説明

パンツ型使い捨ておむつ

【課題】廃棄時に、最も簡単かつ確実な方法で丸めた紙おむつをきっちりと固定できるようにする。また同時に、赤ちゃん自身が前後判別を容易に行えるようにすることで装着し易くし、また遊びにも使用できるようにすることで、おむつをはく楽しみを覚えさせるようにする。
【解決手段】前身頃と後身頃とを重ねるように折り畳み、前記前身頃と後身頃との両側縁部を熱溶着することによりパンツ型とした使い捨て紙おむつ1において、前記後身頃に、機械的ファスナー手段により、しっぽ状紐状物5を着脱自在に取り付けた構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後身頃に廃棄用固定手段となるしっぽ状紐状物を備えたパンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、おむつ離れを促進する、或いはその都度止着テープを用いての装着作業から大人を解放し、装着を簡便化するなどの目的のために、パンツ型使い捨て紙おむつがテープ型使い捨て紙おむつと共に市場に提供されている。
このパンツタイプの紙おむつは、たとえば図8に示されるように、ポリエチレンなどからなる不透液性バックシート50上に、前部と後部の腰回り部分に弾性伸縮部材51,52を配設するとともに、一方の脚回りの前身頃F端から製品紙おむつの下部を巡って他方の脚回りの前身頃F端に連続した第1弾性伸縮部材53と、一方の脚回りの後身頃B端から製品紙おむつの股下部分を巡って他方の脚回りの後身頃B端に連続した第2弾性伸縮部材54を配設し、この不透液性バックシート50上に吸収体55を配置し、さらにこの上に透液性トップシート56を重ね、予め砂時計状に形成されたものを前後方向に折り畳み、かつ折り畳んだ両側縁部分をシール溶着または超音波溶着法により接合することにより、パンツタイプの紙おむつとしたものである。
【0003】
かかるパンツ型使い捨て紙おむつの廃棄処理に際し、下記特許文献1には、図9に示されるように、後身頃Bの中央部であってかつウエスト開口縁部の弾性伸縮部材57の固定領域の下方部において、不透液性バックシート58の表面に、おむつの上下方向に沿って一端を固定し、3つ折り状態で折り畳んで固定した細帯状の廃棄用止着テープ59を備えたパンツ型使い捨て紙おむつが提案されている。廃棄処理に当たっては、おむつを股間側から長手方向に丸めるとともに、前記廃棄用止着テープ59を折り畳んだ状態から引張って延長させ、不透液性バックシート58の表面に止着し丸めた状態で固定して廃棄する。このように、後身頃に廃棄用テープを備えるパンツ型使い捨て紙おむつとしては、他に下記特許文献2,下記特許文献3などを挙げることができる。
【0004】
また、前記廃棄用止着テープ以外の手段により、紙おむつを丸めた状態に固定する紙おむつも幾つか提案されている。例えば、下記特許文献4では、吸収層の介在しないエンドフラップの表面層と防漏層との間に3本以上の弾性体を並列的に改装し、この弾性体の内、少なくとも最も外側に位置する弾性体を防漏層と表面層との間に固定するとともに、中間部に位置する少なくとも1本の弾性体を、両端を防漏層と表面層との間に固定するとともに、この固定した間隔を非固定部とし、この非固定部に対応する防漏層に切込み部を形成し、少なくとも切込み部に対応する弾性体の表面層側を、非透水性又は撥水性の被覆シートで被覆するとともに、切込み部から弾性体を外方に引き出し可能とし、この引き出した弾性体を、おむつの外周に巻き回し、丸めた廃棄状態で固定するようにしたパンツ型使い捨ておむつが提案されている。
【0005】
さらに、下記特許文献5では、おむつの前身頃または後身頃に、縦中心線を跨いで横方向にへ延びる弾性的に伸縮可能な少なくとも一条の止着部材と、縦方向中心線近傍に位置して前記止着部材を掛止可能な掛止部材とが取り付けられ、廃棄時には、おむつを丸めた状態とし前記止着部材を引き出して外周面を囲繞して掛止部材に掛止させることにより固定を図るようにしたパンツ型使い捨ておむつが提案されている。
【特許文献1】実公平8−10305号公報
【特許文献2】特表平8−507699号公報
【特許文献3】特開2001−178777号公報
【特許文献4】実開平7−39816号公報
【特許文献5】特開2001−112816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1〜3のように、廃棄用止着テープを使用して丸めた紙おむつを固定する方法の場合には、弾性伸縮部材57の固定領域の下方部に、すなわち後身頃Bの略中央に廃棄用止着テープ59を固定しているため、廃棄用止着テープ59の先端を摘んで延長させる際に、廃棄用止着テープ59が摘みづらいなどの問題があるとともに、使用済みおむつを丸めた状態として固定する際に、図10に示されるように、廃棄用止着テープ59が固定されている後身頃位置よりもウエスト側部分60を内部に折り込まないと廃棄用止着テープ59を不透液性バックシート面に対して止着できないとともに、止着し直しを何度か行っていると粘着強度が低下し、固定したはずの廃棄用止着テープ59が自然と剥がれてしまうなどの問題があった。
また、上記特許文献4,5のように、おむつ内に廃棄用弾性部材を仕込んでおく方法の場合は、弾性体の引出しに手間取ることもあり、取り扱いが不便であるなどの問題があった。
【0007】
そこ本発明の主たる課題は、第1に最も簡単かつ確実な方法で、紙おむつを丸めた状態にきっちりと固定できるようにすること、第2に前記機能に加え、赤ちゃん自身が前後判別を容易に行うことができ装着し易くすること、赤ちゃんの遊びにも使用可能とすることで、おむつをはく楽しみを覚えさせることができるようにすること、交換時にモップやワイプとしても使用できる等の多用途の廃棄手段を供えたパンツ型使い捨て紙おむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、前身頃と後身頃とを重ねるように折り畳み、前記前身頃と後身頃との両側縁部を熱溶着することによりパンツ型とした使い捨て紙おむつにおいて、
前記後身頃に、しっぽ状紐状物を着脱自在に取り付けたことを特徴とするパンツ型使い捨て紙おむつが提供される。
【0009】
請求項2に係る本発明として、前記しっぽ状紐状物は、紙おむつに対して機械的ファスナー手段により着脱自在としてある請求項1記載のパンツ型使い捨て紙おむつが提供される。
【0010】
請求項3に係る本発明として、前記しっぽ状紐状物の先端部分に、機械的ファスナー手段を備え、紙おむつの外面に設けてある機械的ファスナー手段に接合可能としてある請求項1、2いずれかに記載のパンツ型使い捨て紙おむつが提供される。
【0011】
請求項4に係る本発明として、前記紙おむつの外面に設けた機械的ファスナー手段は、紙おむつとは別体の機械的ファスナー手段、又は紙おむつの外装シートを構成する不織布である請求項3記載のパンツ型使い捨て紙おむつが提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上詳説のとおり本発明によれば、廃棄時にしっぽ状紐状物を使用し、丸めた紙おむつを縛るようにして固定する。従って、最も簡単かつ確実な方法で、紙おむつを丸めた状態にきっちりと固定できるようになる。また、赤ちゃん自身が前後判別を容易に行うことができるようになるため、自分で装着し易くなるとともに、取り外して遊びにも使用できるため、興味をもっておむつをはくようになる。さらに、前記しっぽ状紐状物は交換時にモップやワイプとして使用することができる等、単におむつ廃棄用としての用途のみならず、種々の用途に供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係るパンツ型使い捨て紙おむつ1を背面側から視た斜視図であり、図2はしっぽ状紐状物5の取付け部を示す要部拡大図である。
【0014】
先ず、パンツタイプの紙おむつ1は、例えば図1に示されるように、不織布などからなる着用者の肌に面する透液性トップシート2と、ポリエチレンなどからなる不透液性バックシート3との間に綿状パルプを主体とし必要により吸収紙などを設けた半剛性の吸収体4が内包され、展開状態で両側縁部に脚開口形成用括れ部が夫々形成された、すなわち結果的には略砂時計状に形成されたものが長手方向中間を折線部として前後方向に折り畳まれ、折り畳まれた前身頃と後身頃の両側縁が互いにシール溶着または超音波溶着により接合されることによりウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツタイプの紙おむつとして製造される。
【0015】
なお、紙おむつ1の外面は、必ずしも不透液性のプラスチックシートとは限らず、前記不透液性バックシート3の外側に、不織布を一体的に設けることによって外面側を不織布とすることもできる。なお、この紙おむつ構成は、たとえば特願平11−268557号などに記載されているものである。いずれにしても、展開状態で略砂時計状に作製された紙おむつが長手方向中央部を境に前後方向に二つ折りとされ、その両側部にて脚部開口を形成した状態で互いにシール溶着または超音波溶着等の溶着方法に接合され、パンツ型に成形される。
【0016】
かかるパンツ型使い捨て紙おむつ1においては、図1に示されるように、後身頃の略中央位置に、しっぽ状紐状物5が設けられている。
【0017】
前記しっぽ状紐状物5は、図2に示されるように、しっぽ状紐状物5の基部シート5Aの外面側に雄側/雌側の機械的ファスナー手段7が形成されているとともに、おむつ外面に対し、前記機械的ファスナー手段7に対応する、雌側又は/雄側の機械的ファスナー手段8を備えた止着シート6が設けられており、前記しっぽ状紐状物5は紙おむつ1に対して着脱自在となっている。前記機械的ファスナー手段7,8としては、機械的な絡み合いによって両者を結合し得るものであればどのような構造であってもよい。例えば、雄側(フック側)は逆レ字状、キノコ状等とし、雌側はループ状、逆J字状などの形状をなしたものが一般的に使用される。
【0018】
前記しっぽ状紐状物5の素材は特に限定はないが、所要の強度を有する素材を用いて構成されている。また、太さや長さについても任意とされる。図示のしっぽ状紐状物5の例では、先端部で繊維を拡散させることにより、モップやワイプとして使用できるようにしている。なお、おむつ外面に特定の動物の色や模様をあしらい、前記しっぽ状紐状物5をその動物に合わせたしっぽ形状や色、模様とすることにより、赤ちゃんに興味を持たせるようにすることもできる。
【0019】
次に、使用済みの紙おむつを廃棄する場合の方法について、各態様毎に説明する。先ず、図3に示される第1の方法は、前記しっぽ状紐状物5を紙おむつ1から取り外したならば、おむつ両側縁部の溶着部を引き裂いて身体から取り外した後、図3(A)(B)に示されるように、紙おむつ1を二つ折りにした状態で丸めた後、図3(C)に示されるように、取り外した前記しっぽ状紐状物5により、丸めた紙おむつ1を縛り開かないように固定する。
【0020】
図4に示される第2の方法は、前記しっぽ状紐状物5を紙おむつ1に取り付けたまま、おむつ両側縁部の溶着部を引き裂いて身体から取り外した後、図4(A)(B)に示されるように、紙おむつ1を二つ折りにした状態で股間側から丸めた後、図4(C)に示されるように、取り外した前記しっぽ状紐状物5により、丸めた紙おむつ1を縛り開かないように固定する。
【0021】
図5及び図6に示される第3の方法は、先ず図5に示されるように、しっぽ状紐状物5の先端部に、機械的ファスナー手段10を備えた止着テープ9を予め取付けておき、図6(A)に示されるように、おむつ両側縁部の溶着部を引き裂いて身体から取り外した後、紙おむつ1を二つ折りにした状態で股間側から丸めた後、図6(B)に示されるように、前記しっぽ状紐状物5の先端に設けてある前記止着テープ9をおむつ外面に設けてある機械的ファスナー手段(図示せず)に止着することにより、丸めた紙おむつ1が開かないように固定する。なお、第3の方法の場合には、前記止着テープ9の機械的ファスナー手段をオス材としておくとともに、一方紙おむつ1の外面を不織布としておき、前記止着テープ9をおむつ外面の任意箇所に止着可能とすることでもよい。
【0022】
以上、前記しっぽ状紐状物5を用いたおむつの廃棄固定方法について詳述したが、前記しっぽ状紐状物5は、単におむつ廃棄の便宜のみならず、下記の効果や用途に供することができる。
(1)前記しっぽ状紐状物5によって、赤ちゃん自身が前後判別を容易に行うことができるようになるため、自分で装着し易くなる。
(2)おむつから取り外して遊びにも使用できるため、興味をもっておむつをはくようになる。
(3)前記しっぽ状紐状物5は交換時に、モップやワイプとして使用することができる。
【0023】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、不織布などからなる着用者の肌に面する透液性トップシート2と、ポリエチレンなどからなる不透液性バックシート3との間に綿状パルプを主体とし必要により吸収紙などを設けた半剛性の吸収体4が内包された紙おむつ構造としたが、図7に示されるように、不織布などからなる透液性表面シートと、ポリエチレン等からなる防漏シートとの間に、綿状パルプなどの吸収体を介在させた吸収性本体11と、この吸収性本体11の外面側に一体的に設けられた外装シート12とからなり、製品状態で前記外装シート12の前身頃と後身頃とが両側部において接合されることによりウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された構造のパンツ型紙おむつを対象とすることでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るパンツ型使い捨て紙おむつを背面側から視た斜視図である。
【図2】本発明に係るしっぽ紐状物5の取付け部の拡大断面図である。
【図3】おむつの破棄固定要領(その1)を示す手順図である。
【図4】おむつの破棄固定要領(その2)を示す手順図である。
【図5】しっぽ状紐状物5の先端への止着テープ9の取付け状態を示す図である。
【図6】おむつの破棄固定要領(その3)を示す手順図である。
【図7】パンツ型紙おむつの他の構造例を示す斜視図である。
【図8】従来のパンツ型使い捨て紙おむつ構造を示す展開状態図である。
【図9】従来の廃棄用止着テープ取付け例を示す紙おむつ斜視図である。
【図10】その廃棄要領を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1…紙おむつ、2…透液性トップシート、3…不透液性バックシート、4…吸収体、5…しっぽ状紐状物、5A…基部シート、6…止着シート、7・8…機械的ファスナー手段、9…止着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と後身頃とを重ねるように折り畳み、前記前身頃と後身頃との両側縁部を熱溶着することによりパンツ型とした使い捨て紙おむつにおいて、
前記後身頃に、しっぽ状紐状物を着脱自在に取り付けたことを特徴とするパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項2】
前記しっぽ状紐状物は、紙おむつに対して機械的ファスナー手段により着脱自在としてある請求項1記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項3】
前記しっぽ状紐状物の先端部分に、機械的ファスナー手段を備え、紙おむつの外面に設けてある機械的ファスナー手段に接合可能としてある請求項1、2いずれかに記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項4】
前記紙おむつの外面に設けた機械的ファスナー手段は、紙おむつとは別体の機械的ファスナー手段、又は紙おむつの外装シートを構成する不織布である請求項3記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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