説明

ハロゲン化銀カラー写真感光材料

【課題】現像処理時の処理液の泡立ちが改良され、さらに発色性低下が抑制されたハロゲン化銀カラー写真感光材料、特に、映画用カラーポジ感光材料を提供する。
【解決手段】透過支持体上の写真構成層中に、芳香族系スルホン酸塩化合物およびコハク酸エステルスルホン酸塩化合物の一種をそれぞれ含有し、乳化分散物の粒子径が0.02〜0.3μmであり、乳化分散物の総表面積(S)と芳香族スルホン酸塩化合物の質量(a)およびコハク酸エステルスルホン酸塩化合物の質量(b)が下記式の関係を満たす感光性ハロゲン化銀乳剤塗布液または非感光性親水性コロイド塗布液を塗布、乾燥されてなるハロゲン化銀カラー写真感光材料。880≦S/(a+b)≦1350

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液の泡立ちが改良され、さらに発色性低下を防止したハロゲン化銀カラー写真感光材料、特に映画用ハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化銀写真技術の応用である映画は、1秒間に通常24枚の割合で対象物を撮影し、得られた静止画を撮影時と同じ速度で順次投影し、動画像を再現する方法である。この方法は、100年以上に渡り改良され続けているハロゲン化銀写真技術に立脚しており、他の動画像を再現する方法に比べ圧倒的な高画質を有している。この高画質を原資とした大画面化が容易であり、大人数が同時に動画像を鑑賞するのに適している。それ故、映画館などの大画面への映画映写設備を有する大人数収容可能な劇場が多数作られている。しかしながら、最近の急速な電子技術及び情報処理技術の発達は、撮影、編集、及び上映に至る映画の全ての過程に、デジタル画像処理技術を基にした画質的に匹敵する代替手段を提案できるまでに至った。これらデジタル画像処理技術に立脚する手法は、コンピューターの進歩により画像を簡便に取り扱える点と、劣化が少ないというデジタル信号の特徴に基づく再現性がよい点を特徴としている。従って、ハロゲン化銀写真技術に基づく映画に対しても、本来の高画質を維持しつつ簡便性や安定性の付与、特に保存や現像処理液の変動に対する安定性といった現像所における簡便性や安定性の付与が求められている。
【0003】
これら、保存や現像処理液の変動時に変化する性能の中で重要なものの一つとして、処理後画像の画像ムラの問題を挙げることができる。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料では、発色色素を形成するためのカプラーを、高沸点有機溶媒や低沸点有機溶媒に溶解させ親水性コロイド液に乳化分散するために界面活性剤が使用される。上記目的で使用される界面活性剤は、塗布膜形成後も塗布膜中に残存するため、処理時に処理液に溶出して泡を発生させ、この泡付着による画像ムラを生じたりする。この対策として界面活性剤の使用量低減化があるが、乳化分散物の場合十分な微粒子化が行えないため発色低下がおきたりする。処理時の泡立ち改良と発色性の両立を目指し、ステリンを含有するハロゲン化銀写真感光材料が特許文献1で提案されているが、不十分であった。また特許文献2記載のヌードル水洗や、イオン交換膜樹脂による界面活性剤の除去は大幅なコストアップになり現実的でなく、上記対策が強く望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開平7−128825号公報
【特許文献2】米国特許第2,801,171号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、現像処理時の処理液の泡立ちが改良され、さらに発色性低下が抑制されたハロゲン化銀カラー写真感光材料、特に、映画用カラーポジ感光材料として好適に用いられるハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題について鋭意検討した結果、以下の手段により本発明の目的が達成されることを見い出した。
<1>透過支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層およびマゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、かつ、非感光性親水性コロイド層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、該感光性ハロゲン化銀乳剤層または該非感光性親水性コロイド層の少なくとも一層が、下記一般式(A)で表される化合物および下記一般式(B)で表される化合物の少なくとも一種をそれぞれ含有し、乳化分散物の粒子径が0.02〜0.3μmであり、乳化分散物の総表面積(S)と一般式(A)で表される化合物の質量(a)および一般式(B)で表される化合物の質量(b)が下記式(C)の関係を満たす感光性ハロゲン化銀乳剤塗布液または非感光性親水性コロイド塗布液を塗布、乾燥されてなることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0007】
【化3】

【0008】
一般式(A)中、R1は置換または無置換のアルキル基またはアルコキシ基を表す。M1はカチオンを表す。nは1〜7の整数を表す。ここでnが2〜7のとき、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。
【0009】
【化4】

【0010】
一般式(B)中、R2、R3はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基を表す。M2はカチオンを表す。
【0011】
式(C)
880≦S/(a+b)≦1350
【0012】
<2>前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料を露光後、1m2の該ハロゲン化銀カラー写真感光材料を現像処理したときの現像処理液への前記一般式(A)で表される化合物および前記一般式(B)で表される化合物の合計溶出量が15ppm以下であることを特徴とする<1>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、現像処理時の処理液の泡立ちが改良され、さらに発色性低下が抑制されたハロゲン化銀カラー写真感光材料、特に、映画用カラーポジ感光材料として好適に用いられるハロゲン化銀カラー写真感光材料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料を詳細に説明する。
最初に本発明で使用する下記一般式(A)で表される化合物について詳細に説明する。
【0015】
【化5】

【0016】
一般式(A)中、R1は置換または無置換のアルキル基またはアルコキシ基を表す。M1はカチオンを表す。nは1〜7の整数を表す。ここでnが2〜7のとき、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。
1で表されるアルキル基については、炭素数1〜6の置換または無置換のアルキル基が挙げられる。R1で表されるアルコキシ基は炭素数1〜6の置換または無置換のアルコキシ基が挙げられる。アルキル基またはアルコキシ基が置換されている場合、好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基が挙げられる。但し、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基で置換されている場合、置換されたR1の総炭素数は1〜6が好ましい。本発明においては、R1はアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がさらに好ましい。
カチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく適用される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
【0017】
本発明に用いられる好ましい化合物例を具体的に以下に例示するが、本発明は、これらに具体的に限定されるものではない。
【0018】
【化6】

【0019】
次に、本発明の一般式(B)で表される化合物について詳細に説明する。
【0020】
【化7】

【0021】
一般式(B)中、R2、R3はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基を表す。M2はカチオンを表す。R2、R3で表されるアルキル基については、それぞれ独立に炭素数1〜12の置換または無置換のアルキル基が挙げられる。R2とR3は同一でも異なっていても良い。R2またはR3が置換基を有する場合、好ましい置換基は前述の一般式(A)の場合と同じである。カチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく適用される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
【0022】
本発明に用いられる好ましい化合物例を具体的に以下に例示するが、本発明は、これらに具体的に限定されるものではない。
【0023】
【化8】

【0024】
本発明において、上記界面活性剤を写真感光材料の層に用いる場合、界面活性剤を含む水性塗布組成物は、本発明の界面活性剤と水のみからなっていてもよく、目的に応じてその他の成分を適宜含んでいてもよい。ただし、本発明においては、感光性ハロゲン化銀乳剤層または非感光性親水性コロイド層に、上記一般式(A)で表される化合物と一般式(B)で表される化合物を少なくとも各々1種含有する。
【0025】
上記の水性塗布組成物において、本発明の界面活性剤は本発明の組み合わせによる2種類を用いてもよいし、また、3種以上を混合して用いてもよい。また、本発明の界面活性剤とともに本発明の構造の範囲内で他の界面活性剤を用いてもよい。併用可能な界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種界面活性剤を挙げることができ、高分子界面活性剤であってもよい。このうち、アニオン系もしくはノニオン系活性剤がより好ましい。併用可能な界面活性剤の例としては、例えば特開昭62−215272号公報(649〜706頁)やリサーチ・ディスクロージャー(RD)Item17643,26〜27頁(1978年12月)、同18716,650頁(1979年11月)、同307105,875〜876頁(1989年11月)等を挙げることができる。
【0026】
上記水性塗布組成物中に含まれていてもよいものとして代表的なものはポリマー化合物である。ポリマー化合物は水性媒体可溶なポリマーであってもよく、ポリマーの水分散物(いわゆるポリマーラテックス)であってもよい。可溶性ポリマーとしては特に制限はないが、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、カゼイン、寒天、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができ、ポリマーラテックスとしては、種々のビニルモノマー(例えば、アクリレート誘導体、メタクリレート誘導体、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、スチレン誘導体、共役ジエン誘導体、N−ビニル化合物、O−ビニル化合物、ビニルニトリル、その他のビニル化合物(例えばエチレン、塩化ビニリデン))の単独もしくは共重合体、縮合系ポリマーの分散物(例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド)を挙げることができる。この種のポリマー化合物の詳細例については、例えば特開昭62−215272号公報(707〜763頁)やリサーチ・ディスクロージャー(RD)Item17643,651頁(1978年12月)、同18716,650頁(1979年11月)、同307105,873〜874頁(1989年11月)等を挙げることができる。
【0027】
上記水性塗布組成物における媒体としては、水単独であってもよいし、水以外の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、アセトン等)と水との混合溶媒であってもよい。水性塗布媒体における水の割合は、50質量%以上であることが好ましい。
【0028】
上記水性塗布組成物中には、用いる写真感光材料の層に応じて種々の化合物を含んでいてもよく、またそれらは媒体に溶解していてもよく、分散されていてもよい。それらの例としては、種々のカプラー、紫外線吸収剤、混色防止剤、スタチック防止剤、スカベンジャー、かぶり防止剤、硬膜剤、染料、防黴剤等を挙げることができる。また写真感光材料に用いて、効果的な帯電防止能と塗布の均一性を得るためには、最上層の親水性コロイド層に用いるのが好ましい。
【0029】
この場合、該層の塗布組成物中には、親水性コロイド(例えばゼラチン)や本発明の界面活性剤以外に、他の界面活性剤やマット剤、スベリ剤、コロイダルシリカ、ゼラチン可塑剤等を含有することができる。
【0030】
前記一般式(A)または(B)で表される界面活性剤の使用量は乳化分散物の総表面積(S)、一般式(A)で表される化合物の質量(a)および一般式(B)で表される化合物の質量(b)が880≦S/(a+b)≦1350の関係(式(C))を満たすものであるが、1000≦S/(a+b)≦1200の関係を満たすことが好ましい。
ここで、式(C)における総表面積(S)の単位は[m]であり、質量(a)及び(b)の単位は[g]である。
ここに示す乳化分散物とは、乳化分散時に乳化分散液中に一般式(A)および一般式(B)を含有する乳化分散物のことであり、総表面積(S)は乳化分散物の粒子径および体積より求めることができる。
乳化分散物の粒子径としては0.02〜0.3μmが好ましく、0.05〜0.2μmがさらに好ましい。なお、本発明においては、上記関係式(C)を満たす乳化分散物の粒子径としては0.02〜0.3μmである。
【0031】
次に本発明の映画映写用ハロゲン化銀カラー写真感光材料の写真層等について記載する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、透過型支持体を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であり、該支持体上に、実質的に感色性の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀カラー写真感光材料である。本発明はカラーポジフィルム、映画用ポジフィルムなど一般用、映画用カラー写真感光材料に適用することができる。特に映画用カラーポジ感光材料に適用するのが好ましい。
【0032】
本発明において、感光性ハロゲン化銀乳剤層及び非感光性親水性コロイド層の層数及び層順に特に制限はない。イエロー、シアン、マゼンタの各発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層は、一つの感光性ハロゲン化銀乳剤層からなっていても、感色性が同じで感度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層からなっていてもよい。
各発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層の発色性と感色性との間にも制限はなく、例えば、ある発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層が赤外域に感色性を有していてもかまわない。
【0033】
典型的な層順の例としては、支持体から順に染料の固体微粒子分散物および/または黒色コロイド銀を含有する非感光性親水性コロイド層、イエロー発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性親水性コロイド層(混色防止層)、シアン発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性親水性コロイド層(混色防止層)、マゼンタ発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性親水性コロイド層(保護層)である。しかし、目的に応じて、上記設置順を変更しても、感光性ハロゲン化銀乳剤層又は非感光性親水性コロイド層の数を増減させてもかまわない。
【0034】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料中の鉄分(Fe)については、主にゼラチン、乳剤粒子中に故意にドープしたもの、染料などによって持ち込まれるが、本発明のFe含有量としては、Fe量が2×10-5mol/m2以下(好ましくは1×10-8〜2×10-5mol/m2)である事が必要であり、8×10-6mol/m2以下(好ましくは1×10-8から8×10-6mol/m2)が好ましく、3×10-6mol/m2以下(好ましくは1×10-8〜3×10-6mol/m2)が最も好ましい。
【0035】
本発明において、親水性コロイドとしてはゼラチンが好ましく用いられる。必要に応じて他の親水性コロイドを任意の比率でゼラチンに代えて用いることもできる。これらの例としては、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他のポリマーのグラフト重合体、アルブミンあるいはカゼイン等のタンパク質、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及び硫酸セルロース等)、アルギン酸ナトリウム及びデンプン誘導体等の糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの部分アセタール体、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾールあるいはポリビニルピラゾール等の広範囲な合成ポリマー等を挙げることができる。
【0036】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子としては、塩化銀、臭化銀、(沃)塩臭化銀、沃臭化銀等がある。特に、本発明においては現像処理時間を速めるために、塩化銀含有率95モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀を好ましく用いることができる。この乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶系を有するもの、双晶面等の結晶欠陥を有するもの、あるいはその複合系でもよい。また、主平面が(111)面又は(100)面である平板粒子を用いると、発色現像の迅速化、処理混色の低減などの点で好ましい。主平面が(111)面又は(100)面である平板状高塩化銀乳剤粒子については、特開平6−138619号、米国特許第4,399,215号、同第5,061,617号、同第5,320,938号、同第5,264,337号、同第5,292,632号、同第5,314,798号、同第5,413,904号、国際公開WO94/22051号の各公報または明細書等に開示されている方法にて調製することができる。
【0037】
本発明において併用できるハロゲン化銀乳剤としては、任意のハロゲン組成のハロゲン化銀乳剤を用いてもよいが、迅速処理性の観点から、塩化銀含有率が95モル%以上の塩(沃)化銀、塩(沃)臭化銀が好ましく、さらには本発明の乳剤と同じく塩化銀含有率が98モル%以上のハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0038】
写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよいが、本発明のハロゲン化銀粒子は、現像進行を速くする目的で、単分散であることが好ましく、各ハロゲン化銀粒子の粒子サイズの変動係数が0.3以下(好ましくは、0.3〜0.05)が好ましく、さらに好ましくは、0.25以下(好ましくは、0.25〜0.05)である。ここでいう変動係数とは、統計上の標準偏差値(s)と平均粒子サイズ(d)との比(s/d)で表される。
【0039】
本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643(1978年12月),22〜23頁、“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、及び同No.18716(1979年11月),648頁、同No.307105(1989年11月),863〜865頁、及びグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkides,Chemie et Phisique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press,1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman,et al.,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0040】
米国特許第3,574,628号、同第3,655,394号、及び英国特許第1,413,748号の各明細書に記載された単分散乳剤も好ましい。また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff,Photographic Science and Engineering)、第14巻248〜257頁(1970年);米国特許第4,434,226号、同第4,414,310号、同第4,433,048号、同第4,439,520号及び英国特許第2,112,157号の各明細書に記載の方法により簡単に調製することができる。
【0041】
結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形粒子の混合物を用いてもよい。
【0042】
上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740号公報に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542号公報に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
【0043】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRDNo.17643、同No.18716及び同No.307105に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。
【0044】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における塗布銀量としては、6.0g/m2以下が好ましく、4.5g/m2以下がより好ましく、2.0g/m2以下が最も好ましい。なお、塗布銀量は0.01g/m2以上、好ましくは0.02g/m2以上、さらに好ましくは0.5g/m2以上使用される。
【0045】
支持体上に設けられた感光性ハロゲン化銀乳剤層や非感光性親水性コロイド層(中間層や保護層など)からなる写真構成層中のいずれかの層、好ましくはハロゲン化銀乳剤層に、1−アリール−5−メルカプトテトラゾール化合物をハロゲン化銀1モル当たり1.0×10-5〜5.0×10-2モル添加することが好ましく、さらには1.0×10-4〜1.0×10-2モル添加することが好ましい。この範囲で添加することによって、連続処理後の処理済みカラー写真表面への汚れをいっそう少なくすることができる。
【0046】
このような1−アリール−5−メルカプトテトラゾール化合物としては、1位のアリール基が無置換又は置換フェニル基であるものが好ましく、この置換基の好ましい具体例としてはアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、−NHCOC511(n)など)、ウレイド基(例えば、メチルウレイドなど)、アルコキシ基(例えばメトキシなど)、カルボン酸基、アミノ基、スルファモイル基などであって、これらの基はフェニル基に複数個(2〜3個など)結合していてもよい。また、これの置換基の位置はメタ又はパラ位が好ましい。これらの具体例としては、1−(m−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールや1−(m−アセチルアミノフェニル)−5−メルカプトテトラゾールが挙げられる。
【0047】
本発明に使用または併用できる写真用添加剤は以下のリサーチ・ディスクロージャー誌(RD)に記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
【0048】
【表1】

【0049】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、種々の色素形成カプラーを使用することができるが、以下の色素形成カプラーが特に好ましい。イエローカプラー:欧州特許EP502,424A号明細書の一般式(I)、(II)で表されるカプラー;欧州特許EP513,496A号明細書の一般式(1)、(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28);特開平5−307248号公報の請求項1の一般式(I)で表されるカプラー;米国特許第5,066,576号明細書のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー;特開平4−274425号公報の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー;欧州特許EP498,381A1号明細書の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35);欧州特許EP447,969A1号明細書の4頁の一般式(Y)で表されるカプラー(特にY−1(17頁),Y−54(41頁));米国特許第4,476,219号明細書のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))。
【0050】
マゼンタカプラー;特開平3−39737号公報(L−57(11頁右下),L−68(12頁右下),L−77(13頁右下));欧州特許EP456,257号明細書のA−4−63(134頁),A−4−73,−75(139頁);欧州特許EP486,965号明細書のM−4,−6(26頁),M−7(27頁);特開平6−43611号の段落0024のM−45,特開平5−204106号公報の段落0036のM−1;特開平4−362631号公報の段落0237のM−22。
シアンカプラー:特開平4−204843号公報のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345号公報のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号公報の請求項1の一般式(Ia)又は(Ib)で表されるカプラー。ポリマーカプラー:特開平2−44345号公報のP−1,P−5(11頁)。
【0051】
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、独国特許GB2,125570号、欧州特許EP96,873B号、独国特許DE3,234,533号の各明細書に記載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を捕正するためのカプラーは、欧州特許EP456,257A1号明細書の5頁に記載の一般式(CI),(CII),(CIII),(CIV)で表されるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該欧州特許明細書に記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁、EX−1(249頁)、EX−7(251頁)、米国特許第4,833,069号明細書に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8)、CC−13(カラム10)、US4,837,136の(2)(カラム8)、国際公開WO92/11575号明細書のクレーム1の一般式〔C−1〕で表される無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0052】
現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残基を放出する化合物(色素形成カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:欧州特許EP378,236A1号明細書の11頁に記載の一般式(I),(II),(III),(IV)のいずれかで表される化合物(特にT−101(30頁),T−104(31頁),T−113(36頁),T−131(45頁),T−144(51頁),T−158(58頁)),欧州特許EP436,938A2号明細書の7頁に記載の一般式(I)で表される化合物(特にD−49(51頁))、特開平5−307248号公報の一般式(1)で表される化合物(特に段落0027の(23))、欧州特許EP440,195A2号明細書の5〜6頁に記載の一般式(I)、(II)、(III)のいずれかで表される化合物(特に29頁のI−(1));
漂白促進剤放出化合物:欧州特許EP310,125A2号明細書の5頁の一般式(I)、(I’)で表される化合物(特に61頁の(60),(61))及び特開平6−59411号公報の請求項1の一般式(I)で表される化合物(特に段落0022の(7));リガンド放出化合物:米国特許第4,555,478号明細書のクレーム1に記載のLIG−Xで表される化合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物);
ロイコ色素放出化合物;米国特許第4,749,641号明細書のカラム3〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:米国特許第4,774,181号明細書のクレーム1のCOUP−DYEで表される化合物(特にカラム7〜10の化合物1〜11);
現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:米国特許第4,656,123号明細書のカラム3の一般式(1)、(2)、(3)で表される化合物(特にカラム25の(I−22))及び欧州特許EP450,637A2号明細書の75頁36〜38行目のExZK−2;離脱して初めて色素となる基を放出する化合物:米国特許第4,857,447号のクレーム1の一般式(I)で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY−1〜Y−19)。
【0053】
色素形成カプラー以外の添加剤としては、以下のものが好ましい。油溶性有機化合物の分散媒:特開昭62−215272号公報のP−3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93(140〜144頁);
油溶性有機化合物の含浸用ラテックス:米国特許第4,199,363号明細書に記載のラテックス;
現像主薬酸化体スカベンジャー:米国特許第4,978,606号明細書のカラム2の54〜62行の一般式(I)で表される化合物(特にI−(1),(2),(6),(12)(カラム4〜5))、米国特許第4,923,787号明細書のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3));
ステイン防止剤:欧州特許EP298321A号明細書の4頁30〜33行の一般式(I)〜(III)、特にI−47,72,III−1,27(24〜48頁);褪色防止剤:欧州特許EP298321A号明細書のA−6,7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164(69〜118頁),米国特許第5,122,444号明細書のカラム25〜38のII−1〜III−23,特にIII−10,欧州特許EP471347A号明細書の8〜12頁のI−1〜III−4,特にII−2,米国特許第5,139,931号明細書のカラム32〜40のA−1〜48、特にA−39,42;
発色増強剤又は混色防止剤の使用量を低減させる素材:欧州特許EP411324A号明細書の5〜24頁のI−1〜II−15,特にI−46;
ホルマリンスカベンジャー:欧州特許EP477932A号明細書の24〜29頁のSCV−1〜28、特にSCV−8;
【0054】
硬膜剤:特開平1−214845号公報の17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の一般式(VII)〜(XII)で表される化合物(H−1〜54),特開平2−214852号公報の8頁右下の式(6)で表される化合物(H−1〜76),特にH−14,米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物;
現像抑制剤プレカーサー:特開昭62−168139号公報のP−24,37,39(6〜7頁);米国特許第5,019,492号明細書のクレーム1に記載の化合物、特にカラム7の28〜29;
防腐剤、防黴剤:米国特許第4,923,790号明細書のカラム3〜15のI−1〜III−43、特にII−1,9,10,18,III−25;
安定剤、かぶり防止剤:米国特許第4,923,793号明細書のカラム6〜16のI−1〜(14),特にI−1,60,(2),(13),米国特許第4,952,483号明細書のカラム25〜32の化合物1〜65、特に36;
化学増感剤:トリフェニルホスフィンセレニド,特開平5−40324号公報の化合物50;
染料:特開平3−156450号公報の15〜18頁のa−1〜b−20、特にa−1,12,18,27,35,36,b−5,27〜29頁のV−1〜23、特にV−1、欧州特許EP445627A号明細書の33〜55頁のF−I−1〜F−II−43、特にF−I−11,F−II−8、欧州特許EP457153A号明細書の17〜28頁のIII−1〜36、特にIII−1,3、欧州特許EP319999A号明細書の6〜11頁の化合物1〜22、特に化合物1、欧州特許EP519306A号明細書の一般式(1)〜(3)で表される化合物D−1〜87(3〜28頁)、米国特許第4,268,622号明細書の一般式(I)で表される化合物1〜22(カラム3〜10)、米国特許第4,923,788号明細書の一般式(I)で表される化合物(1)〜(31)(カラム2〜9);
UV吸収剤:特開昭46−3335号公報の一般式(1)で表される化合物(18b)〜(18r),101〜427(6〜9頁)、欧州特許EP520938A号明細書の一般式(I)で表される化合物(3)〜(66)(10〜44頁)及び一般式(III)で表される化合物HBT−1〜HBT−10(14頁)、欧州特許EP521823号明細書の一般式(1)で表される化合物(1)〜(31)(カラム2〜9)。
【0055】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は乳剤層を有する側の支持体から最も離れた層、または乳剤層を有しない側の支持体から最も離れた層、若しくはその両方に、フッ素原子を含む化合物を好ましく用いることができる。
【0056】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層において、膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下がさらに好ましく、16μm以下が特に好ましい。なお、該膜厚の総和は、0.1μm以上であり、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上である。また、膜膨潤速度T1/2は、60秒以下が好ましく、30秒以下がより好ましい。T1/2は、発色現像液で35℃、3分処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、その膜厚が1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.Sci.Eng),19巻,2,124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。
【0057】
また、膨潤率は、180〜280%が好ましく、200〜250%がより好ましい。ここで、膨潤率とは、本発明のハロゲン化銀写真感光材料を27℃の蒸留水に浸し、膨潤させたときの平衡膨潤量を表す尺度であり、膨潤率(単位:%)=膨潤時の全膜厚/乾燥時の全膜厚×100と定義される。前記膨潤率は、ゼラチン硬化剤の添加量を調節することにより上記範囲とすることができる。
【0058】
本発明の映画用ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、映画用ポジ感光材料の標準的な処理工程で処理出来る。
従来の映画用ポジ感光材料の標準的な処理工程(乾燥以外)
(1)発色現像浴
(2)停止浴
(3)水洗浴
(4)第一定着浴
(5)水洗浴
(6)漂白促進浴
(7)漂白浴
(8)水洗浴
(9)サウンド現像(塗り付け現像)
(10)水洗
(11)第二定着浴
(12)水洗浴
(13)安定浴
【0059】
本発明においては、上記処理工程のうち、発色現像時間(上記の(1)の工程)が2分30秒以下(下限は6秒以上が好ましく、より好ましくは10秒以上、さらに好ましくは20秒以上、最も好ましくは30秒以上)、より好ましくは2分以下(下限は2分30秒と同じ)である場合も好ましい結果が得られる。
【0060】
以下、支持体について説明する。
本発明においては、透明支持体が好ましく、プラスチックフィルム支持体がより好ましい。前記プラスチックフィルム支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンのフィルムが挙げられる。
【0061】
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、特に2軸延伸、熱固定されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、安定性、強靱さなどの点からも特に好ましい。
【0062】
前記支持体の厚みとしては、特に制限はないが、15〜500μmが一般的で、特に40〜200μmが取扱易さ、汎用性などの点から有利なため好ましく、85〜150μmが最も好ましい。透過型支持体とは、好ましくは可視光が90%以上透過するものを意味し、光の透過を実質的に妨げない量であれば染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
【0063】
上記プラスチックフィルム支持体の表面に、感光層を強固に接着させるために、一般に下記の表面処理が行なわれる。帯電防止層(バック層)が形成される側の表面も、一般に同様な表面処理が行なわれる。(1)薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸素処理、などの表面活性処理したのち直接に写真乳剤(感光層形成用塗布液)を塗布して接着力を得る方法と、(2)一旦これらの表面処理した後、下塗層を設けこの上に写真乳剤層を塗布する方法との二法がある。
【0064】
これらのうち(2)の方法がより有効であり、広く行われている。これらの表面処理は、いずれも、本来は疎水性であった支持体表面に、多少とも極性基を形成させること、表面の接着に対してマイナスの要因になる薄層を除去すること、表面の架橋密度を増加させ接着力を増加させるものと思われ、その結果として下塗層用溶液中に含有される成分の極性基との親和力が増加することや、接着表面の堅牢度が増加すること等により、下塗層と支持体表面との接着性が向上すると考えられる。
【0065】
上記プラスチックフィルム支持体上の感光層が設けられない側の表面には、導電性金属酸化物粒子を含有する非感光性層が設けられることが好ましい。上記非感光性層のバインダーとしては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂が好ましく使用される。この非感光性層は硬膜されているのが好ましく、硬膜剤としては、アジリジン系、トリアジン系、ビニルスルホン系、アルデヒド系、シアノアクリレート系、ペプチド系、エポキシ系、メラミン系などが用いられるが、導電性金属酸化物粒子を強固に固定する観点からは、メラミン系化合物が特に好ましい。
【0066】
導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、MoO3及びV25及びこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。
【0067】
金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In23、MgO、及びV25が好ましく、さらにSnO2、ZnO、In23、TiO2及びV25が好ましく、SnO2及びV25が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In23に対してSn、及びSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物又は複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため感光材料用としては適さない。従って、導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物又は複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
【0068】
導電性金属酸化物粒子は、非感光性層全体に対し、体積比率が50%以下である必要があるが、好ましくは3〜30%である。塗設量としては特開平10−62905号に記載の条件に従うことが好ましい。体積比率が50%を超えると処理済カラー写真の表面に汚れが付着しやすく、また3%を下回ると帯電防止能が十分に機能しない。
【0069】
導電性金属酸化物粒子の粒子径は、光散乱をできるだけ小さくするために小さい程好ましいが、粒子と結合剤の屈折率の比をパラメーターとして決定されるべきものであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることができる。一般に、平均粒子径が0.001〜0.5μmであり、0.003〜0.2μmが好ましい。ここでいう、平均粒子径とは、導電性金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0070】
上記金属酸化物の微粒子を帯電防止層形成用塗布液へ添加する際は、そのまま添加して分散しても良いが、水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液の形で添加することが好ましい。
【0071】
非感光性層は、導電性金属酸化物粒子を分散、支持する結合剤として前記バインダーと硬膜剤との硬化物を含んでいるのが好ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、バインダーも硬膜剤も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、バインダーは、硬膜剤との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するのが好ましい。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。バインダー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
【0072】
以下に、前記バインダーとして好ましく用いられる樹脂について説明する。アクリル樹脂としては、アクリル酸;アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類;アクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリル酸;メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類;メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が挙げられる。
【0073】
上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、硬膜剤との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーであるのが好ましい。
【0074】
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。
【0075】
上記ビニル樹脂は、硬膜剤との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより得られるポリマーとする。
【0076】
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基を硬膜剤との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
【0077】
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基を硬膜剤との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加しても良い。上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
【0078】
硬膜剤として好ましく用いられるメラミン化合物としては、メラミン分子内に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物及びそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂などをあげることができる。メラミンとホルマリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例えばスミテックス・レジン(Sumitex Resin)M−3、同MW、同MK及び同MC(住友化学(株)製、いずれも商品名)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
上記縮重合体の例としては、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂等を挙げることができる。市販品としては、MA−1及びMA−204(住友ベークライト(株製、いずれも商品名)、ベッカミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンAPM及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業(株)製、いずれも商品名)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)製、商品名)、大鹿レジンM31及び大鹿レジンPWP−8(大鹿振興(株)製、いずれも商品名)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
メラミン化合物としては、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される官能基当量が50以上300以下であることが好ましい。ここで官能とはメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を示す。この値が300を超えると硬化密度が小さく高い強度が得られず、メラミン化合物の量を増やすと塗布性が低下する。硬化密度が小さいとスリ傷が発生しやすくなる。また硬化する程度が低いと導電性金属酸化物を保持する力も低下する。官能基当量が50未満では硬化密度は高くなるが透明性が損なわれ、減量しても良化しない。水性メラミン化合物の添加量は、上記ポリマーに対して0.1〜100質量%、好ましくは10〜90質量%である。
【0081】
帯電防止層には必要に応じて、マット剤、帯電調整剤、界面活性剤、滑り剤などを併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μm、より好ましくは0.2μm〜0.5μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等が挙げられる。これらマット剤の好ましい添加量は2mg/m2〜15mg/m2である。
【0082】
帯電調整剤としては、後述の界面活性剤、フッ素原子を含有するポリマー類、無機塩類、有機塩類等が挙げられる。特に、フッ素原子を含有する界面活性剤やポリマー類、テトラアルキルアンモニウムイオンを含有する塩類などが好ましく用いられる。
【0083】
界面活性剤としては任意のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。滑り剤としては、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステル若しくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル類; 及びシリコーン系化合物等を挙げられる。
【0084】
前記帯電防止層の厚みとしては、0.01〜1μmが好ましく、さらに0.01〜0.2μmが好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超えると、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。前記帯電防止層の上には、表面層を設けるのが好ましい。該表面層は、主として滑り性及び耐傷性を向上させるため、及び帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の、脱離防止機能を補助するために設けられる。
【0085】
前記表面層の材料としては、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン及び4−メチル−1−ペンテン等の1−オレフィン系不飽和炭化水素の単独又は共重合体からなるワックス、樹脂及びゴム状物(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体及びプロピレン/1−ブテン共重合体)、(2)上記1−オレフィンの二種以上と共役又は非共役ジエンとのゴム状共重合体(例えば、エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン/プロピレン/1,5−ヘキサジエン共重合体及びイソブテン/イソプレン共重合体)、(3)1−オレフィンと共役又は非共役ジエンとの共重合体、(例えば、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/エチリデンノルボルネン共重合体)、(4)1−オレフィン、特にエチレンと酢酸ビニルとの共重合体及びその完全若しくは部分ケン化物、(5)1−オレフィンの単独又は共重合体に上記共役若しくは非共役ジエン又は酢酸ビニル等をグラフトさせたグラフト重合体及びその完全若しくは部分ケン化物、などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。上記化合物は、特公平5−41656号公報に記載されている。
【0086】
これらの中でも、ポリオレフィンであって、カルボキシル基及び/又はカルボン酸塩基を有するものが好ましい。通常水溶液あるいは水分散液として使用する。
【0087】
前記表面層には、メチル基置換度2.5以下の水溶性メチルセルロースを添加してもよく、その添加量は表面層を形成する全結合剤に対して0.1〜40質量%が好ましい。上記水溶性メチルセルロースについては、特開平1−210947号公報に記載されている。
【0088】
前記表面層は、帯電防止層上に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストル−ジョンコート法などにより上記バインダー等を含む塗布液(水分散液又は水溶液)を塗布することにより形成することができる。
【0089】
前記表面層の厚みとしては、0.01〜1μmが好ましく、さらに0.01〜0.2μmが好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超えると、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。
【0090】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における被膜のpHは、4.6〜6.4が好ましく、さらに好ましくは5.5〜6.5である。経時の長い試料において、被膜pHが6.5を超える場合、セーフライト照射によるシアン画像、マゼンタ画像の増感が大きく、逆に被膜pHが4.5を下回る場合、感光材料を露光してから現像するまでの時間変化に対して、イエロー画像濃度が大きく変化する。いずれの場合も実用上問題である。
【0091】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における被膜pHとは、塗布液を支持体上に塗布することによって得られた全写真層のpHであり、塗布液のpHとは必ずしも一致しない。その被膜pHは、特開昭61−245153号に記載されているような以下の方法で測定できる。即ち、(1)ハロゲン化銀乳剤が塗布された側の感光材料表面に純水を0.05ml滴下する。次に、(2)3分間放置後、表面pH測定電極(東亜電波製GS−165F、商品名)にて被膜pHを測定する。被膜pHの調整は、必要に応じて酸(例えば硫酸、クエン酸)又はアルカリ(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を用いて行うことができる。
【実施例】
【0092】
[支持体の準備]
乳剤塗設面側に下塗りを施し、乳剤塗設面の反対側に下記の導電性ポリマー(0.05g/m)と酸化スズ微粒子(0.20g/m)を含有するアクリル樹脂層を塗設したポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(厚さ120μm)を準備した。
【0093】
【化9】

【0094】
[ハロゲン化銀乳剤の準備]
−青感性ハロゲン化銀乳剤の調製−
大サイズ乳剤(BO−01)
(立方体、粒子サイズ0.71μ、粒子サイズ分布0.09、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
当業界で知られたコントロールダブルジェット法により、硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより、調製した。イリジウム含有量は4×10-7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(A’)〜(C’)を下記のように添加した。
青色増感色素(A’);3.5×10-5モル/モル銀
青色増感色素(B’);1.9×10-4モル/モル銀
青色増感色素(C’);1.8×10-5モル/モル銀
更に、塩化金酸とトリエチルチオ尿素を用いて最適に金硫黄増感した。
【0095】
中サイズ乳剤(BM−01)
(立方体、粒子サイズ0.52μm、粒子サイズ分布0.09、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
当業界で知られたコントロールダブルジェット法により、硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより、調製した。イリジウム含有量は6×10-7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(A’)〜(C’)を下記のように添加した。
青色増感色素(A’);6.9×10-5モル/モル銀
青色増感色素(B’);2.3×10-4モル/モル銀
青色増感色素(C’);2.7×10-5モル/モル銀
更に、塩化金酸とトリエチルチオ尿素を用いて最適に金硫黄増感した。
【0096】
小サイズ乳剤(BU−01)
(立方体、粒子サイズ0.31μm、粒子サイズ分布0.08、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
BM−01乳剤の調製において、粒子形成温度を下げたこと以外はBM−01と同様にした。
後述する構造式で表される増感色素(A’)〜(C’)を下記のように添加した。
青色増感色素(A’):8.5×10-4モル/モル銀
青色増感色素(B’):4.1×10-4モル/モル銀
青色増感色素(C’):3.7×10-5モル/モル銀
【0097】
−赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製−
大サイズ乳剤(RO−01)
(立方体、粒子サイズ0.23μm、粒子サイズ分布0.11、ハロゲン組成Br/Cl=25/75)
当業界で知られているコントロールダブルジェット法により硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより調製した。イリジウム含有率は2×10-7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(D’)〜(F’)を下記のように添加し分光増感した。
赤感性増感色素(D’):4.5×10-5モル/モル銀
赤感性増感色素(E’):0.2×10-5モル/モル銀
赤感性増感色素(F’):0.2×10-5モル/モル銀
更に、塩化金酸と、トリエチルチオ尿素を用いて、最適に金硫黄増感した後、後述する構造式で表されるCpd−71をハロゲン化銀1モル当たり、9.0×10-4モル添加した。
【0098】
中サイズ乳剤(RM−01)
(立方体、粒子サイズ0.174μm、粒子サイズ分布0.12、ハロゲン組成Br/Cl=25/75)
粒子形成温度を変更したこと以外はRO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(D’)〜(F’)を下記のように使用した。
赤感性増感色素(D’):7.0×10-5モル/モル銀
赤感性増感色素(E’):1.0×10-5モル/モル銀
赤感性増感色素(F’):0.4×10-5モル/モル銀
【0099】
小サイズ乳剤(RU−01)
(立方体、粒子サイズ0.121μm、粒子サイズ分布0.13、ハロゲン組成Br/Cl=25/75)
粒子形成温度を変更したこと以外はRO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(D’)〜(F’)を下記のように使用した。
赤感性増感色素(D’):8.9×10-5モル/モル銀
赤感性増感色素(E’):1.2×10-5モル/モル銀
赤感性増感色素(F’):0.5×10-5モル/モル銀
【0100】
−緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製−
大サイズ乳剤(GO−01)
(立方体、粒子サイズ0.20μm、粒子サイズ分布0.11、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
当業界で知られているコントロールダブルジェット法により硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより調製した。イリジウム含有率は2×10-7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(G’)〜(J’)を下記のように添加し分光増感した。
緑感性増感色素(G’):2.8×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(H’):0.8×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(I’):1.2×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(J’):1.2×10-4モル/モル銀
更に、塩化金酸と、トリエチルチオ尿素を用いて、最適に金硫黄増感した。
【0101】
中サイズ乳剤(GM−01)
(立方体、粒子サイズ0.146μm、粒子サイズ分布0.12、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
粒子形成温度を変更したこと以外はGO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(G’)〜(J’)を下記のように使用した。
緑感性増感色素(G’):3.8×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(H’):1.3×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(I’):1.4×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(J’):1.2×10-4モル/モル銀
【0102】
小サイズ乳剤(GU−01)
(立方体、粒子サイズ0.102μm、粒子サイズ分布0.10、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
粒子形成温度を変更したこと以外はGO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(G’)〜(J’)を下記のように使用した。
緑感性増感色素(G’):5.1×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(H’):1.7×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(I’):1.9×10-4モル/モル銀
緑感性増感色素(J’):1.2×10-4モル/モル銀
【0103】
【化10】

【0104】
【化11】

【0105】
【化12】

【0106】
【化13】

【0107】
[染料固体微粒子分散物の調製]
下記化合物(HD−1)のメタノールウェットケーキを化合物の正味量が240gになるように秤量し、分散助剤として下記化合物(Pm−1)を48g秤量し、水を加えて4000gとした。’流通式サンドグラインダーミル(UVM−2)’(アイメックスK.K製)にジルコニアビーズ(0.5mm径)を1.7リットル充填し、吐出量0.5リットル/min、周速10m/sで2時間粉砕した。その後、分散物を化合物濃度が3質量%となるように希釈し、下記構造式で表される化合物(Pm−1)を染料に対し質量比で3%添加した(分散物Aと称する)。この分散物の平均粒子サイズは0.45μmであった。
さらに、同様な方法で下記化合物(HD−2)を5質量%含む分散物(分散物Bと称する)を得た。
【0108】
【化14】

【0109】
【化15】

【0110】
[試料100の作製]
支持体上に、下記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー写真感光材料である試料100を作製した。
【0111】
−第6層塗布液調整−
マゼンタカプラー(ExM’)75.0g、添加物(Cpd−49)1.5g、添加物(Cpd−51)0.1gおよび本発明の化合物(B−1)2.3gを溶媒(Solv−21)15gおよび酢酸エチル80mlに溶解し、この溶液を、下記化合物(SR−1)の10%水溶液20mlを含む10%ゼラチン水溶液1000gに混合し、ホモブレンダーにて15000rpmで2分間の乳化を2回行って、乳化分散物Mを調整した。乳化分散物の粒子径測定には(株)堀場製作所製(株)のLB550を使用し、乳化分散物Mの粒子径は0.14μmであった。一方、前述した塩臭化銀乳剤GO−01、GM−01およびGU−01を用いて、前記乳化分散物Mとこの塩臭化銀乳剤とを混合溶解し、後記組成となるように第6層塗布液を調製した。第1層〜第5層および第7層用の塗布液も第6層塗布液と同様な方法で調製した。
【0112】
【化16】

【0113】
−層構成−
以下に各層の組成を示す。数字は塗布量(g/m)を表す。ハロゲン化銀乳剤塗布量は銀換算塗布量を表す。また、ゼラチン硬膜剤として、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。
【0114】
[試料100の層構成]
支持体
・上記ポリエチレンテレフタレートフィルム
【0115】
第1層(ハレーション防止層(非感光性親水性コロイド層))
・ゼラチン 1.02
・上記分散物A(染料塗布量として) 0.11
・上記分散物B(染料塗布量として) 0.06
【0116】
第2層(青感性ハロゲン化銀乳剤層)
・塩臭化銀乳剤BO−01、乳剤BM−01、および乳剤BU−01の3:1:6混合物(銀モル比)。 0.54
・ゼラチン 2.71
・イエローカプラー(ExY’) 1.19
・(Cpd−41) 0.0006
・(Cpd−42) 0.01
・(Cpd−43) 0.04
・(Cpd−44) 0.006
・(Cpd−45) 0.017
・(Cpd−46) 0.002
・(Cpd−54) 0.08
・(Cpd−63) 0.02
・(SR−1) 0.07
・溶媒(Solv−21) 0.26
【0117】
第3層(混色防止層)
・ゼラチン 0.56
・(Cpd−49) 0.02
・(Cpd−43) 0.05
・(Cpd−53) 0.005
・(Cpd−61) 0.02
・(Cpd−62) 0.05
・(SR−1) 0.01
・溶媒(Solv−21) 0.05
・溶媒(Solv−23) 0.04
・溶媒(Solv−24) 0.001
【0118】
第4層(赤感性ハロゲン化銀乳剤層)
・塩臭化銀乳剤RO−01、乳剤RM−01および乳剤RU−01の2:2:6混合物(銀モル比) 0.38
・ゼラチン 2.79
・シアンカプラー(ExC’) 0.75
・(Cpd−47) 0.06
・(Cpd−48) 0.06
・(Cpd−50) 0.03
・(Cpd−53) 0.03
・(Cpd−57) 0.05
・(Cpd−58) 0.007
・(Cpd−60) 0.02
・(SR−1) 0.04
・(B−1) 0.03
・溶媒(Solv−21) 0.51
・溶媒(Solv−22) 0.28
・溶媒(Solv−23) 0.03
【0119】
第5層(混色防止層)
・ゼラチン 0.56
・(Cpd−49) 0.02
・(Cpd−43) 0.05
・(Cpd−53) 0.005
・(Cpd−62) 0.05
・(Cpd−64) 0.002
・(SR−1) 0.01
・溶媒(Solv−21) 0.05
・溶媒(Solv−23) 0.04
・溶媒(Solv−24) 0.001
【0120】
第6層(緑感性ハロゲン化銀乳剤層)
・塩臭化銀乳剤GO−01、GM−01、GU−01の1:3:6混合物(銀モル比)
0.54
・ゼラチン 1.66
・マゼンタカプラー(ExM’) 0.73
・(Cpd−49) 0.013
・(Cpd−51) 0.001
・(SR−1) 0.02
・(B−1) 0.02
・溶媒(Solv−21) 0.15
【0121】
第7層(保護層)
・ゼラチン 0.97
・アクリル樹脂(平均粒径2μm) 0.002
・(B−1) 0.03
・(Cpd−56) 0.08
・(Cpd−59) 0.001
ここで使用した化合物を以下に示す。
【0122】
【化17】

【0123】
【化18】

【0124】
【化19】

【0125】
【化20】

【0126】
【化21】

【0127】
【化22】

【0128】
【化23】

【0129】
【化24】

【0130】
【化25】

【0131】
以上のように試料100を作製した。
【0132】
<試料101〜106の作製>
次に、前記感光材料100の作製において、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層中の乳化分散剤の化合物(SR−1)を下記表2に示す本発明の乳化分散剤に変更し、ホモブレンダー回転数を変更したこと以外は全く同様の方法で、試料101〜106を作製した。
【0133】
<試験および評価>
前記試料100〜106について、処理安定性を評価するために下記に示す評価を実施した。
【0134】
−発色性の評価−
感光計(富士写真フイルム(株)製FW型、光源の色温度3200K)を用い、最大濃度が出るようなグレーフィルターを介して露光時間1/100秒、露光照度6万ルクスでセンシトメトリー用の階調露光を与え、イーストマンコダック社から公表されているECP−2プロセスに従って処理を実施した。処理済みの試料をX−rite 310TRを用いて、G濃度を示す部分の最高濃度値を読み取った。比較例試料100との濃度差をΔDgとし、発色性の指標とした。ΔDgが正の値を示す場合は高発色性、負の値を示す場合は発色性が劣ることを意味する。
【0135】
−起泡性の評価−
感光計(富士写真フイルム(株)製FW型、光源の色温度3200K)を用い、最大濃度が出るようなグレーフィルターを介して露光時間1/100秒、露光照度6万ルクスでセンシトメトリー用の階調露光を与え、イーストマンコダック社から公表されているECP−2プロセスに従って前記試料100〜106のそれぞれ1m2を現像処理した。現像処理後の現像液20mlを200ml試験管にとり、30rpmで1分間回転させ、回転を停止してから1分後の泡の立ち方を観察した。泡の高さが高いほど泡立ちやすくなることを意味する。また、高速液体クロマトグラフィーにより処理後の現像液中に含まれる一般式(A)で表される化合物および一般式(B)で表される化合物の濃度を測定した。
【0136】
前記処理安定性についての試験結果およびその評価を、下記表2に示す。
【0137】
【表2】

【0138】
表2によると、乳化分散剤を本発明の化合物に置換することにより、また、乳化分散物の粒子径および本発明の化合物の量を本発明の範囲内に納めることで濃度低下を伴わずに起泡性が良化していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層およびマゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、かつ、非感光性親水性コロイド層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、該感光性ハロゲン化銀乳剤層または該非感光性親水性コロイド層の少なくとも一層が、下記一般式(A)で表される化合物および下記一般式(B)で表される化合物の少なくとも一種をそれぞれ含有し、乳化分散物の粒子径が0.02〜0.3μmであり、乳化分散物の総表面積(S)と一般式(A)で表される化合物の質量(a)および一般式(B)で表される化合物の質量(b)が下記式(C)の関係を満たす感光性ハロゲン化銀乳剤塗布液または非感光性親水性コロイド塗布液を塗布、乾燥されてなることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【化1】

一般式(A)中、R1は置換または無置換のアルキル基またはアルコキシ基を表す。M1はカチオンを表す。nは1〜7の整数を表す。ここでnが2〜7のとき、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。
【化2】

一般式(B)中、R2、R3はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基を表す。M2はカチオンを表す。
式(C)
880≦S/(a+b)≦1350
【請求項2】
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料を露光後、1m2の該ハロゲン化銀カラー写真感光材料を現像処理したときの現像処理液への前記一般式(A)で表される化合物および前記一般式(B)で表される化合物の合計溶出量が15ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。

【公開番号】特開2007−264070(P2007−264070A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85769(P2006−85769)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】