説明

ハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法及びハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置

【課題】 様々な種類の印刷紙に対応した白地特性を再現でき、画像判定精度が向上したハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法及びハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置を提供することにある。
【解決手段】 反射支持体上にイエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層を有するハロゲン化銀カラー感光材料を、自動現像機を用いて補充液を補充しながら処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、水洗処理工程または安定化処理工程が複数の処理槽を有し、該水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽は、独立して処理条件を制御する機構と独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを有し、かつ該処理条件を制御する機構及び該補充液の補充手段により、該ハロゲン化銀カラー感光材料の白地を制御することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の白地特性に制御することができるハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法及びハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化銀カラー感光材料(以降、単に感光材料ともいう)は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから、今日盛んに用いられている。この様な特徴からハロゲン化銀カラー感光材料は、一般的な撮影用写真分野のみならず、印刷分野、とりわけ印刷の途中段階で、最終仕上がり印刷物の状態を事前にチェックするための、いわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
上記プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像済みのフィルムを適宜交換しつつ、分解露光を施すことによって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させ、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われている。
【0004】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合には、コンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0005】
このような目的には、溶融熱転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、高画質な画像が得られる方式では費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀カラー感光材料を用いたシステムでは、ほとんどノイズ(粒状構造)をもたない画像形成が可能であることや優れた鮮鋭性から、正確な網点画像が形成できるなど高画質な画像形成が可能であり、また一方、連続した現像処理が可能であることや複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込むことができる等の利点から高い生産性を実現することが可能であった。
【0006】
上記プルーフ用のハロゲン化銀カラー感光材料を現像処理する際には、現在では自動現像機が広く用いられており、詳しくは、発色現像工程、脱銀工程(漂白、定着、あるいは漂白定着工程)、水洗あるいは安定化処理工程等の複数の処理槽を有し、これらに順次、露光を施したハロゲン化銀カラー感光材料を通過させながら、現像処理を行なっている。この際、カラープルーフの処理で用いられる水洗あるいは安定化処理槽は、3段以上の多段向流方式の処理槽が広く用いられている。
【0007】
プルーフ分野では、得られる白地特性や面内画像安定性が一つの重要な要素となっているが、近年では、ユーザーニーズに対応して、様々な種類の印刷紙(例えば、普通紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙、RC紙等)を用いた最終印刷物があり、その結果、ハロゲン化銀カラー感光材料に対しても単に白地特性をより向上させるだけではなく、対象となる最終印刷物で使用している印刷物の持つ特定の白地特性に調整することが、正確な色の適否を判断する観点から強く望まれている。
【0008】
上記課題に対し、例えば、塩化銀含有率が90モル%以上の高塩化銀乳剤を用い、一つの処理浴に蛍光増白剤を添加して、処理液の低温保存安定性、画像保存性が改良されたハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、水洗または安定化槽が多段向流方式からなり、かつ水洗または安定化槽における水または安定化液の補充が、最初の槽と最後の槽に対し行われる画像形成方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法に従えば、白地に優れかつ面内のばらつきが少なく、連続処理したときの白地の安定性がよい画像形成方法が実現できるとされている。
【0009】
また、多段向流方式の安定化処理槽を3槽以上有する自動現像機で処理する処理方法において、該安定化処理槽の最初の処理槽と最終の処理槽を除く少なくとも1槽が、加熱手段を有することで安定な網点画像を出力できる画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀感光材料を、多段向流方式の安定処理槽を有する自動現像機を用いた処理方法において、処理の少なくとも1工程で用いる処理液に、生分解キレート剤を添加して、色変動が改良され、安定性に優れたハロゲン化銀感光材料の処理方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。また、多段向流方式の安定処理槽を有する自動現像機を用いた処理方法において、キレート剤を含む補充液と蛍光増白剤を含む補充液とを各々独立に補充し、かつ安定処理槽の最終槽における蛍光増白剤濃度を最も高く設定し、大サイズでも白地の面内変動を抑えた処理方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この様に、カラープルーフでの種々の高度な要求に対応した白地向上技術が盛んに提案されつつある。
【0010】
しかしながら、上記提案されているいずれの方法も、それぞれの目的に対する効果はある程度発揮されるものの、上述の様に、白地特性の異なる、特に、蛍光増白剤の含有量が異なる様々な種類の印刷紙を用いた最終印刷物に対しては、その都度、その白地特性に対応したハロゲン化銀カラー感光材料や、処理液組成や処理機の処理槽構成を変更して対応せねばならず、同一画像形成処理装置、同一ハロゲン化銀カラー感光材料で対応するといった方法に関しては、一切の記載や示唆がなされてはおらず、上記の要望に対し汎用性という点で問題を抱えている。
【特許文献1】特開平6−332127号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2002−303961号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2002−182325号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2003−29385号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2005−91845号公報 (特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ハロゲン化銀カラー感光材料の構成変更や現像処理機の変更を伴うことなく、様々な種類の印刷紙に対応した白地特性を再現でき、画像判定精度が向上したハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法及びハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0013】
(1)
反射支持体上に、それぞれ少なくとも1層のイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料を、自動現像機を用いて補充液を補充しながら発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を経て処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、該水洗処理工程または安定化処理工程が複数の処理槽を有し、該水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽は、独立して処理条件を制御する機構と独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを有し、かつ該処理条件を制御する機構及び該補充液の補充手段により、該ハロゲン化銀カラー感光材料の白地を制御することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0014】
(2)
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽の前記ハロゲン化銀カラー感光材料の浸漬時間を制御する方法であることを特徴とする前記(1)項記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0015】
(3)
前記浸漬時間を制御する方法が、前記ハロゲン化銀カラー感光材料の処理槽における搬送経路を変更する手段であることを特徴とする前記(2)項記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0016】
(4)
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽内の処理液温度を制御する方法であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0017】
(5)
前記水洗処理工程または安定化処理工程の処理槽が4槽以上で構成され、最終処理槽が独立した処理槽であって、前記処理条件を制御する機構または補充液の補充手段及び廃液手段を独立して有し、かつ該最終処理槽のみが蛍光増白剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0018】
(6)
前記最終処理槽の独立した補充液の補充手段は、少なくとも蛍光増白剤を含有する補充液Aと蛍光増白剤を含有しない補充液Bとで構成された補充液を用い、各々の該補充液の補充量を独立に制御して補充することを特徴とする前記(5)項記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【0019】
(7)
反射支持体上に、それぞれ少なくとも1層のイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料を、補充液を補充しながら発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を経て自動現像処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置において、該水洗処理工程または安定化処理工程は複数の処理槽を有し、該水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽は、独立して処理条件を制御する機構と独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを有し、かつ該処理条件を制御する機構及び補充液の補充手段により、該ハロゲン化銀カラー感光材料の白地を制御することができることを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【0020】
(8)
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽の前記ハロゲン化銀カラー感光材料の浸漬時間を制御する方法であることを特徴とする前記(7)項記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【0021】
(9)
前記浸漬時間を制御する方法が、前記ハロゲン化銀カラー感光材料の処理槽における搬送経路を変更する手段であることを特徴とする前記(8)項記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【0022】
(10)
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽内の処理液温度を制御する方法であることを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【0023】
(11)
前記水洗処理工程または安定化処理工程の処理槽が4槽以上で構成され、最終処理槽が独立した処理槽であって、前記処理条件を制御する機構または補充液の補充手段及び廃液手段を独立して有し、かつ該最終処理槽のみが蛍光増白剤を含有することを特徴とする前記(7)〜(10)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【0024】
(12)
前記最終処理槽の独立した補充液の補充手段は、少なくとも蛍光増白剤を含有する補充液Aと蛍光増白剤を含有しない補充液Bとで構成された補充液を用い、各々の該補充液の補充量を独立に制御して補充することを特徴とする前記(11)項記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ハロゲン化銀カラー感光材料の構成変更や現像処理機の変更を伴うことなく、様々な種類の印刷紙に対応した白地特性を再現でき、画像判定精度が向上したハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法及びハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0027】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、反射支持体上に、それぞれ少なくとも1層のイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料を、自動現像機を用いて補充液を補充しながら発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を経て処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法、あるいはハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置において、該水洗処理工程または安定化処理工程が複数の処理槽を有し、該水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽は、独立して処理条件を制御する機構と独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを有し、かつ該処理条件を制御する機構及び該補充液の補充手段により、該ハロゲン化銀カラー感光材料の白地を制御することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法あるいはハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置により、ハロゲン化銀カラー感光材料の構成変更や現像処理機の変更を伴うことなく、様々な種類の印刷紙に対応した白地特性を再現でき、画像判定精度が向上したハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法及びハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0028】
詳しくは、様々な白地特性を有する印刷紙を用いた対象印刷物の白地特性との一致性を実現するため、処理条件を制御する機構または補充液の補充手段として、1)水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽の前ハロゲン化銀カラー感光材料の浸漬時間を適宜制御する方法、具体的には、全処理槽におけるハロゲン化銀カラー感光材料の搬送速度を変化させることなく、水洗処理槽あるいは安定化処理槽でのハロゲン化銀カラー感光材料の搬送経路を変更する手段を用いること、2)水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽内の処理液温度を制御する方法を適用すること、また独立した補充液の補充手段及び廃液手段として、3)水洗処理工程または安定化処理工程の処理槽を4槽以上で構成し、最終処理槽を独立した処理槽とし、この最終処理槽に処理条件を制御する機構または補充液の補充手段及び廃液手段を独立して設け、かつ最終処理槽のみに蛍光増白剤を含有させて処理する方法、あるいは4)最終処理槽の独立した補充液の補充手段として、少なくとも蛍光増白剤を含有する補充液Aと蛍光増白剤を含有しない補充液Bとで構成された補充液を用い、各々の該補充液の補充量を独立に制御して補充する方法を、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて用いることにより、本発明の上記目的を達成することができた。
【0029】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0030】
はじめに、本発明の処理方法で用いる画像形成処理装置について説明する。
【0031】
本発明で用いることのできる画像形成処理装置(以下、自動現像機ともいう)としては、発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を有し、該水洗処理工程または安定化処理工程が複数の処理槽を有していることを特徴とする。
【0032】
図1に本発明で用いることのできる自動現像機の現像処理部の概略構成図を示す。
【0033】
自動現像機APは、自動露光部(図示していない)から搬送されたハロゲン化銀カラー感光材料Pを一定速度で搬送しながら現像処理するもので、ハロゲン化銀カラー感光材料Pを処理するために、ハロゲン化銀カラー感光材料Pに接触させる処理液を貯留する処理液容器として、以下に示すように、複数の処理液槽1とこの処理液槽1に接続された補助槽2とが並べて設けられている。
【0034】
自動露光部よりにより露光が施されたシート状あるいはロール状のハロゲン化銀カラー感光材料Pは、複数対の送りローラ6により搬送され、自動現像機AP内に導入される。
【0035】
処理液槽である発色現像槽1A、漂白定着槽1B、安定化槽1C、1D、1E、1F(実質的に4槽構成の安定化槽)をローラ搬送手段(参照記号ナシ)により順次搬送され、それぞれ、発色現像処理、漂白定着処理、安定化処理がなされる。上記の各処理工程を経て処理されたシート状あるいはロール状のハロゲン化銀カラー感光材料Pは、乾燥部5で、乾燥ファン4により送風される調温された空気により乾燥され、外部ホルダー11に送り出すものである。このうち、上記安定化槽1C、1D、1E、1Fの少なくとも1槽が、本発明に係る独立して処理条件を制御する機構または独立した補充液の補充手段及び廃液手段を有する安定化槽(以下、独立安定化槽ともいう)である。図1においては、最終槽である安定化槽1Fが、独立安定化槽に相当する。
【0036】
上記発色現像槽1A、漂白定着槽1B、安定化槽1E、1Fの各処理液槽には、各補充液を調製するための溶解槽2A、2B、2E、2F、循環槽2C、2D及び補充液調製用の補充処理剤、例えば、固体処理剤を供給する処理剤供給装置3A、3B、3E、3Fが設けてある。また、発色現像槽1A、漂白定着槽1B、安定化槽1C、1Fの各処理液槽には、それぞれ廃液ライン12が設けられ、オーバーフローした処理液を貯蔵する廃液タンク7、8、9、10がそれぞれ配置されている。
【0037】
次いで、本発明に係る安定化槽の具体的構成について、図1に記載の構成からなる自動現像機APを用いて説明する。
【0038】
図1に記載の自動現像機APの安定化槽において、少なくとも1槽の安定化槽、好ましくは、最終の安定化槽1Fが独立して処理条件を制御する機構または独立した補充液の補充手段及び廃液手段を有している独立安定化槽である。また、残りの安定化槽1C〜1Eに関しては、安定化槽1Eに安定化液補充液を補充し、所定高さをオーバーした安定化液を安定化槽1Cに送るオーバーフロー管(図示していない)を安定化槽1Eの所定高さに設けられ、更に所定高さをオーバーした安定化液を、安定化槽1Cに送るオーバーフロー管(図示していない)が安定化槽1Dの所定高さに設けられて、安定化槽1C、第2安定化槽1D及び第3安定化槽1Eが、多段向流方式で接続されていることが好ましい。
【0039】
本発明の処理方法あるいは画像形成処理装置においては、水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽は、独立して処理条件を制御する機構を備えていることを一つの特徴とする。
【0040】
本発明に係る独立安定化槽(例えば、図1に記載の最終の安定化槽1F)においては、処理条件を制御する方法の一つが、安定化槽における浸漬時間を制御する方法であることが好ましい。すなわち、独立安定化槽の浸漬時間、特に、後述する蛍光増白剤を含有する安定化液の浸漬時間を制御することにより、得られる白地特性を所望の条件(対象とする印刷物の白地特性)に調整することができる。
【0041】
本発明において、浸漬時間を制御する方法として、特に制限はないが、単にハロゲン化銀カラー感光材料の搬送速度を変化させて浸漬時間を制御する方法では、一連の連続処理を行っている自動現像機では、必然的に発色現像時間あるいは漂白定着時間も搬送速度の変更に連動して変化してしまうため適用することができない。従って、本発明においては、浸漬時間を制御する方法として、他の処理槽の浸漬時間(処理時間)に影響を与えないという観点から、独立した安定化槽の搬送経路を変更することにより、浸漬時間を調整する方法が好ましい。
【0042】
図2は、本発明に係る独立安定化槽の搬送経路を変更して、浸漬時間を制御する方法を説明する模式図である。
【0043】
図2のa)は、安定化槽1F内に配置された一対のガイドローラ14とサポートローラ13から構成される搬送ユニット(図2では、6個の搬送ユニットを配置した例で示してある)の全てを通過させて処理を行う方法である。これに対し、図2のb)では搬送経路として、上部に位置する4つの搬送ユニットのみを搬送する経路に変更することにより、他の処理槽の処理時間を変更することなく、安定化槽1Fのみの浸漬時間を2/3に変更することができる。更に、図2のc)に記載の様に、上部に位置する2つの搬送ユニットのみを搬送する経路に変更することにより、安定化槽1Fのみの浸漬時間を1/3に変更することができる。
【0044】
図2では、搬送ユニット数として6個から構成されている例を示したが、目的に応じてより詳細に浸漬時間を変更する場合には、適宜搬送ユニット数を増加させることにより、任意の処理時間に設定することができる。
【0045】
また、本発明係る独立安定化槽においては、処理条件を制御する方法の一つが、安定化槽内の処理液温度を制御する方法であることが好ましい。
【0046】
具体的には、独立安定化槽内部に温度検出部を備え、この温度検知部での測定データに基づき、処理槽内部、好ましくは処理槽底部、あるいは処理槽の循環ラインの途中に配置した独立に制御できる加熱ヒータあるいは冷却ユニットを用いて、所望の処理液温度に制御を行う。この方法を採ることにより、処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の白地特性を所望の条件(対象とする印刷物の白地特性)に調整することができる。
【0047】
本発明の処理方法あるいは画像形成処理装置においては、水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽が、独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを有していることを、一つの特徴とする。
【0048】
本発明の処理方法において、水洗処理工程または安定化処理工程の処理槽が4槽以上で構成され、最終処理槽が独立処理槽であって、この独立処理槽が処理条件を制御する機構または補充液の補充手段及び廃液手段を独立して有し、かつ該最終処理槽のみが蛍光増白剤を含有することが好ましい。
【0049】
更には、最終処理槽(独立処理槽)の独立した補充液の補充手段としては、少なくとも蛍光増白剤を含有する補充液Aと蛍光増白剤を含有しない補充液Bとで構成された補充液を用い、各々の補充液の補充量を独立に制御して補充する方法であることが好ましい。
【0050】
例えば、図1に示す自動現像機APにおいては、4槽の安定化槽から構成される安定化工程において、安定化槽1C〜1Eは通常使用されている安定化槽で、前述の如く、多段向流方式でそれぞれが連結された構成となっており、溶解槽2E及び処理剤供給装置3Eより、補充液が補充され、最終的にオーバーフローした安定化液が、廃液ライン12を経て、廃液タンク9に貯蔵される。
【0051】
これに対し、最終処理槽(独立処理槽)である安定化処理槽1Fには、上記安定化槽1C〜1Eとは別に、独立した溶解槽2F及び処理剤供給装置3Fより、補充液が補充され、最終的にオーバーフローした安定化液が、廃液ライン12を経て、廃液タンク10に貯蔵される。
【0052】
上記の様な構成において、安定化処理槽1Fが蛍光増白剤を含有し、蛍光増白剤の種類や添加量、あるいは前述の様な浸漬時間や浸漬温度を適宜調整することにより、対象とする印刷物の白地特性に一致させることができ、その結果、高い画像判定精度を備えたカラープルーフを得ることができる。
【0053】
また、蛍光増白剤の添加方法としては、安定化処理槽1Fに少なくとも蛍光増白剤を含有する補充液Aと蛍光増白剤を含有しない補充液Bとを用い、所望の蛍光増白剤となる様に各々の補充液の補充量を独立に制御して補充する。
【0054】
最終安定化槽である独立安定化槽(安定化処理槽1F)における蛍光増白剤濃度としては、特に制限はないが、安定化液1L当たり10mg〜2gであることが好ましく、より好ましくは50mg〜1gである。
【0055】
本発明に係る最終安定化槽で用いることができる蛍光増白剤として、特に制限はないが、好ましくは下記一般式(W)で表される化合物である。
【0056】
【化1】

【0057】
上記一般式(W)において、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、R15、R16はそれぞれ独立に下記一般式(W−R)で表される基を表し、Rwは水素原子、下記一般式(W−R)で表される基、または−CH2CH2SO3Mを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基、またはピリジニウム基を表す。R13とR15、R14とR16は互いに結合して環を形成してもよい。
【0058】
【化2】

【0059】
上記一般式(W−R)において、Aは水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシプロピル基のいずれかを表し、Aは同一でも異なっていてもよい。f、h及びjは1または2を表し、g、i及びkは0または1を表す。
【0060】
上記一般式(W)におけるR11、R12で表される置換基としては、特に制限はないが、例えば、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、この他にハロゲン原子、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシル、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、スルホ等の各基、スピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等も挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。R11、R12として好ましくはアリール基、アルキル基であり、好ましくはアルキル基である。好ましいアルキル基としては炭素数1〜16、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基であり、置換基としてはアルコキシ基、スルホン酸基、エチレンオキシ基などが挙げられる。R11、R12で表されるアルキル基としては、具体的にはメチル基、プロピル基、iso−プロピル基、オクチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基等が挙げられる。R11、R12として特に好ましくは水素原子、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基などである。
【0061】
一般式(W)におけるR13、R14で表される置換もしくは無置換のアルキル基としては、R11、R12と同様のものを好ましく用いることができる。
【0062】
一般式(W)におけるR15、R16で表される置換基は、前記一般式(W−R)で表され、一般式(W−R)中のAは水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシプロピル基のいずれかを表し、4つのAは同一でも異なっていてもよい。R15及びR16で表される基としては、ヒドロキシル基を少なくとも一つ以上含有することが好ましい。
【0063】
一般式(W)におけるRwで表される基は、前記一般式(W−R)で表される基、または−CH2CH2SO3Mである。Rwで表される基として、好ましくは−CH2CH2SO3Mである。
【0064】
一般式(W)におけるMで表されるアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子の中で、特に好ましいのはNa及びKである。アンモニウム基としてはテトラアルキルアンモニウム基が好ましく、例えば、テトラブチルアンモニウムが挙げられる。一般式(W)で表される化合物におけるMとして、最も好ましくはNa及びKである。
【0065】
次に、本発明において好ましく用いられる一般式(W)で表される蛍光増白剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
【化3】

【0067】
【化4】

【0068】
【化5】

【0069】
【化6】

【0070】
【化7】

【0071】
【化8】

【0072】
【化9】

【0073】
【化10】

【0074】
本発明のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法に用いられる一般式(W)で表される化合物は、特開2001−281823号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
【0075】
以上の様な独立して処理条件を制御する機構と独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを用いた本発明の処理方法を用いることにより、対象とする様々な種類の印刷物の白地特性に、大幅な装置改装や搬送速度等の変更を伴うことなく、容易に一致させることができ、その結果、高い画像判定精度や対象印刷物との白地一致性を備えたカラープルーフを得ることができる。
【0076】
図3は、種類の異なる印刷物に対するハロゲン化銀カラー感光材料の白地特性(色差)の一例を示すグラフである。
【0077】
基準となる対象印刷物及び現像処理後のカラープルーフ材料(ハロゲン化銀カラー感光材料)の白地領域の白地特性は、分光光度計、例えば、HITACHI U−4000型自己分光光度計(日立社製)を用いて分光反射率を測定し、横軸に測定波長(nm)を、縦軸に反射率あるいは反射濃度からなる分光反射スペクトログラムとして求めることができる。また、上記分光反射スペクトログラムの他にも、当業界で公知の色度指数L*、a*、b*の数値により色差を評価することができる。上記の分光反射スペクトログラムとL*、a*、b*との詳細な関係は、例えば、新編 色彩科学ハンドブック 1998年6月10日初版発行 P89−129に記述されており、本明細書ではL*、a*、b*測定により印刷物との色差の比較を行った。
【0078】
例えば、カラープルーフとして、紙基材の両面をオレフィン樹脂で被覆した支持体(RC紙ともいう)を用いたハロゲン化銀カラー感光材料の場合、対象印刷物の印刷紙AがRC紙あるいはそれに近似した材質である場合には、図3のa)に示す様に、従来の基準処理条件で現像したハロゲン化銀カラー感光材料の白地特性は、対象印刷物の白地特性と近似の特性を得ることができ、本発明に係る処理方法においても処理条件や補充液の補充手段の修正として、基準処理条件から僅かの修正で一致させることができる。
【0079】
これに対し、図3のb)に示す様に、印刷紙Aとは、特に、400〜550nmの領域での白地の分光反射特性が異なる印刷紙Bを用いた対象印刷物に対しては、従来の基準処理条件で現像したハロゲン化銀カラー感光材料では、得られる白地特性に大きな差異を生じ、白地一致性に乏しい結果となる。これに対し、本発明の処理方法に準じて、現像処理における安定化槽の浸漬時間、処理液温度、あるいは蛍光増白剤を含む補充液の補充条件を適宜調整することにより、得られるハロゲン化銀カラー感光材料の白地特性を印刷紙Bに一致させることができ、同一のハロゲン化銀カラー感光材料を用いても、処理条件、特に安定化工程の処理条件を、対象とする印刷紙の特性に合わせ適宜調整することにより、様々な特性の印刷物に対し、常に近似の白地特性を得ることができる。
【0080】
次いで、本発明のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法で用いる各処理液の構成につて、説明する。
【0081】
本発明の処理方法においては、発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を経て処理を行うが、それぞれ発色現像液、漂白定着液あるいは漂白液と定着液、水洗水、リンス液あるいは安定化液と、それぞれの各補充液を用いる。
【0082】
はじめに、本発明に係る安定化液の組成について説明する。
【0083】
本発明に係る安定化液には、上記説明した蛍光増白剤の他に、緩衝剤(例えば、炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(例えば、ディアサイド702(ディアボーン社製)、トップサイド2520(パーマケム社製)、1−ブロモ−3−クロロー5,5’−ジメチルヒダントイン、1、3−ビス(ヒドロキシメチル)ブロモ−3ー5,5’−ジメチルヒダントイン、2−ブルモ−2−ニトロプロパンー1,3−ジオール、p−クロロ−m−クレゾール、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、o−フェニルフェノール、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸等)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(例えば、亜鉛塩、マグネシウム塩等)、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の界面活性剤、キレート剤等を適宜添加することができる。
【0084】
本発明に係るキレート剤として、特に制限はないが、好ましくは下記一般式(B)で表される化合物である。
【0085】
【化11】

【0086】
上記一般式(B)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基または置換アルキル基を表す。
【0087】
上記一般式(B)で表されるN−置換イミノジ酢酸の第2鉄錯塩において、N−アルキルイミノジ酢酸のアルキル基Rは、炭素数1〜3のアルキル基で、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。これらのアルキル基は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、アルキル基中のヒドロキシ基の数は0〜3が好ましい。
【0088】
以下、本発明に好ましく用いられる一般式(B)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
B−1:N−メチルイミノジ酢酸
B−2:N−エチルイミノジ酢酸
B−3:N−ヒドロキシメチルイミノジ酢酸
B−4:N−β−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
B−5:N−プロピルイミノジ酢酸
B−6:N−α,β−ジヒドロキシエチルイミノジ酢酸
B−7:N−α−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
B−8:β−アラニンジ酢酸
上記化合物中、特に好ましいのはB−1、2、3、8である。
【0090】
一般式(B)で表される化合物は、本発明中では第二鉄錯塩として用いられるが、これらはアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の形で添加してもよいし、フリーの該化合物と第二鉄イオンを供与する化合物を液中で混合させることによって生成させてもよい。
【0091】
本発明に係るキレート剤を含むパートは、水洗または安定化処理工程が、複数の処理槽からなり、処理槽のオーバーフロー液を、処理槽より前に位置する処理槽に持ち込む多段向流方式において、水洗または安定化処理工程の処理槽の少なくとも1槽に添加されていればよいが、好ましくは複数の処理槽から構成される水洗または安定化槽の第1槽目に添加することが、本発明の目的効果を遺憾なく発揮させる観点で好ましい。
【0092】
また、その他のキレート剤としては、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
【0093】
キレート剤の添加濃度としては、溶解性の点から、安定化液1Lあたり、1g〜500gの範囲が好ましい。
【0094】
次いで、発色現像液について説明する。
【0095】
本発明に係る発色現像液に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0096】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは、例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは上述のように遊離塩基型である。上記芳香族第1級アミン現像主薬の使用液中の濃度は、発色現像液1リットル当たり2ミリモル〜200ミリモル、好ましくは6ミリモル〜100ミリモル、より好ましくは10ミリモル〜40ミリモルとなるように加えられる。
【0097】
発色現像液には、有機保恒剤を添加してもよい。有機保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、芳香族第一級アミン発色現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、発色現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であり、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
【0098】
有機保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
【0099】
上記有機保恒剤の添加量は、発色現像処理液1L当たり1×10-3モル以上、1×10-1モル以下とすることが好ましい。また、発色現像処理液には、対象とする感光材料の種類によって少量の亜硫酸イオンを含んだり、あるいは実質的に含まない場合もあるが、本発明においては、亜硫酸イオンを少量含むことが好ましい。また、ヒドロキシルアミンを少量含有してもよい。ヒドロキシルアミン(通常塩酸塩や硫酸塩の形で用いるが、以下塩の形を省略する)は、亜硫酸イオンと同様に現像液の保恒剤として作用するが、同時にヒドロキシルアミン自身の銀現像活性のために写真特性に影響することもあるので、この添加量も少量に留める必要がある。
【0100】
発色現液のpHは、使用液では9.0〜13.5が好ましく、補充液pHは9.0〜13.5が好ましい。発色現像処理液には、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含有させることもできる。
【0101】
上記pHを保持するための緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった点から、特に好ましい緩衝剤である。
【0102】
上記緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0103】
上記緩衝剤の添加量は、発色現像液1Lあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0104】
発色現像液には、その他の成分として、例えば、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。各種キレート剤の具体例としては、上記のニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1L当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
【0105】
発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.001〜0.2mol、好ましくは0.01〜0.05molが好ましい。
【0106】
発色現像液には、必要に応じて、前記ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0107】
発色現像液には、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の界面活性剤を添加しても良い。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.0001〜0.2molが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05molになるように添加量が決められる。
【0108】
発色現像液には、通常塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有する場合が多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として使用液中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。
【0109】
次に、脱銀工程である漂白工程あるいは漂白定着工程で用いる漂白液または漂白定着液について説明する。
【0110】
本発明において、漂白液または漂白定着液には、漂白主剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸の第2鉄錯塩、過硫酸塩、過酸化水素などのいかなる漂白主剤を用いることができるが、その中でも、アミノポリカルボン酸から錯形成される第2鉄錯塩が、処理の迅速適性や環境適性の観点から好ましい。アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩としては、例えば、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸等のアミノポリカルボン酸との第2鉄錯塩等を挙げることができ、これら化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩またはアンモニウム塩を任意に用いることができる。これらの中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸の第2鉄錯塩が、漂白性能が良好な点から好ましい。
【0111】
これら第2鉄錯塩は、錯塩の形で使用してもよいし、例えば、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などと上記したアミノポリカルボン酸と溶液中で錯形成させてもよい。
【0112】
また、前記したアミノポリカルボン酸と鉄イオンとのモル比率は、キレート構造の安定性から、アミノポリカルボン酸:鉄イオン=1.01:1.00〜1.10:1.00が好ましい範囲である。前記した漂白主剤は、単独或いは2種類以上併用しても良い。
【0113】
前記漂白主剤の濃度としては、漂白液または漂白定着液1L当たり、0.01〜1.5モルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.8モル/リットルであり、この範囲とすることにより、低補充適性及び迅速条件での処理性に優れる。また、漂白液における好ましいpHは、3.0〜7.0であり、特に3.5〜6.5が好ましい。一方、漂白定着処理液では、好ましいpHは3.0〜8.0であり、より好ましくは4.0〜7.5である。上記pHの範囲では、高い漂白能が得られるばかりか、ステイン等の発生もなく、優れた処理性能が得られる。上記pH範囲に調節するには、種々の有機酸塩(例えば、酢酸、乳酸、グリコール酸、琥珀酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、スルホ琥珀酸、酒石酸、グルタル酸など)、有機塩基(例えば、イミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)あるいは、2−ピコリン酸やコージ酸等を適用することができる。これらの中でも、イミダゾール、グリコール酸、琥珀酸及びマレイン酸が漂白能への影響が比較的少ないことから好ましい。また、添加量としては、漂白定着液1L当たり、0.05〜3.0モルが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.0モルである。
【0114】
また、漂白液または漂白定着液においては、本発明に係る前記一般式〔I〕で表されるスルフィン酸化合物を、各液1L当たり、0.01〜3.0モル程度含有しても良い。
【0115】
上記化合物の他に、漂白液または漂白定着液には銀の酸化を促進する為の再ハロゲン化剤として、塩化物、臭化物、ヨウ化物の如きハロゲン化物を添加しても良い。また、ハロゲン化物の代わりに難溶性銀塩を形成する有機性配位子を加えてもよく、ハロゲン化物はアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩、あるいはグアニジン、アミンなどの塩として加える。具体的には、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化カリウム、塩酸グアニジンなどが挙げられる。その添加量は、処理液として調製した際の濃度が、1L当たり0.01〜2.0モルとなる範囲が好ましい。
【0116】
その他、燐酸塩またはポリ燐酸塩燐酸塩を添加しても良い。燐酸塩としては、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸三アンモニウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、及び燐酸三ナトリウム等をあげることができる。ポリ燐酸塩の具体的な化合物としては、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、四燐酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、N(−2−カルボキシエチル)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、N,N−ビス−(カルボキシメチレン)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、モルホリノメタン−ジホスホン酸、ニトリロトリスメチレン−ホスホン酸、エチレンジアミン−テトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、及び2−カルボキシエタン−ホスホン酸、メチレンジホスホン酸等を挙げられる。これら燐酸塩またはポリ燐酸塩は単独或いは2種類以上併用しても良く、添加濃度としては漂白または漂白定着液1リットルあたり、0.01モル〜2.5モルが好ましい。
【0117】
また、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸等の蛍光増白剤を含んでも良い。これら濃度は、漂白または漂白定着処理液1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.01モルが好ましい。
【0118】
前記トリアジン系化合物を含有しても良い。これら添加濃度は、漂白液または漂白定着液1L当たり0.02〜20ミリモルであり、より好ましくは0.05〜10ミリモル、特に好ましくは0.1〜5ミリモルである。
【0119】
硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどの硝酸塩を添加する事もでき、添加濃度としては、漂白または漂白定着液1リットルあたり0.5〜7.0モルが好ましい。また、各種の消泡剤或いは界面活性剤、前記ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることもできる。
【0120】
漂白液または漂白定着液には、迅速処理適性を考慮するときはアンモニウムイオンを使用することが好ましく、一方で、作業環境性に重点をおく場合は、実質上、アンモニウムイオンを含まない方が好ましい。
【0121】
また、漂白定着液には、保恒剤を含有させることが、下記の定着主剤の経時安定性の点から好ましい。保恒剤としては、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニなど)または亜硫酸イオン放出性化合物等が好ましい。濃度としては、1リットルあたり、亜硫酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。
【0122】
次に、漂白定着液に含まれる定着主剤について説明する。
【0123】
定着主剤としては、公知のハロゲン化銀溶剤を用いることができ、例えば、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなどチオ硫酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。その他としては、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。定着主剤の濃度は、漂白定着液1リットル当たり、0.3〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。これらは、1種あるいは2種以上併用しても良い。その他に副次的定着主剤として、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物及びチオ尿素、エチレンチオ尿素などのチオ尿素類などを1種あるいは2種以上併用して含んでも良い。これら副次的定着主剤の濃度としては、好ましくは1.8モル/L以下であり、より好ましくは0.1〜1.6モル/Lの範囲である。
【0124】
次に定着液について説明する。
【0125】
定着液には、公知のハロゲン化銀溶解剤である前記定着主剤(例えば、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなど)を含み、必要に応じて副次的な定着主剤(例えば、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物及びチオ尿素、エチレンチオ尿素など)を含んでも良い。定着主剤の濃度としては、定着液1リットル当たり、0.3〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。また、定着液のpHは4〜9が好ましく、さらには5.5〜8が好ましい。上記pHの範囲であれば、優れた定着能が得られるばかりか、臭気等の発生も無く、良好な処理性能が得られる。前記pH領域に調節する為には、前記有機塩基(例えば、イミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)などが挙げられる。また、定着液には、亜硫酸塩やスルフィン酸化合物を含有させることが処理液の経時安定性から好ましく、濃度としては定着処理液1リットルあたり、亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。
【0126】
本発明の処理方法において、各処理液の補充量としては、発色現像工程では、ハロゲン化銀カラー感光材料1m2当たり15〜200mlが好ましく、より好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。また、漂白定着工程の補充量では、ハロゲン化銀カラー感光材料1m2あたり20〜250mlが好ましく、より好ましくは、20ml〜110ml、さらに好ましくは30ml〜100mlである。安定化工程の補充量では液全体で1000ml以下が好ましく、更に好ましくは500ml以下であり、特に好ましくは200ml以下である。また、各工程の処理時間は、発色現像時間(発色現像工程を行う時間)は迅速性の点から、45秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは26秒以下、6秒以上である。漂白定着工程の処理時間は90秒以内に設定することが好ましく、特に好ましくは45秒、さらに好ましくは26秒以内である。安定化時間(安定化工程を行う時間)は、90秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは30秒以下である。
【0127】
なお、発色現像時間は、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、発色現像槽中に入ってから次の処理工程の漂白または漂白定着槽に入るまでの時間をいい、その間のクロスオーバータイム(液外搬送時間)を含む。同様に、漂白定着工程に要する時間も該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続する安定化槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。
【0128】
また、安定化時間も第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、安定化液に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間を言い、その間のクロスオーバータイムを含む。前記クロスオーバータイムとしてはステイン及びカブリ防止の点から、短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下、更に好ましくは3秒以下である。
【0129】
また安定化工程では、クロスオーバータイムが5秒以下、実質的には0であることがエッジ汚染抑制の点から好ましい。尚、ここで言うエッジ汚染とは、処理後の感光材料の紙支持体端部切断面(エッジ部)の汚れを指す。クロスオーバータイムを実質的0にする手段としては、特開平5−66540号の図2〜図5に記載されるような液中ブレード等の搬送方式を用いることで達成できる。
【0130】
発色現像工程、脱銀工程、安定化工程の処理液温度は、一般には30〜40℃であるが、迅速処理では、38〜60℃が好ましく、より好ましくは38〜50℃である。乾燥工程は、ハロゲン化銀カラー感光材料の画像膜への水分の持込み量を減じる観点から安定化工程を行った後すぐにスクイズロ−ラ−や布などで水分を吸収することで乾燥を早めることも可能である。また当然のことではあるが、温度を高くすることや吹き付けノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0131】
また、漂白工程ではエアレーションを実施しても良い。エアレーションには当業界で公知の手段を使用できる。エアレーションに関してはイーストマン・コダック社発行のZ−121、ユージング・プロセス・C−41第3版(1982年)、BL−1〜BL−2頁に記載の事項を利用できる。また、漂白工程では撹拌を強化することが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。その中でも感光材料の乳剤面に漂白処理組成物を吹き付けるジェット撹拌方式が好ましい。また、漂白工程及び漂白定着工程では処理に使用後のオーバーフロー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再利用(再生)することも出来る。
【0132】
本発明のハロゲン化銀感光材料の画像形成処理装置としては、処理槽に配置されたローラーにハロゲン化銀カラー感光材料をはさんで搬送する図1に記載の様なローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともにハロゲン化銀カラー感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが、この際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0133】
次いで、本発明の処理方法で用いるハロゲン化銀カラー感光材料について説明する。
【0134】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤が好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤において、高濃度に臭化銀を含有する部分は、いわゆるコア・シェル型ハロゲン化銀乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。
【0135】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤には、重金属イオンを含有させるのが有利である。これにより、いわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたりシャドー領域での軟調化が防止されることが期待される。
【0136】
このような目的で用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、ニトロシル、アンモニア、1,2,4−トリアゾール、チアゾール等を挙げることができる。中でも、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。これらの配位子は単独であっても複数の配位子が併用されてもよい。
【0137】
これらの金属化合物の特性として、ハロゲン化銀乳剤粒子に含有させた時の電子トラップの深さとして特徴づけることもできる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物としては、第2鉛イオンまたはシアノ配位子を有する化合物を挙げることができ、相反則不軌、特に低照度不軌を改良するのに有効である。また、深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物としては、ハロゲン化物イオンやニトロシル配位子を有するIr、Rh、Ru化合物を挙げることができる。これらの化合物は、高照度相反則不軌を改良する上で好ましく用いることができる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物と深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物を併用することも好ましい形態である。これら化合物については、特開2000−214561号公報の4〜5ページに詳しい記載がある。
【0138】
ハロゲン化銀乳剤中に重金属イオンを含有させる方法としては、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。
【0139】
重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。前記重金属イオンのハロゲン化銀乳剤中への添加量は、ハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル以上、1×10-2モル以下が好ましく、特に、1×10-8モル以上、5×10-5モル以下が好ましい。
【0140】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の形状は、任意のものを用いることができる。好ましい例の1つは、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。更に、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0141】
本発明に用いられる粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一画像形成層に添加することが特に好ましい。
【0142】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径としては、特に制限はないが、迅速処理性適性及び到達感度や、他の写真性能を考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0143】
この粒径は、ハロゲン化銀粒子の投影面積か、あるいは直径近似値を使ってこれを測定して求めることができる。ハロゲン化銀粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0144】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは、変動係数が0.15以下の単分散乳剤を2種以上、同一画像形成層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0145】
変動係数=S/R
ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。
【0146】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、調製方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0147】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該ハロゲン化銀粒子は、一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後で成長させてもよい。種粒子を調製する方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0148】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0149】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載されている水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化させて添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0150】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0151】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法等を適宜組み合わせて用いることができる。カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、チオ硫酸塩、トリエチルチオ尿素、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0152】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより適宜変更することが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲である。
【0153】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-4〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。これらの化合物は、増感剤としてではなく、塗布液の調製段階などで種々の目的で添加することもできる。
【0154】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0155】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有することもできる。該ハロゲン化銀乳剤は、1種または、2種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0156】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0157】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解して溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい、水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0158】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10-2N/m以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0159】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0160】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報の第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0161】
また、これらの分散装置を用いるに際し、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0162】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種または、2種以上の増感色素を組み合わせて含有してもよい。
【0163】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀カラー感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。この様な目的で用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報の7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される含窒素複素環メルカプト化合物を挙げることができ、更に好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、特開2000−267235号公報の8ページ右欄32〜36行目に記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの任意の工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5〜1×10-2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布皮膜中の含有量として、1m2当り1×10-9〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
【0164】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、種々の目的で他の添加剤を加えることができる。例えば、特開平2−146036号公報に具体的に記載されているA−20、C−1、C−9、C−14、C−15、C−16、C−40等のジスルフィド、ポリスルフィド化合物、D−1、D−3、D−6、D−8等のチオスルホン酸化合物、無機イオウ等を用いることが好ましい。
【0165】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有する本発明に係るイエロー色素形成カプラーの他に、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0166】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては、特開平8−328210号公報の2ページに記載の一般式M−IもしくはM−IIで示される化合物が好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号6ページから16ページに記載のMCP−1〜MCP−41を挙げることができる。更に、他の具体例としては、欧州公開特許第0,273,712号の6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び同第0,235,913号の36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものがある。
【0167】
該マゼンタカプラーは、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常、総マゼンタカプラー量としては、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3モル〜1モル、好ましくは1×10-2モル〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0168】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料において、形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、画像色素の分光吸光度曲線において、最大吸光度が1.0である時、最大吸光度を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2となる波長をいう。この量は、画像色素の長波側の不要吸収の大きさを示す目安となる量であり、λmaxに近い波長であるほど不要吸収が小さく好ましいことを表す。
【0169】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有されることが好ましい。本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーとしては、公知のピバロイルアセトアニリド型もしくはベンゾイルアセトアニリド型等のカプラーが挙げられる。本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平8−314079号公報の6〜15ページ右欄に記載のYCP−1〜YCP−39で表されるカプラーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0170】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料において、シアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系又はイミダゾール系、アゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、或いはウレイド基などを置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2当量型ナフトール系カプラーなどが代表される。このうち好ましい化合物としては、特開平6−95283号公報の13ページに記載の一般式[C−I]、[C−II]で表される化合物が挙げられる。
【0171】
アゾール系カプラーとしては、特開平8−171185号公報の2ページに記載の一般式〔I〕もしくは〔II〕で表されるピラゾロアゾール系カプラー、または、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系カプラーを挙げることができる。
【0172】
該シアンカプラーは、通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0173】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、公知のイエローカプラー、好ましくはアシルアセトアニリド系カプラー等を用いることができる。
【0174】
本発明で用いることのできるイエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー、特開2002−351023号に記載の一般式(I)、(II)の化合物等も挙げることができる。
【0175】
また、良好な色再現性、高発色性ならびに良好な耐光性が得られる観点から、特開昭63−123047号に記載されているような、アニリド部の2位にアルコキシ基を、5位にアシルアミノ基を有するイエローカプラー、米国特許第5,455,149号明細書に記載されているような炭素数1〜6のアルキル基が窒素原子に置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−296740号公報に記載の置換アルキル基が置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−296741号公報に記載のアリール基または複素環基が置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−318442号公報に記載のヘテロ原子等の二価の連結基が導入されたピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−318443号公報に記載の炭素数7以上のアルキル基が置換したピリミジン−4−オンが結合したアセトアニリド型カプラー、特開2002−351023号公報、特開2003−173007号公報に記載の〔1,2,4〕チアジアジン−1,1−ジオキシドが結合したアセトアニリド型カプラー等を挙げることができる。
【0176】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料において、形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0177】
該イエロー色画像の分光吸収のλL0.2とは、特開平6−95283号21ページ右欄1行〜24行に記載の内容で定義される値であり、イエロー色素画像の分光吸収特性で長波側の不要吸収の大きさを表す。
【0178】
該マゼンタ色画像、シアン色画像、及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、本発明に係る前記一般式(HBS−1)で表される化合物と共に、公知の色調調整作用を有する化合物を添加することができる。このための化合物としては、特開平6−95283号公報の22ページに記載の一般式[HBS−I]で示されるリン酸エステル系化合物、[HBS−II]で示されるホスフィンオキサイド系化合物が挙げられる。
【0179】
前記マゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報の3ページに記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報に記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開昭64−90445号公報に記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報に記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が、特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号号公報に記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報に記載の一般式IIで示される化合物が、特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0180】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加する際に、水中油滴型乳化分散法を用いる場合、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を組み入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、特開平4−265975号公報の5ページに記載の(a−i)〜(a−x)を代表とする高級アルコール系化合物等が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また、2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0181】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で、種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報の308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報に記載の染料が好ましく用いられる。
【0182】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては、染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0183】
本発明に用いられるハロゲン化銀カラー感光材料では、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層に、白色顔料を含有していてもよい。例えば、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は、処理液が浸透できるような、例えば、ゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は、好ましくは0.1〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2〜5g/m2の範囲である。
【0184】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に、必要に応じて、下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0185】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料中に、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良できる点で好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には、増感色素のハロゲン化銀カラー感光材料外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0186】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、公知の各種界面活性剤を併せて用いることができる。感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号に記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これら界面活性剤を用いて乳化された油溶性添加剤の分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく、各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0187】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物をハロゲン化銀乳剤層間に設けた中間層に添加して色濁りを防止したり、また、ハロゲン化銀乳剤層に直接添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号に記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0188】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号に記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号に記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号に記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号に記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号に記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0189】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0190】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0191】
これらバインダーに対する硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号に記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号に記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、ハロゲン化銀カラー感光材料または処理後のハロゲン化銀カラー感光材料表面の物性を改良するため、保護層に、例えば、特開平6−118543号や特開平2−73250号に記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0192】
ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀カラー感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させる目的で、増粘剤を用いてもよい。塗布方法としては、2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティングまたはカーテンコーティングが特に有用である。
【0193】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料の幅としては用途に応じて任意の幅の物を用いることができるが、プルーフの用途では400mm以上の幅が好ましく用いられる。800mmあるいはそれ以上の幅の感光材料も好ましく用いられる。
【0194】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料への画像記録方法について説明する。
【0195】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることが出来るが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0196】
レーザーとしては半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。
【0197】
LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0198】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。特にG光の光源としてヘリウムネオンレーザーが好ましく用いられる。
【0199】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0200】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。ヘリウムネオンレーザーの場合には、比較的形状の整った光束が容易に得られる。
【0201】
本発明に用いられる露光用光源の強度変化は、LDのような場合には、個々のLDに流れる電流値を変化させる直接変調を行ってもよいしAOM(音響光学素子)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学素子)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0202】
本発明においては、面積階調画像を出力可能なカラープルーフであることが一つの特徴であるが、本発明でいう面積階調画像とは、画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0203】
通常、面積階調露光であればY、M、Cの発色をさせることで目的を達することもできる。より好ましくは、単色での発色濃度よりも高い濃度で墨を作るように、2値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。墨にさらにM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。
【0204】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化する事によってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0205】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査する必要があるが、感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0206】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0207】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0208】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0209】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることができるが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0210】
レーザーとしては半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。また、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0211】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0212】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。
【0213】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0214】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。
【0215】
露光用光源の強度変化は、LD、LEDのような場合には、個々の素子に流れる電流値を変化させる直接変調を行うことができる。LDの場合には、AOM(音響光学変調器)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学変調器)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0216】
光源にLEDを用いる場合には、光量が弱ければ、複数の素子で同一の画素を重複して露光する方法を用いてもよい。
【0217】
また、これらに代わる光源として有機発光素子を用いてもよく、これらについては、例えば、特開2000−258846号等に記載されている。
【0218】
本発明において、面積階調画像という言葉を用いるが、これは画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0219】
通常、面積階調露光であれば、Y、M、C、墨の発色をさせることで目的を達することもできる。より好ましくは、墨に加えてM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。
【0220】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化することによってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0221】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀カラー感光材料上を光束が走査する必要があるが、ハロゲン化銀カラー感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀カラー感光材料を、搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0222】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀カラー感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料は、露光する面側が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられる支持体は、適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0223】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀カラー感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンやハロゲン化銀カラー感光材料の感度などにより、適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0224】
ドラムへのハロゲン化銀カラー感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴をハロゲン化銀カラー感光材料の大きさに応じて多数設けておき、ハロゲン化銀カラー感光材料を吸引して密着させることもできる。ハロゲン化銀カラー感光材料をドラムにできるだけ密着させることが、画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【実施例】
【0225】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0226】
実施例1
《ハロゲン化銀カラー感光材料の作製》
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙の反射支持体1(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、下記表1に記載の構成からなる各層を、酸化チタンを含有するポリエチレン層面側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を含む層を塗設した多層ハロゲン化銀カラー感光材料を作製した。この時の支持体の厚みは100μmであり、また塗布は、塗布速度250m/minで行った。
【0227】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し、分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0228】
塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。
【0229】
【表1】

【0230】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジーt−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
HQ−4:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン
PVP:ポリビニルピロリドン
【0231】
【化12】

【0232】
【化13】

【0233】
【化14】

【0234】
上記ハロゲン化銀カラー感光材料の作製に用いた各感光性ハロゲン化銀乳剤は、以下の方法に従って調製した。
【0235】
(青感光性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に、下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は、特開昭59−45437号公報に記載の方法に従って行い、pH制御は硫酸または水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0236】
〈A液〉
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200mlに仕上げた
〈B液〉
硝酸銀 10g
水を加えて 200mlに仕上げた
〈C液〉
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600mlに仕上げた
〈D液〉
硝酸銀 300g
水を加えて 600mlに仕上げた
添加終了後、花王アトラス社製のデモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液とを用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体の乳剤EMP−101を得た。
【0237】
上記乳剤EMP−101に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B101を得た。
【0238】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
臭化カリウム 0.2g/モルAgX
次いで、上記乳剤EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間とをそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体の乳剤EMP−102を得た。
【0239】
上記青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B101の調製において、乳剤EMP−101に代えて、乳剤EMP−102を用いた以外同様にして、青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B102を調製し、Em−B101とEm−B102の1:1の混合物を第7層で用いる青感光性ハロゲン化銀乳剤とした。
【0240】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
上記乳剤EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間とをそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体の乳剤EMP−103を得た。
【0241】
上記乳剤EMP−102に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G101を得た。
【0242】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−2 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−3 2×10-4モル/モルAgX
塩化ナトリウム 0.5g/モルAgX
次いで、上記乳剤EMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間をそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体の乳剤EMP−104を得た。
【0243】
上記緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G101の調製において、EMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にして緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G102を調製し、Em−G101とEm−G102の1:1の混合物を第5層で用いた緑感光性ハロゲン化銀乳剤とした。
【0244】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記調製した乳剤EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R101を得た。
【0245】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10-4モル/モルAgX
次に、前記調製した乳剤EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R102を得た。
【0246】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 2×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 2×10-4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10-4モル/モルAgX
上記調製した赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R101と赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R102の1:1の混合物を、第3層の赤感光性ハロゲン化銀乳剤として用いた。
【0247】
上記各感光性ハロゲン化銀乳剤の調製に用いた添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0248】
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−4:p−トルエンチオスルホン酸
【0249】
【化15】

【0250】
《画像の形成》
〔露光装置〕
下記の光源を有するドラム露光方式の露光装置を使用した。
【0251】
光源としてブルーのLEDを主走査方向に5個並べ露光のタイミングを少しづつ遅延させることによって同じ場所を5個のLEDで露光できるように調整した。また、副走査方向にも20個のLEDを並べ隣接する20画素分の露光が1度に出来る露光ヘッドを準備した。グリーン、レッドについても同様に、上記と同様にLEDを組み合わせて露光ヘッドを準備した。各ビームの径は約10μmで、この間隔でビームを配列し、副走査のピッチは約100μmとした。1画像当たりの露光時間は約100ナノ秒であった。
【0252】
上記露光装置の露光ドラムに、650mm×950mmのシート状に断裁した上記各ハロゲン化銀カラー感光材料を巻き付けて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、墨(K)の濃度を20ステップにわたって変化させたウェッジ露光と、財団法人・日本規格協会発行の、高精細カラーデジタル標準画像データ「N5−自転車」(1995年12月発行)を出力画像として露光を行った。
【0253】
《現像処理装置》
〔処理装置1〕
処理装置1は、安定化槽が多段向流方式の3槽からなる自動現像機で、下記に示す現像処理条件で行った。なお、発色現像槽の容量は20L、漂白定着槽の容量は8L、第1〜第3の安定化槽の容量はそれぞれ5Lでそれぞれが連結されており、第3の安定化槽のオーバーフロー液を第2槽の安定化槽へ、第2の安定化槽のオーバーフロー液を第1槽の安定化槽へ送り込む多段向流方式である。
【0254】
〈現像処理条件〉
処理工程 処理温度 処理時間 補充量(ml/m2
発色現像 40.0±0.3℃ 120秒 80ml
漂白定着 40.0±0.5℃ 90秒 120ml
第1安定化(第1安定化槽)
30.0±1.0℃ 37秒
第2安定化(第2安定化槽)
30.0±1.0℃ 37秒
第3安定化(最終槽)
30.0±1.0℃ 37秒 350ml
乾燥 50〜70℃ 37秒
〈発色現像液タンク液と補充液〉
タンク液 補充液
純水 800ml 800ml
トリエチレンジアミン 2g 3g
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−4−アミノアニリン硫酸塩
2.9g 4.8g
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 20.4g 18.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.0に、補充液はpH=10.6に調整した。
【0255】
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整した。
【0256】
〈安定化液タンク液1及び補充液1〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(例示化合物W−13) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
硫酸亜鉛 0.5g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
N−β−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整した。
【0257】
〔処理装置2〕
処理装置2は、安定化槽が多段向流方式の4槽からなる自動現像機で、下記に示す現像処理条件で行った。なお、発色現像槽の容量は20L、漂白定着槽の容量は8L、第1〜第4の安定化槽の容量はそれぞれ4Lでそれぞれが連結されており、最終槽である第4の安定化槽は、独立して処理温度及び処理時間の制御が可能な機能を備えている。安定化液補充液1は、第4の安定化槽に添加し、第4の安定化槽のオーバーフロー液を第3槽の安定化槽へ、第3の安定化槽のオーバーフロー液を第2槽の安定化槽へ、第2の安定化槽のオーバーフロー液を第1槽の安定化槽へ送り込む多段向流方式である。
【0258】
〈現像処理条件〉
処理工程 処理温度 処理時間 補充量(ml/m2
発色現像 40.0±0.3℃ 120秒 80ml
漂白定着 40.0±0.5℃ 90秒 120ml
第1安定化(第1安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒
第2安定化(第2安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒
第3安定化(第3安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒
第4安定化(最終槽)
任意の条件に設定 任意の条件に設定 350ml
乾燥 50〜70℃ 37秒
上記各処理工程で使用した処理液は、発色現像液タンク液と補充液、漂白定着液タンク液及び補充液は、上記処理装置1で用いたそれぞれの処理液と同様のものを使用した。
、安定化液補充液1は第4安定化槽に補充した。
【0259】
〔処理装置3〕
処理装置3は、安定化槽として第1〜第3の多段向流方式の3槽からなる安定化槽と独立した補充液の添加機能を備えた第4の安定化槽(最終槽)の計4槽からなる自動現像機で、下記に示す現像処理条件で行った。なお、発色現像槽の容量は20L、漂白定着槽の容量は8L、第1〜第4の安定化槽の容量はそれぞれ4Lで、第3槽の安定化槽及び最終槽である第4の安定化槽にそれぞれ補充液の添加機能を備えている。第1〜第3の安定化槽はそれぞれが連結されており、安定化液補充液2は、第3の安定化槽に添加し、第3の安定化槽のオーバーフロー液を第2槽の安定化槽へ、第2の安定化槽のオーバーフロー液を第1槽の安定化槽へ送り込む多段向流方式である。
【0260】
また、第4の安定化槽は、図1に記載の様に独立した補充液の添加機能と廃液手段とを備え、下記の蛍光増白剤パート液と、安定化補充液2を添加し、オーバーフロー液は、独自の設けた廃液手段(図1の10)により回収した。
【0261】
〈現像処理条件〉
処理工程 処理温度 処理時間 補充量(ml/m2
発色現像 40.0±0.3℃ 120秒 80ml
漂白定着 40.0±0.5℃ 90秒 120ml
第1安定化(第1安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒
第2安定化(第2安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒
第3安定化(第3安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒 265ml
第4安定化(最終槽)
40.0±1.0℃ 28秒 *1
乾燥 50〜70℃ 37秒
*1)蛍光増白剤パート液:最適条件に、適宜設定
安定化液補充液2:85ml/m2
上記各処理工程で使用した処理液は、発色現像液タンク液と補充液、漂白定着液タンク液及び補充液及び安定化液タンク液1及び補充液1は、上記処理装置1で用いたそれぞれの処理液と同様のものを使用した。
【0262】
〈安定化液タンク液2及び補充液2〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
硫酸亜鉛 0.5g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整した。
【0263】
安定化液補充液2は、安定化槽の第3槽に265ml/m2、安定化槽の第4層に85ml/m2で補充した。
【0264】
〈蛍光増白剤パート液〉
蛍光増白剤(例示化合物W−13) 20.0g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整した。
【0265】
蛍光増白剤パート液の補充は、安定化槽の第4槽に補充量として対象印刷物の白地特性と最も近似する条件で行った。
【0266】
〔処理装置4〕
処理装置4は、安定化槽として第1〜第3の多段向流方式の3槽からなる安定化槽と独立して処理温度及び処理時間の制御が可能な機能と補充液の添加機能を備えた第4の安定化槽(最終槽)の計4槽からなる自動現像機で、下記に示す現像処理条件で行った。なお、発色現像槽の容量は20L、漂白定着槽の容量は8L、第1〜第4の安定化槽の容量はそれぞれ4Lで、第3槽の安定化槽及び最終槽である第4の安定化槽にそれぞれ補充液の添加機能を備えている。第1〜第3の安定化槽はそれぞれが連結されており、安定化液補充液2は、第3の安定化槽に添加し、第3の安定化槽のオーバーフロー液を第2槽の安定化槽へ、第2の安定化槽のオーバーフロー液を第1槽の安定化槽へ送り込む多段向流方式である。
【0267】
また、第4の安定化槽は、図1に記載の様に独立して処理温度及び処理時間の制御が可能な機能と独立した補充液の添加機能と廃液手段とを備え、処理装置3と同様に、蛍光増白剤パート液と、安定化補充液2を添加し、オーバーフロー液は、独自の設けた廃液手段(図1の10)により回収した。
【0268】
〈現像処理条件〉
処理工程 処理温度 処理時間 補充量(ml/m2
発色現像 40.0±0.3℃ 120秒 80ml
漂白定着 40.0±0.5℃ 90秒 120ml
第1安定化(第1安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒
第2安定化(第2安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒
第3安定化(第3安定化槽)
40.0±1.0℃ 28秒 265ml
第4安定化(最終槽)
40.0±1.0℃ 任意の条件に設定 *1
乾燥 50〜70℃ 37秒
*1)蛍光増白剤パート液:最適条件に、適宜設定
安定化液補充液2:85ml/m2
上記各処理工程で使用した処理液は、発色現像液タンク液と補充液、漂白定着液タンク液及び補充液及び安定化液タンク液1及び補充液1は、上記処理装置1で用いたそれぞれの処理液と同様のものを使用し、安定化液タンク液及び安定化液補充液は、上記処理装置3で用いたそれぞれの処理液と同様のものを使用した。
【0269】
《処理方法》
〔処理方法ブロックA〕
印刷物A(印刷紙:コート紙、L*=92.5、a*=0.9、b*:−0.4)を目標印刷物とし、印刷物Aとの白地の一致性を得るため、下記の各処理方法で処理を行った。
【0270】
(処理方法A−1:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置1を用いて処理を行った。
【0271】
(処理方法A−2:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置2を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度を適宜調整し、目標とする印刷物Aの白地に最も近似した処理温度条件で処理を行った。
【0272】
(処理方法A−3:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置3を用いて第4の安定化槽(最終槽)への蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Aの白地に最も近似した蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。
【0273】
(処理方法A−4:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Aの白地に最も近似した処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。なお、第4の安定化槽の処理温度は、処理装置3と同様の30.0±1.0℃に固定して行った。
【0274】
(処理方法A−5:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Aの白地に最も近似した処理温度と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。なお、第4の安定化槽の処理時間は、処理装置3と同様の28秒に固定して行った。
【0275】
(処理方法A−6:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度及び処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Aの白地に最も近似した処理温度及び処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。
【0276】
〔処理方法ブロックB〕
印刷物B(印刷紙:アート紙、L*=93.5、a*=1.5、b*:−1.0)を目標印刷物とし、印刷物Bとの白地の一致性を得るため、下記の各処理方法で処理を行った。
【0277】
(処理方法B−1:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置1を用いて処理を行った(処理方法A−1と同条件)。
【0278】
(処理方法B−2:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置2を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度を適宜調整し、目標とする印刷物Bの白地に最も近似した処理温度条件で処理を行った。
【0279】
(処理方法B−3:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置3を用いて第4の安定化槽(最終槽)への蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Bの白地に最も近似した蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。
【0280】
(処理方法B−4:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Bの白地に最も近似した処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。なお、第4の安定化槽の処理温度は、処理装置3と同様の30.0±1.0℃に固定して行った。
【0281】
(処理方法B−5:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Bの白地に最も近似した処理温度と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。なお、第4の安定化槽の処理時間は、処理装置3と同様の28秒に固定して行った。
【0282】
(処理方法B−6:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度及び処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Bの白地に最も近似した処理温度及び処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。
【0283】
〔処理方法ブロックC〕
印刷物C(印刷紙:上質紙、L*=94.5、a*=1.2、b*:−0.5)を目標印刷物とし、印刷物Cとの白地の一致性を得るため、下記の各処理方法で処理を行った。
【0284】
(処理方法C−1:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置1を用いて処理を行った(処理方法A−1と同条件)。
【0285】
(処理方法C−2:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置2を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度を適宜調整し、目標とする印刷物Cの白地に最も近似した処理温度条件で処理を行った。
【0286】
(処理方法C−3:比較例)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置3を用いて第4の安定化槽(最終槽)への蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Cの白地に最も近似した蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。
【0287】
(処理方法C−4:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Cの白地に最も近似した処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。なお、第4の安定化槽の処理温度は、処理装置3と同様の30.0±1.0℃に固定して行った。
【0288】
(処理方法C−5:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Cの白地に最も近似した処理温度と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。なお、第4の安定化槽の処理時間は、処理装置3と同様の28秒に固定して行った。
【0289】
(処理方法C−6:本発明)
前記作製したハロゲン化銀カラー感光材料を、処理装置4を用いて第4の安定化槽(最終槽)の処理温度及び処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量を適宜変更し、目標とする印刷物Cの白地に最も近似した処理温度及び処理時間と蛍光増白剤パート液の補充量条件で処理を行った。
【0290】
《ハロゲン化銀カラー感光材料の評価》
以上の様にして現像処理を行ったハロゲン化銀カラー感光材料について、下記の各評価を行った。
【0291】
〔白地特性の評価〕
印刷物A、B、C及び各現像処理済みのハロゲン化銀カラー感光材料の白地部分(未露光部分)について、JIS−Z−8722に従って測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法に従って表示した。色度の測定は、コニカミノルタセンシング(株)製の分光測色器CM−2022を用い、照明と受光の幾何条件をd−0、キセノンパルス光源を用いて測光し、2°視野、補助標準の光D50を用いた。濃度については、X−rite社製分光濃度計508型を用い、45°環式照明0°受光の条件で、StatusはTを用いて、L*、a*、b*値を10点測定しその平均値を求めた。
【0292】
次いで、基準となる各印刷物と各処理条件で現像処理を行ったハロゲン化銀カラー感光材料の白地部分のL*、a*、b*値より、下式に従って色差ΔEを求めた。
【0293】
ΔE=〔(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
尚、ΔL*、Δa*、Δb*は、それぞれ基準印刷物とハロゲン化銀カラー感光材料との差を表す。
【0294】
〔画像再現性の目視評価〕
上記作製したハロゲン化銀カラー感光材料の白地部分と高精細カラーデジタル標準画像データ「N5−自転車」と、各印刷紙に同様の画像を印刷した各印刷物とを、相対比較し、下記の基準に従って画像再現性の評価を行った。
【0295】
◎:白地及び形成画像共に、対象とする印刷物に極めて近似している
○:白地及び形成画像共に、対象とする印刷物にほぼ近似していて、違和感がない
△:形成画像は、対象とする印刷物にほぼ近似しているが、自地部分でやや色相差が認められるが、実用上は許容される品質である
×:白地及び形成画像共に、対象とする印刷物と差異が認められる
××:白地及び形成画像共に、対象とする印刷物と明らかな差異が認められる
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0296】
【表2】

【0297】
表2に記載の結果より明らかな様に、処理方法ブロックAにおいては、対象印刷物Aとハロゲン化銀カラー感光材料の支持体とが近似した特性にあり、同一処理条件においても許容される範囲の白地差(ΔE)であるいが、本発明に係る最終安定化槽の処理条件及び補充液の補充条件を最適に調整することにより、対象印刷物Aに近似した白地特性及び画像再現性を得ることができる。
【0298】
これに対し、カラープルーフであるハロゲン化銀カラー感光材料の支持体と白地特性が大きく異なる印刷物Bあるいは印刷物Cに対しては、同一処理条件で処理を行う処理方法B−1、C−1では、得られるハロゲン化銀カラー感光材料の白地特性が、対象印刷物との乖離が大きく、かつ良好な画像再現性を得ることができなかった。更に、安定化処理槽での補充条件を変更した方法、あるいは処理条件のみを変更した場合でも、十分な補正を行うことができなかった。これに対し、本発明の処理方法である独立した最終処理槽で独立した処理条件と独立した補充条件とを用いて、対象印刷物への白地特性の補正を行った本発明の処理方法では、ほぼ対象印刷物と近似した白地特性を得ることができ、かつ形成した画像再現性も高いことが分かる。
【0299】
以上のことより、本発明の処理方法により、白地特性の異なる様々な印刷物に対しても、白地特性を最適に修正すると共に、画像再現性の高いカラープルーフが得られることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0300】
【図1】本発明で用いることのできる自動現像機の現像処理部の概略構成図を示す。
【図2】本発明に係る独立安定化槽の搬送経路を変更して、浸漬時間を制御する方法を説明する模式図である。
【図3】種類の異なる印刷物に対するハロゲン化銀カラー感光材料の白地特性の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0301】
AP 自動現像機(画像形成処理装置)
1 処理液槽
1A 発色現像槽
1B 漂白定着槽
1C〜1F 安定化槽
2A〜2F 溶解槽
3A、3B、3E、3F 処理剤供給装置
4 乾燥ファン
5 乾燥部

7、8、9、10 廃液タンク
11 外部ホルダー
12 廃液ライン
P ハロゲン化銀カラー感光材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射支持体上に、それぞれ少なくとも1層のイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料を、自動現像機を用いて補充液を補充しながら発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を経て処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法において、該水洗処理工程または安定化処理工程が複数の処理槽を有し、該水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽は、独立して処理条件を制御する機構と独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを有し、かつ該処理条件を制御する機構及び該補充液の補充手段により、該ハロゲン化銀カラー感光材料の白地を制御することを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項2】
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽の前記ハロゲン化銀カラー感光材料の浸漬時間を制御する方法であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項3】
前記浸漬時間を制御する方法が、前記ハロゲン化銀カラー感光材料の処理槽における搬送経路を変更する手段であることを特徴とする請求項2記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項4】
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽内の処理液温度を制御する方法であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項5】
前記水洗処理工程または安定化処理工程の処理槽が4槽以上で構成され、最終処理槽が独立した処理槽であって、前記処理条件を制御する機構または補充液の補充手段及び廃液手段を独立して有し、かつ該最終処理槽のみが蛍光増白剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項6】
前記最終処理槽の独立した補充液の補充手段は、少なくとも蛍光増白剤を含有する補充液Aと蛍光増白剤を含有しない補充液Bとで構成された補充液を用い、各々の該補充液の補充量を独立に制御して補充することを特徴とする請求項5記載のハロゲン化銀カラー感光材料の処理方法。
【請求項7】
反射支持体上に、それぞれ少なくとも1層のイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料を、補充液を補充しながら発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程または安定化処理工程を経て自動現像処理を行うハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置において、該水洗処理工程または安定化処理工程は複数の処理槽を有し、該水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽は、独立して処理条件を制御する機構と独立した補充液の補充手段及び廃液手段とを有し、かつ該処理条件を制御する機構及び該補充液の補充手段により、該ハロゲン化銀カラー感光材料の白地を制御することができることを特徴とするハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【請求項8】
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽の前記ハロゲン化銀カラー感光材料の浸漬時間を制御する方法であることを特徴とする請求項7記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【請求項9】
前記浸漬時間を制御する方法が、前記ハロゲン化銀カラー感光材料の処理槽における搬送経路を変更する手段であることを特徴とする請求項8記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【請求項10】
前記独立して処理条件を制御する機構は、前記水洗処理工程または安定化処理工程の少なくとも1槽の処理槽内の処理液温度を制御する方法であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【請求項11】
前記水洗処理工程または安定化処理工程の処理槽が4槽以上で構成され、最終処理槽が独立した処理槽であって、前記処理条件を制御する機構または補充液の補充手段及び廃液手段を独立して有し、かつ該最終処理槽のみが蛍光増白剤を含有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。
【請求項12】
前記最終処理槽の独立した補充液の補充手段は、少なくとも蛍光増白剤を含有する補充液Aと蛍光増白剤を含有しない補充液Bとで構成された補充液を用い、各々の該補充液の補充量を独立に制御して補充することを特徴とする請求項11記載のハロゲン化銀カラー感光材料の画像形成処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−52169(P2007−52169A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236406(P2005−236406)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】