説明

パイロット式流調弁装置

【課題】閉弁時において主弁やパイロット弁が主弁座やパイロット弁座に押し付けられて主弁やパイロット弁が損傷するのを良好に防止することができ、また併せて流量調節機能を安定して良好に行うことのできるパイロット式流調弁装置を提供する。
【解決手段】主弁16と、背圧室24と、導入小孔26と、パイロット水路28と、パイロット弁30と、駆動軸42とを備え、パイロット弁30の進退運動に追従して主弁16を進退運動させて主水路の流量調節を行うパイロット式流調弁装置10において、駆動軸42を2次側の流出水路14の側から主弁16を貫通してパイロット弁30を駆動するようになし、且つ駆動軸42はパイロット弁30と別体に構成して、閉弁操作の際に駆動軸42の先端をパイロット弁30から分離して流出水路14側の後退方向に引込可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は流調弁装置に関し、詳しくは小さな操作力で簡単に操作することのできるパイロット式流調弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より水栓として各種のものが用いられているが、これら水栓は主水路の開度を変化させる主弁を主弁座に対して接近離間方向に進退運動させる際に大きな力を要し、操作が重いといった問題があった。
そこで水栓における操作を軽くする手段として、かかる水栓をパイロット式流調弁装置、即ちパイロット弁を進退運動させることによって主弁をこれに追従して進退運動させ、主水路の開度を変化させる方式のパイロット式流調弁装置を内蔵した水栓とすることが考えられる。
【0003】
例えば下記特許文献1にこの種パイロット式流調弁装置の構成が開示されている。図5はその具体例を示している。
同図において200,202は主水路を形成する1次側の流入水路,2次側の流出水路で、204はその主水路上に設けられたダイヤフラム弁から成る主弁である。
この主弁204は、主弁座206に対し接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させ、その開度に応じて主水路における流量を調節する。
【0004】
208は主弁204の背後に形成された背圧室で、この背圧室208は、主弁204に対して内部の圧力を閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁204には、これを貫通して流入水路200と背圧室208とを連通させる導入小孔210が設けられている。
この導入小孔210は、流入水路200からの水を背圧室208に導いて背圧室208の圧力を増大させる。
主弁204にはまた、これを貫通して背圧室208と流出水路202とを連通させる水抜水路としてのパイロット水路212が設けられている。
このパイロット水路212は、背圧室208内の水を流出水路202に抜いて背圧室208の圧力を減少させる。
【0005】
214は駆動軸216に一体運動状態に設けられたパイロット弁で、このパイロット弁214が主弁204に設けられたパイロット弁座218に対し図中上下方向、即ち主弁204の進退方向と同方向に進退運動することでパイロット水路212の開度(背圧室208に対する開度)が変化せしめられる。
図5において220はパイロット弁214を駆動軸216とともに進退駆動させる電気的駆動装置である。
【0006】
この図5に示すパイロット式流調弁装置にあっては、パイロット弁214がパイロット弁座218に向かって前進運動すると、パイロット弁214とパイロット弁座218との隙間が小さくなってパイロット水路212の開度が小となり、背圧室208からパイロット水路212を通じて流出水路202に抜ける水の量が少なくなって背圧室208の圧力は増大する。
また一方パイロット弁214が図中上向きに後退運動すると、パイロット弁214とパイロット弁座218との隙間が大きくなってパイロット水路212の開度が大となり、ここにおいて背圧室208からパイロット水路212を通じて流出水路202に抜ける水の量が多くなって背圧室208の圧力が減少する。
そして主弁204は、その背圧室208の圧力と流入水路200の圧力とをバランスさせるようにして、パイロット弁214の進退運動に追従して図中上下方向に進退運動し、主水路の開度を変化させる。
そしてその主水路の開度の変化に応じて、流入水路200から流出水路202への水の流量が調節される。
【0007】
この図5に示すパイロット式流調弁装置にあっては、背圧室208の圧力の増減に基づいて主弁204を進退運動させ、そしてその背圧室208の圧力の増減をパイロット弁214の進退運動により制御するようになしていることから、小さい力で主弁204を開閉動作させることができ、軽い操作で流量調節を行うことができる特長を有する。
【0008】
しかしながらこの図5に示すパイロット式流調弁装置の場合、閉弁時において駆動軸216を図中下向きに押し出したときに、パイロット弁214が主弁204に強く押し付けられ、更にかかるパイロット弁214を介して主弁204が主弁座206に強く押し付けられ、これにより主弁204が傷められ、更にはパイロット弁214が傷められてしまう恐れがある問題を有していた。
更にはまた、駆動軸216が傾いた姿勢となるとパイロット弁214もまたこれと一体に傾いた姿勢となり、このことにより流量調節機能が損われたり、安定しなかったりする恐れがある問題を有していた。
【0009】
尚、下記特許文献2には駆動軸を2次側の流出水路の側から主弁を貫通してパイロット弁を進退駆動するようになし、これにより流量調節を行うようになしたものが開示されている。
この特許文献2に開示のものは、駆動軸の後退方向への引込運動によってパイロット弁を閉弁方向に前進運動させるものであり、閉弁時において駆動軸の引込みが過大となったときにパイロット弁がパイロット弁座に対して、更に主弁が主弁座に対して強く押し付けられ易く、従ってこの特許文献2に開示のものにおいても主弁及びパイロット弁が傷められ易い問題がある。
【0010】
またこの特許文献2に開示のものにおいても、駆動軸が傾いた姿勢にあると、これとともにパイロット弁も傾いた姿勢となり、流量調節機能が良好に行われなかったり、安定しなかったりする問題が生ずる。
そしてこの特許文献2にはこれらの問題を解決するための具体的な手段については何ら開示されてはいない。
【0011】
【特許文献1】特開平4−302790号公報
【特許文献2】特開2003−278939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、閉弁時において主弁やパイロット弁が主弁座やパイロット弁座に強く押し付けられて主弁やパイロット弁が損傷するのを良好に防止することができ、また併せて流量調節機能を安定して良好に行うことのできるパイロット式流調弁装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、(イ)主弁座に接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させる主弁と、(ロ)該主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(ハ)前記主水路における1次側の流入水路の水を該背圧室に導いて該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と、(ニ)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と、(ホ)前記主弁に設けられたパイロット弁座に対して接近離間方向に進退運動して該パイロット水路の開度を変化させるパイロット弁と、(ヘ)該パイロット弁を駆動する駆動軸と、を備え、該パイロット弁の進退運動に追従して前記主弁を進退運動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式流調弁装置において、前記駆動軸を前記2次側の流出水路の側から前記主弁の貫通孔を通じて前記パイロット弁を駆動させるようになし、且つ該駆動軸は該パイロット弁と別体に構成して先端を該パイロット弁に当接させるようにし、閉弁操作の際に該駆動軸の先端を該パイロット弁から分離して前記流出水路側の後退方向に引込可能となしたことを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、駆動軸を2次側の流出水路の側から主弁を貫通してパイロット弁を駆動させるようになし、且つ駆動軸はパイロット弁と別体に構成して先端をパイロット弁に当接させるようにし、そして閉弁操作の際に駆動軸の先端をパイロット弁から分離して流出水路側の後退方向に引込可能となしたもので、この発明によれば、閉弁時において駆動軸の後退移動によりパイロット弁を主弁のパイロット弁座に、また主弁を主弁座に対して強く押し付けてしまうといったことがなく、従ってそれら押付けに起因して主弁やパイロット弁が傷んでしまうのを良好に防止することができる。
【0015】
また駆動軸がパイロット弁と別体且つ分離可能となしてあり、そして駆動軸の先端をパイロット弁に当接させ、その状態で駆動軸の前進,後退移動に伴ってパイロット弁を後退及び前進運動させるようになしていることから、駆動軸が傾いた姿勢となることがあった場合においても、そのことによってパイロット弁が強制的に傾き姿勢とされてしまうことを防止でき、このことによって流量調節機能を安定して良好に行うことができる。
【0016】
本発明では、主弁の貫通孔に挿通した駆動軸の外周面と貫通孔の内周面との間に上記パイロット水路を形成するようになしておくことができる。
また本発明では、パイロット弁を前進方向に即ち閉弁方向に付勢する復帰スプリングを設けておくことができ、このようにしておけば駆動軸の後退移動時に、その復帰スプリングの付勢力に基づいて駆動軸とは別体をなすパイロット弁を良好に前進運動させることができる。
またパイロット弁はプランジャにて構成しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態のパイロット式流調弁装置で、12,14は主水路を形成する1次側の流入水路,2次側の流出水路で、16はその主水路上に設けられたダイヤフラム弁から成る主弁である。
【0018】
主弁16は、主弁本体18とこれにより保持されたゴム製のダイヤフラム膜20とから成っている。
この主弁16は、主弁座22に対して接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させる。
詳しくは、主弁座22への着座によって主水路を遮断し、また主弁座22から図中上向きに離間することによって主水路を開放する。
【0019】
また主弁座22からの離間量に応じて主水路の開度を大小変化させ、主水路を流れる水の流量を調節する。
この主弁16の図中上側、即ち主弁16に対し流出水路14と反対側に背圧室ケース23が設けられており、この背圧室ケース23の内側に、主弁16の背後の背圧室24が形成されている。
背圧室24は、内部の圧力を主弁16に対し閉弁方向の押圧力として作用させる。
【0020】
主弁16には、これを貫通して1次側の流入水路12と背圧室24とを連通させる導入小孔26が設けられている。
この導入小孔26は、流入水路12からの水を背圧室24に導いて背圧室24の圧力を増大させる。
主弁16にはまた、これを貫通して背圧室24と2次側の流出水路14とを連通させる水抜水路としてのパイロット水路28が設けられている。
このパイロット水路28は、背圧室24内の水を流出水路14に抜いて背圧室24の圧力を減少させる。
【0021】
30は円柱形状を成すプランジャから成るパイロット弁で、その下部にはゴム等の弾性材から成るパッキン32が設けられている。
このパイロット弁30は図中上下方向、即ち主弁16に設けられたパイロット弁座34に対し図中上下方向(軸方向)に進退運動してパイロット水路28の開度を変化させる。
詳しくは、パイロット弁30がパイロット弁座34に着座することでパイロット水路28が遮断され、またパイロット弁30がパイロット弁座34から図中上向きに軸方向に離間することでパイロット水路28が開放される。
更にパイロット弁30のパイロット弁座34からの離間量に応じてパイロット水路28の開度が変化せしめられる。
【0022】
35は有底の円筒形状を成すパイロット弁ケースで、図2に示しているように開放側の下端部の外周面に雄ねじが形成されており、この雄ねじが、主弁16における主弁本体18の雌ねじにねじ結合されることで、かかるパイロット弁ケース35が主弁16に固定状態に組み付けられている。
【0023】
このパイロット弁ケース35は、パイロット弁30を摺動可能に嵌合させる状態に挿入させ、かかるパイロット弁30をその内部に保持している。
即ちパイロット弁30は、このパイロット弁ケース35を介して主弁16に組み付けられており、それらパイロット弁30,パイロット弁ケース35及び主弁16が一体の主弁ユニット17を構成している。
【0024】
ここでパイロット弁ケース35は、パイロット弁30を主弁16に対して組み付ける組付部材としての働きを有するとともに、パイロット弁30の進退運動に際してこれを摺動案内し、パイロット弁30を主弁16に対し垂直姿勢に保持しつつ円滑に進退運動させるためのパイロット弁ガイドとしての働きも有している。
【0025】
このパイロット弁ケース35は、主弁16に対して流出水路14とは反対側の背後に且つ背圧室24内に設けられている。
そしてこのパイロット弁ケース35には、図2に示しているようにその内部と外部の背圧室24とを連通させるための連通孔36が底部と周壁部とに設けられている。
またこのパイロット弁ケース35の底部とパイロット弁30との間には、コイルスプリングから成る復帰スプリング38が設けられており、かかる復帰スプリング38によってパイロット弁30が図中下向き、即ち閉弁方向に付勢されている。
【0026】
上記背圧室ケース23には、有底円筒形状を成すケースガイド40が設けられており、その内部にパイロット弁ケース35が図中上下方向、即ち主弁16の進退方向に摺動可能に嵌合されている。
このケースガイド40は、パイロット弁ケース35を介して主弁16を図中水平姿勢に維持しつつ、即ち傾き防止しつつこれを進退方向に運動案内する働きをなす。
【0027】
図1において、42は駆動軸で図示のようにこの実施形態ではパイロット弁30と別体且つパイロット弁30から分離可能に構成されている。
この駆動軸42は、図中上部に小径部(スピンドル部)44を有しており、この小径部44が2次側の流出水路14の側から図1の部分拡大図に示しているように背圧室24に向かって主弁16の中心部に設けられた貫通孔46内に挿入され、上記のパイロット弁30に対し当接させられるようになっている。
この小径部44は、自身の外周面と貫通孔46の内周面との間に上記のパイロット水路28を形成する。
【0028】
駆動軸42には、小径部44の図中下側に中径部47が設けられている。中径部47の外周面には環状溝が形成されていて、そこにOリング48が装着され、かかるOリング48によって駆動軸42とボデー50との間が水密にシールされている。
【0029】
この中径部47の更に図中下側には、円形且つ径方向の突出部52が設けられている。この突出部52の外周面には雄ねじ54が設けられ、この雄ねじ54がボデー50に形成された雌ねじ56に螺合されている。
駆動軸42は、回転操作によってこれら雄ねじ54と雌ねじ56との螺合によるねじ送り作用で軸方向、即ち図1中上下方向に進退移動させられる。
この突出部52の更に図中下側には大径部58が設けられていて、この大径部58に対し図示を省略するハンドルが一体回転状態に組み付けられるようになっている。
【0030】
この実施形態では、駆動軸42の小径部44の先端(上端)が閉弁状態にあるパイロット弁30に対し図中下側に離間した状態(図1)で駆動軸42を正方向に回転操作すると、駆動軸42が雄ねじ54と雌ねじ56とによるねじ送り作用で図中上向きに前進移動させられる。
そして駆動軸42即ち小径部44が一定量図中上向きに前進移動したところで、小径部44の先端がパイロット弁30に当接するに到り、この状態で更に駆動軸42を図中上向きに前進移動させると、ここにおいてパイロット弁30が図中上向きに後退運動させられ、図3(I)に示しているようにパイロット弁30とパイロット弁座34との間に隙間を生ぜしめる。
【0031】
するとその隙間を通じて背圧室24内の水がパイロット水路28を通じて流出水路14側に抜き出され、背圧室24の圧力が減少する。
ここにおいて流入水路12の圧力が背圧室24の圧力に打ち勝つに到って主弁16が図3(II)に示しているように図中上向きに上昇、即ち後退運動させられ、そして背圧室24の圧力と流入水路12の圧力とが丁度バランスした位置で主弁16が停止する。
このとき主弁16と主弁座22との間には隙間が生じて、その隙間を通じて流入水路12から流出水路14へと水が流れ込む。
【0032】
この状態から更にパイロット弁30が図3(III)に示しているように図中上向きに後退運動すると、背圧室24の圧力と流入水路12との圧力をバランスさせるようにして主弁16がパイロット弁30の後退運動に追従して図中上向きに後退運動し、主水路における開度を更に大として水の流量を増大させる。
【0033】
一方駆動軸42を逆方向に回転操作すると、小径部44が一定量下向きに後退移動し、これに伴ってパイロット弁30が図4(I)に示しているように図中下向きに前進運動し、パイロット弁30とパイロット弁座34との間の隙間を小さくする。
すると背圧室24の圧力が増大して流入水路12の圧力に打ち勝つに到り、これにより主弁16がそれらの圧力をバランスさせるように図4(II)に示しているように図中下向きに前進運動し、主弁座22との間の隙間を小さくする。即ち流入水路12から流出水路14への水の流量を減少させる。
【0034】
この状態から更に小径部44が後退移動すると、パイロット弁30が図4(III)に示しているように図中下向きに前進運動し、これに追従して主弁16が図中下向きに前進運動し、水の流量を更に減少させる。
そしてパイロット弁30が主弁16に形成されたパイロット弁座34に着座し、また主弁16が主弁座22に着座することで、流入水路12と流出水路14とが遮断された状態となって、ここに流入水路12から流出水路14への水の流れが停止する(図1に示す状態)。
【0035】
これら図3及び図4に示しているように、この実施形態においてはパイロット弁30と主弁16との間、詳しくはパイロット弁座34との間に完全閉弁状態(図1に示す状態)を除いて常時それらの間に隙間を生ぜしめる。そしてその隙間を大きく又は小さく変化させることで主弁16が進退運動し、主水路の水の流量を調節する。
【0036】
尚、パイロット弁30が進退運動する際、パイロット弁ケース35がこれを主弁16に対し垂直姿勢を維持しつつ運動案内し、更にまたパイロット弁ケース35が主弁16と一体に進退運動する際、背圧室ケース23に設けられたケースガイド40がパイロット弁ケース35を運動案内する。
即ちかかるパイロット弁ケース35を介して主弁16を図1に示す水平姿勢を維持しつつ(傾き防止しつつ)、進退運動の際の運動案内をなす。
【0037】
尚パイロット弁ケース35とケースガイド40との嵌合クリアランスをあまり小さくするとそれらの間の摺動抵抗が増大するため、その嵌合クリアランスは摺動抵抗が大きくならないようにある程度大きく設定される。
この場合その嵌合クリアランスがある程度大きくなることによって主弁16が若干傾く恐れが生ずる。
【0038】
しかるに本実施形態では、主弁16がその嵌合クリアランスの範囲内で多少傾くことがあっても、パイロット弁30はパイロット弁ケース35の姿勢保持作用及び案内作用で、常に主弁16に対し垂直姿勢を維持しつつ円滑に進退運動し、パイロット弁座34との間に全周に亘り隙間を均等に保ちつつパイロット弁座34に対し接近離間運動することができる。
【0039】
以上のような本実施形態のパイロット式流調弁装置10によれば、閉弁時において駆動軸42の後退移動によりパイロット弁30が主弁16のパイロット弁座34に、また主弁16が主弁座22に対して強く押し付けられてしまうといったことがなく、従ってそれら押付けに起因して主弁16やパイロット弁30が傷んでしまうのを良好に防止することができる。
【0040】
また駆動軸42がパイロット弁30と別体且つ分離可能となしてあり、そして駆動軸42の先端をパイロット弁30に当接させ、その状態で駆動軸42の前進,後退移動に伴ってパイロット弁30を後退及び前進運動させるようになしていることから、駆動軸42が傾いた姿勢となることがあった場合においても、そのことによってパイロット弁30が強制的に傾き姿勢とされてしまうことを防止でき、このことによって流量調節機能を安定して良好に行うことができる。
【0041】
また本実施形態では、パイロット弁30を前進方向に即ち閉弁方向に復帰させる復帰スプリング38を設けてあるため、駆動軸42の後退移動時に、その復帰スプリング38の付勢力に基づいて駆動軸42とは別体をなすパイロット弁30を良好に前進運動させることができる。
【0042】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明においてはピストンにて主弁を構成することも可能であるし、また上記実施形態ではパイロット弁をプランジャにて構成しているが、このようなプランジャ以外の他の様々な形態でパイロット弁を構成し、また上例以外の形態でパイロット弁座を構成するといったことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態であるパイロット式流調弁装置を示す断面図である。
【図2】図1の要部を分解して示す断面図である。
【図3】同実施形態のパイロット式流調弁装置を開操作した際の作用説明図である。
【図4】同実施形態のパイロット式流調弁装置を閉操作した際の作用説明図である。
【図5】従来のパイロット式流調弁装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10 パイロット式流調弁装置
12 流入水路
14 流出水路
16 主弁
22 主弁座
24 背圧室
26 導入小孔
28 パイロット水路
30 パイロット弁
34 パイロット弁座
42 駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)主弁座に接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させる主弁と
(ロ)該主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と
(ハ)前記主水路における1次側の流入水路の水を該背圧室に導いて該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と
(ニ)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と
(ホ)前記主弁に設けられたパイロット弁座に対して接近離間方向に進退運動して該パイロット水路の開度を変化させるパイロット弁と
(ヘ)該パイロット弁を駆動する駆動軸と
を備え、該パイロット弁の進退運動に追従して前記主弁を進退運動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式流調弁装置において
前記駆動軸を前記2次側の流出水路の側から前記主弁の貫通孔を通じて前記パイロット弁を駆動させるようになし、且つ該駆動軸は該パイロット弁と別体に構成して先端を該パイロット弁に当接させるようにし、閉弁操作の際に該駆動軸の先端を該パイロット弁から分離して前記流出水路側の後退方向に引込可能となしたことを特徴とするパイロット式流調弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−24060(P2007−24060A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202627(P2005−202627)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】