説明

バンド掛け梱包機

【課題】メンテナンスのため、あるいはカッター下刃の交換などのために、中押さえ部材を取り外し、再度取り付ける場合に、右押さえ部材に対する擦り合わせ位置の調整を熟練者の勘に頼らず誰でも簡単に行うことのできるバンド掛け梱包機を提供する。
【解決手段】カム機構の作動により、上動あるいは下動させる工程の中で、中押さえ部材20に具備されたカッター下刃26と、右押さえ部材に具備されたカッター上刃とで構成されるカッター機構で前記バンド先端部を切断するようにしたバンド掛け梱包機において、 中押さえ部材を、胴部と、連結ピン30を介して着脱自在に取り付けられる頭部26とから構成し、これら胴部と頭部との接合面に弾性部材28を介在させることにより、頭部24を右押さえ部材側に常時傾倒させるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバンド掛け梱包機に関し、詳しくは、バンドを結束するために備えられた右押さえ部材、中押さえ部材、左押さえ部材のうち、引き締めが完了したバンドを切断する押さえ部材のカッター下刃と、右押さえ部材のカッター上刃とによるカッター手段の擦り合わせの調整を容易に行うことのできるバンド掛け梱包機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動あるいは半自動のバンド掛け梱包機では、バンドリールから引き出されたバンドが、被梱包物に巻き掛けられた後、クランプされ、引き続いてバンド供給側に引き戻され、引き締めされ、しかる後、切断と略同時にヒータで溶かされた結束部分がプレスで圧着されている。これらの動作は、通常、カム機構でタイミングがとられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3および図4はこのようなバンド掛け梱包機において、バンド先端部のクランプ、溶着、切断などの動作をカム機構に基づいて行うコントロール部の構造を示したものである。このバンド掛け梱包機では、被梱包物が載置されるスライドテーブル92の下端近傍に、右押さえ部材50,左押さえ部材52,中押さえ部材54の3部材が、鋳物などからなる一体構造の支持ブロック66内に収容されている。この支持ブロック66は、ネジ部材10により一対の定盤78,80間に移動不能に支持されている。
【0004】
一方、これら右押さえ部材50,左押さえ部材52,中押さえ部材54の下端部にはローラ63,59,61が取り付けられており、これらローラ63,59,61は共通のカム軸70に設けられたカム72,74,76に当接することによって、所定のタイミングで上下動するように構成されている。このように構成されたバンド掛け機では、これら右押さえ部材50,左押さえ部材52,中押さえ部材54と、支持ブロック66との間に、引っ張りスプリング86、88が配設され、これらの引っ張りスプリング86,88により各ローラ63,59,61が、それぞれカム72,74,76の周面から離反しないように引っ張られている。
【0005】
なお、引っ張りスプリング86,88は、支持ブロック66の外側に装着されるとともに、一端部がそれぞれスプリングフック82,83に係止され、他端部がスプリングフックピン84に係止されている。
【0006】
このようにして、引っ張りスプリング88の付勢力により中押さえ部材54の頭部64が右押さえ部材50側に引っ張られて、中押さえ部材54の頭部64に形成されたカッター下刃90と、右押さえ部材50に形成されたカッター上刃62とで構成されるカッター手段の切れ味が良好にされている。
【特許文献1】特開2002−68112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このようなバンド掛け機では、定期的なメンテナンスのため、あるいはカッター手段の切れ具合を良好にするために、特に、カッター下刃90が具備された中押さえ部材54の頭部64を取り外したり、中押さえ部材54を新たなものと交換したりすることがある。
【0008】
このように中押さえ部材54を分解したり、新たなものと交換したりする場合は、中押
さえ部材54の頭部64に形成されたカッター下刃90と右押さえ部材50に形成されたカッター上刃62との擦り合わせ関係を良好にしないと、たとえ引っ張りスプリング88の付勢力が働いてもカッター手段の切れ味が悪くなる。
【0009】
そこで、交換に際しては、中押さえ部材54の頭部64を取り外してから、新たな頭部64の取り付けを行う前に、中押さえ部材54の胴部60と右押さえ部材50の胴部56との間に擦り合わせ調整用のシムを挿入し、2部材間を最大に押し広げた状態にした上で、中押さえ部材54の頭部64を右押さえ部材50に形成されたカッター上刃62に適当な力で押し付けながら取り付け、擦り合わせ調整用のシムを取り除くといった作業を行なっていた。しかしながら、このような作業による中押さえ部材54の頭部64に形成されたカッター下刃90と右押さえ部材50に形成されたカッター上刃62との擦り合わせ状態を決定付ける重要な要素は、作業者による中押さえ部材54の頭部64を右押さえ部材50に形成されたカッター上刃62に押し付ける際の適当な力であるため、熟練者の勘に頼らざるを得ないという問題があった。
【0010】
本発明はこのような従来の実情に鑑み、メンテナンスのため、あるいはカッター下刃の交換などのために、中押さえ部材54を取り外し、再度取り付ける場合に、右押さえ部材のカッター上刃に対する擦り合わせ位置の調整を熟練者の勘に頼らず誰でも簡単に行うことのできるバンド掛け梱包機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るバンド掛け梱包機では、
カム軸の延伸方向と略平行に該カム軸の上方に直線的に並べられた右押さえ部材、左押さえ部材および中押さえ部材を、前記カム軸と前記カムとの間に構成されたカム機構の作動により、上動あるいは下動させる工程の中で、前記中押さえ部材に具備されたカッター下刃と、前記右押さえ部材に具備されたカッター上刃とで構成されるカッター機構で前記バンド先端部を切断するようにしたバンド掛け梱包機において、
前記中押さえ部材を、胴部とこの胴部に連結ピンを介して着脱自在に取り付けられる頭部とから構成し、これら胴部と頭部との接合面に弾性部材を介在させることにより、前記頭部を前記右押さえ部材側に常時傾倒させるようにしたことを特徴としている。
【0012】
このような構成の本発明では、中押さえ部材と右押さえ部材との間を最大に押し広げた状態にした上で、中押さえ部材の頭部を右押さえ部材に形成されたカッター上刃に適当な力で押し付けながら取り付け、擦り合わせ調整用のシムを取り除くといった、従来必要であった作業が不要となるので、中押さえ部材のカッター下刃と右押さえ部材のカッター上刃との間の擦り合わせ位置の調整を容易に行うことができる。
【0013】
ここで、本発明では、 前記弾性部材は圧縮コイルスプリングであることが好ましい。
このように、汎用な圧縮スプリングを採用することにより、安価でかつ容易な構造で実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示した実施例を参照しながら本発明の好ましい実施例について説明する。
図1および図2は本発明の一実施例によるバンド掛け梱包機の中押さえ部材20を示したもので、図1および図2の中押さえ部材20は、図3および図4に示した中押さえ部材54に相当している。
【0015】
この中押さえ部材20は、下端にローラ61を取り付けた中空円柱状の胴部22と、この胴部22の上端に着脱自在に取り付けられる角柱状の頭部24とを有している。この頭部24の頭頂部に、カッター下刃26が形成されている。また、頭部24は、下面側が開
口した断面コ字状に形成され、このコ字状の凹部が胴部22の凸部に、被さるように装着されている。
【0016】
一方、頭部24の内面には、円筒状の凹所が形成され、この凹所内に圧縮コイルスプリング28が装着されている。そして、胴部22と頭部24とは、圧縮コイルスプリング28が装着された後、スプリングフックとして使用されるピン30が挿入されることにより一体的に連結されている。なお、図2において、符号32は、ピン30の抜け止めを図るためのスナップリングを示したものである。
【0017】
このような構成の中押さえ部材20によれば、ピン30を中押さえ部材20の頭部24に挿入することにより、胴部22と頭部24との一体化を図ることができる。また、頭部24に対するピン30の挿入位置が、図示しない右押さえ部材52側に偏っているため、この頭部24は、圧縮コイルスプリング28の付勢力により、図1において常時、矢印A方向に回動するように押圧されることになる。
【0018】
したがって、この中押さえ部材20は、図3および図4に示した支持ブロック66内に右押さえ部材および左押さえ部材とともに装着された場合に、自然状態で右押さえ部材側にもたれかかるように傾倒することになる。これにより、中押さえ部材20のカッター下刃26と右押さえ部材のカッター上刃との間で、カッター手段が構成される。
【0019】
よって、本実施例によれば、右押さえ部材のカッター上刃(図3における右押さえ部材50のカッター上刃62に相当)と中押さえ部材20のカッター下刃26との間を互いに引き合わせる引っ張りスプリングなどが特に必要でない。また、カッター下刃とカッター上刃とのカッター手段の綿密な調整が不要になる。したがって、誰でも簡単に、カッター下刃26の交換などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の一実施例に採用された中押さえ部材の構成を透視すて示した概略図である。
【図2】図2は図1に示した中押さえ部材の斜視図である。
【図3】図3は従来のバンド掛け梱包機のコントロール部の分解斜視図である。
【図4】図4は図3のコントロール部のカム機構を示した正面図である。
【符号の説明】
【0021】
20 中押さえ部材
22 胴部
26 カッター下刃
30 ピン
50 右押さえ部材
52 左押さえ部材
54 中押さえ部材
62 カッター上刃
70 カム軸
90 カッター下刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム軸の延伸方向と略平行に該カム軸の上方に直線的に並べられた右押さえ部材、左押さえ部材および中押さえ部材を、前記カム軸と前記カムとの間に構成されたカム機構の作動により、上動あるいは下動させる工程の中で、前記中押さえ部材に具備されたカッター下刃と、前記右押さえ部材に具備されたカッター上刃とで構成されるカッター機構で前記バンド先端部を切断するようにしたバンド掛け梱包機において、
前記中押さえ部材を、胴部とこの胴部に連結ピンを介して着脱自在に取り付けられる頭部とから構成し、これら胴部と頭部との接合面に弾性部材を介在させることにより、前記頭部を前記右押さえ部材側に常時傾倒させるようにしたことを特徴とするバンド掛け梱包機。
【請求項2】
前記弾性部材は圧縮コイルスプリングであることを特徴とする請求項1に記載のバンド
掛け梱包機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−127066(P2008−127066A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314253(P2006−314253)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000107697)ストラパック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】