説明

パレット

【課題】フォークリフトとハンドリフター装置の各フォークの使い分けができる。
【解決手段】合成樹脂の一体成形のパレット5の対向する一対の面に開口するフォーク挿入孔がフォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となり、対向する他の一対の面に開口するフォーク挿入孔がハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となる。ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法が、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法よりも短い。フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する面に位置する中間の筒状桁12の横幅が、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する面に位置する中間の筒状桁12の横幅より広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトのフォークの使用とハンドリフター装置の車輪付きのフォークの使用とができるパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から4方差しのパレットが知られており、従来の4方差しのパレットにおいて、対向する一対の面に開口するフォーク挿入孔の上下方向の寸法と対向する他の一対の面に開口するフォーク挿入孔の上下方向の寸法はいずれも同じ上下方向の寸法が同じであって、このフォーク挿入孔にはフォークリフトのフォークを差し込んで使用できるとともにハンドリフター装置のフォークを差し込んで使用できるようになっている。
【0003】
ここでフォークリフトにおいてはフォークのみがフォーク挿入孔に挿入されるが、ハンドリフター装置においてはフォークに車輪が付いており、車輪を転動しながら車輪付きのフォークをフォーク挿入孔に挿入するようにしており、このため、従来にあっては、フォーク挿入孔にフォークリフトのフォーク及びハンドリフター装置のフォークのいずれも挿入できるようにするため、フォーク挿入孔の上下方向の寸法をハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入できる寸法としてあった。したがって、従来の4方差しのパレットにおいてすべてのフォーク挿入孔の上下方向の寸法は車輪付きのフォークを挿入できるように略88mm以上に設定してあった。
【0004】
ところでパレットに必要な強度を発現するために桟を設けてあり、フォーク挿入孔の上面部及び下面部も桟により構成してある。そして、フォーク挿入孔の上面部及び下面部の桟もパレット全体の強度に係わっているので、このフォーク挿入孔の上面部及び下面部を構成する桟の上下方向の寸法は一定の寸法以上必要となってしまう。
【0005】
一方、パレットは上下に積み重ねて保管したり、搬送したりするが、上下の嵩が高く、大きな上下スペースの保管場所が必要で、搬送に際しても大きな上下スペースが必要となるという問題があり、パレットの薄型化が求められている。
【0006】
しかしながら、従来においては、上記のように4方差しのパレットのすべてのフォーク挿入孔が車輪付きのフォークを挿入できるように上下方向の寸法を長く設定してあり、また、フォーク挿入孔の上面部及び下面部を構成する桟の上下方向の寸法を短くできないので、結局パレットの薄型化ができないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、フォークリフトのフォークの使用とハンドリフター装置の車輪付きのフォークの使用とが使い分けでき、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔にハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入したり、引き出したりするに当り、スムーズに移動して出し入れができるパレットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係るパレットは、表面部7と裏面部6とが、表面部7と裏面部6の隅部同士を連結する4個の隅の筒状桁12と、表面部7と裏面部6との周囲の中間部同士を連結する4個の中間の筒状桁12と、表面部7と裏面部6の中央部同士を連結する1個の中央部の筒状桁12により連結され、筒状桁12間にフォーク挿入孔が井の字状に形成された四方差しパレット5を構成し、該パレット5が合成樹脂の一体成形により形成され、井の字状に形成されたフォーク挿入孔のうち対向する一対の面に両端部が開口するフォーク挿入孔がフォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となると共に、対向する他の一対の面に両端部が開口するフォーク挿入孔がハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となり、上記ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法を、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法よりも短くし、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する対向する一対の面に位置する中間の筒状桁12の横幅を、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する他の一対の面に位置する中間の筒状桁12の横幅を広く形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
このように、井の字状に形成されたフォーク挿入孔のうち対向する一対の面に両端部が開口するフォーク挿入孔がフォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となると共に、対向する他の一対の面に両端部が開口するフォーク挿入孔がハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となり、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法を、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法よりも短くし、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する対向する一対の面に位置する中間の筒状桁12の横幅を、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する他の一対の面に位置する中間の筒状桁12の横幅を広く形成したので、対向する一対の面に開口するフォーク挿入孔と、他の対向する一対の面に開口するフォーク挿入孔とをそれぞれ、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔と、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔として使い分けることができ、フォークリフトのフォークの使用とハンドリフター装置の車輪付きのフォークの使用とができ、また、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔にハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入したり、引き出したりするに当り、スムーズに移動して出し入れができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記のように、フォークリフトのフォークの使用とハンドリフター装置の車輪付きのフォークの使用とが使い分けできるという利点がある。また、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔にハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入したり、引き出したりするに当り、スムーズに移動して出し入れができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至図6には本発明のパレット5の一実施形態が示してある。パレット5は合成樹脂によって一体に射出成形してあり、表面部7と裏面部6とが、表面部7と裏面部6の隅部同士を連結する4個の隅の筒状桁12と、表面部7と裏面部6との周囲の中間部同士を連結する4個の中間の筒状桁12と、表面部7と裏面部6の中央部同士を連結する1個の中央部の筒状桁12により連結してある。このように、表面部7と裏面部6とを4個の隅の筒状桁12と、4個の中間の筒状桁12と、1個の中央部の筒状桁12とにより一体に連結することで、上記の筒状桁12間にフォーク挿入孔が井の字状に形成された四方差しパレット5を構成している。上記井の字状に形成されたフォーク挿入孔のうち対向する一対の面に両端部が開口するフォーク挿入孔が第1のフォーク挿入孔1となっている。また、対向する他の一対の面に両端部が開口し且つ上記第1のフォーク挿入孔1と直交するフォーク挿入孔が第2のフォーク挿入孔2となっている。
【0013】
ここで、第1のフォーク挿入孔1の上下方向の寸法H1が第2のフォーク挿入孔2の上下方向の寸法H2よりも短くなっており、上下方向の寸法が長い方の第2のフォーク挿入孔2がハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となっており、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークが挿入できる上下方向の寸法となっており、例えば第2のフォーク挿入孔2の上下方向の寸法が88mmとなっている。一方、上下方向の寸法が短い第1のフォーク挿入孔1は、一般のフォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となっており、例えば第1のフォーク挿入孔1の上下方向の寸法が73mm程度に設定してあり、上記のように第1のフォーク挿入孔1は一般のフォークリフトのフォーク挿入用となっており、一般のフォークリフトのフォークには車輪が付設してないので、上下方向の寸法はハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入する第2のフォーク挿入孔1よりも上下方向の寸法が短くてよく、上記のように上下方向の寸法を73mm程度に設定しても問題がないものである。
【0014】
添付図面に示す実施形態においてはパレット5の第1のフォーク挿入孔1と第2のフォーク挿入孔2とが交わる部分においては裏面部6に裏面側開口部13が形成してある。第1のフォーク挿入孔1及び第2のフォーク挿入孔2は上記裏面側開口部13を除いて上面部及び下面部に桟4が設けてあって、この桟4としては隣接する筒状桁12間に一体に架設された桟4aと、第1又は第2のフォーク挿入孔1、2に平行で且つ上記桟4aと一体に交差する桟4bとで構成してある。
【0015】
そして、上記のように第1のフォーク挿入孔1の上下方向の寸法H1を第2のフォーク挿入孔2の上下方向の寸法H2よりも短くすることで、第1のフォーク挿入孔1の上面部乃至下面部を構成する桟4のうち少なくとも一方の桟4の上下方向の寸法が、第2のフォーク挿入孔2の上面部乃至下面部を構成する桟4のうち少なくとも一方の桟4の上下方向の寸法よりも長くなっている。
【0016】
ここで、第2のフォーク挿入孔2はハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためにフォーク挿入孔の上下方向の寸法を長く取る必要があるが、第1のフォーク挿入孔1は第2のフォーク挿入孔2よりも上下方向の寸法が短くてよく、このため、第2のフォーク挿入孔2の上面部乃至下面部を構成する桟4の少なくとも一方の上下方向の寸法を短くしても、第1のフォーク挿入孔1の上面部乃至下面部を構成する桟4の少なくとも一方の上下方向の寸法が長くなることでパレット5全体としての強度を確保でき、したがって、パレット5全体の上下方向の寸法を短く、つまり薄型化できるものであり、例えば、パレット5の上下方向の寸法を120mm程度とすることが可能となるものである。
【0017】
ここで、添付図面に示す実施形態においては、第2のフォーク挿入孔2の下面部を構成する下の桟4の上下方向の寸法M2を第1のフォーク挿入孔1の下面部を構成する桟4の上下方向の寸法M1よりも短くしてあり、この結果、パレット5の裏面部6から第2のフォーク挿入孔2の下面までの上下方向の長さをパレット5の裏面部6から第1のフォーク挿入孔1までの上下方向の寸法よりも短くしてある。このように、第2のフォーク挿入孔2の上面部又は下面部を構成する桟4のうち下面部を構成する桟4の上下方向の寸法M2を短くすることで、上面部を構成する桟4の上下方向の寸法は第1のフォーク挿入孔1の上面部を構成する桟4の上下方向の寸法と同じ長さにでき、第2のフォーク挿入孔2にハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入してパレット5を上方に持ち上げた場合におけるフォークにより安定して持ち上げることができるものである。また、パレット5の裏面部6から第2のフォーク挿入孔2の下面までの上下方向の長さをパレット5の裏面部6から第1のフォーク挿入孔1までの上下方向の寸法よりも短くしてあるので、第2のフォーク挿入孔2にハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入したり、引き出したりする際に、第2のフォーク挿入孔2の下面部を構成する桟に車輪が引っ掛かることなくスムーズに移動してフォークの出し入れができるものである。
【0018】
上記のように4方差しのパレット5において、一般のフォークリフトのフォークを挿入する場合には上下方向の寸法が短い第1のフォーク挿入孔1に挿入して持ち上げるものであり、また、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入する場合には上下方向の寸法が短い第2のフォーク挿入孔2に挿入して持ち上げるものである。このようにして、本発明のパレット5は一般のフォークリフトのフォーク及びハンドリフター装置の車輪付きのフォークのいずれも使用できるものであり、しかも、上記のように、第1のフォーク挿入孔1の上下方向の寸法を第2のフォーク挿入孔2の上下方向の寸法よりも短くして、第1のフォーク挿入孔1の上面部乃至下面部を構成する桟4のうち少なくとも一方の桟4の上下方向の寸法を、第2のフォーク挿入孔2の上面部乃至下面部を構成する桟4のうち少なくとも一方の桟4の上下方向の寸法よりも長くしてあるので、パレット5全体の上下方向の寸法を短くしても、上下方向の寸法が短いフォークリフトのフォークを挿入するための第1のフォーク挿入孔1の上面部乃至下面部を構成する桟4の上下方向の寸法を長くでき、この結果、パレット5全体の強度を確保しながらパレット5の上下方向の寸法を短くできて薄型化が可能となり、パレット5を多段に積み重ねた場合における嵩を低くでき、搬送、保管に当たって、スペース的に有利となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のパレットの平面図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上の側面図である。
【図4】同上の底面図である。
【図5】同上の図1のX−X線断面図である。
【図6】同上の図1のY−Y線断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 第1のフォーク挿入孔
2 第2のフォーク挿入孔
4 桟
5 パレット
6 裏面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部と裏面部とが、表面部と裏面部の隅部同士を連結する4個の隅の筒状桁と、表面部と裏面部との周囲の中間部同士を連結する4個の中間の筒状桁と、表面部と裏面部の中央部同士を連結する1個の中央部の筒状桁により連結され、筒状桁間にフォーク挿入孔が井の字状に形成された四方差しパレットを構成し、該パレットが合成樹脂の一体成形により形成され、井の字状に形成されたフォーク挿入孔のうち対向する一対の面に両端部が開口するフォーク挿入孔がフォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となると共に、対向する他の一対の面に両端部が開口するフォーク挿入孔がハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔となり、上記ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法を、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔の下面部の上下方向の寸法よりも短くし、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する対向する一対の面に位置する中間の筒状桁の横幅を、ハンドリフター装置の車輪付きのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が開口する他の一対の面に位置する中間の筒状桁の横幅を広く形成して成ることを特徴とするパレット。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−112517(P2007−112517A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23266(P2007−23266)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【分割の表示】特願2000−315688(P2000−315688)の分割
【原出願日】平成12年10月16日(2000.10.16)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】