説明

ハンドホールとケーブル保護管の接続構造及び管継手セット並びに管継手接続用短管

【課題】 ハンドホールとケーブル保護管の接続において、作業効率の向上を図ることができるハンドホールとケーブル保護管の接続構造及び管継手セット並びに管継手接続用短管を提供する。
【解決手段】 第1管継手14、第2管継手15、第3管継手16の3種類からなる管継手13は、管継手接続用短管12に接続する短管接続部31と、ケーブル保護管を接続する保護管接続部32とを具備する。第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16は、径違いのケーブル保護管に対応するべく準備されたものであり、それぞれ保護管接続部32が径違いとされている。一方、管継手接続用短管12の径は統一化されており、これに伴って、第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16の短管接続部31は、同径とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ケーブル等を地中に埋設する際に使用するハンドホールとケーブル保護管の接続構造及び管継手セット並びに管継手接続用短管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線ケーブル、通信ケーブル等のケーブル類は、ケーブル保護管内に挿通された状態で地中に埋設されるようになっている。また、該ケーブル保護管は、ケーブル類の点検、引入れ、引抜き、接続等といった保守作業を行うため、箱状をなすハンドホールと接続されている。そして、該ケーブル保護管は、該ハンドホールに対し、管継手を使用して接続されるようになっている。
該管継手として、例えば特許文献1に示されるケーブル保護管の地中箱取付具が挙げられる。この取付具は、外周面上に段差面を有するコネクタからなり、該コネクタの取付時において、該段差面がハンドホールの側壁面に接するように構成されている。また、該取付具は、該コネクタとともにスリーブを具備する場合がある。該スリーブにはフランジが形成されており、該フランジと、該コネクタの段差面との間に該ハンドホールの側壁が挟み込まれるようになっている。
他に該管継手として、例えば特許文献2に示される管継手が挙げられる。この管継手は、雄ねじ継手片と、雌ねじ継手片とからなる。そして、これら雄ねじ継手片および雌ねじ継手片をハンドホール(特許文献2には「ケーシング」と記載)の内外から挿設し、互いに螺着してハンドホールを挟み込むことにより、管継手が取り付けられる。
【特許文献1】実用新案登録第2556208号公報
【特許文献2】特開2001−57731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記ケーブル保護管には、ケーブル類の径、種類、本数等に対応するために径違いのものが複数存在しており、これら径違いのケーブル保護管に応じて径違いの管継手を使用し、さらに管継手の径に応じて接続孔の大きさを変える必要がある。その結果、ハンドホールの出荷時に決められた大きさの接続孔を形成しておくことができず、作業現場で接続孔を形成しなければならないため、作業効率の向上を図りづらいという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、作業効率の向上を図ることができるハンドホールとケーブル保護管の接続構造及び管継手セット並びに管継手接続用短管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造の発明は、ハンドホールの周壁に複数個の同径の接続孔を設け、該接続孔に管継手接続用短管を挿着し、該管継手接続用短管に該ハンドホールの外側から管継手を接続したうえで、該管継手にケーブル保護管を接続した構成において、該管継手は、該管継手接続用短管に接続する短管接続部と、該ケーブル保護管を接続する保護管接続部とを具備するものであり、該短管接続部が該管継手用短管の径に対応する径に設定されており、該保護管接続部が該ケーブル保護管の径に対応する径に設定されているとともに、該管継手は、該ケーブル保護管の径違いのものに対応した径に設定されている保護管接続部を有するものが複数個準備されており、複数個の管継手のなかから接続されるケーブル保護管の径に対応する径の保護管接続部を有する管継手を選択して、その選択した管継手を該管継手接続用短管に接続して、該管継手に該ケーブル保護管を接続したことを要旨とする。
【0005】
上記構成によれば、ハンドホールの周壁に設けられた複数個の接続孔が同径であるため、該接続孔に挿着される管継手接続用短管の径を統一化することができる。一方、複数個の管継手は、保護管接続部の径を異ならせることで径違いのケーブル保護管に対応することができ、また短管接続部の径が同径とされることで径を統一化された管継手接続用短管に対応することができる。従って、作業現場においては、例えば径違いの接続孔を形成する等のような煩雑な作業を行わずとも、複数個の管継手のなかからの選択という極めて単純な作業で径違いのケーブル保護管に対応することができる。その結果、ハンドホールとケーブル保護管の接続における作業効率が向上することとなる。
【0006】
請求項2に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造の発明は、請求項1に記載の発明において、該管継手接続用短管のハンドホール内側端は、ベルマウス状に形成されていることを要旨とする。
上記構成によれば、管継手接続用短管のハンドホール内側端を、ハンドホールの周壁の内面に接触させることができる。
【0007】
請求項3に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、該管継手において、該短管接続部と、該保護管接続部との境界部にはフランジが形成されており、該ハンドホールに挿着された該管継手接続用短管に該管継手を接続した状態で、該フランジが該ハンドホールの周壁外面に密接していることを要旨とする。
上記構成によれば、管継手接続用短管と管継手の間にハンドホールの周壁を確実に挟み込むことができる。
【0008】
請求項4に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、該管継手において、該短管接続部と、該保護管接続部との境界部は段差状に形成されており、該ハンドホールに挿着された該管継手接続用短管に該管継手を接続した状態で、段差状をなす該境界部が該ハンドホールの周壁外面に密接していることを要旨とする。
上記構成によれば、管継手接続用短管と管継手の間にハンドホールの周壁を確実に挟み込むことができる。
【0009】
請求項5に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造の発明は、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の発明において、該ハンドホールに設けられた複数個の接続孔のうちの1個又は複数個を選択して該管継手用短管を挿着し、該管継手接続用短管に該管継手を接続し、更に該管継手にケーブル保護管を接続して、該管継手用短管が挿着されておらず余りとなった1個又は複数個の接続孔にはキャップを挿着して閉鎖することを要旨とする。
上記構成によれば、作業現場で接続孔を形成する必要が無く、作業効率が良好であり、また余った接続孔からハンドホール内にコンクリート、土砂等が入り込むことを抑制することができる。
【0010】
請求項6に記載の管継手セットの発明は、管継手接続用短管と、該管継手接続用短管に接続されるとともにケーブル保護管が接続される管継手とによって構成される管継手セットにおいて、該管継手は、管継手接続用短管の径に対応する径を有する短管接続部と、径違いのケーブル保護管に対応する径を有する保護管接続部とを具備した複数種から選択された何れか1種であることを要旨とする。
上記構成によれば、複数種の管継手のなかからの選択という極めて単純な作業で、径が統一化された管継手接続用短管に対応しつつ、径違いのケーブル保護管に対応することができ、径違いのケーブル保護管に対応することができる。その結果、ハンドホールとケーブル保護管の接続における作業効率が向上することとなる。
【0011】
請求項7に記載の管継手セットの発明は、請求項6に記載の発明において、該短管接続部と該保護管接続部との境界部において、該境界部が段差状に形成されている、あるいは該境界部にフランジが形成されていることを要旨とする。
上記構成によれば、ハンドホール、マンホール等といった管継手セットの取付対象に対し、フランジあるいは境界部を該取付対象の周壁外面に密接させることができるため、管継手接続用短管と管継手の間に取付対象の周壁を確実に挟み込むことができる。
【0012】
請求項8に記載の管継手接続用短管の発明は、一定の径を有する短管接続部と、径違いのケーブル保護管に対応する径を有する保護管接続部とを具備した複数種からなる管継手が接続される管継手接続用短管であって、前記管継手の前記短管接続部が接続される接続部を具備しており、該接続部は、前記保護管接続部の径違いに係わらず、前記短管接続部の径に対応する所定の径としたことを要旨とする。
上記構成によれば、径違いのケーブル保護管に対応するべく複数個の管継手接続用短管を準備する必要がないため、管継手接続用短管の径を統一化することが可能であり、該管継手接続用短管の生産性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハンドホールとケーブル保護管の接続において、作業効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明のハンドホールとケーブル保護管の接続構造を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、ハンドホールとケーブル保護管の接続構造について概略構成を説明する。
ハンドホールとケーブル保護管の接続構造は、該ハンドホールに対し、管継手接続用短管及び管継手を介して該ケーブル保護管を接続することによって構成されるものである。すなわち、図1に示すように、ハンドホール10は、上面が開放された四角箱状に形成されている。ハンドホール10の周壁には、接続孔11が透設されている。該接続孔11には、管継手接続用短管12が該ハンドホール10の内側から挿着されている。該接続孔11に挿着された状態の管継手接続用短管12には、3種類の管継手13である第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16から選択される何れか1種が、該ハンドホール10の外側から接続されるようになっている。そして、ケーブル保護管(図示略)は、該管継手接続用短管12に第1管継手14、第2管継手15又は第3管継手16の何れか1本の管継手13を接続したうえで、該管継手13に接続されるようになっている。
【0015】
なお、上記ハンドホール10は、上面を地面に向けた状態とし、さらにその開放された上面が地面で開口するようにして、地中に埋設されている。特に図示はしないが、ハンドホール10の開放された上面は、蓋体を用いることで閉塞されるようになっている。そして、第1管継手14、第2管継手15又は第3管継手16と、管継手接続用短管12と、ケーブル保護管とは、ハンドホール10とともに地中に埋設されている。
また、上記接続孔11は、管継手接続用短管12及び管継手13が挿着されるまで、あるいは管継手接続用短管12及び管継手13が挿着されない場合、該接続孔11を介してハンドホール10内部へ土石、土砂等が入り込むことを抑制するため、閉塞されている。すなわち、ハンドホール10の周壁には、複数個の接続孔形成部11aが設けられており、該接続孔形成部11aを打ち抜く、くり抜く等して除去することにより、接続孔11が開放されるようになっている。複数個の接続孔形成部11aは、全てが同径の円形状となるように形成されており、かくして接続孔形成部11aから形成される複数個の接続孔11は、全てが同径となるように形成されることとなる。
ここで、上記「複数個の同径の接続孔11」等のように、本明細書中に記載の「同径」の意味は、対象Aの径RAと該対象Aの比較対象Bの径RBとが厳密に同じ(RA=RB)であることのみならず、若干の差はあるものの略同じ(RA≒RB)であることを含むものとする。
【0016】
次に、上記管継手接続用短管12について詳細な構成を説明する。
図2(a)には、図中の一点鎖線を境界として、下半部に管継手接続用短管12の側面図を示し、上半部に管継手接続用短管12の側断面図を示す。図2(b)には、図中の一点鎖線を境界として、左半部に管継手接続用短管12の背面図を示し、右半部に管継手接続用短管12の正面図を示す。また、管継手接続用短管12は、その一端である図2(a)中の左側端をハンドホール内側端とし、他端である右端端をハンドホール外側端として、ハンドホール10の接続孔11に挿着されるものとする。
該管継手接続用短管12は、円筒状をなす短管本体21を有している。該短管本体21の一端部は、その内径が一端に向かうにつれて拡径されることにより、ベルマウス状に形成されている。該短管本体21の一端の外周面上には、短管用フランジ22が形成されている。該短管本体21の他端部において、その内部には、一端部に比べて内径が拡げられることにより、上記管継手を接続するための接続部23が設けられている。そして、該接続部23の内周面と、一端部の内周面との境界には、段差部24が形成されている。
【0017】
次に、上記3種類の管継手13の中の第1管継手14について詳細な構成を説明する。
図3(a)には、図中の一点鎖線を境界として、左半部に第1管継手14の背面図を示し、右半部に第1管継手14の正面図を示す。図3(b)には、図中の一点鎖線を境界として、下半部に第1管継手14の側面図を示し、上半部に第1管継手14の側断面図を示す。また、第1管継手14は、その一端である図3(b)中の左側端をハンドホール内側端とし、他端である右端端をハンドホール外側端として、上記管継手接続用短管12に接続されるものとする。
該第1管継手14は、上記管継手接続用短管12に接続するための短管接続部31と、上記ケーブル保護管を接続するための保護管接続部32とを具備している。該短管接続部31は、円筒状に形成されている。この短管接続部31は、上記管継手用短管12の径に対応する径とするべく、その外径が上記管継手用短管12の接続部23の内径と同径に設定されている。従って、該短管接続部31は、上記管継手用短管12の接続部23内に挿入できるように構成されている。
【0018】
該保護管接続部32は、円筒状に形成されており、その他端には、該保護管接続部32の内部へケーブル保護管を挿入しやすくするため、ベルマウス状をなす保護管挿入部33が設けられている。この保護管接続部32は、上記ケーブル保護管の径に対応する径とするべく、その外径及び内径ともに該短管接続部31よりも大きくなるように設定されている。また、該保護管接続部32と該短管接続部31との境界部には接続部34が設けられており、該保護管接続部32の一端が該接続部34を介して該短管接続部31の他端に繋がっている。この接続部34は、保護管接続部32及び短管接続部31の径の違いに対応するべく、保護管接続部32側へ向かうにつれて拡径する筒状に形成されている。そして、該接続部34を設けることにより、短管接続部31の外周面と保護管接続部32の外周面との境界部は、段差状をなしている。なお、短管接続部31、保護管接続部32、保護管挿入部33及び接続部34は、一体成形されることにより、第1管継手14を構成している。
【0019】
次に、上記3種類の管継手13の中の第2管継手15について詳細な構成を説明する。なお、第2管継手15の構成については、上記第1管継手14の構成と異なる点を中心に説明する。
図4(a)には、図中の一点鎖線を境界として、左半部に第2管継手15の背面図を示し、右半部に第2管継手15の正面図を示す。図4(b)には、図中の一点鎖線を境界として、下半部に第2管継手15の側面図を示し、上半部に第2管継手15の側断面図を示す。また、第2管継手15は、その一端である図4(b)中の左側端をハンドホール内側端とし、他端である右端端をハンドホール外側端として、上記管継手接続用短管12に接続されるものとする。
該第2管継手15は、上記管継手接続用短管12に接続するための短管接続部31と、上記ケーブル保護管を接続するための保護管接続部32とを具備している。短管接続部31は、上記管継手用短管12の径に対応する径とするべく、その外径が上記管継手用短管12の接続部23の内径と同径に設定されており、上記管継手用短管12の接続部23内に挿入できるように構成されている。保護管接続部32の他端には、ベルマウス状をなす保護管挿入部33が設けられている。保護管接続部32の一端は、該短管接続部31の他端に対し、接続部34を介して繋がっている。
【0020】
該短管接続部31の一端には、挿着補助部35が第2管継手15の軸線方向に向かって突設されている。この挿着補助部35は、その内径が短管接続部31と同径となり、外径が短管接続部31よりも小さくなるように設定されており、上記管継手接続用短管12の段差部24よりもさらに内奥(ハンドホール内側端)へ挿入されるようになっている。該保護管接続部32は、上記第1管継手14に接続されるケーブル保護管よりも小径のケーブル保護管に対応する径とするべく、上記第1管継手14の保護管接続部32よりも小さな径に設定されている。加えて、該保護管接続部32は、その外径及び内径ともに、該短管接続部31よりもわずかに大きくなるように設定されている。
該短管接続部31と、該保護管接続部32との境界部である接続部34の外周面上には、フランジ36が該第2管継手15の径方向に延設されている。このフランジ36は、上記ハンドホール10の接続孔11に挿着された管継手接続用短管12に対し、該第2管継手15を接続した状態で、該ハンドホール10の周壁外面に密接されるように構成されている。なお、短管接続部31、保護管接続部32、保護管挿入部33、接続部34、挿着補助部35及びフランジ36は、一体成形されることにより、第2管継手15を構成している。
【0021】
次に、上記3種類の管継手13の中の第3管継手16について詳細な構成を説明する。なお、第3管継手16の構成については、上記第1管継手14及び上記第2管継手15の構成と異なる点を中心に説明する。
図5(a)には、図中の一点鎖線を境界として、左半部に第3管継手16の背面図を示し、右半部に第3管継手16の正面図を示す。図5(b)には、図中の一点鎖線を境界として、下半部に第3管継手16の側面図を示し、上半部に第3管継手16の側断面図を示す。また、第3管継手16は、その一端である図5(b)中の左側端をハンドホール内側端とし、他端である右端端をハンドホール外側端として、上記管継手接続用短管12に接続されるものとする。
該第3管継手16は、上記管継手接続用短管12に接続するための短管接続部31と、上記ケーブル保護管を接続するための保護管接続部32とを具備している。短管接続部31は、上記管継手用短管12の径に対応する径とするべく、その外径が上記管継手用短管12の接続部23の内径と同径に設定されており、上記管継手用短管12の接続部23内に挿入できるように構成されている。短管接続部31の一端には、挿着補助部35が突設されており、該挿着補助部35は、上記管継手接続用短管12の段差部24よりもさらに内奥(ハンドホール内側端)へ挿入されるようになっている。接続部34の外周面上には、フランジ36が形成されており、該フランジ36は、上記管継手接続用短管12に該第3管継手16を接続した状態で、該ハンドホール10の周壁外面に密接されるように構成されている。
【0022】
該保護管接続部32は、上記第2管継手15に接続されるケーブル保護管よりもさらに小径のケーブル保護管に対応する径とするべく、上記第2管継手15の保護管接続部32よりも小さな径に設定されている。加えて、該保護管接続部32は、その外径が該短管接続部31よりも小さくなるように設定されている。一方、該短管接続部31は、該保護管接続部32に比べ、その周壁が厚肉とされている。このため、該保護管接続部32は、その内径が該短管接続部31よりも大きくなるように設定されている。また、挿着補助部35の内周面は、ハンドホール10の内側から保護管接続部32の内部へケーブル類を挿入しやすくするため、ベルマウス状に形成されている。
【0023】
次に、管継手セットについて説明する。
管継手セットは、上記管継手接続用短管12と、上記の第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16からなる3種類の管継手13から選択された何れか1種とによって構成されている。3種類の管継手13において、第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16は、前述のように、それぞれ保護管接続部32の内径が異なるように設定されている。また、3種類の管継手13において、第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16は、前述のように、それぞれ短管接続部31の外径が同径になるように設定されている。一方、管継手接続用短管12は、接続部23の内径が、第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16の短管接続部31の外径と同径に設定されているため、3種類の管継手13の保護管接続部32の径違いに係わらず、接続部23の内径が統一化されている。そして、該管継手セットは、管継手接続用短管12と、ケーブル類に対応して選択されたケーブル保護管の径に対応する管継手13とを組み合わせて使用されるようになっている。
なお、上記のような管継手セットとすることに限らず、例えば径違いのケーブル保護管を複数種使用するような現場であれば、上記第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16の3種類で管継手セットを構成するとともに、使用する管継手13の個数に合わせて管継手接続用短管12のみで短管セットを構成してもよい。すなわち、現場への搬入時等において、必ずしも管継手接続用短管12と管継手13とで管継手セットを構成する必要はなく、管継手接続用短管12のみからなる短管セット、あるいは3種類の管継手13のうち何れか1種又は2種以上を組み合わせた管継手セットとしてもよい。
【0024】
次に、上記ケーブル保護管について説明する。
ケーブル保護管は、電線ケーブル、通信ケーブル等のケーブル類を保護するためのものであり、その内部に該ケーブル類が挿通されるように構成されている。該ケーブル保護管は、ケーブル類の径、種類、本数等に対応するため、径違いのものが複数種類準備されている。そして、該ケーブル保護管は、作業現場において該ケーブル類に対応するものが複数種類のなかから適宜選択され、使用されるようになっている。
【0025】
次に、上記ハンドホール10に対する管継手の接続手順について説明する。なお、該接続手順の説明においては、3種類の管継手を代表して第1管継手14を挙げて説明する。
図6には、ハンドホール10に管継手である第1管継手14を接続する状態において、図中の一点鎖線を境界として、下半部に側面図を示し、上半部に側断面図を示す。図7には、ハンドホール10に管継手である第1管継手14を接続した状態において、図中の一点鎖線を境界として、下半部に側面図を示し、上半部に側断面図を示す。
【0026】
さて、ハンドホール10に第1管継手14を接続する場合、まずハンドホール10の周壁において上記接続孔形成部11aを開放して接続孔11を形成する。次いで、図6に示したように、ハンドホール10の内側から該接続孔11に管継手接続用短管12を挿着する。この後、接続孔11に挿着された状態とされた管継手接続用短管12の接続部23内に、第1管継手14の短管接続部31を嵌挿する。そして、短管接続部31と保護管接続部32との境界部である第1管継手14の接続部34と、管継手接続用短管12の短管用フランジ22とでハンドホール10の周壁を挟み込む。この状態で、接続部34の外周面がハンドホール10の周壁外面に密接されるとともに、該管継手接続用短管12に該第1管継手14が接続されることとなる。なお、短管接続部31の一端と段差部24との間には、第1管継手14の接続部34と、管継手接続用短管12の短管用フランジ22とでハンドホール10の周壁を好適に挟み込むため、隙間41が設けられている(図7参照)。
その後、図7に示したように、接続部34の外周面とハンドホール10の周壁の外面との間に接着剤42を塗布し、第1管継手14をハンドホール10に接着することにより、ハンドホール10に対する第1管継手14の接続が完了する。そして、図7中に2点鎖線で示したように、ハンドホール10に接着された第1管継手14の内部に、保護管挿入部33から、ケーブル保護管43が挿入され、該第1管継手14にケーブル保護管43が接続される。
【0027】
上記管継手の接続においては、使用するケーブル保護管43に対応するものとして、管継手13のなかから第1管継手14が予め選択されている。また、管継手13において、第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16は、前述のように、それぞれ短管接続部31の外径が同径に設定されている。従って、管継手接続用短管12としては、1種類の共通したサイズのものを準備すればよく、何れの管継手13も接続可能となっている。このため、例えば上記ケーブル保護管43よりも小径のケーブル保護管を使用する等の場合、第1管継手14を第2管継手15又は第3管継手16に交換することでケーブル保護管43のサイズ変更に簡易かつ十分に対応することができ、作業効率が向上する。なお、特に図示はしないが、第2管継手15又は第3管継手16を管継手接続用短管12に接続する場合、第2管継手15又は第3管継手16のフランジ36と、管継手接続用短管12の短管用フランジ22とでハンドホール10の周壁を挟み込むこととなる。また、接着剤42は、ハンドホール10の周壁外面に密接されたフランジ36に対し、該フランジ36が該接着剤42の内部に埋まり、覆われるように塗布される。
【0028】
上記のように、第1管継手14、第2管継手15及び第3管継手16は、接続孔11に管継手接続用短管12が挿着されたうえで、該管継手接続用短管12の内部に短管接続部31を挿入することにより、該管継手接続用短管12に接続されるものである。このため、接続孔11は、その内径を管継手接続用短管12の外径に対応させて設定することにより、ケーブル保護管を接続するための管継手を接続するという機能を十分に発揮することが可能であり、その内径を管継手の短管接続部31の径に対応させて設定するまでは至らない。この結果、管継手接続用短管12と同様に、接続孔11を1種類の共通サイズとすることが可能であり、複数個の接続孔11を同径とすることができるようになる。さらに、複数個の接続孔11を同径とする場合、作業現場において径違いの接続孔11を逐一透設する必要もなく、上記ハンドホール10に同径の接続孔形成部11aを設けておくのみで事足りる。従って、ハンドホール10に予め同径の接続孔形成部11a又は同径の接続孔11を設けておくことも可能であり、作業現場において径違いの接続孔11を逐一透設する必要が無い分、作業効率が向上する。
【0029】
(第2実施形態)
以下、本発明のハンドホールとケーブル保護管の接続構造を具体化した第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、これ以降の各実施形態においては、前記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図8(a)には、第2実施形態のハンドホール10において、図中の一点鎖線を境界として、下半部に側面図を示し、上半部に側断面図を示す。図8(b)には、第2実施形態のハンドホール10に管継手接続用短管12を接続する状態において、図中の一点鎖線を境界として、下半部に側面図を示し、上半部に側断面図を示す。
【0030】
第2実施形態のハンドホール10において、その周壁には接続孔11が予め透設されている。なお、この接続孔11は、工場等においてハンドホール10を製造する際に形成されたものである。この接続孔11には、キャップ50が挿着されている。該キャップ50は、本体筒51と、該本体筒51の一方の開口を閉塞する蓋板52とからなる。該本体筒51は、その外径が接続孔11と同径に設定されている。蓋板52は、その周縁部が本体筒51の外周面よりも外方へ突出するように形成されている。そして、本体筒51を接続孔11に挿入し、該接続孔11にキャップ50を挿着した状態で、蓋板52の周縁部は、ハンドホール10の周壁外面に密接されるようになっている。
【0031】
上記キャップ50は、ハンドホール10の外側から接続孔11に挿着される。複数個の接続孔11のうちの1個又は複数個を選択して管継手用短管12を挿着する場合、該キャップ50が取り外され、接続孔11が開放される。また、管継手用短管12が挿着されず、余りとなった1個又は複数個の接続孔11は、キャップ50を挿着したままの状態とすることにより、閉鎖される。接続孔11を閉鎖するキャップ50については、ハンドホール10の外側から接続孔11に挿着されていることから、土圧等によって蓋板52の周縁部がハンドホール10の周壁外面に圧接されており、接続孔11からキャップ50脱着されて該接続孔11が開放されることを抑制することができる。そして、該キャップ50を使用することにより、作業現場等で接続孔11を形成する作業を省略することができるため、作業効率が向上する。
【0032】
(第3実施形態)
図9(a)〜(d)には、順番に、第3実施形態における管継手用短管12、第1管継手14、第2管継手15、第3管継手16をそれぞれ示す。なお、各図中においては、一点鎖線を境界として、下半部に側面図を示し、上半部に側断面図を示す。図10には、ハンドホール10に、第3実施形態の第1管継手14を接続した状態において、図中の一点鎖線を境界として、下半部に側面図を示し、上半部に側断面図を示す。
【0033】
管継手用短管12については、短管本体21の他端部21aが、該管継手用短管12の軸線方向へ延長されている。該短管本体21の他端部21aは、該管継手用短管12が接続孔11に挿着された状態で、接続孔11からハンドホール10の外部へ突出するようになっている。
【0034】
第1管継手14、第2管継手15、第3管継手16については、短管接続部31の内径が上記管継手用短管12の短管本体21の外径と同径に設定されている。従って、該短管接続部31は、その内部に上記管継手用短管12の短管本体21を挿入できるように構成されている。また、短管接続部31の一端には、フランジ36が形成されており、該フランジ36は、ハンドホール10の周壁外面に密接されるようになっている。また、第2管継手15、第3管継手16については、強度維持を目的として、接続部34の外周面上にリブ34aが形成されている。
【0035】
さて、ハンドホール10に上記第1管継手14を接続する場合、まず管継手接続用短管12の短管本体21をハンドホール10の内側から接続孔11に挿入するとともに、該管継手接続用短管12の短管用フランジ22をハンドホール10の周壁内面に密接させ、該管継手接続用短管12を接続孔11に挿着する。このように管継手接続用短管12が接続孔11に挿着された状態において、短管本体21の他端部21aは、接続孔11よりもハンドホール10の外部へ突出している。この後、短管本体21の他端部21aに第1管継手14の短管接続部31を外嵌しつつ、フランジ36をハンドホール10の周壁外面に密接させることにより、該フランジ36と短管用フランジ22とでハンドホール10の周壁を挟み込む。この状態で、該管継手接続用短管12に該第1管継手14が接続されることとなる。その後、図10に示したように、接着剤42を塗布し、該フランジ36を該接着剤42で覆うことにより、該第1管継手14がハンドホール10に接着される。なお、特に図示はしないが、第2管継手15又は第3管継手16を管継手接続用短管12に接続する場合も同様にして行われる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ハンドホールに管継手を接続する状態を示す斜視図。
【図2】(a)は第1実施形態の管継手接続用短管を側方から見た状態を示す半断面図、(b)は第1実施形態の管継手接続用短管の正面図及び背面図。
【図3】(a)は第1実施形態の第1管継手の正面図及び背面図、(b)は第1実施形態の第1管継手を側方から見た状態を示す半断面図。
【図4】(a)は第1実施形態の第2管継手の正面図及び背面図、(b)は第1実施形態の第2管継手を側方から見た状態を示す半断面図。
【図5】(a)は第1実施形態の第3管継手の正面図及び背面図、(b)は第1実施形態の第3管継手を側方から見た状態を示す半断面図。
【図6】第1実施形態の管継手接続用短管に第1管継手を接続する状態の半断面図。
【図7】第1実施形態の管継手接続用短管に第1管継手を接続した状態の半断面図。
【図8】(a)は第2実施形態のキャップを側方から見た状態を示す半断面図、(b)はキャップを接続孔から取り外す状態を示す半断面図。
【図9】(a)は第3実施形態の管継手接続用短管を側方から見た状態を示す半断面図、(b)は第3実施形態の第1管継手を側方から見た状態を示す半断面図、(c)は第3実施形態の第2管継手を側方から見た状態を示す半断面図、(d)は第3実施形態の第3管継手を側方から見た状態を示す半断面図。
【図10】第3実施形態の管継手接続用短管に第1管継手を接続した状態を示す半断面図。
【符号の説明】
【0037】
10…ハンドホール、11…接続孔、12…管継手接続用短管、13…管継手、14…管継手としての第1管継手、15…管継手としての第2管継手、16…管継手としての第3管継手、31…短管接続部、32…保護管接続部、36…フランジ、50…キャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドホールの周壁に複数個の同径の接続孔を設け、該接続孔に管継手接続用短管を挿着し、該管継手接続用短管に該ハンドホールの外側から管継手を接続したうえで、該管継手にケーブル保護管を接続した構成において、
該管継手は、該管継手接続用短管に接続する短管接続部と、該ケーブル保護管を接続する保護管接続部とを具備するものであり、該短管接続部が該管継手用短管の径に対応する径に設定されており、該保護管接続部が該ケーブル保護管の径に対応する径に設定されているとともに、
該管継手は、該ケーブル保護管の径違いのものに対応した径に設定されている保護管接続部を有するものが複数個準備されており、複数個の管継手のなかから接続されるケーブル保護管の径に対応する径の保護管接続部を有する管継手を選択して、その選択した管継手を該管継手接続用短管に接続して、該管継手に該ケーブル保護管を接続したことを特徴とするハンドホールとケーブル保護管の接続構造。
【請求項2】
該管継手接続用短管のハンドホール内側端は、ベルマウス状に形成されている請求項1に記載のハンドホールとケーブル保護管との接続構造。
【請求項3】
該管継手において、該短管接続部と、該保護管接続部との境界部にはフランジが形成されており、該ハンドホールに挿着された該管継手接続用短管に該管継手を接続した状態で、該フランジが該ハンドホールの周壁外面に密接している請求項1又は請求項2に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造。
【請求項4】
該管継手において、該短管接続部と、該保護管接続部との境界部は段差状に形成されており、該ハンドホールに挿着された該管継手接続用短管に該管継手を接続した状態で、段差状をなす該境界部が該ハンドホールの周壁外面に密接している請求項1又は請求項2に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造。
【請求項5】
該ハンドホールに設けられた複数個の接続孔のうちの1個又は複数個を選択して該管継手用短管を挿着し、該管継手接続用短管に該管継手を接続し、更に該管継手にケーブル保護管を接続して、該管継手用短管が挿着されておらず余りとなった1個又は複数個の接続孔にはキャップを挿着して閉鎖する請求項1から請求項4の何れか一項に記載のハンドホールとケーブル保護管の接続構造。
【請求項6】
管継手接続用短管と、該管継手接続用短管に接続されるとともにケーブル保護管が接続される管継手とによって構成される管継手セットにおいて、
該管継手は、管継手接続用短管の径に対応する径を有する短管接続部と、径違いのケーブル保護管に対応する径を有する保護管接続部とを具備した複数種から選択された何れか1種であることを特徴とする管継手セット。
【請求項7】
該短管接続部と該保護管接続部との境界部において、該境界部が段差状に形成されている、あるいは該境界部にフランジが形成されている請求項6に記載の管継手セット。
【請求項8】
一定の径を有する短管接続部と、径違いのケーブル保護管に対応する径を有する保護管接続部とを具備した複数種からなる管継手が接続される管継手接続用短管であって、 前記管継手の前記短管接続部が接続される接続部を具備しており、該接続部は、前記保護管接続部の径違いに係わらず、前記短管接続部の径に対応する所定の径としたことを特徴とする管継手接続用短管。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate