パンク防止機能を具えたホットプレス装置と木質材料の製造方法
【課題】木質ボード等の木質材料をホットプレスで熱圧製造する場合、熱圧時に内部に水蒸気が発生する。この水蒸気が熱圧対象内部にこもった状態でホットプレスを解圧するとパンクが発生し木質材料が破裂する。パンクは製造の最終工程発生するため、パンクが発生すると一連の製造工程が全くの無駄となり、これを回避するには材料を完全に乾燥する必要がある多量のエネルギーを要する。
【解決手段】次の工程からなる木質材料の製造方法を提供して上記課題を解決する。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【解決手段】次の工程からなる木質材料の製造方法を提供して上記課題を解決する。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料を接着剤とともに熱圧して木質材料料を製造するホットプレス装置ならびに木質材料の製造方法に関し、なお詳しくは、熱圧時に材料内部にこもる水蒸気を放出させて、水蒸気がこもることによって発生するパンクを防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材を繊維状や小片状に加工し、これに結合材を加えて成形した木質材料は、ファイバーボードやパーティクルボード等と呼ばれ、総称して木質ボードと呼ぶこともある。これらの木質ボードは、木材繊維や木材小片に、フェノール樹脂等の結合材を添加してマット状に成形し、成形によって得られたマットを、結合材の硬化温度まで加熱しながら加圧する、所謂熱圧成形によって製造される。このような熱圧成形のために用いられる加工装置としては、ホットプレス装置が広く用いられている。
【0003】
ホットプレス装置は、加圧定盤を加熱し、加圧定盤の表面からの熱供給によってマットを加熱しながら加圧するものである。
例えば、木材原料(マット)の密度が0.4g/立方センチメートルである場合、製造される木質材料(木質ボード)の密度はそれよりも高くなり、その密度は0.7g/立方センチメートル以上までになる。 このように、圧縮されるため木材原料内部の水蒸気は外部に逃げられず、内部にこもりやすくなる。
【0004】
そして、内部にこもった水蒸気は加圧定盤の解圧時に急激に外部に放出され、木質材料としての木質ボードが破裂する現象、いわゆるパンクが発生する。このパンクは木質ボードの製造工程の最終段階で生じるため、パンクが発生するとそれまでの製造工程がすべて無駄になり、生産性の大幅な低下につながり、ひいては製造コストの増大を招来する。
上記のようなパンク現象は、連続ホットプレスや木質材料の側面をシールドして高温高圧下に熱圧して寸法安定性に優れる木質材料を得る場合にも同様に発生する。
【0005】
したがって、パンクの防止は木質ボードの製造において枢要事であるにもかかわらず、現状ではパンク防止のために採用されている有効な手段としては熱圧前の木材原料の十分な乾燥程度しか見当たらないのが実情である。例えば、真空空間内で、熱圧作業をなす技術等が開示されているが、装置が複雑になり生産性にも問題があり実用性を有していない。
【0006】
そして、パンクの発生を防止できる程度に木材原料の含水率を下げるには、多大のエネルギーを費消しなければならない。 このエネルギーは原料の乾燥工程にのみ必要であり、木質材料そのものの形成には使われることがなく、それどころか、接着剤塗布に際しては加熱された原料を冷却しなければならない。
しかし、このようなエネルギーの無用ともいえる費消を避けて木材原料を乾燥せず高い含水率のまま接着剤を塗布し、フォーミング・熱圧を行えば、パンクが発生し木質材料の製造は不可能ともいえる。 ここにおいて、木質材料を高含水率のまま熱圧しても、解圧時にパンクを防止できれば、乾燥工程の省略につながり、省エネルギー・省スペースが実現できるのである。
【0007】
なお、本願発明に関連する技術が以下のような文献において開示されている。
【特許文献1】特許公表2002−535185号公報
【特許文献2】特開2000−296502号公報
【特許文献3】特開2006−231621号公報
【特許文献4】特開2000−292056号公報
【特許文献5】特開平08−57803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、木質ボード等の木質材料の熱圧・解圧に際して木材原料に発生した内部水蒸気による接着剤層での剥離現象(パンク)を適正に防止して、生材等の含水率の高い材料も乾燥工程なしにホットプレスできる技術を提供して、製造工程における省エネルギー・省スペースを可能とするばかりか高い生産性のもとに高品質の木質材料を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置おいて、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設ける構成により、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0010】
また、上記のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0011】
また、上記段落0010記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、吸気源と、前記シールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、シールド内に積層された木質材料の熱圧時に加圧空気の送給とシールドにおける前記通気口からの排気を行い、この排気に併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0012】
さらに、上記段落0009記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に連接される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0013】
また、上記段落0012記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、加圧空気源と、前記シールドに形成され前記加圧空気源に連通する通気口とを具え、シールドにおける前記通気口から加圧空気を送給して木材原料を側面部方向から加圧するとともに前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0014】
さらにまた、上記段落0012記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源に連通する通気口とを具え、前記排気手段ならびにシールドの前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0015】
また、上記段落0009記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするホットプレス装置。
【0016】
さらに、上記段落0015記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、一方の熱盤における前記排気手段およびシールドにおける前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0017】
本願発明はまた、接着剤を添加した木材原料を連続的に熱圧する熱圧部を具えて、接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を連続的に形成する連続式ホットプレス装置において、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設ける構成を実現して上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0018】
また、上記段落0017記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に接合される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0019】
さらに、上記段落0017記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に接合される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0020】
また、上記段落0017記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0021】
本願発明はまた、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に連結される加圧空気供給手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、他方の熱盤に設けた排気手段とを具えてなり、加圧空気流により木材原料に発生滞留する水蒸気を前記排気手段を介して放散させるようにしたホットプレス装置を提供して、排気手段として例えば他方の熱盤に設けた排気口とこれに接続される通気路から水蒸気を木質原料内部から外部に放散させる構成により、上記従来の課題を解決する。
【0022】
さらに、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に設けられる吸引減圧手段を具え、他方の熱盤に設けた通気手段とを具え、吸引減圧により木材原料に発生滞留する水蒸気を木材原料外部に放散させるようにしたホットプレス装置を提供する。
【0023】
本願発明はまた、次の工程からなる木質材料の製造方法を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。 すなわち、
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【0024】
また、上記段落0021記載の木質材料の製造方法において、工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気による構成となすことがある。
【0025】
さらに、上記段落0021又は0022いずれか記載の木質材料の製造方法において、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧するように構成することがある。
【0026】
本願発明はさらに、次の工程からなる木質材料の製造方法製造方法を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。 すなわち、
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:フォーミングされた前記木材原料を熱圧して所定形状に形成する工程
ニ:次いで、工程ハを経た被加工物を冷却処理してその内部を摂氏100度以下に下げた木質材料を得る工程。
【0027】
そして、 上記段落0009ないし0024いずれか記載のホットプレス装置又は木質材料の製造方法において、熱圧に係る加熱は高周波加熱による構成となすことがある。
【発明の効果】
【0028】
本願発明は、以上の構成を具備することにより、木質ボード等の木質材料の熱圧・解圧に際して木材原料に発生した内部水蒸気による接着剤層での剥離現象(パンク)を適正に防止できて、生材等の含水率の高い材料を使用する場合にも、乾燥工程なしにホットプレスが可能となり、製造工程における省エネルギー・省スペースを実現できるばかりか高い生産性のもとに高品質の木質材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本願発明において使用する木材原料は、単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等あらゆる形状ものを使用することができ、いずれも熱圧時に、質原料内部からの効果的な水蒸気放出が可能である。
現在、ホットプレスを用いて製造される木質材料は、合板、OSB(Oriented
Strand Board)、ファイバーボード、パーティクルボード等があるが、いずれの場合にも、パンクを防止して高品質の製品を省エネルギー下に効率よく生産できる。
【0030】
木質材料に添加される接着剤はユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂やイソシアネート樹脂など、従来使用されているすべての接着剤においてパンク防止の効果が得られる。
【0031】
一般的なホットプレスの温度は、それぞれの接着剤や木質材料の種類によって異なるが、120℃から220℃であり、本願発明においてホットプレスの温度から特に作用に影響を受けることはない。
【0032】
本願発明におけるホットプレス装置は、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成する構成を具備し、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段が熱圧部に設けられる。
【0033】
前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させる構成を具備する。
このような構成の脱気手段は、熱圧部すなわち熱盤に加圧空気の放出孔を設けて構成してもよいが、熱盤面に接合して木質材料に当接する筺体を介して加圧空気を送給するような構成も可能である。
【0034】
脱気手段における加圧空気の圧力は高いほど効果的であるが、一般的なコンプレッサーで得られる圧縮空気の圧力でも内部水蒸気の排出には十分な効果が得られる。
【0035】
上記の脱気手段には、熱圧時の木材原料への前記加圧作用に併せて吸気作用をなす構成を具備させると、内部の水蒸気の排出効果はさらに優れたものとなる。すなわち、前記脱気手段は、木材原料に連接される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えて構成し、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにする。
【0036】
さらに、脱気手段において熱圧時に木材原料を通気口を有するシールドにより囲繞しほぼ密閉して、加圧空気の供給に併せてシールドの通気口から排気をなし、さらには該通気口から吸気をなす構成により、木材原料に発生滞留する水蒸気の排気をより効果的になすことができる。
【0037】
上記に述べた脱気手段の各構成は、いわゆる連続式ホットプレス装置においても有効である。 すなわち、接着剤を添加した木材原料を連続的に熱圧する熱圧部を具えて、接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を連続的に形成する連続式ホットプレス装置において、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設け、この脱気手段は木材原料に接合される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えて構成するとともに、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにすることで、高品質の製品を連続的に生産できる。
【0038】
そして、前記脱気手段は、木材原料に接合される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにする。
【0039】
以上の脱気手段は、単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材(接着剤)を塗布または撒布した後、所定形状にフォーミングする木質材料の製造方法においても有効である。
【0040】
また、前記の製造方法では、木材原料内部に発生・滞留する水蒸気を前記の各構成の脱
気手段で排気するようにしているが、これを排気しないで、冷却処理により内部の水蒸気を露化させることにより解圧時のパンクを防止することができる。
一般に従来は、木材原料は接着剤塗布前の含水率を0%に近い状態まで乾燥を行っていたが、本発明では高含水率でもパンクを発生させずに高品質の製品を製造できる。
【0041】
なお、上述において、熱圧に係る加熱は高周波加熱によりなして、高品質の厚手の製品を得ることが容易になる。
【実施例】
【0042】
以下に本願発明の実施例を説明するが、製造方法の実施例は、装置の作用説明と重複する部分はこれを省略する。
図面に基づいて本願発明に係るホットプレス装置の実施例を説明する。 図1は、ホットプレスの1実施例を示す構成概略図である。 図において、1は、熱圧部2を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であり、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段3が熱圧部2に設けられている。
【0043】
図2は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の1実施例を示す一部断面図である。 脱気手段3は、木材原料4に連接される加圧空気供給手段としての空気タンク3bとこれに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面又は下面に多数の空気孔(不図示)を有してそれぞれホットプレスにおける熱圧部2の上側熱盤2a、下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧すようになっている。また、加圧空気供給手段としての空気タンク3bは、加圧空気源としてのコンプレッサー3aと連通管3cにより連結されている。
【0044】
上記のような構成下に、木材原料4の熱圧時に、加圧空気源としてのコンプレッサー3aから加圧空気供給手段としての空気タンク3bを介して加圧空気が送給され木材原料4を上下両面において加圧する。 この加圧空気は矢符のように流れてやがて木材原料4の側面から排気されるが、この排気に併せて木材原料4内部において発生滞留した水蒸気も木材原料4の側面から放散されることになり、したがって熱圧を解除しても内部の水蒸気によるパンク現象が発生することはない。
【0045】
図3は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の他の実施例を示す一部断面図である。 該実施例に係るホットプレス装置において、前記脱気手段3はさらに、木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、吸気源としての真空ポンプ6と、前記シールド5に形成され前記真空ポンプ6へ連通する通気口5aとを具えている。
シールド5内に積層された木質材料4の熱圧時に加圧空気が、矢符のように加圧空気供給手段としての空気タンク3bを介して木材原料4の上下面に圧入され、木材原料4の内部に達する。 次いで、この注入された加圧空気は熱圧に伴い木材原料4内部に発生した水蒸気とともに、矢符に示すようにシールド5の前記通気口5aからの外部に排気される。 この排気作用は、シールド5内を真空ポンプ6により負圧に維持することで、極めて効果的に木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させることになる。
【0046】
図4は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
脱気手段3は、木材原料4に連接される排気手段としての空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6とを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面又は下面に多数の空気孔(不図示)を有してそれぞれホットプレスにおける熱圧部2の上側熱盤2a、下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧するようになっている。 また、排気手段としての空気タンク3bは、吸気源としての真空ポンプ6と連通管3cにより連結されている。
【0047】
上記のような構成下に、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。 こうして、空気は矢符のように流れ、やがて木材原料4の上下両面から排気されるが、この排気に併せて木材原料4内部において発生滞留した水蒸気も木材原料4の側面から放散されることになり、したがって熱圧を解除しても内部の水蒸気によるパンク現象が発生することはない。
【0048】
図5は、図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
この実施例において、脱気手段3は木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、このシールド5に形成される通気口5aに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aを具えている。 このような構成において、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。
一方、加圧空気源としてのコンプレッサー3aからシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4に圧入される空気は内部の水蒸気とともに、排気流として排気手段である空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6を介して外部に放散される。
【0049】
図6は、図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
この実施例において、前記シールド5には、通気口5aを介して吸気源としての真空ポンプ6に連結されている。 このような構成において、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。 併せて、同様に吸気源としての真空ポンプ6からシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4が吸引され負圧状態となる。 かくして、内部の水蒸気は、空気タンク3b、シールド5の通気口5cの両系統において空気流とともに外部に放散される。
【0050】
図7は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
脱気手段3は、いずれか一方の熱盤2aまたは2bにそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段としての空気タンク3b、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源としてのコンプレッサー3aと、前記排気手段に連結される吸気源真空ポンプ6とを具えていて、さらに木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、このシールド5に形成され通気口に切り替え弁7を介して連結される吸気源としての真空ポンプ6および加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。
【0051】
この実施例では、一方の熱盤側では木材原料4に加圧空気が送給され、他方の熱盤側では吸引がなされる。 そして、シールド5にあっては、切り替え弁7を介して時宜に応じえ空気の圧入または吸引がなされることになる。
【0052】
図示では、空気タンク3bに連結されるコンプレッサー3a、真空ポンプ6などはシールド5に連結されるコンプレッサー3a、真空ポンプ6は別個のものとしてあるが、別個それぞれに設置せずに兼用する構成としてもよい。さらに、空気タンク3bに連結されるコンプレッサー3a、真空ポンプ6の連結パイプには切り替え弁を設けることも可能である。 また、図示では、シールド5を設けているがこれを省略して木材原料4の上下両面から空気の圧入と吸引をなして内部の水蒸気を排気するようにしてもよい。 なお、前述の図2ないし図7に係る各実施例では、加圧空気供給手段3b、排気手段3b等は、断熱盤と別部材として表現しているが、これら加圧空気供給手段3b、排気手段3b等は熱盤内にまたは熱盤と一体になるように構成してもよいことは勿論である。
【0053】
前述の各ホットプレスによる木質材料の製造では、以下の工程を経ることになる。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【0054】
そして、前記工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気によることがあり、さらには、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧し併せて、前記のような脱気処理をする。
【0055】
図8は、本願発明に係るホットプレス装置の他の実施例を示す一部断面図である。
図において、1は熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であり、熱圧部は一対の熱盤A、Bを具えていて、いずれか一方の熱盤に連結される加圧空気供給手段31Aと、前記加圧空気供給手段31Aに連結される加圧空気源32Aと、他方の熱盤に設けた排気手段31Bとを有していて、加圧空気流32Aからの加圧空気流により木材原料4に発生滞留する水蒸気を前記排気手段31Bを介して放散させるようになっている。 加圧空気供給手段31Aは、送気管33とこの送気管33が連通する熱盤A内の通気路34と通気路34の各所に複数形成されて加圧空気を木材原料4に供給する通気口35で構成されている。 また、排気手段31Bは、熱盤B内に形成される排気路36とこの排気路36の各所に複数形成されて加圧空気を水蒸気とともに外部に排出する排気口37で構成されている。 なお、加圧空気は室温でもよいが、加温又は加熱空気を圧注入すると水蒸気の排出により効果的である。 そして、加圧空気の高温化による前記効果は、前述のすべての実施例において顕著である。
【0056】
図9は、本願発明に係るホットプレス装置のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
図において、1は熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であり、熱圧部は一対の熱盤A、Bを具えていて、いずれか一方の熱盤に連結される吸引減圧手段41Aと、前記に連結される吸引減圧手段41Aと、他方の熱盤に設けた通気手段41Bとを有していて、吸引・減圧源としてのコンプレッサー42Aによる吸引減圧により木材原料4に発生滞留する水蒸気を外部に放散させるようになっている。 すなわち、吸引減圧手段41Aは、送気管33とこの送気管33が連通する熱盤A内の通気路34と通気路34の各所に複数形成されて水蒸気を木材原料4外部に排出する通気口35で構成されている。 また、通気手段41Bは、熱盤B内に形成される通気路46とこの排気路36の各所に複数形成されて、吸気により木材原料4内部に取り込まれた空気を水蒸気とともに外部に排出する通気口47で構成されている。 吸引・減圧源としてのコンプレッサー42Aの動作により、矢符のように木材原料4内部に取り込まれた空気は水蒸気とともに吸引減圧手段41Aにより排出される。
【0057】
図10は、本願発明に係る連続式ホットプレスの一実施例を示す一部断面側面図である。
図において、11は、接着剤を添加した木材原料4を連続的に熱圧する上下一対の熱圧部12,12を具えて、接着剤の硬化により木材原料4を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料13を連続的に形成する連続式ホットプレス装置である。
【0058】
熱圧部12は、熱盤、熱源、加圧空気供給手段および/又は排気手段を具えており、木材原料4を熱圧しつつ木質材料12を連続的に形成することになるが、熱圧に伴い加圧空気を木材原料4に圧入して内部に発生した水蒸気を外部に排気することでパンクを防止するようになっている。 また、加圧空気の圧入に併せて木材原料4から空気を吸引することも、あるいは加圧空気は注入せず空気の吸引のみで水蒸気を外部に排気することがある。空気の圧入、吸引は、熱盤に直接形成した通気口を介してなすことも、また、既述のホットプレスにおけるように空気タンクを介してなすこともあり、加圧空気源、吸気源には前述のようにコンプレッサー、真空ポンプを使用する。
また、熱圧部12の終段(図に置いて左端)に冷却手段を設けて木質材料13を冷却して内部を摂氏100度以下に下げ、内部に生じている水蒸気を露化し水分となして安定化させてパンクを防止する構成を具えることもある。 また、この冷却手段は熱圧部12に隣接して設けてもよい。
【0059】
したがって、前記の連続式ホットプレスによる木質材料の製造では、以下の工程を経ることになる。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【0060】
また、前記工程で、工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴
射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気による。そして、前記工程において、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧することがある。さらに、前記工程において、工程ハを経た被加工物を冷却処理してその内部を摂氏100度以下に下げて、木質材料を冷却して内部を摂氏100度以下に下げ、内部に生じている水蒸気を露化し水分となして安定化させてパンクを防止する構成となすこともある。
【0061】
前述したいずれかのホットプレス装置又は木質材料の製造方法において、熱圧に係る加熱は高周波加熱によってなし、厚物の製造を容易にすることがある。
【0062】
次に、本願発明の効果確認のために行った試験を説明する。 この試験では、以下の実施例に係るホットプレス装置を使用して木質材料(木質ボード)を製造した。
すなわち、図11は、この試験に使用したホットプレス装置の要部である熱圧部と脱気手段を示す一部断面側面図である。
図1に示した脱気手段3は、該実施例では木材原料4に連接される排気手段としての空気タンク3b、これに連通する吸気源としての真空ポンプ6、木材原料4の側面部を囲繞するシールド5、このシールド5に形成される通気口5aに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面に多数の空気孔(不図示)を有していてホットプレスにおける熱圧部の下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧するようになっている。 また、排気手段としてのこの空気タンク3bは、吸気源としての真空ポンプ6と連通管3cにより連結されている。
【0063】
上記のような構成下に、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を下面において吸引する一方、加圧空気源としてのコンプレッサー3aからシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4に圧入される空気は内部の水蒸気とともに、矢符に示すように排気流として排気手段である空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6を介して外部に放散される。
【0064】
当該効果確認試験の内容は次の通りである。
イ: 木質ボードの原料にはヒノキを用いた。ヒノキを円盤式のナイフリングで切削し、ボード原料としての木材原料を製造し、これを含水率が約0%まで乾燥した。
ロ: 前記ボード原料に所定量の水分を吹き付け、含水率が20%、30%、40%の3水準とした。
ハ: それぞれの含水率に調整した原料をそれぞれ回転ドラム式の塗布装置に入れ、スプレーでイソシアネート系接着剤を5%(重量)塗布した。
ニ: 接着剤塗布後に25cm×25cmのフォーミングボックスを用いて手巻きでマットを製造して、これを熱圧して木質ボードを得た。ボードの厚さは1cm、目標ボード密度を0.7g/cm3とした。ホットプレスの温度を180℃とし、前記3種の含水率のボード原料についてそれぞれ熱圧時間を4、6、8、10分としたものを制作した。
次いで、比較対照として従来のホットプレスにより上記仕様により同様の木質ボードを
制作した。
【0065】
本願発明の実施例に係る上記ホットプレスにより得られた木質ボードと従来技術により得られた木質ボードとを比較し、次のような結果を得た。
(1)本願に係るホットプレスにより制作した木質ボード
イ:原料の含水率20%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ロ:原料の含水率30%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ハ:原料の含水率40%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
(2)従来のホットプレスにより制作した木質ボード
イ:原料の含水率20%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ロ:原料の含水率30%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ハ:原料の含水率40%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生
熱圧時間 8分 パンク発生
熱圧時間 10分 パンク発生
【0066】
以上の結果から、本願発明の場合、原料が40%という高い含水率でも熱圧時間を8分、10分に設定すればパンクの発生が見られないのに対して、従来例による場合では、含水率30%において、4分間の熱圧ではパンク発生がみられ、含水率40%では熱圧時間にかかわらず、すべてにおいてパンクが発生している。
【0067】
すでに述べたように、木材原料に接着剤を添加してこれを熱圧することにより木質ボード等を製造する場合、解圧時に、いわゆる内部に発生する水蒸気に起因するパンクが発生する。この不都合を回避するには木材原料の適正な乾燥が必要であり、それには多量のエネルギーが消費される。本願発明にあっては、生材のような高い含水率の材料でも乾燥をせずに高品質の木質材料を得ることができ、製造コストの低減、生産効率の向上が可能であって、省エネルギーが喫緊の課題である今日において、本願発明の資するところは大である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】ホットプレスの1実施例を示す構成概略図である。
【図2】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の1実施例を示す一部断面図である。
【図3】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の他の実施例を示す一部断面図である。
【図4】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図5】図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図6】図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図7】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図8】ホットプレス装置の他の実施例を示す一部断面図である。
【図9】ホットプレス装置のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図10】本願発明に係る連続式ホットプレスの一実施例を示す一部断面側面図である。
【図11】木質ボードの制作試験に使用したホットプレス装置の要部である熱圧部と脱気手段を示す一部断面側面図である。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料を接着剤とともに熱圧して木質材料料を製造するホットプレス装置ならびに木質材料の製造方法に関し、なお詳しくは、熱圧時に材料内部にこもる水蒸気を放出させて、水蒸気がこもることによって発生するパンクを防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材を繊維状や小片状に加工し、これに結合材を加えて成形した木質材料は、ファイバーボードやパーティクルボード等と呼ばれ、総称して木質ボードと呼ぶこともある。これらの木質ボードは、木材繊維や木材小片に、フェノール樹脂等の結合材を添加してマット状に成形し、成形によって得られたマットを、結合材の硬化温度まで加熱しながら加圧する、所謂熱圧成形によって製造される。このような熱圧成形のために用いられる加工装置としては、ホットプレス装置が広く用いられている。
【0003】
ホットプレス装置は、加圧定盤を加熱し、加圧定盤の表面からの熱供給によってマットを加熱しながら加圧するものである。
例えば、木材原料(マット)の密度が0.4g/立方センチメートルである場合、製造される木質材料(木質ボード)の密度はそれよりも高くなり、その密度は0.7g/立方センチメートル以上までになる。 このように、圧縮されるため木材原料内部の水蒸気は外部に逃げられず、内部にこもりやすくなる。
【0004】
そして、内部にこもった水蒸気は加圧定盤の解圧時に急激に外部に放出され、木質材料としての木質ボードが破裂する現象、いわゆるパンクが発生する。このパンクは木質ボードの製造工程の最終段階で生じるため、パンクが発生するとそれまでの製造工程がすべて無駄になり、生産性の大幅な低下につながり、ひいては製造コストの増大を招来する。
上記のようなパンク現象は、連続ホットプレスや木質材料の側面をシールドして高温高圧下に熱圧して寸法安定性に優れる木質材料を得る場合にも同様に発生する。
【0005】
したがって、パンクの防止は木質ボードの製造において枢要事であるにもかかわらず、現状ではパンク防止のために採用されている有効な手段としては熱圧前の木材原料の十分な乾燥程度しか見当たらないのが実情である。例えば、真空空間内で、熱圧作業をなす技術等が開示されているが、装置が複雑になり生産性にも問題があり実用性を有していない。
【0006】
そして、パンクの発生を防止できる程度に木材原料の含水率を下げるには、多大のエネルギーを費消しなければならない。 このエネルギーは原料の乾燥工程にのみ必要であり、木質材料そのものの形成には使われることがなく、それどころか、接着剤塗布に際しては加熱された原料を冷却しなければならない。
しかし、このようなエネルギーの無用ともいえる費消を避けて木材原料を乾燥せず高い含水率のまま接着剤を塗布し、フォーミング・熱圧を行えば、パンクが発生し木質材料の製造は不可能ともいえる。 ここにおいて、木質材料を高含水率のまま熱圧しても、解圧時にパンクを防止できれば、乾燥工程の省略につながり、省エネルギー・省スペースが実現できるのである。
【0007】
なお、本願発明に関連する技術が以下のような文献において開示されている。
【特許文献1】特許公表2002−535185号公報
【特許文献2】特開2000−296502号公報
【特許文献3】特開2006−231621号公報
【特許文献4】特開2000−292056号公報
【特許文献5】特開平08−57803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、木質ボード等の木質材料の熱圧・解圧に際して木材原料に発生した内部水蒸気による接着剤層での剥離現象(パンク)を適正に防止して、生材等の含水率の高い材料も乾燥工程なしにホットプレスできる技術を提供して、製造工程における省エネルギー・省スペースを可能とするばかりか高い生産性のもとに高品質の木質材料を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置おいて、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設ける構成により、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0010】
また、上記のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0011】
また、上記段落0010記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、吸気源と、前記シールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、シールド内に積層された木質材料の熱圧時に加圧空気の送給とシールドにおける前記通気口からの排気を行い、この排気に併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0012】
さらに、上記段落0009記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に連接される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0013】
また、上記段落0012記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、加圧空気源と、前記シールドに形成され前記加圧空気源に連通する通気口とを具え、シールドにおける前記通気口から加圧空気を送給して木材原料を側面部方向から加圧するとともに前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0014】
さらにまた、上記段落0012記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源に連通する通気口とを具え、前記排気手段ならびにシールドの前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させる構成となすことがある。
【0015】
また、上記段落0009記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするホットプレス装置。
【0016】
さらに、上記段落0015記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、一方の熱盤における前記排気手段およびシールドにおける前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0017】
本願発明はまた、接着剤を添加した木材原料を連続的に熱圧する熱圧部を具えて、接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を連続的に形成する連続式ホットプレス装置において、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設ける構成を実現して上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0018】
また、上記段落0017記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に接合される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0019】
さらに、上記段落0017記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に接合される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0020】
また、上記段落0017記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるように構成することがある。
【0021】
本願発明はまた、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に連結される加圧空気供給手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、他方の熱盤に設けた排気手段とを具えてなり、加圧空気流により木材原料に発生滞留する水蒸気を前記排気手段を介して放散させるようにしたホットプレス装置を提供して、排気手段として例えば他方の熱盤に設けた排気口とこれに接続される通気路から水蒸気を木質原料内部から外部に放散させる構成により、上記従来の課題を解決する。
【0022】
さらに、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に設けられる吸引減圧手段を具え、他方の熱盤に設けた通気手段とを具え、吸引減圧により木材原料に発生滞留する水蒸気を木材原料外部に放散させるようにしたホットプレス装置を提供する。
【0023】
本願発明はまた、次の工程からなる木質材料の製造方法を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。 すなわち、
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【0024】
また、上記段落0021記載の木質材料の製造方法において、工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気による構成となすことがある。
【0025】
さらに、上記段落0021又は0022いずれか記載の木質材料の製造方法において、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧するように構成することがある。
【0026】
本願発明はさらに、次の工程からなる木質材料の製造方法製造方法を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。 すなわち、
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:フォーミングされた前記木材原料を熱圧して所定形状に形成する工程
ニ:次いで、工程ハを経た被加工物を冷却処理してその内部を摂氏100度以下に下げた木質材料を得る工程。
【0027】
そして、 上記段落0009ないし0024いずれか記載のホットプレス装置又は木質材料の製造方法において、熱圧に係る加熱は高周波加熱による構成となすことがある。
【発明の効果】
【0028】
本願発明は、以上の構成を具備することにより、木質ボード等の木質材料の熱圧・解圧に際して木材原料に発生した内部水蒸気による接着剤層での剥離現象(パンク)を適正に防止できて、生材等の含水率の高い材料を使用する場合にも、乾燥工程なしにホットプレスが可能となり、製造工程における省エネルギー・省スペースを実現できるばかりか高い生産性のもとに高品質の木質材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本願発明において使用する木材原料は、単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等あらゆる形状ものを使用することができ、いずれも熱圧時に、質原料内部からの効果的な水蒸気放出が可能である。
現在、ホットプレスを用いて製造される木質材料は、合板、OSB(Oriented
Strand Board)、ファイバーボード、パーティクルボード等があるが、いずれの場合にも、パンクを防止して高品質の製品を省エネルギー下に効率よく生産できる。
【0030】
木質材料に添加される接着剤はユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂やイソシアネート樹脂など、従来使用されているすべての接着剤においてパンク防止の効果が得られる。
【0031】
一般的なホットプレスの温度は、それぞれの接着剤や木質材料の種類によって異なるが、120℃から220℃であり、本願発明においてホットプレスの温度から特に作用に影響を受けることはない。
【0032】
本願発明におけるホットプレス装置は、熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成する構成を具備し、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段が熱圧部に設けられる。
【0033】
前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させる構成を具備する。
このような構成の脱気手段は、熱圧部すなわち熱盤に加圧空気の放出孔を設けて構成してもよいが、熱盤面に接合して木質材料に当接する筺体を介して加圧空気を送給するような構成も可能である。
【0034】
脱気手段における加圧空気の圧力は高いほど効果的であるが、一般的なコンプレッサーで得られる圧縮空気の圧力でも内部水蒸気の排出には十分な効果が得られる。
【0035】
上記の脱気手段には、熱圧時の木材原料への前記加圧作用に併せて吸気作用をなす構成を具備させると、内部の水蒸気の排出効果はさらに優れたものとなる。すなわち、前記脱気手段は、木材原料に連接される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えて構成し、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにする。
【0036】
さらに、脱気手段において熱圧時に木材原料を通気口を有するシールドにより囲繞しほぼ密閉して、加圧空気の供給に併せてシールドの通気口から排気をなし、さらには該通気口から吸気をなす構成により、木材原料に発生滞留する水蒸気の排気をより効果的になすことができる。
【0037】
上記に述べた脱気手段の各構成は、いわゆる連続式ホットプレス装置においても有効である。 すなわち、接着剤を添加した木材原料を連続的に熱圧する熱圧部を具えて、接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を連続的に形成する連続式ホットプレス装置において、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設け、この脱気手段は木材原料に接合される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えて構成するとともに、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにすることで、高品質の製品を連続的に生産できる。
【0038】
そして、前記脱気手段は、木材原料に接合される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにする。
【0039】
以上の脱気手段は、単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材(接着剤)を塗布または撒布した後、所定形状にフォーミングする木質材料の製造方法においても有効である。
【0040】
また、前記の製造方法では、木材原料内部に発生・滞留する水蒸気を前記の各構成の脱
気手段で排気するようにしているが、これを排気しないで、冷却処理により内部の水蒸気を露化させることにより解圧時のパンクを防止することができる。
一般に従来は、木材原料は接着剤塗布前の含水率を0%に近い状態まで乾燥を行っていたが、本発明では高含水率でもパンクを発生させずに高品質の製品を製造できる。
【0041】
なお、上述において、熱圧に係る加熱は高周波加熱によりなして、高品質の厚手の製品を得ることが容易になる。
【実施例】
【0042】
以下に本願発明の実施例を説明するが、製造方法の実施例は、装置の作用説明と重複する部分はこれを省略する。
図面に基づいて本願発明に係るホットプレス装置の実施例を説明する。 図1は、ホットプレスの1実施例を示す構成概略図である。 図において、1は、熱圧部2を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であり、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段3が熱圧部2に設けられている。
【0043】
図2は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の1実施例を示す一部断面図である。 脱気手段3は、木材原料4に連接される加圧空気供給手段としての空気タンク3bとこれに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面又は下面に多数の空気孔(不図示)を有してそれぞれホットプレスにおける熱圧部2の上側熱盤2a、下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧すようになっている。また、加圧空気供給手段としての空気タンク3bは、加圧空気源としてのコンプレッサー3aと連通管3cにより連結されている。
【0044】
上記のような構成下に、木材原料4の熱圧時に、加圧空気源としてのコンプレッサー3aから加圧空気供給手段としての空気タンク3bを介して加圧空気が送給され木材原料4を上下両面において加圧する。 この加圧空気は矢符のように流れてやがて木材原料4の側面から排気されるが、この排気に併せて木材原料4内部において発生滞留した水蒸気も木材原料4の側面から放散されることになり、したがって熱圧を解除しても内部の水蒸気によるパンク現象が発生することはない。
【0045】
図3は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の他の実施例を示す一部断面図である。 該実施例に係るホットプレス装置において、前記脱気手段3はさらに、木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、吸気源としての真空ポンプ6と、前記シールド5に形成され前記真空ポンプ6へ連通する通気口5aとを具えている。
シールド5内に積層された木質材料4の熱圧時に加圧空気が、矢符のように加圧空気供給手段としての空気タンク3bを介して木材原料4の上下面に圧入され、木材原料4の内部に達する。 次いで、この注入された加圧空気は熱圧に伴い木材原料4内部に発生した水蒸気とともに、矢符に示すようにシールド5の前記通気口5aからの外部に排気される。 この排気作用は、シールド5内を真空ポンプ6により負圧に維持することで、極めて効果的に木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させることになる。
【0046】
図4は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
脱気手段3は、木材原料4に連接される排気手段としての空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6とを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面又は下面に多数の空気孔(不図示)を有してそれぞれホットプレスにおける熱圧部2の上側熱盤2a、下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧するようになっている。 また、排気手段としての空気タンク3bは、吸気源としての真空ポンプ6と連通管3cにより連結されている。
【0047】
上記のような構成下に、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。 こうして、空気は矢符のように流れ、やがて木材原料4の上下両面から排気されるが、この排気に併せて木材原料4内部において発生滞留した水蒸気も木材原料4の側面から放散されることになり、したがって熱圧を解除しても内部の水蒸気によるパンク現象が発生することはない。
【0048】
図5は、図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
この実施例において、脱気手段3は木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、このシールド5に形成される通気口5aに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aを具えている。 このような構成において、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。
一方、加圧空気源としてのコンプレッサー3aからシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4に圧入される空気は内部の水蒸気とともに、排気流として排気手段である空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6を介して外部に放散される。
【0049】
図6は、図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
この実施例において、前記シールド5には、通気口5aを介して吸気源としての真空ポンプ6に連結されている。 このような構成において、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を上下両面において吸引する。 併せて、同様に吸気源としての真空ポンプ6からシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4が吸引され負圧状態となる。 かくして、内部の水蒸気は、空気タンク3b、シールド5の通気口5cの両系統において空気流とともに外部に放散される。
【0050】
図7は、図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
脱気手段3は、いずれか一方の熱盤2aまたは2bにそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段としての空気タンク3b、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源としてのコンプレッサー3aと、前記排気手段に連結される吸気源真空ポンプ6とを具えていて、さらに木材原料4の側面部を囲繞するシールド5と、このシールド5に形成され通気口に切り替え弁7を介して連結される吸気源としての真空ポンプ6および加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。
【0051】
この実施例では、一方の熱盤側では木材原料4に加圧空気が送給され、他方の熱盤側では吸引がなされる。 そして、シールド5にあっては、切り替え弁7を介して時宜に応じえ空気の圧入または吸引がなされることになる。
【0052】
図示では、空気タンク3bに連結されるコンプレッサー3a、真空ポンプ6などはシールド5に連結されるコンプレッサー3a、真空ポンプ6は別個のものとしてあるが、別個それぞれに設置せずに兼用する構成としてもよい。さらに、空気タンク3bに連結されるコンプレッサー3a、真空ポンプ6の連結パイプには切り替え弁を設けることも可能である。 また、図示では、シールド5を設けているがこれを省略して木材原料4の上下両面から空気の圧入と吸引をなして内部の水蒸気を排気するようにしてもよい。 なお、前述の図2ないし図7に係る各実施例では、加圧空気供給手段3b、排気手段3b等は、断熱盤と別部材として表現しているが、これら加圧空気供給手段3b、排気手段3b等は熱盤内にまたは熱盤と一体になるように構成してもよいことは勿論である。
【0053】
前述の各ホットプレスによる木質材料の製造では、以下の工程を経ることになる。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【0054】
そして、前記工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気によることがあり、さらには、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧し併せて、前記のような脱気処理をする。
【0055】
図8は、本願発明に係るホットプレス装置の他の実施例を示す一部断面図である。
図において、1は熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であり、熱圧部は一対の熱盤A、Bを具えていて、いずれか一方の熱盤に連結される加圧空気供給手段31Aと、前記加圧空気供給手段31Aに連結される加圧空気源32Aと、他方の熱盤に設けた排気手段31Bとを有していて、加圧空気流32Aからの加圧空気流により木材原料4に発生滞留する水蒸気を前記排気手段31Bを介して放散させるようになっている。 加圧空気供給手段31Aは、送気管33とこの送気管33が連通する熱盤A内の通気路34と通気路34の各所に複数形成されて加圧空気を木材原料4に供給する通気口35で構成されている。 また、排気手段31Bは、熱盤B内に形成される排気路36とこの排気路36の各所に複数形成されて加圧空気を水蒸気とともに外部に排出する排気口37で構成されている。 なお、加圧空気は室温でもよいが、加温又は加熱空気を圧注入すると水蒸気の排出により効果的である。 そして、加圧空気の高温化による前記効果は、前述のすべての実施例において顕著である。
【0056】
図9は、本願発明に係るホットプレス装置のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
図において、1は熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であり、熱圧部は一対の熱盤A、Bを具えていて、いずれか一方の熱盤に連結される吸引減圧手段41Aと、前記に連結される吸引減圧手段41Aと、他方の熱盤に設けた通気手段41Bとを有していて、吸引・減圧源としてのコンプレッサー42Aによる吸引減圧により木材原料4に発生滞留する水蒸気を外部に放散させるようになっている。 すなわち、吸引減圧手段41Aは、送気管33とこの送気管33が連通する熱盤A内の通気路34と通気路34の各所に複数形成されて水蒸気を木材原料4外部に排出する通気口35で構成されている。 また、通気手段41Bは、熱盤B内に形成される通気路46とこの排気路36の各所に複数形成されて、吸気により木材原料4内部に取り込まれた空気を水蒸気とともに外部に排出する通気口47で構成されている。 吸引・減圧源としてのコンプレッサー42Aの動作により、矢符のように木材原料4内部に取り込まれた空気は水蒸気とともに吸引減圧手段41Aにより排出される。
【0057】
図10は、本願発明に係る連続式ホットプレスの一実施例を示す一部断面側面図である。
図において、11は、接着剤を添加した木材原料4を連続的に熱圧する上下一対の熱圧部12,12を具えて、接着剤の硬化により木材原料4を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料13を連続的に形成する連続式ホットプレス装置である。
【0058】
熱圧部12は、熱盤、熱源、加圧空気供給手段および/又は排気手段を具えており、木材原料4を熱圧しつつ木質材料12を連続的に形成することになるが、熱圧に伴い加圧空気を木材原料4に圧入して内部に発生した水蒸気を外部に排気することでパンクを防止するようになっている。 また、加圧空気の圧入に併せて木材原料4から空気を吸引することも、あるいは加圧空気は注入せず空気の吸引のみで水蒸気を外部に排気することがある。空気の圧入、吸引は、熱盤に直接形成した通気口を介してなすことも、また、既述のホットプレスにおけるように空気タンクを介してなすこともあり、加圧空気源、吸気源には前述のようにコンプレッサー、真空ポンプを使用する。
また、熱圧部12の終段(図に置いて左端)に冷却手段を設けて木質材料13を冷却して内部を摂氏100度以下に下げ、内部に生じている水蒸気を露化し水分となして安定化させてパンクを防止する構成を具えることもある。 また、この冷却手段は熱圧部12に隣接して設けてもよい。
【0059】
したがって、前記の連続式ホットプレスによる木質材料の製造では、以下の工程を経ることになる。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【0060】
また、前記工程で、工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴
射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気による。そして、前記工程において、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧することがある。さらに、前記工程において、工程ハを経た被加工物を冷却処理してその内部を摂氏100度以下に下げて、木質材料を冷却して内部を摂氏100度以下に下げ、内部に生じている水蒸気を露化し水分となして安定化させてパンクを防止する構成となすこともある。
【0061】
前述したいずれかのホットプレス装置又は木質材料の製造方法において、熱圧に係る加熱は高周波加熱によってなし、厚物の製造を容易にすることがある。
【0062】
次に、本願発明の効果確認のために行った試験を説明する。 この試験では、以下の実施例に係るホットプレス装置を使用して木質材料(木質ボード)を製造した。
すなわち、図11は、この試験に使用したホットプレス装置の要部である熱圧部と脱気手段を示す一部断面側面図である。
図1に示した脱気手段3は、該実施例では木材原料4に連接される排気手段としての空気タンク3b、これに連通する吸気源としての真空ポンプ6、木材原料4の側面部を囲繞するシールド5、このシールド5に形成される通気口5aに連通する加圧空気源としてのコンプレッサー3aとを具えている。 前記空気タンク3bは筺体状をなしていて、その上面に多数の空気孔(不図示)を有していてホットプレスにおける熱圧部の下側熱盤2bに取り付けられていて、熱盤の動作により木材原料4を熱圧するようになっている。 また、排気手段としてのこの空気タンク3bは、吸気源としての真空ポンプ6と連通管3cにより連結されている。
【0063】
上記のような構成下に、木材原料4の熱圧時に、吸気源としての真空ポンプ6の動作により、空気タンク3bを介して木材原料4を下面において吸引する一方、加圧空気源としてのコンプレッサー3aからシールド5に形成される通気口5aを介して木材原料4に圧入される空気は内部の水蒸気とともに、矢符に示すように排気流として排気手段である空気タンク3bとこれに連通する吸気源としての真空ポンプ6を介して外部に放散される。
【0064】
当該効果確認試験の内容は次の通りである。
イ: 木質ボードの原料にはヒノキを用いた。ヒノキを円盤式のナイフリングで切削し、ボード原料としての木材原料を製造し、これを含水率が約0%まで乾燥した。
ロ: 前記ボード原料に所定量の水分を吹き付け、含水率が20%、30%、40%の3水準とした。
ハ: それぞれの含水率に調整した原料をそれぞれ回転ドラム式の塗布装置に入れ、スプレーでイソシアネート系接着剤を5%(重量)塗布した。
ニ: 接着剤塗布後に25cm×25cmのフォーミングボックスを用いて手巻きでマットを製造して、これを熱圧して木質ボードを得た。ボードの厚さは1cm、目標ボード密度を0.7g/cm3とした。ホットプレスの温度を180℃とし、前記3種の含水率のボード原料についてそれぞれ熱圧時間を4、6、8、10分としたものを制作した。
次いで、比較対照として従来のホットプレスにより上記仕様により同様の木質ボードを
制作した。
【0065】
本願発明の実施例に係る上記ホットプレスにより得られた木質ボードと従来技術により得られた木質ボードとを比較し、次のような結果を得た。
(1)本願に係るホットプレスにより制作した木質ボード
イ:原料の含水率20%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ロ:原料の含水率30%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ハ:原料の含水率40%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
(2)従来のホットプレスにより制作した木質ボード
イ:原料の含水率20%
熱圧時間 4分 パンク発生せず
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ロ:原料の含水率30%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生せず
熱圧時間 8分 パンク発生せず
熱圧時間 10分 パンク発生せず
ハ:原料の含水率40%
熱圧時間 4分 パンク発生
熱圧時間 6分 パンク発生
熱圧時間 8分 パンク発生
熱圧時間 10分 パンク発生
【0066】
以上の結果から、本願発明の場合、原料が40%という高い含水率でも熱圧時間を8分、10分に設定すればパンクの発生が見られないのに対して、従来例による場合では、含水率30%において、4分間の熱圧ではパンク発生がみられ、含水率40%では熱圧時間にかかわらず、すべてにおいてパンクが発生している。
【0067】
すでに述べたように、木材原料に接着剤を添加してこれを熱圧することにより木質ボード等を製造する場合、解圧時に、いわゆる内部に発生する水蒸気に起因するパンクが発生する。この不都合を回避するには木材原料の適正な乾燥が必要であり、それには多量のエネルギーが消費される。本願発明にあっては、生材のような高い含水率の材料でも乾燥をせずに高品質の木質材料を得ることができ、製造コストの低減、生産効率の向上が可能であって、省エネルギーが喫緊の課題である今日において、本願発明の資するところは大である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】ホットプレスの1実施例を示す構成概略図である。
【図2】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の1実施例を示す一部断面図である。
【図3】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3の他の実施例を示す一部断面図である。
【図4】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図5】図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図6】図4に示すホットプレス装置に係る前記脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図7】図1に示すホットプレス装置における脱気手段3のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図8】ホットプレス装置の他の実施例を示す一部断面図である。
【図9】ホットプレス装置のさらに他の実施例を示す一部断面図である。
【図10】本願発明に係る連続式ホットプレスの一実施例を示す一部断面側面図である。
【図11】木質ボードの制作試験に使用したホットプレス装置の要部である熱圧部と脱気手段を示す一部断面側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設けたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項2】
請求項1記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項3】
請求項2記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、吸気源と、前記シールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、シールド内に積層された木材原料の熱圧時に加圧空気の送給とシールドにおける前記通気口からの排気を行い、この排気に併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項4】
請求項1記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に連接される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項5】
請求項4記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、加圧空気源と、前記シールドに形成され前記加圧空気源に連通する通気口とを具え、シールドにおける前記通気口から加圧空気を送給して木材原料を側面部方向から加圧するとともに前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項6】
請求項4記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源に連通する通気口とを具え、前記排気手段ならびにシールドの前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項7】
請求項1記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項8】
請求項7記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、一方の熱盤における前記排気手段およびシールドにおける前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項9】
接着剤を添加した木材原料の搬送手段を連続的に熱圧する熱圧部を具えて、接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を連続的に形成する連続式ホットプレス装置であって、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設けたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項10】
請求項9記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に接合される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項11】
請求項9記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に接合される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項12】
請求項9記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項13】
熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に連結される加圧空気供給手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、他方の熱盤に設けた排気手段とを具えてなり、加圧空気流により木材原料に発生滞留する水蒸気を前記排気手段を介して放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項14】
熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に設けられる吸引減圧手段を具え、他方の熱盤に設けた通気手段とを具え、吸引減圧により木材原料に発生滞留する水蒸気を木材原料外部に放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項15】
次の工程からなる木質材料の製造方法
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【請求項16】
請求項15記載の木質材料の製造方法において、工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気によることを特徴とする木質材料の製造方法。
【請求項17】
請求項15または16いずれか記載の木質材料の製造方法において、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧するようにしたことを特徴とする木質材料の製造方法。
【請求項18】
次の工程からなる木質材料の製造方法。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:フォーミングされた前記木材原料を熱圧して所定形状に形成する工程
ニ:次いで、工程ハを経た被加工物を冷却処理してその内部を摂氏100度以下に下げた木質材料を得る工程。
【請求項19】
請求項1ないし18いずれか記載のパンク防止機能を具えたホットプレス装置又は木質材料の製造方法において、熱圧に係る加熱は高周波加熱によることを特徴とするホットプレス装置又は木質材料の製造方法。
【請求項1】
熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設けたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項2】
請求項1記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に連接される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項3】
請求項2記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、吸気源と、前記シールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、シールド内に積層された木材原料の熱圧時に加圧空気の送給とシールドにおける前記通気口からの排気を行い、この排気に併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項4】
請求項1記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に連接される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項5】
請求項4記載のホットプレス装置において、前記脱気手段はさらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、加圧空気源と、前記シールドに形成され前記加圧空気源に連通する通気口とを具え、シールドにおける前記通気口から加圧空気を送給して木材原料を側面部方向から加圧するとともに前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項6】
請求項4記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに、木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源に連通する通気口とを具え、前記排気手段ならびにシールドの前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項7】
請求項1記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項8】
請求項7記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、さらに木材原料の側面部を囲繞するシールドと、このシールドに形成され前記吸気源へ連通される通気口とを具え、一方の熱盤における前記排気手段およびシールドにおける前記通気口からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項9】
接着剤を添加した木材原料の搬送手段を連続的に熱圧する熱圧部を具えて、接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を連続的に形成する連続式ホットプレス装置であって、熱圧時に木材原料内部に発生滞留した水蒸気を放散させるための脱気手段を熱圧部に設けたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項10】
請求項9記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は木材原料に接合される加圧空気供給手段とこれに連通する加圧空気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記加圧空気供給手段より加圧空気を送給して木材原料を上下両面において加圧するとともに、送給された加圧空気を木材原料の側面から排気させるのに併せて木材原料内部に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項11】
請求項9記載のホットプレス装置において、前記脱気手段は、木材原料に接合される排気手段とこれに連通する吸気源とを具えてなり、木材原料の熱圧時に前記排気手段およびこれに連通する吸気源により木材原料を吸引減圧するとともに、前記排気手段からの排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項12】
請求項9記載のホットプレス装置において、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、前記脱気手段は、いずれか一方の熱盤にそれぞれ連結される加圧空気供給手段ならびに排気手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、前記排気手段に連結される吸気源を具えてなり、吸気源による排気流に併せて木材原料に発生滞留する水蒸気を放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項13】
熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に連結される加圧空気供給手段と、前記加圧空気供給手段に連結される加圧空気源と、他方の熱盤に設けた排気手段とを具えてなり、加圧空気流により木材原料に発生滞留する水蒸気を前記排気手段を介して放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項14】
熱圧部を具え、接着剤を添加した木材原料を熱圧して接着剤の硬化により木材原料を結合させて合板、パーティクルボード、ファイバーボードその他の木質材料を形成するホットプレス装置であって、熱圧部は一対の熱盤を具えてなり、いずれか一方の熱盤に設けられる吸引減圧手段を具え、他方の熱盤に設けた通気手段とを具え、吸引減圧により木材原料に発生滞留する水蒸気を木材原料外部に放散させるようにしたことを特徴とするパンク防止機能を具えたホットプレス装置。
【請求項15】
次の工程からなる木質材料の製造方法
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:次いで、木材原料に脱気処理をなしつつ、フォーミングされた前記木材原料を熱圧するとともに木材原料内部に発生滞留した水蒸気を外部に放散させて木質材料を得る工程。
【請求項16】
請求項15記載の木質材料の製造方法において、工程ハにおける前記脱気処理は、木材原料に対する加圧空気の噴射及び/又は木材原料に係る減圧・吸気によることを特徴とする木質材料の製造方法。
【請求項17】
請求項15または16いずれか記載の木質材料の製造方法において、木材原料はその側面をシールドで囲繞し、高温高圧下で熱圧するようにしたことを特徴とする木質材料の製造方法。
【請求項18】
次の工程からなる木質材料の製造方法。
イ:単板状物、圧延により解繊したシート状物、細いスティック状物、フレーク状物及びストランド状物等の集合体からなる木材原料に結合材を塗布または撒布する工程
ロ:前記工程で結合材が塗布または撒布された前記木材原料を所定形状にフォーミングする工程、
ハ:フォーミングされた前記木材原料を熱圧して所定形状に形成する工程
ニ:次いで、工程ハを経た被加工物を冷却処理してその内部を摂氏100度以下に下げた木質材料を得る工程。
【請求項19】
請求項1ないし18いずれか記載のパンク防止機能を具えたホットプレス装置又は木質材料の製造方法において、熱圧に係る加熱は高周波加熱によることを特徴とするホットプレス装置又は木質材料の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−99904(P2010−99904A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272655(P2008−272655)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度、農林水産省、「平成20年度産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(501186173)独立行政法人森林総合研究所 (91)
【出願人】(300076541)親和木材工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度、農林水産省、「平成20年度産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(501186173)独立行政法人森林総合研究所 (91)
【出願人】(300076541)親和木材工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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