説明

バッテリー装置、記録装置及び液体噴射装置

【課題】電子機器本体の小型、軽量化に寄与し、片手操作で簡単、確実に電子機器本体に着脱でき、ロック・ロック解除の切り替えと上記着脱操作とを同時に実行できるバッテリー装置を提供する。
【解決手段】本発明のバッテリー装置1は、電子機器本体3の被取付面にバッテリー本体21の後面23を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体21に対して設けられるバッテリーロック機構25によって取付け時にロック状態にしてバッテリー本体21を電子機器本体3に固定することができ、上記バッテリーロック機構25のロック状態とロック解除状態とを切り替える切替えレバーとしての機能と、バッテリー本体21の取付け時及び取外し時において指で摘んでバッテリー本体21を保持することができる保持手段としての機能を併せ持つバッテリーレバー27を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器本体の被取付面にバッテリー本体の後面を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体に対して設けられるバッテリーロック機構によって取付け時においてバッテリーロック機構をロック状態にしてバッテリー本体を電子機器本体に固定することができるバッテリー装置及び該バッテリー装置が装着可能な記録装置に関する。
【0002】
更に本発明はインク等の液体をそのヘッドから吐出(噴射)して被記録材(被液体噴射材)に記録を実行する(液体を付着する)インクジェット式記録装置などの液体噴射装置及び該液体噴射装置の液体噴射装置本体に対して着脱自在に取り付けられるバッテリー装置に関するものである。
【0003】
ここで液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録材に記録を行うプリンタ、プロッタ、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録材に相当する被液体噴射材に噴射して、前記液体を前記被液体噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0004】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【背景技術】
【0005】
携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、あるいはノート型パーソナルコンピュータ等の携帯性を備えた電子機器には電子機器本体に対して着脱自在に取り付けられるバッテリー装置が多く使用されている。また近時は、下記の特許文献1に示すように、持ち運びが可能なポータブルタイプのプリンタも登場して来ており、このようなプリンタにもプリンタ本体に対して着脱自在に取り付けられるバッテリー装置が使用されている。そして、上記電子機器本体には、上記バッテリー装置を電子機器本体に固定するためのバッテリーロック機構が設けられていた。
【0006】
しかし、上記バッテリーロック機構を電子機器本体に対して設けると、バッテリーロック機構の分だけ電子機器本体が重くなり、大型化してしまう。また、従来のバッテリーロック機構は、バッテリー装置のロック、ロック解除の操作と、バッテリー装置の取り付け、取り外しの操作が別々に、独立した操作として行われていたため、バッテリー装置の着脱の際には必ず両手を使用しなければならず煩わしい操作形態となっていた。そこで近時は、バッテリーロック機構をバッテリー装置側に設けるようにしたバッテリー装置や、片手操作で電子機器本体に対して着脱し得るようにしたバッテリー装置が一部では開発されている。
【0007】
しかし、バッテリーロック機構をバッテリー装置側に設けた従来のバッテリー装置は、筐体状のバッテリー本体を直接手で持って電子機器本体に取り付けたり、電子機器本体から取り外していたため、特にバッテリー本体の取外し時においてバッテリー本体が掴み難かった。また、片手操作で電子機器本体に対して着脱し得るようにした従来のバッテリー装置は、電子機器本体の前面側から電子機器本体内へ挿入するようにした前面挿入タイプのバッテリー装置を対象にしており、構造の違う対面設置タイプのバッテリー装置に対してそのまま上記従来のバッテリー装置の構成を適用することは困難とされていた。
【0008】
【特許文献1】特開2002−19229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、このような問題点の存在を踏まえてなされたものであって、電子機器本体の小型、軽量化を可能にし、片手操作でも簡単、確実に電子機器本体に取り付けたり、取り外すことができ、バッテリーロック機構のロックとロック解除の切り替えと、電子機器本体に対する着脱操作を同時に実行することのできる安全で使い勝手の良いバッテリー装置及び該バッテリー装置が装着可能な記録装置等を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様に係るバッテリー装置は、電子機器本体の被取付面にバッテリー本体の後面を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体に対して設けられるバッテリーロック機構によって取付け時においてバッテリーロック機構をロック状態にしてバッテリー本体を電子機器本体に固定することができるバッテリー装置であって、前記バッテリー装置には前記バッテリーロック機構のロック状態とロック解除状態とを切り替える切替えレバーとしての機能と、バッテリー本体の取付け時及び取外し時において指で摘んでバッテリー本体を保持することができる保持手段としての機能を併せ持つバッテリーレバーが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、バッテリー本体に対してバッテリーロック機構を設けているから、バッテリーロック機構の分だけ電子機器本体を小型、軽量化できる。また、バッテリーレバーを設けることによってバッテリーロック機構のロックとロック解除との切り替えを簡単、確実に電子機器本体に対する着脱操作と併せて同時に実行できるようになる。
【0012】
本発明の第2の態様に係るバッテリー装置は、前記第1の態様において、前記バッテリーレバーは、バッテリー本体に対して回動支点によって回動自在に設けられており、バッテリー本体の前面に添わせた状態に倒した格納姿勢と、バッテリー本体の前面に対して手前に起こした起立姿勢とをとることができ、前記バッテリーレバーが格納姿勢にある時が前記バッテリーロック機構がロック状態、前記バッテリーレバーが起立姿勢にある時が前記バッテリーロック機構がロック解除状態になるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、前記第1の態様の作用効果に加えて、比較的簡単な構成によってバッテリー装置を構成することができ、バッテリーレバーの回動操作のみによってバッテリーロック機構のロック状態とロック解除状態とを切り替えることができる。また、バッテリー装置の着脱時にはバッテリーレバーを起こして起立姿勢にすることでバッテリー装置の着脱操作を容易にし、バッテリー装置の使用時にはバッテリーレバーを倒して格納状態にすることでバッテリー装置の外観を損ねることもない。
【0014】
本発明の第3の態様に係るバッテリー装置は、前記第2の態様において、前記バッテリーロック機構は、バッテリー本体の側端面から出没し得るように摺動自在にバッテリー本体に対して設けられているロック部材と、該ロック部材を常時突出方向に付勢している付勢手段と、前記バッテリーレバーの動きを前記ロック部材に伝達する伝達手段とを備えることによって構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、前記第2の態様の作用効果に加えて、バッテリーレバーの格納姿勢と起立姿勢との間の回転運動を所定ストロークのロック部材の直線運動に変換することができる。従って、バッテリーレバーを格納姿勢にした時と、起立姿勢にした時とでロック部材の突出量を可変でき、該突出量の変化によってバッテリーロック機構のロック状態とロック解除状態との切り替えを実行することができる。
【0016】
本発明の第4の態様に係るバッテリー装置は、前記第3の態様において、前記伝達手段は前記バッテリーレバーの回動支点に対して回動自在に設けられた伝達レバーによって構成されており、該伝達レバーは前記バッテリーレバーの基端部に設けられた当接部からの押圧力を受けて回動し、伝達レバーの先端部を前記ロック部材の被当接部に当接させてロック部材を所定の方向に摺動させるようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、前記第3の態様の作用効果に加えて、比較的簡単な構成によって伝達手段を構成することができ、伝達手段の採用によってバッテリーレバーの作用端の長さを必要以上に大きくすることが防止されバッテリー装置の小型化を容易にすることができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係るバッテリー装置は、前記第1〜第4のいずれか1つの態様において、前記バッテリー本体の一方の側端部には電子機器本体側に形成されている係止凹部に係止される係止凸部が設けられており、一方、前記バッテリー本体の他方の側端部には前記バッテリーレバーとバッテリーロック機構とが設けられており、バッテリーロック機構がロック状態にある時、電子機器本体側に形成されている他の係止凹部に前記ロック部材を係止させるようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第5の態様によれば、前記第1〜第4のいずれかの態様の作用効果に加えて、バッテリー本体の左右の両側端部にバッテリーレバーとバッテリーロック機構とを1組ずつ設ける構成に比べてバッテリー装置の構成を簡単にでき、バッテリー装置の小型、軽量化にも寄与し得る。また、係止凸部を支点とするバッテリー本体の回動操作が可能になるから片手操作でも簡単、確実にバッテリー装置の着脱操作を実行できるようになる。
【0020】
本発明の第6の態様に係る記録装置は、記録装置本体を備え、記録装置本体の被取付面にバッテリー本体の後面を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体に対して設けられるバッテリーロック機構によって取付け時においてバッテリーロック機構をロック状態にしてバッテリー本体を記録装置本体に固定することができるバッテリー装置が装着可能な記録装置であって、前記バッテリー装置は前記第1〜第5の態様のいずれか1つの態様のバッテリー装置であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、記録装置本体の小型、軽量化を可能にし、片手操作でも簡単、確実に記録装置本体に取り付けたり、取り外すことができ、バッテリーロック機構のロックとロック解除の切り替えと、記録装置本体に対する着脱操作を同時に実行することのできる安全で使い勝手の良いバッテリー装置が装着可能な記録装置を提供することが可能になる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る液体噴射装置は、液体噴射装置本体を備え、液体噴射装置本体の被取付面にバッテリー本体の後面を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体に対して設けられるバッテリーロック機構によって取付け時においてバッテリーロック機構をロック状態にしてバッテリー本体を液体噴射装置本体に固定することができるバッテリー装置が装着可能な液体噴射装置であって、前記バッテリー装置には前記バッテリーロック機構のロック状態とロック解除状態とを切り替える切替えレバーとしての機能と、バッテリー本体の取付け時及び取外し時において指で摘んでバッテリー本体を保持することができる保持手段としての機能を併せ持つバッテリーレバーが設けられていることを特徴とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本願発明に係るバッテリー装置及び該バッテリー装置が装着可能な電子機器、そして液体噴射装置の一例である記録装置について説明する。最初に本願発明の液体噴射装置、そしてその一例である記録装置を実施するための最良の形態としてインクジェットプリンタ100を採り上げて、その全体構成の概略を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1はカバー部材を拡開した状態のインクジェットプリンタを示す斜め前方からの斜視図、図2はバッテリー装置を取り付けた状態のインクジェットプリンタを示す斜め後方からの斜視図である。また図3はバッテリー装置の取付け途中、あるいは取外し途中のインクジェットプリンタを示す斜め後方からの斜視図である。
【0025】
尚、ここで説明するインクジェットプリンタ100は、例えば4×6インチ以下の被液体噴射材の一例である被記録材P(以下単に用紙Pともいう)を対象にした極めてコンパクトで持ち運びが容易な比較的シンプルな構造のインクジェットプリンタである。また、このインクジェットプリンタ100は、パーソナルコンピュータに接続しなくても直接用紙Pに記録の実行ができる、いわゆるダイレクトプリンタと呼ばれているタイプのインクジェットプリンタである。
【0026】
このインクジェットプリンタ100は、図1〜図3に示すように、角箱状の液体噴射装置本体、記録装置本体の一例であるプリンタ本体3を備えている。プリンタ本体3は、前面、後面、左右の側面及び底面が閉塞された深底容器状のハウジング4と、使用しない状態では、図2、図3に示すようにプリンタ本体3の上面を閉塞し、図1に示す使用時の状態では、給送用トレイ5の上方に張り出した用紙Pの上部を支承するトレイサポートとしても機能するカバー部材6とを備えている。更に、図2、図3に示す使用しない状態において上記カバー部材6の下方に位置し、ハウジング4の開放された上面を閉塞する操作パネル7と、上記ハウジング4の前面の一部を開口し、当該全面開口を閉塞するように開閉自在に設けられている前面カバーを兼ねた排出用スタッカ8と、上記ハウジング4の左右の側板に対して回動自在に接続される門型をした手提げハンドル9とを備えている。
【0027】
また、上記操作パネル7上には、中央に液晶モニタ11、その周囲に各種の操作ボタン12a、12b、12c・・・12nが取り付けられており、操作パネル7の後部には大きく矩形状に切り欠かれた給送用開口13が設けられている。尚、上記液晶モニタ11と操作ボタン12a、12b、12c・・・12nとしては、種々の形状ないし構造のものを採用することが可能である。また、上記給送用開口13は、用紙Pの取込み口になっており、該給送用開口13には複数枚の用紙Pを連続して自動的に給送することができる自動給送ユニット2における給送用トレイ5が臨んでいる。
【0028】
また、上記排出用スタッカ8は、下部の左右のコーナー部に回動支点を備えており、記録実行時には、図1に示すように水平姿勢になるまで手前に回動し、記録が実行され排出されてくる用紙Pを受け取ることができるようになっている。また、このように排出用スタッカ8が拡開した状態では、図1に示すようにハウジング4の前面開口が現れるようになり、当該前面開口の上部に設けられているメモリー挿入口15に対して、デジタルカメラ等で撮影した写真データ等が収録されたメモリーカード等を挿入できるようになっている。
【0029】
また、ハウジング4の後面17のほぼ中央にはハウジング4の後面を一部凹陥させて後述する本発明のバッテリー装置1を受け入れることができるようにする被取付面であるバッテリー収容凹部16が形成されている。尚、バッテリー収容凹部16の左右の側面には図示しない2つの係止凹部が形成されており、これらの係止凹部を利用して、図2、図3に示すようにしてバッテリー装置1の後面23側の一部が上記バッテリー収容凹部16内に収容された状態で、バッテリー装置1はプリンタ本体3の後面17に対面姿勢で装着されるようになっている。
【0030】
[実施例]
次に、このようにして構成されるインクジェットプリンタ100のハウジング4の後面17に取り付けられる本発明のバッテリー装置1の構成と作動態様について図面に基づいて具体的に説明する。
【0031】
図4はバッテリー装置の外観を示す斜視図、図5はバッテリー装置をプリンタ本体の後面に取り付けた状態を示す平断面図(a)と、バッテリー装置の取付け途中あるいは取外し途中の状態を示す平断面図(b)である。また図6はバッテリーロック機構がロック状態にある時のバッテリーレバーとバッテリーロック機構の周辺を拡大して示す平断面図、図7はバッテリーロック機構がロック解除状態にある時のバッテリーレバーとバッテリーロック機構の周片を拡大して示す平断面図である。
【0032】
本発明のバッテリー装置1は、前述したようにプリンタ本体3の後面17にバッテリー装置1のハウジング部材であるバッテリー本体21の後面23を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができる。また、バッテリー本体21内に設けられるバッテリーロック機構25によって、取付け時において、該バッテリーロック機構25をロック状態にしてバッテリー本体21をプリンタ本体3に固定することができるようになっている。そして、バッテリー装置1には本発明の特徴的構成であるバッテリーレバー27が設けられている。該バッテリーレバー27は、上記バッテリーロック機構25のロック状態とロック解除状態とを切り替える切替えレバーとしての機能と、バッテリー本体21の取付け時及び取外し時において指で摘んでバッテリー本体21を保持することができる保持手段としての機能の両方を備えていることを特徴としている。
【0033】
図示の実施例では、バッテリー本体21の一方の側端部29に対してプリンタ本体3側に形成されている一方の係止凹部31に係止される係止凸部33が設けられており、バッテリー本体21の他方の側端部35に対して上述のバッテリーレバー27とバッテリーロック機構25とが設けられている。このうちバッテリーレバー27は、平面視弓状に湾曲した部材で、プリンタ本体3に対して接続される基端部37には回動支点39と、後述する伝達手段の一例である伝達レバー41のレバー基部43を押圧する当接部45とが設けられている。
【0034】
また、上記基端部37から自由端側にかけては2本のレバーアーム47、47が延びており、これら2本のレバーアーム47、47の先端を接続するように正面視コの字状の操作片49が設けられている。そして、バッテリーレバー27は上記回動支点39を中心にして約90°の角度の範囲に亘って回動できるようになっていて、バッテリー本体21の前面51に添わせた状態に倒した図6に示す格納姿勢と、バッテリー本体21の前面51に対して直角に手前に起こした図7に示す起立姿勢とをとることができるように構成されている。また、バッテリーレバー27が格納姿勢にある時が上記バッテリーロック機構25がロック状態、上記バッテリーレバー27が起立姿勢にある時が上記バッテリーロック機構25がロック解除状態になるように設定されている。
【0035】
バッテリーロック機構25は、バッテリー収容凹部16の他方の係止凹部53に係止されるロック部材55と、該ロック部材55を常時突出方向に付勢している付勢手段の一例である圧縮コイルバネ57と、上記バッテリーレバー27の回転方向の動きを、上記ロック部材55の直線方向の動きに変換して伝える伝達手段の一例である伝達レバー41とを備えることによって基本的に構成されている。ロック部材55は、一例として奥行方向Dに偏平な直方体形状をしており、常時バッテリー本体21の内部に位置する基端部には、後述する伝達レバー41の先端部61に当接する被当接部であるフランジ部63が設けられている。
【0036】
また、ロック部材55は、バッテリー本体21の長手方向となる幅方向Wに摺動し得るように構成されており、ロック部材55の先端部がバッテリー本体21の他方の側端部35の端面から最も突出した位置にある時がバッテリーロック機構25がロック状態、ロック部材55の先端部がバッテリー本体21の他方の側端部35の端面から引っ込んだ位置にある時がバッテリーロック機構25がロック解除状態になるように設定されている。
【0037】
伝達レバー41は、上記バッテリーレバー27の回動支点39と一体に設けられ、回動支点39と共に所定の角度回動する回動基部65と、該回動基部65から接線方向に延びるレバー本体67とから構成されている。尚、レバー本体67のうち上記回動基部65側の部分が上記バッテリーレバー27の当接部45に当接するレバー基部43、レバー本体67の自由端側の部分が上記ロック部材55のフランジ部63に当接する先端部61になっている。この他バッテリーロック機構25にはバッテリーロック機構25のロック解除状態を保持するための保持部材69が設けられている。
【0038】
保持部材69は、本実施例では、図7に示すように伝達レバー41の一部の外側面に当接することによって内側に位置する伝達レバー41に対して挟持力を発生させて伝達レバー41の回動を一時的に停止させる作用をする。尚、上記挟持力は圧縮コイルバネ57の付勢力よりも小さめに設定されており、圧縮コイルバネ57の付勢力は上記保持部材69による挟持力とバッテリーレバー27の回動抵抗との合力よりも小さめに設定されている。従って、バッテリーレバー27を図6に示すように格納姿勢になる方向へ回動させない限り、そのままのロック状態を維持できるように構成されている。
【0039】
次に、バッテリー装置1の作動態様を(1)バッテリー装置を取り付ける場合と(2)バッテリー装置を取り外す場合に分けて説明する。
【0040】
(1)バッテリー装置を取り付ける場合(図5、図6、図7参照)
バッテリー装置1をプリンタ本体3の後面17に取り付ける場合には、バッテリーレバー27の操作片49に対して外方から指をかけ、図7に示すように、バッテリーレバー27を起立姿勢にする。そして、レバーアーム47の先端部に設けられている操作片49を指で摘んでバッテリー装置1全体を保持する。次に、図5(b)に示すように、バッテリー本体21の一方の側端部29に対して設けられている係止凸部33をバッテリー収容凹部16の一方の係止凹部31に係止させ、該係止点を中心にしてバッテリー本体21の他方の側端部35側をプリンタ本体3の後面17側に向けて回動させて行く。
【0041】
バッテリー本体21の他方の側端部35における後面23がバッテリー収容凹部16の底面に当接したところで、バッテリーレバー27を、図6に示す格納姿勢方向に回動させる。該バッテリーレバー27の回動によって伝達レバー41のレバー基部43に当接していた当接部45が該レバー基部43から離れるため、伝達レバー41とロック部材55は圧縮コイルバネ57によって外方に押され、ロック部材55は図示のように突出状態になって、他方の係止凹部53に嵌まり、バッテリー装置1の取り付けは完了する。
【0042】
(2)バッテリー装置を取り外す場合(図5、図6、図7参照)
図5(a)に示すように、プリンタ本体3の後面17に取り付けられているバッテリー装置1をプリンタ本体3から取り外す場合には、格納姿勢になっているバッテリーレバー27の操作片49に対して外方から指をかけ、図7に示すようにバッテリーレバー27を起立姿勢にする。そして、レバーアーム47の先端部に設けられている操作片49を指で摘み、図5(b)に示すように、反時計方向にバッテリー本体21の他方の側端部35側を回動させて行き、一方の係止凹部31に係止していた係止凸部33を該係止凹部31から引き抜けば、バッテリー装置1の取り外しは完了する。
【0043】
[他の実施例]
本願発明に係るバッテリー装置1及び該バッテリー装置1が装着可能な記録装置100等は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。例えば、バッテリー装置1の適用対象は、インクジェットプリンタ100等の記録装置や他の液体噴射装置等に限らず、他の種々の電子機器に適用することが可能である。また、バッテリー装置1を取り付ける位置は電子機器本体の後面17に限らず、前面、左右の側面、上面、下面等、電子機器本体の表面の他の面であっても構わない。
【0044】
また、バッテリーレバー27の形状も種々採用でき、操作片の形状もコの字形状に限らず、U字形状、J字形状、リング形状、板形状等種々の形状が採用可能である。また、伝達手段の構成も種々採用でき、前記実施例で採用した伝達レバー41の他、ギヤ列やリンク機構を利用したもの、或いはラックピニオン機構を利用したもの等、種々の構成の伝達手段を採用することが可能である。この他、伝達手段を省略してバッテリーレバー27が直接ロック部材55に作用するように構成することも可能であるし、伝達レバー41の先端部61をロック部材55に対して回動自在に接続することも可能である。また必要に応じて保持部材69を省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】カバー部材を拡開したインクジェットプリンタを示す斜視図。
【図2】バッテリー装置を取り付けたインクジェットプリンタを示す斜視図。
【図3】バッテリー装置の取付け、取外し途中のインクジェットプリンタを示す斜視図。
【図4】バッテリー装置の外観を示す斜視図。
【図5】プリンタ本体にバッテリー装置を取り付けた状態を示す平断面図(a)と、バッテリー装置の取付け、取外し途中の状態を示す平断面図(b)。
【図6】ロック時のバッテリーレバー、バッテリーロック機構周辺を示す平断面図。
【図7】ロック解除時のバッテリーレバー、バッテリーロック機構周辺を示す平断面図。
【符号の説明】
【0046】
1 バッテリー装置、2 自動給送ユニット、3 プリンタ本体(記録装置本体)、4 ハウジング、5 給送用トレイ、6 カバー部材、7 操作パネル、8 排出用スタッカ、9 手提げハンドル、11 液晶モニタ、12a、12b、12c・・・12n 操作ボタン、13 給送用開口、15 メモリー挿入口、16 バッテリー収容凹部、17 後面、21 バッテリー本体、23 後面、25 バッテリーロック機構、27 バッテリーレバー、29 (一方の)側端部、31 (一方の)係止凹部、33 係止凸部、35 (他方の)側端部、37 基端部、39 回動支点、41 伝達レバー(伝達手段)、43 レバー基部、45 当接部、47 レバーアーム、49 操作片、51 前面、53 (他方の)係止凹部、55 ロック部材、57 圧縮コイルバネ(付勢手段)、61 先端部、63 フランジ部、65 回動基部、67 レバー本体、69 保持部材、100 インクジェットプリンタ(記録装置)、P 用紙(被記録材)、D 奥行方向、W 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体の被取付面にバッテリー本体の後面を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体に対して設けられるバッテリーロック機構によって取付け時においてバッテリーロック機構をロック状態にしてバッテリー本体を電子機器本体に固定することができるバッテリー装置であって、
前記バッテリー装置には、前記バッテリーロック機構のロック状態とロック解除状態とを切り替える切替えレバーとしての機能と、バッテリー本体の取付け時及び取外し時において指で摘んでバッテリー本体を保持することができる保持手段としての機能を併せ持つバッテリーレバーが設けられていることを特徴とするバッテリー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリー装置において、前記バッテリーレバーは、バッテリー本体に対して回動支点によって回動自在に設けられており、バッテリー本体の前面に添わせた状態に倒した格納姿勢と、バッテリー本体の前面に対して手前に起こした起立姿勢とをとることができ、
前記バッテリーレバーが格納姿勢にある時が前記バッテリーロック機構がロック状態、前記バッテリーレバーが起立姿勢にある時が前記バッテリーロック機構がロック解除状態になるように構成されていることを特徴とするバッテリー装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリー装置において、前記バッテリーロック機構は、バッテリー本体の側端面から出没し得るように摺動自在にバッテリー本体に対して設けられているロック部材と、該ロック部材を常時突出方向に付勢している付勢手段と、前記バッテリーレバーの動きを前記ロック部材に伝達する伝達手段とを備えることによって構成されていることを特徴とするバッテリー装置。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリー装置において、前記伝達手段は前記バッテリーレバーの回動支点に対して回動自在に設けられた伝達レバーによって構成されており、該伝達レバーは前記バッテリーレバーの基端部に設けられた当接部からの押圧力を受けて回動し、伝達レバーの先端部を前記ロック部材の被当接部に当接させてロック部材を所定の方向に摺動させるようにしたことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のバッテリー装置において、前記バッテリー本体の一方の側端部には電子機器本体側に形成されている係止凹部に係止される係止凸部が設けられており、
一方、前記バッテリー本体の他方の側端部には前記バッテリーレバーとバッテリーロック機構とが設けられており、バッテリーロック機構がロック状態にある時、電子機器本体側に形成されている他の係止凹部に前記ロック部材を係止させるようにしたことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項6】
記録装置本体を備え、記録装置本体の被取付面にバッテリー本体の後面を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体に対して設けられるバッテリーロック機構によって取付け時においてバッテリーロック機構をロック状態にしてバッテリー本体を記録装置本体に固定することができるバッテリー装置が装着可能な記録装置であって、
前記バッテリー装置は請求項1〜5のいずれか1項に記載したバッテリー装置であることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
液体噴射装置本体を備え、液体噴射装置本体の被取付面にバッテリー本体の後面を対面させた状態で着脱自在に取り付けることができ、バッテリー本体に対して設けられるバッテリーロック機構によって取付け時においてバッテリーロック機構をロック状態にしてバッテリー本体を液体噴射装置本体に固定することができるバッテリー装置が装着可能な液体噴射装置であって、
前記バッテリー装置には、前記バッテリーロック機構のロック状態とロック解除状態とを切り替える切替えレバーとしての機能と、バッテリー本体の取付け時及び取外し時において指で摘んでバッテリー本体を保持することができる保持手段としての機能を併せ持つバッテリーレバーが設けられていることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−18551(P2008−18551A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190140(P2006−190140)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】