バルブ付流体用容器
【課題】複数のバルブを具備する流体用容器においてブロック集積バルブを用いる場合に、振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避すること。
【解決手段】容器本体(A)、バルブユニット(B)、及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するバルブユニット保持体(C)を有し、容器本体(A)が、容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a−1)、(a−2)を少なくとも容器本体(A)の上部に具備し、バルブユニット(B)が、ベースプレート(b−1)、ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びにブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)、(b−4)を少なくとも具備し、容器管(a−1)とバルブユニット管(b−3)、容器管(a−2)とバルブユニット管(b−4)とが、着脱可能な接合部により接合されているバルブ付流体用容器。
【解決手段】容器本体(A)、バルブユニット(B)、及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するバルブユニット保持体(C)を有し、容器本体(A)が、容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a−1)、(a−2)を少なくとも容器本体(A)の上部に具備し、バルブユニット(B)が、ベースプレート(b−1)、ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びにブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)、(b−4)を少なくとも具備し、容器管(a−1)とバルブユニット管(b−3)、容器管(a−2)とバルブユニット管(b−4)とが、着脱可能な接合部により接合されているバルブ付流体用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を貯蔵、運搬又は供給するためのバルブ付流体用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスや精密分析においては、流体(ガス、液体)を移送又は供給する流体用容器は、その系内を常にコンタミネーションや異物のない状態に保つ必要があり、そのため、容器や部品の交換の際に容器系ラインのパージや洗浄が行われる。特にCVD又はALD等の半導体製造プロセスにおいて、外環境の影響を受け易い流体を使用する場合は、使用中、容器の着脱時、容器又は配管のメンテナンス時において、高度に清浄度を保つ必要があり、複数のバルブを組み合わせた流体用容器が必要とされている。
【0003】
例えば、H型の配管に複数のバルブを配した流路構成を有するものとして、特許文献1には、容器接続用配管A、配管B及び開閉弁を有する分岐配管Cの3配管をそれぞれ接続し、3ポートバルブを具備した、パージの容易な流体移送用配管装置が開示されている。また、特許文献2の図1等には、3つ又は5つバルブを配した配管を有する流体容器が開示されている。
【0004】
H型の配管に複数のバルブを配置した場合、重心が高くなり、作業中の容器転倒による配管のゆがみや破損の危険性が大きくなる。特に容器の容量が小さくなると、バルブ込みの上部の重量割合や体積割合が大きくなり、転倒の可能性がより大きくなる。
【0005】
また、複数のバルブ機能をできるだけ狭いスペースにデッドボリュームを極力排して配置するものとして、例えば、特許文献3にブロック集積バルブが開示されている。
【0006】
ブロック集積バルブは、ユニットの組み合わせのフレキシビリティが高く、モジュールの交換が簡単なので、修理やメンテナンスの点で有利である等の利便性が大きいが、その構造上、ブロックが配列された面の振動、衝撃、ゆがみに弱く、リークや破損が起きる等のトラブルの原因となる問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−108199号公報(請求項1、図2等)
【特許文献2】特開2005−131632号公報(図1等)
【特許文献3】特開2004−183771号公報(請求項1〜5等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、複数のバルブを具備する流体用容器において、狭いスペースに複数のバルブ機能が配置されメンテナンス等の面で利便性があるブロック集積バルブを用いる場合に、振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、検討を重ねた結果、容器本体とバルブユニットとを離し、これらをバルブユニット保持体で接続することで、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、容器本体(A)、バルブユニット(B)、及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するバルブユニット保持体(C)を有するバルブ付流体用容器であって、上記容器本体(A)が、該容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a−1)及び(a−2)を少なくとも該容器本体(A)の上部に具備し、上記バルブユニット(B)が、ベースプレート(b−1)、ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びにブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)及び(b−4)を少なくとも具備し、上記容器管(a−1)と上記バルブユニット管(b−3)、上記容器管(a−2)と上記バルブユニット管(b−4)とが、着脱可能な接合部により接合されたバルブ付流体用容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高度な清浄度を保持できる流路を有するブロック集積バルブを用いたコンパクトで転倒の危険の少ないバルブ付流体用容器を提供できる。また、該容器は、容器の修理、メンテナンスにおける振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、本発明のバルブ付流体用容器に用いる容器本体(A)について説明する。
本発明に係る容器本体(A)は、少なくとも2つの容器内部へ通じる容器管(a−1)、(a−2)を容器の上部に具備するものである。また、容器管(a−1)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−3)と着脱可能な接続部を有し、容器管(a−2)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−4)と着脱可能な接続部を有する。
【0013】
例えば、本発明のバルブ付流体用容器をCVDプロセス用薬剤の供給容器として用いる場合、容器管(a−1)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−3)と接続されブロック集積バルブ(b−2)を経由してCVDプロセス用薬剤をプロセスへ供給するラインに繋がり、容器管(a−2)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−4)と接続され、ブロック集積バルブ(b−2)を経由して、プロセスのキャリアガスのラインへと繋がる。図1に容器本体(A)の例を示す。図1の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図であり、図1の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図である。
【0014】
本発明に係る容器本体(A)には、上記の基本構成以外に、必要に応じてその構成中に別の容器管、充填ポート、排出ポート等、容器のメンテナンスに係わる予備ポートを設置してもよく、圧力計、レベルメーター、残量計量装置等を設置してもよい。例えば、流体用の充填や抜き出しの予備ポートとして、容器内部へと通じる容器管(a’−1)を具備していてもよい。また、容器本体(A)は、容器管以外の開閉機能を有さない密閉タイプのものでもよく、ネジ式接続方式、ICF、ISO、KF、NW、サニタリー等のフランジにより開閉可能なものでもよい。本発明のバルブ付き流体用容器を、CVDやALD等の半導体製造用の薬液用として用いる場合は、高度な気密性を保持することでき、洗浄、研磨等のメンテナンスが可能であるフランジタイプが好ましく、高真空対応のフランジがより好ましい。図2に、容器管(a’−1)を具備した場合の容器本体(A)の例の概念図を示す。図2の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図であり、図2の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図である。
【0015】
液体をプロセスに供給する場合の容器本体(A)の具体例を図3、図4に示す。図3、図4は、容器内部に充填される流体が液体である場合の具体例であり、図3は、本発明に係る容器本体(A)の基本構成の一例であり、図4は容器本体(A)の構成の他の一例で、図3に示した容器本体(A)を一部変形して、さらに容器管(a’−1)を具備させた場合の容器本体(A)の例である。図3及び4はいずれも、容器本体(A)の平面図、及び容器本体(A)を切欠してその内部構造を示す側面図である。
【0016】
次に、本発明に係るバルブユニット(B)について説明する。
本発明に係るバルブユニット(B)は、ベースプレート(b−1)、該ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びに少なくとも2つの該ブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)及び(b−4)を具備するものであり、バルブユニット管(b−3)は、前記の容器管(a−1)と着脱可能な接続部を有し、バルブユニット管(b−4)、前記の容器管(a−2)と着脱可能な接続部を有する。
【0017】
ベースプレート(b−1)は、ブロック集積バルブ(b−2)を容器本体(A)から離して設置するための支持プレートである。ベースプレート(b−1)の形状は任意であるが、ブロック集積バルブ(b−2)のトラブルを避けるには、基材として、充分な堅牢性を有する金属基材やセラミックス基材を用いることが好ましい。例えば、安価で軽量な金属基材であるアルミニウムを基材として選択した場合の厚さは5mm〜20mmである。また、ベースプレート(b−1)には、バルブユニット(B)が有する流路やポートと容器本体(A)とを接続するために必要数の孔や溝が施されてもよい。
【0018】
ブロック集積バルブ(b−2)は、2つ以上、好ましくは3〜5つのバルブ機能を有するものであり、所望の流路を構成するように配置される。また、ブロック集積バルブ(b−2)は、本発明のバルブ付流体用容器全体の重心が高くならないように、ベースプレート(b−1)上に水平方向に配置されることが好ましい。水平方向の配置は、垂直方向への配置と比較して、流体の置換性、流路の洗浄性、堅牢性の面でも優位である。
【0019】
流体が半導体製造プロセスに用いられる薬剤である場合のブロック集積バルブ(b−2)により構成される流路としては、例えば、図5で示す構成が挙げられる。また、使用時又はメンテナンス時において、外環境の影響を受け易く、高度に清浄度を保つ必要のあるCVD原料又はALD原料等の流体をプロセスに供給する容器の場合の流路構成としては、例えば図6で示す構成が挙げられる。
図5及び図6に示す流路はいずれも、上記ブロック集積バルブ(b−2)が、上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部(プロセス側)とを連通する流路1、同様に上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部(プロセス側)とを連通する流路1とは別の流路2、及びこれらの流路を連通させる流路3から構成される。図5に示す流路においては、流路1、流路2及び流路3それぞれに1つの開閉弁が設けられており、流路1の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側と、流路2の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側とにおいて、流路1と流路2とが流路3によって連通される構成となっている。また、図6に示す流路においては、流路1及び流路2それぞれに2つの開閉弁、流路3に1つの開閉弁が設けられており、流路1の2つの開閉弁の間と、流路2の2つの開閉弁の間とにおいて、流路1と流路2とが流路3によって連通される構成となっている。
【0020】
また、本発明に係るバルブユニット(B)のバルブユニット管(b−3)及びバルブユニット管(b−4)は、容器本体(A)の容器管と最短距離で接続するために、ブロック集積バルブ(b−2)と反対方向の面に向けて配置されることが好ましい。
【0021】
本発明に係るバルブユニット(B)には、上記の基本構成以外に、必要に応じてその構成中にバルブユニット管(b−3)、(b−4)とは別のバルブユニット管、ブロック集積バルブ(b−2)とは別系統のバルブ(b’−1)を有してもよく、圧力計、レベルメーター、残量計算装置等のバルブ以外のユニットを有してもよい。これらは、容器本体(A)が必要に応じて有する充填ポート、排出ポート、メンテナンスポート等の予備ポートと接続される。
【0022】
ブロック集積バルブ(b−2)の開閉機構の種類としては、ニードルバルブ、ベローズバルブ、ボールバルブ、アングルバルブ、バタフライバルブ、ゲートバルブ、ダイヤフラムバルブの開閉弁が挙げられる。中でも、デッドボリュームや清浄度の面で、流体滞留部の少ないダイヤフラム方式の開閉弁が好適である。また、バルブ機構の制御方式は手動、自動制御(圧空駆動、電動駆動等)いずれでもよい。自動制御の場合、初期状態は開(ノーマリーオープン)でもよく、閉(ノーマリークローズ)でもよい。
【0023】
本発明に係るバルブユニット(B)の具体例を図7、図8、図9、図10に示す。図7は、図5の流路構成を有するバルブユニット(B)の具体例を示し、図8は同じく図5の流路構成を有するバルブユニット(B)で、補助流路を有する構成の具体例を示し、図9は、図6の流路構成を有するバルブユニット(B)の具体例を示し、図10は同じく図6の流路構成を有するバルブユニット(B)で、補助流路を有する構成の具体例を示す。図7〜10は、プロセスへと通じる流路が上方向に配置された例であるが、プロセスへ通じる流路は、水平(横)方向に配置されてもよい。
【0024】
次に、本発明に係るバルブユニット保持体(C)について説明する。
本発明に係るバルブユニット保持体(C)は、上記バルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定する部材である。その形状は任意であり、バルブユニット(B)を安定に保持できればよい。例えば、容器本体(A)が円柱形であれば、バルブユニット(B)を搭載する円板状のプレートと容器本体(A)と連結する脚状の固定具とからなる形状が挙げられる。この場合、円板状のプレートは、容器本体(A)とバルブユニット(B)との接続のための孔や溝を有する。バルブユニット保持体(C)とバルブユニット(B)との固定及びバルブユニット保持体(C)と容器本体(A)との固定は、溶接、ネジ又はボルトにより行えばよい。図11に、バルブユニット支持体(C)の具体例を示す。図11のバルブユニット保持体(C)では、容器の運搬の際のトラブルを避ける為に、ハンドル(c’−1)を設けている。更に、バルブユニット保持体(C)を容器に接続する際の強度の向上及びバルブフィッティングと容器フィッティングの接続部保護のため、例えば、図11に示すバルブユニット保持体(C)に、図12に示す構造の円筒型保持体(c’−2)を別途装着し、図13に示される構造を構築してもよい。尚、図11は、平面上から見た透視図及び側面図、図12は平面図及び側面図、図13は、平面上から見た透視図及び側面から見た透視図である。
【0025】
次に、上記容器本体(A)、上記バルブユニット(B)及び上記バルブユニット保持体(C)を有する本発明のバルブ付流体用容器について、さらに詳細に説明する。
本発明のバルブ付流体用容器は、前記で説明した容器本体(A)、バルブユニット(B)及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するためのバルブユニット保持体(C)を有するバルブ付流体用容器である。本発明のバルブ付流体用容器は、このような構造をとることにより、振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することができ、ブロック集積バルブの利点を活かしたコンパクトで安定した容器の形状を得ることができる。特に、バルブや配管等の上部の重量や容積の割合が大きくなる10リットル以下容量の小型容器の場合に有効である。また、容器本体(A)とバルブユニット(B)とを切り離せるので、メンテナンスが容易となる利点も有する。
【0026】
本発明のバルブ付流体用容器は、取り扱い中の転倒によるトラブルを避けるために、バルブユニット(B)のバルブや配管等を容器本体(A)の径内に収まるように配置するのが好ましく、また、容器管(a−1)とバルブユニット管(b−3)との接続、容器管(a−2)とバルブユニット管(b−4)との接続等の、容器本体(A)とバルブユニット(B)との接続を、容器本体(A)とバルブユニット(B)との間のバルブユニット支持体(C)により形成されるスペース内で接続するのが好ましい。また、本発明のバルブ付流体用容器は、運搬中にバルブユニット(B)を保護するためのカバーを備えていてもよく、運搬のために任意の箇所に取手を備えていてもよい。
【0027】
バルブユニット(B)を保護するためのカバーとしては、例えば、図14に示されるような側面部に運搬用の指をかけるための側孔を有する円柱状のプロテクトカバーが挙げられる。この場合、側孔は取手を代替するものである。図14に示すプロテクトカバーは、図15に示すようにバルブユニット保持体(C)に被せる形態で使用するタイプのものである。尚、図14は平面図及び側面図であり、図15は平面上から見た透視図及び側面からみた透視図である。
【0028】
本発明のバルブ付流体用容器をCVD又はALDプロセスにおける流体用容器として用いる場合は、本発明の必須要件であるブロック集積バルブ(b−2)、2つのバルブユニット管(b−3)、(b−4)、及び2つの容器管(a−1)、(a−2)の他に、容器本体(A)に、容器内部へと通じバルブが接続された容器管(a’−1)を有しているものが好適であり、容器管(a’−1)に接続されるバルブが、バルブユニット(B)に、ブロック集積バルブ(b−2)とは別系統のバルブ(b’−1)として組み込まれているものが更に好適である。ここで加えられた容器管(a’−1)、バルブ(b’−1)は、流体の充填や抜き取りのためのポートとして用いる。
【0029】
本発明のバルブ付流体用容器の好ましい形態を図16の(1)、(2)に示す。図16の(1)は、本発明のバルブ付流体用容器の一実施例の基本構成を示すもので、本発明のバルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図である。図16の(2)は、本発明のバルブ付流体用容器の他の実施例の構成を示す(1)と同様の図である。(2)に示すバルブ付流体用容器は、(1)のバルブ付き流体用容器を一部変形して、さらに容器管(a’−1)及びバルブ(b’−1)を追加したものである。
【0030】
本発明のバルブ付流体用容器を構成する部材の材質としては、テフロン(登録商標)等のフッ素化樹脂、シリコン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、PET、塩ビ等の合成樹脂類;SUS316、316L、304、304L、317、317Lに代表されるオーステナイト系ステンレス、SUS405、410、430、TP409に代表されるフェライト系ステンレス、SUS329に代表される2層ステンレス等の各種ステンレス材、ハステロイ等のニッケル合金、チタン、アルミ、鉄等の金属類;ガラス、石英等のガラス類;アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化タンタル、窒化珪素、窒化チタン等のセラミックス類が挙げられ、これらは単独で又は併用して使用することができる。また、材料や目的によっては、テフロン(登録商標)やガラス等の不活性材料で表面をコーティングしてもよい。
【0031】
CVD、ALD等の半導体製造プロセスに使用される場合には、高真空対応性や高清浄度保持に適する鉄、アルミ、チタン、ニッケル合金、ステンレス材等の金属材が好ましい。また、流体接触部分は、配管からのパーティクル及び金属の溶出や、その他水等の不純分の放出等を防ぐため、バフ研磨処理、電解研磨処理、更に物理的及び/又は化学的研磨手法を併用したECB、MCP等の高精度研磨処理を施した上、精密洗浄を施し、十分に乾燥を施した表面状態とすることがより好ましく、必要に応じて表面にオゾンパッシベーション、酸素/加熱処理によるパッシベーション化、フッ化処理等による不導体化処理等、2次的なクリーン化処理を施してもよい。
【0032】
CVD、ALDプロセスに使用される場合の流路部位、配管部位には、ステンレス部材の配管が好適である。SUS316LのAOD若しくはVOD(シングルメルト材)又はVIM/VAR(ダブルメルト材)が好ましく使用され、その内表面はBA以上、特にEP処理同等以上のクリーン配管を使用することが好ましい。強度の耐蝕性を要求される場合等、必要に応じて配管内表面に酸化若しくはフッ素化パッシベーション処理等を施してもよい。また、配管同士又はフィッティング類との固定接続は通常クリーン雰囲気下での突き合わせ自動溶接によるものが好適である。
【0033】
また、CVD、ALDプロセスに使用される場合の流路の接続部分及びバルブや配管のフィッティングによる接続する場合の方式としては、PT、NPT、NW,KW、ICF、ISO、スエジロック、VCR、UJR、CVC、MCG、UPG、スーパーJSK等が挙げられる。流体、洗浄液、不活性ガスとの接触部分には、締め付け時のパーティクル発生を極力抑えることが可能であり、デッドスペースが極力小さいUPG、VCR、UJR、CVC、HMJが好ましい。また、バルブボディを集積バルブ状に接続するためには、Cシール、Wシール等の方式を使用することができるが、特にデッドスペースを極小化するためにはWシールが好ましい。
【0034】
本発明のバルブ付流体用容器は、流体が液体の場合、流体が発火性の場合、流体が腐食性の場合、流体が高い反応性を有する場合等の高度な清浄度を保持するために複雑な流路を必要とする場合に有用である。具体的には、半導体製造用の流体を取り扱う場合に有用であり、特にCVD又はALDプロセス用薬剤を取り扱うのに適している。本発明のバルブ付流体用容器は、ALD、CVDプロセスの他に、フォトレジスト工程、ドライ又はウエットエッチング工程に用いることができ、半導体製造用以外の用途では、精密分析、医療用薬剤、食品飲料の製造又は供給等に用いることができる。
【0035】
CVD、ALDプロセスに使用される場合、本発明のバルブ付流体用容器中に流通する薬剤としては、例えば、珪素化合物、リン化合物、ホウ素化合物、金属化合物や、これらの混合物及び溶液が挙げられる。金属化合物を構成する金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
【0036】
上記の珪素化合物、リン化合物、ホウ素化合物、金属化合物は、CVD、ALD法に使用し得る揮発性を有するものであれば特に制限されることはない。上記の珪素化合物、リン化合物、ホウ素化合物、金属化合物において、珪素原子、リン原子、ホウ素原子、金属原子と結合し各化合物を構成する配位子としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン化物、メタン、エタン、プロパン、2−プロパン、ブタン等のアルカン類;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン等のモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ第三ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリメチルシリルアミン、トリエチルシリルアミン等のシリルアミン;メタンイミン、エタンイミン、プロパンイミン、2−プロパンイミン、ブタンイミン、2−ブタンイミン、イソブタンイミン、第三ブタンイミン、ペンタンイミン、第三ペンタンイミン等のアルカンイミン類;シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第三ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン等のシクロペンタジエン類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第三ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第三アミルアルコール、2−メトキシエチルアルコール、1,1−ジメチル−2−メトキシエチルアルコール、2−(N,N’−ジメチル)エチルアルコール、1,1−ジメチル−2−(N,N’−ジメチル)エチルアルコール等のモノアルコール類、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のジオール類;β−ジケトン;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸−2メトキシエチル等のβ−ケトエステル等が挙げられる。これらの配位子は1種類が金属原子等に結合してもよく、2種類以上が結合していてもよく、また、ダブルアルコキシドのように1分子中に2種以上の金属原子等を有する複核化合物でもよい。
【0037】
また、上記金属化合物等を溶液として用いる場合の溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;フラン、ピラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、ジメチシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;アセトニトリル、1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ルチジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリドン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン等の窒素含有環状化合物類等が挙げられ、これらは、溶質である化合物の溶解性や、使用温度と沸点、引火点との関係等により、1種類又は2種類以上の混合物で用いられる。
【0038】
CVD、ALDプロセスに使用される場合、本発明のバルブ付流体用容器中に流通する別の薬剤としては、上記のようなCVD、ALD用の原料を除去、洗浄するための洗浄液が挙げられる。該洗浄液としては、上記例示の溶媒、クロロホルム、ジクロロエチルエーテル、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明する。
下記実施例1及び2は、CVD又はALDプロセスに用いられる本発明のバルブ付流体用容器の実施例であり、実施例1は、ブロック集積バルブ(b−2)の流路構成が図5で示されるものであり、実施例2は、ブロック集積バルブ(b−2)の流路構成が図6で示されるものである。下記評価例においては、実施例1及び2のバルブ付流体用容器について、CVD、ALDプロセスの容器交換時における容器系流路の洗浄性を評価した。
【0040】
[実施例1]
本発明のバルブ付流体用容器の一実施例を図17に示す。図17は、実施例1のバルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【0041】
[実施例2]
本発明のバルブ付流体用容器の他の実施例を図18に示す。図18は、実施例2のバルブ付流体用容器を切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【0042】
図17、図18で示すように、高度な清浄度を保持するために複数のバルブ具備する流体用容器において、ブロック集積バルブを用いながら、コンパクトで転倒の危険の少ない構成を実現できた。本発明のバルブ付流体用容器は、ブロック集積バルブを容器本体から離してベースプレート(b−1)上に搭載しているので、容器の修理、メンテナンスにおける振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することが可能である。
【0043】
[評価例]洗浄性の評価
CVD又はALDにおいては、CVD用原料又はALD用原料(薄膜形成用原料)に、加水分解性が高く沸点が高い流体が使用される。この場合、流体供給容器交換時に、装置本体と容器とのインターフェース部分が高度な清浄度を保つことが、流体供給系並びに流体用容器に要求される。そのための清浄化の手法として、溶媒による供給系洗浄が用いられる。本発明のバルブ付流体用容器について洗浄性の評価を行った。
【0044】
CVD又はALDプロセスにおける流体供給系モデルとして、上記の実施例1及び2のバルブ付流体用容器を装置に組み込んだ図19に示す評価装置を作成し、流体供給容器出口の洗浄置換特性の評価を行った。図19において、CTはケミカルタンク、WTは流体の廃棄用のタンク、DBはサンプリング用のドライボックス、Sはサンプル容器、PSは圧力計であり、点線で囲んだ流路が本発明のバルブ付流体用容器の構成する流路である。尚、WT及びSTとして、実施例1のバルブ付流体用容器を用い、CTとして実施例2のバルブ付流体用容器を用いた。また、評価においては、テトラキス第3ブトキシハフニウム(以下、HTTBと記載することもある)を流体とし、エチルシクロヘキサン(以下、ECHと記載することもある)を洗浄液に用いた。
【0045】
<評価1>
(1)CTにテトラキス第3ブトキシハフニウムを100g、STにエチルシクロヘキサンを1500g充填し、容器内部を窒素で0.1MPaに加圧し、WTは真空状態とした。V1、V2、V6、V7、V9、V10、V12、V16のバルブは閉止状態、それ以外のバルブを開放し、ラインを50℃に加温した状態で1時間真空引きを行い、その後、V10を開放して、さらに10分間真空引きを行った。
(2)V10、V15、V14、V3、V11を閉止し、V12を開放して、CT、STの加圧ラインを清浄な窒素で満たして、評価前処理を終えた。なお、V12に至る外部からの窒素ラインは評価装置構築時に前もって脱酸素、脱水分といった前処理を施し、窒素圧力0.1MPa、1リットル/分(0℃、1気圧下)で清浄な窒素が導入される様に調整を施した。
(3)V2を開放し、CT内圧を調整し、次いでV9、V1の順に開放し、CT内容物(HTTB)をCTからWTへ全て移液した。CTタンクが空になったら即座にV2、V19を閉止し、V10を開放し、液送ライン系内及びCT内が十分に減圧となるように真空引きを行った。
(4)V1を閉止、V3、V14の順にバルブを開放し洗浄液をCTへ導入するラインを1分間真空引きした。その間にV7を開放し、ST内圧を調整し、V4を閉止、V1、V6の順にバルブを開放し、STからCTへ洗浄液(ECH)を100g導入した。導入し終わったら、即座にV3、V1の順に閉止、V2を開放し、更に200gの洗浄液をCTに導入した。導入が完了したら即座にV6、V7を閉止し、V8を開放してSTとCTの間の残液をCTに押し戻すと共に、CT内圧を陽圧にした。
(5)V2、V14、V8を閉止し、V1、V4を開放して、CT内の洗浄液(HTTBとECH)をWTに排出し、5分間真空で処理を行った。次いでV11を開放、V9、V10を閉止し更に5分間真空引き処理を行った。
(6)V4を閉止し、V3、V19を開放し、CT内圧を陽圧に戻した。
(7)V1、V19を閉止、V4、V14を開放し、STとCTの間を減圧化処理した後、V7を開放してST内圧を調整している間にV10、V9を開放、V11を閉止した。
(8)V6を開放して50gのECHをWTに排出したら即座にV17を閉止した。
DB内で事前に十分に乾燥を施した清浄なサンプル容器S(PFA製)を逐次交換しつつ、V16を開閉して100gずつサンプリングを行った。
(9)サンプリング終了後、V16は閉止状態で、V6、V7、V11を閉止し、V9、V10、V17を開放して配管内残液をWTに排出した後、ラインを加熱しながらV8の開閉で全系のサイクルパージを行い、十分に系内のECHを除去して、配管内圧を陽圧に戻し評価試験を終了した。
(10)サンプリングした採取液に含有されているハフニウム量を、ICP−MSを用いて定量した。
【0046】
<評価2>
図19の評価装置を用いて、上記評価1の(3)まで同様の操作を行った後、下記(4')〜(7')の操作を行なった。
(4')V4閉止、V19を開放し、CT内圧を陽圧とした。次いでV1、V19を閉止し、V3を開放しCTとSTの間の真空化処理を行った。同時にV7を開放してST内圧を調整した。
(5') V6を開放して50gのECHをWTに排出したら即座にV17を閉止した。DB内で事前に十分に乾燥を施した清浄なサンプル容器S(PFA製)を逐次交換しつつ、V16を開閉して100gずつサンプリングを行った。
(6')サンプリング終了後、V16は閉止状態で、V6、V7、V11を閉止し、V9,V10,V17を開放して配管内残液をWTに排出した後、ラインを加熱しながらV8の開閉で全系サイクルパージを行い、十分に系内のECHを除去して、配管内圧を陽圧に戻し評価装置の後処理を完了した。
(7')サンプリングした採取液に含有されているハフニウム量を、ICP−MSを用いて定量した。
【0047】
<結果>
上記評価1、評価2の結果(採取液のハフニウム濃度)を図20に示す。図20中、X軸のECH量は、洗浄液であるエチルシクロヘキサンのはじめにサンプリングした50gを含めた各サンプル採取開始時までの積算値を示しており、縦軸のHf濃度は各サンプリングターム毎の溶液中に存在するハフニウムの平均質量比率で表示している。なお、Y軸は対数表示である。
【0048】
図20に示した結果から明らかなように、評価1、2いずれにおいても、優れた洗浄性が確認できた。特に、複合バルブ内部の微少なデッドスペースを十分に洗浄することで、より効果的な洗浄効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のバルブ付流体用容器に用いる容器本体(A)の例を示すもので、図1の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器本体(A)の基本構成を示す概略系統図であり、図1の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器本体(A)の基本構成を示す概略系統図である。
【図2】本発明のバルブ付流体用容器に用いる容器本体(A)の他の例を示すもので、図2の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器管(a’−1)を具備した容器本体(A)を示す概略系統図であり、図2の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器管(a’−1)を具備した容器本体(A)を示す概略系統図である。
【図3】容器内部に充填される流体が液体である場合の容器本体(A)の基本構成の一例を示すもので、容器本体(A)の平面図、及び容器本体(A)を切欠してその内部構造を示す側面図である。
【図4】図3を一部変形して、容器管(a’−1)を具備させた容器本体(A)を示すもので、容器本体(A)の平面図、及び容器本体(A)を切欠してその内部構造を示す側面図である。
【図5】ブロック集積バルブ(b−2)により構成される流路の一例を示す概略系統図である。
【図6】ブロック集積バルブ(b−2)により構成される流路の別の一例を示す概略系統図である。
【図7】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図8】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)の他の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図9】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)の別の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図10】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)のさらに別の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図11】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット保持体(C)の一例を示す、平面上から見た透視図及び側面図である。
【図12】バルブユニット保持体(C)に装着する円筒型保持体(c’−2)の一例を示す平面図及び側面図である。
【図13】図12の円筒型保持体(c’−2)を、図11のバルブユニット保持体(C)に装着した場合の一例を示す、平面上から見た透視図及び側面から見た透視図である。
【図14】バルブユニット(B)を保護するためのカバーの一例を示す平面図及び側面図である。
【図15】図14のカバーを、図11のバルブユニット保持体(C)に被せた場合の一例を示す、平面上から見た透視図及び側面から見た透視図である。
【図16】本発明のバルブ付流体用容器の実施例を示し、図16の(1)は、本発明のバルブ付流体用容器の一実施例の基本構成を示すもので、バルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図であり、図16の(2)は、(1)のバルブ付流体用容器を一部変形して、さらに容器管(a’−1)及びバルブ(b’−1)を具備させたバルブ付流体用容器の一実施例の構成を示す、(1)と同様の側面図である。
【図17】実施例1のバルブ付流体用容器を示すもので、該バルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【図18】実施例2のバルブ付流体用容器を示すもので、該バルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【図19】評価例において流体供給系モデルとして用いた評価装置を表す概略系統図である。
【図20】評価例における洗浄性の結果を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を貯蔵、運搬又は供給するためのバルブ付流体用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスや精密分析においては、流体(ガス、液体)を移送又は供給する流体用容器は、その系内を常にコンタミネーションや異物のない状態に保つ必要があり、そのため、容器や部品の交換の際に容器系ラインのパージや洗浄が行われる。特にCVD又はALD等の半導体製造プロセスにおいて、外環境の影響を受け易い流体を使用する場合は、使用中、容器の着脱時、容器又は配管のメンテナンス時において、高度に清浄度を保つ必要があり、複数のバルブを組み合わせた流体用容器が必要とされている。
【0003】
例えば、H型の配管に複数のバルブを配した流路構成を有するものとして、特許文献1には、容器接続用配管A、配管B及び開閉弁を有する分岐配管Cの3配管をそれぞれ接続し、3ポートバルブを具備した、パージの容易な流体移送用配管装置が開示されている。また、特許文献2の図1等には、3つ又は5つバルブを配した配管を有する流体容器が開示されている。
【0004】
H型の配管に複数のバルブを配置した場合、重心が高くなり、作業中の容器転倒による配管のゆがみや破損の危険性が大きくなる。特に容器の容量が小さくなると、バルブ込みの上部の重量割合や体積割合が大きくなり、転倒の可能性がより大きくなる。
【0005】
また、複数のバルブ機能をできるだけ狭いスペースにデッドボリュームを極力排して配置するものとして、例えば、特許文献3にブロック集積バルブが開示されている。
【0006】
ブロック集積バルブは、ユニットの組み合わせのフレキシビリティが高く、モジュールの交換が簡単なので、修理やメンテナンスの点で有利である等の利便性が大きいが、その構造上、ブロックが配列された面の振動、衝撃、ゆがみに弱く、リークや破損が起きる等のトラブルの原因となる問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−108199号公報(請求項1、図2等)
【特許文献2】特開2005−131632号公報(図1等)
【特許文献3】特開2004−183771号公報(請求項1〜5等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、複数のバルブを具備する流体用容器において、狭いスペースに複数のバルブ機能が配置されメンテナンス等の面で利便性があるブロック集積バルブを用いる場合に、振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、検討を重ねた結果、容器本体とバルブユニットとを離し、これらをバルブユニット保持体で接続することで、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、容器本体(A)、バルブユニット(B)、及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するバルブユニット保持体(C)を有するバルブ付流体用容器であって、上記容器本体(A)が、該容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a−1)及び(a−2)を少なくとも該容器本体(A)の上部に具備し、上記バルブユニット(B)が、ベースプレート(b−1)、ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びにブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)及び(b−4)を少なくとも具備し、上記容器管(a−1)と上記バルブユニット管(b−3)、上記容器管(a−2)と上記バルブユニット管(b−4)とが、着脱可能な接合部により接合されたバルブ付流体用容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高度な清浄度を保持できる流路を有するブロック集積バルブを用いたコンパクトで転倒の危険の少ないバルブ付流体用容器を提供できる。また、該容器は、容器の修理、メンテナンスにおける振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、本発明のバルブ付流体用容器に用いる容器本体(A)について説明する。
本発明に係る容器本体(A)は、少なくとも2つの容器内部へ通じる容器管(a−1)、(a−2)を容器の上部に具備するものである。また、容器管(a−1)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−3)と着脱可能な接続部を有し、容器管(a−2)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−4)と着脱可能な接続部を有する。
【0013】
例えば、本発明のバルブ付流体用容器をCVDプロセス用薬剤の供給容器として用いる場合、容器管(a−1)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−3)と接続されブロック集積バルブ(b−2)を経由してCVDプロセス用薬剤をプロセスへ供給するラインに繋がり、容器管(a−2)は、バルブユニット(B)のバルブユニット管(b−4)と接続され、ブロック集積バルブ(b−2)を経由して、プロセスのキャリアガスのラインへと繋がる。図1に容器本体(A)の例を示す。図1の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図であり、図1の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図である。
【0014】
本発明に係る容器本体(A)には、上記の基本構成以外に、必要に応じてその構成中に別の容器管、充填ポート、排出ポート等、容器のメンテナンスに係わる予備ポートを設置してもよく、圧力計、レベルメーター、残量計量装置等を設置してもよい。例えば、流体用の充填や抜き出しの予備ポートとして、容器内部へと通じる容器管(a’−1)を具備していてもよい。また、容器本体(A)は、容器管以外の開閉機能を有さない密閉タイプのものでもよく、ネジ式接続方式、ICF、ISO、KF、NW、サニタリー等のフランジにより開閉可能なものでもよい。本発明のバルブ付き流体用容器を、CVDやALD等の半導体製造用の薬液用として用いる場合は、高度な気密性を保持することでき、洗浄、研磨等のメンテナンスが可能であるフランジタイプが好ましく、高真空対応のフランジがより好ましい。図2に、容器管(a’−1)を具備した場合の容器本体(A)の例の概念図を示す。図2の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図であり、図2の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器本体(A)の概念を示す概略系統図である。
【0015】
液体をプロセスに供給する場合の容器本体(A)の具体例を図3、図4に示す。図3、図4は、容器内部に充填される流体が液体である場合の具体例であり、図3は、本発明に係る容器本体(A)の基本構成の一例であり、図4は容器本体(A)の構成の他の一例で、図3に示した容器本体(A)を一部変形して、さらに容器管(a’−1)を具備させた場合の容器本体(A)の例である。図3及び4はいずれも、容器本体(A)の平面図、及び容器本体(A)を切欠してその内部構造を示す側面図である。
【0016】
次に、本発明に係るバルブユニット(B)について説明する。
本発明に係るバルブユニット(B)は、ベースプレート(b−1)、該ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びに少なくとも2つの該ブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)及び(b−4)を具備するものであり、バルブユニット管(b−3)は、前記の容器管(a−1)と着脱可能な接続部を有し、バルブユニット管(b−4)、前記の容器管(a−2)と着脱可能な接続部を有する。
【0017】
ベースプレート(b−1)は、ブロック集積バルブ(b−2)を容器本体(A)から離して設置するための支持プレートである。ベースプレート(b−1)の形状は任意であるが、ブロック集積バルブ(b−2)のトラブルを避けるには、基材として、充分な堅牢性を有する金属基材やセラミックス基材を用いることが好ましい。例えば、安価で軽量な金属基材であるアルミニウムを基材として選択した場合の厚さは5mm〜20mmである。また、ベースプレート(b−1)には、バルブユニット(B)が有する流路やポートと容器本体(A)とを接続するために必要数の孔や溝が施されてもよい。
【0018】
ブロック集積バルブ(b−2)は、2つ以上、好ましくは3〜5つのバルブ機能を有するものであり、所望の流路を構成するように配置される。また、ブロック集積バルブ(b−2)は、本発明のバルブ付流体用容器全体の重心が高くならないように、ベースプレート(b−1)上に水平方向に配置されることが好ましい。水平方向の配置は、垂直方向への配置と比較して、流体の置換性、流路の洗浄性、堅牢性の面でも優位である。
【0019】
流体が半導体製造プロセスに用いられる薬剤である場合のブロック集積バルブ(b−2)により構成される流路としては、例えば、図5で示す構成が挙げられる。また、使用時又はメンテナンス時において、外環境の影響を受け易く、高度に清浄度を保つ必要のあるCVD原料又はALD原料等の流体をプロセスに供給する容器の場合の流路構成としては、例えば図6で示す構成が挙げられる。
図5及び図6に示す流路はいずれも、上記ブロック集積バルブ(b−2)が、上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部(プロセス側)とを連通する流路1、同様に上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部(プロセス側)とを連通する流路1とは別の流路2、及びこれらの流路を連通させる流路3から構成される。図5に示す流路においては、流路1、流路2及び流路3それぞれに1つの開閉弁が設けられており、流路1の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側と、流路2の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側とにおいて、流路1と流路2とが流路3によって連通される構成となっている。また、図6に示す流路においては、流路1及び流路2それぞれに2つの開閉弁、流路3に1つの開閉弁が設けられており、流路1の2つの開閉弁の間と、流路2の2つの開閉弁の間とにおいて、流路1と流路2とが流路3によって連通される構成となっている。
【0020】
また、本発明に係るバルブユニット(B)のバルブユニット管(b−3)及びバルブユニット管(b−4)は、容器本体(A)の容器管と最短距離で接続するために、ブロック集積バルブ(b−2)と反対方向の面に向けて配置されることが好ましい。
【0021】
本発明に係るバルブユニット(B)には、上記の基本構成以外に、必要に応じてその構成中にバルブユニット管(b−3)、(b−4)とは別のバルブユニット管、ブロック集積バルブ(b−2)とは別系統のバルブ(b’−1)を有してもよく、圧力計、レベルメーター、残量計算装置等のバルブ以外のユニットを有してもよい。これらは、容器本体(A)が必要に応じて有する充填ポート、排出ポート、メンテナンスポート等の予備ポートと接続される。
【0022】
ブロック集積バルブ(b−2)の開閉機構の種類としては、ニードルバルブ、ベローズバルブ、ボールバルブ、アングルバルブ、バタフライバルブ、ゲートバルブ、ダイヤフラムバルブの開閉弁が挙げられる。中でも、デッドボリュームや清浄度の面で、流体滞留部の少ないダイヤフラム方式の開閉弁が好適である。また、バルブ機構の制御方式は手動、自動制御(圧空駆動、電動駆動等)いずれでもよい。自動制御の場合、初期状態は開(ノーマリーオープン)でもよく、閉(ノーマリークローズ)でもよい。
【0023】
本発明に係るバルブユニット(B)の具体例を図7、図8、図9、図10に示す。図7は、図5の流路構成を有するバルブユニット(B)の具体例を示し、図8は同じく図5の流路構成を有するバルブユニット(B)で、補助流路を有する構成の具体例を示し、図9は、図6の流路構成を有するバルブユニット(B)の具体例を示し、図10は同じく図6の流路構成を有するバルブユニット(B)で、補助流路を有する構成の具体例を示す。図7〜10は、プロセスへと通じる流路が上方向に配置された例であるが、プロセスへ通じる流路は、水平(横)方向に配置されてもよい。
【0024】
次に、本発明に係るバルブユニット保持体(C)について説明する。
本発明に係るバルブユニット保持体(C)は、上記バルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定する部材である。その形状は任意であり、バルブユニット(B)を安定に保持できればよい。例えば、容器本体(A)が円柱形であれば、バルブユニット(B)を搭載する円板状のプレートと容器本体(A)と連結する脚状の固定具とからなる形状が挙げられる。この場合、円板状のプレートは、容器本体(A)とバルブユニット(B)との接続のための孔や溝を有する。バルブユニット保持体(C)とバルブユニット(B)との固定及びバルブユニット保持体(C)と容器本体(A)との固定は、溶接、ネジ又はボルトにより行えばよい。図11に、バルブユニット支持体(C)の具体例を示す。図11のバルブユニット保持体(C)では、容器の運搬の際のトラブルを避ける為に、ハンドル(c’−1)を設けている。更に、バルブユニット保持体(C)を容器に接続する際の強度の向上及びバルブフィッティングと容器フィッティングの接続部保護のため、例えば、図11に示すバルブユニット保持体(C)に、図12に示す構造の円筒型保持体(c’−2)を別途装着し、図13に示される構造を構築してもよい。尚、図11は、平面上から見た透視図及び側面図、図12は平面図及び側面図、図13は、平面上から見た透視図及び側面から見た透視図である。
【0025】
次に、上記容器本体(A)、上記バルブユニット(B)及び上記バルブユニット保持体(C)を有する本発明のバルブ付流体用容器について、さらに詳細に説明する。
本発明のバルブ付流体用容器は、前記で説明した容器本体(A)、バルブユニット(B)及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するためのバルブユニット保持体(C)を有するバルブ付流体用容器である。本発明のバルブ付流体用容器は、このような構造をとることにより、振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することができ、ブロック集積バルブの利点を活かしたコンパクトで安定した容器の形状を得ることができる。特に、バルブや配管等の上部の重量や容積の割合が大きくなる10リットル以下容量の小型容器の場合に有効である。また、容器本体(A)とバルブユニット(B)とを切り離せるので、メンテナンスが容易となる利点も有する。
【0026】
本発明のバルブ付流体用容器は、取り扱い中の転倒によるトラブルを避けるために、バルブユニット(B)のバルブや配管等を容器本体(A)の径内に収まるように配置するのが好ましく、また、容器管(a−1)とバルブユニット管(b−3)との接続、容器管(a−2)とバルブユニット管(b−4)との接続等の、容器本体(A)とバルブユニット(B)との接続を、容器本体(A)とバルブユニット(B)との間のバルブユニット支持体(C)により形成されるスペース内で接続するのが好ましい。また、本発明のバルブ付流体用容器は、運搬中にバルブユニット(B)を保護するためのカバーを備えていてもよく、運搬のために任意の箇所に取手を備えていてもよい。
【0027】
バルブユニット(B)を保護するためのカバーとしては、例えば、図14に示されるような側面部に運搬用の指をかけるための側孔を有する円柱状のプロテクトカバーが挙げられる。この場合、側孔は取手を代替するものである。図14に示すプロテクトカバーは、図15に示すようにバルブユニット保持体(C)に被せる形態で使用するタイプのものである。尚、図14は平面図及び側面図であり、図15は平面上から見た透視図及び側面からみた透視図である。
【0028】
本発明のバルブ付流体用容器をCVD又はALDプロセスにおける流体用容器として用いる場合は、本発明の必須要件であるブロック集積バルブ(b−2)、2つのバルブユニット管(b−3)、(b−4)、及び2つの容器管(a−1)、(a−2)の他に、容器本体(A)に、容器内部へと通じバルブが接続された容器管(a’−1)を有しているものが好適であり、容器管(a’−1)に接続されるバルブが、バルブユニット(B)に、ブロック集積バルブ(b−2)とは別系統のバルブ(b’−1)として組み込まれているものが更に好適である。ここで加えられた容器管(a’−1)、バルブ(b’−1)は、流体の充填や抜き取りのためのポートとして用いる。
【0029】
本発明のバルブ付流体用容器の好ましい形態を図16の(1)、(2)に示す。図16の(1)は、本発明のバルブ付流体用容器の一実施例の基本構成を示すもので、本発明のバルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図である。図16の(2)は、本発明のバルブ付流体用容器の他の実施例の構成を示す(1)と同様の図である。(2)に示すバルブ付流体用容器は、(1)のバルブ付き流体用容器を一部変形して、さらに容器管(a’−1)及びバルブ(b’−1)を追加したものである。
【0030】
本発明のバルブ付流体用容器を構成する部材の材質としては、テフロン(登録商標)等のフッ素化樹脂、シリコン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、PET、塩ビ等の合成樹脂類;SUS316、316L、304、304L、317、317Lに代表されるオーステナイト系ステンレス、SUS405、410、430、TP409に代表されるフェライト系ステンレス、SUS329に代表される2層ステンレス等の各種ステンレス材、ハステロイ等のニッケル合金、チタン、アルミ、鉄等の金属類;ガラス、石英等のガラス類;アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化タンタル、窒化珪素、窒化チタン等のセラミックス類が挙げられ、これらは単独で又は併用して使用することができる。また、材料や目的によっては、テフロン(登録商標)やガラス等の不活性材料で表面をコーティングしてもよい。
【0031】
CVD、ALD等の半導体製造プロセスに使用される場合には、高真空対応性や高清浄度保持に適する鉄、アルミ、チタン、ニッケル合金、ステンレス材等の金属材が好ましい。また、流体接触部分は、配管からのパーティクル及び金属の溶出や、その他水等の不純分の放出等を防ぐため、バフ研磨処理、電解研磨処理、更に物理的及び/又は化学的研磨手法を併用したECB、MCP等の高精度研磨処理を施した上、精密洗浄を施し、十分に乾燥を施した表面状態とすることがより好ましく、必要に応じて表面にオゾンパッシベーション、酸素/加熱処理によるパッシベーション化、フッ化処理等による不導体化処理等、2次的なクリーン化処理を施してもよい。
【0032】
CVD、ALDプロセスに使用される場合の流路部位、配管部位には、ステンレス部材の配管が好適である。SUS316LのAOD若しくはVOD(シングルメルト材)又はVIM/VAR(ダブルメルト材)が好ましく使用され、その内表面はBA以上、特にEP処理同等以上のクリーン配管を使用することが好ましい。強度の耐蝕性を要求される場合等、必要に応じて配管内表面に酸化若しくはフッ素化パッシベーション処理等を施してもよい。また、配管同士又はフィッティング類との固定接続は通常クリーン雰囲気下での突き合わせ自動溶接によるものが好適である。
【0033】
また、CVD、ALDプロセスに使用される場合の流路の接続部分及びバルブや配管のフィッティングによる接続する場合の方式としては、PT、NPT、NW,KW、ICF、ISO、スエジロック、VCR、UJR、CVC、MCG、UPG、スーパーJSK等が挙げられる。流体、洗浄液、不活性ガスとの接触部分には、締め付け時のパーティクル発生を極力抑えることが可能であり、デッドスペースが極力小さいUPG、VCR、UJR、CVC、HMJが好ましい。また、バルブボディを集積バルブ状に接続するためには、Cシール、Wシール等の方式を使用することができるが、特にデッドスペースを極小化するためにはWシールが好ましい。
【0034】
本発明のバルブ付流体用容器は、流体が液体の場合、流体が発火性の場合、流体が腐食性の場合、流体が高い反応性を有する場合等の高度な清浄度を保持するために複雑な流路を必要とする場合に有用である。具体的には、半導体製造用の流体を取り扱う場合に有用であり、特にCVD又はALDプロセス用薬剤を取り扱うのに適している。本発明のバルブ付流体用容器は、ALD、CVDプロセスの他に、フォトレジスト工程、ドライ又はウエットエッチング工程に用いることができ、半導体製造用以外の用途では、精密分析、医療用薬剤、食品飲料の製造又は供給等に用いることができる。
【0035】
CVD、ALDプロセスに使用される場合、本発明のバルブ付流体用容器中に流通する薬剤としては、例えば、珪素化合物、リン化合物、ホウ素化合物、金属化合物や、これらの混合物及び溶液が挙げられる。金属化合物を構成する金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
【0036】
上記の珪素化合物、リン化合物、ホウ素化合物、金属化合物は、CVD、ALD法に使用し得る揮発性を有するものであれば特に制限されることはない。上記の珪素化合物、リン化合物、ホウ素化合物、金属化合物において、珪素原子、リン原子、ホウ素原子、金属原子と結合し各化合物を構成する配位子としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン化物、メタン、エタン、プロパン、2−プロパン、ブタン等のアルカン類;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン等のモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ第三ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリメチルシリルアミン、トリエチルシリルアミン等のシリルアミン;メタンイミン、エタンイミン、プロパンイミン、2−プロパンイミン、ブタンイミン、2−ブタンイミン、イソブタンイミン、第三ブタンイミン、ペンタンイミン、第三ペンタンイミン等のアルカンイミン類;シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第三ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン等のシクロペンタジエン類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第三ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第三アミルアルコール、2−メトキシエチルアルコール、1,1−ジメチル−2−メトキシエチルアルコール、2−(N,N’−ジメチル)エチルアルコール、1,1−ジメチル−2−(N,N’−ジメチル)エチルアルコール等のモノアルコール類、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のジオール類;β−ジケトン;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸−2メトキシエチル等のβ−ケトエステル等が挙げられる。これらの配位子は1種類が金属原子等に結合してもよく、2種類以上が結合していてもよく、また、ダブルアルコキシドのように1分子中に2種以上の金属原子等を有する複核化合物でもよい。
【0037】
また、上記金属化合物等を溶液として用いる場合の溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;フラン、ピラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、ジメチシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;アセトニトリル、1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ルチジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリドン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン等の窒素含有環状化合物類等が挙げられ、これらは、溶質である化合物の溶解性や、使用温度と沸点、引火点との関係等により、1種類又は2種類以上の混合物で用いられる。
【0038】
CVD、ALDプロセスに使用される場合、本発明のバルブ付流体用容器中に流通する別の薬剤としては、上記のようなCVD、ALD用の原料を除去、洗浄するための洗浄液が挙げられる。該洗浄液としては、上記例示の溶媒、クロロホルム、ジクロロエチルエーテル、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明する。
下記実施例1及び2は、CVD又はALDプロセスに用いられる本発明のバルブ付流体用容器の実施例であり、実施例1は、ブロック集積バルブ(b−2)の流路構成が図5で示されるものであり、実施例2は、ブロック集積バルブ(b−2)の流路構成が図6で示されるものである。下記評価例においては、実施例1及び2のバルブ付流体用容器について、CVD、ALDプロセスの容器交換時における容器系流路の洗浄性を評価した。
【0040】
[実施例1]
本発明のバルブ付流体用容器の一実施例を図17に示す。図17は、実施例1のバルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【0041】
[実施例2]
本発明のバルブ付流体用容器の他の実施例を図18に示す。図18は、実施例2のバルブ付流体用容器を切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【0042】
図17、図18で示すように、高度な清浄度を保持するために複数のバルブ具備する流体用容器において、ブロック集積バルブを用いながら、コンパクトで転倒の危険の少ない構成を実現できた。本発明のバルブ付流体用容器は、ブロック集積バルブを容器本体から離してベースプレート(b−1)上に搭載しているので、容器の修理、メンテナンスにおける振動、衝撃、ゆがみによるブロック集積バルブのトラブルを回避することが可能である。
【0043】
[評価例]洗浄性の評価
CVD又はALDにおいては、CVD用原料又はALD用原料(薄膜形成用原料)に、加水分解性が高く沸点が高い流体が使用される。この場合、流体供給容器交換時に、装置本体と容器とのインターフェース部分が高度な清浄度を保つことが、流体供給系並びに流体用容器に要求される。そのための清浄化の手法として、溶媒による供給系洗浄が用いられる。本発明のバルブ付流体用容器について洗浄性の評価を行った。
【0044】
CVD又はALDプロセスにおける流体供給系モデルとして、上記の実施例1及び2のバルブ付流体用容器を装置に組み込んだ図19に示す評価装置を作成し、流体供給容器出口の洗浄置換特性の評価を行った。図19において、CTはケミカルタンク、WTは流体の廃棄用のタンク、DBはサンプリング用のドライボックス、Sはサンプル容器、PSは圧力計であり、点線で囲んだ流路が本発明のバルブ付流体用容器の構成する流路である。尚、WT及びSTとして、実施例1のバルブ付流体用容器を用い、CTとして実施例2のバルブ付流体用容器を用いた。また、評価においては、テトラキス第3ブトキシハフニウム(以下、HTTBと記載することもある)を流体とし、エチルシクロヘキサン(以下、ECHと記載することもある)を洗浄液に用いた。
【0045】
<評価1>
(1)CTにテトラキス第3ブトキシハフニウムを100g、STにエチルシクロヘキサンを1500g充填し、容器内部を窒素で0.1MPaに加圧し、WTは真空状態とした。V1、V2、V6、V7、V9、V10、V12、V16のバルブは閉止状態、それ以外のバルブを開放し、ラインを50℃に加温した状態で1時間真空引きを行い、その後、V10を開放して、さらに10分間真空引きを行った。
(2)V10、V15、V14、V3、V11を閉止し、V12を開放して、CT、STの加圧ラインを清浄な窒素で満たして、評価前処理を終えた。なお、V12に至る外部からの窒素ラインは評価装置構築時に前もって脱酸素、脱水分といった前処理を施し、窒素圧力0.1MPa、1リットル/分(0℃、1気圧下)で清浄な窒素が導入される様に調整を施した。
(3)V2を開放し、CT内圧を調整し、次いでV9、V1の順に開放し、CT内容物(HTTB)をCTからWTへ全て移液した。CTタンクが空になったら即座にV2、V19を閉止し、V10を開放し、液送ライン系内及びCT内が十分に減圧となるように真空引きを行った。
(4)V1を閉止、V3、V14の順にバルブを開放し洗浄液をCTへ導入するラインを1分間真空引きした。その間にV7を開放し、ST内圧を調整し、V4を閉止、V1、V6の順にバルブを開放し、STからCTへ洗浄液(ECH)を100g導入した。導入し終わったら、即座にV3、V1の順に閉止、V2を開放し、更に200gの洗浄液をCTに導入した。導入が完了したら即座にV6、V7を閉止し、V8を開放してSTとCTの間の残液をCTに押し戻すと共に、CT内圧を陽圧にした。
(5)V2、V14、V8を閉止し、V1、V4を開放して、CT内の洗浄液(HTTBとECH)をWTに排出し、5分間真空で処理を行った。次いでV11を開放、V9、V10を閉止し更に5分間真空引き処理を行った。
(6)V4を閉止し、V3、V19を開放し、CT内圧を陽圧に戻した。
(7)V1、V19を閉止、V4、V14を開放し、STとCTの間を減圧化処理した後、V7を開放してST内圧を調整している間にV10、V9を開放、V11を閉止した。
(8)V6を開放して50gのECHをWTに排出したら即座にV17を閉止した。
DB内で事前に十分に乾燥を施した清浄なサンプル容器S(PFA製)を逐次交換しつつ、V16を開閉して100gずつサンプリングを行った。
(9)サンプリング終了後、V16は閉止状態で、V6、V7、V11を閉止し、V9、V10、V17を開放して配管内残液をWTに排出した後、ラインを加熱しながらV8の開閉で全系のサイクルパージを行い、十分に系内のECHを除去して、配管内圧を陽圧に戻し評価試験を終了した。
(10)サンプリングした採取液に含有されているハフニウム量を、ICP−MSを用いて定量した。
【0046】
<評価2>
図19の評価装置を用いて、上記評価1の(3)まで同様の操作を行った後、下記(4')〜(7')の操作を行なった。
(4')V4閉止、V19を開放し、CT内圧を陽圧とした。次いでV1、V19を閉止し、V3を開放しCTとSTの間の真空化処理を行った。同時にV7を開放してST内圧を調整した。
(5') V6を開放して50gのECHをWTに排出したら即座にV17を閉止した。DB内で事前に十分に乾燥を施した清浄なサンプル容器S(PFA製)を逐次交換しつつ、V16を開閉して100gずつサンプリングを行った。
(6')サンプリング終了後、V16は閉止状態で、V6、V7、V11を閉止し、V9,V10,V17を開放して配管内残液をWTに排出した後、ラインを加熱しながらV8の開閉で全系サイクルパージを行い、十分に系内のECHを除去して、配管内圧を陽圧に戻し評価装置の後処理を完了した。
(7')サンプリングした採取液に含有されているハフニウム量を、ICP−MSを用いて定量した。
【0047】
<結果>
上記評価1、評価2の結果(採取液のハフニウム濃度)を図20に示す。図20中、X軸のECH量は、洗浄液であるエチルシクロヘキサンのはじめにサンプリングした50gを含めた各サンプル採取開始時までの積算値を示しており、縦軸のHf濃度は各サンプリングターム毎の溶液中に存在するハフニウムの平均質量比率で表示している。なお、Y軸は対数表示である。
【0048】
図20に示した結果から明らかなように、評価1、2いずれにおいても、優れた洗浄性が確認できた。特に、複合バルブ内部の微少なデッドスペースを十分に洗浄することで、より効果的な洗浄効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のバルブ付流体用容器に用いる容器本体(A)の例を示すもので、図1の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器本体(A)の基本構成を示す概略系統図であり、図1の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器本体(A)の基本構成を示す概略系統図である。
【図2】本発明のバルブ付流体用容器に用いる容器本体(A)の他の例を示すもので、図2の(1)は、液体をプロセスへ供給する場合か、液体を気化させた気体をプロセスへ供給する場合の容器管(a’−1)を具備した容器本体(A)を示す概略系統図であり、図2の(2)は、気相同伴に限定した場合の容器管(a’−1)を具備した容器本体(A)を示す概略系統図である。
【図3】容器内部に充填される流体が液体である場合の容器本体(A)の基本構成の一例を示すもので、容器本体(A)の平面図、及び容器本体(A)を切欠してその内部構造を示す側面図である。
【図4】図3を一部変形して、容器管(a’−1)を具備させた容器本体(A)を示すもので、容器本体(A)の平面図、及び容器本体(A)を切欠してその内部構造を示す側面図である。
【図5】ブロック集積バルブ(b−2)により構成される流路の一例を示す概略系統図である。
【図6】ブロック集積バルブ(b−2)により構成される流路の別の一例を示す概略系統図である。
【図7】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図8】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)の他の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図9】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)の別の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図10】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット(B)のさらに別の一例を示すもので、その平面図、背面図、右側面図、左側面図、正面から見た主要部を示す図、及び右側面図の主要部を示す図である。
【図11】本発明のバルブ付流体用容器に用いるバルブユニット保持体(C)の一例を示す、平面上から見た透視図及び側面図である。
【図12】バルブユニット保持体(C)に装着する円筒型保持体(c’−2)の一例を示す平面図及び側面図である。
【図13】図12の円筒型保持体(c’−2)を、図11のバルブユニット保持体(C)に装着した場合の一例を示す、平面上から見た透視図及び側面から見た透視図である。
【図14】バルブユニット(B)を保護するためのカバーの一例を示す平面図及び側面図である。
【図15】図14のカバーを、図11のバルブユニット保持体(C)に被せた場合の一例を示す、平面上から見た透視図及び側面から見た透視図である。
【図16】本発明のバルブ付流体用容器の実施例を示し、図16の(1)は、本発明のバルブ付流体用容器の一実施例の基本構成を示すもので、バルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図であり、図16の(2)は、(1)のバルブ付流体用容器を一部変形して、さらに容器管(a’−1)及びバルブ(b’−1)を具備させたバルブ付流体用容器の一実施例の構成を示す、(1)と同様の側面図である。
【図17】実施例1のバルブ付流体用容器を示すもので、該バルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【図18】実施例2のバルブ付流体用容器を示すもので、該バルブ付流体用容器を一部切欠してその内部構造を示す側面図及び平面図である。
【図19】評価例において流体供給系モデルとして用いた評価装置を表す概略系統図である。
【図20】評価例における洗浄性の結果を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(A)、バルブユニット(B)、及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するバルブユニット保持体(C)を有するバルブ付流体用容器であって、
上記容器本体(A)が、該容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a−1)及び(a−2)を少なくとも該容器本体(A)の上部に具備し、
上記バルブユニット(B)が、ベースプレート(b−1)、ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びにブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)及び(b−4)を少なくとも具備し、
上記容器管(a−1)と上記バルブユニット管(b−3)、上記容器管(a−2)と上記バルブユニット管(b−4)とが、着脱可能な接合部により接合されたバルブ付流体用容器。
【請求項2】
上記容器本体(A)が、該容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a’−1)を更に具備し、上記バルブユニット(B)が、上記ブロック集積バルブ(b−2)とは別のバルブ(b’−1)を更に具備し、上記容器管(a’−1)と上記バルブ(b’−1)とが着脱可能な接合部により接合された請求項1に記載のバルブ付流体用容器。
【請求項3】
上記ブロック集積バルブ(b−2)が、上記ベースプレート(b−1)上に水平方向に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ付流体用容器。
【請求項4】
上記ブロック集積バルブ(b−2)が、上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部とを連通する流路1、上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部とを連通する流路2、及びこれらの流路を連通させる流路3から構成される請求項1〜3のいずれかに記載のバルブ付流体用容器。
【請求項5】
上記流体が半導体製造用流体である請求項1〜4のいずれかに記載のバルブ付流体用容器。
【請求項6】
上記半導体製造用流体が、CVD又はALDプロセス用薬剤である請求項5に記載のバルブ付流体用容器。
【請求項1】
容器本体(A)、バルブユニット(B)、及び容器本体(A)上にバルブユニット(B)を容器本体(A)から離して保持固定するバルブユニット保持体(C)を有するバルブ付流体用容器であって、
上記容器本体(A)が、該容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a−1)及び(a−2)を少なくとも該容器本体(A)の上部に具備し、
上記バルブユニット(B)が、ベースプレート(b−1)、ベースプレート(b−1)上に設置されたブロック集積バルブ(b−2)、並びにブロック集積バルブ(b−2)に通じるバルブユニット管(b−3)及び(b−4)を少なくとも具備し、
上記容器管(a−1)と上記バルブユニット管(b−3)、上記容器管(a−2)と上記バルブユニット管(b−4)とが、着脱可能な接合部により接合されたバルブ付流体用容器。
【請求項2】
上記容器本体(A)が、該容器本体(A)の内部へ通じる容器管(a’−1)を更に具備し、上記バルブユニット(B)が、上記ブロック集積バルブ(b−2)とは別のバルブ(b’−1)を更に具備し、上記容器管(a’−1)と上記バルブ(b’−1)とが着脱可能な接合部により接合された請求項1に記載のバルブ付流体用容器。
【請求項3】
上記ブロック集積バルブ(b−2)が、上記ベースプレート(b−1)上に水平方向に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ付流体用容器。
【請求項4】
上記ブロック集積バルブ(b−2)が、上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部とを連通する流路1、上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部とを連通する流路2、及びこれらの流路を連通させる流路3から構成される請求項1〜3のいずれかに記載のバルブ付流体用容器。
【請求項5】
上記流体が半導体製造用流体である請求項1〜4のいずれかに記載のバルブ付流体用容器。
【請求項6】
上記半導体製造用流体が、CVD又はALDプロセス用薬剤である請求項5に記載のバルブ付流体用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−182927(P2007−182927A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1094(P2006−1094)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【出願人】(300065121)アデカ総合設備株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【出願人】(300065121)アデカ総合設備株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]