説明

パラメータ設定装置およびパラメータ設定方法

【課題】デバイスの使用態様に対応した適正な設定を簡便に行う。
【解決手段】デバイスに関する各種の情報を含むデバイス情報を記憶する記憶部から、ユーザにより指定された検索条件に一致するデバイス情報を抽出し、この抽出したデバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補として一覧表示させる候補表示部11と、パラメータ設定画面への遷移指示を受け付けた場合に、パラメータ設定画面を表示させる設定画面表示部12と、パラメータ設定画面において設定されたパラメータの値を、候補のうちユーザにより選択指定された候補に対応するデバイス3のパラメータに書き込むパラメータ書込部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラメータ設定装置およびパラメータ設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産プロセスを管理する現場では、通信機能を有する各種のデバイス(例えばセンサやバルブ等)をプラントに設置している。そして、デバイスをフィールドバスと呼ばれるネットワークに接続し、デバイスから発信される信号をシステムに取り込むことで、各種の生産プロセスを管理している。フィールドバスは、デジタル信号による双方向通信が可能な通信方式のネットワークであり、その通信仕様は、フィールドバス協会(Fieldbus Foundation TM)によって、ファウンデーションフィールドバス(Foundation Fieldbus)として規格化(標準化)されている。
【0003】
フィールドバスで使用するデバイスは、マルチベンダー化されており、各ベンダーは、デバイスに設定するパラメータや、そのパラメータの値を独自に設定している。したがって、デバイスを現場のシステムで使用するときには、各デバイスの設定をシステムの仕様に合わせて変更する必要がある。このような変更では、各デバイスに対して同様な設定を繰り返し行うことになるため、作業に要する工数が増えるとともに、設定ミスを誘発する可能性が高まる。下記特許文献1には、複数のデバイスに対して同一の設定情報を設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−181930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、デバイスは、同一のシステムで使用される場合であっても、配置場所や役割等の使用態様によって設定を変更する必要がある。したがって、上記特許文献1に記載されている技術のように、単に複数のデバイスに対して同一の設定情報を一律に設定するだけでは、デバイスの使用態様に対応した適正な設定を行うことができない。
【0006】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、デバイスの使用態様に対応した適正な設定を簡便に行うことができるパラメータ設定装置およびパラメータ設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパラメータ設定装置は、デバイスに関する各種の情報を含むデバイス情報を記憶する記憶部から、ユーザにより指定された検索条件に一致する前記デバイス情報を抽出し、当該抽出した前記デバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補として一覧表示させる候補表示部と、パラメータ設定画面への遷移指示を受け付けた場合に、前記パラメータ設定画面を表示させる設定画面表示部と、前記パラメータ設定画面において設定されたパラメータの値を、前記候補のうちユーザにより選択指定された前記候補に対応するデバイスのパラメータに書き込む書込部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係るパラメータ設定方法は、デバイスに関する各種の情報を含むデバイス情報を記憶する記憶部から、ユーザにより指定された検索条件に一致する前記デバイス情報を抽出し、当該抽出した前記デバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補として一覧表示させる候補表示ステップと、パラメータ設定画面への遷移指示を受け付けた場合に、前記パラメータ設定画面を表示させる設定画面表示ステップと、前記パラメータ設定画面において設定されたパラメータの値を、前記候補のうちユーザにより選択指定された前記候補に対応するデバイスのパラメータに書き込む書込ステップと、を含む。
【0009】
かかる構成を採用することで、ユーザにより指定された検索条件に一致するデバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補として表示させることができ、この候補の中からユーザにより指定された候補に対応する一または複数のデバイスのパラメータを、パラメータ設定画面で設定された値に一括設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、デバイスの使用態様に対応した適正な設定を簡便に行うことができるパラメータ設定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態におけるパラメータ設定装置を含むデバイス管理システムの構成を例示する図である。
【図2】実施形態における検索画面を例示する図である。
【図3】実施形態におけるパラメータ設定画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0013】
図1は、本発明の実施形態におけるパラメータ設定装置を含むデバイス管理システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、デバイス管理システム100は、パラメータ設定装置1と、コントローラ2と、デバイス3A〜3Pと、を備える。コントローラ2およびデバイス3A〜3Pは、それぞれフィールドバスFに接続しており、相互に通信可能となっている。フィールドバスFは、上述したファウンデーションフィールドバスのプロトコルを通信仕様として用いるネットワークである。なお、デバイス3A〜3Pは、以下において特に区別して記載する必要がない場合には、デバイス3と記載する。
【0014】
デバイス3は、プラント内に装備される各種の機器であり、フィールバスFを介して双方向に通信する機能を有する。デバイス3としては、例えば、流量や、圧力、温度等の各種発振器、流量制御弁や圧力制御弁等の各種バルブの開度等を変更・検出するバルブポジショナ、ポンプやファン等を動作させる各種アクチュエータ、および、通信状態や機器の診断を行う診断モジュール等が該当する。
【0015】
コントローラ2は、生産プロセスを実行するときには、生産プロセスの実行状態を制御する機能を有する。具体的に、コントローラ2は、例えば、センサから取得した流量や圧力等の測定値に基づいて、バルブポジショナを制御することで、配管に設けられたバルブの開度等を調節する。
【0016】
パラメータ設定装置1は、デバイス3のパラメータを設定する装置である。パラメータ設定装置1は、物理的には、例えば、CPU(図示省略)、メモリ等の記憶装置(記憶部、図示省略)、および入出力インターフェース(図示省略)を備える。記憶装置は、後述するデバイス情報等を記憶する。
【0017】
パラメータ設定装置1は、機能的には、例えば、図1に示すように、候補表示部11と、設定画面表示部12と、パラメータ書込部13と、を有する。
【0018】
候補表示部11は、ユーザにより指定された検索条件に一致するデバイス情報をデバイス情報DB14から抽出し、この抽出したデバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補(以下、「一括設定候補」という。)として一覧表示させる。デバイス情報は、デバイスに関する各種の情報を含み、例えば、デバイスを一意に特定するデバイスID、デバイスが実行する機能を定義したブロックを一意に特定するブロックIDや、デバイスのタイプ、各種のパラメータ等を含む。ブロックは、フィールドバス用語の機能ブロック(Function Block)を意味するものであり、各デバイス3が実行する機能を定義したものである。定義する機能としては、例えば、流量値、電圧値、温度値等を取得する機能や、微分、積分、加算、減算、乗算、除算等を行う機能、バルブ開閉、ボイラ調整、炉調整等を制御する機能等が該当する。
【0019】
パラメータには、システム管理用のパラメータや、ネットワーク管理用のパラメータ等も含まれる。システム管理用のパラメータには、機器間での時刻合わせや、ブロックのスケジューリング等を保持するシステム管理情報ベースのパラメータが含まれる。ネットワーク管理用のパラメータには、通信スタックのコンフィギュレーション等を保持するネットワーク管理情報ベースのパラメータが含まれる。
【0020】
上記検索条件は、検索項目とその検索項目に対する検索値とを設定することで指定する。検索項目としては、例えば、デバイスID、ブロックID、タイプ、パラメータ名等が該当する。
【0021】
図2を参照して、一括設定候補を一覧表示する際に用いる検索画面について説明する。図2に示す検索画面は、検索条件を指定する領域Sc(以下、「検索条件領域Sc」という。)と、検索結果を表示する領域Sr(以下、「検索結果領域Sr」という。)と、に区分されている。
【0022】
検索条件領域Scには、一括設定候補を特定するために用いる、有効欄、検索項目欄および検索値欄が表示される。有効欄には、チェックマークを入力することができ、検索項目欄には、デバイス情報に含まれる各データ項目が表示され、検索値欄には、検索対象とする値を任意に入力することができる。
【0023】
有効欄にチェックマークを入力すると、有効欄と同一行にある検索項目欄および検索値欄が有効となり、検索条件に組み込まれる。ユーザが、有効欄にチェックマークを入力して、検索ボタンSbをクリックすると、候補表示部11が検索条件に一致するデバイス情報をデバイス情報DB14から抽出し、この抽出したデバイス情報を検索結果領域Srに一覧表示する。
【0024】
ここで、検索条件の検索項目としていずれかのパラメータを指定し、そのパラメータに対応する検索値を指定して検索した場合には、指定パラメータに指定検索値が設定されているデバイス情報がデバイス情報DB14から抽出され、検索結果領域Srに表示される。この機能を利用することで、既に特定のパラメータ値が設定されているデバイス3群のパラメータを一括して呼び出し、書き換えることが可能となる。したがって、仮にユーザがデバイス3のパラメータ設定を誤って変更してしまった場合であっても、誤って設定変更したデバイス群を一括して呼び出し、正しいパラメータ値に一括して変更することが可能となる。なお、デバイスが保持している全てのパラメータを設定変更できることはいうまでもない。
【0025】
ユーザが、図2の検索結果領域Srに一覧表示されているデバイス情報の中から、一括設定の対象となるデバイス情報を選択指定し、パラメータ設定画面ボタンPbをクリックすると、パラメータ設定画面への遷移指示が発行される。図2では、デバイスIDが“001”〜“003”であるデバイス情報が選択指定されており、遷移先のパラメータ設定画面では、デバイスIDが“001”〜“003”であるデバイス情報のパラメータを変更することになる。
【0026】
図1に示す設定画面表示部12は、パラメータ設定画面への遷移指示を受け付けた場合に、パラメータ設定画面をディスプレイ上に表示させる。
【0027】
図3を参照して、パラメータ設定画面について説明する。パラメータ設定画面は、デバイス3のパラメータを設定するための画面である。パラメータ設定画面には、例えば、パラメータの名称を表示するパラメータ名欄と、そのパラメータに現在設定されている値を表示する現在値欄と、現在設定されている値を変更する場合に設定したい値を入力する設定値欄とが表示される。書込ボタンWbがクリックされると、設定値欄に入力された値に基づいてパラメータが更新される。
【0028】
図1に示すパラメータ書込部13は、パラメータ設定画面の設定値欄に入力されたパラメータの値に基づいて、デバイス情報DB14のデバイス情報に含まれるパラメータを更新する。具体的に、パラメータ書込部13は、パラメータ設定画面の設定値欄に入力されたパラメータの値を、図2の検索結果領域Srで選択指定されたデバイス情報に含まれるパラメータに書き込み、デバイス情報DB14を更新する。
【0029】
次に、図2および図3を参照して、実施形態におけるパラメータ設定装置1の動作について説明する。
【0030】
最初に、ユーザが、図2の検索条件領域Scの各欄に検索条件を入力し、検索ボタンSbをクリックする。続いて、候補表示部11は、チェックマークが入力された有効欄に対応する検索条件に一致するデバイス情報をデバイス情報DB14から抽出する。続いて、候補表示部11は、抽出したデバイス情報を、検索結果領域Srに一覧表示する。
【0031】
図2では、検索条件領域Scにある検索条件のうち、検索項目“パラメータ1”に対応する有効欄にチェックマークが入力されており、同一行の検索値欄に“abc”が入力されている。この結果、候補表示部11は、“パラメータ1”が“abc”であるデバイス情報を抽出し、この抽出したデバイス情報を、検索結果領域Srに表示する。
【0032】
続いて、ユーザが、候補表示部11によって一覧表示されたデバイス情報の中から、一括パラメータ設定の対象となるデバイス情報を選択指定する。図2では、検索結果領域Srに表示されているデバイス情報のうち、デバイスIDが“001”〜“003”であるデバイス情報が選択指定されている。
【0033】
続いて、ユーザが、パラメータ設定画面ボタンPbをクリックすると、設定画面表示部12は、画面上に図3のパラメータ設定画面を表示する。ここでは、デバイスIDが“001”〜“003”であるデバイス情報に含まれるパラメータを設定するパラメータ設定画面がディスプレイ上に表示されることになる。
【0034】
続いて、ユーザが、パラメータ設定画面の設定値欄に変更後の値を入力し、書込ボタンWbをクリックすると、パラメータ書込部13は、パラメータ設定画面の設定値欄に入力された値を、一括設定の対象となるデバイス情報のパラメータに書き込んでデバイス情報DB14を更新する。これにより、本動作例では、デバイスIDが“001”〜“003”であるデバイス情報のパラメータが一括更新される。
【0035】
上述してきたように、実施形態におけるパラメータ設定装置1によれば、ユーザにより指定された検索条件に一致するデバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補として表示させることができ、この候補の中からユーザにより指定された候補に対応する各デバイス3のパラメータを、パラメータ設定画面で設定された値に一括設定することが可能となる。
【0036】
また、仮にユーザがデバイス3のパラメータ設定を誤って変更してしまった場合であっても、検索してパラメータを再設定することができるため、適正なパラメータ値への変更を容易に行うことができる。
【0037】
それゆえに、実施形態におけるパラメータ設定装置1によれば、デバイスの使用態様に対応した適正な設定を簡便に行うことができる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、パラメータ設定画面で設定された値を用いてデバイス情報DB14に記憶されているデバイス情報を更新しているが、デバイス情報の更新方法はこれに限定されない。例えば、パラメータ設定画面で設定された値を用いて、各デバイス3の記憶部に記憶されているデバイス情報を更新することとしてもよい。この場合、デバイス管理システム100が稼働しているときには、パラメータ設定装置1がオンラインで各デバイス3に記憶されているデバイス情報を更新し、デバイス管理システム100が稼働していないときには、パラメータ設定装置1がオフラインでデバイス情報DB14に記憶されているデバイス情報を更新することとしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…パラメータ設定装置、2…コントローラ、3A〜3P…デバイス、11…候補表示部、12…設定画面表示部、13…パラメータ書込部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに関する各種の情報を含むデバイス情報を記憶する記憶部から、ユーザにより指定された検索条件に一致する前記デバイス情報を抽出し、当該抽出した前記デバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補として一覧表示させる候補表示部と、
パラメータ設定画面への遷移指示を受け付けた場合に、前記パラメータ設定画面を表示させる設定画面表示部と、
前記パラメータ設定画面において設定されたパラメータの値を、前記候補のうちユーザにより選択指定された前記候補に対応するデバイスのパラメータに書き込む書込部と、
を備えることを特徴とするパラメータ設定装置。
【請求項2】
デバイスに関する各種の情報を含むデバイス情報を記憶する記憶部から、ユーザにより指定された検索条件に一致する前記デバイス情報を抽出し、当該抽出した前記デバイス情報を、一括してパラメータの設定を行う候補として一覧表示させる候補表示ステップと、
パラメータ設定画面への遷移指示を受け付けた場合に、前記パラメータ設定画面を表示させる設定画面表示ステップと、
前記パラメータ設定画面において設定されたパラメータの値を、前記候補のうちユーザにより選択指定された前記候補に対応するデバイスのパラメータに書き込む書込ステップと、
を含むことを特徴とするパラメータ設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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