説明

パーソナルケア製品の臭気制御

本発明は、臭気吸収剤及び結合剤の乾燥した水性堆積製剤を有するパーソナルケア製品用の臭気制御層に関する。この層は、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性下着、大人用失禁用製品、及び女性用衛生製品のようなパーソナルケア製品内に配置することができる。存在する臭気吸収剤の量は、乾燥ベースで約2と80重量パーセントの間の量とすることができる。この層は、ティシュ、フィルム、ペーパータオル、不織ウェブ、コフォーム、空気堆積、湿式堆積、ボンデッドカーデッドウェブ及びその積層体とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア製品の臭気を軽減及び制御するための工程及び製品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てパーソナルケア製品は、今日の多忙な社会で必要とされる機能を果たし、介護者であるユーザが再使用可能な製品を洗濯する雑役から解放され、身体排泄物を迅速に且つ容易に処分することを可能にする。設計を改良することによって漏出の問題が減少したので、消費者にとって臭気の制御が重要になってきた。これは、失禁用製品及び女性用衛生製品の使用者には特に関心がもたれている。
【0003】
臭気は、パーソナルケア製品を交換する必要がある信号として消費者に用いられることが多い。しかしながら、臭気の検出は、消費者の臭覚の鋭敏性に依存し、この鋭敏性は、加齢に伴い衰えることが多い。また、製品の臭気に依存することは、製品を交換する前に臭気がきつくなり、容認しがたい信号となることを意味する。
【0004】
更に、これまでのこの問題に取り組む試みで行われたように、臭気を減少させるためにパーソナルケア製品に加えられるあらゆるものが、所定位置に留まり且つ製品を通って移動しないことが重要である。例えば、吸収剤及び/又は吸収性(吸着剤)粒子は、製品から漏出せず、消費者に気付かれもしないことが必要である。
パーソナルケア製品中の身体排泄物による臭気を制御することができる工程及び製品に対する必要性が存在することは明らかである。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,940,464号公報
【特許文献2】米国特許第4,938,753号公報
【特許文献3】米国特許第6,240,569号公報
【特許文献4】米国特許第6,367,089号公報
【特許文献5】米国特許第4,775,582号公報
【特許文献6】米国特許第4,853,281号公報
【特許文献7】米国特許第4,833,003号公報
【特許文献8】米国特許第4,511,488号公報
【特許文献9】米国特許第4,818,464号公報
【特許文献10】米国特許第4,100,324号公報
【特許文献11】米国特許第4,640,810号公報
【特許文献12】米国特許第4,494,278号公報
【特許文献13】米国特許第5,527,171号公報
【特許文献14】米国特許第4,375,448号公報
【非特許文献1】SITA Technology、Ltd.と提携してJohn Wiley & Sons Ltd.により1997年に出版された、C Lowi、G.Webster、S.Kellse、I.McDonaldの「Chemistry & Technology for UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints(コーティング用UV及びEB製剤、インク並びに塗料のための化学と技術)」第4巻、54ページ、ISBN 0 947798 54 4
【非特許文献2】SITA Technology Ltd.と提携してJohn Wiley and Sons Ltdにより1998年に出版されたC.LoweとR.K.T.Oldringの「Test Methods for UV and EB Curing Systems(UV及びEB硬化システムのための試験法)」第6巻、ISBN 0471 978906
【発明の開示】
【0006】
当業者が直面する上述の問題に対して、本発明者らは、臭気吸収剤及び結合剤の乾燥した水性堆積製剤を有するパーソナルケア製品用の臭気制御層を発明した。この層は、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性パンツ、大人用失禁用製品、及び女性用衛生製品などのパーソナルケア製品内に配置することができる。存在する臭気吸収剤の量は、乾燥ベースで約2と80重量パーセントの間の量とすることができる。この層は、ティシュ、フィルム、ペーパータオル、不織ウェブ、コフォーム、空気堆積、湿式堆積、ボンデッドカーデッドウェブ及びその積層体とすることができる。
本発明は、液体不透過性バッフルと、液体透過性身体側ライナと、臭気吸収剤及び結合剤の乾燥した水性塗布層を有する基材とを有する女性用衛生製品及び大人用失禁用製品を含む。
【0007】
本発明の耐久性のある臭気吸収剤処理したパーソナルケア製品は、このような臭気吸収剤処理体のない同様の製品よりも臭気低減が優れている。また、パーソナルケア製品を処分するために一般に用いられるポーチもまた、臭気吸収処理体を有することができる。また、障壁パッケージ用の臭気低減挿入体は、臭気吸収剤及び結合剤からなる臭気低減処理体を備えた基材を有することができる。
また、本発明は、パーソナルケア製品の臭気を制御する方法を含み、これは、臭気吸収剤、結合剤及び水を含む製剤に基材を浸漬する段階と、該基材を乾燥する段階と、基材をパーソナルケア製品内に配置する段階とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、パーソナルケア製品、即ちおむつ、トレーニングパンツ、吸収性パンツ、大人用失禁用製品、及び女性用衛生製品の臭気制御に関する。
パーソナルケア製品での臭気の制御は、女性用衛生パッド及び失禁用製品を着用しているような大人に特に関心がもたれている。不快な臭気による気まずい思いを避けたいという要望は、このような製品の大人の消費者にとって重要であり、本発明はこの点に関して大きな助けとなる。
【0009】
発明者らは、パーソナルケア製品の層上に臭気吸収剤の持続性の処理をもたらす方法を見出した。臭気吸収剤は、臭気吸収剤及び結合剤並びに水を含む製剤から層上に堆積させて乾燥させる。この臭気吸収製剤は、幾つかの方法を用いて堆積させることができ、製品を過酷に使用しても実質的に所定位置に留まる。
臭気吸収剤は、粒子又は繊維の形態のゼオライト、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸銅、硫酸亜鉛、及び活性炭素、或いは、臭気を制御することが知られている他の化学物質、及びその混合物とすることができる。臭気吸収剤の量は、選択した吸収性の有効性に応じて変化することになるが、一般的には、約2〜約80重量パーセントの範囲、望ましくは約5と75重量パーセントの間、更に望ましくは約10と30重量パーセントの間とする必要がある。
【0010】
吸収剤を含有する入手可能な製剤の例には、米国ニューヨーク州ニューヨークのMeadWestvaco Corporationから入手されるNuchar PMAインクが含まれる。他の吸収剤製品は、商品名CARBABSORB(登録商標)で米国ペンシルベニア州ピッツバーグのCalgon Carbon Corporationから、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーのSigma−Aldrich Chemical Companyから、及び米国マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporationから入手可能である。
【0011】
本発明の臭気吸収剤基材を配置することができるパーソナルケア製品には、女性用衛生製品、失禁用製品及び吸収性パンツが含まれる。
パーソナルケア製品、特に女性用衛生製品は、通常販売用に製品を包装する小さなポーチに入れることにより処分されることが多い。また処分するためにこのようなポーチの中に吸収剤を入れて、臭気を少なくするのを助けることもできる。図1は、パーソナルケア製品2が中に入っているポーチ1を示す。ポーチは、再シール可能にポーチを開放する従来の面ファスナ又は接着剤のような締結手段3、4を有する。パッケージの長手寸法に沿って見た断面(図2)では、折り畳んだパーソナルケア製品2が入っているポーチ1と、ポーチ1内の臭気吸収層5とを示している。
【0012】
また、臭気吸収剤基材は、製品用のパッケージ内に入れることができ、このパッケージは、包装される品目の構成要素から吸収し、及び/又は臭気を吸収する空気又は酸素障壁である。このような臭気低減挿入体は、トイレットペーパー及びペーパータオルのような製品の貯蔵及び発送中にこのようなパッケージ内に蓄積される臭気を低減するのに役立つことができる。例えば、図3は、プラスチックラップ7内にあるトイレットペーパーロール6のパッケージを示す。パッケージ内に臭気低減挿入体8が見える。
【0013】
臭気吸収剤は、上述のようなものを含む女性用衛生製品内に含めることができる。これら女性用衛生製品封入体は、例えば、図4に部分的に切り欠いて示したパッドを含む。このパッド10は、着用者から離れる側部に液体不透過性バッフル12を有する。バッフル12は、ポリエチレン又はポリプロピレンフィルムのようなフィルムで作られることが多い。着用者に最も近い層はライナ14であり、好ましくは柔らかく吸収性のある液体透過性層である。バッフル12とライナ14との間には、あらゆる液体放出物の大部分を保持するように設計された吸収性コア16などの種々の目的の幾つかの層が存在することができる。他の任意選択の層には、移送遅延層17、及びティシュラップ(図示せず)を含まれる。
【0014】
同様に、図5に示すような失禁用製品30は、バッフル又は外側カバー32、最も内側にあるライナ34、及びこれらの間にある吸収性コア36のような種々の層を有する。図6は、失禁用製品の狭い部分にわたって取った断面を示している。ライナ34が最も上にあり、その下にサージ層35があり、該サージ層は、液体の大量の大きなサージを受け入れ、これを次の層に徐々に放出するリザーバのように機能する。サージ層35の下には、ティシュラップ37で囲まれた吸収性コア又は綿撒糸36がある。幾つかの製品の吸収性コアには吸収性粒子が含まれており、これは、遊離して極めて小さく、閉じ込められていなければ、身体又は衣類に漏れる可能性がある。ティシュラップ37がコア36を囲み、超吸収性粒子がコア36から出ないようにしている。ティシュで包まれたコアの下には、フラフ層38、次いでバッフル32がある。また、多くの製品は、使用者の下着に接着することによって使用時に製品を所定位置に保持するのを助ける接着ストリップ39を有する。失禁用製品に関するより詳細な情報は、例えば、米国特許第4,940,464号及び第4,938,753号に見ることができ、これらは引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0015】
図7に示すような吸収性パンツ50は、バッフル52、ライナ54及び吸収性コア(図示せず)を有する。吸収性下着に関する更に詳細な考察は、例えば、米国特許第6,240,569号及び第6,367,089号において見ることができ、これらは引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の臭気吸収剤は、水性製剤で布層に塗布し、乾燥させ、この乾燥した層を製品内に配置することができる。或いは、吸収剤を含む製剤を製品中に存在する吸収性コアのような層に塗布して乾燥させてもよい。本発明の吸収剤で処理するのに好適な基材には、フィルム、ティシュ、ペーパータオル、織布及び不織布、コフォーム材料、空気堆積材料、湿式堆積材料、ボンデッドカーデッドウェブ等が含まれる。基材の非排他的例は、米国特許第4,775,582号及び第4,853,281号、第4,833,003号、及び第4,511,488号に見出すことができ、これらは全てキンバリークラーク社に譲渡された。
【0016】
不織布は、スパンボンド法、メルトブロー法、空気堆積法、ボンド及びカード法等のような工程により作ることができる。不織布は、限定ではないが、ポリエステル、ナイロン、及びポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂で作ることができる。オレフィンには、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等、並びにその組み合わせが含まれる。
「コフォーム」という用語は、シュートの近くに少なくとも1つのメルトブローンダイヘッドが配置され、該ヘッドを通じて他の材料が成形中のウェブに添加されるような製法を意味する。このような他の材料は、例えば、パルプ、超吸収性粒子、天然ポリマー(例えば、レーヨン又は綿繊維)及び/又は合成ポリマー(例えば、ポリプロピレン又はポリエステル)繊維とすることができ、ここでこれらの繊維はステープルの長さとすることができる。コフォーム工程は、Lauに付与され本出願人に譲渡された米国特許第4,818,464号及びAndersonらに付与された第4,100,324号に示されている。コフォーム工程により生成されたウェブは、一般にコフォーム材料と呼ばれる。
【0017】
ボンデッドカーデッドウェブは、ステープル繊維で製造され、該ステープル繊維をコーミング又はカーディングユニットを通して送り、ほぐして機械方向に整列させ、ほぼ機械方向に配向された繊維不織ウェブが形成される。ウェブが形成されると、次いで、粉体結合、パターン結合、スルーエア結合及び超音波結合などの幾つかの方法のうちの1つ又はそれ以上によって結合される。
空気堆積工程では、典型的な長さが約3〜約52ミリメートル(mm)の範囲の小さな繊維の束を分離して供給空気内に取り込み、次いで、通常真空供給の助けにより成形スクリーン上に堆積される。ランダムに堆積した繊維は、次に互いに結合される。空気堆積を教示する例には、Laursenらに付与されScan Web of North America Incに譲渡された米国特許第4,640,810号に記載されたDanWeb法、Kroyerらに付与された米国特許第4,494,278号及びSoerensenに付与されNiro Separation a/sに譲渡された米国特許第5,527,171号に記載されたKroyer工程、Appelらに付与されKimberly−Clark Corporationに譲渡された米国特許第4,375,448号の方法、又は他の類似の方法が含まれる。
【0018】
吸収剤は、吸収剤及び結合剤を有する製剤に層を浸漬する段階と、過剰分を絞る段階と、乾燥させる段階とを伴う浸漬及び圧搾法のような流体飽和法により基材層に塗布することができる。
吸収剤は、飽和処理器で層に塗布し、その後、例えば蒸気缶で乾燥させることができる。この方法は、図8に示されており、ここで、ティシュ層69がローラ70、71の周りを進んでリザーバ73を通り、次いで、ゴム塗りロール72とステンレス鋼ピックアップロール74との間を進み、ここで「ニップ」又は圧搾されて過剰な液体が除去される。次に、湿潤ティシュ層69は、4つの蒸気缶76、78、80、82にわたって乾燥される。一例において、ピックアップロールと塗布ロールとの間のニップ圧力は92psi(634キロパスカル、KPa)、塗布される臭気吸収剤及び結合剤の量は100〜127重量パーセントの範囲、送り速度は28ft/分(8.53m/分)、蒸気缶温度は、それぞれ、176F、170F、185F及び191F(80.0、76.7、85.0、88.3C)であった。或いは、湿潤ティシュは、通気乾燥を用いることなどの他の手段で乾燥させてもよい。
【0019】
飽和法に対してコーティング法による吸収剤を塗布する方法の有効性を試験するために、両方の方法を実施して得られた材料を試験した。この試験では、ブレード及びマイヤーロッド(No.10 二重巻き)を用いる段階を含む異なる表面コーティング法を用いて、湿式堆積セルロース布にNuchar PMAインクを塗布した。この同じ布の別の試料を上述のように飽和させ、蒸気缶で乾燥させた。モデル臭気としてピリジン(アミン)を用いるGCヘッドスペース法で臭気吸収効率を測定し、Agilent7694ヘッドスペースサンプラを備えたAgilent5890、シリーズIIガスクロマトグラフ(両方ともドイツ国WaldbronnのAgilent Technologiesから入手可能)によって行った。搬送ガスとしてヘリウムを用いた(注入ポート圧力:12.7psig(188.9kPa)、ヘッドスペースバイアル圧力:15.8psig(210.3kPa)、供給ライン圧力:60 psig(515.1kPa))。臭気化合物には、長さ30m、内径0.25mmのDB−624カラム(カリフォルニア州FolsomのJ&W Scientific,Inc.から入手可能)を用いた。
【0020】
ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ法で用いた運転パラメータを下表に示す。
ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ装置の運転パラメータ

【0021】
試験手順には、臭気吸収剤を含む試料0.005〜0.006gを20立方センチメートル(cc)ヘッドスペースバイアル内に入れる段階を含んだ。シリンジを用いて、臭気化合物を分取したものもバイアルに入れた。次いで、バイアルをキャップ及びセプタムでシールし、37℃のヘッドスペース・ガスクロマトグラフオーブンに入れた。10分後、セプタムを通じてバイアル内に中空針を挿入した。次に、ヘッドスペース(バイアル内空気)の試料1ccをガスクロマトグラフに注入した。
【0022】
試験の結果は以下に示すが、湿式堆積布中のセルロースが弱酸性であることにより、対照がピリジンを幾分吸収することに留意されたい。
試料 塗布方法 %炭素 mgピリジン
湿式堆積対照 適用せず 適用せず 53
湿式堆積/ 片側ブレード 3.3 54
PMA炭素
湿式堆積/ 片側ロッド 6.3 60
PMA炭素
湿式堆積/ 片側ブレード 10.9 75
PMA炭素
湿式堆積/ 浸漬及び絞り飽和器 10.0 90
PMA炭素
この結果により、表面コーティングに比べて、基材の飽和によりピリジンの吸収がかなり増大することが示される。
【0023】
吸収剤及び結合剤を含む本発明の製剤を乾燥させて、使用中又は輸送中に移動又は剥離しない耐久性のある処理剤を生成する。耐久性は、親指と人差し指との間に基材を挟み、2本の指を擦ることにより評価することができる。指に吸収剤が殆ど又は全く残らないことが必要である。フレキソ印刷業界で広く用いられる別の試験は、硬い表面上に処理済み基材を置き、該基材上に親指を置いて、この親指を約90度回転させるものである。この場合もやはり、親指には殆ど又は全く吸収剤が残らない必要がある。この「親指捻り」試験は、SITA Technology、Ltd.と提携してJohn Wiley & Sons Ltd.により1997年に出版された、C Lowi、G.Webster、S.Kellse、I.McDonaldの「Chemistry & Technology for UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints(コーティング用UV及びEB製剤、インク並びに塗料のための化学と技術)」第4巻、54ページ、ISBN 0 947798 54 4と、SITA Technology Ltd.と提携してJohn Wiley and Sons Ltdにより1998年に出版されたC.LoweとR.K.T.Oldringの「Test Methods for UV and EB Curing Systems(UV及びEB硬化システムのための試験法)」第6巻、ISBN 0471 978906に詳細に記載されている。この試験は、特定のテスタによって圧力が印加されると幾分の変動を受けることがあるが、ほとんどの条件では驚くほど正確である。この試験は、一般に、磨耗ホイールが布を通して完全に摩滅するのに必要なサイクル数を測定するTaber磨耗試験と相関付けることができる。
【0024】
Taber磨耗試験では、水平面内で回転するターンテーブル上に布の試料を置き、回転するときに試料上に磨耗ホイールを載せる。ホイールは、約30〜45回転/分の速度で回転するターンテーブルと同じ速度で回転する。種々の程度の磨耗性のホイールが入手可能である。Taber磨耗試験装置は、米国ニューヨーク州North TonawandaのTeledyne Taberから型番5130で入手可能であり、H−38ホイール及び125グラム釣合重りを備えている。この構成では、本発明による試料は、目に見える量の吸収剤をホイールに移行させることなく、少なくとも10サイクルに耐える必要がある。
【0025】
臭気吸収剤がコーティングされた基材は、パーソナルケア製品内のどのような数の部位にも配置することができる。基材は、例えば、ライナの直下、サージの下、コアとフラフとの間、又はフラフの下に配置することができる。基材は、ティシュラップで置き換えることもでき、コアのための2次ラップとすることもできる。
以下の実施例は、本発明の理解を助けるものである。
【0026】
実験1
この研究では、米国テキサス州ダラスのキンバリークラーク社から入手されるPoise(登録商標)レギュラーサイズパッドを用いた。カーボンインクDPX−7861−49Aは、MeadWestvacoから調達したが、これは、15重量パーセントの炭素、11重量パーセントのスチレン−アクリル結合剤及び74重量パーセントの水を含むものであった。
【実施例1】
【0027】
MeadWestvaco DPX−7861−49AインクをHi−Count(登録商標)1プライティシュの11cm×16cmストリップ上にコーティングした。乾燥後の各ストリップは、ほぼ32mgの炭素/結合剤を有し、その約18mgが炭素であった。ストリップを大人用失禁用物品(図6参照)、この例では、米国テキサス州ダラスのキンバリークラーク社から入手可能なPoise(登録商標)パッド、レギュラーサイズのフラフ層下で且つバッフル上に配置した。
【実施例2】
【0028】
活性炭素及び結合剤インク(DPX−7861−49Aという名称でMeadWestvacoから入手される)をHi−Count(登録商標)1プライティシュの3.5cm×26cmストリップ上にコーティングし、乾燥させた。乾燥後の各ストリップは、ほぼ6.6mgの炭素を有した。ストリップは、吸収性コア綿撒糸の周りに長手方向に巻きつけ、綿撒糸の側部は開放したままにした。これは、大人用失禁用物品(図5参照)、この例では米国テキサス州ダラスのキンバリークラーク社から入手可能なPoise(登録商標)パッドのレギュラーサイズにおいて行われた。
【実施例3】
【0029】
活性炭素及び結合剤インク(DPX−7861−49Aという名称でMeadWestvacoから入手される)を湿式堆積層の3.4cm×9cmストリップ上にコーティングした。乾燥後の各ストリップは、約26mgの炭素を有した。ストリップは、大人用失禁用物品(図5参照)、この例では米国テキサス州ダラスのキンバリークラーク社から入手可能なPoise(登録商標)パッドのレギュラーサイズの吸収性コアの両端に配置した。
【実施例4】
【0030】
吸収性コアを包むためにPoise(登録商標)パッドに通常用いられる11×14cmのティシュラップ片上に、活性炭素及び結合剤インク(DPX−7861−49Aという名称でMeadWestvacoから入手される)をコーティングした。乾燥後の各ストリップは、約14mgの炭素を有した。コーティングしたティシュラップは、ティシュラップの通常の部位に用いられ、即ち、大人用失禁用物品(図6参照)、この例ではダラスのキンバリークラーク社から入手可能なPoise(登録商標)パッドのレギュラーサイズの吸収性コアの周りを包んだ。
【0031】
対照1
実施例のパッドと同様であるが、本発明の炭素臭気吸収剤層が無い市販のPoise(登録商標)パッド。
対照2
ドイツ国ミュンヘンのSCA HygieneProductsの系列会社である米国ペンシルベニア州エディストンのSerac LLCから市販されるOdasorb plus(商標)を備えたSerenity(登録商標)ナイトアンドデイのエクストラプラスサイズ。これらのパッドを実質的に同等の2つの部片に切断し、パッドの重量及び大きさがレギュラーサイズのPoise(登録商標)パッドとほぼ等しくなるようにした。
【0032】
次いで、実験1に記載した実施例及び対照について、ASTM E1207−87(腋脱臭の評価に対する標準的技法)に従って、官能パネルにより臭気を評価し、以下の表1の結果を得た。この試験では、各試料に女性の蓄尿60mlを放出させ、密封状態の1クォート(0.95リットル)のガラス容器に入れて37℃で24時間インキュベートした。12人の訓練を受けた女性官能試験員が、尿の臭気強度の順にパッドを等級をつけた。
表1 臭気の最低から最高までの順序
試料 臭気等級
実施例4 8.6(最低臭気)
実施例3 9.3
実施例2 16.4
対照1 16.6
実施例1 17.2
対照2 31.8(最高臭気)
【0033】
実験2
以下の実験では、Poise(登録商標)エクストラプラスサイズパッドを研究に用いた。使用したカーボンインクは、15重量パーセントの炭素、12重量のスチレン−アクリルコポリマー結合剤及び73重量パーセントの水を含むNuchar PMAであり、MeadWestvacoから調達した。
【実施例5】
【0034】
活性炭素及び結合剤インク(Nuchar PMA)をポリエチレンフィルムの6cm×22cm片上にコーティングし、次いで、これをPoise(登録商標)パッド内のバッフルの直ぐ上、即ち着用者に向かう側に配置した。乾燥後の各ストリップは、約20mgの炭素を有した。ティシュラップ綿撒糸(未処理)をフラフバッフルの下に配置した。
【実施例6】
【0035】
活性炭素及び結合剤インク(Nuchar PMA)を通常Poise(登録商標)パッドに用いられて吸収性コアを包む6cm×20.5cm片のティシュラップ上にコーティングした。乾燥後の各ストリップは、約20mgの炭素を有した。コーティングしたティシュストリップは、Poise(登録商標)パッドのレギュラーサイズのサージ層の下に配置した。ティシュラップパッド綿撒糸(未処理)はフラフバッフルの下に配置した。
【実施例7】
【0036】
活性炭素及び結合剤インク(Nuchar PMA)を通常Poise(登録商標)パッドに用いられて吸収性コアを包む13cm×20.5cm片のティシュラップにコーティングした。乾燥後の各ストリップは、約40mgの炭素を有した。綿撒糸は処理したティシュで包み、次に、Poise(登録商標)パッドの衣類側のバッフルの下に配置した。
【0037】
対照3
市販のPoise(登録商標)エクストラプラスサイズパッドを何ら変更を加えることなく用いた。これらのパッドは、サージ層の直ぐ下にティシュラップ綿撒糸を有するものであったことに留意されたい。
対照4
ティシュラップ綿撒糸をフラフバッフルの下に挿入させてPoise(登録商標)エクストラプラスサイズパッドを調製した。
対照5
Odasorb plus(商標)を備えたSerenity(登録商標)ナイトアンドデイのエクストラプラスサイズを変更せずに用いた。
【0038】
次に、実験2に記載した実施例及び対照をASTM E1207−87に従って官能パネルにより臭気を評価し、表2の結果を得た。この試験では、各試料に女性蓄尿60mlを放出し、密封状態の1クォート(0.95リットル)ガラス容器に入れて37℃で24時間インキュベートした。12人の訓練を受けた女性官能試験員が、尿の臭気強度の順にパッドに等級をつけた。
表2 臭気の最低から最高までの順序
試料 臭気等級
実施例6 7.4(最低臭気)
実施例5 8.6
実施例7 12.6
対照5 15.7
対照4 24.7
対照3 31.1(最高臭気)
【0039】
実験3
Poise(登録商標)レギュラーサイズパッドをこの研究に用いた。この研究にはMeadWestvacoからのカーボンインクを用いた。
【実施例8】
【0040】
活性炭素及び結合剤インク(Nuchar PMA))をポリエチレンフィルムの3cm×11cm片上にコーティングし、次いで、これをPoise(登録商標)パッド内のバッフルの直ぐ上、即ち着用者に向かう側に挿入した。乾燥後の各ストリップは、約10mgの炭素を有した。青いサージ層の下にティシュラップ綿撒糸(未処理)を配置した。
【実施例9】
【0041】
活性炭素及び結合剤インク(DPX−7861−49A)を通常Poise(登録商標)パッドに用いられて吸収性コアを包む11cm×14cm片のティシュラップにコーティングした。乾燥後の各ストリップは、約18mgの炭素を有した。コーティングしたティシュストリップは、ティシュラップの通常の部位に用いられ、即ち、大人用失禁用物品(図6参照)の吸収性コアの周りを包んだ。
【実施例10】
【0042】
活性炭素及び結合剤インク(DPX−7861−49A)を通常Poise(登録商標)パッドに用いられて吸収性コアを包むティシュラップの11cm×14cm片上にコーティングした。乾燥後の各ストリップは、約7mgの炭素を有した。コーティングしたティシュストリップは、ティシュラップの通常の部位に用いられ、即ち、大人用失禁用物品(図6参照)の吸収性コアの周りを包んだ。
【0043】
対照6
ドイツ国ミュンヘンのSCA HygieneProductsの系列会社である米国ペンシルベニア州エディストンのSerac LLCから市販されるOdasorb plus(商標)を備えたSerenity(登録商標)ナイトアンドデイのエクストラプラスサイズ。これらのパッドを2つに切断し、パッドの重量(従って大きさ)がレギュラーPoise(登録商標)パッドと同様になるようにした。
【0044】
対照7
実施例のパッドと同様であるが、本発明の炭素臭気吸収剤層がない市販のPoise(登録商標)パッド。
【0045】
次に、上述の実施例及び対照について、ASTM E1207−87(腋脱臭の知覚評価に対する標準的技法)に従って官能パネルにより臭気を評価し、以下の表3の結果を得た。この試験では、各試料に女性の蓄尿60mlを放出させ、密封状態の1クォート(0.95リットル)のガラス容器に入れて37℃で24時間インキュベートした。12人の訓練を受けた女性官能試験員が、尿の臭気強度の順にパッドに等級をつけた。
表3 臭気の最低から最高までの順序
試料 臭気等級
実施例9 5.3(最低臭気)
実施例10 8.0
実施例8 9.7
対照6 28.8
対照7 30.6(最高臭気)
【0046】
このデータは、本発明の臭気吸収剤層が、製品の知覚される臭気を低減させることに成功したことを示している。ASTM E1207−87によれば、耐久性のある臭気吸収剤製剤を備えた層を有するパーソナルケア製品では、耐久性のある臭気吸収剤がない同様のパーソナルケア製品よりも臭気制御が優れていることは明らかである。「同様の製品」という用語が意味するものは、本発明の製品と本質的に同じ製造工程及び材料を用いるが、本発明の品目がない製品である。WebsterのNew Collegiate Dictionary(1980)によれば、「同様の」とは、(1)共通の特徴を有すること;厳密な匹敵、(2)物質又は本質的要素が似ていること;相当することを意味する。「同様の」という語のこの一般に是認されている意味を用いると、この用語は、上述の本発明の条件を除いて全ての他の条件が製造公差内にあり、本質的に同じであることを意味する。
【0047】
活性炭素及び結合剤を含む製剤が塗布された基材の全ては、フレキソ印刷業界の親指捻り圧力試験又はTaber磨耗試験による耐久性のある処理剤を有した。吸収剤は、吸収剤及び結合剤を含む製剤を用いて塗布されなければ、基材に耐久的に付着しない。
当業者には理解されるように、本発明に対する変更及び変形形態は、当業者の能力の範囲内になるものとされる。このような変更形態の例は、上記で認識された本特許に含まれ、その各々は、本明細書と一致する範囲で引用により本明細書に組み込まれる。このような変更及び変形形態は、発明者らによって本発明の範囲内にあるものとされる。また、本発明の範囲は、本明細書に開示した特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、上記の開示事項に照らして読むと添付の請求項にのみ従うことも理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】パーソナルケア製品を含むポーチの図である。
【図2】図1のポーチの断面図である。
【図3】トイレットペーパーのパッケージの図である。
【図4】女性用衛生製品の図である。
【図5】大人用失禁用製品の図である。
【図6】大人用失禁用製品の断面図である。
【図7】吸収性パンツの図である。
【図8】布を処理する方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭気吸収剤及び結合剤の乾燥され水性堆積された製剤を含み、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性下着、大人用失禁用製品、及び女性用衛生製品から成る群から選択されるパーソナルケア製品内に配置されたことを特徴とするパーソナルケア製品用臭気制御層。
【請求項2】
前記吸収剤が、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、ゼオライト、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、活性炭素及びその混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の層。
【請求項3】
前記吸収剤が活性炭素であり、乾燥ベースで約2と80重量パーセントの間の量で存在することを特徴とする請求項2に記載の層。
【請求項4】
前記吸収剤が活性炭素であり、乾燥ベースで約5と75重量パーセントの間の量で存在することを特徴とする請求項2に記載の層。
【請求項5】
前記吸収剤が活性炭素であり、乾燥ベースで約10と30重量パーセントの間の量で存在することを特徴とする請求項2に記載の層。
【請求項6】
ティシュ、フィルム、ペーパータオル、不織ウェブ、コフォーム、空気堆積、湿式堆積、ボンデッドカーデッドウェブ及びその積層体から成る群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の層。
【請求項7】
液体不透過性バッフルと、液体透過性身体側ライナと、活性炭素及び結合剤の乾燥した水性塗布層を有する基材とを含むパーソナルケア製品であって、前記パーソナルケア製品が、女性用衛生製品及び大人用失禁用製品から成る群から選択されることを特徴とするパーソナルケア製品。
【請求項8】
前記炭素が、乾燥ベースで約2と80重量パーセントの間の量で存在することを特徴とする請求項7に記載のパーソナルケア製品。
【請求項9】
前記吸収剤が活性炭素であり、乾燥ベースで約5と75重量パーセントの間の量で存在することを特徴とする請求項7に記載のパーソナルケア製品。
【請求項10】
前記吸収剤が活性炭素であり、乾燥ベースで約10と30重量パーセントの間の量で存在することを特徴とする請求項7に記載のパーソナルケア製品。
【請求項11】
耐久性のある活性炭素処理体を含むパーソナルケア製品であって、ASTM E1207−87による前記製品の臭気の減少が、前記活性炭素がない同様の製品よりも優れていることを特徴とするパーソナルケア製品。
【請求項12】
臭気吸着処理体を含むパーソナルケア製品を処分するためのポーチ。
【請求項13】
前記パーソナルケア製品が、おむつ、女性用衛生製品及び失禁用製品からなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載のポーチ。
【請求項14】
活性炭素及び結合剤の処理体を有する基材を含む空気障壁包装物のための臭気低減挿入体。
【請求項15】
トイレットペーパーのパッケージ内に組み込まれた請求項14に記載の挿入体。
【請求項16】
パーソナルケア製品の臭気を制御する方法であって、
活性炭素、結合剤及び水からなる製剤中に基材を浸漬する段階と、
前記基材を圧搾する段階と、
前記基材を乾燥する段階と、
前記基材をパーソナルケア製品内に配置する段階と、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−515206(P2007−515206A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541115(P2006−541115)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020696
【国際公開番号】WO2005/056068
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】