説明

パネルシャッター

【課題】 パネル連繋チェーンが、リトラクター装置の可撓性長尺部材、または非接触感知部の電線ガイド手段に干渉するのを防ぐことができるパネルシャッターを提供する。
【解決手段】 リトラクター装置40は、巻取体42aをガイドレール20の上方側に配置し且つ可撓性長尺部材41をパネル厚さ方向においてパネル11a,11bの開閉軌跡よりも躯体P側に配置するとともに、繰り出される可撓性長尺部材41によって最下部のパネル11aを受けるように設けられ、電線ガイド手段60は、パネル厚さ方向においてパネル11a,11bの開閉軌跡よりも躯体P側に位置するとともに、ガイドレール20内に沿うように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンによって連繋された複数のパネルを順次に繰り出したり牽引したりして、これらパネルをガイドレールに沿って開閉動作するようにしたパネルシャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されたもののように、前記チェーンの弛みをリミットスイッチにより感知した場合に、チェーンの繰り出し又は牽引したりするための駆動源を停止して、複数のパネルによる開閉動作を停止するようにしたものがある。
その他、特許文献2に記載された発明では、最下部のパネルの下端に、上下動可能な座板を設け、この座板が障害物との接触により上昇したことをマイクロスイッチにより検知し、その検知信号によってパネルの開閉動作を停止するようにしている。
【0003】
ところで、特許文献1に係る発明では、例えばチェーン切れを生じた場合等には、その状態を検知できないおそれがある。
また、特許文献2に係る発明では、障害物を接触感知する構造であるため、障害物に衝撃を与えてしまうおそれがある。
そこで、チェーン切れ等でも感知できる落下防止装置や、障害物を非接触感知できる感知部を具備することが提案されるが、比較的高重量なパネルを受けて落下防止しなければならないことや、チェーン等のパネル幅方向端部の構成部材に干渉しないようにする必要があること、ガイドレール内のスペースに余裕がないこと等から、工夫を要する。
【特許文献1】特開平9−41847号公報
【特許文献2】特開2007−291776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、最下部のパネルの下方に存在する障害物を非接触感知部により感知することができる上、パネル連繋チェーンが、リトラクター装置の可撓性長尺部材、または非接触感知部の電線ガイド手段に干渉するのを防ぐことができるパネルシャッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための技術的手段は、収納部と、該収納部から繰り出される複数のパネルと、これら繰り出されるパネルの幅方向の端部を囲み下方へ案内するガイドレールと、前記各パネルの幅方向端部の上部側から突出する支持突起と、上下に隣り合うパネル間を連繋するように前記支持突起に係合したパネル連繋チェーンと、最下部の前記パネルよりも下方へ突出した位置と同パネルの側方に並ぶ位置との間でスライドするように前記ガイドレールと前記最下部のパネルとの双方に係合して前記最下部のパネルよりも下方側の物体を非接触感知する非接触感知部とを備え、前記パネル連繋チェーンを前記収納部により繰り出したり牽引したりすることで、前記複数のパネルを前記ガイドレールに沿って開閉動作するようにしたパネルシャッターにおいて、可撓性長尺部材を巻き取るとともにその巻き取り方向へ付勢された巻取体と前記付勢力に抗して前記可撓性長尺部材が繰り出される繰出速度が規定値以上になった場合に前記巻取体の繰り出し方向の回転を停止する繰出停止手段とを具備してなるリトラクター装置であって、且つ前記巻取体を前記ガイドレールの上方側に配置するとともに、前記可撓性長尺部材を前記パネル連繋チェーンに対しパネル厚さ方向へ離間して配置し、繰り出される前記可撓性長尺部材によって前記最下部のパネルを受けるようにしたリトラクター装置と、前記ガイドレールに沿うとともに前記パネル連繋チェーンに対しパネル厚さ方向へ離間するように配設されて前記非接触感知部の電線を前記収納部内へ導く電線ガイド手段とのうち、少なくとも一方を具備したことを特徴とする。
すなわち、この技術的手段のパネルシャッターは、上記リトラクター装置と上記電線ガイド手段とのうち、少なくともその一方の構成を具備している。
つまり、このパネルシャッターは、上記リトラクター装置と上記電線ガイド手段との両方を備えた態様であってもよいし、上記リトラクター装置のみを備えた態様であってもよいし、上記電線ガイド手段のみを備えた態様であってもよい。
【0006】
上記パネルシャッターの具体的な好ましい態様としては、例えば、後端部又は前端部を構造物の躯体に近接又は接触して設置される収納部と、該収納部から繰り出される複数のパネルと、これら繰り出されるパネルの幅方向の端部を囲み下方へ案内するガイドレールと、前記各パネルの幅方向端部の上部側から突出する支持突起と、上下に隣り合うパネル間を連繋するように前記支持突起に係合したパネル連繋チェーンと、前記各パネルの幅方向端部の下部側から突出して前記パネルの反躯体寄りに位置し前記収納部内のガイド部材に案内されるガイド突起とを備え、前記パネル連繋チェーンを前記収納部により繰り出したり牽引したりすることで、前記複数のパネルを前記ガイドレールに沿って開閉動作するようにしたパネルシャッターであって、可撓性長尺部材を巻き取るとともにその巻き取り方向へ付勢された巻取体と前記付勢力に抗して前記可撓性長尺部材が繰り出される繰出速度が規定値以上になった場合に前記巻取体の繰り出し方向の回転を停止する繰出停止手段とを具備してなるリトラクター装置と、最下部のパネルよりも下方へ突出した位置と同パネルの側方に並ぶ位置との間でスライドするように前記ガイドレール内と前記最下部のパネルとの双方に係合して、前記最下部のパネルよりも下方側の物体を非接触感知する非接触感知部と、該非接触感知部の電線を前記収納部内へ導く電線ガイド手段とを備え、前記リトラクター装置は、前記巻取体を前記ガイドレールの上方側に配置し且つ前記可撓性長尺部材をパネル厚さ方向において前記パネルの開閉軌跡よりも躯体側に配置するとともに、繰り出される前記可撓性長尺部材によって前記最下部のパネルを受けるように設けられ、前記電線ガイド手段は、パネル厚さ方向において前記パネルの開閉軌跡よりも躯体側に位置するとともに、前記ガイドレール内に沿うように設けられていることを特徴とする。
この具体例によれば、チェーン切れ等に起因するパネルの落下を、リトラクター装置の可撓性長尺部材により受けて防ぐことができる。しかも、リトラクター装置の可撓性長尺部材が躯体側に配置されるため、比較的高重量なパネルの荷重によりリトラクター装置を支持する構成等が変形や破損等するのを防ぐことができる。更に、最下部のパネルの下方に存在する障害物を非接触感知部により感知することができる。
その上、リトラクター装置の可撓性長尺部材や、非接触感知部の電線ガイド手段等を、パネル幅方向端部の構成部材(例えばパネル連繋チェーンや、支持突起、ガイド突起等)に干渉することなく設置することができる。
【0007】
また、更なる手段では、前記リトラクター装置と前記電線ガイド手段とのうち、少なくとも前記リトラクター装置を備えたパネルシャッターであって、前記リトラクター装置によって繰り出される前記可撓性長尺部材の先端側部分を、前記最下部のパネルに止着していることを特徴とする。
【0008】
更なる手段では、前記ガイドレール内の底部に、上下方向へわたる凹溝を有する凹状ガイド部材を設けるとともに、前記非接触感知部には前記凹溝に対し上下方向へスライド可能に嵌まり合う被ガイド凸部を設け、前記凹溝内と前記被ガイド凸部の先端側とをパネル厚さ方向へ広がるように形成したことを特徴とする。
【0009】
更なる手段では、前記ガイドレール内の底部に、先端側がパネル厚さ方向へ広がり且つ上下方向へ連続するガイド突起を設け、前記非接触感知部には、前記ガイド突起の先端側に嵌り合って上下方向へスライドするように被ガイド凹部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
最下部のパネルの下方に存在する障害物を非接触感知部により感知することができる上、パネル連繋チェーンが、リトラクター装置の可撓性長尺部材、または非接触感知部の電線ガイド手段に干渉するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
このパネルシャッター1は、図1〜4に示すように、複数のパネル11a,11bを上下方向へスライドさせて空間を仕切ったり開放したりする開閉体10と、各パネル11a,11bの幅方向の端部側を囲んで開閉方向へ案内するガイドレール20と、前記複数のパネル11a,11bをその上方側で収納したり繰り出したりする収納部30と、前記開閉体10の急激な閉鎖動作を阻むリトラクター装置40と、前記開閉体10よりも下方側の物体を非接触感知する非接触感知部50とを具備してなり、収納部30の後端部(図4によれば左端部)を建物等の構造物の躯体Pに接触させている。
【0012】
開閉体10は、複数のパネル11a,11bと、各パネル11a(又は11b)の幅方向端部の上部側に設けられた支持突起12と、複数のパネル11a,11bの上下の支持突起12間を連繋するパネル連繋チェーン13とを具備し(図2〜図4参照)、前記パネル連繋チェーン13により各パネル11a(又は11b)を支持突起12を介して吊持している。
【0013】
符号11aで示すパネルは最下端側に位置するパネルであり、符号11bで示すパネルは前記最下端側のパネル以外のパネルである。
各パネル11a(又は11b)は、左右方向へ長尺な矩形板状に構成されている。
【0014】
各パネル11a(又は11b)の幅方向(図1によれば左右方向)の両端部には、それぞれの端部から前記幅方向へ突出するように支持突起12が止着されている。
この支持突起12は、金属等の剛体からなる軸状の部材であり、その先端部には、ローラ12aが回動自在に支持されている。
また、支持突起12における前記ローラ12aとパネル11bとの間の部分は、パネル連繋チェーン13に挿通されている。
【0015】
パネル連繋チェーン13は、動力伝達用等に用いられる所謂ローラチェーンであり、その長さ方向において所定間隔置きに支持突起12を回動可能に挿通させている。このパネル連繋チェーン13は、支持突起12に対し軸方向(換言すればパネル幅方向)へ移動しないように、例えば支持突起12外周に設けられた環状溝(図示せず)内に嵌め合せられている。
このパネル連繋チェーン13は、上下方向へわたるすべてのパネル11a,11bを連結し、その上端側が収納部30のスプロケット32(図4参照)に掛けられている。
このパネル連繋チェーン13の最上端部は、図示を省略するが、収納ケース31に対しブラケットを介して所定量移動可能に止着されている。
【0016】
また、最下端側に位置するパネル11a以外の各パネル11bには、ガイド突起14が設けられている(図2及び図3参照)。
ガイド突起14は、各パネル11bの幅方向端部の下部側から突出するとともに、その突端に回動自在にローラ14aを支持してなり、前記パネル11bの厚さ方向における反躯体寄り(図2によれば下方寄り)に配設される。このガイド突起14は、各パネル11bが収納部30内に収納される際に、収納部30内のガイド部材35(図4参照)に係合し案内されることで、各パネル11bを略垂直状に維持する。
なお、ガイド突起14は、本実施の形態のように設けるのが好ましいが、他例としては省くことも可能である。
【0017】
また、最下端側に位置するパネル11aには、リトラクター装置40の可撓性長尺部材41の下端部が、止着ブラケット15を介して止着されている(図2及び図3参照)。
止着ブラケット15は、基端側部分をパネル11aの端部に止着するとともに、可撓性長尺部材41を止着するための突端側部分を、前記パネル11a,11bの開閉軌跡よりも躯体側(図2によれば上側)に配置している。
【0018】
また、最下端側のパネル11aには、非接触感知部50が設けられている。
非接触感知部50は、パネル11aの幅方向の一端側に設けられた放出側ユニット50aと、その他端側に設けられた捕捉側ユニット50bとからなり、開閉体10よりも閉鎖方向側の物体を感知する(図1及び3参照)。
【0019】
放出側ユニット50aは、開閉体の閉鎖方向端部から開閉体閉鎖方向へ突出するとともに当接対象部位q(例えば、床面や、地面、枠部材等)との当接によって後退するように設けられたスライド体51と、該スライド体51の下端側に設けられ開閉体幅方向へ物体感知媒体(例えば赤外線等)を放出する放出部52aとを備えている(図3参照)。
【0020】
また、捕捉側ユニット50bは、放出側ユニット50aのものと略同様に形成されたスライド体51と、放出部52aから放出される物体感知媒体を捕捉する捕捉部52bとを備えている。
【0021】
スライド体51は、パネル11b方向側(図2によれば左方向側)に開口部を有するとともに上下方向へ長尺な略中空直方体状に形成され、内部の下端側に放出部52a(又は捕捉部52b)を固定している。
そして、スライド体51は、前記開口部内に差し込まれたスライドブラケット51aによって、パネル11aに相対して上下方向へスライドするように支持されている。
スライドブラケット51aは、パネル11bの幅方向端部からガイドレール20底部方向(図2によれば右方向)へ突出する二本の突起51a1,51a1を有し、これら突起51a1,51a1をスライド体51の前記開口部内に差し込み係合して、スライド体51を上下方向へスライドさせる。
【0022】
また、スライド体51のガイドレール20底部方向側(図2によれば右方向側)の部分には、ガイドレール20底部の凹状ガイド部材21に嵌り合って上下方向へ案内されるように、上下方向へわたる被ガイド凸部51bが設けられる。
この被ガイド凸部51bは、その突端側がパネル厚さ方向(図2によれば上下方向)へ広がるように形成されることで、凹状ガイド部材21に対しパネル幅方向へ抜けることのないように嵌り合っている(図2参照)。
【0023】
放出側ユニット50aと捕捉側ユニット50bの一方又は双方には、非接触感知部50の電線を収納部30内へ導く電線ガイド手段60が設けられる。
電線ガイド手段60は、パネル厚さ方向においてパネル11a,11bの開閉軌跡よりも躯体側(図2によれば上側)に位置するとともに、前記ガイドレール20内に沿うように設けられ、より詳細に説明すれば、スライド体51のパネル厚さ方向の側面に止着された支持ブラケット61と、該支持ブラケット61に支持された電気配線ガイド部材62とからなり、少なくとも電気配線ガイド部材62をパネル連繋チェーン13に対しパネル厚さ方向へ離間して配置している。
また、この電線ガイド手段60は、可撓性長尺部材41に対し干渉しないように設けられ、より具体的には、例えば、図3に示すように、電気配線ガイド部材62を可撓性長尺部材41に対し開閉体幅方向へ(図示例によればガイドレール20の底部側へ)離して配設する。
なお、他例としては、電線ガイド手段60を、パネル厚さ方向におけるパネル11a,11bの開閉軌跡よりも反躯体側(図2によれば下側)に配置することも可能である。
【0024】
また、支持ブラケット61は、金属製板状材料に曲げ加工やプレス加工等の適宜加工を施すことで略枠状に形成されている。この支持ブラケット61の下端側には、電気配線ガイド部材62がパネル幅方向へ回動可能に支持されている。
電気配線ガイド部材62は、多数の枠状部材をリンク接合することで、自在に変形するように構成された中空状の部材であり、その内部に、放出部52aや、捕捉部52b等の電気配線を挿通させ、該電気配線を収納部30内へ導いている。前記電気配線は、収納部30内の図示しない制御回路に電気的に接続される。
【0025】
なお、支持ブラケット61および電気配線ガイド部材62は、放出部52aと捕捉部52bの電線をそれぞれ導くように、放出側ユニット50aと捕捉側ユニット50bの各々に設けるようにすればよいが、他例としては、放出側ユニット50aと捕捉側ユニット50bの内の一方のみに設けるようにしてもよい。この場合、放出部52aまたは捕捉部52bの電線をパネル11a内で幅方向へ導き、放出部52aと捕捉部52bの双方の電線を単一の支持ブラケット61および電気配線ガイド部材62に挿通させればよい。
【0026】
また、ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の両端側の各々において当接対象部位qと収納部30との間にわたるように設けられ、パネル11の幅方向の端部側部分、パネル連繋チェーン13、可撓性長尺部材41、放出側ユニット50a(又は捕捉側ユニット50b)、電線ガイド手段60等を、断面略凹状に囲んで上下方向へ導く。
【0027】
ガイドレール20の底部には、上下方向へわたる凹溝21aを有する凹状ガイド部材21が固定されている。
この凹状ガイド部材21は、少なくともスライド体51がガイドレール20に相対してスライドする範囲に設けられ、図示例によれば、ガイドレール20の上下方向の略全長にわたって設けられる。
凹状ガイド部材21内の凹溝21aは、スライド体51の被ガイド凸部51bにならって、内部がパネル厚さ方向へ広がった形状を呈し、被ガイド凸部51bのパネル幅中央方向への引き抜けを防いで、スライド体51を上下方向へスムーズにスライドさせる。
【0028】
また、収納部30は、図4に示すように、収納ケース31内に、パネル連繋チェーン13を掛け回したスプロケット32と、該スプロケット32を電動で双方向へ回転させる駆動機構33(例えば、回転モータやチェーン、スプロケット等からなる)と、パネル11a,11bを支持突起12を介して吊持して前後方向へ導く収納レール34と、パネル11b下側のガイド突起14をガイドするガイド部材35と、支持突起12をガイドレール20よりも上方へ導く支持突起ガイド36と、パネル連繋チェーン13の弛みを感知するリミットスイッチ37と、可撓性長尺部材41によって開閉体10の落下を防ぐリトラクター装置40とを具備している。
【0029】
スプロケット32及び駆動機構33は、可撓性長尺部材41と電線ガイド手段60の両者に干渉しないように配設される。
収納レール34は、スプロケット32及び駆動機構33の上側で、複数のパネル11bを前方斜め下方(図3によれば右斜め下方)へ導き収納する。
ガイド部35は、収納レール34の下方側に収納レール34と略平行に設けられ、パネル11bのガイド突起14に係合することでパネル11bの振れを防ぐ。
これら収納レール34及び収納レール34も、可撓性長尺部材41と電線ガイド手段60の両者に干渉しないように配設される。
【0030】
リミットスイッチ37は、パネル連繋チェーン13に対しパネル厚さ方向の一方側(図示例によれば反躯体P側)に位置し、可撓性長尺部材41と電線ガイド手段60の両者に干渉しないように配設される。
また、支持突起ガイド36は、前記リミットスイッチ37との間にパネル連繋チェーン13を位置させた上側部36aと、該上側部36aの下側でパネル連繋チェーン13を上下方向へ挿通させる挿通部36bとから構成され、可撓性長尺部材41と電線ガイド手段60の両者に干渉しないように配設される。
【0031】
なお、図4においては、収納部30内おける電線ガイド手段60内の電線の配置を省略しているが、例えば、前記電線は、パネル連繋チェーン13の略垂直状にわたる部分よりも躯体P側に、上下方向へわたって配設され、その上端側が図示しない制御回路等に電気的に接続されている。
【0032】
上記構成の収納部30によれば、スプロケット32が一方向(図4によれば時計方向)へ回転すると、チェーン部材13によって複数のパネル11a,11bが順次に上方へ牽引される。そして、パネル11a,11bは、ガイド部35により略垂直状に維持されたまま、スプロケット32外周部によって移動方向が変えられ、更に収納レール34によって手前斜め下方(図4によれば右斜め下方)へ導かれる。
また、スプロケット32が逆方向(図4によれば反時計方向)へ回転すると、チェーン部材13によって複数のパネル11a,11bが順次に躯体側である後方(図4によれば左方向)へ繰り出される。繰り出された各パネル11a(又は11b)は、チェーン部材13に吊持されて略垂直状に維持されたまま、ガイドレール20内を下方へ移動する。
【0033】
また、パネル11a,11bの開閉動作に伴い、パネル連繋チェーン13は、支持突起ガイド36の挿通部36bに導かれて略垂直状に移動する。
前記移動中または停止中にパネル連繋チェーン13に弛みを生じた場合には、該パネル連繋チェーン13は、パネル厚さ方向において上側部36aの逆側へ弛みリミットスイッチ37のアクチュエータ部分に当接する。したがって、リミットスイッチ37からは異常信号が送信され、図示しない制御回路によって、駆動機構33の停止等の所定の制御動作が行われることになる。
【0034】
また、開閉体10の閉鎖動作中、最下端側のパネル11aよりも下方に障害物が存在した場合には、その障害物を非接触感知部50によって非接触感知し、その感知信号に応じて、図示しない制御回路が駆動機構33を停止や反転等する。
また、万が一、パネル連繋チェーン13が破断し、パネル11aが落下した場合には、その落下するパネル11aを、リトラクター装置40によって受けて停止させることができる。
【0035】
また、リトラクター装置40は、車用シートベルト等に用いられる装置であり、異常停止時にパネル11aの重量によって張力を生じる可撓性長尺部材41と、該可撓性長尺部材41の基端側を巻き取るリール装置42とを具備し、可撓性長尺部材41によってパネル11aを保持している。
【0036】
可撓性長尺部材41は、合成繊維を略長尺帯状に加工してなり、その先端側をパネル11aに、止着ブラケット15を介して止着するとともに、その逆側である基端側をリール装置42の巻取体42a外周面に止着している。なお、この可撓性長尺部材41は、ワイヤー等の紐状の部材に置換することが可能である。
この可撓性長尺部材41は、パネル連繋チェーン13に対しパネル厚さ方向へ離間して配置される。
【0037】
リール装置42は、収納ケース31の躯体P寄りに固定された略コ字状の支持ブラケット42bと、該支持ブラケット42bによって回動可能に支持された巻取体42aと、該巻取体42aを巻取り方向へ付勢する付勢手段(図示せず)と、該付勢手段の付勢力に抗して巻取体42aが繰出し方向へ回転し、その回転速度が規定値以上となった場合に、巻取体42aの回転を停止するロック手段(図示せず)とを具備してなる。
【0038】
前記ロック手段は、巻取体42aの繰出し回転速度が規定速度以上となった場合に、例えば遠心力によって移動する部材を不動部位に係止させる構造等、巻取体42aを繰出し回転不能に拘束する構造であればよい。
なお、前記規定速度は、開閉体10の通常の閉鎖速度よりも速い適宜な速度としてある。
リール装置42の他例としては、巻取体42aの繰り出し回転加速度が規定加速度以上となった場合に、巻取体42aを繰り出し回転不能に拘束するものとしてもよい。
【0039】
図示した好ましい態様のリトラクター装置40は、巻取体42aをガイドレール20の上方側に配置し、且つ可撓性長尺部材41をパネル厚さ方向においてパネル11aの開閉軌跡よりも躯体側(図4によればパネル連繋チェーン13を示す一点鎖線よりも左側)に配置するようにして、収納ケース31内に固定される。
なお、他例としては、リトラクター装置40を、躯体Pから離した状態で収納ケース31内に固定したり、スプロケット32及びガイド部35の下側であってパネル11aの開閉軌跡よりも反躯体側(図4によれば一点鎖線よりも右側)に配置したり等することも可能である。
【0040】
よって、上記構成のパネルシャッター1によれば、リトラクター装置40の可撓性長尺部材41を躯体P寄りに配置しているため、リトラクター装置40がパネル11a,11bを受けた際の荷重により、リトラクター装置40を支持する収納ケース31等の構成が変形や破損等するのを防ぐことができる。
しかも、パネル11a,11bの幅方向端部側に配置された支持突起12や、パネル連繋チェーン13、ガイド突起14等に対し、可撓性長尺部材41及び電線ガイド手段60が干渉するようなことを防ぐことができる。
【0041】
なお、上記実施の形態によれば、可撓性長尺部材41の先端部をパネル11aに止着したが、他例としては、繰り出される可撓性長尺部材41をパネル11aの下端に跨がせ、該可撓性長尺部材41の先端部をガイドレール20や収納ケース31等の不動部位に止着した態様とすることも可能である。この態様においても、万が一急落下した場合のパネル11aを、可撓性長尺部材41における長さ方向の中途箇所によって受けることができる。
【0042】
また、上記実施の形態によれば、図3に示す電線ガイド手段60によって非接触感知部50の電線を収納部30内へ案内するようにしているが、他例としては、コードリールによって前記電線を巻き取る態様や、前記電線を滑車機構によってガイドレール20内に案内する態様等とすることも可能である。
【0043】
また、上記実施の形態によれば、非接触感知部50を上下方向へ案内する手段として、非接触感知部50側の被ガイド凸部51bとガイドレール20側の凹状ガイド部材21とを嵌め合わせるようにしたが、他例としては、図5に示すパネルシャッター2のように、前記凹凸関係を逆にすることが可能である。
【0044】
また、上記実施の形態によれば、可撓性長尺部材41と電線ガイド手段60の双方をパネル連繋チェーン13に干渉させない構成としたが、他例としては、電線ガイド手段60とパネル連繋チェーン13との内の何れか一方のみをパネル連繋チェーン13に干渉させない構造とすることも可能である。
【0045】
次に、図5に示すパネルシャッター2について説明するが、上記したパネルシャッター1と略同様の部分については同一の符号を付けることで、重複する詳細説明を省略する。
【0046】
パネルシャッター2は、上記パネルシャッター1に対し、ガイドレール20をガイドレール20’に、スライド体51をスライド体51’に、それぞれ置換した構成としている。
【0047】
ガイドレール20’は、開閉体10の幅方向の両端側の各々において当接対象部位qと収納部30との間にわたる断面略凹状の部材である。このガイドレール20’の底部には、先端側がパネル厚さ方向へ広がり且つ上下方向へ連続するガイド突起21’が一体に形成されている。
【0048】
また、スライド体51’は、上記スライド体51の被ガイド凸部51bを、被ガイド凹部51cに置換した構成とされる。
被ガイド凹部51cは、ガイド突起21’の先端側に嵌り合って上下方向へスライドするように形成された凹溝であり、その開口縁部分に、ガイド突起21’の先端側に係止される内向きの突起51c1,51c1を有する。
【0049】
よって、上記構成のパネルシャッター2によれば、ガイド突起21’をガイドレール20’に一体に形成しているため、生産性が良好である。
しかも、スライド体51’の被ガイド凹部51cが、パネル厚さ方向へ広がるガイド突起21’に嵌り合っているため、該スライド体51’がガイド突起21’から外れてしまうようなこを、効果的に防ぐことができる。
【0050】
なお、上記実施の形態は、図1に示すように、開閉体10の両側にガイドレール20を有するパネルシャッター1を構成したが、他例としては、図6に示すように、複数の開閉体10の間に中柱70を有するパネルシャッター3について、上記リトラクター装置40や上記非接触感知部50を設けることも可能である。以下にパネルシャッター3の特徴的な構成について説明する。
【0051】
パネルシャッター3は、左右に隣り合うようにして並ぶ複数の開閉体10と、左右に隣り合う開閉体10,10の間に配設されて各開閉体10を上下方向へ案内する中柱70と、該中柱70の下端部に出没可能に設けられた係脱突起71aとを備え、係脱突起71aを当接対象部位qに形成された凹部80に対し抜き差しするように構成されている。
【0052】
前記中柱70の幅方向の端部側は、各開閉体10の幅方向端部を略凹状に囲んで上下方向へ案内するように形成されている。
この中柱70の上下方向の途中箇所には、レバー72が設けられ、該レバー72を揺動させる操作により、中柱70の下端から係脱突起71aが出没するようになっている。
【0053】
中柱70は、前記係脱突起71aが凹部80から抜かれた際には、幅方向(図1の左右方向)へ移動したり、該中柱70の幅方向及び厚さ方向の中心を回転中心にして回動したり等することが可能である。これら移動及び回動のための構成は、例えば、中柱70の上端部に収納ケース31に沿って左右方向へ案内されるように吊車を設けるとともに、該吊車を前記回動が可能となるように収納ケース31に吊持すればよい。
【0054】
中柱70の下端から係脱突起71aを出没させる構成について詳述すれば、中柱70は、図6〜8に示すように、当接対象部位qと収納部30との間にわたる略直方体状の本体部73と、該本体部73内で上下方向へスライドするように設けられた第一スライド部71と、本体部73の下端側と当接対象部位qとの間で上下方向へスライド可能な第二スライド部74とを具備している。
【0055】
第一スライド部71は、上下方向にわたる軸状部材71bの下端に、ブラケット等を介して係脱突起71aを固定してなり(図7及び8参照)、レバー72(図1参照)の操作によって上下方向へ往復運動するようになっている。
係脱突起71aは、下端側に角状部分を有する断面略逆三角形状(図8参照)の部材であり、中柱70の幅方向(図7によれば左右方向)へわたって連続する長尺状に形成されている。
【0056】
第二スライド部74は、その上端側部分が本体部73内に挿入されるとともに、下端側部分が本体部73から下方へ突出し露出している。
この第二スライド部74は、第一スライド部71の軸状部材71bに係合して所定量上下方向へスライド可能であり、本体部73に支持された付勢部材75(図示例によればコイルスプリング)によって下方へ付勢されている。
この第二スライド部74の下端には、当接対象部位qとの間の密着性を向上するために弾性部材74aが中柱70の幅方向へわたって設けられている。
【0057】
第二スライド部74は、第一スライド部71が係脱突起71aを突出させた位置(図7及び8に示す位置)にある際には、弾性部材74aを圧縮させて当接対象部位qに当接している。
同第二スライド部74は、第一スライド部71が上方へスライドした際に、軸状部材71bの下端側に止着された係合部材71b1(図示例によればナット)に当接されて、上方へ移動し、当接対象部位qから離れる。この状態では、中柱70を幅方向へ移動させたり回動させたりすることが可能となる。
【0058】
また、凹部80は、当接対象部位qに、開閉部材82を具備した箱状体81を埋め込むことで構成される(図9参照)。
箱状体81は、上方向きに開口部81aを有する金属製の箱状部材である。前記開口部81aは、第一スライド部71の係脱突起71aが差し込まれるように形成されている。
開閉部材82は、図示例によれば、二枚の板状部材であり、箱状体81内への異物の侵入を防いでいる。この開閉部材82は、係脱突起71aに押圧されて下方へ開き、図示しない付勢部材(例えばコイルスプリングや、バネ入り蝶番等)の付勢力によって閉鎖方向へ付勢される。
【0059】
よって、上記構成の中柱70は、略逆三角形状の係脱突起71aを凹部80の長さ方向へわたって係脱させるようにしているため、例えば当接対象部位qに設けられた円筒状の穴に対し二本の突起をそれぞれ嵌め合わせるようにした従来技術等と比較し、位置合わせが容易である。
【0060】
なお、開閉部材82の他例としては、下方へ開閉する一枚板状の部材や、ゴム等の弾性体からなる板状部材に弾性的に開閉するスリットを設けてなる態様等であってもよい。
また、凹部80の他例としては、前記構成から開閉部材82を省いた態様とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係わるパネルシャッターの一例を示す正面図である。
【図2】図1における(II)-(II)線断面図である。
【図3】同パネルシャッターの要部を示す内部構造図である。
【図4】収納部の内部構造図である。
【図5】本発明に係わるパネルシャッターの他例においてガイドレール内の構造を示す断面図である。
【図6】パネルシャッターの他例を示す正面図である。
【図7】中柱の要部を示す内部構造図である。
【図8】中柱の要部を示す縦断面図である。
【図9】凹部の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1,2,3:パネルシャッター 10:開閉体
11a,11b:パネル 12:支持突起
13:パネル連繋チェーン 14:ガイド突起
20,20’:ガイドレール 21:凹状ガイド部材
21’:ガイド突起 21a:凹溝
30:収納部 40:リトラクター装置
41:可撓性長尺部材 42a:巻取体
50:非接触感知部 51b:被ガイド凸部
51c:被ガイド凹部 50a:放出側ユニット
50b:捕捉側ユニット 60:電線ガイド手段
70:中柱 71a:係脱突起
P:躯体 q:当接対象部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部と、該収納部から繰り出される複数のパネルと、これら繰り出されるパネルの幅方向の端部を囲み下方へ案内するガイドレールと、前記各パネルの幅方向端部の上部側から突出する支持突起と、上下に隣り合うパネル間を連繋するように前記支持突起に係合したパネル連繋チェーンと、最下部の前記パネルよりも下方へ突出した位置と同パネルの側方に並ぶ位置との間でスライドするように前記ガイドレールと前記最下部のパネルとの双方に係合して前記最下部のパネルよりも下方側の物体を非接触感知する非接触感知部とを備え、前記パネル連繋チェーンを前記収納部により繰り出したり牽引したりすることで、前記複数のパネルを前記ガイドレールに沿って開閉動作するようにしたパネルシャッターにおいて、
可撓性長尺部材を巻き取るとともにその巻き取り方向へ付勢された巻取体と前記付勢力に抗して前記可撓性長尺部材が繰り出される繰出速度が規定値以上になった場合に前記巻取体の繰り出し方向の回転を停止する繰出停止手段とを具備してなるリトラクター装置であって、且つ前記巻取体を前記ガイドレールの上方側に配置するとともに、前記可撓性長尺部材を前記パネル連繋チェーンに対しパネル厚さ方向へ離間して配置し、繰り出される前記可撓性長尺部材によって前記最下部のパネルを受けるようにしたリトラクター装置と、
前記ガイドレールに沿うとともに前記パネル連繋チェーンに対しパネル厚さ方向へ離間するように配設されて前記非接触感知部の電線を前記収納部内へ導く電線ガイド手段とのうち、
少なくとも一方を具備したことを特徴とするパネルシャッター。
【請求項2】
前記リトラクター装置と前記電線ガイド手段とのうち、少なくとも前記リトラクター装置を備えたパネルシャッターであって、
前記リトラクター装置によって繰り出される前記可撓性長尺部材の先端側部分を、前記最下部のパネルに止着していることを特徴とする請求項1記載のパネルシャッター。
【請求項3】
前記ガイドレール内の底部に、上下方向へわたる凹溝を有する凹状ガイド部材を設けるとともに、前記非接触感知部には前記凹溝に対し上下方向へスライド可能に嵌まり合う被ガイド凸部を設け、前記凹溝内と前記被ガイド凸部の先端側とをパネル厚さ方向へ広がるように形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のパネルシャッター。
【請求項4】
前記ガイドレール内の底部に、先端側がパネル厚さ方向へ広がり且つ上下方向へ連続するガイド突起を設け、前記非接触感知部には、前記ガイド突起の先端側に嵌り合って上下方向へスライドするように被ガイド凹部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のパネルシャッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−37849(P2010−37849A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203247(P2008−203247)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】