説明

ハロゲン化銀乳剤

【課題】高い感度を有し、かつ、保存した際にも高い現像性を維持し、保存後にも良好な耐刷性を有する拡散転写平版印刷版に適したハロゲン化銀乳剤を提供する。
【解決手段】沃化物を含有しないコア、その外層に沃化物を含有する第1シェル、その外層に実質的に沃化物を含有しない第2シェルからなる少なくとも3層から構成され、第1シェル中に含有される沃化物量が粒子中の全沃化物量の90モル%以上であるコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銀乳剤に関し、更に詳しくはコアシェル型沃塩化銀微粒子を用いるハロゲン化銀写真乳剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、半導体レーザー、発光ダイオード等の光源を用いた走査露光方式によりダイレクトに平版印刷版を製版する銀錯塩拡散転写平版印刷版が知られている。上記光源を用いた走査露光方式によりダイレクトに平版印刷版を製版する銀錯塩拡散転写平版印刷版は、例えば、米国特許第4,501,811号明細書、特開昭59−71055号公報、特開昭59−71056号公報、特開昭60−61752号公報、特開昭60−75838号公報、特開昭60−100148号公報、特開昭61−114235号公報、特開昭63−47756号公報等に記載されている。これによると、露光されたハロゲン化銀微粒子は、銀錯塩拡散転写法を利用した現像により化学現像を生起し黒色の銀となり親水性の非画線部を形成し、一方、未露光のハロゲン化銀微粒子は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩錯体となって表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする画線部を形成する。
【0003】
近年、生産性の向上と環境負荷の低減のために、低出力の光源でより高速な走査露光に対応した高感度な平版印刷版であると同時に、塗布現像方式等少量の現像液で短時間での現像が可能な高い現像進行性を有する平版印刷版への要求が一層高まっている。高い現像進行性を達成するためには通常、溶解性の高い塩化銀を主体とするハロゲン化銀乳剤が用いられる。しかし、塩化銀が主体のハロゲン化銀乳剤はレーザー走査露光のような高照度露光で低感軟調化を引き起こし易く、また、かぶり濃度も高く、これらの点を改良する様々な技術が開示されている。
【0004】
高塩化銀乳剤の増感技術として沃素イオンを導入する方法が知られている。特開平9−166836号公報(特許文献1)には、最大沃化物濃度が中心よりもホスト部分の表面近くに配置されているよう塩化銀粒子を用いる方法が記載されている。特開2001−209156号公報(特許文献2)には、コア部の沃化物含有量がシェル部の沃化物含有量よりも高いものを含むハロゲン化銀乳剤が開示されている。特開2006−98689号公報(特許文献3)には沃素濃度が粒子表面で極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰しているハロゲン化銀乳剤を開示している。しかし、いずれの方法により製造された高塩化銀乳剤を用いた平版印刷版は、保存した際にも高い現像性を維持し、保存後にも良好な耐刷性を有する平版印刷版ではなかった。一方、特公平3−31245号公報(特許文献4)や特開平7−244345号公報(特許文献5)には、圧力カブリや潜像安定性を改善する手段として、第1シェルと第2シェルを設けたコアシェル型沃臭化銀乳剤において第1シェルの沃素含有率が第2シェルよりも大きいコアシェル型乳剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−166836号公報
【特許文献2】特開2001−209156号公報
【特許文献3】特開2006−98689号公報
【特許文献4】特公平3−31245号公報
【特許文献5】特開平7−244345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は高い感度を有し、かつ、保存した際にも高い現像性を維持し、保存後にも良好な耐刷性を有する拡散転写平版印刷版に適したハロゲン化銀乳剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、実質的に沃化物を含有しないコア、その外層に沃化物を含有する第1シェル、その外層に実質的に沃化物を含有しない第2シェルからなる少なくとも3層から構成され、第1シェル中に含有される沃化物量が粒子中の全沃化物量の90モル%以上であるコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤により達成された。
【発明の効果】
【0008】
高い感度を有し、かつ、保存した際にも高い現像性を維持し、保存後にも良好な耐刷性を有する拡散転写平版印刷版に適したハロゲン化銀乳剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のハロゲン化銀乳剤は実質的に沃化物を含有しないコア、その外層に沃化物を含有する第1シェル、その外層に実質的に沃化物を含有しない第2シェルからなる少なくとも3層から構成され、第1シェル中に含有される沃化物量が粒子中の全沃化物量の90モル%以上であるコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有する。以下、該コアシェル型沃塩化銀微粒子を本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子と記載する。
【0010】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子が少なくとも3層から構成されているとは、第1シェルの外層に更に第2層以降のシェルを設けることを意味し、特に好ましい形態は、第2シェルの外層に第3シェルを有する4層から構成され、該第3シェル中に含有される沃化物量が粒子中の全沃化物量の0.05〜5モル%の範囲であるコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤である。
【0011】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の沃化物含有量は0.2〜4モル%の範囲で沃化物を含有させることが好ましく、より好ましくは0.5〜3モル%の範囲である。本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子は実質的に臭化物を含有しないことが好ましく、ここで、実質的に臭化物を含有しないとは、粒子中に0.1モル%以上の臭化物を含有していないことを意味する。本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の形状として、立方体、8面体、平板状等の種々の形状のものを用いることができるが、本発明においては平均粒径200〜600nmの立方体型の粒子が特に好ましく、変動係数が20%以下の単分散粒子であることが更に好ましい。
【0012】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の実質的に沃化物を含有しないコア及び第2シェルとは、コア及び第2シェルに意図的に沃化物を導入しないことを意味し、具体的には、意図せず沃化物が隣接する他の層から拡散等により混入する場合でも、そのコア及び第2シェルの中の沃化物含有量が0.1モル%未満であることを意味し、好ましくは0.01モル%未満、更に好ましくは0モル%である。
【0013】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子に占めるコアの比率は、20〜90モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは30〜80モル%の範囲である。
【0014】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の第1シェルがコアシェル型沃塩化銀微粒子に占める割合は、2.5〜25モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜20モル%の範囲である。第1シェルの平均厚みは2〜25nmの範囲であり、好ましくは5〜20nmの範囲である。第1シェル中に含まれる沃素の含有率は、粒子中の全沃化物量の90モル%以上であることが好ましく、90〜100モル%の範囲で用いることができる。最も好ましい形態は、第2シェルの外層に第3シェルを有する4層から構成されるコアシェル型沃塩化銀微粒子であって、該第3シェル中に粒子中の全沃化物量の0.5〜5モル%、より好ましくは1〜4モル%の範囲で含有させることであり、この場合、第1シェル中に含まれる沃素の含有率は95〜99モル%の範囲である。
【0015】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の第2シェルがコアシェル型沃塩化銀微粒子に占める割合は4〜40モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは6〜36モル%の範囲である。第2シェルの平均厚みは2〜40nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜30nmの範囲である。第2シェル中に含まれる沃素の含有率は0.1モル%未満であることが好ましく、より好ましくは0.01モル%未満である。
【0016】
本発明の最も好ましい形態である第2シェルの外層に第3シェルを有する4層から構成されるコアシェル型沃塩化銀微粒子において、第3シェルがコアシェル型沃塩化銀微粒子に占める割合は1〜25モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜20モル%の範囲である。第3シェルの平均厚みは1〜25nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜20nmの範囲である。第3シェル中に含まれる沃素の含有率は0.5〜5モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2モル%の範囲である。
【0017】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の形成はこれまで知られている様々な方法を用いることができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反応させる形式としてはダブルジェット法を用いることが好ましいが、シングルジェット法等の他の方法と組み合わせて用いることもできる。ダブルジェット法の一の形式としてハロゲン化銀微粒子の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわちコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。また、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、特公昭52−16364号公報等に記載されているように硝酸銀水溶液やハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子形成速度に応じて変化させる方法や、米国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報等に記載されているように硝酸銀水溶液やハロゲン水溶液の濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽和度を超えない範囲において粒子を早く成長させる方法を用いることもできる。
【0018】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の第1シェル及び第3シェルへ沃化物を含有させる方法として、第1シェル及び第3シェル形成時に沃化物を塩化物に対して一定比率になるように反応溶液に添加する方法を用いることができる。第1シェル及び第3シェル形成時に反応溶液へ沃化物を添加する方法としては、銀イオンを含む水溶液と沃化物イオンを含む塩化物水溶液をダブルジェット法により添加する方法や、銀イオンを含む水溶液、塩化物水溶液及び沃化物水溶液をトリプルジェット法により添加する方法等が挙げられる。
【0019】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子は、高照度相反則不軌を低減させる目的で水溶性イリジウム化合物を含有することが好ましい。水溶性イリジウム化合物はハロゲン化銀乳剤の粒子形成時の任意の時点で添加することによってハロゲン化銀粒子中の一部または全てのコア及び3つのシェル中にドープすることができる。水溶性イリジウム化合物としては、塩化イリジウム(III)・n水和物(n:整数)、塩化イリジウム(IV)・n水和物(n:整数)、ヘキサブロモイリジウム(III)酸カリウム、ヘキサクロロイリジウム(III)酸アンモニウム・n水和物、ペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウム等種々のものが使用できる。好ましい水溶性イリジウム化合物の量はハロゲン化銀1モル当り1×10−7〜1×10−5モルの範囲である。
【0020】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子は写真特性の硬調化のために水溶性ロジウムまたは/及びルテニウム化合物を含有させることができる。水溶性ロジウムまたは/及びルテニウム化合物はハロゲン化銀中でイリジウムトラップよりも深い電子トラップを形成し、光電子を半永久的に捕捉することによりハイライト部の感度を低下させて硬調化することができる。水溶性ロジウムまたは/及びルテニウム化合物はハロゲン化銀乳剤の粒子形成時の任意の時点で添加することによってハロゲン化銀粒子の一部または全てのコア及び3つのシェル中にドープすることができる。本発明に用いられる水溶性ロジウムまたは/及びルテニウム化合物としては、塩化ロジウム(III)・n水和物(n:整数)、ヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物、塩化ルテニウム(III)・n水和物(n:整数)、ペンタクロロニトロシルルテニウム(III)酸カリウム、ヘキサブロモルテニウム(III)酸カリウム等種々のものが使用できる。好ましい水溶性ロジウムまたは/及びルテニウム化合物の量はハロゲン化銀1モル当り1×10−8〜1×10−5モルの範囲である。
【0021】
本発明のハロゲン化銀乳剤に用いられるコアシェル型沃塩化銀微粒子の化学増感に用いられる化学増感剤としてイオウ増感剤や金増感剤を挙げることができるが、イオウ増感剤と金増感剤を併用して用いることが好ましい。好ましいイオウ増感剤としては、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号等に記載されているチオ硫酸ナトリウム、チオアセトアミド、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン等のイオウ増感剤等を用いることができる。好ましい金増感剤としては塩化金酸、塩化金酸カリウム、チオシアン化金酸カリウム、硫化金等の無機の金化合物、米国特許第2,642,361号明細書、米国特許第5,049,484号明細書、米国特許第5,049,485号明細書、米国特許第5,169,751号明細書、米国特許第5,252,455号明細書、ベルギー特許第691,857号明細書等に記載の有機金化合物を用いることができる。
【0022】
本発明のコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤は、光源の波長に応じて、当業界で知られる種々の分光増感色素を使って分光増感することができる。それらの色素にはシアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキサノール色素等がある。これらの色素は単独で用いても組み合わせて用いてもよい。例えば、特開平2−251853号公報、特開平4−9853号公報、特開平7−36191号公報、特開2000−267217号公報、特開2001−350267号公報、特開2003−195441号公報等に記載の増感色素が好ましく用いられる。
【0023】
本発明のハロゲン化銀乳剤を用いるのに好適なものの代表例としては銀錯塩拡散転写平版印刷版を挙げることができる。銀錯塩拡散転写平版印刷版の代表的な実施態様は、特公昭48−30562号公報、特公昭53−21602号公報、特開昭54−103104号公報等に記載される。それらによれば、支持体及びその上にハレーション防止を兼ねた下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層からなる感光材料を画像露光し、現像処理を行うと潜像が形成されているハロゲン化銀は乳剤層中で黒化銀となる。同時に、潜像が形成されていないハロゲン化銀微粒子は現像処理液中に含まれるハロゲン化銀錯化剤の作用で溶解し、感光材料の表面に拡散する。溶解し拡散した銀錯塩が表面層の物理現像核の上に現像主薬の還元作用によって銀画像として析出する。得られた銀画像のインキ受理性を強化させるために現像処理に続いて必要ならば感脂化処理が施された後、オフセット印刷機にセットされ、印刷物へとインキ画像が転写される。
【0024】
本発明のハロゲン化銀乳剤を用いた平版印刷版の第二の代表的な実施態様は、特開昭63−260491号公報、特開平3−116151号公報、特開平4−282259号公報等に記載の方法である。それらによれば、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板を支持体とし、その上に物理現像核を担持し、更にその上に感光性ハロゲン化銀乳剤層が設けられる。係る平版印刷版を像露光し、銀錯塩拡散転写現像した後、ハロゲン化銀乳剤層を温水で洗浄して除去し、印刷版を作製するものである。拡散転写現像された物理現像核上の銀画像は、感脂化処理が施された後、オフセット印刷機にセットされ、印刷物へとインキ画像が転写される。係る平版印刷版においては、該ハロゲン化銀乳剤像を良好に洗浄、除去するためには、ハロゲン化銀乳剤層は実質的に硬膜剤を含まないゼラチン等の親水性バインダーであることが好ましい。
【0025】
本発明のハロゲン化銀乳剤を用いた平版印刷版のハロゲン化銀乳剤層には、平版印刷版の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、安定剤、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールのようなメルカプトテトラゾール化合物や4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンのようなテトラアザインデン化合物等の複素環化合物を含有させることができる。
【0026】
本発明のハロゲン化銀乳剤を用いた平版印刷版のハロゲン化銀乳剤層、その他の親水性コロイド層には、無機または有機の硬膜剤を含有することができる。例えばクロム塩(クロムミョウバン等)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グリオキサール等)、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体(2,3−ジヒドロキシジオキサン等)、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン等)等を単独または組み合わせて用いることができる。
【0027】
本発明のハロゲン化銀乳剤を用いた平版印刷版のハロゲン化銀乳剤層、その他の親水性コロイド層には、塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止及び写真特性改良(例えば、現像促進、硬調化、増感)等種々の目的で界面活性剤を含んでよい。例えばサポニン(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類等)、グリシドール誘導体(アルケニルコハク酸ポリグリセリド等)、多価アルコールの脂肪酸エステル類、糖のアルキルエステル類等の非イオン性界面活性剤;アルキルカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル類、アルキリン酸エステル類等のような、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸またはリン酸エステル類等の両性界面活性剤;脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミダゾリウム等の複素環第4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤を用いることができる。
【0028】
上記したような本発明のハロゲン化銀乳剤を用いた銀錯塩拡散転写平版印刷版の現像に用いる現像処理液には、アルカリ性物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム等、保恒剤としての亜硫酸塩、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、2−メルカプト安息香酸、アミン等、粘稠剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、特開昭47−26201号公報に記載の化合物等、現像主薬、例えばハイドロキノン類、カテコール、1−フェニル−3−ピラゾリジノン等、現像変性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、オニウム化合物等を含むことができる。更に現像処理液には、米国特許第3,776,728号明細書に記載の如き表面銀層のインキ乗りをよくする化合物等を使用することができる。また、特開昭56−27151号公報、特開昭57−86835号公報に記載されているように、現像液の保存性及びランニング処理適性を向上させるために、現像液には実質的に現像主薬を含有せず、平版印刷版に現像可能な量の現像主薬を含有させて、アルカリ性活性化現像液で処理することもできる。
【実施例】
【0029】
<コア粒子分散液Aの作製>
反応容器中で不活性ゼラチン30g溶解し、硫酸を加えてpHを5.0に調整した600mLのゼラチン溶液に消泡剤を加えた後、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で33分間添加し、平均粒径270nmの立方体純塩化銀粒子のコア粒子Aを分散したコア粒子分散液Aを作製した。ダブルジェット混合中の銀電位は銀/塩化銀参照電極に対してプラス110mVとなるようにコントロールした。
【0030】
<コア粒子分散液Bの作製>
添加時間を40分とする以外はコア粒子分散液Aと同様にコントロールダブルジェットを行い、平均粒径288nmの立方体純塩化銀粒子のコア粒子Bを分散したコア粒子分散液Bを作製した。
【0031】
<コア粒子分散液Cの作製>
添加時間を46分とする以外はコア粒子分散液Aと同様にコントロールダブルジェットを行い、平均粒径302nmの立方体純塩化銀粒子のコア粒子Cを分散したコア粒子分散液Cを作製した。
【0032】
<コア粒子分散液Dの作製>
1.44モル/Lの塩化ナトリウムを含有する水溶液の代わりに1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.0029モル/Lの沃化カリウムを含有する水溶液を用いる以外は、コア粒子分散液Bと同様にコントロールダブルジェットを行い、平均粒径288nmの立方体沃塩化銀粒子のコア粒子分散液Dを作成した。
【0033】
<ハロゲン化銀乳剤1の作製>
反応容器中で平均粒径270nmの立方体純塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Aを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.2304モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚7.7nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと6.75×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で、21分間添加して平均膜厚22.1nmの塩化銀からなる第2シェルを形成した本発明のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤1を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0034】
<ハロゲン化銀乳剤2の作製>
反応容器中で平均粒径288nmの立方体純塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Bを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.2304モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚6.9nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと4.5×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で14分間添加して平均膜厚14.0nmの塩化銀からなる第2シェルを形成した本発明のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤2を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0035】
<ハロゲン化銀乳剤3の作製>
反応容器中で平均粒径302nmの立方体純塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Cを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.2304モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚6.3nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと2.57×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で8分間添加して平均膜厚7.7nmの塩化銀からなる第2シェルを形成した本発明のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤3を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0036】
<ハロゲン化銀乳剤4の作製>
反応容器中で平均粒径270nmの立方体純塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Aを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.1613モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚7.7nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと4.5×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で14分間添加して平均膜厚15.4nmの塩化銀からなる第2シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.0144モル/Lの沃化カリウムを含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で7分間添加し、平均膜厚6.7nmの沃塩化銀からなる第3シェルを形成した本発明のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤4を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0037】
<ハロゲン化銀乳剤5の作製>
反応容器中で平均粒径270nmの立方体純塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Aを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.029モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚7.7nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと4.5×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で14分間添加して平均膜厚15.4nmの塩化銀からなる第2シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.0086モル/Lの沃化カリウムを含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で7分間添加し、平均膜厚6.7nmの沃塩化銀からなる第3シェルを形成した本発明のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤5を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0038】
<ハロゲン化銀乳剤6の作製>
反応容器中で平均粒径288nmの立方体沃塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Dを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.1512モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚6.9nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと4.5×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で14分間添加して平均膜厚14.0nmの塩化銀からなる第2シェルを形成した比較のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤6を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0039】
<ハロゲン化銀乳剤7の作製>
反応容器中で平均粒径288nmの立方体純塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Bを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.1152モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚6.9nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.0115モル/Lの沃化カリウムと4.5×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で14分間添加して平均膜厚14.0nmの塩沃化銀からなる第2シェルを形成した比較のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤7を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0040】
<ハロゲン化銀乳剤8の作製>
反応容器中で平均粒径270nmの立方体純塩化銀粒子コアからなるコア粒子分散液Aを、60℃、1000rpmで攪拌しながら、コントロールダブルジェット法を用いてpAgを6.7にコントロールしながら1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.1440モル/Lの沃化カリウムと1.3×10−6モル/Lのヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム1水和物を含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で6分間添加し、平均膜厚7.7nmの沃塩化銀からなる第1シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.0029モル/Lの沃化カリウムと4.5×10−6モル/Lのペンタクロロ(5−メチルチアゾロ)イリジウム(III)酸カリウムを含有する水溶液及び1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で14分間添加して平均膜厚13.4nmの沃塩化銀からなる第2シェルを形成した後、1.44モル/Lの塩化ナトリウムと0.0288モル/Lの沃化カリウムを含有する水溶液と1.68モル/Lの硝酸銀水溶液を夫々、16.04mL/分及び7.40mL/分の流量で7分間添加し、平均膜厚8.7nmの沃塩化銀からなる第3シェルを形成した比較のコアシェル型沃塩化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤8を作製した。平均粒子径は330nmの立方体粒子であり、コア及びシェルの詳細については表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
本発明のハロゲン化銀乳剤1〜5及び比較のハロゲン化銀乳剤6〜8は、通常の方法により沈澱、水洗、脱水、再溶解し、ハロゲン化銀1モル当り1.5×10−5モルのチオ硫酸ナトリウムと4.0×10−5モルの塩化金酸を用いて、pH=5.6、pAg=5.6で70℃60分間化学熟成した後、カブリ防止剤として4−ヒドロキシ−9−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン及び1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを加えた。その後、特公平7−27210号公報に記載の増感色素(A)及び増感色素(E)を用いて赤色光に対する分光増感を行った。
【0043】
<平版印刷版の作製>
175μmの下引き済みポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に平均粒径3.5μmのシリカ粉末(富士シリシア化学(株)製SY435)を含有するマット化層(ゼラチン3.0g/m)を設け、裏面とした。反対側の面(表面)をコロナ放電加工後、カーボンブラック0.08g/m、平均粒径3.5μmのシリカ粉末(富士シリシア化学(株)製SY435)0.3g/m及び硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム0.15g/mを含む下塗り層(ゼラチン3.5g/m)と、その上に上記の本発明のハロゲン化銀乳剤(1)〜(5)及び比較のハロゲン化銀乳剤(6)〜(8)を硝酸銀として1.2g/m(ゼラチン0.8g/m)になるように、特開2006−55703号公報等に記載のカーテン塗布装置を用いて二層同時塗布を行った。硬膜剤として下塗り層には2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウムを0.15g/m、ハロゲン化銀乳剤層にはメチロール化尿素化合物を0.3g/m加えた。
【0044】
塗布乾燥後、40℃、7日間加温したハロゲン化銀乳剤層の上に下記の物理現像核塗液を、特開平8−194315号公報等に記載されているようなスライドビード塗布方式の塗布機で塗布、乾燥して40℃2日間加温し本発明の平版印刷版(1)〜(5)及び比較の平版印刷版(6)〜(8)を作製した。
【0045】
<物理現像核塗液>
物理現像核として硫化パラジウムを特開平8−211614号公報の実施例1に準じて調整した。このようにして設けられた物理現像核層は硫化パラジウムを1.2mg/m、親水性ポリマーとして、同公報に記載の親水性ポリマー(P−2)を10mg/m、現像主薬としてハイドロキノンを0.6g/m、硬膜剤として10質量%ホルマリン溶液0.3g/mを含有する。
【0046】
上記平版印刷版を50℃60%RH(相対湿度)で2週間強制加温した。フレッシュ(未加温)の平版印刷版と上記強制加温した平版印刷版をそれぞれ三菱製紙(株)製の赤色LD出力機FREDIA Eco(露光波長:660nm、露光方式:内面ドラム:現像ユニット塗布現像方式)で3000dpiで製版を行った。塗布方式内蔵プロセッサーにより下記組成の銀錯塩拡散転写現像液で30℃20秒間現像処理後、下記組成の中和液で20秒間中和処理した。塗布現像時の現像液の塗布量は平版印刷版1m当り50mL及び30mLとなるように調整した。
【0047】
<転写現像液>
水 700質量部
水酸化カリウム 20質量部
無水亜硫酸ナトリウム 50質量部
2−メルカプト安息香酸 1.5質量部
2−アミノエチルアミノエタノール 15質量部
水を加えて 1000質量部
とする。
【0048】
<中和液>
水 600質量部
クエン酸 10質量部
クエン酸ナトリウム 35質量部
コロイダルシリカ(20質量%分散液) 5質量部
エチレングリコール 5質量部
水を加えて 1000質量部
とする。
【0049】
感度は反射濃度1.30を与えるのに必要なレーザー出力値の逆数で表し、比較の平版印刷版(6)のFreshサンプルを50mL/mの現像液塗布量で現像処理した感度を100とした時の相対感度で表した。結果を表2に示す。
【0050】
Fresh及び強制加温を行った本発明の平版印刷版(1)〜(5)及び比較の平版印刷版(6)〜(8)をハマダ印刷機(株)製オフセット印刷機、ハマダH234Cに装着し、DIC(株)製オフセットインキ、New Chanpion85墨Nと、日研化学(株)製給湿液アストロマークIIIを用いて印刷を行い、耐刷力を評価した。耐刷力は、非画像部の地汚れ及び銀画像部の欠落による画像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。結果を表2に示す。
【0051】
5:40,000枚以上
4:20,000枚以上〜40,000枚未満
3:10,000枚以上〜20,000枚未満
2:5,000枚以上〜10,000枚未満
1:5,000枚未満
【0052】
【表2】

【0053】
表2から本発明のコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を用いた平版印刷版は保存した際にも高い現像性を有し、また保存後も良好な耐刷性を示すことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に沃化物を含有しないコア、その外層に沃化物を含有する第1シェル、その外層に実質的に沃化物を含有しない第2シェルからなる少なくとも3層から構成され、第1シェル中に含有される沃化物量が粒子中の全沃化物量の90モル%以上であるコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤。
【請求項2】
前記の第2シェルの外層に第3シェルを有する4層から構成されるコアシェル型沃塩化銀微粒子において、該第3シェル中に含有される沃化物量が粒子中の全沃化物量の0.5〜5モル%の範囲であるコアシェル型沃塩化銀微粒子を含有する請求項1記載のハロゲン化銀乳剤。

【公開番号】特開2011−145437(P2011−145437A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5549(P2010−5549)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】