説明

ハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法

本発明は、露光方式に関わらず、高感度、高ガンマ、塗布液停滞安定性、及び潜像安定性に優れていて、常に安定した高品質のプリントが得られ、且つ特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において潜像安定性に優れているハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法を提供する。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が下記一般式(S)で表される化合物の存在下でセレン増感されていることを特徴とする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、露光方式に関わらず、高感度、高ガンマ、並びに塗布液停滞安定性、潜像安定性に優れていて、常に安定した高品質のプリントが得られ、且つ特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において潜像安定性に優れているハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
最近の急速なデジタル化指向の中にあって、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)においてはレーザー光などによるデジタル方式の露光が行われる機会が増えてきた。これに伴い特にカラープリント用の感光材料であるカラーペーパーにおいては、高照度光によるミリ秒からナノ秒程度の極短時間での露光適性や、走査露光に対する適性も求められるようになって来た。
従来から、カラーペーパーにおいては、より迅速な現像処理を達成する手段として、使用するハロゲン化銀乳剤に塩化銀乳剤または塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤が用いられている。一方、ハロゲン化銀乳剤の問題点の一つである相反則不軌特性の改良には、イリジウム化合物をドープすることが有効であることが一般的に知られている。例えば、特開昭64−26837号には、ハロゲン化銀粒子の頂点近傍に臭化銀含有率の高い領域を有する高塩化銀乳剤が、また特開平1−105940号には臭化銀の局在領域に選択的にイリジウム化合物をドープさせることにより潜像安定性と相反則不軌特性に優れた高塩化銀乳剤を提供できることが開示されている。また、米国特許第5,627,020号には、イリジウム化合物をドープした臭化銀微粒子を用いて臭化銀の局在領域を形成する方法が開示されているが、いずれの方法も露光後初期の潜像安定性の改良に対しては、決して十分なものではなかった。
さらに、最近話題になっているデジタル露光方式で、高照度光による極短時間での露光適性においては、既存の潜像安定性改良技術だけでは、充分な実用品質を得ることができないことが明らかになってきた。この様なデジタル露光方式への適応技術としては、例えば、米国特許第5,601,513号に記載の臭化銀局在相形成に適した化学増感及び色増感方法、更には、欧州特許第750,222号や同第772,079号等に記載の沃塩化銀乳剤を用いる方法等がある。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上述の技術によりデジタル露光適性を改良した場合、潜像安定性の改良が不十分であるばかりでなく、感光材料の圧力耐性や未露光の感光材料の保存時の安定性が著しく劣化することが判明したため、早急な改良技術の開発が望まれているのが現状である。
また、特開2001−188311には、ハロゲン化銀粒子の表面近傍に臭化銀、ヨウ化銀の富有相を有し、この富有相の導入がカブリ防止剤化合物の添加前及び後で2回に分けて行われ、相反則不軌、塗布液停滞性を改良する方法が記載されているが、この方法ではハロゲン化銀乳剤の保存性が不十分であることが判明した。
一方、特開平6−19024号、同6−19026号にはジカルコゲナイド化合物のうち反応不活性な化合物をハロゲン化銀乳剤の沈澱前または沈澱中及び分光/化学増感の前または分光/化学増感中に添加することによって即カブリ及び経時後のカブリの上昇を改良できることを開示している。さらに特開平6−19037号にはこれらの化合物を固体分散物として添加することが、特開平6−35147号には塩化銀乳剤がジアミノジスルフィド及びスルフィネート化合物を1:1〜1:20の質量比で包含させることによってカラー写真感光材料の貯蔵安定性、露光時の温度変動による性能変動の改良がなされることを開示している。
また特開平6−202265号にはハロゲン化銀乳剤の沈澱後、分光/化学増感の前または分光/化学増感中に特定のジスルフィド化合物とスルフィネートまたはセレニネート化合物を添加することによって低いカブリと高い感度が得られることを開示している。特開平7−72580号には、水溶性基を有するジスルフィド化合物を含有する塩化銀乳剤からなる写真要素によってカブリが低下し、生試料を保存したときのカブリ、感度の変動、露光時の温度の変動に起因した感度変動が小さくなることが開示されている。
しかしこれら何れの方法においても潜像安定性、特に高照度で露光された乳剤の潜像安定性向上についての記載はない。
特開平6−148783号、同6−175263号等にはクラウンエーテル化合物を含有する写真感光材料の開示があるが、化学増感、分光増感時の詳細な記述はほとんどなく、従ってセレン増感への適用に関する知見はない。
セレン化合物を粒子表面に含有する塩化銀粒子を含有する写真要素の開示があるが(例えば、特許文献1及び2参照。)、感度以外の写真性能の改良効果は不明で、特にプリント用写真感光材料で必要とされるガンマ、潜像その他諸性能の向上に必須と思われるハロゲン組成やドーパントに関する記載がなく、近年要請されている諸性能を満足させた実用的なハロゲン化銀写真感光材料を提供することが困難であった。また、塩化銀含有率の高い塩化銀や塩臭化銀粒子に対してセレン増感、テルル増感を適用したハロゲン化銀写真感光材料に関する開示があるが(例えば、特許文献3、4及び5参照。)潜像安定性や塗布液停滞安定性等諸性能の改良効果が不明で、且つ感度やガンマに対する効果も近年のハロゲン化銀写真感光材料への要請に応えるには不十分であった。
【特許文献1】 特開平5−66513号公報
【特許文献2】 米国特許5,240,827号明細書
【特許文献3】 特開平5−313293号公報
【特許文献4】 特開平9−5922号公報
【特許文献5】 特開平9−5924号公報
【発明の開示】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
(1) 塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が下記一般式(S)で表される化合物の存在下でセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。

(式中、Qは5員もしくは6員の含窒素複素環を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子もしくは1価のカチオンを形成するに必要な基を表す。)
(2) 塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が下記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類を含有し、且つセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
一般式(1) R−SOS−M
一般式(2) R−SOS−R
一般式(3) R−SOS−L−SSO−R
(式中、R、R、R、R、Rは各々脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。R、R、R、R、Rは同じであっても異なっていてもよい。Mは陽イオンを表す。Lは2価の連結基を表し、mは0または1を表す。)
(3) 塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が下記一般式(4)で表される化合物を含有し、且つセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
一般式(4) R−(S)−R
(式中、R及びRは各々脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又は互いに結合して環を形成することができる原子群を表す。またR、Rは同じでも異なっていてもよく、R及びRが脂肪族基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。mは2〜6の整数を表す。)
(4) 塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が、1個以上の芳香環により縮環されたクラウンエーテルを含有し、且つセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
(5) 前記ハロゲン化銀粒子内部に含有するイリジウム化合物の少なくとも1種類が、水配位子または有機配位子を1つ以上有するイリジウム錯体であることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
(6) 前記ハロゲン化銀粒子が最外シェルの少なくとも一部に臭化銀局在相を有することを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
(7) 前記ハロゲン化銀粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在相を有することを特徴とする(1)〜(6)の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
(8) 前記ハロゲン化銀粒子内部に前記一般式(S)で表される化合物を含有することを特徴とする(1)〜(7)の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
(9) 前記一般式(S)で表される化合物が下記一般式(S−2)で表される化合物であることを特徴とする(1)または(8)に記載のハロゲン化銀乳剤。

(式中、Arは下記で表される基を表し、

はアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基またはスルホンアミド基を表す。nは0〜2の整数を表す。Mは一般式(S)におけるMと同義である。)
(10) 支持体上に少なくとも1層の画像形成層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該画像形成層の少なくとも1層に(1)〜(9)の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
(11) (10)に記載のハロゲン化銀写真感光材料を走査露光した後、発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は塩化銀含有率が90モル%以上であるが、塩化銀含有率が95モル%以上であることが好ましく、97モル%以上であることが更に好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子は沃化銀含有率が0〜2.0モル%であることを特徴とし、該沃化銀含有率は0.01〜1.0モル%であることが好ましく、0.02〜0.5モル%であることが更に好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子は粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在相を有することが好ましい。本発明において粒子内部とは、ハロゲン化銀粒子において粒子表面を除いたハロゲン化銀相をいう。本発明において沃化銀局在相とは、本発明に係わるハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の2倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むハロゲン化銀相であり、ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の3倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましく、5倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましい。
本発明において上記沃化銀局在相の位置は粒子中心からハロゲン化銀体積で60%以上外側に存在することが好ましく、70%以上外側であることが更に好ましく、80%以上外側であることが最も好ましい。
上記沃化銀局在相に好ましい形態の一つはハロゲン化銀粒子内部において該沃化銀局在相が層状に存在する(以下、沃化銀局在層ともいう)ことであり、該沃化銀局在層を2層以上導入することも好ましく、その場合は、主層を上記の条件で導入し、最大ヨウ化物濃度未満である層(以下、副層ともいう)の少なくとも一つを主層よりもさらに粒子表面近くに導入することが好ましい。主層および副層のI濃度は目的に応じて任意に選択することが出来る。潜像安定性の観点からは、主層は可能な限り高濃度が好ましく、副層は主層よりも低濃度であることが好ましい。
本発明において沃化銀局在相の他の好ましい形態はハロゲン化銀粒子の頂点近傍や稜線近傍、及びハロゲン化銀粒子表面を含む最表相に該沃化銀局在相が存在することであり、上記沃化銀局在層と併用することも好ましい。
沃化銀局在相を導入する方法としては種々の沃度化合物を使用することが出来る。例えば、ヨウ化カリウム水溶液のようなヨウ化物塩水溶液を用いる方法、“無機化合物・錯体辞典”中原勝儼著,講談社944頁等記載のポリヨウ化物を用いる方法、特開平2−68538号等に開示されているヨウ化銀を含むハロゲン化銀微粒子あるいはヨウ化物イオン放出剤を用いる方法である。迅速処理適性、処理安定性の観点からは、好ましくは、ヨウ化カリウム、I以上のポリヨウ化物、さらに好ましくは、I以上のポリヨウ化物である。沃化銀局在相の沃化銀含有率はこれら沃化物を含む添加液の濃度及び量で任意に調整することができる。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であることを特徴とし、臭化銀含有率が0.03〜3.0%であることが好ましく、0.05〜2.0モル%であることが更に好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子は臭化銀を含有するハロゲン化銀相領域がハロゲン化銀粒子体積で50〜100%の体積を占めることが好ましく、70〜100%であることがさらに好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いられ、この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよいが、ハロゲン化銀粒子が最外シェルの少なくとも一部に臭化銀局在相を有することが好ましく、頂点近傍に臭化銀局在相を有することがさらに好ましい。
本発明において臭化銀局在相とは、本発明に係るハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の2倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むハロゲン化銀相であり、ハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の3倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むことが好ましく、5倍以上の臭化銀含有率臭化銀を含むことが好ましい。
該臭化銀局在相中には後記の8族金属化合物を含有することが好ましい。この場合用いられる8族金属化合物はイリジウム錯体であることが好ましい。
本発明に関わるハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子が1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有することを特徴とする。本発明においては2種類以上のイリジウム化合物を含有することがさらに好ましく、該イリジウム化合物の1種類以上は配位子の少なくとも1つが水配位子または下記の有機配位子であることがより好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子が3種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有することが好ましく、4種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有することがさらに好ましく、5種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有することがより好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、イリジウム化合物以外に少なくとも1種類の8族金属シアノ錯体を含有することが好ましい。
本発明において用いられる8族金属化合物は鉄、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト、白金の金属化合物であることが好ましく、金属原子、イオン、その錯体及びこれらを含む塩(錯塩を含む)、その他これらを含む化合物等から選ぶことができるが、金属錯体から選択することが好ましい。
金属錯体から選択する場合、6配位錯体、5配位錯体、4配位錯体、2配位錯体が好ましく、6配位錯体、4配位錯体がより好ましい。
錯体を構成する配位子は、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子等、任意のものを用いることができるが、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を含有することが好ましい。
本発明において有機配位子とは、1つ以上のH−C、C−CあるいはC−N−H結合を含み、金属イオンに配位可能な化合物をいう。本発明に用いられる有機配位子は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラン、ピリダジン、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピラゾール、フラン、フラザン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、フェナントロリン、ビピリジン、エチレンジアミンから選ばれる化合物、イオン、あるいはこれらの化合物に置換基を導入した化合物であることが好ましい。
本発明においては、下記一般式(A)で表される化合物の少なくとも1種類以上を含有することが好ましい。
一般式(A) R[MX6−m
式中、Mは周期表8族元素から選択される金属を表し、鉄、コバルト、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、白金であり、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムであることがより好ましい。Rはアルカリ金属を表し好ましくはセシウム、ナトリウムまたはカリウムである。mは0〜6、nは0〜4の整数を表す。X及びYは配位子を表し、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子を表す。
以下に本発明において用いられる8族金属化合物、8族金属錯体の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。また、カウンターカチオンはカリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等、任意のものを用いることができる。また、金属錯体が陽イオンである場合に、対陰イオンとして、硝酸イオン、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン等、当業界で公知のものを用いることができる。
A−1:K[IrCl]、A−2:K[IrCl]、
A−3:K[Ir(CN)]、A−4:K[Ir(CN)]、
A−5:K[Ir(NO)Cl]、A−6:K[Ir(NO)Cl]、
A−7:K[IrBr]、A−8:K[IrBr]、
A−9:Na[IrBr]、A−10:Na[IrBr]、
A−11:K[IrBrCl]、A−12:K[IrBrCl]、
A−13:K[IrBrCl]、A−14:K[IrBrCl]、
A−15:K[IrBrCl]、A−16:K[IrBrCl]、
A−17:K[IrBrI]、A−18:K[IrBrI]、
A−19:K[IrBr(HO)]、
A−20:K[IrBr(HO)]、
A−21:K[IrBr(HO)]、
A−22:K[IrBr(HO)]、
A−23:K[IrBr(HO)]、
A−24:K[IrCl(HO)]、
A−25:K[IrCl(HO)]、
A−26:K[IrCl(HO)]、
A−27:K[IrCl(HO)]、
A−28:K[IrCl(HO)]、
A−29:K[IrCl]、
A−30:K[Ir(CN)(HO)]、
A−31:K[Ir(CN)(HO)]、
A−32:K[Ir(チアゾール)Cl]、
A−33:K[Ir(イミダゾール)Cl
B−1:K[RuCl]、B−2:K[PtCl]、
B−3:K[Pt(SCN)]、B−4:K[NiCl]、
B−5:K[PdCl]、B−6:K[RhCl]、
B−7:K[OsCl]、B−8:K[ReCl]、
B−9:K[RhBr]、B−10:K[Mo(OCN)]、
B−11:K[Re(CNO)]、B−12:K[Ru(CNO)]、
B−13:K[Fe(CNO)]、B−14:K[Pt(CNO)]、
B−15:K[Co(NH]、B−16:K[Co(CNO)11]、
B−17:K[Re(CNO)]、B−18:K[Os(CNO)]、
B−19:Cs[Os(NO)Cl]、
B−20:K[Ru(NO)Cl]、
B−21:K[Ru(CO)Cl]、
B−22:Cs[Os(CO)Cl]、
B−23:K[Fe(NO)Cl]、
B−24:K[Ru(NO)Br]、B−25:K[Ru(NO)I]、
B−26:K[Re(NO)Br]、
B−27:K[Re(NO)Cl]、
B−28:K[Ru(NS)Cl]、
B−29:K[Os(NS)Br]、
B−30:K[Ru(NS)Br]、
B−31:K[Ru(NS)(SCN)]、
B−32:K[Fe(CN)]、B−33:K[Fe(CN)]、
B−34:K[Ru(CN)]、B−35:K[RuBr(CN)]、
B−36:K[Os(CN)]、
B−37:K[Os(NS)(CN)]、
B−38:K[Re(CN)]、B−39:K[ReCl(CN)
その他特開平5−341426号記載の金属化合物も好ましく用いることができる。
また、下記のIr錯体も好ましく用いることができる。
C−1:[Ir(bipy)Cl
C−2:[Ir(bipy)2+
C−3:[Ir(py)2+
C−4:[Ir(phen)2+
C−5:[IrCl(bipy)
C−6:[Ir(thia)2+
C−7:[Ir(phen)(bipy)2+
C−8:[Ir(im)2+
C−9:[Ir(NCS)(bipy)
C−10:[Ir(CN)(bipy)
C−11:[IrCl(bipy)
C−12:[IrCl(bipy)
C−13:[Ir(phen)(bipy)2+
C−14:[Ir(NCS)(bipy)
C−15:[Ir(NCS)(bipy)
C−16:[Ir(bipy)(HO)(bipy’)]2+
C−17:[Ir(bipy)(OH)(bipy’)]
C−18:[Ir(bipy)Cl2−
C−19:[Ir(bipy)3+
C−20:[Ir(py)3+
C−21:[Ir(phen)3+
C−22:[IrCl(bipy)
C−23:[Ir(thia)3+
C−24:[Ir(phen)(bipy)3+
C−25:[Ir(im)3+
C−26:[Ir(NCS)(bipy)
C−27:[Ir(CN)(bipy)
C−28:[IrCl(bipy)
C−29:[IrCl(bipy)
C−30:[Ir(phen)(bipy)3+
C−31:[Ir(NCS)(bipy)
C−32:[Ir(NCS)(bipy)
C−33:[Ir(bipy)(HO)(bipy’)]3+
C−34:[Ir(bipy)(OH)(bipy’)]2+
その他、特開平5−341426号記載のビピリジン錯体も好ましく用いることができる。
本発明において、8族金属化合物を含有させるには、ハロゲン化銀粒子の物理熟成中にドーピングを行ってもよいし、ハロゲン化銀粒子の形成過程(一般に、水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化アルカリの添加中)にドーピングを行ってもよいし、またハロゲン化銀粒子形成を一時止めた状態でドーピングを施しその後更に粒子形成を継続してもよく、8族金属化合物の存在下で核形成や物理熟成、粒子形成を行うことにより実施できる。
本発明で用いられる8族金属化合物の濃度としては、一般的にハロゲン化銀1モルあたり1×10−9モル以上、1×10−2モル以下の範囲が適当であり、より好ましくは1×10−9モル以上、1×10−3モル以下の範囲であり、2×10−9〜1×10−4モルの範囲が特に好ましい。
本発明において、ハロゲン化銀粒子に8族金属化合物を含有させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、或いは水、メタノール、エタノール等の単独もしくは混合溶媒に溶解したものを添加してもよく、当業界で一般に添加剤をハロゲン化銀乳剤に加える方法を適用することができる。また、8族金属化合物をハロゲン化銀微粒子とともにハロゲン化銀乳剤に加えることができ、ハロゲン化銀粒子形成中に8族金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を添加することができる。
上記ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子形成中に8族金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を添加する製造方法に関しては、特開平11−212201号及び特開2000−89403号記載の方法を参照することができる。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤はセレン増感されていることを特徴とする。
本発明で用いることのできるセレン増感剤としては、特に水溶液中で硝酸銀と反応して銀セレニドの沈殿を形成しうる不安定セレン化合物が好ましく用いられる。例えば、米国特許第1,574,944号、同第1,602,592号、同第1,623,499号、特開昭60−150046号、特開平4−25832号、同4−109240号、同4−147250号等に記載されている。
有用なセレン増感剤としては、コロイドセレン金属、イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネート等)、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N,N′−トリエチルセレノ尿素、N,N,N′,N′−テトラメチルセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロセレノ尿素、N,N′−ジメチル−N,N′−ビス(カルボキシメチル)セレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロプロピルカルボニルセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−4−ニトロフェニルカルボニルセレノ尿素等)、セレノケトン類(例えば、セレノアセトン、セレノアセトフェノン等)、セレノアミド(例えば、セレノアセトアミド、N,N−ジメチルセレノベンズアミド、N,N−ジエチル−4−オクチルアミノスルホニルセレノベンズアミド等)、セレノカルボン酸類及びセレノエステル類(例えば、2−セレノプロピオン酸、メチル−3−セレノブチレート等)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルセレノフォスフェート等)、セレニド類(例えば、ジメチルセレニド、トリブチルフォスフィンセレニド、トリフェニルフォスフィンセレニド、トリ−P−トリルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルフォスフィンセレニド、トリフリルフォスフィンセレニド、トリピリジルフォスフィンセレニド等)が挙げられる。特に好ましいセレン増感剤はセレノ尿素、セレノアミド類、セレニド類である。
これらのセレン増感剤の使用技術の具体例は、下記特許に開示されている。米国特許第1,574,944号、同第1,602,592号、同第1,623,499号、同第3,297,466号、同第3,297,447号、同第3,320,069号、同第3,408,196号、同第3,408,197号、同第3,442,653号、同第3,420,670号、同第3,591,385号、フランス特許第2,693,038号、同第2,093,209号、特公昭52−34491号、同52−34492号、同53−295号、同57−22090号、特開昭59−180536号、同59−185330号、同59−181337号、同59−187338号、同59−192241号、同60−150046号、同60−151637号、同61−246738号、特開平3−4221号、同3−24537号、同3−111838号、同3−116132号、同3−148648号、同3−237450号、同4−16838号、同4−25832号、同4−32831号、同4−33043号、同4−96059号、同4−109240号、同4−140738号、同4−140739号、同4−147250号、同4−184331号、同4−190225号、同4−191729号、同4−195035号、同5−11385号、同5−40324号、同5−24332号、同5−24333号、同5−303157号、同5−306268号、同6−306269号、同6−27573号、同6−75328号、同6−175259号、同6−208184号、同6−208186号、同6−317867号、同7−92599号、同7−98483号、同7−104415号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号、同8−114882号、同9−19760号、同9−138475号、同9−166841号、同9−138475号、同9−189979号、同10−10666号、特開2001−343721号、英国特許第255,846号、同第861,984号等に記載されており、また、H.E.Spencer等著Journal of Photographic Science誌、31巻、158−169(1983)等の研究論文にも開示されている。
本発明に関わるセレン増感剤の好ましい添加量は、1×10−9〜1×10−1モル/モルAgX、更に好ましくは1×10−8〜1×10−2モル/モルAgXである。
本発明に係る前記セレン増感剤をハロゲン化銀乳剤に添加するには、当業界で写真乳剤に添加剤を加える場合に通常用いられる方法を適用できる。例えば、水溶性の化合物である場合は、適当な濃度の水溶液とし、水に不溶または難溶性の化合物の場合は、水と混合しうる任意の有機溶媒、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等の写真特性に悪影響を与えない溶媒に溶解し、溶液として添加することができる。
本発明において、硫黄増感剤を併用する事が好ましい。具体的には、1,3−ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、1−エチル−3−(2−チアゾリル)チオ尿素などのチオ尿素誘導体、ローダニン誘導体、ジチカルバミン酸類、ポリスルフィド有機化合物、チオ硫酸塩、硫黄単体などが好ましい。尚、硫黄単体としては、斜方晶系に属するα−硫黄が好ましい。その他、米国特許第1,574,944号、同第2,410,689号、同第2,278,947号、同第2,728,668号、同第3,501,313号、同第3,656,955号等の各明細書、西独出願公開(OLS)1,422,869号、特開昭56−24937号、同55−45016号、特開平1−227140号等に記載されている硫黄増感剤を用いる事が出来る。
本発明において、更にリサーチ・デイスクロージャー(以下、RDと略す。)誌307巻307105号などに記載されている金、白金、パラジウム、イリジウムなどの貴金属塩を用いる事が好ましく、中でも特に金増感剤を併用する事が好ましい。有用な金増感剤としては、塩化金酸、チオ硫酸金、チオシアン酸金等の他に、米国特許第2,597,856号、同第5,049,485号、特公昭44−15748号、特開平1−147537号、同4−70650号等に開示されている有機金化合物などが挙げられる。また金錯塩を用いた増感法を行う場合には、補助剤として、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテルなどの金のリガンドを併用することが好ましく、特に、チオシアン酸塩を用いるのが好ましい。
硫黄増感剤及び金増感剤の添加量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件によって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−5モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−8モル〜1×10−4モルである。
前記の各種増感剤の添加方法は、用いる増感剤の性質に応じて、水またはメタノール等の有機溶媒の単独または混合溶媒に溶解して添加する方法でも、あるいはゼラチン溶液と予め混合して添加する方法でも、特開平4−140739号に開示されている方法、すなわち有機溶媒可溶性の重合体との混合溶液の乳化分散物の形態で添加する方法でもよい。
本発明においては、更に還元増感剤を併用する事も可能であり、RD誌307巻307105号や特開平7−78685号などに記載されている還元性化合物を用いる事が出来る。
具体的には、アミノイミノメタンスルフィン酸(別名、二酸化チオ尿素)、ボラン化合物(例えば、ジメチルアミンボラン等)、ヒドラジン化合物(例えば、ヒドラジン、p−トリルヒドラジン等)、ポリアミン化合物(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)、塩化第1スズ、シラン化合物、レダクトン類(例えば、アスコルビン酸等)、亜硫酸ナトリウム、アルデヒド化合物、水素ガスなどが挙げられる。また特願平8−277938号、同8−251486号、同8−182035号等に開示されている高pHや銀イオン過剰の雰囲気下で還元増感を施してもよい。
本発明の請求の範囲第1項に係るハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子が前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種類の存在下でセレン増感されていることを特徴とする。
まず、一般式(S)で表される化合物について説明する。
一般式(S)において、Qで表される5員複素環としては、例えば、イミダゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、セレナゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、ベンゾオキサゾール環などが挙げられ、Qで表される6員複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環等が挙げられ、これらの5員もしくは6員の複素環は置換基を有するものも含む。
一般式(S)において、Mで表されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられる。
一般式(S)で示されるメルカプト化合物は、更に下記(S−1)、(S−2:既出)、(S−3)及び(S−4)でそれぞれ示されるメルカプト化合物が好ましく、更に一般式(S−2)で表される化合物であることがより好ましい。

式中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩、又はアミノ基を表し、Zは−NH−、−O−、又は−S−を表し、Mは一般式(S)におけるMと同義である。
一般式(S−1)及び(S−2)において、R及びRが表すアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、ブチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、カルボキシル基もしくはスルホ基の塩としては例えばナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
一般式(S−1)において、Rが表すアリール基としては例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては例えば塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
一般式(S−2)において、Rが表すアシルアミノ基としては例えばメチルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられ、カルバモイル基としては例えばエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられ、スルホンアミド基としては例えばメチルスルホアミド基、フェニルスルホアミド基等が挙げられる。
上記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホンアミド基等はさらに置換基を有するものも含む。

式中、Zは−NR−、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルキル基、−SR31、−NR32(R33)−、−NHCOR34、−NHSO35又はヘテロ環基を表し、R31は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、−COR34、又は−SO35を表し、R32及びR33は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R34及びR35はアルキル基又はアリール基を表す。Mは一般式(S)のMと同義である。
一般式(S−3)におけるR、R31、R32、R33、R34及びR35が表すアルキル基としては例えば、メチル基、ベンジル基、エチル基、プロピル基等が、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、R及びR31が表すアルケニル基としては例えばプロペニル基等が、シクロアルキル基としては例えばシクロヘキシル基等が挙げられる。また、Rが表すヘテロ環基としては例えばフリル基、ピリジニル基等が挙げられる。
上記R、R31、R32、R33、R34及びR35で表されるアルキル基及びアリール基、R及びR31で表されるアルケニル基及びシクロアルキル基、並びにRで表されるヘテロ環基はさらに置換基を有するものも含む。

式中、R及びMはそれぞれ一般式(S−3)におけるR及びMと同義の基を表す。またR31及びR32は、それぞれ一般式(S−3)におけるR31及びR32と同義の基を表す。
以下に一般式(S)によって表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。







前記一般式(S)で示される化合物は、例えば、特公昭40−28496号、特開昭50−89034号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイティ(J.Chem.Soc.)49、1748(1927)、同4237(1952)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)39、2469(1965)、米国特許2,824,001号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイティ、1723(1951)、特開昭56−111846号、米国特許1,275,701号、米国特許3,266,897号、同2,403,927号等に記載の化合物を包含し、合成法もこれらの文献に記載の方法に準じて合成することができる。
本発明に係る一般式(S)で表される化合物(以下化合物(S)と呼ぶ)を、本発明に係るハロゲン化銀乳剤層に含有させるには、水もしくは水と任意に混和可能な有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)に溶解したのち添加すればよい。化合物(S)は単独で用いてもよいし、一般式(S)で示される他の化合物、または一般式(S)で示される化合物以外の他の安定剤もしくは、カブリ抑制剤と組み合せて用いてもよい。
本発明に関わる前記一般式(S)で表される化合物の好ましい添加量は、1×10−8〜1モル/モルAgX、更に好ましくは1×10−7〜1×10−1モル/モルAgXである。
本発明に係る前記一般式(1)〜(4)で表される化合物及び前記一般式(S)で表される化合物をハロゲン化銀乳剤に添加するには、当業界で写真乳剤に添加剤を加える場合に通常用いられる方法を適用できる。例えば、水溶性の化合物である場合は、適当な濃度の水溶液とし、水に不溶または難溶性の化合物の場合は、水と混合しうる任意の有機溶媒、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等の写真特性に悪影響を与えない溶媒に溶解し、溶液として添加することができる。
本発明の請求の範囲第1項に係る発明において、前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種類の存在下でセレン増感されている限りにおいて添加時期に制限はないが、化学増感剤の添加開始前から化学増感の終了までの任意の時点で添加されることが好ましく、該一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種類はセレン増感剤の添加前にハロゲン化銀乳剤中に存在させておくことがより好ましく、金その他の貴金属増感剤、硫黄増感剤等を併用して用いる場合、これら化学増感剤の添加前にハロゲン化銀乳剤中に存在させておくことがさらに好ましい。
本発明の請求の範囲第2項に関わるハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子が下記一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくとも1種類を含有することを特徴とする。
一般式(1) R−SOS−M
一般式(2) R−SOS−R
一般式(3) R−SOS−L−SSO−R
式中、R、R、R、R、Rは各々脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。R、R、R、R、Rは同じであっても異なっていてもよい。Mは陽イオンを表す。Lは2価の連結基を表し、mは0または1を表す。
一般式(1)〜(3)において、R、R〜Rで表される脂肪族基は、飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは、炭素数が1〜22のアルキル基、炭素基が2〜22のアルケニル基、アルキニル基である。
また、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、t−ブチル基が挙げられ、アルケニル基としては、例えば、アリル基、ブテニル基などが挙げられ、アルキニル基としては、例えば、プロパギル基が挙げられる。
R、R〜Rで表される芳香族基には、単環または縮合環の芳香族基が含まれる。好ましい芳香族基は、炭素数が6〜20のもので、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
R、R〜Rで表されるヘテロ環基には、単環または縮合環のヘテロ環基が含まれ、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子から選ばれる原子を少なくとも1つ有し、且つ、炭素原子を少なくとも1つ有する3員ないし10員のヘテロ環から導かれる基が挙げられる。好ましいヘテロ環基は、3−6員環のヘテロ環基であり、例えば、ピロリジン環基、ピペリジン環基、ピリジン環基、テトラヒドロフラン環基、チオフェン環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、イミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンズイミダゾール環基、セレナゾール環基、ベンゾセレナゾール環基、テトラゾール環基、トリアゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、オキサジアゾール環基、チアジアゾール環基などが挙げられる。
R、R〜Rで表される脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基は更に置換基を有していてもよく、これら置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、オクチルオキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アリーロキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基)、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾキシ基)、カルボキシ基、シアノ基、スルホ基、アミノ基、−SOSM及び上述のR、R〜Rで表される脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基が挙げられる。
Lで表される2価の連結基としては、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれた原子を少なくとも1種を含む原子または原子団である。具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−SO−等の単独またはこれらの組合せからなるものである。
Lで表される2価の連結基としては、2価の脂肪族基または2価の芳香族基が好ましく、例えば、−(CH−〈n=1〜12〉、−CH−CH=CH−CH−、−CH−C≡C−CH−、キシリレン基、フェニレン基、ナフチレン基、

等が挙げられる。
Lで表される2価の連結基は、更に上述の置換基で置換されていてもよい。
Mは好ましくは、金属イオン、アンモニウムイオンまたは有機カチオンである。金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。有機カチオンとしては、例えば、アルキルアンモニウムイオン(例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラフェニルホスホニウム)、グアニジル基が挙げられる。
また、一般式(1)〜(3)で表される化合物は、ポリマーの構成要素としてポリマーに含まれていてもよい。一般式(1)〜(3)で表される化合物がポリマーに含まれる場合、その繰り返し単位として、例えば、以下のものが挙げられる。

これらの繰り返し単位を含むポリマーは、ホモポリマーでもよいし、他の共重合モノマーとのコポリマーでもよい。
以下に、本発明に係わる一般式(1)〜(3)で表される化合物の具体例及び一般式(1)〜(3)で表される化合物を構成要素として含むポリマーの具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。






本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子が下記一般式(4)で表される化合物の少なくとも1種類を含有することを特徴とする。
一般式(4) R−(S)−R
式中、R及びRは各々脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又は互いに結合して環を形成することができる原子群を表す。またR、Rは同じでも異なっていてもよく、R及びRが脂肪族基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。mは2〜6の整数を表す。
前記一般式(4)において、R及びRで表される脂肪族基としては炭素数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖、または分岐したアルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキル等の各基が挙げられる。具体的には、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、アリル、2−ブテニル、7−オクテニル、プロパルギル、2−ブチニル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロドデシル等の各基が挙げられる。R及びRで表される芳香族基としては、炭素数6〜20のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル、ナフチル、アントラニル等の各基が挙げられる。R及びRで表されるヘテロ環基としては、単環でも縮合環でもよく、O、S及びN原子、アミンオキシド基の少なくとも1種を環内に有する5〜6員のヘテロ環基が挙げられる。
具体的には、例えば、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキシラン、モルホリン、チオモルホリン、チオピラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、ピリジン、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール及びこれらのベンゼローグ類から導かれる基が挙げられる。R及びRで環を形成するものとしては、4〜7員環を挙げることができる。好ましくは5〜7員環である。
及びRで好ましい基としては、ヘテロ環基及び芳香族基であり、更に好ましくはヘテロ芳香環基である。R及びRで表される脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基は、更に置換基により置換されていてもよく、該置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、ジメチルスルファモイルアミノ基、ジエチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、エチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えば、ピリジン・オキシド基等)、イミド基(例えば、フタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えば、ベンゼンジスルフィド基、ベンズチアゾリル−2−ジスルフィド基)等。
以下に、本発明に係わる一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。




上記以外に特開2002−148750記載のジスルフィド化合物も好ましく用いることができる。
本発明に関わる前記一般式(1)〜(4)で表される化合物の好ましい添加量は、1×10−8〜1×10−1モル/モルAgX、更に好ましくは1×10−7〜1×10−2モル/モルAgXである。
本発明に関わる前記一般式(1)〜(4)で表される化合物をハロゲン化銀乳剤に添加するには、当業界で写真乳剤に添加剤を加える場合に通常用いられる方法を適用できる。例えば、水溶性の化合物である場合は、適当な濃度の水溶液とし、水に不溶または難溶性の化合物の場合は、水と混合しうる任意の有機溶媒、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等の写真特性に悪影響を与えない溶媒に溶解し、溶液として添加することができる。
本発明に関わる前記一般式(1)〜(4)で表される化合物の好ましい添加時期に制限はないが、化学増感剤の添加開始前から化学増感の終了までの任意の時点で添加されることが好ましく、好ましい形態の一つは、(a)化学増感剤の添加開始前に添加されることであり、好ましい形態のもう一つは、(b)化学増感の50%終了以降、より好ましくは化学増感の70%終了、さらに好ましくは化学増感の90%終了以降であって且つ化学増感終了前に添加されることであり、前記(a)及び(b)を併用して実施することが最も好ましい。
本発明の請求の範囲第4項に係るハロゲン化銀乳剤においては、1個以上の芳香環により縮環されたクラウンエーテルの少なくとも1種類を含有することを特徴とする。
本発明に用いられるクラウンエーテルであるが、これらは少なくとも1個以上の置換または無置換の芳香族環により縮環されたクラウンエーテルである。置換基としては、代表的には、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、この他にハロゲン原子及びシクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシなどが挙げられる。また、クラウン環を構成するヘテロ原子は酸素原子のほかに、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等に置き変わっても良い。これらの代表的化合物としては、クラウンエーテルで下記のPedersenが1967年に合成し、その特異な性質を報告以来、数多く合成されている。これらの化合物は、C.J.Pedersen,Journal of American chemical Society vol.86(2495),7017〜7036(1967),G.W.Gokel,S.H,Korzeniowski,“Macrocyclic polyethr synthesis”,Springer−Verlag.(1982),小田、庄野、田伏編“クラウンエーテルの化学”化学同人(1978),田伏等“ホスト−ゲスト”共立出版(1979),佐々木、古賀“有機合成化学”Vol45(6)、571〜582(1987)等に詳細に書かれている。本発明で好ましく用いられるクラウンエーテルは、15〜18員環を形成するクラウンエーテルである。
以下、本発明に用いられるクラウンエーテルの具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものでない。




本発明のクラウンエーテルをハロゲン化銀粒子を含有する親水性コロイドに添加するには、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコールなどの親水性有機溶媒に溶解したのち添加すればよい。添加時期は、乳剤の塗布前であればいずれの時期でもよいが好ましくは化学増感が終了する前に添加されることが好ましい。
本発明のクラウンエーテルは赤感性増感色素の強色増感剤として用いられることが好ましいが、その添加順序は、いずれを先に添加してもよく、同時でもまた混合溶液で添加してもよい。本発明のクラウンエーテルの添加量は、化合物の種類により異なるが通常はハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−1モルの範囲であり、好ましくは5×10−6〜1×10−2モルである。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀粒子内部に前記一般式(S)で表される化合物を含有することが好ましく、該一般式(S)で表される化合物は前記一般式(S−2)で表される化合物であることが好ましい。
本発明においてハロゲン化銀粒子内部とは、ハロゲン化銀粒子表面を除いたハロゲン化銀相をいう。
本発明においてハロゲン化銀粒子内部における前記一般式(S)で表される化合物の含有量は1×10−8〜1×10−1モル/モルAgXが好ましく、1×10−7〜1×10−2モル/モルAgXがより好ましい。
本発明に関わるハロゲン化銀粒子内部において、前記一般式(S)化合物の含有濃度が異なる領域は何相であっても良く、また所望の粒子が形成される限りにおいて、含有濃度に制限はないが、ハロゲン化銀粒子内部において前記一般式(S)化合物の含有濃度が異なる2相以上のハロゲン化銀相を有することが好ましく、ハロゲン化銀粒子内部において前記一般式(S)化合物の含有濃度が最大であるハロゲン化銀相の外側に前記一般式(S)化合物の含有濃度が最大であるハロゲン化銀相よりも前記一般式(S)化合物の含有濃度が小さいハロゲン化銀相を有することが更に好ましい。例えば、ハロゲン化銀粒子内部において、その最も表面側領域(シェル部)の前記一般式(S)化合物の含有濃度が、それより内側領域(コア部)における前記一般式(S)化合物の含有濃度未満である形態も好ましく用いられる。ここでシェル部とは、粒子成長による粒子形成における最終的な領域で、粒子の表面を含む最も粒子の外側の領域を示す。
本発明のハロゲン化銀乳剤のシェル部に含有される前記一般式(S)化合物の平均濃度は、ハロゲン化銀1モルあたり1.5×10−4モル未満であることが好ましい。シェル部における前記一般式(S)化合物の含有濃度は、0でも良く、好ましくはハロゲン化銀1モルあたり0.1〜1×10−4モルであり、より好ましくはハロゲン化銀1モルあたり0.1〜0.5×10−4モルである。
コア部に含有される前記一般式(S)化合物の濃度は、シェル部に含有される濃度よりも大きい限りにおいて制限はないが、ハロゲン化銀1モルあたり0.5〜3×10−4モルであることが好ましい。
また、前記一般式(S)化合物は複数の化合物を組み合わせて添加しても良いし、複数のハロゲン化銀相、コア部とシェル部でその化合物の種類や、組合せの構成が異なっても良い。これらの化合物は、如何なる方法を用いて粒子の形成される系に存在させても良いが、予めハライド溶液に含有させて添加されるのが好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子において、シェル部の体積は、ハロゲン化銀粒子の全体積の50%以内であることが好ましく、より好ましいシェル部の体積はハロゲン化銀粒子の全体積の30%以内である。また、シェル部の体積がハロゲン化銀粒子の全体積の10%以内であるような、表面近傍の極狭い亜表面領域をシェル領域とした形態においても、本発明を好ましく実施することができる。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀乳剤が実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンを含有することを好ましい。本発明において、実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンとは、カルシウム含有量が100ppm以下であるゼラチンであり、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。本発明に係わる実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンはイオン交換樹脂等を用いたカチオン交換処理により得ることができる。
本発明係るハロゲン化銀乳剤においては、実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンがハロゲン化銀粒子形成から脱塩、分散、化学増感または色増感の終了までのいずれか1つ以上のハロゲン化銀乳剤調製工程で使用されることが好ましいが、化学増感または色増感の前であることが好ましい。調製したハロゲン化銀乳剤中の全分散媒の10質量パーセント以上が、該実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンであることが好ましく、30質量パーセント以上である事がより好ましく、50質量パーセント以上であることがさらに好ましい。
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子がアミノ基置換された化学修飾ゼラチンを用いてハロゲン化銀粒子の粒子形成または脱塩が行われていることが好ましい。該化学修飾ゼラチンには特開平5−72658号公報、特開平9−197595号公報、特開平9−251193号公報などに記載の、ゼラチンのアミノ基を置換した化学修飾ゼラチンを好ましく使用することができる。粒子形成または脱塩において該化学修飾ゼラチンを用いる場合、粒子形成に用いる全分散媒の10質量パーセント以上が、該化学修飾ゼラチンであることが好ましく、30質量パーセント以上である事がより好ましく、50質量パーセント以上であることが更に好ましい。アミノ基の置換比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
本発明に係わるハロゲン化銀写真乳剤は粒子形成後に脱塩を行うことが好ましい。脱塩は、例えば、RD17643号II項の方法により行うことができる。
さらに詳しくは、沈殿生成物あるいは物理熟成後の乳剤から不要な可溶性塩類を除去する為には、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また無機塩類、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸)を用いることができるが、ゼラチン誘導体及び化学修飾ゼラチン(例えば、アシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチン)を利用した沈殿法または、膜分離を利用した限外濾過脱塩であることが好ましい。
膜分離を利用した限外濾過に関しては、化学工学便覧、改訂五版(化学工学協会編、丸善)924〜954頁、RDの102巻10208及び第131巻13122、あるいは特公昭59−43727号、同62−27008号、特開昭62−113137号、同57−209823号、同59−43727号、同62−113137号、同61−219948号、同62−23035号、同63−40137号、同63−40039号、特開平3−140946号、同2−172816号、同2−172817号、同4−22942号等に記載の方法も参考にすることができる。本発明において、限外濾過を用いる場合には特開平11−339923号あるいは特開平11−231448号記載の装置または方法を用いることが好ましい。
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤の製造において用いられる分散媒は、ハロゲン化銀粒子に対する保護コロイド性を有する化合物である。該分散媒は、ハロゲン化銀粒子形成時の核生成工程から粒子成長工程に渡って存在させることが好ましい。本発明で好ましく用いることができる分散媒には、ゼラチンと親水性コロイドがある。ゼラチンとしては、通常分子量10万程度のアルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン、或いは酸化処理したゼラチンや、Bull.Soc.Sci.Photo.Japan No.16,P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子の核生成時には平均分子量が1万〜7万のゼラチンを用いることが好ましく、平均分子量が1万〜5万のゼラチンを用いることがさらに好ましい。ゼラチンの平均分子量を小さくするために、ゼラチン分解酵素や過酸化水素等を用いてゼラチンを分解処理することができる。また、同様に核生成時にメチオニン含有量が少ないゼラチンを用いることも特に平板状ハロゲン化銀粒子を形成する際には好ましい。分散媒単位質量(グラム)当たりのメチオニン含有量としては50μモル以下が好ましく、20μモル以下がより好ましい。ゼラチン中のメチオニン含有量は、過酸化水素等を用いてゼラチンを酸化処理することによって低減せしめることができる。
親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許4,183,756号、同4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21巻,39頁(1973年)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を造り、これを用いることもできる。更に、双晶面を有する粒子、例えば平板状ハロゲン化銀粒子を用いてもよい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事もできる。
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは0.1〜5.0μm、更に好ましくは0.2〜3.0μmの範囲である。特に立方体粒子を用いる場合は、好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.15〜1.0μmの範囲である。
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなどいずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を供給する装置、独国公開特許2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特表昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行う装置などを用いてもよい。
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤における化学増感は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
硫黄増感剤の添加量は、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モル、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が望ましい。
金増感剤を用いる場合は、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等が挙げられる。金増感剤の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−8〜1×10−4モルであることが好ましく、更に好ましくは1×10−8〜1×10−5モルである。
ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
ハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。こうした目的に用いられる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号7頁下欄に記載された一般式[II]で表される化合物を挙げることができ、更に好ましい具体的な化合物としては、同公報の8頁に記載のIIa−1〜IIa−8、IIb−1〜IIb−7の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。
これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−5〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−6〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程においてハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−6〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5〜×10−2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が1m当たり1×10−9〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号30頁に記載のAI−1〜11の染料及び特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号2頁左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、写真乳剤の写真特性への影響もなく、また、残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3頁左下欄−5頁左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には、感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7〜3.0にする量が好ましく、更には0.8〜3.0にすることがより好ましい。
感光材料中に蛍光増白剤を添加することが白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号記載の一般式〔II〕で示される化合物が挙げられる。
本発明の感光材料をカラー感光材料として用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組合せて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は1種または2種以上の増感色素を組合せて含有する。
本発明に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号28頁に記載のBS−1〜BS−8を単独でまたは組合せて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28頁に記載のGS−1〜GS−5が好ましく、更に赤感光性増感色素としては、同公報29頁に記載のRS−1〜RS−8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号,6〜8頁に記載のIRS−1〜IRS−11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号,8〜9頁に記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号,15〜17頁に記載の化合物S−1〜S−17を組合せて用いるのが好ましい。
増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了迄の任意の時期でよい。
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
本発明の感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得る如何なる化合物をも用いることができるが、特に代表的なカプラーとしては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが挙げられる。
好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号5頁左下欄に記載の一般式〔C−I〕、〔C−II〕で表されるカプラーを挙げることができ、具体的な化合物として、同公報5頁右下欄〜6頁左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタ色素形成カプラーとしては、特開平4−114154号公報4頁右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報4頁左下欄〜5頁右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタカプラーの内より好ましいのは、同公報4頁右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、その内、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報5頁上欄に記載されているMC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、更にディテールの描写力にも優れており好ましい。上記一般式(M−1)で表される好ましいカプラーの例としては、特開昭63−253943号公報の5頁〜9頁に記載の例示化合物1〜64、特開平2−100048号公報の5頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−29、特開平7−175186号公報の5頁〜12頁に記載の例示化合物(1)〜(36)、特開平7−219170号公報の14頁〜22頁に記載の例示化合物M−1〜M−33、特開平8−304972号公報の5頁〜9頁に記載の例示化合物M−1〜M−16、特開平10−207024号公報の5頁〜10頁に記載の例示化合物M−1〜M−26、特開平10−207025号公報の5頁〜22頁に記載の例示化合物M−1〜M−36、米国特許第5,576,150号明細書の3頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−24、米国特許第5,609,996号明細書の3頁〜9頁に記載の例示化合物M−1〜M−48、米国特許第5,667,952号明細書の3頁〜5頁に記載の例示化合物M−1〜M−23、米国特許第5,698,386号明細書の3頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−26等を挙げることができる。
好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、特開平4−114154号3頁右上欄に記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラーを挙げることができ、具体的化合物は同公報3頁左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも、一般式〔Y−I〕のRY1がアルコキシ基であるカプラー、または特開平6−67388号記載の一般式〔I〕で示されるカプラーは、好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。この内、特に好ましい化合物例として特開平4−114154号4頁左上欄に記載されるYC−8、YC−9及び特開平6−67388号13〜14頁に記載のNo.(1)〜(47)で示される化合物を挙げることができる。更に最も好ましい化合物は、特開平4−81847号1頁及び11〜17頁に記載の一般式[Y−1]で示される化合物である。
感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後または分散と同時に、低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。
カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等の燐酸エステル類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また、2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性且つ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法を採ることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基にフッ素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加される迄の時間、及び塗布液に添加後塗布迄の時間は短い方が良く、各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号3頁記載の一般式〔I〕及び〔II〕で示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号記載の一般式〔IIIB〕で示されるフェノール系化合物、特開昭64−90445号記載の一般式〔A〕で示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号記載の一般式〔XII〕、〔XIII〕、〔XIV〕、〔XV〕で示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号記載の一般式〔I〕で示される化合物及び特開平5−11417号記載の一般式[II]で示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号9頁左下欄に記載の化合物d−11、同10頁左上欄に記載の化合物A′−1等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも、米国特許4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したり、また、ハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号記載の一般式〔II〕で示される化合物であり、同号13−14頁に記載の化合物II−1〜II−14及び17頁記載の化合物−1が挙げられる。
感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物として特開平1−250944号記載の一般式〔III−3〕で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明の感光材料にはバインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外の蛋白質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一または共重合体の如き合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
これらバインダーの硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤、クロロトリアジン型硬膜剤、カルボキシル基活性型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響する黴や細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号記載のような防腐剤及び抗黴剤を添加することが好ましい。また、感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。中でも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。
耐水性樹脂としては、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
支持体に用いられる白色顔料としては、無機または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩等のシリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良する上で13質量%以上が好ましく、更には15質量%が好ましい。
紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定した時に、白色顔料の分散度が同公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
また、支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下である方が光沢性が良いという効果が得られより好ましい。また、反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に、処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため、群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加することが好ましい。
感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストル−ジョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
本発明の感光材料を用いて写真画像を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしようとする感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後、その画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリントしようとする感光材料上に結像させて焼き付けてもよいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化させて走査することによって焼き付けてもよい。
本発明は、現像主薬を感光材料中に内蔵していない感光材料に適用することが好ましく、特に直接鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用することが好ましい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材料を挙げることができる。特に、反射支持体を有する感光材料に適用することが好ましい。
本発明において用いられる芳香族1級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリル)アミノトルエン
CD−4:4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル)アミノアニリン
CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル)アミノアニリン
CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミド)エチルアニリン
CD−7:4−アミノ−3−β−メタンスルホンアミドエチル−N,N−ジエチルアニリン
CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)エチルアニリン
本発明においては、上記は色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
本発明における発色現像の処理温度は、35〜70℃が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からは余り高くない方が好ましく、37〜60℃で処理することが好ましい。
発色現像時間は、従来、一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、更に25秒以内の範囲で行うことが望ましい。
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩素イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行ってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行われる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行ってもよい。
本発明の感光材料の処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料を挟んで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給すると共に感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935号に記載の方法が最も好ましい。
次に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例1】
以下の方法によりハロゲン化銀乳剤を調製した。
[ハロゲン化銀乳剤(R−1)の調製]
40℃に保温した両イオン交換処理オセインゼラチン(カルシウム含有量10ppm)の2%水溶液1リットル中に下記(A1液)及び(B1液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ20分かけて同時添加した。続いて下記(A2液)及び(B2液)を、pAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ90分かけて同時添加した。更に、下記(A3液)及び(B3液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ15分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸または水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
(A1液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(A2液)
塩化ナトリウム 71.9g
IrCl 3.0×10−8モル/モルAgX
IrBr 1.0×10−8モル/モルAgX
Fe(CN) 2.0×10−5モル/モルAgX
臭化カリウム 0.7g
水を加えて 420ml
(A3液)
塩化ナトリウム 30.8g
臭化カリウム 0.3g
水を加えて 180ml
(B1液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(B2液)
硝酸銀 210g
水を加えて 420ml
(B3液)
硝酸銀 90g
水を加えて 180ml
添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(修飾率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行い、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(立方体換算粒径)0.40μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体のハロゲン化銀乳剤(R−1)を調製した。
ハロゲン化銀乳剤(R−1)では、(A1液)および(B1液)により粒子成長した部分を種部、(A2液)および(B2液)により粒子成長した部分をコア部、(A3液)および(B3液)により粒子成長した部分をシェル部とする。種部、コア部、シェル部がハロゲン化銀粒子の占める体積比率は各々3.3%、66.7%、30.0%であった。
[ハロゲン化銀乳剤(R−2)の調製]
上記ハロゲン化銀乳剤(R−1)の調製において、(A2液)中のイリジウム化合物を下記に変更すること以外は同様にしてハロゲン化銀乳剤(R−2)を調製した。
IrCl 1.5×10−8モル/モルAgX
[IrCl(HO)] 2.0×10−7モル/モルAgX
[IrCl(チアゾール)] 5.0×10−9モル/モルAgX
[ハロゲン化銀乳剤(R−3)の調製]
上記ハロゲン化銀乳剤(R−2)の調製において、あらかじめ(A1液)、(A2液)(A3液)に例示化合物(S−1−4)を最終的に得られたハロゲン化銀粒子に対して各々2.1×10−6モル/モルAgX、5.3×10−5モル/モルAgX、9.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にしてハロゲン化銀乳剤(R−3)を調製した。
[ハロゲン化銀乳剤(R−4)の調製]
上記ハロゲン化銀乳剤(R−2)の調製において、あらかじめ(A1液)、(A2液)(A3液)に例示化合物(S−2−4)を最終的に得られたハロゲン化銀粒子に対して各々2.1×10−6モル/モルAgX、5.3×10−5モル/モルAgX、9.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にしてハロゲン化銀乳剤(R−4)を調製した。
[ハロゲン化銀乳剤(R−5)の調製]
上記ハロゲン化銀乳剤(R−4)の調製において、(A1液)〜(A3液)及び(B1液)〜(B3液)の添加によりハロゲン化銀粒子を形成した後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(修飾率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行い、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.0018モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(立方体換算粒径)0.40μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.4モル%、臭化銀含有率0.6モル%の単分散立方体のハロゲン化銀乳剤(R−5)を調製した。
[ハロゲン化銀乳剤(R−6)の調製]
上記ハロゲン化銀乳剤(R−5)の調製において、(A2液)中に下記ルテニウム化合物を添加し、且つ(B3液)及び(A3液)の添加が65%終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5N沃化銀水溶液を7.2ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行い、且つ硝酸銀及びハライドの全ての添加を終了させること以外は同様にして平均粒径(立方体換算粒径)0.40μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.0モル%、臭化銀含有率0.8モル%、沃化銀含有率0.2モル%の単分散立方体のハロゲン化銀乳剤(R−6)を調製した。
[Ru(NO)Cl] 9.0×10−9モル/モルAgX
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の調製]
前記ハロゲン化銀乳剤(R−1)に対し、60℃、pH5.0、pAg7.1にて下記増感色素(RS−1)及び(RS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 1.2×10−5モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.5×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 1.2×10−4モル/モルAgX
4:増感色素(RS−1) 1.0×10−4モル/モルAgX
5:増感色素(RS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1c)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1d)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に本発明に係るクラウンエーテル化合物(S−2)を2.0×10−3モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1d)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1e)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に本発明に係るクラウンエーテル化合物(S−4)を2.0×10−3モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1e)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−2a)、(R−3a)、(R−4a)、(R−5a)、(R−6a)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−2a)、(R−3a)、(R−4a)、(R−5a)、(R−6a)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−2b)、(R−3b)、(R−4b)、(R−5b)、(R−6b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−2b)、(R−3b)、(R−4b)、(R−5b)、(R−6b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−6c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−6a)の調製において、クラウンエーテル化合物(S−2)の添加を例示化合物(S−2−5)後に実施すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−6c)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−6d)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて(R−6)を用い、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を3.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に本発明に係るクラウンエーテル化合物(S−4)を2.0×10−3モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−6d)を得た。
[ハロゲン化銀乳剤(B−6)の調製]
前記ハロゲン化銀乳剤(R−6)の調製において、(A1液)、(B1液)、(A2液)、(B2液)、(A3液)及び(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径(立方体換算粒径)0.65μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.2モル%、臭化銀含有率0.6モル%、沃化銀含有率0.2モル%の単分散立方体乳剤であるハロゲン化銀乳剤(B−6)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−6a)の調製]
前記ハロゲン化銀乳剤(B−6)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(BS−1)及び(BS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)、(S−2−2)、(S−2−3)を順次添加し、熟成を停止させ、青感性ハロゲン化銀乳剤(B−6a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 5.0×10−6モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.5×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 3.0×10−4モル/モルAgX
4:化合物(S−2−2) 3.0×10−4モル/モルAgX
5:化合物(S−2−3) 3.0×10−4モル/モルAgX
6:増感色素(BS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
7:増感色素(BS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[ハロゲン化銀乳剤(G−6)の調製]
前記ハロゲン化銀乳剤(R−6)の調製において、(A1液)、(B1液)、(A2液)、(B2液)、(A3液)及び(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径(立方体換算粒径)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.2モル%、臭化銀含有率0.6モル%、沃化銀含有率0.2モル%の単分散立方体乳剤であるハロゲン化銀乳剤(G−6)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−6a)の調製]
前記ハロゲン化銀乳剤(G−6)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−6a)を得た。
1:増感色素(GS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
2:チオ硫酸ナトリウム 4.5×10−6モル/モルAgX
3:塩化金酸 1.5×10−5モル/モルAgX
4:化合物(S−2−5) 1.5×10−4モル/モルAgX

《ハロゲン化銀写真感光材料の作製》
[試料1001の作製]
坪量180g/mの紙パルプの感光層塗布面に、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む高密度溶融ポリエチレンをラミネートし、裏面には高密度ポリエチレンをラミネートした反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、更に下記の構成からなる各写真構成層を塗設して、ハロゲン化銀写真感光材料である試料1001を作製した。
塗布液は下記のようにして調製した。
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)3.34g、イエローカプラー(Y−2)10.02g、イエローカプラー(Y−3)1.67g、色素画像安定化剤(ST−1)1.67g、色素画像安定化剤(ST−2)1.67g、色素画像安定化剤(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−1)0.167g、画像安定剤A 2.67g、高沸点有機溶媒(DBP)5.0g及び高沸点有機溶媒(DNP)1.67gに酢酸エチル60mlを加えて溶解し、10%界面活性剤(SU−1)5mlを含有する7%ゼラチン水溶液320mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液500mlを作製した。この分散液を、前記条件で調製した青感性ハロゲン化銀乳剤(B−6a)と混合し第1層塗布液を調製した。
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に下記の塗布量になるように各塗布液を調製した。
なお、第2層、第4層及び第7層には、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。また、各層には、表面張力調整用の塗布助剤として、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加した。また、各層に防黴剤(F−1)を全量が0.04g/mとなるように添加した。尚、表中に記載のハロゲン化銀乳剤は、銀に換算した値で示した。
第7層(保護層) g/m
ゼラチン 0.70
DBP 0.002
DIDP 0.002
二酸化珪素 0.003
第6層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.40
AI−1 0.01
紫外線吸収剤(UV−1) 0.07
紫外線吸収剤(UV−2) 0.12
ステイン防止剤(HQ−5) 0.05
第5層(赤感性層)
ゼラチン 1.00
赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a) 0.17
シアンカプラー(C−1) 0.22
シアンカプラー(C−2) 0.06
色素画像安定化剤(ST−1) 0.06
ステイン防止剤(HQ−1) 0.003
DBP 0.10
DOP 0.20
第4層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.94
AI−1 0.02
紫外線吸収剤(UV−1) 0.17
紫外線吸収剤(UV−2) 0.27
ステイン防止剤(HQ−5) 0.06
第3層(緑感性層)
ゼラチン 1.30
AI−2 0.01
緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−6a) 0.12
マゼンタカプラー(M−1) 0.05
マゼンタカプラー(M−2) 0.15
色素画像安定化剤(ST−3) 0.10
色素画像安定化剤(ST−4) 0.02
DIDP 0.10
DBP 0.10
第2層(中間層)
ゼラチン 1.20
AI−3 0.01
ステイン防止剤(HQ−1) 0.02
ステイン防止剤(HQ−2) 0.03
ステイン防止剤(HQ−3) 0.06
ステイン防止剤(HQ−4) 0.03
ステイン防止剤(HQ−5) 0.03
DIDP 0.04
DBP 0.02
第1層(青感性層)
ゼラチン 1.10
青感性ハロゲン化銀乳剤(B−6a) 0.24
イエローカプラー(Y−1) 0.10
イエローカプラー(Y−2) 0.30
イエローカプラー(Y−3) 0.05
色素画像安定化剤(ST−1) 0.05
色素画像安定化剤(ST−2) 0.05
色素画像安定化剤(ST−5) 0.10
ステイン防止剤(HQ−1) 0.005
画像安定剤A 0.08
画像安定剤B 0.04
DNP 0.05
DBP 0.15
支持体:ポリエチレンラミネート紙(微量の着色剤を含有)
試料1001の作製に用いた各添加剤の詳細は、以下の通りである。
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
PVP:ポリビニルピロリドン
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ[(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル]ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)





[試料1002〜1017の作製]
上記試料1001の作製において、赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)をそれぞれ下表に示すハロゲン化銀乳剤に変更した以外は同様にして、試料1002〜1017を作製した。(ハロゲン化銀はAgXと略す。)

《ハロゲン化銀写真感光材料の評価》
上記作製した試料1001〜1017について、下記に記載の方法に従って、感度、階調(γ)、塗布液停滞安定性および潜像安定性の評価を行った。
(評価1:高照度露光における感度、ガンマ評価、および露光後潜像安定性評価)
各試料に対し、10−6秒露光のキセノンフラッシュ高照度露光用感光計(山下電装(株)製SX−20型)を用いてウエッジ露光し、露光後5分間放置した後、下記の処理工程に従って発色現像処理を行った。これを処理Aとする。一方、上記方法において、露光した後5秒間経過してから同様に発色現像処理を行い、これを処理Bとする。
以上のようにして現像処理を行った各試料のシアン画像反射濃度を、光学濃度計(コニカ製PDA−65型)を用いて測定し、縦軸−反射濃度(D)、横軸−露光量(LogE)からなるシアン画像の特性曲線を作成して、以下のようにして各特性値を算出した。
処理Aにおける試料の感度を下式1に従って計算した。ここで感度は、試料1001の処理Aにおける感度を100として表記した。
次に、下式2に従って処理Aでの階調γ(γa)と処理Bでの階調γ(γb)をそれぞれ計算し、ガンマは試料1001の処理Aにおける階調γを100として評価した。続いて前記各々の階調γ値より下式3に従って、変動値Δγを計算した。なお、Δγは、数値が100に近いほど潜像安定性に優れていることを表す。
式1 感度=1/(カブリ+1.0の濃度を示す露光量)
式2 階調γ=1/〔Log(カブリ+0.8の濃度を示す露光量)−Log(カブリ+1.8の濃度を示す露光量)〕
式3 Δγ=(γb/γa)×100
(評価2:塗布液停滞安定性)
試料1001〜1017において、塗布液調製後直ちに塗布したもの(塗布A)及び塗布液調製後40℃にて48時間停滞させた後に塗布したもの(塗布B)について、各々の試料の塗布Aに対する塗布Bにおける感度及びカブリを各々の試料の塗布Aにおける感度及びカブリをそれぞれ100とする相対値で評価した。塗布Bにおける感度及びカブリが100に近いほど塗布液停滞安定性に優れていることを表す。
各試料を55℃40%RH条件下にて6日間保存した後、上記(評価1)と同様に発色現像処理を行い、各試料のカブリ濃度を試料作製直後に発色現像処理(処理A)した試料1001のカブリを100とする相対値で評価した。
〔発色現像処理〕
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml
安定化 30〜34℃ 60秒 150ml
乾燥 60〜80℃ 30秒
(発色現像処理の各現像処理液の組成)
〈発色現像液タンク液及び補充液〉
タンク液 補充液
純水 800ml 800ml
トリエチレンジアミン 2g 3g
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−
アミノアニリン硫酸塩 6.0g 10.0g
N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
それぞれ、水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpHを10.10に、補充液はpHを10.60に調整した。
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpHを5.0に調整した。
〈安定化液タンク液及び補充液〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpHを7.5に調整した。
以上より得られた各評価結果を下表に示す。

上表より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度で高γ、且つ潜像安定性及び塗布液停滞安定性も良好な結果が得られた。
【実施例2】
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11a)の調製]
実施例1で調製したハロゲン化銀乳剤(R−1)に対し、60℃、pH5.0、pAg7.1にて下記増感色素(RS−1)及び(RS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 1.2×10−5モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.5×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 1.5×10−4モル/モルAgX
4:増感色素(RS−1) 1.0×10−4モル/モルAgX
5:増感色素(RS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11c)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11d)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(S−1−4)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11d)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11e)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(S−2−5)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11e)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−12a)、(R−13a)、(R−14a)、(R−15a)、(R−16a)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次実施例1で調製した(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−12a)、(R−13a)、(R−14a)、(R−15a)、(R−16a)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−12b)、(R−13b)、(R−14b)、(R−15b)、(R−16b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次実施例1で調製した(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−12b)、(R−13b)、(R−14b)、(R−15b)、(R−16b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−16c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−11a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて(R−6)を使用し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を3.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(S−2−5)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−16c)を得た。
[ハロゲン化銀乳剤(G−1)〜(G−4)の調製]
実施例1で製造したハロゲン化銀乳剤(R−1)〜(R−4)の調製において、(A1液)、(B1液)、(A2液)、(B2液)、(A3液)及び(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径(立方体換算粒径)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体乳剤であるハロゲン化銀乳剤(G−1)〜(G−4)を調製した。
[ハロゲン化銀乳剤(G−5)の調製]
実施例1で製造したハロゲン化銀乳剤(R−5)の調製において、(A1液)、(B1液)、(A2液)、(B2液)、(A3液)及び(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径(立方体換算粒径)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.4モル%、臭化銀含有率0.6モル%の単分散立方体乳剤であるハロゲン化銀乳剤(G−5)を調製した。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11a)の調製]
前記ハロゲン化銀乳剤(G−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11a)を得た。
1:増感色素(GS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
2:チオ硫酸ナトリウム 4.0×10−6モル/モルAgX
3:塩化金酸 1.5×10−5モル/モルAgX
4:化合物(S−2−5) 1.5×10−4モル/モルAgX
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11b)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを2.5×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11b)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11c)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを2.5×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11c)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11d)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11c)の調製において、増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(S−1−4)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11d)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11e)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11c)の調製において、増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(S−2−5)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11e)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−12a)、(G−13a)、(G−14a)、(G−15a)、(G−16a)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて順次(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、及び実施例1で調製した(G−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−12a)、(G−13a)、(G−14a)、(G−15a)、(G−16a)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−12b)、(G−13b)、(G−14b)、(G−15b)、(G−16b)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて順次(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、及び実施例1で調製した(G−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−12b)、(G−13b)、(G−14b)、(G−15b)、(G−16b)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−16c)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−11a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて(G−6)を用い、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を2.5×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(S−2−5)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−16c)を得た。
[ハロゲン化銀乳剤(B−1)〜(B−4)の調製]
実施例1で製造したハロゲン化銀乳剤(R−1)〜(R−4)の調製において、(A1液)、(B1液)、(A2液)、(B2液)、(A3液)及び(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径(立方体換算粒径)0.65μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体乳剤であるハロゲン化銀乳剤(B−1)〜(B−4)を調製した。
[ハロゲン化銀乳剤(B−5)の調製]
実施例1で製造したハロゲン化銀乳剤(R−5)の調製において、(A1液)、(B1液)、(A2液)、(B2液)、(A3液)及び(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径(立方体換算粒径)0.65μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.4モル%、臭化銀含有率0.6モル%の単分散立方体乳剤であるハロゲン化銀乳剤(B−5)を調製した。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11a)の調製]
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(BS−1)及び(BS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)、(S−2−2)、(S−2−3)を順次添加し、熟成を停止させ、青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 5.0×10−6モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.5×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 2.0×10−4モル/モルAgX
4:化合物(S−2−2) 3.0×10−4モル/モルAgX
5:化合物(S−2−3) 3.0×10−4モル/モルAgX
6:増感色素(BS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
7:増感色素(BS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11b)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを2.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11b)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11c)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを2.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11c)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11d)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11c)の調製において、増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に本発明に関わる化合物(S−1−4)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11d)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11e)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11c)の調製において、増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(S−2−5)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11e)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−12a)、(B−13a)、(B−14a)、(B−15a)、(B−16a)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて順次(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)、及び実施例1で調製した(B−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−12a)、(B−13a)、(B−14a)、(B−15a)、(B−16a)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−12b)、(B−13b)、(B−14b)、(B−15b)、(B−16b)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて順次(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)、及び実施例1で調製した(B−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−12b)、(B−13b)、(B−14b)、(B−15b)、(B−16b)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−16c)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−11a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて(B−6)を用い、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を2.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(S−2−5)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−16c)を得た。
実施例1における試料1001において、第1層のハロゲン化銀乳剤(B−6a)、第3層のハロゲン化銀乳剤(G−6a)、第5層のハロゲン化銀乳剤(R−1a)に代えて下表の構成のハロゲン化銀乳剤をそれぞれ用いて試料1101〜1116を作製し、実施例1と同様に評価した。

得られた結果を下表に示す。

上表より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度で高γ、且つ潜像安定性及び塗布液停滞安定性も良好な結果が得られた。また、マゼンタ画像及びイエロー画像に関して、実施例1と同様の方法でマゼンタ画像及びイエロー画像の特性曲線をそれぞれ作成し、感度、階調(γ)、潜像安定性、塗布液停滞安定性を評価したところ、シアン画像同様に、マゼンタ画像及びイエロー画像においても本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた試料は、比較試料に対し優れた結果が得られた。
【実施例3】
実施例2にて作製した試料を127mm巾のロール状に加工し、下記の様にしてデジタル露光適性を評価した。
コニカカラーNew CENTURIA 400の現像済みネガ画像を、コニカ製フィルムスキャナQscan1202JWを用いてデジタルデーター化し、アドビ社製ソフトphotoshop(Ver.5.5)で取り扱える環境とした。取り込んだ画像に様々なサイズの文字と細線を加えて一つの画像データとして、下記の様なデジタル走査露光装置で露光できるように操作した。
光源として半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.5nm)を励起光源としたYAG固体レーザー(発振波長946nm)をKNbO3のSHG結晶により波長変換して取りだした473nmと、半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.7nm)を励起光源としたYVO4固体レーザー(発振波長1064nm)をKTPのSHG結晶により波長変換して取りだした532nmと、AlGaInP(発振波長約670nm)とを用いた。3色それぞれのレーザー光をポリゴンミラーにより走査方向に垂直方向に移動し、カラー印画紙上に順次走査露光できる様な装置を作製した。露光量は、半導体レーザーの光量を電気的にコントロールした。走査露光は400dpi(尚、dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す。)で行い、この時の1画素あたりの露光時間は5×10−8秒であった。
各試料において最適のプリント画像が得られるように露光量を種々調整した上で走査露光後、実施例1の処理を下記の様に変更し、キャビネサイズのプリント画像を得た。
実施例1において下記の様に変更した処理を行った。
処理工程 処 理 温 度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 22秒 81ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 22秒 54ml
安定化 30〜34℃ 25秒 150ml
乾 燥 60〜80℃ 30秒
現像処理液の組成を下記に示す。
〈発色現像液タンク液及び補充液〉
タンク液 補充液
純水 800ml 800ml
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4
−アミノアニリン硫酸塩 6.0g 10.5g
N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 3.5g 6.0g
N,N−ビス(2−スルホエチル)ヒドロキシルアミン
3.5g 6.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.1に、補充液はpH=10.6に調整する。
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
タンク液 補充液
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩
100g 50g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 200ml 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール
2.0g 1.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 50ml 25ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=7.0に、補充液はpH6.5に調整する。
〈安定化液タンク液及び補充液〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
PVP 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 10ml
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
得られたプリント画像について、20人の観察者により細線や文字の明瞭度、人物の肌色再現性、木々の緑の再現性を以下の基準で目視評価した。さらに100枚を露光した後、直ちに順次処理を実施し、1枚目と100枚目についてプリント再現性を以下の基準で目視評価した。
(1)細線の明瞭度の評価基準
◎:グレーの細線や文字が明瞭に区別できる
○:グレーの細線や文字がはっきりと区別できるが、輪郭がややぼける
△:グレーの細線や文字を区別できるが、ぼやけが目立つ
×:グレーの細線や文字がぼやけ、区別が困難
(2)人物の肌色再現性
○:明るく自然な再現
△:自然な再現
×:赤みが足りない
(3)木々の緑の再現性
◎:明るく鮮やかな再現
○:鮮やかな再現
△:ややくすんでいる
×:くすんでいる
(4)プリント再現性
◎:プリント差を認識できない
○:わずかなプリント差が認識できるが、ほぼ同一として扱える
△:若干のプリント差が認識でき、やや気になる
×:プリント差がはっきりと認識でき、実用上問題と考えられる
評価結果を下表に示す。本発明に関わる試料は細線や文字の明瞭度、人物の肌色再現性、木々の緑の再現性及びプリント再現性に対していずれも優れた性能を示した。

【実施例4】
コニカカラーNew CENTURIA 400の現像済みネガ画像、コニカクロームSINBI200ハイクオリティーの現像済みポジ画像、およびコニカ製デジタルカメラDigital Revio KD−200Zによる撮像画像データから、各々以下のようにしてプリント画像を得た。
実施例2にて作製した試料を127mm巾のロール状に加工し、コニカ製デジタルミニラボシステムQD−21SUPER(プリントプロセッサーQDP−1500SUPER、処理ケミカルとしてECOJET−HQA−Pを使用し、プロセス名CPK−HQA−Pに従って処理)にて露光処理して、実施例3と同様に評価した。結果を下表に示す。実施例3と同様に、本発明に係る試料において優れた効果が得られた。

【実施例5】
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21a)の調製]
実施例1で調製したハロゲン化銀乳剤(R−1)に対し、60℃、pH5.0、pAg7.1にて下記増感色素(RS−1)及び(RS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 1.2×10−5モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.3×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 1.8×10−4モル/モルAgX
4:増感色素(RS−1) 1.0×10−4モル/モルAgX
5:増感色素(RS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21c)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21d)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(1−21)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21d)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21e)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21e)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−22a)、(R−23a)、(R−24a)、(R−25a)、(R−26a)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次実施例1で調製した(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−22a)、(R−23a)、(R−24a)、(R−25a)、(R−26a)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−22b)、(R−23b)、(R−24b)、(R−25b)、(R−26b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次実施例1で調製した(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−22b)、(R−23b)、(R−24b)、(R−25b)、(R−26b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−21a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて(R−6)を使用し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を3.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26c)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26d)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(1−2)を1.3×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26d)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26e)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26b)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(1−2)を1.3×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−26e)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21a)の調製]
実施例2で調製したハロゲン化銀乳剤(G−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21a)を得た。
1:増感色素(GS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
2:チオ硫酸ナトリウム 4.0×10−6モル/モルAgX
3:塩化金酸 1.2×10−5モル/モルAgX
4:化合物(S−2−5) 1.5×10−4モル/モルAgX
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21b)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを2.5×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21b)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21c)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを2.5×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21c)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21d)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21c)の調製において、増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(1−21)を1.2×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21d)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21e)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21c)の調製において、増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(1−2)を1.2×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21e)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−22a)、(G−23a)、(G−24a)、(G−25a)、(G−26a)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて順次実施例2で調製した(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、及び実施例1で調製した(G−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−22a)、(G−23a)、(G−24a)、(G−25a)、(G−26a)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−22b)、(G−23b)、(G−24b)、(G−25b)、(G−26b)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて順次実施例2で調製した(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、及び実施例1で調製した(G−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−22b)、(G−23b)、(G−24b)、(G−25b)、(G−26b)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26c)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−21a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて(G−6)を用い、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を2.5×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26c)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26d)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26d)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26e)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26b)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに本発明に関わる化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−26e)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21a)の調製]
実施例2で調製したハロゲン化銀乳剤(B−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(BS−1)及び(BS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)、(S−2−2)、(S−2−3)を順次添加し、熟成を停止させ、青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 5.0×10−6モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.5×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 2.0×10−4モル/モルAgX
4:化合物(S−2−2) 2.0×10−4モル/モルAgX
5:化合物(S−2−3) 3.0×10−4モル/モルAgX
6:増感色素(BS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
7:増感色素(BS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21b)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを2.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21b)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21c)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを2.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21c)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21d)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21c)の調製において、増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(1−21)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21d)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21e)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21c)の調製において、増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21e)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−22a)、(B−23a)、(B−24a)、(B−25a)、(B−26a)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて順次実施例2で調製した(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)、及び実施例1で調製した(B−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−22a)、(B−23a)、(B−24a)、(B−25a)、(B−26a)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−22b)、(B−23b)、(B−24b)、(B−25b)、(B−26b)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて順次実施例2で調製した(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)、及び実施例1で調製した(B−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−22b)、(B−23b)、(B−24b)、(B−25b)、(B−26b)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26c)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−21a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて(B−6)を用い、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を2.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26c)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26d)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26d)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26e)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26b)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(1−2)を1.0×10−4モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−26e)を得た。
実施例1における試料1001において、第1層のハロゲン化銀乳剤(B−6a)、第3層のハロゲン化銀乳剤(G−6a)、第5層のハロゲン化銀乳剤(R−1a)に代えて下表の構成のハロゲン化銀乳剤をそれぞれ用いて試料1201〜1218を作製し、実施例1と同様に評価した。

結果を下表に示す。

上表より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度で高γ、且つ潜像安定性及び塗布液停滞安定性も良好な結果が得られた。また、マゼンタ画像及びイエロー画像に関して、実施例1と同様の方法でマゼンタ画像及びイエロー画像の特性曲線をそれぞれ作成し、感度、階調(γ)、潜像安定性、塗布液停滞安定性を評価したところ、シアン画像同様に、マゼンタ画像及びイエロー画像においても本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた試料は、比較試料に対し優れた結果が得られた。
【実施例6】
実施例5で作製した試料1201〜1218を用いて実施例3と同様の評価を行った。結果を下表に示す。比較試料に対し本発明の試料では、優れた効果が得られた。

【実施例7】
実施例5で作製した試料1201〜1218を用いて実施例4と同様の評価を行った。結果を下表に示す。比較試料に対し本発明の試料では、優れた効果が得られた。

【実施例8】
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31a)の調製]
実施例1で調製したハロゲン化銀乳剤(R−1)に対し、60℃、pH5.0、pAg7.1にて下記増感色素(RS−1)及び(RS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 1.2×10−5モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.3×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 1.2×10−4モル/モルAgX
4:増感色素(RS−1) 1.0×10−4モル/モルAgX
5:増感色素(RS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを3.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31c)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31d)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(4−6)を1.0×10−5モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31d)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31e)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31c)の調製において、増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に例示化合物(4−0)を1.6×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31e)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−32a)、(R−33a)、(R−34a)、(R−35a)、(R−36a)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次実施例1で調製した(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−32a)、(R−33a)、(R−34a)、(R−35a)、(R−36a)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−32b)、(R−33b)、(R−34b)、(R−35b)、(R−36b)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて順次実施例1で調製した(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−32b)、(R−33b)、(R−34b)、(R−35b)、(R−36b)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36c)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−31a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて(R−6)を使用し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を9.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を3.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(RS−1)及び(RS−2)の添加前に本発明に関わる化合物(4−0)を1.6×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36c)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36d)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(4−0)を1.0×10−5モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36d)を得た。
[赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36e)の調製]
前記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36b)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(4−0)を1.0×10−5モル/モルAgX添加すること以外は同様にして赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−36e)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31a)の調製]
実施例2で調製したハロゲン化銀乳剤(G−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31a)を得た。
1:増感色素(GS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
2:チオ硫酸ナトリウム 4.0×10−6モル/モルAgX
3:塩化金酸 1.2×10−5モル/モルAgX
4:化合物(S−2−5) 1.7×10−4モル/モルAgX
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31b)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを2.5×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31b)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31c)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを2.5×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31c)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31d)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31c)の調製において、増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(4−6)を1.2×10−5モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31d)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31e)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31c)の調製において、増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(4−0)を1.5×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31e)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−32a)、(G−33a)、(G−34a)、(G−35a)、(G−36a)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて順次実施例2で調製した(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、及び実施例1で調製した(G−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−32a)、(G−33a)、(G−34a)、(G−35a)、(G−36a)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−32b)、(G−33b)、(G−34b)、(G−35b)、(G−36b)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて順次実施例2で調製した(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、及び実施例1で調製した(G−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−32b)、(G−33b)、(G−34b)、(G−35b)、(G−36b)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36c)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−31a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて(G−6)を用い、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を1.5×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を2.5×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(GS−1)の添加前に例示化合物(4−0)を1.5×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36c)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36d)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(4−0)を7.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36d)を得た。
[緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36e)の調製]
前記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36b)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(4−0)を7.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−36e)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31a)の調製]
実施例2で調製したハロゲン化銀乳剤(B−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(BS−1)及び(BS−2)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、例示化合物(S−2−5)、(S−2−2)、(S−2−3)を順次添加し、熟成を停止させ、青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31a)を得た。
1:チオ硫酸ナトリウム 5.0×10−6モル/モルAgX
2:塩化金酸 1.9×10−5モル/モルAgX
3:化合物(S−2−5) 2.0×10−4モル/モルAgX
4:化合物(S−2−2) 2.0×10−4モル/モルAgX
5:化合物(S−2−3) 2.0×10−4モル/モルAgX
6:増感色素(BS−1) 4.0×10−4モル/モルAgX
7:増感色素(BS−2) 1.0×10−4モル/モルAgX
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31b)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフェニルフォスフィンセレニドを2.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31b)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31c)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にトリフリルフォスフィンセレニドを2.0×10−6モル/モルAgX添加した後に塩化金酸を添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31c)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31d)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31c)の調製において、増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(4−6)を8.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31d)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31e)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31c)の調製において、増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(4−0)を7.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31e)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−32a)、(B−33a)、(B−34a)、(B−35a)、(B−36a)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31d)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて順次実施例2で調製した(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)、及び実施例1で調製した(B−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−32a)、(B−33a)、(B−34a)、(B−35a)、(B−36a)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−32b)、(B−33b)、(B−34b)、(B−35b)、(B−36b)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31e)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて順次実施例2で調製した(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B−5)、及び実施例1で調製した(B−6)をそれぞれ用いること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−32b)、(B−33b)、(B−34b)、(B−35b)、(B−36b)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36c)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−31a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて(B−6)を用い、且つチオ硫酸ナトリウムの添加量を3.0×10−6モル/モルAgXに変更し、且つチオ硫酸ナトリウムの添加後にN,N−ジメチルセレノ尿素を2.0×10−6モル/モルAgXを添加した後に塩化金酸を添加し、且つ増感色素(BS−1)及び(BS−2)の添加前に例示化合物(4−0)を7.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36c)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36d)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36a)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに本発明に関わる化合物(4−0)を1.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36d)を得た。
[青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36e)の調製]
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36b)の調製において、チオ硫酸ナトリウムの添加から例示化合物(S−2−5)の添加までの化学熟成時間の90%終了時点で、さらに例示化合物(4−0)を1.0×10−6モル/モルAgX添加すること以外は同様にして青感性ハロゲン化銀乳剤(B−36e)を得た。
実施例1における試料1001において、第1層のハロゲン化銀乳剤(B−6a)、第3層のハロゲン化銀乳剤(G−6a)、第5層のハロゲン化銀乳剤(R−1a)に代えて下表の構成のハロゲン化銀乳剤をそれぞれ用いて試料1301〜1318を作製し、実施例1と同様に評価した。

得られた結果を下表に示す。

上表より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度で高γ、且つ潜像安定性及び塗布液停滞安定性も良好な結果が得られた。また、マゼンタ画像及びイエロー画像に関して、実施例1と同様の方法でマゼンタ画像及びイエロー画像の特性曲線をそれぞれ作成し、感度、階調(γ)、潜像安定性、塗布液停滞安定性を評価したところ、シアン画像同様に、マゼンタ画像及びイエロー画像においても本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた試料は、比較試料に対し優れた結果が得られた。
【実施例9】
実施例8で作製した試料1301〜1318を用いて実施例3と同様の評価を行った。結果を下表に示す。比較試料に対し本発明の試料では、優れた効果が得られた。

【実施例10】
実施例8で作製した試料1301〜1318を用いて実施例4と同様の評価を行った。結果を下表に示す。比較試料に対し本発明の試料では、優れた効果が得られた。

【産業上の利用の可能性】
以上のように、本発明により、露光方式に関わらず、高感度、高ガンマ、並びに塗布液停滞安定性、潜像安定性に優れていて、常に安定した高品質のプリントが得られ、且つ特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において潜像安定性に優れているハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が下記一般式(S)で表される化合物の存在下でセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。

(式中、Qは5員もしくは6員の含窒素複素環を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子もしくは1価のカチオンを形成するに必要な基を表す。)
【請求項2】
塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が下記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類を含有し、且つセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
一般式(1) R−SOS−M
一般式(2) R−SOS−R
一般式(3) R−SOS−L−SSO−R
(式中、R、R、R、R、Rは各々脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。R、R、R、R、Rは同じであっても異なっていてもよい。Mは陽イオンを表す。Lは2価の連結基を表し、mは0または1を表す。)
【請求項3】
塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が下記一般式(4)で表される化合物を含有し、且つセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
一般式(4) R−(S)−R
(式中、R及びRは各々脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又は互いに結合して環を形成することができる原子群を表す。またR、Rは同じでも異なっていてもよく、R及びRが脂肪族基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。mは2〜6の整数を表す。)
【請求項4】
塩化銀含有率が90モル%以上であり、沃化銀含有率が0〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、且つ1種類以上のイリジウム化合物を含む2種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子が、1個以上の芳香環により縮環されたクラウンエーテルを含有し、且つセレン増感されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【請求項5】
前記ハロゲン化銀粒子内部に含有するイリジウム化合物の少なくとも1種類が、水配位子または有機配位子を1つ以上有するイリジウム錯体であることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
【請求項6】
前記ハロゲン化銀粒子が最外シェルの少なくとも一部に臭化銀局在相を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第5項の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
【請求項7】
前記ハロゲン化銀粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在相を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第6項の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
【請求項8】
前記ハロゲン化銀粒子内部に前記一般式(S)で表される化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項から第7項の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤。
【請求項9】
前記一般式(S)で表される化合物が下記一般式(S−2)で表される化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項または第8項に記載のハロゲン化銀乳剤。

(式中、Arは下記で表される基を表し、

はアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基またはスルホンアミド基を表す。nは0〜2の整数を表す。Mは一般式(S)におけるMと同義である。)
【請求項10】
支持体上に少なくとも1層の画像形成層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該画像形成層の少なくとも1層に請求の範囲第1項から第9項の何れか1項に記載のハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【請求項11】
請求の範囲第10項に記載のハロゲン化銀写真感光材料を走査露光した後、発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。

【国際公開番号】WO2004/068237
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【発行日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567546(P2004−567546)
【国際出願番号】PCT/JP2003/000986
【国際出願日】平成15年1月31日(2003.1.31)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】