説明

パルスカウンタ

【課題】パルスの異なる入力方式を共通化させたパルスカウンタを提供することにある。【解決手段】パルスが出力させる他装置の端子PMoに接続されるケーブルCB1またはこのパルスを検出させ変流器CTの端子CToに接続されるケーブルCB2を介して接続されるようになっている共通入力端子T と、この端子に接続されて他装置の出力または変流器の出力のいずれにも対応させるようにした共通化入力回路1 と、この回路出力と基準電圧Vrとが入力されるコンパレータ回路2と、この回路出力のHレベルを保持するホールド回路3と、この回路にホールドされたコンパレータ回路の出力をリセットするリセット回路4 と、ホールドされたコンパレータ回路の出力を判定するレベル判定部5aと、ここからHレベル判定信号が出力されるとリセット回路にリセット信号を出力するリセット信号発生部5bと、判定信号をカウントするカウント部5cとの各機能を備えたパルス信号処理部5 とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他装置、例えば電力量計から間接的に出力されるパルスをカウントして積算電力量をデジタル化するパルスカウンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
積算電力量は電力量計により表示させることができるが、この表示では、例えば、積算電力量の遠方監視ができない。また、積算電力量を監視することによる使用電力量の制御ができない。そこで、積算電力量をデジタル化するために、電力量計から間接的に出力されるパルスをカウントするパルスカウンタが用いられている。したがって、積算電力量の遠方監視、使用電力量の制御を行う場合には、このパルスカウンタからの積算電力量に対応する出力を、上記の目的とする監視または制御対象箇所に伝送するようにすればよい。
【0003】
ところで、電力量計には無電圧接点、例えばオープンコレクタのトランジスタが設けられており、この出力端子の一端であるコレクタから出力されるパルスが入力されるように、電力量計の出力端子とパルスカウンタに設けられた入力端子とがケーブルにより接続され、パルスカウンタには、その入力端子の一端と制御電源との間に接続されてコレクタに電流を流すために、抵抗からなる負荷回路が設けられている。すなわち、トランジスタのベースにパルス信号が入力されると、このパルスのON期間中は制御電源から、負荷回路とケーブルとを介してコレクタに電流が流れる。このようにオープンコレクタから出力されるパルスが入力されるパルスカウンタは、例えば、特許文献1に示されている。なお無電圧接点とは、上記のように接続されて動作する接点をいう。
【0004】
そこで、パルスカウンタを新規に設ける場合、図3(A)に示すような構成になり、電力量計PMの出力端子PMoとパルスカウンタPC′の入力端子PCi′とがケーブルCBにより接続されている。
【0005】
また、パルスカウンタを追加、例えば、積算電力量の遠方監視に加えて、使用電力量の制御を行う場合、図3(B)に示すような構成になる。この場合、既に設けられている第1のパルスカウンタPC1′の入力端子PC1i′と電力量計PMの出力端子PMoとが接続されているので、ケーブルCB1に流れる電流を検出する変流器CTが設けられることになる。これに対応させるために、第2のパルスカウンタPC2′には、その入力端子PC2i′の両端と変流器CTの出力端子CToとがケーブルCB2により接続されると共に、その入力端子PC2i′の両端に接続される抵抗R2′が変流器CTの負担として設けられている。すなわち、電力量計PMに設けられているオープンコレクタのトランジスタTroのベースにパルス信号が入力されると、このパルスのON期間中は第1のパルスカウンタPC1′の制御電源(図示しない)から、負荷回路である抵抗R1′とケーブルCB1とを介してコレクタに電流が流れ、OFF期間中はコレクタに電流が流れないので、コレクタにパルス電圧が発生する。また、変流器CTの負担として設けられている抵抗R2′にパルス電圧が発生する。
【0006】
第1及び第2のパルスカウンタPC1′,PC2′には、カウンタ回路CN1′,CN2′がそれぞれ設けられている。
【特許文献1】特開平4−160490号公報(第3図ないし第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来では、パルスカウンタを追加しようとすれば、既設のパルスカウンタと異なる入力方式を採用したパルスカウンタが必要となり、パルスカウンタのメーカとしては、入力方式が異なる2種類のパルスカウンタを準備しなければならないという問題が生じる。また、追加するパルスカウンタの入力方式が変流器によるものであるので、変流器が検出するパルス電流のパルス幅が小さく、すなわち、変流器の負担に発生するパルス電圧のパルス幅が小さくなり、このようなパルスではカウントされないという問題が生じる。
【0008】
本発明の目的は、パルスの異なる入力方式を共通化させたパルスカウンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、他装置に設けられた無電圧接点からパルスが出力されるようになっている他装置の出力端子に接続されるケーブルまたは他装置に設けられた無電圧接点から出力されるパルスが検出されるように外部に設けた変流器の出力端子に接続されるケーブルを介して接続されるようになっている共通入力端子と、共通入力端子に接続されて他装置からの出力または変流器からの出力のいずれにも対応させるようにした共通化入力回路と、共通化入力回路の出力と設定される基準電圧とが入力されるコンパレータ回路と、コンパレータ回路の出力のHレベルをホールドするホールド回路と、ホールド回路にホールドされたコンパレータ回路の出力をリセットするリセット回路と、ホールド回路によりホールドされたコンパレータ回路の出力レベルを判定するレベル判定部と、レベル判定部からHレベル判定信号が出力されるとリセット回路にリセット信号を出力するリセット信号発生部と、Hレベル判定信号をカウントするカウント部とを備えるようにしたものである。
【0010】
第2の発明は、共通化入力回路は、他装置の出力端子がケーブルを介して共通入力端子に接続される場合、パルスの立ち下がり時では、共通入力端子に発生する電圧を設定される基準電圧以上となるようにして出力させ、外部に設けた変流器の出力端子がケーブルを介して共通入力端子に接続される場合、パルスの立ち上がり時では、共通入力端子に発生する電圧を設定される基準電圧以上となるようにして出力させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、第1の発明によれば、パルスの異なる入力方式を共通化させたので、製造の煩雑化が防止できる。また、ユーザへの設置状況の確認作業を不要とすることができる。
【0012】
第2の発明によれば、入力されるパルスをパルス形成してパルス幅を大きくしたので、入力方式が変流器によるものであってもパルスを正常にカウントすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明のパルスカウンタの一実施形態を示すブロック図である。図2は本発明のパルスカウンタを適用してパルスカウンタを追加する場合の結線図である。図示するように、他装置、例えば電力量計PMの出力端子PMoと第1のパルスカウンタPC1の共通入力端子TとがケーブルCB1により接続され、変流器CTの出力端子CToと第2のパルスカウンタPC2の共通入力端子TとがケーブルCB2により接続されている。
【0014】
パルスカウンタPC1,PC2は同じものであり、共通入力端子Tと、共通化入力回路1と、コンパレータ回路2と、ホールド回路3と、リセット回路4と、所定長パルス形成部5aとリセット信号発生部5bとカウント部5cとの各機能を備えたパルス信号処理部5とから構成されている。
【0015】
共通入力端子Tは、電力量計PMに設けられた無電圧接点からパルスが出力されるようになっている電力量計PMの出力端子PMoに接続されるケーブルCB1または電力量計PMから出力されるパルスが検出されるように外部に設けた変流器CTの出力端子CToに接続されるケーブルCB2を介して接続されるようになっている。
【0016】
共通化入力回路1は、図1に示すように、電力量計PMからの出力または変流器CTからの出力のいずれにも対応できるように、抵抗R1,R2,R3とコンデンサC1とから構成されている。抵抗R1はこの共通化入力回路1の入力端1aと制御電源Sとの間に接続され、抵抗R2と抵抗R3との直列回路が制御電源Sに接続される共に、抵抗R2と抵抗R3との接続点と入力端1aとの間に直流分カット用のコンデンサC1が接続されており、抵抗R2と抵抗R3との接続点が共通化入力回路1の出力端1bとなっている。なお共通化入力回路1の入力端1aは、パルスカウンタの共通入力端子Tとなっている。また抵抗R1は、無電圧接点、例えばオープンコレクタのトランジスタTroが設けられた電力量計PMの出力端子PMoが共通入力端子Tに接続される場合、このトランジスタTroの負荷回路となる。さらに抵抗R1,R2,R3は、外部に設けた変流器CTの出力端子CToが共通入力端子Tに接続される場合、この変流器CTの負担となる。
【0017】
コンパレータ回路2は、抵抗R4,R5とオペアンプOPとから構成され、オペアンプOPには制御電源Sに接続される抵抗R4と抵抗R5との直列回路による分圧電圧が、オペアンプOPに設定される基準電圧Vrとして入力されると共に、共通化入力回路1の出力端1bからの出力が入力される。定常時は、制御電源Sに接続される抵抗R2と抵抗R3との直列回路による分圧電圧V2が入力されている。
【0018】
ホールド回路3は、ダイオードDとコンデンサC2とから構成され、コンパレータ回路2の出力がHレベルになったときに、Hレベルの電圧がダイオードDを介してコンデンサC2に充電され、ホールドされる。なお、コンデンサC2の両端に抵抗を接続するようにしてもよい。
【0019】
リセット回路4はトランジスタTrから構成され、ホールド回路3を構成するコンデンサC2の両端にトランジスタTrのコレクタ、エミッタが接続されている。
【0020】
パルス信号処理部5は中央処理装置(CPU)5から構成され、ホールド回路3によりホールドされたコンパレータ回路2の出力レベルを判定するレベル判定部5aと、Hレベル判定信号が出力されるとリセット回路4にリセット信号を出力するリセット信号発生部5bと、Hレベル判定信号をカウントするカウント部5cとの各機能を備えている。
【0021】
このような構成において、例えば、制御電源Sの制御電圧Vsを5[V]、基準電圧Vrを3[V]、分圧電圧V2をV2(=Vs/2=2.5[V])<Vrとする。
【0022】
電力量計PMの出力端子PMoが共通入力端子Tに接続される場合、電力量計からパルスが発生しない期間(パルスOFF期間)では、共通化入力回路1の入力端子1aの電圧V1が制御電圧Vs(=5[V])となり、分圧電圧V2(=2.5[V])がコンパレータ回路2に入力されるので、コンパレータ回路2の出力はLレベルとなっている。
【0023】
また、電力量計からパルスが発生している期間(パルスON期間)では、入力端子1aの電圧V1が0[V]となり、分圧電圧V2(=2.5[V])がコンパレータ回路2に入力されるので、コンパレータ回路2の出力はLレベルとなっている。
【0024】
さらに、電力量計からのパルスの立ち下がり時(パルスON期間からパルスOFF期間)では、入力端子1aに発生する電圧V1がVs(=5[V])+分圧電圧V2(=2.5[V])の瞬時パルスとなり、これが分圧電圧V2(=2.5[V])に重畳されてコンパレータ回路2に入力されるので、コンパレータ回路2の出力はHレベルとなる。
【0025】
外部に設けた変流器CTの出力端子CToが共通入力端子Tに接続される場合、パルスが発生しない期間(パルスOFF期間)では、入力端子1aの電圧V1が0[V]となり、分圧電圧V2(=2.5[V])がコンパレータ回路2に入力されるので、コンパレータ回路2の出力はLレベルとなっている。
【0026】
また、パルスの立ち上がり時(パルスOFF期間からパルスON期間)では、入力端子1aに発生する電圧V1(>Vr)が瞬時パルスとなり、これがコンパレータ回路2に入力されるので、コンパレータ回路2の出力はHレベルとなる。この場合、電圧V1がV1>Vrとなるように、V1=I・R(但し、Iは変流器CTの定格電流、Rは1/R=1/R1+1/R2+1/R3)の式を満足するI,R1,R2,R3を選定する。このV1を例えば、5[V]にするには、I:0.0125[mA]、R1:2[MΩ]、R2:1[MΩ]、R3:1[MΩ]とすればよい。
【0027】
コンパレータ回路2の出力がHレベルとなると、ホールド回路3ではこのHレベルの電圧がホールドされる。
【0028】
パルス信号処理部5のレベル判定部5aでは、コンパレータ回路2からの出力を、例えば20[ms]で常時サンプリングしており、サンプリング時点でLレベルであれば、何も出力されない。また、Hレベルであれば、Hレベル判定信号が出力される。このようにコンパレータ回路2からの出力を判定しているので、変流器CTの負担に発生するパルス電圧のパルス幅が小さくても正常にパルスが検出できる。
【0029】
レベル判定部5aからHレベル判定信号が出力されると、電力量計PMから出力される次のパルスを処理するために、リセット信号発生部5bでは、リセット回路4を構成するトランジスタTrのベースにリセット信号を出力する。リセット信号が出力されると、トランジスタTrのコレクタ、エミッタ間が短絡状態となるので、ホールド回路3を構成するコンデンサC2が放電される。また、Hレベル判定信号は電力量計PMから出力されるパルス数と同じであるので、カウント部5cに入力され、積算電力量としてカウントされる。
【0030】
パルス信号処理部5では、カウント部5cによりカウントされた積算電力量がパルス出力されるようになっているので、積算電力量の遠方監視、使用電力量の制御を行う場合、パルスカウンタに伝送装置を設け、積算電力量に対応する出力を監視または制御対象箇所に伝送するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のパルスカウンタの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のパルスカウンタを適用してパルスカウンタを追加する場合の結線図である。
【図3】(A)は従来のパルスカウンタを新規に設ける場合の結線図、(B)は従来のパルスカウンタを追加して設ける場合の結線図である。
【符号の説明】
【0032】
PMo 他装置の出力端子
CB1,CB2 ケーブル
CT 変流器
CTo 出力端子
T 共通入力端子
Vr 基準電圧
1 共通化入力回路
2 コンパレータ回路
3 ホールド回路
4 リセット回路
5 パルス信号処理部
5a パルス形成部
5b リセット信号発生部
5c カウント部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他装置に設けられた無電圧接点からパルスが出力されるようになっている前記他装置の出力端子に接続されるケーブルまたは前記他装置に設けられた無電圧接点から出力されるパルスが検出されるように外部に設けた変流器の出力端子に接続されるケーブルを介して接続されるようになっている共通入力端子と、
前記共通入力端子に接続されて前記他装置からの出力または前記変流器からの出力のいずれにも対応させるようにした共通化入力回路と、
前記共通化入力回路の出力と設定される基準電圧とが入力されるコンパレータ回路と、前記コンパレータ回路の出力のHレベルをホールドするホールド回路と、
前記ホールド回路にホールドされた前記コンパレータ回路の出力をリセットするリセット回路と、
前記ホールド回路によりホールドされたコンパレータ回路の出力レベルを判定するレベル判定部と、前記レベル判定部からHレベル判定信号が出力されると前記リセット回路にリセット信号を出力するリセット信号発生部と、前記Hレベル判定信号をカウントするカウント部とを備えたパルスカウンタ。
【請求項2】
前記共通化入力回路は、
前記他装置の出力端子がケーブルを介して前記共通入力端子に接続される場合、前記パルスの立ち下がり時では、前記共通入力端子に発生する電圧を前記設定される基準電圧以上となるようにして出力させ、
前記外部に設けた変流器の出力端子がケーブルを介して前記共通入力端子に接続される場合、前記パルスの立ち上がり時では、前記共通入力端子に発生する電圧を前記設定される基準電圧以上となるようにして出力させる請求項1に記載のパルスカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−104020(P2007−104020A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287720(P2005−287720)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)