出耐性の評価〕
上記50℃の恒温槽中で1ヶ月間の保存処理を行った各発色現像濃縮組成物の液状態を目視観察し、沈殿物発生の有無を確認した。
【0128】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0129】
【表1】

【0130】
表1に記載の結果より明らかなように、一般式〔1〕で表される化合物と一般式〔2〕で表される化合物を含有する本発明の発色現像濃縮組成物は、比較例に対し、50℃という高温環境下で保存した後でも、発色現像主薬残存率が高く、かつ沈殿物の発生も認められず、高濃縮条件での保存安定性に優れていることが分かる。また、一般式〔1〕で表される化合物と亜硫酸とのモル比を1:1〜1:10、特には1:1〜1:5の範囲とすることがより好ましいことが分かる。
【0131】
実施例2
《発色現像濃縮組成物の調製》
実施例1に記載の発色現像濃縮組成物1−4の調製において、一般式〔3〕で表される化合物を、表2に記載のように添加した以外は同様にして、発色現像濃縮組成物2−1〜2−6を調製した。
【0132】
《発色現像濃縮組成物の評価》
上記調製した発色現像濃縮組成物2−1〜2−6と、実施例1で調製した発色現像濃縮組成物1−4について、実施例1に記載の方法と同様にして保存安定性の評価1(発色現像主薬残存率の測定)と、下記の方法に従って着色耐性の評価を行った。
【0133】
〔保存安定性の評価3:着色耐性の評価〕
実施例1に記載の方法に従って、50℃の恒温槽中で1ヶ月間の保存処理を行った各発色現像濃縮組成物の着色状態を目視観察し、下記の基準に従って着色耐性の評価を行った。
【0134】
○:未処理の発色現像濃縮組成物とほぼ近似の着色状態である
△:未処理の発色現像濃縮組成物に比較し、やや着色が進んでいるが実用上許容される範囲である
×:未処理の発色現像濃縮組成物に比較し、強い着色が認められる
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0135】
【表2】

【0136】
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる発色現像濃縮組成物に、更に本発明に係る一般式〔3〕で表される化合物を共存させることにより、高温環境下で保存した後の発色現像主薬残存率がより向上し、加えて着色耐性が良化していることが分かる。
【0137】
実施例3
《現像処理》
下記の方法に従って、カラーネガフィルム用の処理タンク液及び補充液を調製した。
【0138】
〔各処理液組成〕
(発色現像補充液1)
実施例1に記載の発色現像濃縮組成物1−4を水で5倍希釈して、発色現像補充液1を調製した。
【0139】
(発色現像処理タンク液1)
上記発色現像補充液1を70%(1.43倍)に希釈し、臭化カリウムを1L当たり1.1g添加し、硫酸でpH10.1に調整して、発色現像処理タンク液1を調製した。
【0140】
(発色現像補充液2)
実施例1に記載の発色現像濃縮組成物1−3を水で5倍希釈して、発色現像補充液2を調製した。
【0141】
(発色現像処理タンク液2)
上記発色現像補充液2を70%(1.43倍)に希釈し、臭化カリウムを1L当たり1.1g添加し、硫酸でpH10.1に調整して、発色現像処理タンク液2を調製した。
【0142】
(漂白液:1L当たり)
処理タンク液 補充液
3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄ナトリウム 133g 190g
3−プロピレンジアミン4酢酸 5g 7g
臭化アンモニウム 60g 90g
マレイン酸 40g 60g
コハク酸 10g 15g
pH 4.5 3.5
それぞれ水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水または50%硫酸で調整した。
【0143】
(定着液:1L当たり)
処理タンク液=補充液
チオ硫酸アンモニウム 200g
亜硫酸ナトリウム 15g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 2g
イミダゾール 10g
pH 7.0
(安定化液:1L当たり)
処理タンク液=補充液
m−ヒドロキシベンズアルデヒド 1.0g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.3g
β−シクロデキストリン 0.2g
KOH 0.2g
pH 8.0
水を加えて全量1Lとし、50%硫酸またはアンモニア水でpHを調整した。
【0144】
〔処理条件〕
〈処理工程〉 〈タンク容量〉 〈処理時間〉 〈処理温度〉 〈補充量〉
発色現像 16.4L 3分15秒 38.0℃ 450ml/m2
漂白 5.0L 45秒 35.0℃ 130ml/m2
定着−1 5.0L 45秒 35.0℃ *1
定着−2 5.0L 45秒 35.0℃ 600ml/m2
安定化−1 4.0L 30秒 35.0℃ *2
安定化−2 4.0L 30秒 35.0℃ *3
安定化−3 4.0L 30秒 35.0℃ 1000ml/m2
乾燥 − 1分00秒 60.0℃ −
*1)定着−2→定着−1へのカスケードフロー
*2)安定化−2→安定化−1へのカスケードフロー
*3)安定化−3→安定化−2へのカスケードフロー
〔連続処理〕
発色現像補充液1/発色現像処理タンク液1、発色現像補充液2/発色現像処理タンク液2をそれぞれ用いて、上記で示した処理条件に従って連続処理3−1、3−2を行った。連続処理に使用したカラーネガフィルムは、コニカカラーセンチュリア800、センチュリア400、センチュリア100の各35ミリサイズ、24枚撮り(以上、コニカミノルタフォトイメージング社製)を50:25:25の比率で使用し、これらの各カラーネガフィルムには、市販の一眼レフカメラを用いて、標準的なデーライトシーンを撮影したものを用いた。
【0145】
上記条件に従って、撮影済みの各カラーネガフィルムを上記の比率で、一日当たり本数として50本ずつ処理し、発色現像補充液が発色現像タンク容積の2倍量相当(2Rともいう)補充されるまで連続処理を行った。なお、上記連続処理では、現像処理機としてコニカミノルタフォトイメージング社製の自動現像機KP−46QAを用いた。
【0146】
《処理特性の評価》
上記連続処理において、2Rの連続処理終了時に、ウェッジ露光を施したコニカカラーセンチュリア400(前出)を処理し、現象処理済みの各試料について、透過型濃度計(X−rite社製)を用いて、それぞれのBlue光による最大濃度及び最小濃度(カブリ濃度)を測定した。得られた結果を、表3に示す。
【0147】
【表3】

【0148】
表3に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる発色現像濃縮組成物を用いて連続処理を行った連続処理3−2は、比較例である連続処理3−1に対し、最大濃度が高く、かつカブリ濃度の上昇が抑制されていることが分かる。
【0149】
実施例4
実施例3に記載の連続処理3−2において、発色現像補充液の希釈率及び発色現像補充液の補充量を表4に記載の様に変更した以外は同様にして連続処理4−1〜4−5を行い、実施例3に記載の方法と同様にして、連続処理後のBlue光による最大濃度及び最小濃度(カブリ濃度)を測定した。得られた結果を、表4に示す。
【0150】
【表4】

【0151】
表4に記載の結果より明らかなように、連続処理として、発色現像補充液の補充量をカラーネガフィルム1m2あたり300〜500mlの条件で行うことにより、最大濃度が高く、かつカブリ濃度の上昇が抑制されていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式〔1〕で表される化合物を含有し、かつN−ヒドロキシアルキル置換−p−フェニレンジアミン系発色現像主薬及び下記一般式〔2〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体を含有する1パート構成の濃縮物であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【化1】

〔式中、Rは水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立して−CX2(OH)CHX1−であり、X1及びX2はそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、置換もしくは未置換のアルキル基、またはX1及びX2が一緒になって5〜8員の炭素環を形成するのに必要な炭素原子を表す。n及びmはそれぞれ1〜100の整数を表す。〕
一般式〔2〕
HO−N(R1)−L−A
〔式中、Lはアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アルコキシル基、−O−(B−O)n−R2基または置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基またはアルキルスルホニル基を有するアリール基を表し、Bはアルキレン基を表し、R2は水素原子またはアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。R1は水素原子またはアルキル基を表す。また、LとR1が連結して環を形成してもよい。〕
【請求項2】
前記一般式〔1〕で表される化合物と亜硫酸とのモル比が、1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【請求項3】
下記一般式〔3〕で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【化2】

〔式中、R3〜R6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アシルオキシ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、またはフェニル基を表す。ただし、R3がヒドロキシル基または水素原子を表す場合、R5が水素原子であることはない。〕
【請求項4】
臭化物を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物を3倍以上に希釈して調製した発色現像処理液を用いて、像様露光したハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像し、その後脱銀工程を行うことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【請求項6】
前記発色現像処理液の補充量が、ハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり300〜500mlであることを特徴とする請求項5記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。