説明

パレット

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂等から形成されるパレットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂パレットとして、それぞれツナギ材溝を形成された面を上下に重ね合わせた一対の板材を、ツナギ材溝にツナギ材を嵌挿させることにより連結させたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の樹脂パレットでは、板材の寸法がそのまま樹脂パレットの外形寸法となるため、異なる外形寸法の樹脂パレットを得るには、要求される寸法に応じた板材を用意する必要があり、生産効率の低下を招く。本発明は、寸法を容易に変更することができるパレットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のパレットは、複数のパレット部材と、これらパレット部材を連結させる連結部材とを備え、連結部材により連結されるパレット部材の数を選定することにより、寸法設定可能であるパレットであって、パレット部材が、上下に2個重ね合わせられるとともに奥行き方向に複数組配置され、連結部材が、上下のパレット部材にわたって嵌挿され、かつ奥行き方向に並べられた複数組のパレット部材にわたって嵌挿されることを特徴とする。
【0005】
【実施例】以下図示実施例により、本発明を説明する。図1は、本発明の一実施例である樹脂パレットの構成を示す。この図において、上下に2個重ね合わされたパレット部材10は、連結部材であるツナギ材20により長手方向に5組、計10個連結される。
【0006】パレット部材10としては、900、1100、1300、1500mmの4種類の幅方向寸法Lを有するものが用意される。パレット部材10の一方の面には、図1および図2に示すように、ツナギ材溝11およびフォーク進入溝12が設けられる。ツナギ材溝11はそれぞれ、断面L字状に形成され、一方の面の中央部および両端部に設けられる。フォーク進入溝12は、各ツナギ材溝11の間に設けられる。パレット部材10は、ツナギ材溝11およびフォーク進入溝12が設けられた面同士を接触させるように上下に2個重ね合わされた状態で、樹脂パレットの奥行き方向に5組、計10個配置される。このとき、各パレット部材10の対向する位置にあるツナギ材溝11およびフォーク進入溝12は、上下方向および奥行き方向に連通される。連通されたツナギ材溝11には、それぞれの形状に合致するツナギ材20が嵌挿される。また、連通されたフォーク進入溝12には、搬送時にクレーンのフォークが出入される。
【0007】ツナギ材20はそれぞれ、鉄・アルミ等の金属にて形成される。各ツナギ材20は、図1に示すように、パレット部材10の上下方向および樹脂パレットの奥行き方向に連通されたツナギ材溝11に嵌挿される。これにより、ツナギ材20は、上下2個のパレット部材10を長手方向に5組、計10個連結させる。ツナギ材20の長さは、長手方向に連結させるパレット部材10の数に応じて決定され、樹脂パレットの奥行き寸法Dにほぼ等しい。
【0008】本実施例の作用を説明する。樹脂パレットの幅方向寸法は、パレット部材10の幅方向寸法Lに等しい。ツナギ材20は、長手方向に連結させるパレット部材10の数を増減させることにより、樹脂パレットの奥行き寸法Dを変更させる。
【0009】各パレット部材10の成形には、図3に示す型30および成形ユニット31、32、33が用いられる。成形ユニット31、32、33は、型30に着脱可能であり、外形用ユニット31、ツナギ材溝用ユニット32およびフォーク進入溝用ユニット33の3種類が用意される。
【0010】外形用ユニット31は、型30の両端部に嵌合されてパレット部材10の幅方向寸法Lを決定するものであり、サイズの大きい方から順に、900用、1100用、1300用の3種類が用意される。この外形用ユニット31を使用しない状態では、パレット部材10の幅方向寸法Lは、型30の幅方向寸法によって1500となり、また、各サイズの外形用ユニット31を嵌合させることにより、所定の寸法Lを有するパレット部材10が得られる。ツナギ材溝用ユニット32は、型30の中央部および両端部近傍に配置され、成形されるパレット部材10の所定の位置にツナギ材溝11を形成させる。フォーク進入溝用ユニット33は、ツナギ材溝用ユニット32の間に配置され、パレット部材10のツナギ材溝11の間にフォーク進入溝12を形成させる。このフォーク進入溝用ユニット33には、大小2種類のサイズが用意される。これら2種類のフォーク進入溝用ユニット33を適宜選択して用いることにより、寸法Lが900または1100のパレット部材10と、1300または1500のパレット部材10とでフォーク進入溝12の幅方向寸法を変更する。
【0011】つぎに、このような型30および成形ユニット31、32、33を用いて、異なるサイズのパレット部材10を成形する方法について説明する。
【0012】幅方向寸法Lが900mmのパレット部材10を成形する場合、型30の両端部に900用の外形用ユニット31を嵌合させるとともに、型30の中央部および両端部近傍にツナギ材溝用ユニット32を配置する。また、ツナギ材溝用ユニット32の間には、小さいサイズのフォーク進入溝用ユニット33を配置する。この状態で、樹脂を型30に流し込み、成形する。
【0013】幅方向寸法Lが1500mmのパレット部材10を成形する場合、型30の中央部および両端部近傍にツナギ材溝用ユニット32を配置するとともに、ツナギ材溝用ユニット32の間に大きいサイズのフォーク進入溝用ユニット33を配置する。外形用ユニット31は使用しない。この状態で、樹脂を型30に流し込み、成形する。
【0014】以上のように上記実施例によれば、ツナギ材20の長手方向に連結させるパレット部材10の数を変更することにより、樹脂パレットの奥行き寸法Dを容易に変更することができる。また、パレット部材10を成形する際、型30および型30に着脱可能な成形ユニット31、32、33を用いることにより、異なる幅方向寸法Lを有するパレット部材10を安価に得ることができる。
【0015】なお、上記実施例では、ツナギ材20をパレット部材10の上下に連通されたツナギ材溝11に嵌挿させたが、嵌挿させた状態でさらに樹脂を加熱することにより、ツナギ材20をパレット部材10に融着させてもよい。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、寸法を容易に変更することができるパレットが得られる。また、連結部材によってパレット部材を上下に連結するとともに奥行き方向に連結することができるので、連結作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る樹脂パレットを示す斜視図である。
【図2】図1の樹脂パレットのパレット部材を示す斜視図である。
【図3】図2のパレット部材を成形するための型および成形ユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
10 パレット部材
20 ツナギ材(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のパレット部材と、前記パレット部材を連結させる連結部材とを備え、前記連結部材により連結される前記パレット部材の数を選定することにより、寸法設定可能であるパレットであって前記パレット部材が、上下に2個重ね合せられるとともに奥行き方向に複数組配置され、前記連結部材が、上下の前記パレット部材にわたって嵌挿され、かつ奥行き方向に並べられた複数組の前記パレット部材にわたって嵌挿されることを特徴とするパレット。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【特許番号】第2913982号
【登録日】平成11年(1999)4月16日
【発行日】平成11年(1999)6月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−40267
【出願日】平成4年(1992)1月30日
【公開番号】特開平5−213356
【公開日】平成5年(1993)8月24日
【審査請求日】平成9年(1997)6月16日
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【参考文献】
【文献】実開 昭49−110455(JP,U)
【文献】実開 昭55−24282(JP,U)