ハンディモップ
【課題】 ヘッドを反転させることによって拭布の両面を清掃に使用することができ、かつ、上記ヘッドの反転操作が容易であると共に、該ヘッドを反転した2位置に係止させるための係止機構が簡単なハンディモップを得る。
【解決手段】 両面が塵埃拭取用の払拭面1a,1bである拭布1と、該拭布内部の取付孔12内に把手20の先端のヘッド21を差し込むことによって該拭布1を装着する構成のモップ本体2とからなり、上記ヘッド21は、基端の連結部23を把手20の先端の取付部22に軸線Lの回りで回転自在なるように連結され、上記連結部23には、係止用の突子27aを備えた2つの係止弾片27が設けられ、上記把手20の取付部22には、上記突子27aが係合する2つの係止孔28が形成されていて、これらの突子27aと係止孔28との弾力的な係合によって上記ヘッド21が上下反転した2つの回転位置で把手20に係止可能である。
【解決手段】 両面が塵埃拭取用の払拭面1a,1bである拭布1と、該拭布内部の取付孔12内に把手20の先端のヘッド21を差し込むことによって該拭布1を装着する構成のモップ本体2とからなり、上記ヘッド21は、基端の連結部23を把手20の先端の取付部22に軸線Lの回りで回転自在なるように連結され、上記連結部23には、係止用の突子27aを備えた2つの係止弾片27が設けられ、上記把手20の取付部22には、上記突子27aが係合する2つの係止孔28が形成されていて、これらの突子27aと係止孔28との弾力的な係合によって上記ヘッド21が上下反転した2つの回転位置で把手20に係止可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片手に持って清掃対象部位の塵埃の拭き取りを行うハンディモップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のハンディモップとして、従来より、特許文献1に記載のものが知られている。このハンディモップは、塵埃を拭き取るための拭布と、この拭布を装着するためのモップ本体とからなるもので、該モップ本体の先端の二股状をした差込板を拭布の上面の挿入用隙間内に挿入することにより、この拭布をモップ本体に取り付け、その状態で清掃を行うものである。
拭布が汚れて清掃機能が低下すると、新たな拭布と交換することになるが、該拭布は片面しか使えないため、汚れのひどい部分を清掃する際には、短い周期で頻繁に拭布を交換しなければならず、効率が悪い。
【0003】
一方、拭布の両面を清掃に使用する例として、特許文献2には、扁平なシート取付部材に筒状の払拭シートを被着し、該シート取付部材に取り付けた柄を回転させてこのシート取付部材を上下反転させることにより、上記払拭シートの上下両面を清掃に使用するようにしたモップが開示されている。
【0004】
しかし、このモップの場合には、丸棒をクランク形に曲げたような柄を任意の回転位置で固定できるようにするために、例えば、柄のシート取付部材に対する連結部分をナットで外側から締め付けたり緩めたりするような固定機構が用いられており、柄を固定するための構成が複雑である。
【特許文献1】特開2003−265391号公報
【特許文献2】特開平8−89465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の目的は、拭布の両面を清掃に使用することができ、かつ、該拭布の両面を使い分ける際のヘッドの反転操作が容易であると共に、該ヘッドを必要な向きに係止させるための係止機構が簡単であるハンディモップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、両面が塵埃拭取用の払拭面である拭布と、該拭布内部の取付孔内に先端のヘッドを差し込むことによって該拭布を装着するように構成されたモップ本体とからなるハンディモップが提供される。上記モップ本体は、握持用の把手と、基端の連結部が該把手先端の取付部に前後方向の軸線の回りで回転自在なるように連結された上記ヘッドとにより形成され、上記ヘッドの連結部には、上記軸線を挟んで相反する位置に2つの係止弾片が設けられると共に、各係止弾片にそれぞれ係止用の突子が形成され、また、上記把手先端の取付部には、上記軸線を挟んで相反する位置に上記突子が係合する2つの係止孔が形成されていて、これらの突子と係止孔との弾力的な係合によって上記ヘッドが上下反転した2つの回転位置で把手に係止可能である。
【0007】
本発明においては、上記把手における取付部の前端面が横長の平面に形成され、この前端面の左右両端部に上記係止孔が形成されており、また、上記ヘッドの連結部は、横幅が上記把手前端面の横幅より短く形成されていて、該連結部の左右両側からは、該連結部よりも薄肉且つ細幅の平板状をした上記係止弾片が上記前端面に沿うように延出し、該前端面の端部の上記係止孔の位置まで延びていることが望ましい。
【0008】
本発明において好ましくは、上記ヘッドが、二股状に分岐して前方に延出する左右2つの細長くかつ弾力性のある分岐アームを有することである。
この場合、上記分岐アームが上下面方向に波付けされることにより、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗が高められていることが望ましい。
また、上記分岐アームは、板面が上下方向を向く細幅の板状をなしていて、各分岐アームの周縁に上下両面側に突出する縁枠が形成されていても良い。
あるいは、上記分岐アームが、先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されると共に、ヘッド全体が基端側から先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されていても構わない。
さらには、上記分岐アームの上下両面に、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗を高めるための突起が形成されていても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モップ本体のヘッドを回転させて上下反転させるだけで拭布の両面を清掃に使用することができ、その際、上記ヘッドを単に軸線の回りに回転させるだけで良く、その他の操作を必要としないので、該ヘッドの反転操作が容易である。
また、上記ヘッドの連結部に、反転のための回転中心軸線を挟んで相反する位置に2つの係止弾片を設けると共に、把手先端の取付部に2つの係止孔を形成し、上記ヘッドを上下反転させた際に2つの係止弾片の突子が2つの係止孔に弾力的に係合することによって該ヘッドがそれら2つの位置に係止するようにしたので、該ヘッドを係止させるための機構が非常に簡単で、それぞれの位置での係止も確実に行われ、従来品のようにナットを緩めたり締め付けたりする操作を一切必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図3は本発明に係るハンディモップの好ましい一実施形態を示すもので、このハンディモップは、塵埃を拭き取るための拭布1と、この拭布1を交換可能に取り付けるためのモップ本体2とからなっている。
【0011】
上記拭布1は、不織布からなる長方形状の布部材10を長手方向の中央位置で2つに折り重ね、上下に重合する布部分10a,10aを該拭布1の長手方向に延びる3本の接着ライン11に沿って縫着や溶着等の手段で相互に結合、一体化したもので、その平面視形状は角部の丸い略長方形をなし、該拭布1の上下両面が塵埃拭取用の払拭面1a,1bとなっている。該拭布1の内部には、上記3本の接着ライン11によってそれらの間を該拭布1の長手方向に延びる2つの取付孔12,12が区画、形成されている。これらの取付孔12は、拭布1の長手方向の一端に開口し、この開口を通じて両取付孔12,12内にモップ本体2のヘッド21に形成された2つの分岐アーム31,31を挿入することにより、該拭布1を上記モップ本体2に装着するものである。
なお、上記拭布1は、別々に形成された2枚の布部材を上下に重ね合わせ、これらの布部材を相互に結合することによっても形成することができる。
【0012】
上記布部材10は、1枚の不織布で形成しても良いが、図示したように、複数の不織布10A,10Bを重合して形成することもできる。このように複数の不織布を使用する場合は、繊維密度や繊維の絡合形態あるいは厚さ等が異なる不織布を併用することにより、拭布1に適度の柔軟性やボリューム感を持たせることができる。
【0013】
上記モップ本体2は、図4〜図6に示すように、合成樹脂製の握持用把手20と、拭布1を装着するための合成樹脂製の上記ヘッド21とにより形成されている。上記把手20は、先端側がやや下向きに屈曲した形に形成されていて、その先端に横長のやや扁平な形をした取付部22が形成され、この取付部22に上記ヘッド21の基端の連結部23が、図7及び図8に示すように、枢軸24によって前後方向(ヘッドの長手方向)の軸線Lの回りに回転自在なるように連結されている。この枢軸24は、上記連結部23の後端面中央部から上記軸線Lに沿って延出し、把手20の取付部22に形成された支持孔25内に回転自在に挿入されている。また、この枢軸24の端部は、軸線方向のスリット24bによって複数の係止部片24aに分割され、これらの係止部片24aが上記支持孔25の孔縁に弾力的に係止している。
【0014】
図中26は、上記枢軸24の内部に取り付けられたねじであって、上記係止部片24aの支持孔25に対する係止力を調整することによってヘッドの回転操作力を調節すると同時に、上記係止部片24aの内側への変形を規制することで枢軸24が支持孔25から抜け出すのを防止するためのものである。
【0015】
上記把手20の取付部22の前端面22aは横長の平面をなし、この前端面22aに上記ヘッド21の連結部23の後端面が近接して対面している。この連結部23の横方向長さ(横幅)は、上記取付部22の横方向長さ(横幅)より短く形成され、該連結部23の左右両側の位置からは、該連結部23よりも薄肉かつ細幅の平板状をした2つの係止弾片27,27が、上記前端面22aに近接した位置を該前端面22aに沿って互いに相反する方向に延出し、該前端面22aの左右両端部寄りの位置まで延びている。従って、ヘッド21の上記連結部23と2つの係止弾片27,27とを加えた全体の横幅が、把手20における上記取付部22の前端面22aの横幅とほぼ等しいことになる。
【0016】
上記2つの係止弾片27,27の先端部には、半球状をした係止用の突子27a,27aが上記前端面22a側に向けて突出するように形成され、これに対して該前端面22aの左右両端部寄りの位置には、これらの突子27a,27aが弾力的に係合する2つの係止孔28,28が形成されている。これら2つの係止弾片27,27及び突子27a,27aと、2つの係止孔28,28とは、それぞれ、上記軸線Lを挟んで相互に相反する位置に対称に配設されている。
【0017】
従って、図10に中間の回転状態を示すように上記ヘッド21を軸線Lの回りに回転させると、該ヘッド21の向きが上下反転した2つの回転位置において、それぞれ、上記2つの係止弾片27,27の突子27a,27aが2つの係止孔28,28に弾力的に係合し、180度向きが異なるこれら2つの回転位置で該ヘッド21が把手20に係止することになる。
【0018】
上記ヘッド21は、上記連結部23と、この連結部23から延出して上記把手20の取付部22とほぼ同等の横幅を有するように広がる基部30と、この基部30から二股状に分岐して前方に延出する細長くかつ弾力性のある左右2つの分岐アーム31,31とを有している。これらの分岐アーム31,31は、板面が上下方向を向く細幅の板状をなすもので、これらの板状をした2つの分岐アーム31,31と上記基部30とにより、ヘッド21全体が、左右に幅広で中間に長手方向の溝21aを備えたプレートのような平面視形状を有している。上記各分岐アーム31,31は、先端側に向けて次第に幅狭かつ薄肉になると共に、先端部31aが丸い円弧状をなすように形成されており、これに伴ってヘッド21全体の横幅も、基部30側から先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されている。また、各分岐アーム31,31及び基部30の周縁には、そのほぼ全周にわたり、上下両面方向に突出する縁枠32が形成されている。
ヘッドをこのような形に形成することにより、取付孔へ挿入する際の初期挿入を容易にすることができる。
【0019】
さらに、上記各分岐アーム31は、上下両面方向に波付けされることにより、上記拭布1の取付孔12に対する挿入抵抗が高められている。これは、取付孔12からの抜け出しに対する抵抗(抜け出し抵抗)が高められていることと同じことである。この波付けは、図6から分かるように、分岐アーム31の上下両面に山33aと谷33bとからなる波形の凹凸を形成することによって行われるが、その波形は、正弦波のような滑らかな弧状の波形であっても、矩形波や三角波の角を丸めたような波形であっても良い。
【0020】
上記波形における山33aの高さ及びピッチは、上記分岐アーム31を拭布1の取付孔12内に挿入することができかつ抜け出し抵抗を高めることができる範囲内で適宜設定すれば良く、例えば山33aの高さについては、分岐アーム31の実際の厚さ(縁枠32の高さ)tに対し、波付けにより増大した見掛けの厚さ(縁枠32の位置での上下の山の頂上間の間隔)Tが、約1.2〜1.5倍程度となるように設定するのが一般的である。しかし、上記拭布1及びヘッド21の形態や規模等によってこの数値の最適値が相違することはあり得る。
【0021】
かくして分岐アーム31を上下面方向に波付けすることにより、該分岐アーム31を拭布1の取付孔12内へ挿入したとき、波の山33aの部分が該取付孔12の上下両孔面に圧接し、摩擦力によって該孔面に係止するため、抜けにくくなる。
【0022】
また、上記2つの分岐アーム31,31の上下両面には、拭布1の取付孔12に対するアームの抜け出し抵抗をより高めるための突起34がそれぞれ形成されている。この突起34は、分岐アーム31の前後方向に細長く延びる円弧状をした突起であって、該分岐アーム31の基端部寄りの上下相対する位置に、円弧を上又は下に凸をなすように向けて配設され、分岐アーム31を取付孔12内へ挿入したとき、該取付孔12の上下両孔面に圧接するものである。
【0023】
上記構成を有するハンディモップは、拭布1の内部に形成された2つの取付孔12,12内に、モップ本体2のヘッド21に形成された2つの分岐アーム31,31を挿入することにより、図1に示すように拭布1をモップ本体2に装着し、この拭布1の一方の払拭面1aで床や家具などの清掃対象に付着した塵埃を拭き取る。このとき、上記モップ本体2においては、ヘッド21の連結部23に形成した2つの係止弾片27,27の突子27a,27aが、把手20先端の取付部22に形成した2つの係止孔28,28に弾力的に係止することにより、該ヘッド21が、ヘッド面を上下方向に向けた状態に保持されている。
【0024】
清掃時の払拭抵抗等によって上記拭布1にヘッド21から脱落する方向の力が作用しても、波付けされた上記分岐アーム31,31が取付孔12,12の上下両孔面に強く圧接することによって該取付孔12,12からの抜け出し抵抗が高められているため、該拭布1がヘッド21から抜け落ちることはない。このときの抜け出し抵抗は、2つの分岐アーム31,31にそれぞれ上記突起34を形成することによってさらに高められている。
【0025】
拭布1の一方の払拭面1aが汚れて清掃機能が低下すると、上記ヘッド21を軸線Lの回りに180度回転させることによって拭布1を上下反転させ、該拭布1の反対側の払拭面1bを使用して清掃する。このとき、上記2つの係止弾片27,27も軸線L回りに180回動して互いの位置が左右入れ代わり、新たな位置でそれぞれの突子27a,27aが係止孔28,28に係止することにより、上記ヘッド21が上下反転した位置に自動的に固定されることになる。
従って、上記ヘッド21を単に軸線Lの回りに180度回転させるだけで良く、従来品のように固定用のナットを緩めたり締め付けたりするといったような操作を一切必要としないから、該ヘッド21の反転操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るハンディモップの好ましい一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の断面図である。
【図4】モップ本体の斜視図である。
【図5】モップ本体の平面図である。
【図6】モップ本体の側面図である。
【図7】把手とヘッドとを分離した状態の要部を示す部分拡大断面図である。
【図8】図5におけるA−A線での断面図である。
【図9】図5におけるB−B線での断面図である。
【図10】ヘッドを回転させる途中の状態を示すモップ本体の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
L 軸線
1 拭布
2 モップ本体
12 取付孔
20 把手
21 ヘッド
22 取付部
22a 前端面
23 連結部
27 係止部片
27a 突子
28 係止孔
31 分岐アーム
32 縁枠
34 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、片手に持って清掃対象部位の塵埃の拭き取りを行うハンディモップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のハンディモップとして、従来より、特許文献1に記載のものが知られている。このハンディモップは、塵埃を拭き取るための拭布と、この拭布を装着するためのモップ本体とからなるもので、該モップ本体の先端の二股状をした差込板を拭布の上面の挿入用隙間内に挿入することにより、この拭布をモップ本体に取り付け、その状態で清掃を行うものである。
拭布が汚れて清掃機能が低下すると、新たな拭布と交換することになるが、該拭布は片面しか使えないため、汚れのひどい部分を清掃する際には、短い周期で頻繁に拭布を交換しなければならず、効率が悪い。
【0003】
一方、拭布の両面を清掃に使用する例として、特許文献2には、扁平なシート取付部材に筒状の払拭シートを被着し、該シート取付部材に取り付けた柄を回転させてこのシート取付部材を上下反転させることにより、上記払拭シートの上下両面を清掃に使用するようにしたモップが開示されている。
【0004】
しかし、このモップの場合には、丸棒をクランク形に曲げたような柄を任意の回転位置で固定できるようにするために、例えば、柄のシート取付部材に対する連結部分をナットで外側から締め付けたり緩めたりするような固定機構が用いられており、柄を固定するための構成が複雑である。
【特許文献1】特開2003−265391号公報
【特許文献2】特開平8−89465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の目的は、拭布の両面を清掃に使用することができ、かつ、該拭布の両面を使い分ける際のヘッドの反転操作が容易であると共に、該ヘッドを必要な向きに係止させるための係止機構が簡単であるハンディモップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、両面が塵埃拭取用の払拭面である拭布と、該拭布内部の取付孔内に先端のヘッドを差し込むことによって該拭布を装着するように構成されたモップ本体とからなるハンディモップが提供される。上記モップ本体は、握持用の把手と、基端の連結部が該把手先端の取付部に前後方向の軸線の回りで回転自在なるように連結された上記ヘッドとにより形成され、上記ヘッドの連結部には、上記軸線を挟んで相反する位置に2つの係止弾片が設けられると共に、各係止弾片にそれぞれ係止用の突子が形成され、また、上記把手先端の取付部には、上記軸線を挟んで相反する位置に上記突子が係合する2つの係止孔が形成されていて、これらの突子と係止孔との弾力的な係合によって上記ヘッドが上下反転した2つの回転位置で把手に係止可能である。
【0007】
本発明においては、上記把手における取付部の前端面が横長の平面に形成され、この前端面の左右両端部に上記係止孔が形成されており、また、上記ヘッドの連結部は、横幅が上記把手前端面の横幅より短く形成されていて、該連結部の左右両側からは、該連結部よりも薄肉且つ細幅の平板状をした上記係止弾片が上記前端面に沿うように延出し、該前端面の端部の上記係止孔の位置まで延びていることが望ましい。
【0008】
本発明において好ましくは、上記ヘッドが、二股状に分岐して前方に延出する左右2つの細長くかつ弾力性のある分岐アームを有することである。
この場合、上記分岐アームが上下面方向に波付けされることにより、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗が高められていることが望ましい。
また、上記分岐アームは、板面が上下方向を向く細幅の板状をなしていて、各分岐アームの周縁に上下両面側に突出する縁枠が形成されていても良い。
あるいは、上記分岐アームが、先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されると共に、ヘッド全体が基端側から先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されていても構わない。
さらには、上記分岐アームの上下両面に、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗を高めるための突起が形成されていても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モップ本体のヘッドを回転させて上下反転させるだけで拭布の両面を清掃に使用することができ、その際、上記ヘッドを単に軸線の回りに回転させるだけで良く、その他の操作を必要としないので、該ヘッドの反転操作が容易である。
また、上記ヘッドの連結部に、反転のための回転中心軸線を挟んで相反する位置に2つの係止弾片を設けると共に、把手先端の取付部に2つの係止孔を形成し、上記ヘッドを上下反転させた際に2つの係止弾片の突子が2つの係止孔に弾力的に係合することによって該ヘッドがそれら2つの位置に係止するようにしたので、該ヘッドを係止させるための機構が非常に簡単で、それぞれの位置での係止も確実に行われ、従来品のようにナットを緩めたり締め付けたりする操作を一切必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図3は本発明に係るハンディモップの好ましい一実施形態を示すもので、このハンディモップは、塵埃を拭き取るための拭布1と、この拭布1を交換可能に取り付けるためのモップ本体2とからなっている。
【0011】
上記拭布1は、不織布からなる長方形状の布部材10を長手方向の中央位置で2つに折り重ね、上下に重合する布部分10a,10aを該拭布1の長手方向に延びる3本の接着ライン11に沿って縫着や溶着等の手段で相互に結合、一体化したもので、その平面視形状は角部の丸い略長方形をなし、該拭布1の上下両面が塵埃拭取用の払拭面1a,1bとなっている。該拭布1の内部には、上記3本の接着ライン11によってそれらの間を該拭布1の長手方向に延びる2つの取付孔12,12が区画、形成されている。これらの取付孔12は、拭布1の長手方向の一端に開口し、この開口を通じて両取付孔12,12内にモップ本体2のヘッド21に形成された2つの分岐アーム31,31を挿入することにより、該拭布1を上記モップ本体2に装着するものである。
なお、上記拭布1は、別々に形成された2枚の布部材を上下に重ね合わせ、これらの布部材を相互に結合することによっても形成することができる。
【0012】
上記布部材10は、1枚の不織布で形成しても良いが、図示したように、複数の不織布10A,10Bを重合して形成することもできる。このように複数の不織布を使用する場合は、繊維密度や繊維の絡合形態あるいは厚さ等が異なる不織布を併用することにより、拭布1に適度の柔軟性やボリューム感を持たせることができる。
【0013】
上記モップ本体2は、図4〜図6に示すように、合成樹脂製の握持用把手20と、拭布1を装着するための合成樹脂製の上記ヘッド21とにより形成されている。上記把手20は、先端側がやや下向きに屈曲した形に形成されていて、その先端に横長のやや扁平な形をした取付部22が形成され、この取付部22に上記ヘッド21の基端の連結部23が、図7及び図8に示すように、枢軸24によって前後方向(ヘッドの長手方向)の軸線Lの回りに回転自在なるように連結されている。この枢軸24は、上記連結部23の後端面中央部から上記軸線Lに沿って延出し、把手20の取付部22に形成された支持孔25内に回転自在に挿入されている。また、この枢軸24の端部は、軸線方向のスリット24bによって複数の係止部片24aに分割され、これらの係止部片24aが上記支持孔25の孔縁に弾力的に係止している。
【0014】
図中26は、上記枢軸24の内部に取り付けられたねじであって、上記係止部片24aの支持孔25に対する係止力を調整することによってヘッドの回転操作力を調節すると同時に、上記係止部片24aの内側への変形を規制することで枢軸24が支持孔25から抜け出すのを防止するためのものである。
【0015】
上記把手20の取付部22の前端面22aは横長の平面をなし、この前端面22aに上記ヘッド21の連結部23の後端面が近接して対面している。この連結部23の横方向長さ(横幅)は、上記取付部22の横方向長さ(横幅)より短く形成され、該連結部23の左右両側の位置からは、該連結部23よりも薄肉かつ細幅の平板状をした2つの係止弾片27,27が、上記前端面22aに近接した位置を該前端面22aに沿って互いに相反する方向に延出し、該前端面22aの左右両端部寄りの位置まで延びている。従って、ヘッド21の上記連結部23と2つの係止弾片27,27とを加えた全体の横幅が、把手20における上記取付部22の前端面22aの横幅とほぼ等しいことになる。
【0016】
上記2つの係止弾片27,27の先端部には、半球状をした係止用の突子27a,27aが上記前端面22a側に向けて突出するように形成され、これに対して該前端面22aの左右両端部寄りの位置には、これらの突子27a,27aが弾力的に係合する2つの係止孔28,28が形成されている。これら2つの係止弾片27,27及び突子27a,27aと、2つの係止孔28,28とは、それぞれ、上記軸線Lを挟んで相互に相反する位置に対称に配設されている。
【0017】
従って、図10に中間の回転状態を示すように上記ヘッド21を軸線Lの回りに回転させると、該ヘッド21の向きが上下反転した2つの回転位置において、それぞれ、上記2つの係止弾片27,27の突子27a,27aが2つの係止孔28,28に弾力的に係合し、180度向きが異なるこれら2つの回転位置で該ヘッド21が把手20に係止することになる。
【0018】
上記ヘッド21は、上記連結部23と、この連結部23から延出して上記把手20の取付部22とほぼ同等の横幅を有するように広がる基部30と、この基部30から二股状に分岐して前方に延出する細長くかつ弾力性のある左右2つの分岐アーム31,31とを有している。これらの分岐アーム31,31は、板面が上下方向を向く細幅の板状をなすもので、これらの板状をした2つの分岐アーム31,31と上記基部30とにより、ヘッド21全体が、左右に幅広で中間に長手方向の溝21aを備えたプレートのような平面視形状を有している。上記各分岐アーム31,31は、先端側に向けて次第に幅狭かつ薄肉になると共に、先端部31aが丸い円弧状をなすように形成されており、これに伴ってヘッド21全体の横幅も、基部30側から先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されている。また、各分岐アーム31,31及び基部30の周縁には、そのほぼ全周にわたり、上下両面方向に突出する縁枠32が形成されている。
ヘッドをこのような形に形成することにより、取付孔へ挿入する際の初期挿入を容易にすることができる。
【0019】
さらに、上記各分岐アーム31は、上下両面方向に波付けされることにより、上記拭布1の取付孔12に対する挿入抵抗が高められている。これは、取付孔12からの抜け出しに対する抵抗(抜け出し抵抗)が高められていることと同じことである。この波付けは、図6から分かるように、分岐アーム31の上下両面に山33aと谷33bとからなる波形の凹凸を形成することによって行われるが、その波形は、正弦波のような滑らかな弧状の波形であっても、矩形波や三角波の角を丸めたような波形であっても良い。
【0020】
上記波形における山33aの高さ及びピッチは、上記分岐アーム31を拭布1の取付孔12内に挿入することができかつ抜け出し抵抗を高めることができる範囲内で適宜設定すれば良く、例えば山33aの高さについては、分岐アーム31の実際の厚さ(縁枠32の高さ)tに対し、波付けにより増大した見掛けの厚さ(縁枠32の位置での上下の山の頂上間の間隔)Tが、約1.2〜1.5倍程度となるように設定するのが一般的である。しかし、上記拭布1及びヘッド21の形態や規模等によってこの数値の最適値が相違することはあり得る。
【0021】
かくして分岐アーム31を上下面方向に波付けすることにより、該分岐アーム31を拭布1の取付孔12内へ挿入したとき、波の山33aの部分が該取付孔12の上下両孔面に圧接し、摩擦力によって該孔面に係止するため、抜けにくくなる。
【0022】
また、上記2つの分岐アーム31,31の上下両面には、拭布1の取付孔12に対するアームの抜け出し抵抗をより高めるための突起34がそれぞれ形成されている。この突起34は、分岐アーム31の前後方向に細長く延びる円弧状をした突起であって、該分岐アーム31の基端部寄りの上下相対する位置に、円弧を上又は下に凸をなすように向けて配設され、分岐アーム31を取付孔12内へ挿入したとき、該取付孔12の上下両孔面に圧接するものである。
【0023】
上記構成を有するハンディモップは、拭布1の内部に形成された2つの取付孔12,12内に、モップ本体2のヘッド21に形成された2つの分岐アーム31,31を挿入することにより、図1に示すように拭布1をモップ本体2に装着し、この拭布1の一方の払拭面1aで床や家具などの清掃対象に付着した塵埃を拭き取る。このとき、上記モップ本体2においては、ヘッド21の連結部23に形成した2つの係止弾片27,27の突子27a,27aが、把手20先端の取付部22に形成した2つの係止孔28,28に弾力的に係止することにより、該ヘッド21が、ヘッド面を上下方向に向けた状態に保持されている。
【0024】
清掃時の払拭抵抗等によって上記拭布1にヘッド21から脱落する方向の力が作用しても、波付けされた上記分岐アーム31,31が取付孔12,12の上下両孔面に強く圧接することによって該取付孔12,12からの抜け出し抵抗が高められているため、該拭布1がヘッド21から抜け落ちることはない。このときの抜け出し抵抗は、2つの分岐アーム31,31にそれぞれ上記突起34を形成することによってさらに高められている。
【0025】
拭布1の一方の払拭面1aが汚れて清掃機能が低下すると、上記ヘッド21を軸線Lの回りに180度回転させることによって拭布1を上下反転させ、該拭布1の反対側の払拭面1bを使用して清掃する。このとき、上記2つの係止弾片27,27も軸線L回りに180回動して互いの位置が左右入れ代わり、新たな位置でそれぞれの突子27a,27aが係止孔28,28に係止することにより、上記ヘッド21が上下反転した位置に自動的に固定されることになる。
従って、上記ヘッド21を単に軸線Lの回りに180度回転させるだけで良く、従来品のように固定用のナットを緩めたり締め付けたりするといったような操作を一切必要としないから、該ヘッド21の反転操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るハンディモップの好ましい一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の断面図である。
【図4】モップ本体の斜視図である。
【図5】モップ本体の平面図である。
【図6】モップ本体の側面図である。
【図7】把手とヘッドとを分離した状態の要部を示す部分拡大断面図である。
【図8】図5におけるA−A線での断面図である。
【図9】図5におけるB−B線での断面図である。
【図10】ヘッドを回転させる途中の状態を示すモップ本体の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
L 軸線
1 拭布
2 モップ本体
12 取付孔
20 把手
21 ヘッド
22 取付部
22a 前端面
23 連結部
27 係止部片
27a 突子
28 係止孔
31 分岐アーム
32 縁枠
34 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面が塵埃拭取用の払拭面である拭布と、該拭布内部の取付孔内に先端のヘッドを差し込むことによって該拭布を装着するように構成されたモップ本体とからなり、
上記モップ本体は、握持用の把手と、基端の連結部が該把手先端の取付部に前後方向の軸線の回りで回転自在なるように連結された上記ヘッドとにより形成され、
上記ヘッドの連結部には、上記軸線を挟んで相反する位置に2つの係止弾片が設けられると共に、各係止弾片にそれぞれ係止用の突子が形成され、また、上記把手先端の取付部には、上記軸線を挟んで相反する位置に上記突子が係合する2つの係止孔が形成されていて、これらの突子と係止孔との弾力的な係合によって上記ヘッドが上下反転した2つの回転位置で把手に係止可能であることを特徴とするハンディモップ。
【請求項2】
上記把手における取付部の前端面が横長の平面に形成され、この前端面の左右両端部に上記係止孔が形成されており、
上記ヘッドの連結部は、横幅が上記把手前端面の横幅より短く形成されていて、該連結部の左右両側からは、該連結部よりも薄肉且つ細幅の平板状をした上記係止弾片が上記前端面に沿うように延出し、該前端面の端部の上記係止孔の位置まで延びていることを特徴とする請求項1に記載のハンディモップ。
【請求項3】
上記ヘッドが、二股状に分岐して前方に延出する左右2つの細長くかつ弾力性のある分岐アームを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハンディモップ。
【請求項4】
上記分岐アームが上下面方向に波付けされることにより、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗が高められていることを特徴とする請求項3に記載のハンディモップ。
【請求項5】
上記分岐アームが、板面が上下方向を向く細幅の板状をなしていて、各分岐アームの周縁に上下両面側に突出する縁枠が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のハンディモップ。
【請求項6】
上記分岐アームが、先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されると共に、ヘッド全体が基端側から先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のハンディモップ。
【請求項7】
上記分岐アームの上下両面に、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗を高めるための突起が形成されていることを特徴とする請求項3から6の何れかに記載のハンディモップ。
【請求項1】
両面が塵埃拭取用の払拭面である拭布と、該拭布内部の取付孔内に先端のヘッドを差し込むことによって該拭布を装着するように構成されたモップ本体とからなり、
上記モップ本体は、握持用の把手と、基端の連結部が該把手先端の取付部に前後方向の軸線の回りで回転自在なるように連結された上記ヘッドとにより形成され、
上記ヘッドの連結部には、上記軸線を挟んで相反する位置に2つの係止弾片が設けられると共に、各係止弾片にそれぞれ係止用の突子が形成され、また、上記把手先端の取付部には、上記軸線を挟んで相反する位置に上記突子が係合する2つの係止孔が形成されていて、これらの突子と係止孔との弾力的な係合によって上記ヘッドが上下反転した2つの回転位置で把手に係止可能であることを特徴とするハンディモップ。
【請求項2】
上記把手における取付部の前端面が横長の平面に形成され、この前端面の左右両端部に上記係止孔が形成されており、
上記ヘッドの連結部は、横幅が上記把手前端面の横幅より短く形成されていて、該連結部の左右両側からは、該連結部よりも薄肉且つ細幅の平板状をした上記係止弾片が上記前端面に沿うように延出し、該前端面の端部の上記係止孔の位置まで延びていることを特徴とする請求項1に記載のハンディモップ。
【請求項3】
上記ヘッドが、二股状に分岐して前方に延出する左右2つの細長くかつ弾力性のある分岐アームを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハンディモップ。
【請求項4】
上記分岐アームが上下面方向に波付けされることにより、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗が高められていることを特徴とする請求項3に記載のハンディモップ。
【請求項5】
上記分岐アームが、板面が上下方向を向く細幅の板状をなしていて、各分岐アームの周縁に上下両面側に突出する縁枠が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のハンディモップ。
【請求項6】
上記分岐アームが、先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されると共に、ヘッド全体が基端側から先端側に向けて次第に幅狭をなすように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のハンディモップ。
【請求項7】
上記分岐アームの上下両面に、拭布の取付孔からの抜け出し抵抗を高めるための突起が形成されていることを特徴とする請求項3から6の何れかに記載のハンディモップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−44088(P2007−44088A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228882(P2005−228882)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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