説明

バーベキュー用コンロ

【課題】調理時の火力調整のための調理部の高さ調整を容易に行うことができ、また調理中の燃料補給も容易に行なえるバーベキュー用コンロを提供する。
【解決手段】火床部を備えた箱状本体11と、前記箱状本体の上部に、食品の加熱調理を行う調理部(網体等)2を配置してなるコンロにおいて、前記調理部に、箱状本体周壁に沿う支持脚部(一方を傾斜支持脚32とする)を垂設し、前記傾斜支持脚の傾斜角度方向にスライド移動するガイド機構(傾斜ガイド孔34と、突軸33)を設け、前記傾斜支持脚の下面側と、前記下面と対接する箱状本体周壁側との間に係止機構(ガイド枠35と係止凹部36)を設け、傾斜支持脚の傾斜角度で移動すると共に、調理部の自重によって所定位置で係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火床と焼き網や鉄板等との距離(火力)を調整でき、また調理途中に燃料補給ができるようにしたバーベキュー用コンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーベキュー用コンロは種々のものが知られているが、火床と焼き網や鉄板等との距離(調理火力)を調整できるようにしたものとしては、箱型容器状本体(火床となる)の周壁に支持柱を起立させ、当該支持柱に焼き網や鉄板の載置部を多段に設け、前記載置高さを選択して焼き網・鉄板を装着する構造が知られている(特許文献1,2)。
【0003】
また箱型容器状本体(火床となる)の対向周壁に架設した少なくとも2個以上の支持腕杆の上に焼き網・鉄板を載置し、前記支持腕杆を回動固定して焼き網・鉄板の高さを設定している構造も知られている(特許文献3)。
【0004】
更に調理途中に木炭等の燃料を補給できるコンロとしては、特許文献4(特許3857577号公報)に示すように、調理板部に付設した回動脚の先端を本体に回動可能に装着し、回動脚の回動で調理板部を本体の背面上方に移動させ、本体の上面の前方側を開口して本体への燃料供給を可能としている器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録864059号公報。
【特許文献2】特開平9−84700号公報。
【特許文献3】実登2537798号公報。
【特許文献4】特許3857577号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の特許文献1,2記載の支持柱を採用する構造においては、載置箇所の選択のために焼き網・鉄板を所望の箇所に載置する必要があり、狭い載置部に焼き網・鉄板を正しく載置する必要があり載置作業が煩雑であると共に、焼き網・鉄板を低い位置に載置した場合に、支持柱が焼き網・鉄板の周囲に直立することになり、調理作業の邪魔になるという問題も有する。勿論調理途中の燃料補充も本体と調理板部との隙間から行なうことになり、実質的に燃料補充は困難である。
【0007】
また前記の特許文献3記載の回動支持腕を採用する構造においては、調理作業における障害は生じないが、回動支持腕が所定位置で固定状態とするための操作機構が必要であり、製造上煩雑であるという問題を有している。勿論特許文献1,2,3開示の器具では、調理途中の燃料補充も本体と調理板部との隙間から行なうことになり、実質的に燃料補充は困難である。
【0008】
また特許文献4記載の器具は、調理板部を回動操作させるために左右回動脚と連続した操作杆を備えており、通常の調理時には前記操作杆が本体外(本体前方)に位置しているが、燃料供給時には本体の上方に位置することになって熱くなるという問題があるし、また多段の火力調整ができない。
【0009】
そこで本発明は、調理部の高さ調整並びに調理中の燃料補給も容易に行なうことができる操作性・作業性に優れた新規なバーベキュー用コンロを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るバーベキュー用コンロは、脚を備えると共に、火床部を内設し、周壁適宜位置に空気孔を設けた箱状本体と、前記箱状本体の上部に、食品の加熱調理を行うことのできる調理部を配置してなるコンロにおいて、前記調理部に、箱状本体周壁に沿う支持脚部を垂設し、前記支持脚部と周壁との間に、調理部の上下方向へのスライド移動のためのガイド機構及び調理部の高さ位置設定を行う係止機構を設けてなることを特徴とするものである。
【0011】
従って調理部を上方に持ち上げ、所望位置で支持脚部を箱状本体周壁に係止すると、調理部と火床部との距離を調整でき、所望の火力による調理が可能となる。
【0012】
本発明(請求項2)に係るバーベキュー用コンロは、前記構成において、更に支持脚部を構成する支持脚のうち、対向する一対を傾斜支持脚とし、前記傾斜支持脚の傾斜角度方向にスライド移動するガイド機構を設け、前記傾斜支持脚の下面側と、前記下面と対接する箱状本体周壁側との間に係止機構を設けてなるものであるから、傾斜支持脚の傾斜角度で移動すると共に、調理部の自重によって所定位置で簡単に係止でき、且つ調理部の持ち上げで係止解除がなされるもので、操作性において優れたものとなり、また上方移動とともに背面側に移動して本体の上方開口部の前方側が開口するので燃料補給を容易に行うことができる。
【0013】
また本発明(請求項4)に係るバーベキュー用コンロは、調理部を、支持脚を備えると共に両側外方に把手部を付設した枠体と、枠体内に配置できる調理板部で構成したもので、調理板部として鉄板や網体或いは双方の組み合わせを採用でき、また外方突出の把手部によって調理部の上下操作を安全に且つ容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記の構成であるから、非常に簡単な構造の採用によって調理部の高さ調整が容易に行うことができ、しかも高さ調整のための構造物が調理作業の邪魔にならないものである。またスライド方向を斜め後方とすることで、調理途中の燃料補給も容易に実施することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の全体斜視図(調理時)。
【図2】同図(調理部の引上げ状態)。
【図3】同断面図(調理時)。
【図4】同図(調理部の引上げ状態)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施の形態について説明する。実施形態に示したバーベキュー用コンロは、基本的には従前の物と同様で、本体部1と、調理部2と、調理部2の支持機構3で構成されている。
【0017】
本体部1は、箱状本体11に適宜な脚12を備え、箱状本体11の内部に火床部13を内設すると共に、周壁の適宜位置に多数の空気孔14を設けたものである。
【0018】
調理部2は、側方へ突出させた把手部21を付設したL状断面の枠体22と、前記枠体22の内側に載置される調理板部(鉄板23、網体24)とで構成される。
【0019】
支持機構3は、ガイド機能と係止機能を備えるもので、枠体の側面前方側より垂設した前方支持脚31と、側面後方側から前方支持脚31の下方へ垂設した傾斜支持脚32を備え、前記支持脚31,32の交差箇所に側方へ突出する突軸33を形成する。
【0020】
また箱状本体11の傾斜支持脚32の下方部分と対面する周壁に傾斜ガイド孔34を設けて、前記突軸33を傾斜ガイド孔34にスライド可能に挿通してなる。
【0021】
更に傾斜支持脚32の上方部分と対面する周壁に傾斜支持脚32が通過するガイド枠(係止部)35を設け、傾斜支持脚32の下面側に、前記ガイド枠35と対接する位置に、適宜間隔で係止凹部36を設けてなる。
【0022】
而して突軸33が傾斜ガイド孔34の最下方に位置すると、当該位置で枠体22の側方把手部21が箱状本体11の上縁に載置された状態や、或いは傾斜支持脚32の係止凹部36がガイド枠35に係止した状態で調理部2が最下方位置で収まり、通常の加熱調理の状態となる。
【0023】
次に調理途中において、燃料補充が必要となったり、火力調整が必要となった場合には、本体部1の後方に立ち、把手部21を持って傾斜ガイド孔34の方向に引上げると、係止凹部36のガイド枠35への係止が解除(調理部2を持ち上げると解除される)され、傾斜支持脚32の傾斜方向に調理部2を移動させ、適宜間隔で設けられている係止凹部36を適宜選択してガイド枠35に係止(調理部2の自重で係止される)すると、当該位置で調理部2が安定する。
【0024】
従って係止凹部36の間隔に対応して調理部2の高さを任意に調整することで、調理火力の調整が可能となるものである。また調理部2の上方移動とともに背面側に移動し、箱状本体11の上方開口部の前方側が開口するので、燃料補給を容易に行うことができるものである。
【0025】
尚係止構造における係止凹部36は、所望の間隔で任意に設けることで、微妙な火力調整も可能であり、また係止機構は、前記のガイド枠と係止凹部の係合構造に限定されるものではなく、傾斜ガイド孔34に設けた多段凹部と突軸33との係合構造を採用するなど任意に定められるものである。
【符号の説明】
【0026】
1 本体部
11 箱状本体
12 脚
13 火床部
14 空気孔
2 調理部
21 把手部
22 枠体
23 鉄板(調理板部)
24 網体(調理板部)
3 支持機構
31 前方支持脚
32 傾斜支持脚
33 突軸
34 傾斜ガイド孔
35 ガイド枠(係止部)
36 係止凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚を備えると共に、火床部を内設し、周壁適宜位置に空気孔を設けた箱状本体と、前記箱状本体の上部に、食品の加熱調理を行うことのできる調理部を配置してなるバーベキュー用コンロにおいて、前記調理部に、箱状本体周壁に沿う支持脚部を垂設し、前記支持脚部と周壁との間に、調理部の上下方向へのスライド移動のためのガイド機構及び調理部の高さ位置設定を行う係止機構を設けてなることを特徴とするバーベキュー用コンロ。
【請求項2】
支持脚部を構成する支持脚のうち、対向する一対を傾斜支持脚とし、前記傾斜支持脚の傾斜角度方向にスライド移動するガイド機構を設け、前記傾斜支持脚の下面側と、前記下面と対接する箱状本体周壁側との間に係止機構を設けてなる請求項1記載のバーベキュー用コンロ。
【請求項3】
支持脚を前方鉛直脚と後方傾斜脚とで三角形状に形成し、交差箇所に突軸を形成すると共に、前記突軸が貫通する傾斜ガイド孔を箱状本体周壁側に設けてガイド機構としてなる請求項2記載のバーベキュー用コンロ。
【請求項4】
調理部を、支持脚を備えると共に両側外方に把手部を付設した枠体と、枠体内に配置できる調理板部で構成した請求項1乃至3記載の何れかのバーベキュー用コンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−2177(P2010−2177A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231303(P2009−231303)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3130874号
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000111867)パール金属株式会社 (15)