説明

ビーズおよびそのビーズを用いた釣り用仕掛け

【目的】 ビーズの孔に糸を通す作業が容易なビーズを提供する。
【構成】 幹糸(50)に横糸(60)を接続するためのビーズ(10)である。ビーズ(10)の縦方向に貫通して幹糸(50)が挿通される幹糸挿通孔(11)と、横方向に貫通して横糸(60)が挿通される横糸挿通孔(12)と、ビーズ(10)の周面から張り出した突部(15)と、を備え、前記横糸挿通孔(12)の開口部(12a)を突部(15)に設け、ビーズ(10)と突部(15)の間をつまんだ場合に指腹部が食い込む凹部である段部(16)と、を形成した。また、横糸(60)を挿入するための横糸挿通孔(12)の開口部(12a)周辺の面(13)を、平面状に形成した横糸当接面(13)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸に用いるビーズ、およびそのビーズを用いた釣り用仕掛けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣り糸に用いるビーズとしては、手芸用のビーズを代用するような場合もあったが、従来製品として提供されているビーズは、無色透明としている製品がほとんどである。
さて現状では、特許文献1に開示されているような技術がある。この技術は、1本の主貫通孔と、これに直交或いはほぼ直交する複数の副貫通孔を有しており、且つすべての貫通孔は交錯しないように互いに離反するように構成したビーズを、幹糸と枝糸(ハリス)との接続箇所に設けたものである。この技術によれば、幹糸と枝糸とが結着されておらず、各々が独立して回動できるので、ヨレやネジレの発生しにくい構造となっており、投げ釣り仕掛けにおける下針の設置やその交換が簡単に行えるという利点がある。
【0003】
【特許文献1】特開平10−98995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般で市販されているビーズとしては、Lサイズであっても5.0×3.0ミリメートル、Mサイズにいたっては3.0×1.8ミリメートルと小さく、ビーズの孔に糸を通しにくいという欠点がある。糸を通しにくい理由は、ビーズ全体の大きさが小さいこと、および孔が見にくいこと、が挙げられる。
ビーズ全体が小さいということに加えて、一様に丸みを帯びているので掴みにくく、また掴んでいてずれやすいために、糸を通す作業がやりにくいのである。
【0005】
孔の見にくさを解消するために、孔へ他の部位とは異なる着色をするというビーズ製品も提供されている。しかし、孔に着色を施すと糸の滑りが悪くなることが一般的であり、釣りをしている際に要求される本来の機能が低下してしまう。すなわち、これまでの技術では、孔を見やすくすることと、糸の滑りやすさを確保することとはトレードオフの関係にある。
【0006】
ビーズを必要とする仕掛けは、水深の浅い場所で用いる場合(紫外線が届くのでブルー系の色が望ましい)と、水深が深い場所で用いる場合(魚が見えにくいピンク系の色が望ましい)とに大別される。しかし、そうした場合に応じた適切な着色がなされた製品は、以下のような欠点を抱えていた。ビーズの材質がプラスチックであったために、着色に適さず、塗装による着色では工程を増やすので製造コストがアップしてしまい、しかも糸が滑りにくくなるのである。
【0007】
さて、針に掛かった魚が暴れると、ビーズ孔の端部において釣り糸が擦れる。この擦れによって糸が磨耗して切れやすくなる、という問題もある。
また、一般のビーズに用意された孔を用いて形成されるハリスは、幹糸に対して直角である。ハリスには針および餌が付けられるので、その重みで垂れ下がり、絡んでしまうことがある。
【0008】
発明が解決しようとする課題は、前述したような問題点を解決できるビーズを提供することにある。
請求項1から請求項7に記載の発明の目的は、掴みやすくてビーズの孔に糸を通す作業が容易なビーズを提供することにある。
請求項5に記載の発明の目的は、釣り糸が擦れたり、擦れによって糸が磨耗して切れやすくなったりすることを低減させるビーズを提供することにある。
請求項8に記載の発明の目的は、掴みやすくてビーズに糸を通す作業が容易であるとともに、釣り糸が擦れたり、擦れによって糸が磨耗して切れやすくなったりすることを低減させるビーズを備えた釣り用仕掛けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、幹糸(50)に横糸(60)を接続するためのビーズ(10)に係る。
その縦方向に貫通して幹糸(50)が挿通される幹糸挿通孔(11)と、横方向に貫通して横糸(60)が挿通される横糸挿通孔(12)と、ビーズ(10)の周面から張り出した突部(15)と、を備え、前記横糸挿通孔(12)の開口部(12a)を突部(15)に設け、その突部(15)を両側から挟むように指でつまんだ場合に指腹部が食い込む凹部である段部(16)と、を形成したビーズを提供する。
【0010】
(作用)
ビーズ(10)の外周面を指でつまむ。ビーズ(10)をつまんだ状態で、横糸挿通孔(12)に横糸(60)を挿通する。指でつまんだ際に、段部(16a,16b)に指腹部を食い込ませることができ、引っ掛かりが良くなる。これにより、ビーズの横糸挿通孔(12)に対し、横糸(60)を通す作業が容易となる。
【0011】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のビーズ(10)を限定したものである。
すなわち、前記横糸(60)を挿入するための横糸挿通孔(12)の開口部(12a)周辺の面(13)を、平面状に形成した横糸当接面(13)を設けたことを特徴とする。
【0012】
(作用)
ビーズ(10)の外周面に設けられた平らな面(14a,14b)を指でつまむ。開口部(12a)周辺の面(13)は、平面状に形成されている。このため、横糸(60)をこの面(13)に突き当てながら開口部(12a)を探り、横糸挿通孔(12)に横糸(60)を挿通する。これにより、ビーズの横糸挿通孔(12)に対し、横糸(60)を通す作業がより容易となる。
【0013】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のビーズ(10)を限定したものである。
すなわち、前記横糸当接面(13)の幅を、ビーズ(10)の幅とほぼ等しく形成したことを特徴とする。
【0014】
(作用)
ビーズが略正俵形とすれば、全体のプロポーションがほぼ同一に形成されることになる。すると、水中でのビーズの動作は、球体のビーズとほぼ同様になる。水中での動作は予測のしやすい球体であることが望ましいが、球体であると掴みにくく、糸を通しにくい等の問題点がある。しかし、このような問題点を、横糸当接面(13)の幅を、ビーズ(10)の幅とほぼ等しくすることで、つまみにくさと水中での動作の不安定さの両方を軽減しているのである。
【0015】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のビーズ(10)を限定したものである。
すなわち、前記横糸挿通孔(12)の開口部(12a)を、その横糸挿通孔(12)の他の部位よりも大きくカットされたロート状に形成したことを特徴とする。
【0016】
(作用)
横糸挿通孔(12)の開口部(12a)がロート状に形成されていると、横糸挿通孔(12)に横糸(60)を挿通する際に、開口部(12a)が見付けやすくなる。同じ材質でも光の反射が異なるため、ロート状の部位が他と区別しやすいからである。このため、横糸挿通孔(12)に横糸(60)が挿通しやすくなり、ビーズの横糸挿通孔(12)への横糸(60)を通す作業が容易となる。
【0017】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のビーズ(10)を限定したものである。
すなわち、前記横糸挿通孔(12)の長手方向は、前記幹糸挿通孔(11)の直角方向に対し傾斜するように形成し、横糸当接面(13)を横糸挿通孔(12)に直交するように形成したことを特徴とする。
【0018】
(作用)
横糸挿通孔(12)から糸が延びて釣り針や餌などが付けても、ビーズ(10)の周面よりも張り出した突部(15)によって釣り糸が擦れたり、擦れによって糸が磨耗して切れやすくなったりすることを低減させる。
また、横糸挿通孔(12)に角度が付けられていると、横糸当接面(13)に直交するので、横糸(60)を真っ直ぐに挿通することができる。このため、ビーズの横糸挿通孔(12)への横糸(60)を通す作業が容易となる。
【0019】
(請求項6)
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のビーズ(10)を限定したものである。
すなわち、前記横糸挿通孔(12)の両側の周面に平面領域を有する指当て部(14)を備えたことを特徴とする。
【0020】
(作用)
指当て部(14)が平面状に形成されているので、ビーズ(10)をつまみやすくなる。また、ビーズ(10)をつまんだ時に、指を段部(16)に引っ掛けることができる。このため、ビーズ(10)を滑らせることなく容易につまむことができ、横糸(60)の挿入作業が簡単に行える。
【0021】
(請求項7)
請求項7記載の発明は、幹糸(50)に横糸(60)を接続するためのビーズ(10)に係る。
その縦方向に貫通して幹糸(50)が挿通される幹糸挿通孔(11)と、横方向に貫通して横糸(60)が挿通される横糸挿通孔(12)と、ビーズ(10)の周面からそれぞれ張り出した突部(15,25)と、を備え、その両方の突部(15,25)を両側から挟むように指でつまんだ場合に指腹部が食い込む凹部である段部(16)と、を形成し、前記横糸(60)が挿出入される横糸挿通孔(12)の両方の開口部(12a,12d)をそれぞれ突部(15,25)に設けたビーズを提供する。
【0022】
(作用)
請求項7記載のビーズは、上下の区別をなくした形態のビーズである。ビーズ(10)の周面から突部(15,25)が張り出しており、この突部(15,25)には、横糸(60)が挿出入される開口部(12a,12d)が設けられている。したがって、ビーズ(10)の上下に関係なく横糸(60)を挿通することができる。このため、釣り人はビーズ(10)をどのようにつまんでも、横糸(60)を挿通する向きが限定されないので便利である。
【0023】
(請求項8)
縦方向に長く延びた幹糸(50)と、その幹糸(50)の中途部に複数設けられたビーズ(10)と、それら各ビーズ(10)から横方向に延出した横糸(60)とを備えた釣り用仕掛け(100)に係る。
前記各ビーズ(10)は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のビーズを備えた釣り用仕掛けを提供する。
【0024】
(作用)
釣り用仕掛け(100)は、幹糸(50)に複数のビーズ(10)が設けられており、このビーズ(10)から横糸(60)が接続されている。ビーズ(10)は、指当て部(14)や突部(15)によってビーズ(10)をつまみやすくなっている。また、横糸当接面(13)やロート状の開口部(12a)によって横糸(60)を挿通しやすくなっている。
【発明の効果】
【0025】
請求項1から請求項7に記載の発明によれば、ビーズの孔に糸を通す作業が容易なビーズを提供することができた。
請求項5に記載の発明によれば、釣り糸が擦れたり、擦れによって糸が磨耗して切れやすくなったりすることを低減させるビーズを提供することができた。
更に、請求項8に記載の発明によれば、ビーズに糸を通す作業が容易であるとともに、釣り糸が擦れたり、擦れによって糸が磨耗して切れやすくなったりすることを低減させるビーズを備えた釣り用仕掛けを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、図面を参照させながら説明する。ここで使用する図面は、図1から図5である。図1は、釣り用仕掛け及びビーズを示した正面図であり、図2は、ビーズの構成を示した正面断面図であり、図3は、釣り人がビーズをつまんでハリスを孔に差し込む状態を示した図であり、図4は、開口部の形状を変更したビーズの形態を示した正面断面図であり、図5は、突部を二つ設けたビーズの形態を示した図である。
【0027】
図1に示すように、釣り用仕掛け100は、縦(上下)方向に長く延びた幹糸50と、その幹糸50の糸の中途部に複数設けられたビーズ10と、それら各ビーズ10から横(左右)方向に延出したハリス60(横糸)とを備えている。
【0028】
幹糸50には、その下端部に水深や幹糸50の長さに適する重り55が連結されており、その重り55の直上に撚り戻し56が設けられている。また、ビーズ10を回転自在に、また垂直方向への移動抑制のために、ビーズ10を中心とした上下に幹糸結びこぶ51、51がそれぞれ設けられている。各幹糸結びこぶ51は、糸を結んで形成されており、ビーズ10のストッパーとして機能している。ハリス60は、反ビーズ10側のハリス先端部60aに釣り針70が設けられている。また、図示は省略するが、釣り針70のフックに餌を取り付けたり、釣り針70の代わりに擬似餌を取り付けたりすることで釣りを行うことになる。
【0029】
(ビーズ)
図2に示すように、ビーズ10は、概ね俵形をなしており、ビーズ10の上面10aから下面10bに向かって縦方向に貫通した幹糸挿通孔11と、ビーズ10の横方向に貫通したハリス挿通孔12(横糸挿通孔)と、ハリス60が突き当て可能な平面領域を有するハリス当接面13(横糸当接面)と、ビーズ10の側周面をつまんだ際に、ビーズ10を把持可能な平面領域を有する指当て部14とを備えている。
【0030】
ビーズ10の材質は、ポリカーボネート、ナイロン等の熱可塑性素材によって形成されている。浅い水深用として、透明青系の熱可塑性素材で成型されている。また、深い水深用として、透明ピンク系の熱可塑性素材で成型されている。これらを用いて、釣り用仕掛け100に取り付けると異なる水深の仕掛けを一目に判別することができる。つまり、浅い水深用で使用するのは透明青系のビーズが付いた釣り用仕掛けを使用すればよい。また、従来のようにペイントによる着色ではないため、着色によってハリス60を挿通する際に滑りにくくなるということはない。
【0031】
幹糸挿通孔11は、幹糸50が挿入される孔であり、ビーズ10の上面10aに面し、ロート状に傾斜した幹糸入口開口部11aと、その幹糸入口開口部11aとは反対側を、幹糸50が通過する幹糸挿通孔11の直径と略同じ大きさに形成された幹糸出口開口部11bが設けられ、下面10bに向かって縦長に貫通している。
【0032】
ハリス挿通孔12は、垂直方向に延びた幹糸挿通孔11から水平方向に概ね20度前後右上がり(図2)に傾斜している。そして、ハリス挿通孔12の一側は、ハリス当接面13に面してハリス60が挿入され、ロート状に傾斜したハリス入口開口部12aが設けられる。また、このハリス入口開口部12aとは反対側を、ハリス入口開口部12aから挿入されたハリス60が通過して挿出されるハリス出口開口部12bが設けられている。このハリス出口開口部12bは、ハリス挿通孔12の直径と略同じ大きさに形成されている。
ハリス挿通孔12が概ね20度程度の角度が付けられていると、ハリス当接面13に直交するので、ハリス60を真っ直ぐに挿通することができる。このため、ビーズのハリス挿通孔12へのハリス60を通す作業が容易となる。
なお、ハリス挿通孔12の角度は、5度から45度にすると、ハリス60が仕掛けに絡みにくくなる。
【0033】
ハリス当接面13は、ハリス60を挿入するための入口部分であって、ハリス入口開口部12a周辺に配置されている。すなわち、図2に示すように、ハリス当接面13を側面視した場合では、ビーズ10の上側から下側に広がるように傾斜されており、その中心部付近にハリス挿通孔12が配置されている。
また、ハリス当接面13の下端部は、ビーズ10の周面よりも張り出した凸状の突部15を備えている。この突部15があると、ハリス挿通孔12からハリス60が延びて釣り針70や餌などが付けられていても、その重さに耐えることができ、釣り糸が擦れたり、擦れによって糸が磨耗して切れやすくなったりすることを低減させる。
【0034】
指当て部14は、図3に示すように、平面状の領域を有し、二本の指(図3では人差し指と親指で掴んだ例を示す)でビーズ10をつまんだ際に、人差し指が当接される上側指当て部14a(平滑面)と、親指が当接される下側指当て部14b(平滑面)と、その上側指当て部14a及び下側指当て部14bから連続した凹みとしての段部16とからなる。段部16は、上側指当て部14aから連続する上側段部16aと下側指当て部14bから連続する下側段部16bからなる。この段部16は、指腹部を食い込ませるための凹みである。
【0035】
また、ハリス当接面13の幅と指当て部14の幅とが略等しく形成されている。ビーズが正俵形とすれば、全体のプロポーションがほぼ同一に形成されていることになる。すると、水中でのビーズの動作は、球体のビーズと同様に近いものになる。これは、水中での動作は予測のしやすい球体であることが望ましいが、掴みにくく糸を通しにくい等の問題点がある。しかし、つまみにくいという問題点を指当て部14を備えることで解消し、なおかつ水中での球体の動作に近づけた形態としている。
【0036】
また、ハリス当接面13とビーズ10の幅とが等しく形成されているため、ビーズ10の周面の延長として突部15をつまむことができる。この時つまんだ指の先端が、ハリス当接面13の両側から突出してハリス当接面13の両側を塞ぐことになる。このため、ハリス60の先端60aがハリス当接面13から外れないため、ハリス60をハリス挿通孔12に通しやすい。
【0037】
指当て部14が平面状に形成されているので、ビーズ10をつまみやすくなる。また、ビーズ10をつまんだ時に、指を上側段部16a及び下側段部16bに引っ掛けることができる。このため、ビーズ10を滑らせることなく容易につまむことができ、ハリス60の挿入作業が簡単に行える。
【0038】
(実施例)
釣り人は、ビーズ10を幹糸50に接続するために、まず、幹糸50の所定箇所に幹糸挿通孔11の孔の直径よりもやや大きめの幹糸結びこぶ51を作る。
そして、ビーズ10の幹糸挿通孔11を、幹糸50の先端から通過させて幹糸結びこぶ51の直上で止まるようにする。
もう一つの幹糸結びこぶ51をビーズ10の上部で作る。この状態にすると、ビーズ10は遊動自在でありながらも、ビーズ10が幹糸50の垂直方向への移動が抑止されてストッパーとして機能する。
【0039】
次に、ビーズ10にハリス60を取り付ける。
釣り人は、ビーズ10の上側指当て部14aに人差し指を、下側指当て部14bに親指をあてる。そして、人差し指の指腹を上側段部16aに、親指の指腹を下側段部16bにそれぞれ引っ掛けてビーズ全体をつまむ。
【0040】
この状態でハリス60のハリス先端60aを、ビーズ10のハリス当接面13に突き当てながら、ハリス挿通孔12を探す。ハリス挿通孔12は、約20度の角度で傾斜されているため、突部15の張り出しに応じてハリス当接面13がハリス挿通孔12と直交していると、ハリス挿通孔12を探しやすい。
なお、突き当てながらハリス挿通孔12を探すのは、ハリス当接面13が平面状に形成されているので、湾曲形状のビーズ面に比べて突き当て作業が行いやすいからである。また、ハリス入口開口部12aは、ロート状に傾斜されているので、ハリス60を突き当てた後にそのハリス60を挿入しやすい。
【0041】
上手くハリス挿通孔12を探しあて、ハリス60をハリス挿通孔12に挿入することができたら、ハリス出口開口部12bからハリス60のハリス先端60aを引っ張りだす。そして、ハリス挿通孔12の孔の直径よりもやや大きめのハリス結びこぶ61を作る。
続けて、ハリス結びこぶ61とは反対側のハリス60の先端に釣り針70を接続する。このように、ハリス60を所望する数量だけ幹糸50上で作る。そして、重り55を幹糸50の先端部分に連結させて釣り用仕掛け100を形成させるのである。
【0042】
すなわち、ハリス60のハリス先端60aをハリス挿通孔12に差し込む際に、ハリス当接面13に突き当てながらハリス挿通孔12内へ導くことができる。ちなみに、この挿入に突き当てられる面が湾曲していると、突き当てが効かずに滑ってしまってハリス挿通孔12に差し込みにくいことが分かっている。
また、ビーズ10をつまむ際にも、上側指当て部14aと下側指当て部14bが平面状に形成されているため、つまみやすくなる。しかも、指腹部を食い込ませるための段部16が設けられているので、指が引っ掛けやすく、ハリス60の挿入作業が行いやすい。また、ハリス挿通孔12の長手方向に対し、ハリス当接面13が直交して形成されている。このため、ハリス挿通孔12へハリス60を真っ直ぐに差し込むことも容易となる。
【0043】
(第二実施形態)
図4は、本発明に係る他の形態を示したビーズ10Bについて説明したものである。
ビーズ10Bは、前述した第一実施形態のビーズ10と基本的な構成は全く同様である。しかしながら、ハリス挿通孔12におけるハリス入口開口部12cの傾斜角度が前述したハリス入口開口部12aと異なる。
【0044】
すなわち、ハリス入口開口部12cのロート状の傾斜を緩くして開口部全体を大きく広げている。このハリス入口開口部12cの傾斜角度は、ハリス当接面13の上辺13aと下辺13bとを結んだ大きさにほぼ等しく形成されている。このように、ハリス入口開口部12cの間口を大きく広げることで、ハリス挿通孔12にハリス60を挿入させる際、ハリス挿通孔12内にハリス60を誘導させることが容易になる。これにより、仕掛けの取り付け作業時間が短縮され、作業効率が向上する。
【0045】
(第三実施形態)
図5は、本発明に係る他の形態を示したビーズ10Cについて説明したものである。
ビーズ10Cは、前述した第一実施形態のビーズ10と基本的な構成は同様であり、ビーズ10Cは概ね俵形をなし、その縦方向に垂直に貫通して幹糸50が挿通される幹糸挿通孔11と、横方向を貫通してハリス60が挿通されるハリス挿通孔12と、側周面に平面領域を有する指当て部14とを備え、この指当て部14は、幹糸挿通孔11の長手方向と平行な周囲面に向かい合う平らな上側指当て部14a及び下側指当て部14bと、その上側指当て部14a及び下側指当て部14bの一部には、つまんだ場合に指腹部が食い込む凹部である段部16と、ビーズ10の下端に向かってビーズ10の周面よりも張り出した突部15を備えている点は第一実施形態と全く同じである。
しかしながら、以下の点で前述した第一実施形態と異なる。
【0046】
すなわち、ハリス当接面13に対向配置された第二ハリス当接面23は、ハリス当接面13と同様に面取り加工して平面状に形成されており、下端部に第二突部25を備える。そして、第二ハリス当接面23の一部には、ハリス60が挿出入され、ロート状に傾斜されたハリス出口開口部12dを備え、ビーズ全体が点対象形状をなすようにしている点である。また、ハリス当接面13及び第二ハリス当接面23の幅と、指当て部14(14a、14b)の幅とは略等しく形成されている。
【0047】
このように、ビーズ全体が点対象形状となっていることで、ビーズ10の上下に関係なくハリス60を挿通することができる。このため、釣り人はビーズ10をどのようにつまんでも、ハリス60を挿通する向きが限定されないので便利である。点対象形状に等しく形成されているので、俵形であっても球体と同じように水中で動作する。
【0048】
また、図示は省略するが、図4で示したビーズ10Bのハリス入口開口部12cを、本実施形態のビーズ10Cの各開口部12a及び12dに採用することもできる。このようにすれば、ハリス60の挿通がさらに容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明は、釣り用具の製造業、釣り用具の販売業、釣りのインストラクター業などにおいて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】釣り用仕掛け及びビーズを示した正面図である。
【図2】ビーズの構成を示した正面断面図である。
【図3】釣り人がビーズをつまんでハリスを孔に差し込む状態を示した図である。
【図4】開口部の形状を変更したビーズの形態を示した正面断面図である。
【図5】突部を二つ設けたビーズの形態を示した図である。
【符号の説明】
【0051】
10、10B、10C ビーズ
10a 上面 10b 下面
11 幹糸挿通孔 11a 幹糸入口開口部
11b 幹糸出口開口部 12 ハリス挿通孔
12a、12c ハリス入口開口部
12b、12d ハリス出口開口部
13 ハリス当接面
13a 上辺 13b 下辺
14 指当て部
14a 上側指当て部 14b 下側指当て部
15、25 突部
16 段部
16a 上側段部 16b 下側段部
23 第二ハリス当接面
50 幹糸 51 幹糸結びこぶ
55 重り 56 撚り戻し
60 ハリス 60a ハリス先端
61 ハリス結びこぶ 70 釣り針
100 釣り糸用仕掛け


【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹糸に横糸を接続するためのビーズにおいて、
その縦方向に貫通して幹糸が挿通される幹糸挿通孔と、横方向に貫通して横糸が挿通される横糸挿通孔と、ビーズの周面から張り出した突部と、を備え、
前記横糸挿通孔の開口部を突部に設け、その突部を両側から挟むように指でつまんだ場合に指腹部が食い込む凹部である段部と、
を形成したことを特徴とするビーズ。
【請求項2】
前記横糸を挿入するための横糸挿通孔の開口部周辺の面を、平面状に形成した横糸当接面を設けたことを特徴とする請求項1記載のビーズ。
【請求項3】
前記横糸当接面の幅を、ビーズの幅とほぼ等しく形成したことを特徴とする請求項2に記載のビーズ。
【請求項4】
前記横糸挿通孔の開口部を、その横糸挿通孔の他の部位よりも大きくカットされたロート状に形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のビーズ。
【請求項5】
前記横糸挿通孔の長手方向は、前記幹糸挿通孔の直角方向に対し傾斜するように形成し、横糸当接面を横糸挿通孔に直交するように形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のビーズ。
【請求項6】
前記横糸挿通孔の両側の周面に平面領域を有する指当て部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のビーズ。
【請求項7】
幹糸に横糸を接続するためのビーズにおいて、
その縦方向に貫通して幹糸が挿通される幹糸挿通孔と、横方向に貫通して横糸が挿通される横糸挿通孔と、ビーズの周面からそれぞれ張り出した突部と、を備え、
その両方の突部を両側から挟むように指でつまんだ場合に指腹部が食い込む凹部である段部と、を形成し、
前記横糸が挿出入される横糸挿通孔の両方の開口部をそれぞれ突部に設けたことを特徴とするビーズ。
【請求項8】
縦方向に長く延びた幹糸と、その幹糸の中途部に複数設けられたビーズと、それら各ビーズから横方向に延出した横糸とを備えた釣り用仕掛けであって、
前記各ビーズは、請求項1から請求項7のいずれかに記載のビーズを備えたこと特徴とする釣り用仕掛け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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