説明

バーベキュー用コンロ

【課題】調理使用中(火の使用中)に、火床部に燃料補給を可能とするために、火床部を引き出し状に組み込んだバーベキュー用コンロにおいて、燃料補給時の作業の安全性を図る。
【解決手段】脚(脚縦杆、継脚体2)で支持され且つ上部に調理板部(焼き網体5)を載置する枠状本体1における対向辺に、レール部(レール横杆12)を架設すると共に前記レール部を枠状本体から枠外に延伸(突出レール部31)し、枠状本体と対応した大きさの箱型火床体4を、前記レール部に移動可能に載置すると共に、レール部上のスライド移動における火床体の枠外への突出に際してレール部から火床体が離脱するのを防止するストッパー部32を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料補給構造に特徴を備えたバーベキュー用コンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーベキュー用コンロは種々の構造のものが知られているが、コンロ本体上に焼き網を配置した状態で、焼き網を移動させること無く燃料補給を可能にすると、焼き網上に食品が載置された焼調理中であっても、何ら支障なく木炭などの補充ができる便利さがある。この解決手段として、火床部を引き出し状態で組み込んだ構造のコンロが知られている(特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1(実開平7−24232号公報)に開示されているコンロは、箱枠型本体の上面に焼き網を載置し、本体前面を開口すると共に、本体内側壁にレール部(L状薄板)を設け、皿状の火床板を引き出し状に組み込んでいるものである。
【0004】
また特許文献2(特開平7−255610号公報)に開示されているコンロは、箱型本体を上下二分し、上方本体を脚で支持し、火床部となる下方本体を引き出し状に吊下げているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−24232号公報。
【特許文献2】特開平7−255610号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
火床部となる部分を引き出し状に組み込むことで、調理使用中であっても支障なく燃料補給を実施できるが、前記の燃料補給に際して火床部を引き出した際に、大きく引き出すと火床部を手で支持した状態で燃料(木炭)補給作業を行なわなければならなく、また小さく引き出すと火床部の所望位置に燃料を配置することができない。
【0007】
更に誤って引き出しすぎて、火床部が本体部から外れると、燃焼中の燃料(赤熱した木炭)が存在する火床部が傾斜し、燃焼中の燃料が零れ落ち非常に危険である。
【0008】
そこで本発明は、調理中でも安全に且つ容易に燃料補給作業を実施できる新規なバーベキュー用コンロを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1)に係るバーベキュー用コンロは、脚で支持され且つ上部に調理板部を載置する枠状本体における対向辺に、レール部を架設すると共に前記レール部を枠状本体から枠外に延伸し、枠状本体と対応した大きさの箱型火床体を、前記レール部に移動可能に載置すると共に、レール部上のスライド移動における火床体の枠外への突出に際してレール部から火床体が離脱するのを防止するストッパー部を設けてなることを特徴とするものである。
【0010】
従って箱型火床体を、前記レール部に載置するので、火床部となる部分を引き出し状に組み込むことで、調理使用中(火を使用中)であっても支障なく燃料補給を実施でき、特に火床体を引き出した際にもレール部で支持されるので、両手による作業を行うことができ、更にストッパー部によって火床体がレール部から外れて引き出されることがない。
【0011】
また本発明(請求項2、3)に係るバーベキュー用コンロは、レール部の枠外突出端部間を連結して、レール部の枠外突出部分をコ状に形成してストッパー部とし、更に前記コ状突出レール部を独立部材(突出レール体)に形成すると共に、枠状本体の端部に位置するレール部端と継差し連結可能に設けてなることを特徴とするもので、突出レール部が棒状突出とならないので、突出レール部の強度向上が図られ、また分離構造とすることで、分解収納に際して枠状本体部をコンパクトにすることができる。
【0012】
本発明(請求項4)に係るバーベキュー用コンロは、四隅の脚縦杆と、レール部を構成するレール横杆と、レール横杆の隣接辺において、火床体のスライド移動に支障ない位置で脚縦杆を連結する横杆とで、枠状本体の骨組みを構成してなるもので、荷重の加わるレール部を骨組み構造の主体とすることで、堅牢性が高められると共に、製造も容易となる。
【0013】
本発明(請求項5)に係るバーベキュー用コンロは、箱型火床体が、枠状本体上方から着脱可能な大きさに形成すると共に、持ち上げ用取っ手を上下出没構造で付設し、突出レール部形成側となる側面に、枠状本体の上方開口部からの出し入れが可能となる引き出し用取っ手を設けてなるもので、枠状本体への組み込みは上方開口箇所から実施され、火床体のレール部上のスライド移動に際しては、持ち上げ用取っ手が火床体に没入して火床体の引き出しを可能となる。
【0014】
本発明(請求項6)に係るバーベキュー用コンロは、コ状突出レール部に着脱装着可能としたテーブル体を付属させてなるもので、テーブル体を突出レール部に装着すると、コンロのサイドテーブルとして使用できると共に、火床体の引き出し移動が阻止されるので、より安全にコンロを使用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明(請求項1)の構成は上記の通りであるから、調理使用中であっても燃料補給が実施でき、前記作業が両手による実施となり、又火床体が枠状本体から外れるのを防止しているので、調理中(火床体で火を使用している最中)でも安全に且つ容易に燃料補給作業を実施できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の分解斜視図。
【図2】同組立状態の各部材の斜視図。
【図3】同使用状態の全体斜視図(前方斜視)。
【図4】同使用状態の全体斜視図(後方斜視)。
【図5】同使用状態の全体斜視図(引き出し直前の状態)。
【図6】同使用状態の全体斜視図(燃料補給状態)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示したバーベキュー用コンロは、枠状本体1と、継脚体2と、突出レール体3と、箱型火床体4と、焼き網体(調理板部)5と、テーブル体6で構成される。
【0018】
枠状本体1は、下方開口のコ状パイプ11を左右に配置し、前後を横パイプ(レール横杆:レール部)12で連結して全体の骨組みを構成してなり、コ状パイプ11の縦杆が脚縦杆13となり、適宜な連繋構造で継脚体2が連結され、コ状パイプ11の横杆が連結横杆14となる。
【0019】
また前記レール横杆12は、前記連結横杆14の下方で後述する箱型火床体4のスライド移動に支障が生じないように架設してなると共に、左右の一方において連結され、他方は枠状本体1の端面に臨んで抜き差し連結可能な構造としたものである。
【0020】
また脚縦杆13前後において、頂部に網体5の載置部を設けた前後板15を設けてなる。
【0021】
突出レール体3は、コ状パイプで、対向辺は前記レール横杆12に連結されて突出レール部31を構成し、端辺はストッパー部32を構成するものである。
【0022】
箱型火床体4は、箱状本体41と火皿42で構成され、箱状本体41は、枠状本体1の上方開口部からの出し入れが可能な大きさで、前後上縁部にレール横杆12上に載置される縁部43を備え、また左右端縁には、持ち上げ用取っ手44を付設し、突出レール部31形成側となる側面に、引き出し用取っ手45を設けたものである。
【0023】
特に持ち上げ用取っ手44は、上下出没可能な構造で付設し、引き出し用取っ手45は、煽り回動動作が可能とし、垂下時に枠状本体の上方開口部からの出し入れを可能とし、且つ把手部分が箱状本体41から下方に適宜離れた位置となるように設けたものである。
【0024】
焼き網体5は、枠状本体1の上方開口部に載置される大きさとしたものである。尚焼き網体に替えて鉄板や、鉄板と網体を備えたその他の調理板を採用しても良い。
【0025】
テーブル体6は、突出レール体3に着脱自在に装着される構造を備えたものである。
【0026】
而して各部材は図1に例示するとおり分解状態で収納運搬され、使用時に枠状本体1と継脚体2と突出レール体3を組み立て、箱型火床体4を枠状本体1の上方開口部から差し入れてレール横杆12上に載置し、テーブル体6を突出レール体3に装着し、箱型火床体4に燃料Aを入れ点火し、焼き網体5を装着し、焼き網体5上で食品の焼調理を行なうものである。
【0027】
調理中に、燃料(木炭等)の追加補給が必要となった場合には、テーブル体6を外し、引き出し用取っ手45を持って引き出すと、箱型火床体4は、レール横杆12と連続する突出レール部31に添って移動し、火床体4の端部がストッパー部32に衝突すると引き出しが制止される。
【0028】
当該状態で木炭A等の燃料補給を行うもので、焼き網体5上に食品が存在した状態でも支障なく、且つ安全に燃料補給が可能となるものである。
【0029】
特に引き出し用取っ手45は把手部が箱状本体41と離れているので、熱くなり難いので、引き出し操作が容易であり、また持ち上げ取っ手44を備えているので、調理終了後の火床体4の取り出しが容易で、且つ引き出し操作の邪魔にならない。
【0030】
尚本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、引き出し方向は左右双方から行なえるようにしても良いし、突出レール部を独立部材とせずに、枠状本体のレール部から引き出す構造等を採用しても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 枠状本体
11 コ状パイプ
12 レール横杆(レール部)
13 脚縦杆
14 連結横杆
15 前後板
2 継脚体
3 突出レール体
31 突出レール部
32 ストッパー部
4 箱型火床体
41 箱状本体
42 火皿
43 縁部
44 持ち上げ用取っ手
45 引き出し用取っ手
5 焼き網体(調理板部)
6 テーブル体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚で支持され且つ上部に調理板部を載置する枠状本体における対向辺に、レール部を架設すると共に前記レール部を枠状本体から枠外に延伸し、枠状本体と対応した大きさの箱型火床体を、前記レール部に移動可能に載置すると共に、レール部上のスライド移動における火床体の枠外への突出に際してレール部から火床体が離脱するのを防止するストッパー部を設けてなることを特徴とするバーベキュー用コンロ。
【請求項2】
レール部の枠外突出端部間を連結して、レール部の枠外突出部分をコ状に形成してストッパー部としてなる請求項1記載のバーベキュー用コンロ。
【請求項3】
コ状突出レール部を独立部材に形成すると共に、枠状本体の端部に位置するレール部端と継差し連結可能に設けてなる請求項2記載のバーベキュー用コンロ。
【請求項4】
四隅の脚縦杆と、レール部を構成するレール横杆と、レール横杆の隣接辺において、火床体のスライド移動に支障ない位置で脚縦杆を連結する横杆とで、枠状本体の骨組みを構成してなる請求項2又は3記載のバーベキュー用コンロ。
【請求項5】
箱型火床体が、枠状本体上方から着脱可能な大きさに形成すると共に、持ち上げ用取っ手を上下出没構造で付設し、突出レール部形成側となる側面に、枠状本体の上方開口部からの出し入れが可能となる引き出し用取っ手を設けてなる請求項2乃至4記載の何れかのバーベキュー用コンロ。
【請求項6】
コ状突出レール部に着脱装着可能としたテーブル体を付属させてなる請求項2乃至4記載の何れかのバーベキュー用コンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−287919(P2009−287919A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206558(P2009−206558)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3130580号
【原出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000111867)パール金属株式会社 (15)