説明

ビニールハウス用換気装置

【課題】 換気口を介してビニールハウスを換気するビニールハウス用換気装置の改良に関し、上記換気口に対向して展張されるネットの取付作業を向上する。
【解決手段】 シートSが展張されてなるビニールハウスに換気口を形成する換気枠1と、この換気枠1に着脱自在に装着されてネットNが展張される内枠2と、上記換気枠1に枢着されてシートS1が展張される窓枠3とを備えてなり、上記内枠2を上記換気枠1に装着した状態で上記窓枠3を揺動して上記換気口の開閉を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作物や園芸用植物等を育成するために利用されるビニールハウスの妻面、屋根面、側面等に設けられて、ビニールハウス内を換気するビニールハウス用換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上記ビニールハウスは、ビニールハウス内の温度や湿度等を適正に保つと共に害虫や害獣等の侵入を防いで、農作物や園芸用植物等の生育環境を整えるものである。
【0003】
そして、上記ビニールハウスの妻面、屋根面、側面等には、ビニールハウス内を換気するビニールハウス用換気装置が設けられ、このビニールハウス用換気装置として各種提案がなされている。
【0004】
例えは、特許文献1に開示のビニールハウス用換気装置は、特許文献1の図3に示すように、シートが展張されてなるビニールハウスに換気口を形成する換気枠と、この換気枠に枢着されてシートが展張される矩形の窓枠とを備えてなる。
【0005】
そして、上記換気枠には、害虫や害獣の侵入を塞ぐと共に空気を透過することが可能なネットが展張されてなる。
【0006】
上記構成を備えることにより、上記ビニールハウス用換気装置は、上記窓枠を回転駆動して上記換気口の開閉を行うことにより、害虫や害獣の侵入を防ぎながらビニールハウス内の換気を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−254778号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のビニールハウスにおいて、換気枠にネットを展張することにより、換気口を介して換気を行うと共に害虫及び害獣の侵入を防止することが可能となるが、以下の改善が求められている。
【0009】
即ち、上記換気口は、ビニールハウスにおける妻面の出入り口の上側や屋根面等、高所に設けられることが一般的である。
【0010】
従って、換気口に直接ネットを展張する従来のビニールハウス用換気装置の構造においては、ネットを交換したり洗浄したりする際の着脱作業や、ネットを弛みなく展張することが困難である。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記不具合を改善して換気枠へのネットの着脱作業や、ネットの展張作業を容易にすることが可能なビニールハウス用換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための手段は、シートが展張されてなるビニールハウスに換気口を形成する換気枠と、この換気枠に着脱自在に装着されてネットが展張される内枠と、上記換気枠に枢着されてシートが展張される窓枠とを備えてなり、上記内枠を上記換気枠に装着した状態で上記窓枠を揺動して上記換気口の開閉を行うことである。
【0013】
この場合において、上記換気枠は、上記窓枠が枢着される一本の長尺な支持換気枠体と、三本の長尺な換気枠体が上下左右に配置されて矩形に形成されてなり、上記支持換気枠体は、上記換気枠の上辺に相当し、手前側長手方向に沿って形成されてシートが定着する蟻溝を有する蟻溝部と、この蟻溝部の下端に沿って連設されて上記窓枠を揺動自在に支持する支持部と、この支持部の奥側に長手方向に沿って連設されて上記内枠が係合する係合溝を有する係合部とを備えることが好ましい。
【0014】
また、上記三本の換気枠体は、上記換気枠の下辺、左辺及び右辺に相当し、手前側長手方向に沿って形成されてシートが定着する蟻溝を有する蟻溝部と、この蟻溝部の長手方向に沿って連設される断面L字状のL字片とを備え、上記L字片を上記換気枠の内側に向けて配置することが好ましい。
【0015】
更に、上記換気枠体における蟻溝部とL字片との境界に、上記蟻溝部からL字片にかけて手前側に傾斜する傾斜片を備えることが好ましい。
【0016】
また、上記の場合において、上記内枠は、長尺な四本の内枠体が上下左右に配置されて矩形に形成されてなり、上記内枠体は、手前側長手方向に沿って上記ネットが定着する断面コ字状の溝が形成されるコ字溝部と、このコ字溝部奥側端に沿って長手方向に連設される平板状の平板片とを備えてなり、上記内枠の上辺に相当する内枠体の上記コ字溝部を上記支持換気枠体の係合溝内に係合することが好ましい。
【0017】
そして、上記内枠体は、上記換気枠体の上記L字片の手前側に、上記内枠の下辺、左辺若しくは右辺に相当する上記内枠体の平板片を重ねてクリップ止めすることが好ましい。
【0018】
更に、上記の場合において、上記窓枠は、上記換気枠に枢着される一本の長尺な引掛窓枠体と、三本の長尺な窓枠体が上下左右に配置されて矩形に形成されてなり、上記引掛窓枠体は、上記窓枠の上辺に相当し、手前側長手方向に沿って形成されてシートが定着する蟻溝を有する蟻溝部と、この蟻溝部の上端に沿って連設されて上記支持換気枠体の支持部に揺動自在に係合するフック片と、上記蟻溝部の下端に沿って連設される平板状の平板片とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、換気枠に着脱自在に装着されてネットが展張される内枠を備えることにより、ネットを内枠に予め展張して換気枠に取り付けることが可能となり、換気枠へのネットの着脱が容易に可能となる。
【0020】
また、ネットを展張する作業を従来のように高所で行う必要がなく、ネットの展張作業を容易にすることが可能となる。
【0021】
また、ネットが内枠に展張されてなることから、ネットを換気枠から外してもネットが展張された状態に維持されるため、ネットを洗浄する作業が容易である。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、支持換気枠体が支持部を備えることにより、上記支持部を支点にして窓枠を換気枠に枢着することが容易に可能となる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、換気枠体がL字片を備えることにより、当該L字片で内枠を背面側から支え、窓枠を閉じたときに当該窓枠によって内枠が奥側に押されて落下することを防止することが可能となる。
【0024】
また、上記L字片を備えることにより、このL字片を利用して他の換気枠体や支持換気枠体と連結することが可能となり、換気枠の組立性能が向上する。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、換気枠体が傾斜片を備えることにより、窓枠を閉じたとき、下側の換気枠体と下側の窓枠体との段差を小さくすることが可能となる。
【0026】
従って、シートを展張する際にシートにかかる負荷を軽減して、シートが損傷することを防止することが可能となる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、内枠体が平板片を備えることにより、この平板片を利用して他の平板片と連結することが可能となり、内枠の組立性能が向上する。
【0028】
また、内枠体のコ字溝部を支持換気枠体の係合溝内に係合することにより、内枠の上辺を換気枠に容易に固定することが可能となる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、内枠を換気枠にクリップ止めすることにより、内枠の落下防止をすると共に、内枠を換気枠に着脱することが容易に可能となる。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、窓枠が上記引掛窓枠体を備えることにより、フック片を換気枠の支持部に係合して、窓枠を換気枠に揺動自在に支持することが容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置を部分的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置における右側の換気枠体、クリップ、右側の内枠体、ネット、ネット定着部材を分解して示す部分拡大斜視図である。
【図3】図2に示す右側の換気枠体、クリップ、右側の内枠体、ネット、ネット定着部材を組み立てた状態を示す部分拡大斜視図である。
【図4】本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置において窓枠を開いた状態を示し、換気枠と内枠とを分解し、上記内枠の一部を切り欠いて示す部分拡大斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置において、換気枠と内枠とを分解した状態を示す部分拡大斜視図であり、左側と下側の換気枠体及び下側と左側の内枠体の一部を示す。
【図6】本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置において、窓枠を閉じた状態を示す部分拡大縦断面図であり、下側の換気枠体、下側の内枠体、下側の窓枠体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明の一実施の形態を示すビニールハウス用換気装置について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品かまたはそれに対応する部品を示す。
【0033】
また、以下の説明において、外側からビニールハウスの妻面に向かったときに見える面を正面、この正面に対向しながらビニールハウスから離れる方向を手前側、ビニールハウスに近づく方向を奥側とする。
【0034】
上記ビニールハウス用換気装置を備えるビニールハウスは、農作物育成用ハウスであり、図示しないが、列設される複数のアーチ状パイプと、このアーチ状パイプに沿って展張される透明若しくは半透明の合成樹脂製のシートSとを備える。
【0035】
本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置は、上記ビニールハウスの妻面に形成されてなり、シートSが展張されてなるビニールハウスに換気口を形成する換気枠1と、この換気枠1に着脱自在に装着されてネットNが展張される内枠2と、上記換気枠1に枢着されてシートS1が展張される窓枠3とを備えてなる。
【0036】
そして、上記ビニールハウス用換気装置は、上記内枠2を上記換気枠1に装着した状態で上記窓枠3を揺動して上記換気口の開閉を行い、窓枠3を開いて換気口を介してビニールハウス内を換気し、窓枠3を閉じて雨等がビニールハウス内に侵入することを防止する。
【0037】
以下に、本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置Aの各構成部品について詳細に説明する。
【0038】
ビニールハウスの換気口は、図1に示すように、ビニールハウスの妻面に取り付けられる換気枠1の内側に形成されてなり、上記換気枠1の略中央に設けられる支柱10によって左右に分割されてなる。
【0039】
上記支柱10には、図示しないが、背面に上記窓枠3を開閉駆動する開閉装置の操作部が設けられてなり、上記開閉装置は、支柱10の中央部に形成される縦長のスリット10aから突出して窓枠3に作用するアーム11を備えてなる。
【0040】
このアーム11の先端には、図示しないが、ローラが設けられてなり、上記アーム11の先端は、上記窓枠3の上辺に相当する引掛窓枠体7と、同下辺に相当する窓枠体8との間に架橋される架橋フレーム30に沿って長手方向にスライドする。
【0041】
そして、上記操作部で上記アーム11の先端を上下に回転駆動することにより、アーム11と架橋フレーム30との当接位置が変化して窓枠3が回転し換気口を開閉する。
【0042】
尚、上記開閉装置において、操作部が支柱10の奥側に配置されることから、ビニールハウスの内側から窓枠3の開閉操作を行うことが可能となる。
【0043】
また、上記架橋フレーム30がビニールハウスの外側に向けて湾曲することから、窓枠3にシートS1を確実に展張することが可能となるが、上記開閉装置の構成は、適宜構成を選択することが可能であり、例えば、特許文献1に開示の構成を利用するとしてもよい。
【0044】
内側に換気口を形成する換気枠1は、図1に示すように、上記窓枠3が枢着される一本の長尺な支持換気枠体4と、三本の長尺な換気枠体5が上下左右に配置されて矩形に形成されてなる。
【0045】
本実施の形態において、上記支持換気枠体4が換気枠1の上辺に、上記三本の換気枠体5が換気枠1の下辺、左辺、右辺に相当する。
【0046】
上記換気枠体5は、図2に示すように、手前側長手方向に沿って形成されてシートS(図3)が定着する蟻溝aを有する蟻溝部50と、この蟻溝部50の長手方向に沿って連設される断面L字状のL字片51とを備え、上記L字片51を上記換気枠1の内側に向けて配置する。
【0047】
また、上記換気枠体5における蟻溝部50とL字片51との境界に、上記蟻溝部50からL字片51にかけて手前側に傾斜する傾斜片52を備える。
【0048】
詳しくは、上記蟻溝部50は、長尺な水平平板状の底部フレーム50aと、この底部フレーム50aの長手側両端に沿って斜め手前側に起立する一対の側部フレーム50b、50cとで内側に蟻溝aを形成する。
【0049】
また、上記L字片51は、上記底部フレーム50に対して垂直方向に配置される平板状の垂直フレーム51aと、この垂直フレーム51aの図中奥側端に沿って垂設されて上記蟻溝部50の底部フレーム50aと同一平面上に配置される水平フレーム51bとからなる。
【0050】
そして、蟻溝部50におけるL字片51側の側部フレーム50bの手前側端は、L字片51の垂直フレーム51aの手前側端と比較して低い位置(奥側)に配置されてなり、上記傾斜片52は、上記側部フレーム50bの手前側端と上記垂直フレーム51aの手前側端とを連結する。
【0051】
上記構成を備えることにより換気枠体5は、図3に示すように、上記蟻溝部50の蟻溝a内に係止線条からなるシート定着部材Tを介してシートSを定着させることが可能となる。
【0052】
尚、図2、図3には、換気枠1の右辺に相当する右側の換気枠体5を示したが、換気枠1の左辺及び下辺に相当する左側及び下側の換気枠体5の形状も図2、図3と同様である。
【0053】
そして、上記左側の換気枠体5は、図2、図3に示す換気枠体5と線対称に配置され、上記下側の換気枠体5は、図2、図3に示す換気枠体5を右側に90度回転した状態に配置される(図5、図6)。
【0054】
一方、換気枠1の上辺に相当する支持換気枠体4は、図4に示すように、手前側長手方向に沿って形成されてシートSが定着する蟻溝aを有する蟻溝部40と、この蟻溝部40の下端に沿って連設されて窓枠3を揺動自在に支持する支持部41と、この支持部41の奥側に長手方向に沿って連設されて上記内枠2が係合する係合溝bを有する係合部42とを備える。
【0055】
上記支持換気枠体4の蟻溝部40は、図2、3に示す換気枠体5の蟻溝部50と同様に形成されてなり、符示しないが、底部フレームと、一対の側部フレームとを備えて内側に蟻溝aが形成されてなる。
【0056】
そして、図示しないが、支持換気枠体4は、係止線条からなるシート定着部材Tを介して上記蟻溝a内にシートSを定着させる。
【0057】
また、窓枠3を揺動自在に支持する支持部41は、上記蟻溝部40の支持部41側の側部フレームに沿って長手方向に連設されると共に、手前側から奥側に向けて湾曲する。
【0058】
更に、上記支持部41の奥側に長手方向に沿って連設される係合部42は、図中下側に沿って開口する断面コ字状の係合溝bが形成されてなり、上記係合溝b内に内枠2の上辺が係合する。
【0059】
従って、換気枠1の支持換気枠体4が上記蟻溝部40を備えることにより、シートSを定着させることが可能となる。
【0060】
また、支持換気枠体4が上記支持部41を備えて、この支持部41に窓枠3が引っ掛かることにより、支持部41を支点として窓枠3を揺動自在に支持することが容易に可能となる。
【0061】
また、換気枠1の三本の換気枠体5がL字片51を備えることにより(図2)、このL字片51に他の換気枠体5や、支持換気枠体4を重ねて固定することが可能となり、換気枠1の組立性能が向上する。
【0062】
また、上側の支持換気枠体4が係合部42を、下側、左側及び右側の三本の換気枠体5がL字片51を備えることにより、内枠2の上辺を係合部42の係合溝bに係合して換気枠1に装着したとき、図5に示すように、内枠2の他の辺を上記L字片51で背面側(奥側)から支え、窓枠3を閉じた際に当該窓枠3によって内枠2が奥側に押圧されて落下することを防止することが可能となる。
【0063】
上記換気枠1に着脱自在に装着される内枠2は、長尺な四本の内枠体6が上下左右に配置されて矩形に形成されてなり、図4、図5に示すように、上記内枠体6は、手前側長手方向に沿って上記ネットNが定着する断面コ字状の溝cが形成されるコ字溝部60と、このコ字溝部60奥側端に沿って長手方向に連設される平板状の平板片61とを備えてなる。
【0064】
そして、上記溝c内にネット定着部材Uを介してネットNを定着させ、上記内枠2にネットNを展張した状態で、上記内枠2の上辺に相当する上記内枠体6の上記コ字溝部60を上記支持換気枠4の係合溝b内に係合する(図4)。
【0065】
また、図2、図3に示すように、上記内枠2は、上記換気枠体5のL字片51の手前側に、上記内枠2の下辺、左辺若しくは右辺に相当する上記内枠体6の平板片61が重ねて配置されクリップ止められてなる。
【0066】
上記平板片61と水平片51の水平フレーム51bと重ねて止めるクリップKは、上記平板片61と水平フレーム51bとを重ねた状態で挟持する前後一対の挟持片90、90と、この挟持片90、90の内側に突設される突起91、91とを備えてなる。
【0067】
そして、上記突起91、91を換気枠体5の水平フレーム51bの背面に長手方向に形成される溝51c(図2)に係合することにより、上記クリップKの位置ずれを防止することが可能となる。
【0068】
尚、上記クリップKの形状は、上記の限りではなく、上記内枠体6の平板片61と換気枠体5の水平フレーム51bとを重ねて止め得る限りにおいて、適宜形状を選択することが可能である。
【0069】
また、上記したようにクリップ止めすることにより、内枠2の落下を防止すると共に、内枠2を換気枠1に容易に着脱することが可能となるが、ボルト等の他の手段により内枠体6の平板片61を換気枠体5の水平フレーム51bに固定するとしても良い。
【0070】
また、図1には、支柱10の両側に張り出す鍔フレーム(図示せず)を形成し、左右に分割される換気口それぞれに対向して内枠2を装着した状態を示す。
【0071】
そして、例えば、図1中右側に区画される換気口に対向して装着される内枠2は、右側及び下側の内枠体6が右側及び下側の換気枠体5にクリップ止めされ、左側の内枠体6は、上記鍔フレームにクリップ止めされる。
【0072】
つまり、上記構成を備えることにより、内枠2の上辺を換気枠1に係合し、内枠2の他の三辺を換気枠1若しくは支柱10にクリップ止めして、内枠2を換気枠1に確実に固定することが可能となるが、クリップ止めする位置及び数量は適宜選択することが可能である。
【0073】
また、上記ネットNを展張する内枠2を備えることにより、予めネットNを展張した内枠2を換気枠1に取り付けることが可能となり、換気枠1にネットNを着脱する作業の作業性を向上することが可能となる。
【0074】
また、作業台等でネットNを内枠2に取り付けることが可能となるため、高所に換気口が配置される場合においても、ネットNを弛みなく展張することが容易に可能となる。
【0075】
また、ネットNが内枠2に展張されてなることから、ネットNを換気枠1から外してもネットNが展張された状態に維持されるため、ネットNを洗浄する作業が容易である。
【0076】
また、上記内枠体6が上記平板片61を備えることにより、この平板片61を利用して他の平板片61と連結することが可能となり、内枠2の組立性能が向上する。
【0077】
また、上記内枠体6が上記コ字溝部60を備えることにより、当該コ字溝部60を支持換気枠体4の係合溝b内に係合することが可能となり、内枠2の上辺を換気枠1に容易に固定することが可能となる。
【0078】
上記換気枠1の支持換気枠体4に揺動自在に取り付けられて換気口を開閉する窓枠3は、上記換気枠1に枢着される一本の長尺な引掛窓枠体7と、三本の長尺な窓枠体8が上下左右に配置されて矩形に形成されてなる。
【0079】
上記引掛窓枠体7は、図4に示すように、上記窓枠3の上辺に相当し、手前側長手方向に沿って形成されてシートS1が定着する蟻溝aを有する蟻溝部70と、この蟻溝部70の上端に沿って連設されて上記支持換気枠体4の支持部41に揺動自在に係合するフック片71と、上記蟻溝部70の下端に沿って連設される平板状の平板片72とを備える。
【0080】
上記フック片71は、奥側から手前側に向けて湾曲してなり、当該フック片71を支持換気枠体4の支持部41に係合させることにより、窓枠3が換気枠1の支持部41を支点にして揺動することが容易に可能となる。
【0081】
一方、三本の窓枠体8は、窓枠3の下辺、左辺及び右辺に相当し、図4に示すように、手前側長手方向に沿って形成されてシートS1が定着する蟻溝aを有する蟻溝部80と、この蟻溝部80の長手方向に沿って連設される断面L字状のL字片81とを備え、このL字片81を窓枠3の内側に向けて配置する。
【0082】
上記窓枠体8の蟻溝部80及び上記L字片81は、図2に示す換気枠体5の蟻溝部50及びL字片51と同様に形成されてなり、上記窓枠体8は、傾斜片52に替えて水平片82を備える点において換気枠体5と相違する。
【0083】
詳しくは、上記窓枠体8において、蟻溝部80の側部フレーム80b、80cの高さと、L字片81の垂直フレーム80aの高さとが等しく形成されてなり、L字片81側の側部フレーム80bの手前側端と垂直フレーム81aの手前側端を水平片82で連結する。
【0084】
また、本実施の形態において、換気枠1及び窓枠3の各蟻溝部40、50、70、80は、共通のシート止め部材Tを使用してシートS、S1を定着させるため、同じ大きさに形成されることが好ましい。
【0085】
つまり、換気枠体5が傾斜片52を備えることにより、換気枠体5の垂直フレーム51aが窓枠体8の垂直フレーム81aよりも縦長に形成される。
【0086】
従って、図6に示すように、換気枠体5の水平フレーム51bに内枠体6を重ねてクリップ止めした状態で窓枠3を閉じて、下側の窓枠体6が下側の内枠体6に重なったとき、内枠体6の厚み分手前側に配置される下側の窓枠体8と下側の換気枠体5との段差を小さくすることが可能となる。
【0087】
ところで、換気口を妻面に有するビニールハウスにシートSを展張する場合には、一般的に、まず換気口を窓枠3で閉じた状態にして、ビニールハウスの妻面全体をシートSで覆う。
【0088】
次いで、アーチ状パイプ、換気枠1及び窓枠3の各蟻溝a内に、シート定着部材Tを介してシートSを定着して、ビニールハウスの妻面全体にシートSを展張する。
【0089】
そして、カッター等で窓枠3に展張されるシートS1と、ビニールハウスの妻面に展張されるシートSとを分割する。
【0090】
従って、上述したように、窓枠3を閉じた状態における下側の窓枠体8と下側の換気枠体5との段差を小さくすることにより、ビニールハウスの妻面全体をシートSで覆って各蟻溝a内にシートSを定着したとき、シートSにかかる負荷を軽減してシートSが損傷することを防ぐことが可能となる。
【0091】
また、換気枠体5が傾斜片52を備えることにより、窓枠体8の蟻溝部80と換気枠体5の蟻溝部50との間に配置されるシートSが上記傾斜片52に沿って配置される。
【0092】
従って、傾斜片52上でシートSを切断することが可能となり、窓枠3に展張されるシートS1とビニールハウスの妻面に展張されるシートSとを分割する作業性を向上することが可能となる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0094】
例えば、上記実施の形態においては、ビニールハウス用換気装置をビニールハウスの妻面に設けるとしたがこの限りではなく、ビニールハウスの側面や屋根面に設けても良いことは勿論である。
【0095】
また、本実施の形態において、図1に示すように、換気口が支柱10によって左右に分割されてなり、各分割された換気口に対向して内枠2がそれぞれ装着された状態を示すが、換気口の形状及び分割数は適宜選択することが可能である。
【0096】
例えば、図1中の支柱10を換気枠1の左端若しくは右端に設けて換気口を分割せず、当該換気口に一の内枠2を対向して装着するとしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
a 蟻溝
b 係合溝
c 溝
K クリップ
N ネット
S (ビニールハウスの妻面に展張される)シート
S1 (窓枠に展張される)シート
T 係止線条たるシート定着部材
U ネット定着部材
1 換気枠
2 内枠
3 窓枠
4 支持換気枠体
5 換気枠体
6 内枠体
7 引掛窓枠体
8 窓枠体
10 支柱
11 アーム
40、50、70、80 蟻溝部
41 支持部
42 係合部
51、81 L字片
52 傾斜片
60 コ字溝部
61 平板片
82 水平片
71 フック片
72 平板片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート(S)が展張されてなるビニールハウスに換気口を形成する換気枠(1)と、この換気枠(1)に着脱自在に装着されてネット(N)が展張される内枠(2)と、上記換気枠(1)に枢着されてシート(S1)が展張される窓枠(3)とを備えてなり、
上記内枠(2)を上記換気枠(1)に装着した状態で上記窓枠(3)を揺動して上記換気口の開閉を行うことを特徴とするビニールハウス用換気装置。
【請求項2】
上記換気枠(1)は、上記窓枠(3)が枢着される一本の長尺な支持換気枠体(4)と、三本の長尺な換気枠体(5)が上下左右に配置されて矩形に形成されてなり、
上記支持換気枠体(4)は、上記換気枠(1)の上辺に相当し、手前側長手方向に沿って形成されてシート(S)が定着する蟻溝(a)を有する蟻溝部(40)と、この蟻溝部(40)の下端に沿って連設されて上記窓枠(3)を揺動自在に支持する支持部(41)と、この支持部(41)の奥側に長手方向に沿って連設されて上記内枠(2)が係合する係合溝(b)を有する係合部(42)とを備えることを特徴とする請求項1に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項3】
上記三本の換気枠体(5)は、上記換気枠(1)の下辺、左辺及び右辺に相当し、手前側長手方向に沿って形成されてシート(S)が定着する蟻溝(a)を有する蟻溝部(50)と、この蟻溝部(50)の長手方向に沿って連設される断面L字状のL字片(51)とを備え、
上記L字片(51)を上記換気枠(1)の内側に向けて配置することを特徴とする請求項2に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項4】
上記換気枠体(5)における蟻溝部(50)とL字片(51)との境界に、上記蟻溝部(50)からL字片(51)にかけて手前側に傾斜する傾斜片(52)を備えることを特徴とする請求項3に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項5】
上記内枠(2)は、長尺の四本の内枠体(6)が上下左右に配置されて矩形に形成されてなり、
上記内枠体(6)は、手前側長手方向に沿って上記ネット(N)が定着する断面コ字状の溝(c)が形成されるコ字溝部(60)と、このコ字溝部(60)奥側端に沿って長手方向に連設される平板状の平板片(61)とを備えてなり、
上記内枠(2)の上辺に相当する内枠体(6)の上記コ字溝部(60)を上記支持換気枠体(4)の係合溝(b)内に係合することを特徴とする請求項2から請求項4に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項6】
上記内枠体(2)は、上記換気枠体(5)の上記L字片(51)の手前側に、上記内枠(2)の下辺、左辺若しくは右辺に相当する上記内枠体(6)の平板片(61)を重ねてクリップ止めすることを特徴とする請求項5に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項7】
上記窓枠(3)は、上記換気枠(1)に枢着される一本の長尺な引掛窓枠体(7)と、三本の長尺な窓枠体(8)が上下左右に配置されて矩形に形成されてなり、
上記引掛窓枠体(7)は、上記窓枠(3)の上辺に相当し、手前側長手方向に沿って形成されてシート(S1)が定着する蟻溝(a)を有する蟻溝部(70)と、この蟻溝部(70)の上端に沿って連設されて上記支持換気枠体(4)の支持部(41)に揺動自在に係合するフック片(71)と、上記蟻溝部(70)の下端に沿って連設される平板状の平板片(72)とを備えることを特徴とする請求項2から請求項6に記載のビニールハウス用換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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