説明

ビオトープ装置

【課題】小型化を実現できるとともに、メンテナンスに係る手間やコストを低減し、建物への導入を容易に行うことが可能なビオトープ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部11を有する本体水槽トレイ10と、この本体水槽トレイ10の外周に沿って配置されるとともに、上部が開口し、断面略凹型に形成された貯水槽20と、本体水槽トレイ10と貯水槽20との間で水を循環させる水循環手段と、を備えるビオトープ装置。これにより、建物に容易に導入できるので、ビオトープ装置が設置される建物の緑化が可能となり、ヒートアイランド現象の緩和や都市環境の改善、CO2排出量の削減等に貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物の屋上や庭、ベランダ、バルコニー等に設置可能なビオトープ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部において深刻化するヒートアイランド現象の緩和や、都市環境の改善、身近な緑空間の創出などを目的として、建物の屋上や庭、ベランダ、バルコニー等の緑化へのニーズが増大している。
かかる緑化に際しては、単に樹木や草花などの植物を植えるばかりではなく、積極的に植栽部分と水域部分とを併せ持ち、昆虫や小魚などの小動物が生息する環境を復元または創造することを目的として、いわゆるビオトープの創出が行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−308927号公報
【特許文献2】特許第3864375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のビオトープは、規模が大きく、そもそも施工されるシステムに水を多く含んでいるので、このビオトープを屋上や庭、ベランダ、バルコニー等に適用した場合、ビオトープを設置するための広い空間が必要となる。また、屋上やベランダ、バルコニーには多大な積載荷重がかかることにもなる。したがって、このような規模の大きいビオトープを住宅等の建物に導入することは実際には困難である。
また、特許文献2に記載のビオトープは、池用のコンテナ状容器と植栽用のコンテナ状容器とを連結して構成されたものであるため規模が小さく、建物の屋上等に簡易に設置できる。しかし、設備工事にかかる費用を削減するために、水を循環させるような手段を導入していないため、容器内に貯められた水にアオコなどの藻が繁殖し、溶存酸素濃度の低下によって生物が生存できない状態となってしまう場合がある。これを防ぐためには日々水の入れ替えを行うなどしてメンテナンスを行う必要があり、その手間やコストを考慮すると、ビオトープを住宅等の建物に導入することは困難である。
【0005】
本発明の課題は、小型化を実現できるとともに、メンテナンスに係る手間やコストを低減し、建物への導入を容易に行うことが可能なビオトープ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ビオトープ装置であって、例えば図1〜図13に示すように、上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部11(51,61,81,121)を有する本体水槽トレイ10(50,60,80,120)と、
この本体水槽トレイ10(50,60,80,120)の外周に沿って配置されるとともに、上部が開口し、断面略凹型に形成された貯水槽20(41,54,70,90,130)と、
前記本体水槽トレイ10(50,60,80,120)と貯水槽20(41,54,70,90,130)との間で水を循環させる水循環手段と、を備えており、
前記水槽部11(51,61,81,121)の水位は、前記貯水槽20(41,54,70,90,130)の水位よりも高く設定されており、
前記貯水槽20(41,54,70,90,130)には、前記水槽部11(51,61,81,121)へと水を供給するポンプ4が設置されており、
前記水循環手段は、前記ポンプ4によって前記貯水槽20(41,54,70,90,130)から前記水槽部11(51,61,81,121)へと水を供給し、前記水槽部11(51,61,81,121)からのオーバーフロー水を前記貯水槽20(41,54,70,90,130)へと返還する構成となっていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記本体水槽トレイ10(50,60,80,120)の水槽部11(51,61,81,121)に動植物(例えば、水生植物1)の生息空間を形成できるので、前記水槽部11(51,61,81,121)を、池や川等のような貯水環境として利用できる。したがって、ビオトープの小型化を実現できることになる。
また、前記本体水槽トレイ10(50,60,80,120)と貯水槽20(41,54,70,90,130)とが別体に構成されているので、貯水槽20(41,54,70,90,130)で、前記水槽部11(51,61,81,121)に供給する水道水のカルキ抜きや、貯留した水の水質の調整等を行うことができる。
さらに、前記水循環手段によって、前記本体水槽トレイ10(50,60,80,120)と貯水槽20(41,54,70,90,130)との間で水を循環させるので、例えば前記水槽部11(51,61,81,121)にアオコやアオミドロ等の藻が繁殖したり、淀みが生じたりすることを抑制できる。したがって、例えば水循環手段等を持たないビオトープ装置に比して、メンテナンスに係る手間やコストを確実に低減させることができる。
また、水循環手段による水の循環は、前記ポンプ4によって前記貯水槽20(41,54,70,90,130)から前記水槽部11(51,61,81,121)へと水を供給し、前記水槽部11(51,61,81,121)からのオーバーフロー水を前記貯水槽20(41,54,70,90,130)へと返還することによって行われるので、前記ポンプ4によって前記水槽部11(51,61,81,121)に水を供給するだけで、前記水槽部11(51,61,81,121)と貯水槽20(41,54,70,90,130)との間で容易に水を循環させることができる。
これによって、ビオトープ装置を、建物に容易に導入することができるので、このビオトープ装置が設置される建物の緑化が可能となり、ヒートアイランド現象の緩和や都市環境の改善、CO2排出量の削減等に貢献できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図13に示すように、請求項1に記載のビオトープ装置において、
前記水循環手段は、前記水槽部11(51,61,81,121)と前記貯水槽20(41,54,70,90,130)とに亘って形成されるとともに、前記水槽部11(51,61,81,121)からのオーバーフロー水が流れる流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記水循環手段は、前記水槽部11(51,61,81,121)と前記貯水槽20(41,54,70,90,130)とに亘って形成されるとともに、前記水槽部11(51,61,81,121)からのオーバーフロー水が流れる流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)を有しているので、この流水面部を通じて前記水槽部11(51,61,81,121)から前記貯水槽20(41,54,70,90,130)に向かって、オーバーフロー水を確実に返還できる。
また、この流水面部の上面で、例えば植物を植栽したり、水辺環境を形成したりすることができる。これによって、より変化に富んだ環境のビオトープ装置の小型化を実現することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1〜図13に示すように、請求項1または2に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)の上面に、この流水面部を緑化するための緑化マット3が敷設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)の上面に、この流水面部を緑化するための緑化マット3が敷設されているので、この緑化マット3が敷設された部位をビオトープ装置における水辺・陸地環境として利用できる。これによって、より変化に富んだ環境のビオトープ装置の小型化を実現することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項2または3に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)の上面に砂利5が敷設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)の上面に砂利5が敷設されているので、この砂利5が敷設された部位をビオトープ装置における水辺の岩場環境として利用できる。これによって、より変化に富んだ環境のビオトープ装置の小型化を実現することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)の上面に保水タイルが取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記流水面部(例えば延出片12,52,62,82,122、蓋材110,150)の上面に保水タイルが取り付けられているので、ビオトープ装置が設置される建物の屋上や庭、ベランダ、バルコニー等の景観に合わせて、洗練された印象の外観を備えたビオトープ装置を住宅等の建物に導入することができる。また、例えば植物の根を絡ませたり、苔等の植物を生やしたりすることで、この保水タイルの上部に植物を植栽することができる。
さらに、周囲の温度が高い時には、例えば打ち水のように、保水タイルに保水された水の気化熱や、保水タイル自体の輻射熱により、周囲の温度を低下させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図1〜図8,図12,図13に示すように、請求項2〜5のいずれか一項に記載のビオトープ装置において、
前記貯水槽20(41,130)は、前記流水面部(例えば延出片12,122、蓋材150)の下方に配置されており、この貯水槽20(41,130)上部開口の一部が前記流水面部によって覆われており、
前記流水面部の外側端部と、前記貯水槽20(41,130)の外側の槽壁24(43,132)との間には、前記貯水槽20(41,130)の上部開口と連続する隙間Sが形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、前記貯水槽20(41,130)は、前記流水面部(例えば延出片12,122、蓋材150)の下方に配置されており、この貯水槽20(41,130)上部開口の一部が前記流水面部によって覆われているので、この流水面部を流れるオーバーフロー水を、前記隙間Sを通じて、前記貯水槽20(41,130)へと確実に返還しながら、前記貯水槽20(41,130)の上部開口を目隠しすることができる。また、前記隙間Sを細くするほど、前記貯水槽41の上部開口をより確実に、かつ広範囲に目隠しすることができる。
さらに、この流水面部に、前記緑化マット3を敷設した場合に、前記隙間Sを通じて、前記緑化マット3に植栽される植物2の根2aを、前記貯水槽41の上部開口に向かって確実に伸長させることができるので、植物2への水やり等の手間を省略して、植物2の栽培を手間なく行うことができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図9〜図11に示すように、請求項2〜6のいずれか一項に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部(例えば延出片52,62,蓋材110)には、この流水面部を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔53(63,111)が形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、前記流水面部の外側端部と、前記貯水槽20(41,130)の外側の槽壁24(43,132)との間に隙間Sが形成されている場合であっても、隙間Sが形成されていない場合であっても、前記複数の貫通孔53(63,111)を通じて、前記緑化マット3に植栽される植物2の根2aを、前記貯水槽54(70,90)の上部開口に向かって伸長させることができる。これによって、前記緑化マット3に植栽される植物2の根2aが、前記貯水槽54(70,90)に貯留された水に、より届きやすくなる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば図1〜図8に示すように、請求項6または7に記載のビオトープ装置において、
前記本体水槽トレイ10および貯水槽20(41)の外周には、前記水槽部11の外側面および貯水槽20(41)を目隠しするための枠体30(45)が設けられており、
この枠体30(45)は、前記貯水槽20(41)側に突出するとともに、この枠体30(41)の長さ方向に沿って長尺に形成された突出部34(47)を備えており、
この突出部34(47)によって、前記流水面部(例えば延出片12)の外側端部と、前記貯水槽20(41)の外側の槽壁24(43)との間に形成された前記隙間Sが覆われていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、前記枠体30(45)によって、前記水槽部11の外側面および貯水槽20(41)が目隠しされているので、前記水槽部11内の動植物(例えば、水生植物1)の生息空間や緑化マット3に植栽される植物2だけを露出させることができ、ビオトープ装置の外観性を向上できる。また、このようなビオトープ装置が設置される場所の景観性を向上させることができる。
さらに、前記突出部34(47)によって、前記流水面部(例えば延出片12)の外側端部と、前記貯水槽20(41)の外側の槽壁24(43)との間に形成された前記隙間Sを覆うことができるので、前記流水面部(例えば延出片12)と共に、前記貯水槽20(41)の上部開口を目隠しすることができる。また、前記流水面部と突出部34(47)とで、前記貯水槽20(41)の上部開口を覆うことができるので、前記隙間Sを細くできるので、例えば比較的大きなゴミや落ち葉等が貯水槽20(41)に入り込むことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、本体水槽トレイの水槽部に動植物の生息空間を形成できるので、水槽部を、池や川等のような貯水環境として利用できる。したがって、ビオトープの小型化を実現できることになる。
また、本体水槽トレイと貯水槽とが別体に構成されているので、貯水槽で、水槽部に供給する水道水のカルキ抜きや、貯留した水の水質の調整等を行うことができる。さらに、水循環手段によって、本体水槽トレイと貯水槽との間で水を循環させるので、例えば水槽部にアオコやアオミドロ等の藻が繁殖したり、淀みが生じたりすることを抑制できる。したがって、例えば水循環手段等を持たないビオトープ装置に比して、メンテナンスに係る手間やコストを確実に低減させることができる。
また、水循環手段による水の循環は、ポンプによって貯水槽から水槽部へと水を供給し、水槽部からのオーバーフロー水を貯水槽へと返還することによって行われるので、ポンプによって水槽部に水を供給するだけで、水槽部と貯水槽との間で容易に水を循環させることができる。
これによって、ビオトープ装置を、建物に容易に導入することができるので、このビオトープ装置が設置される建物の緑化が可能となり、ヒートアイランド現象の緩和や都市環境の改善、CO2排出量の削減等に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るビオトープ装置の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本体水槽トレイの一例を示す斜視図である。
【図3】貯水槽の一例を示す斜視図である。
【図4】枠体の一例を示す斜視図である。
【図5】図1に示すビオトープ装置の植栽前の状態を示す斜視図である。
【図6】貯水槽付近の構成を示す断面図である。
【図7】本発明に係るビオトープ装置の平面形状の他の例を示す図である。
【図8】本発明に係るビオトープ装置の第2の実施の形態であり、貯水槽付近の構成を示す断面図である。
【図9】本発明に係るビオトープ装置の第3の実施の形態であり、貯水槽付近の構成を示す断面図である。
【図10】本発明に係るビオトープ装置の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係るビオトープ装置の第5の実施の形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係るビオトープ装置の第6の実施の形態を示す断面図である。
【図13】図12に示すビオトープ装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
なお、ビオトープとは、野生生物が持続して生息できる生態系を確立した、まとまりのある環境空間を意味する。したがって、湿地や池等の環境の復元または創造だけに限られず、従来、例えば崖や砂丘等の復元または創造を目的としたビオトープの創出も行われているが、特に都市緑化においては前述のような湿地や池等のビオトープを採用することが望ましい。以下の実施の形態においては、湿地や池、川、水辺空間等の環境の創造を目的としたビオトープ装置について詳細に説明する。
【0025】
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係るビオトープ装置の一例を示す斜視図である。
図1において符号1は水生植物を指しており、符号2は陸生植物を指している。
水生植物1としては、例えばアゼスゲ、ミソハギ、ハンゲショウ、イグサ、ハナショウブ、セキショウ等、様々なものを挙げることができ、植栽可能であれば、いずれの植物を選択しても良い。
陸生植物2としては、本実施の形態においては芝が採用されるが、その他にも例えば玉竜等、様々な植物を挙げることができる。すなわち、例えば、コケ植物やシダ植物を植栽しても良い。
【0026】
また、本実施の形態の水生植物1は、その根1aが、後述する水槽部11に投入される多数の砂利5…に絡みつくようにして植栽される。
また、陸生植物2である芝は、マット状に裁断された芝自体を緑化マット3として用いることができる。また、これとは異なり、植物の繊維やネット等によって緑化マット3を構成し、この緑化マット3に対して、植物2の根2aを絡ませて一体化するようにして植栽するものもある。緑化マット3は可撓性を有し、様々な場所に敷設できる。
【0027】
図1に示すビオトープ装置は、本体水槽トレイ10と、貯水槽20と、前記緑化マット3と、水循環手段とを備えて構成されている。
なお、本実施の形態のビオトープ装置は、池や川等のような貯水環境と、水辺・陸地環境とを創出し、動植物の生息空間を形成するものであり、上述のような植物1,2や小魚を生息させるだけでなく、このビオトープ装置が設置される建物周囲の自然環境中からも鳥や昆虫等の生物を呼び込むことができる。例えば水辺の少ない都市部においては、新たな水辺空間を生み出すことができ、生物多様性に貢献することができる。
また、本実施の形態のビオトープ装置は、住宅等の建物の屋上や庭、ベランダ、バルコニー等に設置されるが、その他にも、様々な種類の建物の、様々な場所に設置することができる。
【0028】
前記本体水槽トレイ10は、図2,図5,図6に示すように、上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部11と、この水槽部11の周縁部から貯水槽20側に延出する延出片12と、を有する。
この本体水槽トレイ10は、平面視矩形状に形成されており、ポリプロピレン等の合成樹脂で構成され、前記水槽部11と延出片12は一体形成されている。
なお、本体水槽トレイ10は、トレイであるため、平らな盆状に形成されており、底部に対して周縁部が立ち上がった状態となっている。
また、本実施の形態の本体水槽トレイ10のサイズは、奥行き(短辺)が800mm、幅(長辺)が1000mm、深さが100mmに設定されている。サイズは、これに限られるものではなく、適宜大きくしても良いし、小さくしても良い。
【0029】
前記水槽部11は、水が貯留される部分を指しており、本体水槽トレイ10の底部と、この底部の周縁部から立ち上がった部分とで構成されている。また、水を貯留するため水密性を有している。この水槽部11には、前記植物1が植栽されるとともに、メダカ等の小魚が入れられる。
また、この水槽部11は、水槽部11内部から外部に向かって突出するように形成される複数の補強リブ11a…を備えている。さらに、これら複数の補強リブ11aは、本体水槽トレイ10の周方向に間隔をあけて配置されている。
【0030】
複数の補強リブ11a…は、水槽部11の底部から延出片12にかけて延在し、内部は空洞状に形成されている。水槽部11は、これら複数の補強リブ11aを備えているので剛性が高く、多くの水を貯留しても変形しにくい。
また、この水槽部11には、図1および図6に示すように、底部に多数の砂利5…が敷き詰められ、これら多数の砂利5…に対して根1aが絡みつくように、前記植物1が植栽される。また、このように水槽部11内に多数の砂利5…を敷き詰めることによって生物濾過バクテリアを繁殖させることもできる。
【0031】
前記延出片12は、前記水槽部11に対して鍔状に張り出すように形成されている。なお、本実施の形態の延出片12は、図6に示すように、前記水槽部11の周縁部から延出方向先端に向かうにつれて貯水槽20に向かって下方に傾斜しているが、本体水槽トレイ10および貯水槽20の設置面に対しては略水平方向に張り出した状態となっている。すなわち、極端に上方や下方に傾斜しているものではなく、あくまでも横方向に鍔のように入り出した状態となっている。
また、延出片12には、前記水槽部11の周縁部から、この延出片12の延出方向側端部に向かって延在する凹溝状の流水部12aが、この延出片12の周方向に間隔をあけて複数形成されている。上述のように延出片12は貯水槽20に向かって傾斜しているので、水槽部11から溢れ出た水が、これら流水部12a…に沿って流れるように設定されている。つまり、これら流水部12a…によって、前記水槽部11からのオーバーフロー水を誘導できるようになっている。
【0032】
隣り合う流水部12a…間は、上面が、これら流水部12a…よりも高い位置に設けられる畦部12bとされている。すなわち、延出片12の周方向に間隔をあけて複数の畦部12b…が形成されている。
【0033】
さらに、これら畦部12b…には、該畦部12bを厚さ方向に貫通する孔部12cが、それぞれ形成されている。これら孔部12c…は水抜きとして利用したり、本体水槽トレイ10を運ぶ際に持ち運び用の治具を引っ掛けたりして使用できる。
【0034】
さらに、延出片12の四つの角部のうち、対角に位置する二つの角部には、これら角部を切り欠いてなる切欠部12d,12dが形成されている。これら切欠部12d,12dは、本体水槽トレイ10を前記貯水槽20内に設置する際や、前記貯水槽20に対する位置調整を行う際などに、作業者の指を引っ掛ける指掛かりとして利用できる。
【0035】
前記貯水槽20は、前記本体水槽トレイ10と同じくポリプロピレン等の合成樹脂で構成されており、図1〜図3,図5,図6に示すように、前記本体水槽トレイ10の外周に沿って配置されるとともに、上部が開口し、断面略凹型に形成されている。
この貯水槽20は、四つの直線部21…と、四つのコーナー部22…とを組み立てて、平面視ロ字状の水路のように形成されており、前記本体水槽トレイ10のうち特に水槽部11を囲むようにして配置されている。すなわち、前記水槽部11は、この貯水槽20の内側に配置されている。
【0036】
また、この貯水槽20は、互いに対向する前記本体水槽トレイ10側の槽壁23および外側の槽壁24と、これら槽壁23,24の下端部に一体形成される底壁25とによって、上部が開口した凹溝状に形成されている。
なお、外側の槽壁24の上端部には、断面略L型に形成された立ち上がり部24aが一体形成されており、貯水槽20から外側への溢水を防いでいる。
また、前記直線部21…とコーナー部22…との接合部分には、水の漏出を防ぐためにシーリング材が施されている。
【0037】
そして、この貯水槽20の内側の本体水槽トレイ10側の槽壁23の上端部と、前記本体水槽トレイ10の水槽部11の縁部とに跨って、前記緑化マット3が載置されている。これによって、前記本体水槽トレイ10の水槽部11の縁部と、前記貯水槽20の本体水槽トレイ側槽壁23の上端部とに跨った位置に植物2を植栽できるので、この緑化マット3自体をビオトープ装置における水辺・陸地環境として利用できる。
ここで、上述のように前記延出片12が、前記水槽部11の周縁部から貯水槽20側に延出しているため、本実施の形態において緑化マット3は、この延出片12の上面に載置された状態となっている。これによって、この延出片12によって前記緑化マット3を確実に支持できる。
【0038】
さらに、前記貯水槽20は、図6に示すように、前記延出片12の下方に配置されており、この貯水槽20の上部開口のうち、前記本体水槽トレイ10側の一部が前記延出片12によって覆われている。したがって、前記延出片12の延出方向側端部と、前記貯水槽20の外側の槽壁24の上端部との間には、前記貯水槽20の上部開口と連続する隙間Sが形成されており、貯水槽20の上部開口が、この隙間Sから上方に開放された状態となる。
このように延出片12によって、前記貯水槽20の上部開口のうち、前記本体水槽トレイ10側の一部が覆われているので、前記緑化マット3に植栽された植物2によって、前記貯水槽20の上部開口のうち、前記本体水槽トレイ10側の一部を目隠しすることができる。
また、前記延出片12の下方に貯水槽20が配置されているので、前記緑化マット3に植栽された植物2の根2aが、前記貯水槽20に貯留された水に届きやすい。特に、前記延出片12の延出方向側端部と、前記貯水槽41の外側の槽壁42との間に形成された隙間Sを通じて、前記緑化マット3に植栽された植物2の根2aを、前記貯水槽41の上部開口に向かって確実に伸長させることができる。このため、植物2への水やり等の手間を省略して、植物2の栽培を手間なく行うことができる。
【0039】
前記水循環手段は、前記本体水槽トレイ10と貯水槽20との間で水を循環させるものであり、図2,図5,図6に示すように、ポンプ4と、流水面部と、を有する。
さらに、この水循環手段による水の循環を行うために、前記水槽部11の水位を、前記貯水槽20の水位よりも高く設定している。なお、これら水槽部11および貯水槽20の水位の監視は、人の目による目視や、水位センサー等によって行われるものとする。
なお、水位センサーは、少なくとも前記水槽部11に設けるようにして、水槽部11の水位が下がらないようにする。つまり、水槽部11の水位が下がることによって、ビオトープ装置に形成される動植物の生息空間が破壊されないようにすることが重要となる。
【0040】
ポンプ4は、前記貯水槽20から水槽部11に水を供給するものであり、前記貯水槽20内に設置されている。
また、このポンプ4は、このポンプ4から供給される水を前記水槽部11に吐出する吐出部4aと、ホースを介して接続されている。
【0041】
前記ポンプ4はコンセントから電力を取って稼働させている。
この時、例えば系統電力を使用せずに太陽光発電装置等によって自家発電した電力を使用すればCO2排出量を削減できるので好ましい。
【0042】
前記吐出部4aは、前記延出片12の上面に、先端部が前記水槽部11側に向けられるようにして設けられている。前記ポンプ4と吐出部4aとを接続するホースは前記孔部12cに挿通されている。
なお、この吐出部4aは、前記延出片12の上面に設けられるものとしたが、前記水槽部11の底部付近に配置してもよいものとする。これによって、水槽部11の底部付近の水も循環させやすくなるので、淀みが生じにくくなる。ただし、本実施の形態の本体水槽トレイ10は水深が浅いため、吐出部4aを延出片12の上面に設けても、水槽部11の底部付近の水を確実に循環できることは言うまでもない。
また、この吐出部4aは、図1に示すように、多数の砂利5…が上から載せられて目隠しされている。これによって、砂利5と砂利5との間から水が湧くように見せることができる。また、このように砂利5が敷設された部位を、ビオトープ装置における水辺の岩場環境として利用できるので、より変化に富んだ環境のビオトープ装置の小型化を実現することができる。
【0043】
前記流水面部は、前記水槽部11と貯水槽20とに亘って形成されるとともに、水槽部11からオーバーフロー水が流れる部分を指している。本実施の形態においては、前記延出片12を流水面部として使うことができる。この延出片12は、前記水槽部11から溢出した水が、その上面を、前記貯水槽20に向かって流れるように構成されている。すなわち、上述したように、この延出片12の上面には複数の流水部12a…が形成されており、前記水槽部11から溢出した水は、これら流水部12a…を通じて前記貯水槽20へと流れ込むように構成されている。
また、上述のように、前記貯水槽20の上部開口のうち、前記本体水槽トレイ10側の一部が前記延出片12によって覆われているため、この貯水槽20の上部開口の一部は、流水面部によって覆われることになる。したがって、前記貯水槽20の上部開口を目隠しするだけでなく、流水面部を流れるオーバーフロー水を、前記隙間Sを通じて、前記貯水槽20へと確実に返還することが可能となる。
なお、前記延出片12の上面には複数の流水部12a…が形成され、これによって、オーバーフロー水を流せるとしたが、たとえ前記延出片12の上面が平滑な面であったとしても、この延出片12の上面を通じてオーバーフロー水を流すことができる。
【0044】
このような水循環手段によれば、前記ポンプ4によって貯水槽20から水槽部11に水を供給でき、前記水槽部11から溢出した水を、前記延出片12の上面を介して、前記貯水槽20に戻すことができるので、前記水槽部11内の水を確実に循環させることができる。
さらに、前記水槽部11から溢水した水を前記延出片12の上面に伝わせるので、この溢水は、前記延出片12の上面に載置された緑化マット3を通過することになる。これによって、この緑化マット3や植物2の根2aをフィルターとしても利用できるので、メンテナンスに係る手間を低減できる。
【0045】
また、前記ポンプ4にはフィルター材が内蔵されており、このポンプ4によって水槽部11へと送られる水は、このフィルター材によって濾過されることになる。すなわち、前記貯水槽20から水槽部11に供給される水も、前記水槽部11から貯水槽20に戻る水も濾過されることになるので、例えば水槽部11内の富栄養化を抑制し、水質を良好に保持できる。
【0046】
本実施の形態においては、前記貯水槽20の給水源として通常の水道水が利用されている。前記貯水槽20に水道水を入れる場合、一定期間放置しておけばカルキが抜けるので、カルキ抜きが完了した状態の水を循環させるようにする。
また、前記水槽部11内の水が蒸発して少なくなってきたら、前記貯水槽20に水を足し、まずはカルキ抜きをする。上述のように一定期間放置すればカルキ抜きが完了するので、この水を前記水槽部11へと供給する。
なお、カルキ抜きは市販の薬剤を用いても良いが、前記水槽部11で魚等の生物が生息している場合には、水槽部11に直接、水道水を入れないようにし、まずは貯水槽20に水道水を入れ、カルキ抜きを行うようにする。貯水槽20には水道水が入れられるので、貯水槽20には魚は入れないようにする。
また、本実施の形態では通常の水道水を給水源としたが、これに限られるものではなく、例えば井戸水や湧き水、雨水、雪解け水等、適宜変更可能である。
【0047】
前記本体水槽トレイ10および貯水槽20の外周には、図4〜図6に示すように、目隠し用の枠体30が設けられている。この枠体30によって、前記水槽部11の外側面および貯水槽20が目隠しされている。
この枠体30は、前記貯水槽20の外側の槽壁24の、さらに外側に設けられるとともに、前記貯水槽20と、この貯水槽20によって囲まれる水槽部11とを囲む側壁部31と、この側壁部31の上端部から前記貯水槽20側に突出するとともに、この枠体30の長さ方向に沿って長尺に形成された突出部34と、を備えている。
【0048】
前記側壁部31は、四枚の側壁材31a…を矩形枠状に組み立てることによって構成されている。
また、側壁部31の四つの入隅コーナー部にはコーナー支持金物32がそれぞれ取り付けられている。
また、隣り合うコーナー支持金物32,32間の中央付近には支持金物33がそれぞれ取り付けられている。
前記突出部34は、これらコーナー支持金物32…および支持金物33…の上面に載置されている。
【0049】
この突出部34は、図1および図6に示すように、前記貯水槽20の上部開口の上方に水平に配置されており、前記隙間Sを覆っている。この突出部34の本体水槽トレイ10側の端部は、前記延出片12の延出方向側端部付近に配置されており、延出片12で覆っていない部分を、この突出部34で覆っていることになる。すなわち、この突出部34と前記延出片12によって前記貯水槽20の上部開口のほとんどが覆われた状態となる。
これによって、前記水槽部11の外側面および貯水槽20が目隠しされているので、前記水槽部11内の動植物の生息空間や緑化マット3に植栽された植物2だけを露出させることができ、ビオトープ装置の外観性を向上できる。また、このようなビオトープ装置が設置される場所の景観性を向上させることができる。
さらに、前記突出部34と前記延出片12によって前記貯水槽20の上部開口のほとんどを覆うことができるので、前記隙間Sを細くすることができ、例えば比較的大きなゴミや落ち葉等が貯水槽20(41)に入り込むことを防ぐことができる。
なお、この突出部34としては、例えば矩形板状に形成された吸水性がない樹脂製品や、木粉と樹脂とを混錬し押出成形した製品等を使用することができる。
【0050】
なお、本実施の形態の本体水槽トレイ10は平面視矩形状に形成されるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば平面視円形状や多角形状を始め様々な形状のものでも良い。
また、本実施の形態の貯水槽20は平面視略ロ字状に形成されるものとしたが、これに限られるものではなく、図7に示すように、前記本体水槽トレイ10の外周に沿って配置されていればよい。
図7(a)においては、前記本体水槽トレイ10の一方の長辺部の外周に沿って直線状の貯水槽20が配置された状態を示している。
図7(b)においては、前記本体水槽トレイ10の一方の短辺部の外周に沿って直線状の貯水槽20が配置された状態を示している。
図7(c)においては、前記本体水槽トレイ10の一方の長辺部および一方の短辺部の外周に沿って平面視L型の貯水槽20が配置された状態を示している。
図7(d)においては、前記本体水槽トレイ10の一方の長辺部および両方の短辺部の外周に沿って平面視コ字型の貯水槽20が配置された状態を示している。
図7(e)においては、前記本体水槽トレイ10の両方の長辺部および一方の短辺部の外周に沿って平面視コ字型の貯水槽20が配置された状態を示している。
また、貯水槽20は、前記本体水槽トレイ10が平面視矩形状でない場合には、この本体水槽トレイ10の形状に対応する平面形状とする。同じく枠体30も本体水槽トレイ10の形状に対応する平面形状とする。
ただし、貯水槽20は、前記本体水槽トレイ10の全周にわたって設けられる必要はなく、少なくとも一部の外周に沿って配置されていれば良いものとする。
一方、枠体30は、本体水槽トレイ10および貯水槽20の外周に、これら本体水槽トレイ10および貯水槽20を目隠しできるように設けられるようにする。すなわち、枠体30は、本体水槽トレイ10と貯水槽20とを並べて設置した際の外周よりも外側に配置できるような大きさに設定されている。
【0051】
なお、本実施の形態のビオトープ装置は、前記本体水槽トレイ10や貯水槽20、枠体30を任意の設置場所にそのまま直に置くようにして設置されているが、これに限られるものではなく、設置場所に、まずビオトープ装置の支持台(図示せず)を設置してから、この支持台の上面にビオトープ装置を設置するようにしても良い。
すなわち、このような支持台によって、ビオトープ装置の高さ位置を、居住者の要望や周囲の景観に合わせて変更できる。
【0052】
また、本実施の形態では、前記延出片12の上面に、前記緑化マット3や砂利5を設けたが、これに限られるものではない。例えば、保水性能を有する保水タイル(図示せず)を取り付けても良いものとする。
このような保水タイルとして様々な色や形状の物を採用することで、例えばビオトープ装置が設置される建物の屋上や庭、ベランダ、バルコニー等の景観に合わせて色を選択したり、形状を選択したりして、洗練された印象の外観を備えたビオトープ装置にすることができる。また、このような洗練された印象の外観を備えたビオトープ装置を建物に導入できるので、ビオトープ装置の周囲の景観性を向上でき、好ましい。
なお、この保水タイルは、例えばセラミックタイル等のような多孔質体であり、この多数の孔内に水を保持できる。また、これら多数の孔に植物の根を絡ませたり、苔等の植物を生やしたりすることで、この保水タイルの上部に植物を植栽することができる。
さらに、周囲の温度が高い時には、例えば打ち水のように、保水タイルに保水された水の気化熱や、保水タイル自体の輻射熱により、周囲の温度を低下させることができ、いわゆる打ち水効果を得ることができる。
【0053】
次に、以上のような構成のビオトープ装置を設置する方法について説明する。
まず、例えば建物の屋上や庭、ベランダ、バルコニー等の所望の場所に、図3に示すように貯水槽20を組み立てて設置する。
続いて、この貯水槽20の外周に、図4に示すように組み立てた枠体30の側壁部31を設置する。
続いて、図2に示すように、本体水槽トレイ10にポンプ4に装着する。そして、図5に示すように、本体水槽トレイ10を、前記貯水槽20の内側に設置する。なお、ポンプ4の装着は、本体水槽トレイ10を貯水槽20の内側に設置した後でも良い。
続いて、貯水槽20に水を入れてカルキ抜きを行う。
続いて、前記延出片12の上面に、前記植物2が植栽された緑化マット3を載置する。
その後、前記水槽部11に多数の砂利5…を投入し、底部に敷き詰めるとともに、植物1を植栽する。この時、水槽部11にも水を入れる。
そして、水槽部11内の水の濁りが収まり、カルキ抜きが完了した後に、魚を放流し、前記突出部34を、前記コーナー支持金物32…および支持金物33…の上面に載置する。
以上のようにして、建物の屋上や庭、ベランダ、バルコニー等の所望の場所に、ビオトープ装置を設置することができる。
【0054】
本実施の形態によれば、前記本体水槽トレイ10の水槽部11に前記植物1や魚等の動植物の生息空間を形成できるとともに、前記緑化マット3に前記植物2を植栽できるので、前記水槽部11を、池や川等のような貯水環境として利用でき、前記緑化マット3を、水辺・陸地環境として利用できる。したがって、ビオトープの小型化を実現できることになる。
また、前記本体水槽トレイ10と貯水槽20とが別体に構成されているので、貯水槽20で、前記水槽部11に供給する水道水のカルキ抜きや、貯留した水の水質の調整等を行うことができる。さらに、前記水循環手段によって、前記本体水槽トレイ10と貯水槽20との間で水を循環させるので、例えば前記水槽部11にアオコやアオミドロ等の藻が繁殖したり、淀みが生じたりすることを抑制できる。したがって、例えば水循環手段等を持たないビオトープ装置に比して、メンテナンスに係る手間やコストを確実に低減させることができる。
また、水循環手段による水の循環は、前記ポンプ4によって前記貯水槽20から前記水槽部11へと水を供給し、前記水槽部11からのオーバーフロー水を前記貯水槽20へと返還することによって行われるので、前記ポンプ4によって前記水槽部11に水を供給するだけで、前記水槽部11と貯水槽20との間で容易に水を循環させることができる。
これによって、ビオトープ装置を、建物に容易に導入することができるので、このビオトープ装置が設置される建物の緑化が可能となり、ヒートアイランド現象の緩和や都市環境の改善、CO2排出量の削減等に貢献できる。
【0055】
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0056】
図8において符号41は貯水槽を示している。この貯水槽41は、本体水槽トレイ10に対して接近した状態で配置されている。
この貯水槽41は、互いに対向する前記本体水槽トレイ10側(内側)の槽壁42および外側の槽壁43と、これら槽壁42,43の下端部に一体形成される底壁44とによって、上部が開口した凹溝状に形成されている。
【0057】
外側の槽壁43は、内側の槽壁42よりも上下方向に長く、高さのある状態に設定されており、貯水槽41から外側への溢水を防いでいる。
また、内側の槽壁42は、外側の槽壁43よりも低いため、前記本体水槽トレイ10の延出片12の下方に潜り込ませやすくなっている。
【0058】
さらに、前記本体水槽トレイ10の水槽部11は、水槽部11内部から外部に向かって突出するように形成される複数の補強リブ40…を備えている。さらに、これら複数の補強リブ40…は、本体水槽トレイ10の周方向に間隔をあけて配置されている。
これら複数の補強リブ40は、外部に向かって突出する寸法が極力小さくなるように設定されている。本実施の形態においては側面視略への字状に形成されており、への字に形成された入隅部に、前記内側の槽壁42が位置するようにして貯水槽41が配置されている。
また、本実施の形態においても、前記水槽部11の水位は、前記貯水槽41の水位よりも高くなるように設定されている。
【0059】
また、上述のように貯水槽41は、本体水槽トレイ10に対して接近した状態で配置されるため、本体水槽トレイ10の延出片12の延出方向側端部と、前記貯水槽41の外側の槽壁43の上端部との間には、前記貯水槽41の上部開口と連続する間隔の細い隙間S(スリット)が形成されている。
そして、この隙間Sを通じて、前記緑化マット3に植栽された植物2の根2aを、前記貯水槽41の上部開口に向かって確実に伸長させることができるので、植物2への水やり等の手間を省略して、植物2の栽培を手間なく行うことができる。
また、このように前記延出片12の延出方向側端部と、前記貯水槽41の外側の槽壁43の上端部との間の間隔を細くするほど、前記貯水槽41の上部開口をより確実に、かつ広範囲に目隠しすることができる。
【0060】
また、前記本体水槽トレイ10および貯水槽41の外周には目隠し用の枠体45が設けられており、この枠体45によって、前記水槽部11の外側面および貯水槽41が目隠しされている。
この枠体45は、前記貯水槽41の外側の槽壁43の、さらに外側に設けられるとともに、前記貯水槽41と、この貯水槽41によって囲まれる水槽部11とを囲む側壁部46と、この側壁部46の上端部から前記貯水槽41側に突出する突出部47を備えている。
【0061】
突出部47は、前記側壁部46の長さ方向、すなわち前記隙間Sの長さ方向に沿って長尺に形成されており、この隙間Sの上方に配置されることになる。したがって、前記隙間Sは、この突出部47によって覆われており、前記延出片12とともに前記貯水槽41の上部開口のほとんどを覆うことができる。すなわち、この突出部47によって隙間Sを隠すことができる。
なお、前記側壁部46と突出部47とは一体形成されており、断面視略逆L字型に形成されている。
【0062】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果を得ることができるとともに、前記貯水槽41は、前記本体水槽トレイ10に対して接近した状態で配置されることによって、前記水槽部11の貯水量を、補強リブ40の分を除いて略変更せずに、ビオトープ装置をコンパクト化することが可能となる。すなわち、ビオトープ装置自体の外周寸法が狭まることになる。
また、枠体45の突出部47の突出寸法は、前記隙間Sを覆う程度に設定されているので、本体水槽トレイ10側に大きく突出させる場合よりも、見た目上、ビオトープ装置自体の外周寸法が狭まり、かつビオトープ装置がコンパクト化したような印象を与えることができる。
【0063】
<第3の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1および第2の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0064】
図9において符号50は本体水槽トレイを示し、符号54は貯水槽を示している。
本体水槽トレイ50は、上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部51と、この水槽部51の周縁部から貯水槽54側に延出する延出片52を有する。
また、貯水槽54は、本体水槽トレイ50の外周に沿って配置されるとともに、上部が開口し、断面略凹型に形成されている。さらに、この貯水槽54は互いに対向する内側の槽壁55および外側の槽壁56と、これら槽壁55,56の下端部に一体形成される底壁57とによって凹溝状に形成されている。
また、本実施の形態においても、前記水槽部51の水位は、前記貯水槽54の水位よりも高くなるように設定されている。
【0065】
なお、本実施の形態においては、前記延出片52を流水面部として使うことができる。この延出片52には、この延出片52を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔53…が形成されている。すなわち、前記水槽部51から溢水した水は、前記水槽部51と貯水槽54とに亘って形成された延出片52の上面を流れ、前記複数の貫通孔53…を通じて、前記貯水槽54へと確実に返還することができる。
本実施の形態においては、前記延出片52のうち、前記貯水槽54の上方に位置する部分をメッシュ状にすることによって複数の貫通孔53…を形成している。
なお、これら複数の貫通孔53…の形状は特に限定されるものではなく、例えば格子状でも良いし、スリット状でも良く、適宜変更可能である。
【0066】
また、前記貯水槽54は、前記延出片52の下方に配置されており、この貯水槽54の上部開口は前記延出片52によって覆われている。すなわち、延出片52の延出方向側端部と前記外側の槽壁56との間に隙間が形成されない状態となっている。
さらに、延出片52は、前記対向する槽壁55,56の上端部に載せられた状態となっており、これら対向する槽壁55,56によって支持されている。
なお、外側の槽壁56の上端部には立ち上がり部56aが設けられており、貯水槽54から外側への溢水を防いでいる。
【0067】
さらに、前記延出片52の下面には、保水性能および吸水性能を有する保水材6が設けられている。
この保水材6は例えばスポンジのように柔らかく多孔質状に形成されており、吸水および保水を行うとともに、植物2の根2aを絡み付かせることができる。
このような保水材6を前記延出片52の下面に設けることによって、前記延出片52の上面に載置される緑化マット3との相性を良好なものとすることができる。
すなわち、緑化マット3に植栽された植物2の根2aからの水分吸収を促進できる。さらに、前記延出片52の上面に載置された緑化マット3と下面に設けられた保水材6とを、前記複数の貫通孔53…を通過する植物2の根2aで繋げることができる。つまり、前記緑化マット3と保水材6とで延出片52を挟み込むことができるので、緑化マット3の位置ずれを防ぐことができる。
【0068】
なお、本実施の形態において保水材6は、前記延出片52の下面に設けられるものとしたが、これに限られるものではなく、前記延出片52の上面に設けるようにしても良い。
このように保水材6を延出片52の上面に設けたとしても、この保水材6に植物2の根2aを絡み付かせ、根2aからの水分吸収を促進できることに変わりはない。
【0069】
なお、図示はしないが、前記本体水槽トレイ50および貯水槽54の外周に目隠し用の枠体を設けるようにする。
【0070】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果を得ることができるとともに、前記複数の貫通孔53を通じて、前記緑化マット3に植栽された植物2の根2aを、前記貯水槽54の上部開口に向かって確実に伸長させることができる。これによって、前記緑化マット3に植栽された植物2の根2aが、前記貯水槽54に貯留された水に届きやすくなる。
【0071】
<第4の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第3の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0072】
図10において符号60は本体水槽トレイを示し、符号70は貯水槽を示している。
本体水槽トレイ60は、上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部61と、この水槽部61の周縁部から外側に延出する延出片62を有する。
また、貯水槽70は、上部が開口し、断面略凹型に形成されている。さらに、この貯水槽70は互いに対向する槽壁71,72と、これら槽壁71,72の下端部に一体形成される底壁73とによって形成されている。
【0073】
前記貯水槽70の奥行き寸法および幅寸法は、前記本体水槽トレイ60の奥行き寸法および幅寸法と略等しくなるように設定されている。さらに、深さは、前記水槽部61の深さよりも深くなるように設定されている。
そして、前記本体水槽トレイ60は、前記貯水槽70内部に、前記延出片62の延出方向側端部を、前記貯水槽70の対向する槽壁71,72の上端面に載置するようにして入れられている。
すなわち、前記貯水槽70は、前記本体水槽トレイ60に対してサイズが大きくなるように構成されており、前記対向する槽壁71,72は、前記本体水槽トレイ50の外周に沿って配置された状態となっている。
また、本実施の形態においても、前記水槽部61の水位は、前記貯水槽70の水位よりも高くなるように設定されている。
【0074】
なお、本実施の形態においては、前記延出片62を流水面部として使うことができる。この延出片62には、この延出片62を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔63…が形成されている。すなわち、前記水槽部61から溢水した水は、前記水槽部61と貯水槽70の対向する槽壁71,72とに亘って形成された延出片62の上面を流れ、前記複数の貫通孔63…を通じて、前記貯水槽70へと確実に返還することができる。
また、前記複数の貫通孔63…には緑化マット3に植栽された植物2の根2aが通過した状態となっている。
【0075】
また、図示はしないが、前記本体水槽トレイ60と貯水槽70との間に、前記貯水槽70内部に入れられた本体水槽トレイ60が、この貯水槽70に対して横方向にずれることを防止する位置決め手段を設けるようにしても良い。
このような位置決め手段としては、前記対向する槽壁71,72に設けられる立ち上がり部71a,72aを設けることで対応できる。すなわち、本体水槽トレイ60は、これら立ち上がり部71a,72aに当たることにより横方向へのずれを防止できるようになっている。また、これら立ち上がり部71a,72aによって貯水槽70から外側への溢水を防ぐことができる。
【0076】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果を得ることができるとともに、前記貯水槽70は、前記本体水槽トレイ60に対してサイズが大きくなるように構成されているので、この貯水槽70に比較的多くの水を貯留することができる。
すなわち、前記貯水槽70の貯水量を多くすることができるので、前記水槽部11に対して、より長期間にわたって水を供給できる。
【0077】
<第5の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第4の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0078】
図11において符号80は本体水槽トレイを示し、符号90は貯水槽を示している。
本体水槽トレイ80は、上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部81と、この水槽部81の周縁部から貯水槽90側に延出する延出片82を有する。なお、水槽部81の側壁には段部81aが形成されている。
また、貯水槽90は、本体水槽トレイ80の外周に沿って配置されるとともに、上部が開口し、断面略凹型に形成されている。さらに、この貯水槽90は互いに対向する内側の槽壁91および外側の槽壁92と、これら槽壁91,92の下端部に一体形成される底壁93とによって凹溝状に形成されている。
また、本実施の形態においても、前記水槽部81の水位は、前記貯水槽90の水位よりも高くなるように設定されている。
【0079】
また、前記内側の槽壁91の上端部には、本体水槽トレイ80側に水平に延出する載置部91aと、この載置部91aの延出方向側端部から上方に突出する立ち上がり部91bとが設けられている。前記外側の槽壁92の上端部には、外側に水平に延出する載置部92aと、この載置部92aの延出方向側端部から上方に突出する立ち上がり部92bとが設けられている。
また、前記載置部91aの上面と、前記載置部92aの上面とは略等しい高さ位置に配置されている。
本実施の形態においては、前記延出片82の延出方向側端部と、前記内側の槽壁91の立ち上がり部91bの上端部とが一体形成されている。
【0080】
そして、これら載置部91aの上面と載置部92aの上面には、これら載置部91aの上面と載置部92aの上面に跨って、前記貯水槽90の上部開口を覆う蓋材110が載置されている。この蓋材110の厚みは、前記延出片82と一体形成される立ち上がり部91bの高さと略等しくなるように設定されることによって、この蓋材110の上面と前記延出片82の上面とが略面一となるように設定されている。また、この蓋材110の上面には、植物2が植栽された緑化マット3が載置されている。
また、蓋材110には、この蓋材110を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔111…が形成されており、前記植物2の根2aを通過させることができる。
【0081】
なお、本実施の形態においては、前記延出片82と、上面が、この延出片82の上面と略面一となるように設定された前記蓋材110の双方を、流水面部として使うことができる。すなわち、前記水槽部81から溢水した水は、前記水槽部81と貯水槽90とに亘って形成された延出片82および蓋材110の上面を流れ、前記複数の貫通孔111…を通じて、前記貯水槽90へと確実に返還することができる。
【0082】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果を得ることができるとともに、前記本体水槽トレイ80と貯水槽90とを一体形成できることから、ビオトープ装置を、建物の任意の場所に設置する際に、これら本体水槽トレイ80と貯水槽90とを同時に設置できるので、施工性を向上させることができる。さらに、輸送時にも、これら本体水槽トレイ80と貯水槽90とを同時に輸送できる。これによって、ビオトープ装置を、建物に容易に導入することができる。
【0083】
<第6の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第5の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0084】
図12および図13において符号120は本体水槽トレイを示し、符号130は貯水槽を示している。
本体水槽トレイ120は、上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部121と、この水槽部121の周縁部から貯水槽130側に延出する延出片122を有する。なお、水槽部121の側壁には段部121aが形成されている。
また、貯水槽130は、本体水槽トレイ120の外周に沿って配置されるとともに、上部が開口し、断面略凹型に形成されている。さらに、この貯水槽130は互いに対向する内側の槽壁131および外側の槽壁132と、これら槽壁131,132の下端部に一体形成される底壁133とによって凹溝状に形成されている。
また、本実施の形態においても、前記水槽部121の水位は、前記貯水槽130の水位よりも高くなるように設定されている。
【0085】
また、前記内側の槽壁131の上端部には、本体水槽トレイ120側に水平に延出する載置部131aと、この載置部131aの延出方向側端部から上方に突出する立ち上がり部131bとが設けられている。なお、この槽壁131の立ち上がり部131bの上端部と、前記延出片122の延出方向側端部とは一体形成されている。
前記外側の槽壁132は、前記内側の槽壁131よりも高くなるように設定されており、その上端部には、本体水槽トレイ120側に突出する突出部132aと、この突出部132aの突出方向側端部から垂下し、先端がフック状に形成された被係合部132bとが設けられている。
【0086】
前記貯水槽130は、図13に示すように、蓋材150の下方に配置されており、この貯水槽130の上部開口のうち、前記外側の槽壁132との間に形成された細い隙間Sを除く部分が前記蓋材150によって覆われている。
また、蓋材150は、この蓋材150を支持するための支持部材140によって支持されている。この支持部材140は、図12に示すように、横幅(蓋材150の長さ方向に沿う長さ)が狭く形成されている。また、この支持部材140は、載置板部141と、吊り板部142と、係合部143とを備えている。
【0087】
この載置板部141は、前記貯水槽130の上方に水平に配置されるとともに、上面に、前記蓋材150が載置される部分である。
また、吊り板部142は、前記載置板部141の外側端部から上方に延出しており、この吊り板部142の上端部に前記係合部143が設けられている。この係合部143は、先端がフック状に形成されており、前記外側の槽壁132の上端部に設けられた被係合部132bに係合する構成となっている。
【0088】
このような構成の支持部材140は、前記載置板部141の内側槽壁131側端を、前記内側の槽壁131の載置部131aに載置し、前記係合部143を前記外側槽壁132の被係合部132bに係合させることによって前記貯水槽130の上方に設置できる。また、支持部材140は、貯水槽130の長さ方向に沿って、かつ互いに間隔をあけて複数設けられている。
前記蓋材150は、この貯水槽130の長さ方向に沿って点在する複数の支持部材140…上に架け渡して載置するようにして、前記貯水槽130の上方に設置されている。
【0089】
そして、蓋材150の厚みは、前記延出片122と一体形成される立ち上がり部131bの高さと略等しくなるように設定されている。これによって、この蓋材150の上面と前記延出片122の上面とが略面一となるように設定されている。また、この蓋材150の上面には、植物2が植栽された緑化マット3が載置されている。
【0090】
なお、本実施の形態においては、前記延出片122と、上面が、この延出片122の上面と略面一となるように設定された前記蓋材150の双方を、流水面部として使うことができる。すなわち、前記水槽部121から溢水した水は、前記水槽部121と貯水槽130とに亘って形成された延出片122および蓋材150の上面を流れ、上述のような蓋材150の外側槽壁132側端部と、外側の槽壁132との間に形成された隙間Sを通じて、前記貯水槽130へと確実に返還することができる。
【0091】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果を得ることができるとともに、前記蓋材150によって、前記貯水槽130の上部開口のほとんどを覆うことができる。これによって、この貯水槽130の上部開口を蓋材150によって目隠しできるとともに、大きなゴミや落ち葉等が貯水槽130内に入り込むことを防げる。
前記支持部材140は、前記外側の槽壁132の上端部から本体水槽トレイ120側に突出する突出部132aの下方に吊り下げられることになる。このため、支持部材140の吊り板部142は、前記外側の槽壁132よりも内側に配置され、この支持部材140によって支持される蓋材150は、吊り板部142よりも、さらに内側に配置されることになる。すなわち、この蓋材150と前記外側の槽壁132との間には前記隙間Sを確実に形成できることになる。これによって、上述のように、前記延出片122の上面と、前記蓋材150の上面とを流水面部として使っても、この隙間Sから水を前記貯水槽130へと確実に返還することが可能となっている。
【符号の説明】
【0092】
1 水生植物
2 陸生植物
3 緑化マット
4 ポンプ
5 砂利
10,50,60,80,120 本体水槽トレイ
11,51,61,81,121 水槽部
12,52,62,82,122 延出片
20,41,54,70,90,130 貯水槽
30,45 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口し、断面略凹型に形成された水槽部を有する本体水槽トレイと、
この本体水槽トレイの外周に沿って配置されるとともに、上部が開口し、断面略凹型に形成された貯水槽と、
前記本体水槽トレイと貯水槽との間で水を循環させる水循環手段と、を備えており、
前記水槽部の水位は、前記貯水槽の水位よりも高く設定されており、
前記貯水槽には、前記水槽部へと水を供給するポンプが設置されており、
前記水循環手段は、前記ポンプによって前記貯水槽から前記水槽部へと水を供給し、前記水槽部からのオーバーフロー水を前記貯水槽へと返還する構成となっていることを特徴とするビオトープ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビオトープ装置において、
前記水循環手段は、前記水槽部と前記貯水槽とに亘って形成されるとともに、前記水槽部からのオーバーフロー水が流れる流水面部を有することを特徴とするビオトープ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部の上面に、この流水面部を緑化するための緑化マットが敷設されていることを特徴とするビオトープ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部の上面に砂利が敷設されていることを特徴とするビオトープ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部の上面に保水タイルが取り付けられていることを特徴とするビオトープ装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のビオトープ装置において、
前記貯水槽は、前記流水面部の下方に配置されており、この貯水槽の上部開口の一部が前記流水面部によって覆われており、
前記流水面部の外側端部と、前記貯水槽の外側の槽壁との間には、前記貯水槽の上部開口と連続する隙間が形成されていることを特徴とするビオトープ装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載のビオトープ装置において、
前記流水面部には、この流水面部を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成されていることを特徴とするビオトープ装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のビオトープ装置において、
前記本体水槽トレイおよび貯水槽の外周には、前記水槽部の外側面および貯水槽を目隠しするための枠体が設けられており、
この枠体は、前記貯水槽側に突出するとともに、この枠体の長さ方向に沿って長尺に形成された突出部を備えており、
この突出部によって、前記流水面部の外側端部と、前記貯水槽の外側の槽壁との間に形成された前記隙間が覆われていることを特徴とするビオトープ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−39053(P2013−39053A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176725(P2011−176725)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【出願人】(000221775)東邦レオ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】