説明

ハロゲン化銀写真感光材料

【課題】写真特性に優れた固体分散染料を使用し、高速塗布時等に生じるハジキが軽減され、安定に製造可能なハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
【解決手段】支持体と、該支持体上の同一面上に設けられた、1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層と1層の非感光性親水性コロイド層とを有し、かつ、前記支持体の感光性ハロゲン化銀乳剤層および前記非感光性親水性コロイド層が設けられている面側に、固体分散染料と、下記一般式(1)で表される化合物の1種と、下記一般式(2)および(3)で表される化合物の1種と、フッ素系界面活性剤とを含む。
一般式(1)


一般式(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料に関するもので、高感度かつ塗布面状の良いハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【技術背景】
【0002】
従来から、ハロゲン化銀写真感光材料において、写真特性に有利な固体分散染料を用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、下塗層中に固体分散染料を含有するハロゲン化銀写真感光材料が開示されている。しかしながら、ハロゲン化銀写真感光材料において、例えば、以下の目的のために固体分散染料を用いると、面状が悪化してしまう。
(1) 使用目的に応じた適正な分光吸収を有するようにすること。
(2) 写真化学的に不活性とすること。つまりハロゲン化銀写真乳剤層の性能に化学的な意味での悪影響、たとえば感度の低下、潜像退行、あるいはカブリを与えないようにすること。
(3)写真処理過程において、脱色されるか溶解除去されて、処理後の写真感光材料の面上に有害な着色を残さないようにすること。
【0003】
一方、帯電防止性等を改良する観点から、フッ素系界面活性剤と、他の種々の界面活性剤を含むハロゲン化銀写真感光材料について検討されている(特許文献2〜4)。しかしながら、これらには、固体分散染料を用いた場合、高速塗布時等に生じるハジキによって、面状の悪化招いてしまうという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平6−273881号公報
【特許文献2】特開2003−270754号公報
【特許文献3】特開平8−211526号公報
【特許文献4】特開2004−77661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、写真特性に優れた固体分散染料を使用し、高速塗布時等に生じるハジキが軽減され、安定に製造可能なハロゲン化銀写真感光材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が、上記課題に基づいて鋭意検討した結果、驚くべきことに、ポリエチレンオキシドを含むアニオン系界面活性剤と、グリセロール基を含むノニオン系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤を組み合わせることにより、面状を特異的に良化できることを見出した。
具体的には、以下の手段により達成された。
【0007】
(1)支持体と、該支持体上の同一面上に設けられた、少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層と少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層とを有し、かつ、前記支持体の感光性ハロゲン化銀乳剤層および前記非感光性親水性コロイド層が設けられている面側に、固体分散染料と、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式(2)および一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種と、フッ素系界面活性剤とを含むハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R1は炭素数6〜25のアルキル基またはアルケニル基を表し、m1は2〜4のいずれかの整数を表し、n1は0〜30のいずれかの整数を表し、aは0または1を表す。Z1はOSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。)
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R2 は、炭素数1〜40の脂肪族基を表し、A2は、アリーレン基を表し、X2は2価の連結基を表し、Gは、
【化3】

を表し、Y2は水素原子、−(CH2CH2O)i−H(iは1〜500の整数を表す)またはアニオン性基を表し、t2は0または1を表し、m2は1〜50の整数を表す。)
一般式(3)
【化4】

(一般式(3)中、R3 は炭素数1〜40の脂肪族基を表し、A3はアリーレン基を表し、X3 は酸素原子、または−(OCH2CH2)j−O −(jは1〜500の整数を表す)で表される基を表し、Gは、
【化5】

を表し、Y3 は水素原子、−(CH2CH2O)i−H(iは1〜500の整数を表す)またはアニオン性基を表す。t3は0または1を表し、m3は1〜50の整数を表す。)
(2)前記フッ素系界面活性剤が下記一般式(4)および/または(5)で表される化合物である(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(4)
【化6】

(一般式(4)中、RA1およびRA2はそれぞれ置換もしくは無置換のアルキル基を表し、かつ、RA1およびRA2の少なくとも1つはフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。RA3、RA4およびRA5はそれぞれ水素原子または置換基を表し、LA1、LA2およびLA3はそれぞれ単結合または2価の連結基を表し、X+はカチオン性の置換基を表す。Y-は対アニオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合にはY-はなくてもよい。mAは0または1である。)
一般式(5)
【化7】

(一般式(5)中、RB3、RB4およびRB5はそれぞれ水素原子または置換基を表す。AおよびBはそれぞれフッ素原子または水素原子を表す。nB3およびnB4はそれぞれ4〜8の整数を表す。LB1およびLB2はそれぞれ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基またはこれらを組み合わせてできる2価の連結基を表す。mBは0または1を表す。Mはカチオンを表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、写真性に有利な固体分散染料を使用しても、高速塗布時におけるハジキが軽減され、面状が悪化することがなくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0010】
一般式(1)
【化8】

(一般式(1)中、R1は炭素数6〜25のアルキル基またはアルケニル基を表し、m1は2〜4のいずれかの整数を表し、n1は0〜30のいずれかの整数を表し、aは0または1を表す。Z1はOSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。)
【0011】
1は炭素数6〜25のアルキル基またはアルケニル基を表し、R1の炭素数は6〜22が好ましく、6〜20がさらに好ましく、8〜18が特に好ましい。アルキル基およびアルケニル基は環状構造を有してもよいが、鎖状アルキル基および鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルキル基およびアルケニル基は置換基を有してもよいが、好ましくは無置換のアルキル基およびアルケニル基である。鎖状アルキル基および鎖状アルケニル基は、分岐を有してもよい。アルケニル基の二重結合の位置については、特に制限しない。アルキル基の方が、アルケニル基よりも好ましい。
前記一般式(1)中、m1は2〜4の整数を表す。n1は0〜30の整数を表し、0〜25が好ましく、0〜20がさらに好ましく、0〜15が特に好ましく、0〜5が最も好ましい。
前記一般式(1)中、Z1はOSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく適用される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
前記一般式(1)中、aは0または1を表し、0が好ましい。
【0012】
一般式(1)で表される化合物として、特開2003−270754号公報の段落番号0033〜0037に記載のものを好ましい例として挙げることができる。この中でも、(WS−31〜WS−37)が好ましい。
【0013】
一般式(2)
【化9】

(一般式(2)中、R2 は、炭素数1〜40の脂肪族基を表し、A2は、アリーレン基を表し、X2は2価の連結基を表し、Gは、
【化10】

を表し、Y2は水素原子、−(CH2CH2O)i−H(iは1〜500の整数を表す)またはアニオン性基を表し、t2は0または1を表し、m2は1〜50の整数を表す。)
【0014】
一般式(3)
【化11】

(一般式(3)中、R3 は炭素数1〜40の脂肪族基を表し、A3はアリーレン基を表し、X3 は酸素原子、または−(OCH2CH2)j−O −(jは1〜500の整数を表す)で表される基を表し、Gは、
【化12】

を表し、Y3 は水素原子、−(CH2CH2O)i−H(iは1〜500の整数を表す)またはアニオン性基を表す。t3は0または1を表し、m3は1〜50の整数を表す。)
【0015】
2およびR3 は、炭素数1〜40の脂肪族基を表し、脂肪族基としては、直鎖または分枝の炭素数1〜40の無置換アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基等)、直鎖または分枝の炭素数1〜40の置換アルキル基(置換基としてはアルコキシル基、アリール基、ハロゲン原子、カルボンエステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等)(例えば、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、ヘプタデシルフルオロオクチル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等)、直鎖または分枝の炭素数2〜40の無置換アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等)、直鎖または分枝の炭素数2〜40の置換アルケニル基(例えば、2−フェニルビニル基、4−アセチル−2−ブテニル基、13−メトキシ−9−オクタデセニル基、9,10−ジブロモ−12−オクタデセニル基等)、直鎖または分枝の炭素数2〜40の無置換アルキニル基(例えば、アセチレン基、プロパルギル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基等)、直鎖または分枝の炭素数2〜40の置換アルキニル基(置換基としてはアルコキシル基、アリール基等)(例えば、2−フェニルアセチレン基、3−フェニルプロパルギル基等)等が好ましい。
【0016】
これらの中でも炭素数6〜24の直鎖、環状または分枝の無置換アルキル基(例えば、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基等)、置換基の炭素数を除いた炭素数が6〜24の直鎖、環状または分枝の置換アルキル基(例えば、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、ヘプタデシルフルオロオクチル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等)、炭素数6〜24の直鎖、環状または分枝の無置換アルケニル基(例えば、5−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等)、炭素数6〜24の直鎖、環状または分枝の置換アルケニル基(例えば、9,10−ジブロモ−12−オクタデセニル基等)が特に好ましい。
【0017】
2およびA3は、アリーレン基を表し、好ましくは炭素数6〜14のアリーレン基であり、特に好ましくはフェニレン基である。
t2およびt3は、いずれも0が好ましい。
【0018】
2は、2価の連結基を表し、好ましくは下記一般式(2−2)で表わされる基である。
【0019】
一般式(2−2)
【化13】

【0020】
一般式(2−2)中、Y21 、Y22およびY23 はそれぞれ同じであっても異なっていても良い、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキレン基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリーレン基(置換基としては上記R2の定義中に示したものに同じ)を表し、アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、2−メトキシ−1,3−プロピレン基等、アリーレン基としてはo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、3−クロロ−1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基等が好ましい。これらのうち特に好ましいのはエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基である。
【0021】
21 、J22 およびJ23 はそれぞれ同じであっても異なっていても良い2価の結合ユニットを表し、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R25)−(R25 は水素原子、炭素数1〜6の無置換アルキル基または置換基の炭素数を除いた炭素数が1〜6の置換アルキル基(置換基としてはアリール基、アルコキシル基、ハロゲン原子等)を表す。)、−N(R25)CO−(R25 は上記に示したものに同じ)、−CON(R25)CO−(R25は上記に示したものに同じ)、−N(R25)CON(R26)−(R25、R26はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、上記R25 で定義したものに同じ)、−OCON(R25)−(R25は上記に示したものに同じ)、−N(R25)COO−(R25 は上記に示したものに同じ)、−SO2 −、−SO2 N(R25)−(R25は上記に示したものに同じ)、−N(R25)SO2 −(R25は上記に示したものに同じ)、−N(COR25)−(R25は上記に示したものに同じ)、−OP(=O)(OR2)O−(R2は上記に定義したものに同じ)等が好ましい。これらの中では、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R25)−(R25は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表す。)、−N(R25)CO−(R25は上記に示したものに同じ)、−SO2 N(R25)−(R25は上記に示したものに同じ)、−N(R25)SO2 −(R25は上記に示したものに同じ)等が特に好ましい。
【0022】
p、qおよびrはそれぞれ0〜5の整数である。好ましくはp、q、rともそれぞれ0〜3の整数であり、p、q、rがそれぞ0または1の整数を取る場合が特に好ましい。s2は1〜10の整数であり、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の整数である。a2およびb2はそれぞれ0〜50の整数である。これらのうち、a2、b2がそれぞれ独立に0〜20の整数値を取ることが好ましく、a2、b2が0〜10の整数を取る場合が特に好ましい。
【0023】
2 として特に好ましいのは酸素原子あるいは−(OCH2 CH2 j −O−で表わされる基である。一般式(2)中jは1〜50の値をとることが好ましく、特に好ましくは3〜20の値である。
【0024】
3は好ましくは酸素原子あるいは−(OCH2 CH2 j −O−で表わされる基(jは1〜50の値)であり、特に好ましいのは酸素原子あるいは−(OCH2 CH2 j −O−で表わされる基(jは3〜20の値)の場合である。
【0025】
Gは、
【化14】

を表す。
【0026】
2およびY3は、水素原子、−(CH2CH2O)i−H(iは1〜500の整数、好ましくは3〜100の整数、特に好ましくは5〜50の整数を表す。)、またはアニオン性基を表わす。
好ましいアニオン性基としては−COOM、−SO3 M、−OSO3 M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2(Mは対カチオンを表わし、好ましくはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンである)が挙げられ、特に好ましくは−SO3 M、−OSO3 Mである。Y2およびY3として特に好ましいのは水素原子、−SO3 Na、−SO3 NH4 である。
【0027】
m2またはm3は、は1〜50の整数を表わし、好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜15である。
一般式(2)または(3)で表される化合物としては、特開平08−211526号公報の段落番号0037〜0042に記載のものが好ましい例として挙げることができる。この中でも好ましくは、(W−2、W−3、W−4、W−13、W−21、W−23、W−28およびC1225O(CH2CH(OH)CH2O)10H)である。
【0028】
一般式(4)
【化15】

(一般式(4)中、RA1およびRA2はそれぞれ置換もしくは無置換のアルキル基を表し、かつ、RA1およびRA2の少なくとも1つはフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。RA3、RA4およびRA5はそれぞれ水素原子または置換基を表し、LA1、LA2およびLA3はそれぞれ単結合または2価の連結基を表し、X+はカチオン性の置換基を表す。Y-は対アニオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合にはY-はなくてもよい。mAは0または1である。)
【0029】
前記一般式(4)中、RA1およびRA2はそれぞれ置換または無置換のアルキル基を表す。前記アルキル基は、炭素数1以上であって、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、フッ素以外のハロゲン原子、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が挙げられる。但し、RA1およびRA2の少なくとも1つはフッ素原子で置換されたアルキル基(以下、フッ素原子で置換されたアルキル基を「Rf」という)を表す。
【0030】
Rfは、炭素数1以上の少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。Rfは少なくとも1つのフッ素原子で置換されていればよく、直鎖状、分岐状および環状のいずれの構造であってもよい。また、フッ素原子以外の置換基でさらに置換されていてもよいし、フッ素原子のみで置換されていてもよい。Rfのフッ素原子以外の置換基としては、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、フッ素以外のハロゲン原子、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が挙げられる。
【0031】
Rfとしては、炭素数1〜16のフッ素置換アルキル基が好ましく、炭素数1〜12がより好ましく、炭素数4〜10がさらに好ましい。Rfの好ましい例としては、
−(CH22−(CF24F、−(CH22−(CF26F、−(CH22−(CF28F、−(CH2)−(CF24H、−(CH2)−(CF26H、−(CH2)−(CF28H、−(CH23−(CF24F、−(CH26−(CF24F、−CH(CF3)CF3
などが挙げられる。
【0032】
Rfとしてさらに好ましくは、末端がトリフルオロメチル基で置換された炭素数4〜10のアルキル基であり、特に好ましくは−(CH2)α−(CF2)βFで表される炭素数3〜10のアルキル基である(αは1〜6の整数を表す。βは3〜8の整数を表す)。具体的には、−CH2−(CF22F、−(CH26−(CF24F、−(CH23−(CF24F、−CH2−(CF23F、−(CH22−(CF24F、−(CH23−(CF24F、−(CH26−(CF24F、−(CH22−(CF26F、−(CH23−(CF26F、−(CH22−(CF26F、等が挙げられる。これらの中でも、特に、−(CH22−(CF24Fおよび−(CH22−(CF26Fが最も好ましい。
【0033】
前記一般式(4)中、RA1およびRA2の双方がRfを表すのが好ましい。
【0034】
A1およびRA2がそれぞれRf以外のアルキル基、即ち、フッ素原子で置換されていないアルキル基を表す場合、該アルキル基としては、炭素数1〜24の置換または無置換のアルキル基が好ましく、炭素数6〜24の置換または無置換のアルキル基がより好ましい。炭素数6〜24の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。また、置換基を有する総炭素数が6〜24のアルキル基の好ましい例としては、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等を挙げることができる。
【0035】
A1およびRA2でそれぞれ表されるRf以外のアルキル基としては、更に好ましくは炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアルキル基である。炭素数6〜18の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、置換基を有する総炭素数が6〜18の置換アルキル基の好ましい例としては、フェネチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。
【0036】
A1およびRA2でそれぞれ表されるRf以外のアルキル基としては、特に好ましくは、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基であり、最も好ましくは炭素数8〜16の直鎖状、環状または分岐状の無置換アルキル基である。
【0037】
前記一般式(4)中、RA3、RA4およびRA5はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。該置換基として後述の置換基Tが適用できる。RA3、RA4およびRA5は、アルキル基または水素原子を表すのが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基または水素原子を表すのがより好ましく、メチル基または水素原子を表すのが更に好ましく、水素原子を表すのが特に好ましい。
【0038】
前記一般式(4)中、LA1およびLA2はそれぞれ独立して、単結合または2価の連結基を表す。単結合または2価の連結基であれば特に制約はないが、好ましくはアリーレン基、−O−、−S−または−NRA100−(RA100は水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tと同様である。RA100として好ましくは、アルキル基、前述のRfまたは水素原子であり、更に好ましくは水素原子である)を単独またはそれらを組み合わせて得られる基であり、より好ましくは−O−、−S−または−NRA100−である。LA1およびLA2としてより好ましくは、−O−または−NRA100−であり、更に好ましくは−O−または−NH−であり、特に好ましくは−O−である。
【0039】
前記一般式(4)中、LA3は2価の連結基を表す。2価の連結基であれば特に制約はないが、好ましくはアルキレン基、アリーレン基、−C(=O)−、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−または−NRA100−(RA100は水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tと同様である。RA100として好ましくはアルキル基または水素原子であり、更に好ましくは水素原子である)を単独またはそれらを組合せて得られる基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−C(=O)−、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−または−NRA100−を単独またはそれらを組合せて得られる基である。Zとして更に好ましくは、炭素数1〜8のアルキレン基、−C(=O)−、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−または−NRA100−を単独またはそれらを組合せて得られる基であり、例えば、−(CH22S−、−(CH22NH−、−(CH23NH−、−(CH22C(=O)NH−、−(CH22SCH2−、−(CH22NHCH2−、−(CH23NHCH2−、等が挙げられる。
【0040】
前記一般式(4)中、X+はカチオン性の置換基を表し、X+として好ましくは、有機のカチオン性置換基であり、より好ましくは窒素または燐のカチオン性基である。さらに好ましくはピリジニウムカチオンまたはアンモニウムカチオンであり、より好ましくは下記一般式(4−1)で表されるトリアルキルアンモニウムカチオンである。
【0041】
一般式(4−1)
【化16】

【0042】
前記一般式(4−1)中、RA13、RA14およびRA15はそれぞれ置換または無置換のアルキル基を表す。該置換基としては、特開2003−270754号公報の段落番号0173〜0176に記載の置換基Tが挙げられ、好ましい範囲もこれらと同義である。
また、RA13、RA14およびRA15は可能な場合にはお互いが結合して環を形成してもよい。RA13、RA14およびRA15として好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、メチルカルボキシル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0043】
前記一般式(4−1)中、Y-は対アニオンを表し、無機アニオンでも有機アニオンでもよい。また、分子内で荷電が0になる場合にはY-はなくてもよい。無機アニオンとして好ましくは、ヨードイオン、臭素イオン、塩素イオン等が挙げられ、有機アニオンとして好ましくは、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。Y-としてより好ましくは、ヨードイオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンであり、更に好ましくはp−トルエンスルホン酸である。
【0044】
前記一般式(4)中、mAは0または1を表し、好ましくは0である。
【0045】
上記一般式(4)で表される化合物の中でも、下記一般式(4−2)で表される化合物が好ましい。
【0046】
一般式(4−2)
【化17】

【0047】
一般式(4−2)中、RA11およびRA12はそれぞれ置換または無置換のアルキル基を表すが、RA11およびRA12の少なくとも1つはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、RA11およびRA12の炭素数の総計は19以下である。LA2およびLA3はそれぞれ独立に−O−、−S−または−NR100−を表し、R100は水素原子または置換基を表し、LA1は単結合または2価の連結基を表す。LA1およびY-はそれぞれ上記一般式(4)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。RA13、RA14およびRA15については、それぞれ上記一般式(2−1)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0048】
前記一般式(4−2)中、LA2およびLA3はそれぞれ−O−、−S−または−NR100−(R100は水素原子または置換基を表し、該置換基としては後述の置換基Tとして挙げたものが適用できる。R100として好ましくはアルキル基、前述のRf、または水素原子であり、更に好ましくは水素原子である)である。LA2およびLA3としてより好ましくは−O−、−NH−であり、更に好ましくは−O−である。
【0049】
前記一般式(4−2)中、RA11およびRA12はそれぞれ一般式(4)におけるRA1およびRA2と同義であり、好ましい範囲も同様である。ただし、RA11およびRA12の炭素数の総計は19以下である。
【0050】
上記一般式(4)で表される化合物の中でも、下記一般式(4−3)で表される化合物がより好ましい。
【0051】
一般式(4−3)
【化18】

【0052】
前記一般式(4−3)中、RA13、RA14、RA15、LA1およびY-はそれぞれ上記一般式(4)および上記一般式(4−1)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。AおよびBはそれぞれ独立にフッ素原子または水素原子を表す。AおよびBは共にフッ素原子または水素原子を表すのが好ましく、共にフッ素原子を表すのが好ましい。前記一般式(4−3)中、nA1は1〜6の整数を表し、nA2は3〜8の整数を表す。
【0053】
上記一般式(4)で表される化合物の中でも、下記一般式(4−4)で表される化合物が更に好ましい。
【0054】
一般式(4−4)
【化19】

【0055】
前記一般式(4−4)中、nA1は1〜6のいずれかの整数を、nA2は3〜8のいずれかの整数を表すが、2(nA1+nA2)は19以下である。RA13、RA14、RA15、LA1およびY-はそれぞれ上記一般式(4)および上記一般式(4−1)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0056】
A1は1〜6のいずれかの整数を表し、好ましくは1〜3の整数を表し、更に好ましくは2または3を表し、最も好ましくは2である。nA2は3〜8のいずれかの整数を表し、より好ましくは、3〜6であり、更に好ましくは4〜6である。nA1およびnA2の好ましい組み合わせとしては、nA1が2または3で、且つnA2は4または6であるのが好ましい。
【0057】
一般式(4)で表される化合物の好ましい例としては、特開2003−270754号公報の段落番号0077〜0090に記載のものを好ましい例と挙げることができる。この中でも好ましくは、FS−113、114、115、116、119、120)である。
【0058】
一般式(5)
【化20】

(一般式(5)中、RB3、RB4およびRB5はそれぞれ水素原子または置換基を表す。AおよびBはそれぞれフッ素原子または水素原子を表す。nB3およびnB4はそれぞれ4〜8の整数を表す。LB1およびLB2はそれぞれ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基またはこれらを組み合わせてできる2価の連結基を表す。mBは0または1を表す。Mはカチオンを表す。)
【0059】
前記一般式(5)中、RB3、RB4およびRB5はそれぞれ、水素原子または置換基を表す。該置換基として特開2003−270754号公報の段落番号0173〜0176に記載の置換基Tが挙げられ、好ましい範囲もこれらと同義である。
B3、RB4およびRB5としては、好ましくはアルキル基または水素原子であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基または水素原子であり、更に好ましくはメチル基または水素原子であり、特に好ましくは水素原子である。
【0060】
前記一般式(5)中、AおよびBはそれぞれフッ素原子またま水素原子を表す。AおよびBとして好ましくは共にフッ素原子または共に水素原子であり、より好ましくは共にフッ素原子である。
【0061】
前記一般式(5)中、nB3およびnB4はそれぞれ4〜8のいずれかの整数を表す。nB3およびnB4として好ましくは4〜6のいずれかの整数で、かつnB3=nB4であり、より好ましくは、4または6の整数で、かつnB3=nB4であり、更に好ましくはnB3=nB4=4である。
【0062】
前記一般式(5)中、mBは0または1を表し、どちらも同様に好ましい。
【0063】
前記一般式(5)中、LB1およびLB2は各々独立して、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基またはこれらを組み合わせてできる2価基を表す。置換基は特開2003−270754号公報の段落番号0173〜0176に記載の置換基Tが挙げられ、好ましい範囲もこれらと同義である。
B1およびLB2はそれぞれ、炭素数が4以下であるのが好ましく、また、無置換アルキレンであるのが好ましい。
【0064】
Mはカチオンを表し、上記一般式(1)におけるMと同義である。Mとして好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンであり、より好ましくは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンである。更に好ましくはナトリウムイオンである。
【0065】
上記一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(5−1)で表される化合物が好ましい。
【0066】
一般式(5−1)


【化21】

【0067】
前記一般式(5−1)中、RB3、RB4、RB5、nB3、nB4、mB、A、BおよびMは、上記一般式(5)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。nB1およびnB2はそれぞれ独立に1〜6のいずれかの整数を表す。
【0068】
前記一般式(5−1)中、nB1およびnB2はそれぞれ独立に1〜6のいずれかの整数を表す。nB1およびnB2は1〜6の整数で、かつnB1=nB2であるのが好ましく、2または3で、かつnB1=nB2であるのがより好ましく、nB1=nB2=2であるのが更に好ましい。
【0069】
上記一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(5−2)で表される化合物がより好ましい。
【0070】
一般式(5−2)
【化22】

【0071】
前記一般式(5−2)中、nB3、nB4、mBおよびMは上記一般式(5)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。前記一般式(5−2)中、nB1およびnB2は一般式(5−1)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0072】
上記一般式(5)で表される化合物としては、より好ましくは下記一般式(5−3)で表される化合物である。
【0073】
一般式(5−3)
【化23】

【0074】
前記一般式(5−3)中、nB5は2または3を表し、nB6は4〜6のいずれかの整数を表す。mBは0または1を表し、どちらも同様に好ましい。Mは上記一般式(5)におけるMと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。
【0075】
一般式(5)で表される化合物としては、特開2003−270754号公報の段落番号0115〜0119に記載の化合物を好ましい例としてあげることができる。この中でも好ましくは、(FS−201、202、204、207、219、220、222、223)である。
【0076】
支持体と、該支持体上の同一面上に設けられた、少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層および少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、前記支持体の感光性ハロゲン化銀乳剤層が設けられている面側に、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種と、一般式(2)および一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種と、フッ素系界面活性剤と、固体分散染料とを含むことを特徴とする。特に好ましくは、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または前記非感光性親水性コロイド層に一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種と、一般式(2)および一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種と、フッ素系界面活性剤とが含まれるのが好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の好ましい態様としては、最外層に非感光性の親水性コロイド層を有し、該最外層が上記一般式(1)〜(3)で表される化合物、フッ素系界面活性剤を含有する態様が挙げられる。
最外層には、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物と、フッ素系界面活性剤とを含有する水性塗布組成物を、支持体の上方に塗布することによって形成できる。ここで、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物およびフッ素系界面活性剤は、いずれも1種類のみを単独で用いてもよいし、また2種類以上を混合して用いてもよい。また、それらの成分とともに、他の界面活性剤を用いてもよい。併用可能な界面活性剤としては、他のアニオン系、カチオン系、他のノニオン系の各種界面活性剤を挙げることができる。また併用する界面活性剤は、高分子界面活性剤であってもよい。併用する界面活性剤としては、他のアニオン系もしくは他のノニオン系活性剤がより好ましい。併用可能な界面活性剤としては、例えば特開昭62−215272号公報(649〜706頁)、リサーチ・ディスクロージャ(RD)Item17643,26〜27頁(1978年12月)、同18716,650頁(1979年11月),同307105,875〜876頁(1989年11月)等に記載の界面活性が挙げられる。
【0077】
前記水性塗布組成物中に含まれていてもよい他の成分としては、例えば、特開2003−270754号公報の段落番号0178〜0179に記載のものを採用できる。
前記水性塗布組成物中における上記一般式(1)〜(3)で表される化合物およびフッ素系界面活性剤の濃度については特に制約はなく、用いる化合物の構造やその用途、水性組成物中に含まれる素材の種類や量、および媒体の構成等に応じて、その使用量を任意に決定することができる。
好ましくは支持体に対し、一般式(1)で表される化合物は、1〜100mg/m2であり、より好ましくは5〜30mg/m2である。一般式(2)および/または(3)で表される化合物は、合計で、好ましくは1〜100mg/m2であり、より好ましくは1〜30mg/m2である。一般式(4)および/または(5)で表される化合物は、合計で、好ましくは0.1〜20g/m2であり、より好ましくは0.2〜5mg/m2である。
【0078】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、前記水性塗布組成物の1種または2種以上を、支持体の上方に塗布して作製することができる。前記塗布組成物の塗布方式としては、特に制限されず、スライドビード塗布方式、スライドカーテン塗布方式、エクストルージョンカーテン塗布方式およびエクストルージョンビード塗布方式のいずれであってもよい。中でも、スライドビード塗布方式が好ましい。
【0079】
以下、本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる種々の材料や装置等については、例えば、特開2003−270754号公報の段落番号0182〜0215に記載のものを採用できる。具体的には、乳剤については、特開2003−270754号公報の段落番号0182〜0211の記載のものを採用できる。特に、本発明で用いるハロゲン化銀粒子には、化学増感を施してもよく、例えば、特開2003−270754号公報の段落番号0197〜0202に記載に従って行うことができる。
【0080】
乳剤ならびにその乳剤を用いた写真感光材料に使用することができる層配列等の技術、ハロゲン化銀乳剤、色素形成カプラー、DIRカプラー等の機能性カプラー、各種の添加剤等、および現像処理については、欧州特許第0565096A1号(1993年10月13日公開)およびこれに引用された特許に記載されている。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0082】
実施例1
特開平7−225447号公報の段落番号0133〜0150に記載の実施例1において、界面活性剤および乳剤を下記のとおり変えた他は同様に行った。
【0083】
すなわち、特開平7−225447号公報の段落番号0141において、保護層の界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを本願一般式(1)に該当する化合物に、化合物−8を本願一般式(2)または(3)に該当する化合物に、化合物−9を以下に示すフッ素系界面活性剤に変えて行った。具体的には、表1に示したとおりである。
【0084】
乳剤
64℃に保たれた表1の1液に2液と3液を攪拌しながらpAg8.3になるようにコントロールしながら20分かけて添加し、続いて表1の4液、5液をpAg7.6になるようにコントロールしながら30分間添加し、最終的に平均粒径0.3μm、平均沃度含量1モル%の単分散立方体沃臭化銀乳剤を得た(変動係数8%)。その後、下記化合物を使用しフロキュレーション法によって水洗し、ゼラチンを加えた後、pHを6.8、pAgを9.5に調製し、その後、銀1モル当りチオ硫酸ナトリウム2.8mg、塩化金酸4.6mgとチオシアン酸カリウム36mgとベンゼンチオスルホン酸ソーダ10.2mgを添加し、65℃で最適感度となるように化学増感を行った。さらに安定剤として2−メチル−4−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラザインデン500mg、防腐剤としてフェノキシエタノールを100mg添加し、沃臭化銀立方体乳剤Aを得た。
【0085】
【化24】

【0086】
【表1】

【0087】
界面活性剤
本発明界面活性剤(1)(本発明(1)) C10H21-O-(CH2CH2O)n-(CH2)4-SO3Na n:平均2
本発明界面活性剤(2)(本発明(2)) C12H25O-(CH2CH(OH)CH2O)10-H
本発明界面活性剤(3)(本発明(3)) 下記化合物
【化25】

本発明界面活性剤(4)(本発明(4))下記化合物
【化26】

比較界面活性剤(1)(比較(1))C8H17-ph-(OCH2CH2)n-SO3Na n=2〜4
比較界面活性剤(2)(比較(2))CH3-ph-O(CH2CH2O)20-H
【0088】
その結果は表2に示した。ここで、評価(ハジキ)は、5段階評価で示し、5が最も良く4以上が実用範囲内である。また、表2中の「−」は、該化合物を添加していないことを示している。
【0089】
【表2】

【0090】
表2に示すとおり、本発明の一般式(1)〜(3)に該当する化合物およびフッ素系界面活性剤を採用することにより(No.5および6)、ハジキが好ましい結果となった。
一方、フッ素系界面活性剤を用いなかった場合(No.3)や一般式(2)および(3)で表される化合物を用いなかった場合(No.4)等は、はじきの評価が実用範囲外の低いものとなった。
【0091】
実施例2
特開平7−168324号公報の段落番号0170〜0193に記載の実施例1において、界面活性剤を本発明の界面活性剤に変更して行った。すなわち、特開平7−168324号公報の段落番号の段落番号0174に記載の保護上層のN−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピルグリシンポタジウムを上記本発明界面活性剤(3)に、上記ドデシルベンゼンスルホン酸を本発明界面活性剤(1)に、それぞれ、同量となるよう置き換え、更に上記本発明界面活性剤(2)を20mg/m2追加して実験した。この結果、実施例1と同様の結果(ハジキが5)を得られた。
【0092】
実施例3
特開平7−219096号公報の段落番号0016〜0031に記載の実施例1において、同公報の段落番号0025および0026に記載の表面保護層の化合物F−13を上記本発明界面活性剤(1)に変更し、さらに同段落番号0025および0026に記載のF−14を特開2003−270754号公報のFS−113(段落番号0079)に変え、量を5mg/m2とした。更に上記本発明界面活性剤(2)を20mg/m2追加した。さらに、乳剤層と支持体の間に実施例1の固体分散染料を含む染色層を設けた。この結果、実施例1と同様の結果(ハジキが5)を得られた。
【0093】
実施例4
特開平4−161949号公報の13頁右上14行〜15頁左下16行の実施例1において、同公報14頁左上に記載された最上層界面活性剤のうち下から2つ目の方のものを、上記本発明界面活性剤(1)13mg/m2とし、下から1つ目を本発明(2)に変更し、100mg/m2フッ素界面活性剤を本発明(3)0.8mg/m2に変更し、さらに、乳剤層と支持体の間に実施例1の固体分散染料を含む染色層を設けた。この結果、実施例1と同様の結果(ハジキが5)を得られた。
【0094】
実施例5
特開平5−165137号公報の段落番号0076〜0085に記載の実施例1において、同公報の段落番号0080の表1に記載の保護層の2種の界面活性剤を、本発明界面活性剤(1)60mg/m2および(3)7mg/m2に変更し、更に上記本発明界面活性剤(2)を20mg/m2追加して感光材料を作製した。さらに、乳剤層と支持体の間に実施例1の固体分散染料を含む染色層を設けた。この結果、実施例1と同様の結果(ハジキが5)が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上より、ハロゲン化銀写真感光材料において、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)および(3)で表される化合物の少なくとも1種、フッ素系界面活性剤を採用することにより、ハジキが改善されることが分かった。
従って、固体分散染料を使用するハロゲン化銀写真感光材料に好ましく利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上の同一面上に設けられた、少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層と少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層とを有し、かつ、前記支持体の感光性ハロゲン化銀乳剤層および前記非感光性親水性コロイド層が設けられている面側に、固体分散染料と、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式(2)および一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種と、フッ素系界面活性剤とを含むハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R1は炭素数6〜25のアルキル基またはアルケニル基を表し、m1は2〜4のいずれかの整数を表し、n1は0〜30のいずれかの整数を表し、aは0または1を表す。Z1はOSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。)
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R2 は、炭素数1〜40の脂肪族基を表し、A2は、アリーレン基を表し、X2は2価の連結基を表し、Gは、
【化3】

を表し、Y2は水素原子、−(CH2CH2O)i−H(iは1〜500の整数を表す)またはアニオン性基を表し、t2は0または1を表し、m2は1〜50の整数を表す。)
一般式(3)
【化4】

(一般式(3)中、R3 は炭素数1〜40の脂肪族基を表し、A3はアリーレン基を表し、X3 は酸素原子、または−(OCH2CH2)j−O −(jは1〜500の整数を表す)で表される基を表し、Gは、
【化5】

を表し、Y3 は水素原子、−(CH2CH2O)i−H(iは1〜500の整数を表す)またはアニオン性基を表す。t3は0または1を表し、m3は1〜50の整数を表す。)
【請求項2】
前記フッ素系界面活性剤が下記一般式(4)および/または(5)で表される化合物である請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(4)
【化6】

(一般式(4)中、RA1およびRA2はそれぞれ置換もしくは無置換のアルキル基を表し、かつ、RA1およびRA2の少なくとも1つはフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。RA3、RA4およびRA5はそれぞれ水素原子または置換基を表し、LA1、LA2およびLA3はそれぞれ単結合または2価の連結基を表し、X+はカチオン性の置換基を表す。Y-は対アニオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合にはY-はなくてもよい。mAは0または1である。)
一般式(5)
【化7】

(一般式(5)中、RB3、RB4およびRB5はそれぞれ水素原子または置換基を表す。AおよびBはそれぞれフッ素原子または水素原子を表す。nB3およびnB4はそれぞれ4〜8の整数を表す。LB1およびLB2はそれぞれ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基またはこれらを組み合わせてできる2価の連結基を表す。mBは0または1を表す。Mはカチオンを表す。)