説明

バンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置

【課題】大きく大重量の被梱包物を梱包するためのバンド掛け機であっても、被梱包物に対するバンドの締め付け力が場所により片寄らず、全体的に略均等の力で引き締めることが可能なバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置を提供すること。
【解決手段】被梱包物Mに対しバンド29をループ状に巻きつけてバンドの先端部をバンド押さえ手段30で移動不能に押さえるとともに、バンドの供給側からバンド引き締め手段でバンドを引っ張って、バンドの引き締めを行なうバンド掛け梱包機において、バンド押さえ手段30およびバンド引き締め手段31を1つのユニット14内に構成し、このユニット14を、バンドの引き締め時には、バンドを締め付ける方向と反対のバンド緩め方向に移動させるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置に関し、詳しくは、被梱包物に巻き付けられたバンドの引き締め力を略均等にバランス良く分散させることが可能なバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は特許文献1に開示されている従来例のバンド掛け梱包機を示したものである。
このバンド掛け梱包機1では、バンドリール2に巻回された多量のバンドから数回程度の梱包に使用されるバンドを一旦プールボックス3内に収容し、このプールボックス3内から所定量のバンドを、制御ユニット4内に配置された正逆転ローラ5の正転駆動力によりバンド案内アーチ6側に送り出すとともに、バンド案内アーチ6に送り出されたバンドの先端を、スライドテーブル7の下方に付設されたストッパまで案内する。そして、そのストッパの位置でバンドの先端を待機させる。
【0003】
さらに、この待機位置からバンド先端が移動しないように、図6に示したように、押さえ部材9を下方からスライドテーブル7に向けて突出させ、この状態から正逆転ローラ5に逆回転駆動力を作用させると、図5のバンド案内アーチ6内に送り出されていたループ状のバンドはその逆転駆動力により再び供給側すなわちプールボックス3側に引き戻され、バンド引き戻しが完了する。また、このバンド引き戻しに引き続いてアーム状のバンド引き締め装置8が駆動され、そのバンド引き締め装置8によりバンドがさらに強固に引き締められて被梱包物Mに対するバンド掛けが完了する。
【0004】
すなわち、図6に示したように、先ず、正逆転ローラ5の逆転駆動力によりバンド29が矢印A方向に所定長さ引き戻され、これによりバンド案内アーチ6内に載置された被梱包物Mの周囲にバンド29が巻きつけられる。この状態では、バンドの巻き付けは未だ緩やかである。このバンドの引き戻しに引き続いてバンド29を噛み込んだバンド引き締め装置8が矢印B方向に回動され、これにより、被梱包物Mに対しバンド29が強く引き締められる。
【0005】
ところで、図6に示したように、バンド29の先端部を移動不能とするために下方から押さえ部材9でバンド29の下面を挟持してから、バンド29を矢印A方向に引き締めると、被梱包物Mに巻かれたバンド29は、引き締める側に近い程大きな力が作用する。例えば、バンド引き締め装置8により矢印A方向に引き締めると、被梱包物Mの第1コーナ部R1では最も強く締め付けられ、次の第2コーナ部R2、反対側の第3コーナ部R3、第4コーナ部R4に向かうにつれて、特に、第4コーナ部R4では被梱包物Mの荷重が抵抗として作用するので、バンドの締め付け力が弱くなる。
【0006】
すなわち、4点で比べれば、第1コーナ部R1が一番強く引き締められ、第2コーナ部R2、第3コーナ部R3、第4コーナ部R4に進むにつれて締め付け力が弱くなる。
ここで、被梱包物Mが軽量である場合などは、バンドの引き締めにより被梱包物Mが動いたり傾いたりするので引き締め力の不均衡を緩和することができるが、被梱包物Mが大重量である場合などは、バンドの引き締め力程度では被梱包物Mを動かすことができず、またバンドの接着後には両側の張力が均等になるため必要な張力を保てなくなり、荷崩れを発生させる原因になる。
【0007】
この荷崩れを防ぐには、締め付け力を必要以上に大きくすれば良いが、その場合には、被梱包物Mの第1コーナ部R1、第2コーナ部R2などに大きな力が作用し、被梱包物が柔軟な材質である場合などは、その被梱包物を破損させてしまうなどの問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3253233号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような実情に鑑み、被梱包物に対するバンドの締め付け力をバランス良く分散させることができるとともにバンドの張力が低下するのを防止し、これにより荷崩れの発生を防止し、また被梱包物の一部を破損させる虞のないバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法は、
被梱包物に対しバンドをループ状に巻きつけてバンドの先端部をバンド押さえ手段で移動不能に押さえるとともに、バンドの供給側からバンド引き締め手段でバンドを引っ張って、バンドの引き締めを行なうバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法であって、
前記バンド押さえ手段および前記バンド引き締め手段を1つのユニット内に構成し、このユニットを、前記バンドの引き締め時には、バンドを締め付ける方向と反対のバンド緩め方向に移動させるようにしたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係るバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め装置は、
被梱包物に対しバンドをループ状に巻きつけてバンドの先端部を押さえるバンド押さえ手段と、
前記バンド押さえ手段で移動不能に押さえられたバンドを引き締めるバンド引き締め手段と、
前記バンド押さえ手段および前記引き締め手段を搭載し、バンド搬送路に沿って移動可能に設置されたユニットと、
前記ユニットを移動可能状態または移動不能状態のいずれか一方に固定する固定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
このような構成の本発明に係るバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置によれば、バンドの引き締め時に、バンドを引き締める方向の力に対し反作用となる方向にバンド押さえ手段およびバンド引き締め手段などが収容されたユニットを移動させるので、被梱包物に対する締め付け力の分散化を図ることができる。
【0013】
すなわち、バンドの引き締めを緩める方向にユニットを移動させながらバンドを引き締めていくので、引き締め力を略均等にすることができる。これにより、バンドの張力が弱くなることはない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置によれば、被梱包物に対するバンドの締め付け力をバランス良く分散させることができるので、仮に大重量の被梱包物であるとしても、その被梱包物の周囲に適正な張力でバンド掛けを行なうことができる。また、バンドの張力ダウンに起因する荷崩れの発生を防止できる。また、被梱包物に必要以上の力を作用させる必要がないので、被梱包物の一部を破損させてしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置が適用されたバンド掛け梱包機の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したバンド掛け梱包機におけるバンドの案内通路を示した概略図である。
【図3】図3は、図1に示したバンド掛け梱包機において、被梱包物と昇降ユニットとの関係を示した概略図である。
【図4】図4は、図1に示したバンド掛け梱包機における昇降ユニット部分を斜め上方から見たときの斜視図である。
【図5】図5は、従来のバンド掛け機の一例を示した斜視図である。
【図6】図6は、特開2004−182289号に開示されている従来のバンド掛け梱包機に構成されたバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置が採用されたバンド掛け梱包機の一例を示したものである。
なお、図1に示したバンド掛け梱包機10は、大重量を有する大型の被梱包物のバンド掛けに適用されるもので、その被梱包物は、ローラーコンベアなどの搬送ラインによりバンド掛け梱包機10に搬送され、例えばパレットごと梱包される。
【0017】
このバンド掛け梱包機10では、図1において略中央部に被梱包物がセットされる矩形枠状の装置筐体12が構成されている。そして、この装置筐体12の図1において右方にプールボックス18が、装置筐体12の左方に動力源などの収容部19が設置されている。
【0018】
このようなバンド掛け梱包機10では、水平方向から被梱包物Mが搬送され、その被梱包物Mは装置筐体12の下方空間S内に配置され、その状態から昇降ユニット14が下方に移動して被梱包物Mの上面を押さえた状態にしてからバンド掛け梱包が行なわれる。
【0019】
さらに、このバンド掛け梱包機10では、被梱包物Mの高さが高い場合と、被梱包物Mの高さが低い場合とで、昇降ユニット14の降下する前の待機位置が異なるように設定されている。すなわち、被梱包物Mの高さが低い場合に昇降ユニット14が高い位置から下がってくると、被梱包物Mの上面に達するまでに無駄な距離を動くので、作業効率が悪くなる。
【0020】
一方、被梱包物Mの高さが高い場合は、昇降ユニット14が高い位置に配置されていないとバンド掛けを行なうことができない。よって、本実施例のバンド掛け梱包機10では、昇降ユニット14の待機位置が被梱包物の高さに応じて、低い位置と高い位置との2通りがあり、いずれかの位置が選択して用いられるように構成されている。
【0021】
図1において、昇降ユニット14が収納された装置筐体12の両側には、チェーンなどからなる一対の昇降手段16a,16bが上下方向に構成され、これらの昇降手段16a、16bにより昇降ユニット14の両端が支持された状態で、上下に均等に案内される。
【0022】
装置筐体12の高さ方向略中央付近には、水平方向に延びるバンド案内通路20が構成されている。このバンド案内通路20は、左右の支柱21,22側から半分ずつ反対側に向かって延出されることにより、一本の直線状の案内通路が形成されている。このバンド案内通路20は、被梱包物Mの高さが低い場合に上側通路として使用されるもので、被梱包物Mの高さが高い場合には使用されない。被梱包物Mの高さが高い場合のバンド案内通路(図示せず)は、昇降ユニット14を支持しているレール42と略同じ付近で水平方向に構成されている。
【0023】
以下、本実施例では、被梱包物Mの高さが高い場合であって、図示されたバンド案内通路20に代わって、高い位置のバンド案内通路が使用される例について説明する。
本実施例では、多量のバンドが巻回された図示しないバンドリールからプールボックス18内に収容されたバンド29は、プールボックス18から一旦装置筐体12の上方に案内され、その後、支柱22と平行に下方に導かれる。そして、バンド29の先端は、昇降ユニット14の下面の途中に待機される。
【0024】
この状態から、本実施例では、公知のバンド供給手段により被梱包物側にバンド供給が行なわれる。
すなわち、バンド供給が行なわれると、図2に示したように、水平方向に形成された図示しない案内通路を通されたバンド29は、昇降ユニット14の下方空間Sを囲繞するようにループ状に巻回され、その後略一回りしたバンド29の先端部29aが再び水平ラインで、支柱22側から支柱21側に向かう途中で、図示しないストッパに当接する。
【0025】
なお、図1には、上側のバンド案内通路20と平行な下側のバンド案内通路が図示されていないが、この下方のバンド案内通路は、バンド供給を行なう時に左右の支柱21,22側から反対側に向かって所定のタイミングで出没自在に突出して構成される。
【0026】
また、図2は、バンド供給が行なわれて、これからバンドの引き戻しと引き締めを行なう直前の状態を示しており、バンド29の先端部29aは、図示しないストッパに当接した状態を示している。
【0027】
以下、本発明の要部である昇降ユニット14について説明する。
図3に示したように、この昇降ユニット14には、バンド供給手段と、バンド供給手段により供給されたバンド先端部を把持する押さえ部材30と、バンドの引き戻し及びバンドの引き締めを行なう公知のバンド引き締め手段31と、バンドの溶着などを行なう溶着機構と、これらを駆動させるための駆動源などが搭載されている。押さえ部材30は、図6に示した従来の押さえ部材9と同様にバンド29の先端部29aを移動不能に押さえるためのもので、この実施例では、上方から下方に向かってバンド29の先端部29aをスライドテーブルに向かって押圧し、これによりバンド先端部29aの移動が防止される。
【0028】
バンド引き締め手段31は、揺動自在なテンションアーム31aと、このテンションアーム31aを所定のタイミングで揺動させるテンションシリンダ33などからなるもので、テンションシリンダ33のロッド33aの伸縮によりテンションアーム31aが揺動する。そして、テンションアーム31aが矢印B方向に回動することにより、バンド29の引き戻しと引き締めが行なわれる。
【0029】
本発明では、特にこの昇降ユニット14が上下方向の移動、すなわち図2に示した矢印D1−D2方向の移動に加えて、矢印C1−C2で示す水平方向へ移動を行なうように設定されている。
【0030】
この昇降ユニット14は、図4に示したように、水平方向に配置された2本のレール40,42間に跨って搭載され、レール40,42に対する昇降ユニット14の固定が解除されたときに、水平方向(矢印C1−C2方向)に移動可能となる。また、この昇降ユニット14は、レール40及びレール42の延出方向と直角な方向に伸縮する第1のシリンダ装置34と、レール40及びレール42と平行な方向に伸縮する第2のシリンダ装置35との2つのシリンダ装置を備えており、これらのシリンダ装置34,35を所定のタイミングで操作することにより水平方向への移動が可能となる。
【0031】
今、図4に示したように、第1のシリンダ装置34のロッド33の先端部33aが突出して、その先端部33aが固定側のブロック37と可動側のブロック38とに挿通されている。これにより、昇降ユニット14は、矢印C1−C2方向への移動が阻止されている。
【0032】
一方、第2のシリンダ装置35のロッド36の先端部36aは、昇降ユニット14の可動側のブロック38に当接している。なお、この第2のシリンダ装置35は、昇降ユニット14が矢印C1方向に移動して図の左方に位置している場合に、この昇降ユニット14を元の右位置に戻すために使用される。したがって、この第2のシリンダ装置35は、昇降ユニット14の固定には関わっていない。矢印C2方向に移動させるために作用する。
【0033】
図4の状態すなわち昇降ユニット14が移動不能に陥っている状態から先ず第1のシリンダ装置34のロッド33がシリンダケース34aに向かって移動することにより、昇降ユニット14の固定が解除される。また、これに続いて第2のシリンダ装置35のロッド36がシリンダケース35aに向かって移動することにより、昇降ユニット14は、矢印C1方向への移動スペースが第2のシリンダ装置35の前方に確保される。
【0034】
このように、第1のシリンダ装置34および第2のシリンダ装置35が図4の状態から上記の順番で動作することにより、昇降ユニット14の水平方向(矢印C1−C2方向)への移動が可能になる。この状態で昇降ユニット14を、レール40,42に沿って手で操作すれば矢印C1、C2のいずれの方向にも昇降ユニット14を移動させることができる。
【0035】
以下に、バンド掛け梱包機10の動作とともに昇降ユニット14の作用について、概略を説明する。
今、図示しないバンドリールから引き出されたバンド29の先端部29aが、昇降ユニット14の下面に待機している。これは、ループを描く前の状態である。この状態からバンド供給が行なわれる。なお、バンド掛けの動作自体は公知であり、本願の特徴要件ではないので、以下では、概要のみを説明する。
【0036】
先ず、操作スイッチが操作される。これにより、被梱包物側へのバンド供給が行なわれる。すなわち、バンドは図2に示したように被梱包物Mに対し反時計方向に回ってループ状に巻き掛けられ、バンド29の先端部29aが昇降ユニット14の下方に配置される。このとき、上方のバンドと下方のバンドとで二重に重ねあわせた状態になる。バンド先端部29aがこの位置に達したことを検知する信号に基づいて、昇降ユニット14が矢印D2方向に下降する。昇降ユニット14が下動すると、昇降ユニット14の下面に構成されたプレス板が被梱包物の上面を押圧し被梱包物Mを押さえ付ける。また、昇降ユニット14の下方への移動が完了した後、第1のシリンダ装置34と第2のシリンダ装置35の両シリンダ装置がこの順番で動作し、昇降ユニット14が矢印C1−C2方向にも移動可能になる。
【0037】
この昇降ユニット14が矢印C1−C2方向に移動可能になった状態からバンド29の引き戻しと引き締めがこの順番で行なわれる。すなわち、バンド引き締め手段31が動作を開始し、最初の動作により、ループ状に巻回されていたバンド29の引き戻しが行なわれる。次にバンド29の引き締めが行なわれる。
【0038】
バンドの引き締めに際しては、図3に示したように、バンド引き締め手段31のロッド33aがテンションシリンダ33側に引き戻されることにより、テンションアーム31aが矢印B方向に大きく回動する。これにより、テンションアーム31aに噛み込まれたバンド29が、矢印B方向に強く引っぱられる。
【0039】
このとき、バンド29は、被梱包物Mのコーナ部R1からコーナ部R2、R3,R4へと巻き掛けられているので、バンド29が矢印B方向に強く引っ張られることにより、移動が自由になった揺動ユニット14は引き締める力の反作用で矢印C1方向に移動することになる。この揺動ユニット14の移動距離は、バンド29を矢印B方向に引っ張った長さに相当する。このように本実施例では、バンド29を引き締めることにより、昇降ユニット14が矢印C1方向に移動する。
【0040】
ここで、被梱包物Mが大重量を有していれば、バンド29を強く引き締めても被梱包物Mが動いてしまうことはなく、昇降ユニット14のみが矢印C1方向に移動しながら、バンド29を引き締めることになる。
【0041】
したがって、本実施例では、昇降ユニット14が矢印C1方向に移動しながらバンド29を引き締めていくので、これまで力の作用が弱かったコーナ部R4,R3、R2などでも強い引き締め力が作用し、力の分散化が行なわれる。結局、本実施例でバンド29を引き締めたときには、どの位置であっても同じ程度の締め付け力を得ることができる。
【0042】
よって、このような引き締め装置を備えたバンド掛け梱包機10によれば、バンドの弛みが発生せず、確実な荷造りを行なうことができる。また、適度な張力を得るために必要以上の力を作用させる必要もないので、部分的に大きな力が掛かりすぎて物品を欠損してしまうこともない。
【0043】
なお、バンドの引き締めが完了した後に、公知のバンドの溶着と切断が行なわれ、バンド掛けが完了する。その後、図4に示した第2のシリンダ装置35のロッド36が矢印C2方向に突出する。この第2のシリンダ35のロッド36の突出により昇降ユニット14が矢印C2方向に押圧され、元の位置に復帰する。これに続いて、第1のシリンダ装置34のロッド33がブロック37,38側に向かって突出する。また、第1のシリンダ装置34のロッド33の突出により昇降ユニット14の水平方向の移動が阻止され、昇降ユニット14は矢印C1−C2方向に対し移動不能に固定される。その後、昇降ユニット14は上方すなわち図2に示した矢印D1方向に移動し元の位置に復帰する。
【0044】
このように、本実施例では、昇降ユニット14が移動しながらバンドの引き締めを行なうので、バンドの引き締め力を分散化することができる。
以上、本発明の一施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。
【0045】
例えば、上記実施例では、バンドの引き戻しとバンドの引き締めに同じテンションアーム31aを用いる例を示したが、これに代え、バンドを供給する方向とは反対側に回転する逆転駆動ローラでバンドの引き戻しとバンドの引き締めを行なうバンド掛け機にも適用可能である。このように、バンド引き締めおよびバンドの引き戻し手段は、テンションアーム31aに限定されない。
【0046】
また、本発明のバンド引き締め方法およびバンド引き締め装置が適用されるバンド掛け梱包機は、梱包機本体の外見上の形態に何ら限定されるものではない。すなわち、この種のバンド掛け梱包機においては、梱包すべき被梱包物の形状、性状、大きさなどにより梱包機本体の形態が種々提案されているが、いずれの梱包機であっても適用することが可能である。また、半自動のバンド掛け機にも適用可能である。
【0047】
また、上記実施例では、昇降ユニット14が被梱包物の上面に沿って水平方向に移動するように構成されているが、例えば、被梱包物Mの垂直な側面でバンドの引き締めやバンドの溶着を行なう場合は、昇降ユニット14を鉛直方向に移動させれば良い。要は、バンドの引き締め時に昇降ユニット14をそのバンドの引っ張り力で移動させれば、締め付け力の均等化を図ることができる。
【0048】
また、梱包対象となる被梱包物は、小型の被梱包物であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
10 バンド掛け梱包機
14 昇降ユニット
30 バンド押さえ手段
31 バンド引き締め手段
34 第1のシリンダ装置(固定手段)
35 第2のシリンダ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物に対しバンドをループ状に巻きつけてバンドの先端部をバンド押さえ手段で移動不能に押さえるとともに、バンドの供給側からバンド引き締め手段でバンドを引っ張って、バンドの引き締めを行なうバンド掛け梱包機におけるバンド引き締め方法であって、
前記バンド押さえ手段および前記バンド引き締め手段を1つのユニット内に構成し、このユニットを、前記バンドの引き締め時には、バンドを締め付ける方向と反対のバンド緩め方向に移動させるようにしたことを特徴とするバンド掛け機におけるバンド引き締め方法。
【請求項2】
被梱包物に対しバンドをループ状に巻きつけてバンドの先端部を押さえるバンド押さえ手段と、
前記バンド押さえ手段で移動不能に押さえられたバンドを引き締めるバンド引き締め手段と、
前記バンド押さえ手段および前記引き締め手段を搭載し、バンド搬送路に沿って移動可能に設置されたユニットと、
前記ユニットを移動可能状態または移動不能状態のいずれか一方に固定する固定手段と、を備えたことを特徴とするバンド掛け機におけるバンド引き締め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−222047(P2010−222047A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73577(P2009−73577)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000107697)ストラパック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】