説明

ヒートポンプ式給湯機

【課題】設置時に行われるエア抜き作業が極めて容易に行えるヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【解決手段】コンプレッサー29、水冷媒交換器30、膨張弁31、及び室外ファン34を有する空気熱交換器32を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプ回路33と、湯を貯える貯湯タンク7を有し、この貯湯タンク7と前記水冷媒交換器30の温水流路36とは、どちらかに循環ポンプ35を備えた注ぎ管23と戻り管24をバイパス管26で連通して短絡回路27を形成する凍結防止三方弁28を備えたものに於いて、前記注ぎ管23の凍結防止三方弁28と水冷媒熱交換器30との間にエアー抜き手段44を接続したので、エアー抜き手段を接続して温水流路に侵入した、空気を除去することが出来、エアー抜き栓から出る排水をバケツなどで受けたり、又バケツに溜まった水を処分する手間がかかると言う、問題点を解決するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ回路を利用して、給湯を行うヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ式給湯機では、深夜電力を利用して、高温高圧の冷媒と低温水とを効率よく熱交換し、貯湯タンク内に翌日使用する湯水を高温水として貯湯して、順次給水とミキシングしながら、設定温度の給湯を行い経済的な給湯を実現するものであった。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特許第3055406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この従来のものでは、ヒーポン側のエアー抜き栓を開けて、ヒーポン内部及びヒーポン配管内のエアー抜きを行っている。しかし、この方式だとヒーポン側のエアー抜き栓から出る排水をバケツなどで受け取る必要があり、又バケツに貯まった水を処分する手間が発生し、手動でエア抜きをする為作業中は、他の作業ができないという問題点を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、この点に着目し、上記問題点を解決する為、請求項1では、コンプッレサー、水冷媒熱交換器、膨張弁、及び室内ファンを有する空気熱交換器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプ回路と、湯を貯える貯湯タンクを有し、この貯湯タンクと前記水冷媒交換器の温水流路とは、どちらかに循環ポンプを備えた注ぎ管及び戻り管で連通して、加熱循環回路を構成し、前記注ぎ管には凍結防止時に該注ぎ管と戻り管をバイパス管で連通して短絡回路を形成する凍結防止三方弁を備えたものに於いて、前記注ぎ管の凍結防止三方弁と水冷媒熱交換器との間にはエアー抜き手段を接続した事を特徴とするものである。
【0005】
これによれば、エアー抜き手段を接続して、温水流路に進入した、空気を除去することが出来、エアー抜き栓から出る排水をバケツなどで受けたり、又バケツに溜まった水を処分する手間がいらず、簡単にエアーを抜くことが出来、結果、使用勝手が良いものである。
【0006】
又請求項2によれば、排水管とエアー抜きバルブとの、極めて簡単な構成で、エアー抜き手段が実現出来、常に確実な作動でエアー抜きが良好に行われるものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、この発明の請求項1によれば、エアー抜き手段を接続して温水流路に侵入した、空気を除去することが出来、エアー抜き栓から出る排水をバケツなどで受けたり、又バケツに溜まった水を処分する手間がかかると言う、問題点を解決するものである。
【0008】
又請求項2によれば、エアー抜きのために流れる水は、排水口に流れてしまうので、バケツを用意する必要が無くなり、エアー抜き作業中に他の作業が出来、短時間で器具の設置作業をするかとが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、この発明の一実形態のヒートポンプ式給湯機を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニット、2はヒートポンプ回路を構成した加熱部、3は給湯栓、4はリモートコントローラ、5は浴槽、6は電源である。
【0010】
前記貯湯タンクユニット1は、湯水を貯湯する貯湯タンク7と、貯湯タンク7の上部に接続された出湯管8と、貯湯タンクの下部に接続された給水管9と、出湯管8から高温水と給水管9から分岐されたバイパス管10から低温水とを混合するミキシング弁11と、ミキシング弁11の下流に接続された給湯管12に設けられた給湯温度センサー13と、給湯管12に設けられた給湯センサー14と、給水管9に設けられた給湯温度センサー15と、給湯管12から分岐され浴槽5に接続された湯張り管16と、この湯張り管16の開閉を行う、湯張り弁17と、湯張り管16を流れる流量を積算する、湯張り流量センサー18と、出湯管8から分岐して、接続された貯湯タンク7の過圧を逃す過圧逃がし弁19と、給水管9に設けられた給水圧を減圧する減圧弁20と、貯湯タンク7の側面上下方向に複数設けられた貯湯温度センサー21と、この貯湯タンクユニット1の制御を行うマイクロコンピューターで主に構成される給湯制御部22と、貯湯タンク7と加熱部2とを注ぎ管23と戻り管24で接続して、湯水を循環させる加熱循環回路25と注ぎ管23には、凍結防止時に該注ぎ管23と戻り管24をバイパス管26とを連通させて、短絡回路27を形成する凍結防止三方弁28を備えている。
【0011】
前記加熱部2は、二酸化炭素冷媒を圧縮するコンプレッサー29と凝縮器としての水冷媒交換器30と膨張弁31蒸発器としての空気熱交換器32よりなる、ヒートポンプ回路33と、空気熱交換器32に送風する室外ファン34と加熱循環回路25の注ぎ管23途中に設けられた能力可変の循環ポンプ35と、水冷媒交換器30の加熱循環回路25を構成する一番細いパイプからな成る温水流路36の入り口側に設けられ、温水流路36に流水する湯水の温度を検出する熱交入口温度センサー37と、温水流路36の出口側に設けられ、温水流路36から流水する湯水の温度を検出する熱交出口温度センサー38と、外気の温度を検出する凍結防止温度センサー39と、この加熱部2の制御を行うマイクロコンピューターで主に構成される加熱制御部40とを備えている。
【0012】
44は、加熱部2内の注ぎ管23途中に接続されたエアー抜き手段で、排水管41と、手動で開くエアー抜きバルブ42と、排水を流す排水口43とで構成され、器具の設置後、温水流路36ないに侵入した空気等の不純物を除去するものである。
【0013】
前記リモートコントローラ4には、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ45、浴槽5への湯張りを指示する湯張りスイッチ46、湯張り量を設定する湯張り量設定スイッチ47、及び給湯可能な残時間を表示させる残時間表示スイッチ48とを有した操作部49ドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部50と、これら操作部49および表示部50を制御すると共に前記給湯制御部22とを通信を行うマイクロコンピューターで主に構成されたリモコン制御部51を備えており、通常運転時は、前記表示部50に操作部48で設定された給湯設定温度や時刻情報及び給湯温度センサー21で検知する残り貯湯量等が表示されるものである。なお、湯張りスイッチ45と残時間表示スイッチを同時に押圧することで、凍結防止三方弁28が切換えられ、エアー抜きバルブを開いて、循環ポンプ35が駆動開始し、エアー抜き運転が開始されるものである。
【0014】
まず、次に、この一実地形態の作動について説明する。夜間時間帯になると、前記給湯制御部22が翌日に必要な貯湯熱量を演算し、この目標となる貯湯熱量を夜間時間帯の終了までに沸き上げるよう加熱制御部40に指示してヒートポンプ回路33を作動させ、加熱循環回路25の循環ポンプ35を駆動開始する。そして、循環ポンプ35駆動により貯湯タンク7下部から取り出された湯水が水冷媒熱交換器30の細い温水流路36に流入して加熱され、加熱循環回路25を介して貯湯タンク7の上部に戻されることにより、高温の湯が貯湯される。
【0015】
そして、貯湯タンク7の側面に設けられた貯湯温度センサー21が所定の量の高温水が貯湯されたことを検出するか、又は、熱項入口温度センサー37が所定温度以上を検出すると、給湯制御部22が加熱制御部40へ加熱動作の停止を指示し、ヒートポンプ回路33と循環ポンプ32の作動が停止され、夜間時間帯の終了時までに貯湯作業を終了するものである。
【0016】
次に、凍結防止運転について説明すれば、冬時に外気温度が下がり、加熱循環回路25の注ぎ管23と戻り換24が凍結して、熱交換効率が低下してしまい、効率の良い給湯が得られないので、それ絵雄防止するために加熱部2の外に凍結防止センサー39で凍結が発生する温度を検出し、凍結防止三方弁28が切換られ、図2に示すように、注ぎ管23と戻り換24を連通状態にして、加熱循環回路25内に温水を循環させることで、凍結を防止するものである。
【0017】
次に、機器の設置後、温水流路36に空気等の不純物が入り、これらを除去するエアー抜き運転について説明する。
運転が停止している状態で、例えば、湯張りスイッチ46と残時間表示スイッチ48を同時に押圧し、循環ポンプ35の停止で運転停止を確認し、エアー抜き運転が開始され、図3に示すように、凍結防止三方弁28が注ぎ管23の連通状態から、自動的に弁を移動し、貯湯タンク7側を閉成し、排水管41を温水流路36の入口側にし、この状態で循環ポンプ35を駆動開始する。
【0018】
これのよって、給湯管9からの水道水を温水流路36内に通常の湯水流通とは、逆流させることで、加熱循環回路25と温水流路36内に侵入した空気等の不純物を確実に除去して、エアー抜きし、排水口43から排水されるものである。エアー抜きを終了したら、エアー抜き運転を停止して、エアー抜きバルブ42を閉じ、凍結防止三方弁28を元に戻ると共に、循環ポンプ35の駆動を停止する。
【0019】
従って、従来のエア抜きを行われていた時のようなバケツなどで受けたり、又バケツに溜まった水を処分手間がなくなり、効率の良い作業が得られるものであり、しかもエア抜きが自動的に行われ極めて便利であり、更に面倒な接続作業がいらず便利であり、更に面倒な接続作業がいらず、漏れの心配もなく安心して使用出来るものである。
【0020】
次に凍結防止三方弁28の通常時、凍結防止運転時、エア抜き時の動きについて説明すれば、通常時は、凍結防止三方弁28はバイパス管26を閉じ、貯湯タンク7側と往き管23を連通し、図1で示すように、循環ポンプ35の駆動で貯湯タンク7底部の低温水が往き管23を通り、温水流路36の入口側へと流通するものである。凍結防止運転時には、凍結防止三方弁28は、往き管23の貯湯タンク7側を閉じ、バイパス管26を介して往き管23と戻り管24を連通し、図2で示すように、循環ポンプ35の駆動でバイパス管26によって途中連通した往き管23と戻り管24の短絡回路27で残水が流通し、この間の凍結を防止するものである。エア抜き時は、凍結防止三方弁28を往き管23やバイパス管26にも連通しない位置とし、図3で示すように、給水圧で貯湯タンク7から戻り管24を介して温水流路36、往き管23、排水管41へと給水が流れ排水口43から、エアと共に給水が流れ込むものである。
【0021】
尚、この実施形態では、エア抜きバルブ42を手動としたが、これに限定されることなく、例えば電磁弁で構成し、タイマー等で制御するようにしても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態を示すヒートポンプ式給湯機の通常状態概略構成図。
【図2】同凍結防止運転状態を示す概略構成図。
【図3】同エア抜き運転状態を示す概略構成図。
【図4】同凍結防止三方弁の作動説明図。
【図5】同要部電気回路のブロック図。
【符号の説明】
【0023】
7 貯湯タンク
23 往き管
24 戻り管
26 バイパス管
27 短絡回路
28 凍結防止三方弁
29 コンプレッサー
30 水冷媒熱交換器
31 膨張弁
32 空気熱交換器
33 ヒートポンプ回路
34 室外ファン
35 循環ポンプ
36 温水流路
41 排水管
42 エア抜きバルブ
43 排水口
44 エア抜き手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサー、水冷媒交換器、膨張弁、及び室外ファンを有する空気熱交換器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプ回路と、湯を貯える貯湯タンクを有し、この貯湯タンクと前記水冷媒交換器の温水流路とは、どちらかに循環ポンプを備えた注ぎ管と戻り管をバイパス管で連通して短絡回路を形成する凍結防止三方弁を備えたものに於いて、前記注ぎ管の凍結防止三方弁と水冷媒熱交換器との間にエアー抜き手段を接続した事を特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
前記エアー抜き手段は、排水管とエアー抜きバルブとで構成された事を特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−10145(P2006−10145A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185854(P2004−185854)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】