説明

ピロール化合物

本発明は、式:


[式中、Aは少なくとも1個の置換基を有するピリジル基


(式中、R、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、RおよびR6は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す)を示す]で表される化合物若しくはその塩、またはそれを含有してなる医薬に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸分泌抑制活性を有するピロール系化合物に関する。
【0002】
(発明の背景)
消化性潰瘍および逆流性食道炎等の治療を目的に、胃酸の分泌を抑制するオメプラゾールに代表されるプロトンポンプ阻害剤が広く臨床現場で使用されている。しかしながら、既存のプロトンポンプ阻害剤には効果、副作用の点で問題点が存在する。すなわち、既存のプロトンポンプ阻害剤は酸性条件下で不安定であることから腸溶製剤として処方されることが多く、その場合、作用の発現までに数時間を要し、更に連投で最大薬効を示すまでに約5日を要する。また、既存のプロトンポンプ阻害剤は代謝酵素多型に基づく治療効果のバラツキやジアゼパム等の薬剤との薬物間相互作用が懸念され、改良が望まれている。プロトンポンプ阻害作用を有するピロ−ル化合物として、特許文献1には式
【0003】
【化1】

【0004】
[式中、XおよびYは、同一または異なって、それぞれ結合手または主鎖が原子数1ないし20のスペーサーを、rは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を、r、rおよびrは、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよいチエニル基、置換されていてもよいベンゾ[b]チエニル基、置換されていてもよいフリル基、置換されていてもよいピリジル基、置換されていてもよいピラゾリル基、置換されていてもよいピリミジニル基、アシル基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を、rおよびrは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す]で表される化合物等が記載されている。また、プロトンポンプ阻害作用を有するピロール化合物として、特許文献2には式
【0005】
【化2】

【0006】
[式中、rは、ベンゼン環もしくは複素環と縮合していてもよい単環式含窒素複素環基を示し、該ベンゼン環もしくは複素環と縮合していてもよい単環式含窒素複素環基は任意に置換基を有していてもよく、rは、置換されていてもよいC6−14アリール基、置換されていてもよいチエニル基または置換されていてもよいピリジル基を、rおよびr10は、同一または異なって、それぞれ水素原子を示すか、あるいはrおよびr10の一方が水素原子を、他方が置換されていてもよい低級アルキル基、アシル基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を、r11は、アルキル基を示す]で表される化合物等が記載されている。
【0007】
さらに、新生物の疾患(Neoplastic Disease)や自己免疫疾患の治療薬として、特許文献3には式
【0008】
【化3】

【0009】
[式中、rはアリール、アラルキル、ヘテロアリールなどを、rはアリール、ヘテロアリールなどを、rはアリール、ヘテロアリール、置換されていてもよいアミノメチルなどを示す]で表される化合物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2006/036024号
【特許文献2】国際公開第2007/026916号
【特許文献3】国際公開第2004/103968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
既知プロトンポンプ阻害剤と同様に胃酸の分泌を効果的に抑制し、かつ既知プロトンポンプ阻害剤の問題点である、酸性条件下における不安定性、代謝酵素多型に基づく効果のバラツキおよび薬物間相互作用を改善した薬剤は、消化性潰瘍および逆流性食道炎等に対してより優れた治療効果が期待できる。しかし、現状ではこれらの要件を十分に満足するプロトンポンプ阻害剤は見出されていない。従って、本発明の目的は、これらの問題点を改善した優れた酸分泌抑制作用(特に、プロトンポンプ阻害作用)を有する化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、種々検討した結果、式(I)
【0013】
【化4】

【0014】
で表される化合物(式中の記号は後述する)またはその塩〔以下、化合物(I)と略記する場合がある〕が予想外にも非常に強いプロトンポンプ阻害作用を有しており、医薬として十分満足できるものであることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0015】
即ち、本発明は、
〔1〕式(I)
【0016】
【化5】

【0017】
[式中、Aは少なくとも1個の置換基を有するピリジル基
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、RおよびR6は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す)を示す]で表される化合物またはその塩、
〔2〕Aが、式(A−1)[式中、RおよびRは、ともに水素原子を示し、Rは、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示す。]で表される上記〔1〕記載の化合物またはその塩、
〔3〕Rが、C1−6アルキル基、またはC1−6アルコキシ基である上記〔2〕記載の化合物またはその塩、
〔4〕1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N-メチルメタンアミンまたはその塩、
〔5〕1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−2−イル)スルホニル]−1H-ピロール−3−イル}−N-メチルメタンアミンまたはその塩、
〔6〕1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
〔7〕1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
〔8〕1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
〔9〕上記〔1〕記載の化合物またはその塩のプロドラッグ、
〔10〕上記〔1〕記載の化合物もしくはその塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬、
〔11〕酸分泌抑制剤である上記〔10〕記載の医薬、
〔12〕カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium−Competitive Acid Blocker)である上記〔10〕記載の医薬、
〔13〕消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍あるいは手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍の治療もしくは予防剤;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制剤である上記〔10〕記載の医薬、
〔14〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載の化合物もしくはそれらの塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍あるいは手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍の治療または予防方法;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制方法、
〔15〕消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍あるいは手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍の治療もしくは予防剤;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制剤を製造するための上記〔1〕記載の化合物もしくはその塩またはそれらのプロドラッグの使用、および
〔16〕Aが、少なくとも1個の置換基を有するピリジル基、式(A−1)または式(A−2)[式中、RおよびRのいずれか一方が、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、他方が、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rが、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、RおよびR6は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す]で表される上記〔1〕化合物またはその塩、
に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の化合物(I)は、優れたプロトンポンプ阻害作用を示す。ここで、オメプラゾールやランソプラゾールなどの従来型プロトンポンプ阻害薬が、胃壁細胞の酸性環境で活性体に変換されてH/K−ATPaseのシステイン残基と共有結合し、非可逆的に酵素活性を阻害するのに対し、化合物(I)は、プロトンポンプ(H/K−ATPase)活性を可逆的かつK拮抗型阻害様式により阻害し、結果的に酸分泌を抑制することから、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium−Competitive Acid Blocker:P−CAB)、あるいはアシッドポンプアンタゴニスト(APA)と呼ばれることもある。化合物(I)は、作用発現が早く、初回投与時から最大薬効を示す。さらに、代謝多型の影響(患者間のバラツキ)が少ない。また、化合物(I)は、(i)ピロール環の5位の置換基が2−F−3−ピリジル基、(ii)ピロール環の4位の置換基がフッ素原子、(iii)ピロール環の1位が少なくとも1つ以上の置換基を有する2−ピリジルスルホニル基または3−ピリジルスルホニル基という特徴的な化学構造にデザインされており、かかる化学構造とすることによって、強いプロトンポンプ阻害活性を有し、且つ細胞傷害性が大きく低減されることが見出された。さらに、化合物(I)のピロール環の4位をフッ素原子で置換することによって、フッ素原子の電子吸引効果により、メチルアミノメチル部分の塩基性(pKa値)を低下させ、強い塩基性由来の毒性発現リスクを低減させていること、化合物(I)のAにおける2−ピリジル基または3−ピリジル基に、少なくとも1個の置換基を導入することにより、作用持続時間が最適にコントロールされているのも特徴である。したがって、本発明は、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる潰瘍等)、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、びらん性食道炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic gastroesophageal reflux disease(Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、あるいは胃酸過多の臨床上有用な予防・治療剤;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制剤などを提供することができる。化合物(I)は、毒性が低く、水溶性、体内動態、薬効発現の面でも優れているので、医薬として有用である。化合物(I)は、酸性条件下でも安定であるため、腸溶製剤にすることなく通常の錠剤等として経口投与することができる。このため、錠剤等の製剤を小さくすることができることから、嚥下力の弱い病人、特に老人や小人に服用しやすくなるという利点を有する。しかも、腸溶製剤のような徐放効果はないので、胃酸分泌抑制作用の発現が速く、痛み等の症状の改善が速い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例2についての麻酔ラット胃灌流モデルにおける灌流液pH測定試験の結果を示す。
【図2】実施例5についての麻酔ラット胃灌流モデルにおける灌流液pH測定試験の結果を示す。
【図3】実施例24についての麻酔ラット胃灌流モデルにおける灌流液pH測定試験の結果を示す。
【0022】
(発明の詳細な説明)
本明細書中、「ハロゲン原子」、「ハロゲン」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。式(I)中、Aは少なくとも1個の置換基を有するピリジル基を示す。Aで示される「少なくとも1個の置換基を有するピリジル基」としては、式
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す)で表される基が挙げられる。「少なくとも1個の置換基を有する」とは、部分構造(A−1)中、R、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではなく、部分構造(A−2)中、R、R、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではないことを示す。
【0025】
、R、R、R、R、RおよびRで示される「ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基」としては、1ないし5個(好ましくは1ないし3個)のハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を有していてもよいC1−6アルキル基であり、例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、トリフルオロメチル等が挙げられる。
【0026】
、R、RおよびRで示される「ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基」としては、1ないし5個(好ましくは1ないし3個)のハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を有していてもよいC1−6アルコキシ基であり、例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、フルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ等が挙げられる。
【0027】
は、好ましくは、水素原子またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル)である。Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル)、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)である。Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)である。Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル)である。Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル)、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)である。Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル)である。Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル)である。
として、特に好ましくは、水素原子またはC1−6アルキル基である。Rとして、特に好ましくは、水素原子、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基である。Rとして、特に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルコキシ基である。Rとして、特に好ましくは、水素原子またはC1−6アルキル基である。Rとして、特に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子またはC1−6アルキル基である。Rとして、特に好ましくは、水素原子またはC1−6アルキル基である。Rとして、特に好ましくは、水素原子またはC1−6アルキル基である。
式(I)中、Aは、以下の態様として分類することができる。
(i)Aが、式(A−1)であり、式中、RおよびRは、ともに水素原子を示し、Rは、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示す。
(ii)Aが、少なくとも1個の置換基を有するピリジル基、式(A−1)または式(A−2)であり、式中、RおよびRのいずれか一方が、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、他方が、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rが、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、RおよびR6は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す)を示す。
【0028】
式(I)におけるAの別の好ましい態様としては、式
【0029】
【化8】

【0030】
(式中、R、RおよびRは、前記と同意義を示し、式(I)において対応する置換基の好ましい態様に準ずる。)が挙げられ、部分構造(A−3)のピリジル基は、メチル基の他に少なくとも1個の置換基R、RまたはRを有する。部分構造(A−3)中、R、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではない。
Aで示される「少なくとも1個の置換基を有するピリジル基」として、好ましくは、式
【0031】
【化9】

【0032】
(式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、前記と同意義を示し、式(I)において対応する置換基の好ましい態様に準ずる。)である。部分構造(A−2a)中、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではなく、部分構造(A−2b)中、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではない。
【0033】
化合物(I)の特に好ましい態様としては、下記式(Ia)または(Ib)で表される化合物またはその塩が挙げられる。
【0034】
【化10】

【0035】
【化11】

【0036】
ここで、式(Ia)および(Ib)における各置換基の好ましい態様は、式(I)において対応する置換基の好ましい態様に準ずる。
化合物(I)の特に好ましい別の態様として、下記式(Ia−1)、式(Ia−2)、式(Ib)または式(Ic)で表される化合物またはその塩が挙げられる。
【0037】
【化12】

【0038】
【化13】

【0039】
【化14】

【0040】
【化15】

【0041】
ここで、式(Ia−1)、式(Ia−2)、式(Ib)および式(Ic)における各置換基の好ましい態様は、式(I)において対応する置換基の好ましい態様に準ずるが、式(Ia−1)において、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではなく、式(Ia−2)において、Rは水素原子ではなく、式(Ib)において、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではなく、式(Ic)において、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素原子ではない。
【0042】
具体的には、式(Ia−1)のRおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示す。式(Ia−1)のRとして好ましくは、水素原子またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基であり、特に好ましくは、水素原子またはC1−6アルキル基である。式(Ia−1)のRとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルコキシ基である。
【0043】
式(Ia−2)のRは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示す。式(Ia−2)のRとして、好ましくは、水素原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、C1−6アルキル基、またはC1−6アルコキシ基である。
【0044】
式(Ib)のRは、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rとして好ましくは、水素原子またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基であり、特に好ましくは、水素原子またはC1−6アルキル基である。
式(Ib)のRは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基であり、特に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基である。
【0045】
式(Ic)のRは、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基であり、Rとして好ましくは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基であり、特に好ましくは、水素原子、またはC1−6アルキル基である。
式(Ic)のRは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rとして好ましくは、水素原子またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、特に好ましくは、水素原子またはC1−6アルキル基である。
【0046】
上記した中でも式(Ia−2)が特に好ましい。
【0047】
中でも化合物(I)として、以下のものが好ましい。
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(3−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(2−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{1−[(5−クロロピリジン−3−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−6−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メトキシピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{1−[(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{1−[(5−クロロピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{1−[(5,6−ジメチルピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{1−[(4,5−ジメチルピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、および
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩。
【0048】
化合物(I)として、中でも特に以下の化合物が好ましい。
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N-メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−2−イル)スルホニル]−1H-ピロール−3−イル}−N-メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4-メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩、および
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩。
【0049】
化合物(I)の塩としては、例えば金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。金属塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。このうち、薬学的に許容し得る塩が好ましい。例えば、化合物内に酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩、アンモニウム塩等、また、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
【0050】
本発明における化合物(I)の製造法について説明する。なお、式中の化合物(II)〜(XXXIII)は、塩を形成していてもよく、このような塩としては、例えば化合物(I)の塩と同様のものが挙げられる。また、各工程で得られた化合物は反応液のまま、または粗生成物として得た後に次反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に単離、精製することができる。
【0051】
【化16】

【0052】
化合物(II)(式中、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルあるいはブチル等のC1−4アルキル基を示す)は自体公知の方法、例えばケミカル アンド ファーマシューティカル ブレタン(Chem.Pharm.Bull.)、49巻、1406頁(2001年)やテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、35巻、5989頁(1994年)などに記載の方法、またはこれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0053】
化合物(III)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(II)をN−フルオロピリジニウム塩、キセノンジフルオライドなどのフッ素化剤を用いてフッ素化することにより製造することができる。これらフッ素化剤の使用量は化合物(II)に対し0.75〜10当量、好ましくは1〜5当量である。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトニトリルなどの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なるが、通常10分〜24時間、好ましくは30分〜12時間である。反応温度は通常−78℃〜100℃、好ましくは−20℃〜60℃である。また、例えばN−ブロモコハク酸イミド(NBS)などで臭素化した後に置換反応によりフッ素基に変換するなど、段階的に反応させてフッ素基を導入することも可能である。
【0054】
化合物(IV)は化合物(III)を水素化アルミニウムリチウムや水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム等の還元剤を用いて還元することにより製造することができる。還元剤としては特に水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。これら還元剤の使用量は化合物(III)に対し0.75〜10当量、好ましくは1〜5当量である。
【0055】
本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なるが、通常10分〜24時間、好ましくは30分〜8時間である。反応温度は通常−78℃〜100℃、好ましくは−78℃〜25℃である。
【0056】
化合物(V)は化合物(IV)とクロム酸−ピリジン錯体、クロロクロム酸ピリジニウム、二酸化マンガン、三酸化硫黄−ピリジン錯体あるいはテトラ−n−プロピルアンモニウム ペルルテナート(tetra−n−propylammonium perruthenate)等の酸化剤とを反応させることによって製造することができる。酸化剤としては二酸化マンガン、三酸化硫黄−ピリジン錯体あるいはテトラ−n−プロピルアンモニウム ペルルテナートが好ましい。本酸化反応は、例えばシンセシス(Synthesis)、639頁(1994年)記載の方法に準じて実施することができる。
化合物(VII)は化合物(V)と式(VI)
【0057】
【化17】

【0058】
(式中のXはフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子を示し、その他の記号は前記と同意義を示す)で表される化合物とを反応させることによって製造することができる。化合物(VI)の使用量は、化合物(V)1モルに対し、0.75〜10モル、好ましくは1〜3モルである。
【0059】
本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリルなどの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。
【0060】
本反応は塩基の使用が効果的である。塩基としては例えば水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウムなどの塩基性塩類、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどの金属塩基類、ピリジン、ルチジンなどの芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン類などが挙げられる。これら塩基の使用量は、化合物(V)1モルに対し0.8〜10モル、好ましくは1〜5モルである。また、本反応はクラウンエーテル類を共存させて行うことも可能であり有利である。クラウンエーテルとしては例えば15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテルなどが挙げられる。これらクラウンエーテルの使用量は、化合物(V)1モルに対し0.01〜10モル、好ましくは1〜5モルである。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なるが、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜8時間である。反応温度は通常−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃である。
【0061】
化合物(I)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(VII)とメチルアミン又はその塩を用いて、新実験化学講座、第14−III巻、1380頁〜1385頁(丸善株式会社刊)に記載の方法等に準じた還元アミノ化反応によって製造することができる。また、化合物(II)は以下の方法によっても製造することができ、さらに前記と同様の方法を用いて化合物(I)を製造することができる。
【0062】
【化18】

【0063】
化合物(VIII)(式中の記号は前記と同意義を示す)は自体公知の方法、例えばテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、13巻、5337頁(1972年)、ヘテロサイクルズ(Heterocycles)、7巻、77頁(1977年)、ケミカル アンド ファーマシューティカル ブレタン(Chem. Pharm. Bull.)、27巻、2857頁(1979年)、ジャーナル オブ オーガニックケミストリー(J.Org.Chem.)、62巻、2649頁(1997年)等に記載の方法、またはこれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0064】
化合物(IX)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(VIII)に対してN−ブロモコハク酸イミド(NBS)を反応させることによって製造することができる。N−ブロモコハク酸イミド(NBS)は化合物(VIII)に対して約1当量使用することが好ましく、また、反応は窒素やアルゴンなどの不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
【0065】
本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なるが、通常10分〜24時間、好ましくは5〜12時間である。反応温度は通常−78℃〜80℃、好ましくは−78℃〜30℃である。
【0066】
本反応は塩基の添加が有効な場合がある。用いられる塩基は反応が進行する限り限定されないがピリジン、ピコリン、ルチジンなどの有機塩基などが挙げられる。これら有機塩基の使用量は化合物(VIII)に対し0.001〜10当量、好ましくは0.001〜0.1当量である。
【0067】
化合物(X)(式中、Rはピロールの保護基を、その他の記号は前記と同意義を示す)は化合物(IX)に対してピロール窒素を保護することにより製造することができる。ピロールの保護基としては特に限定されるものではないが、tert−ブトキシカルボニル基(BOC基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、アリール又はヘテロアリールスルホニル基、ベンジル基、トリイソプロピルシリル基などが例として挙げられる。
【0068】
本保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley−Interscience社, 1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著)、494頁〜653頁に記載の方法などに準じて実施することができる。
【0069】
化合物(XII)(式中の各記号は前記と同意義を示す)は化合物(X)と式(XIa)(式中の各記号は前記と同意義を示す)
【0070】
【化19】

【0071】
で表される化合物或いは式(XIa)の各種エステル誘導体とを、シンセティック コミュニケーションズ(Synthetic Communications)、11巻、513頁(1981年)に記載されている方法、またはこれらに準じた方法に従って反応させることによって製造することができる。また、化合物(X)と式(XIb)
【0072】
【化20】

【0073】
(式中のRはアルキル基またはアリール基を示す)で表される化合物を、シンセシス(Synthesis)、7巻、564−565頁(1986年)に記載されている方法、またはこれらに準じた方法に従って反応させることによっても製造することができる。Rの「アルキル基」としては、メチル基、n−ブチル基が、「アリール基」としてはフェニル基が例として挙げられる。
【0074】
化合物(II)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(IX)に対して化合物(X)から化合物(XII)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。或いは、化合物(XII)から自体公知の方法、例えば、Wiley−Interscience社1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著)、494頁〜653頁に記載の方法などに準じてピロール窒素の保護基を除去することによって製造することができる。また、化合物(I)は以下の方法によっても製造することができる。
【0075】
【化21】

【0076】
化合物(XIII)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(III)に対して化合物(V)から化合物(VII)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0077】
化合物(XIV)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XIII)に対して化合物(III)から化合物(IV)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0078】
化合物(VII)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XIV)に対して化合物(IV)から化合物(V)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0079】
化合物(I)は化合物(VII)から前記と同様の方法を用いて製造することができる。或いは化合物(XIV)から、ハロゲン化やメタンスルホニル化を経て、メチルアミンを反応させる方法や、Bocなどで保護されたメチルアミンと縮合した後に脱保護を行う方法などによっても製造することも可能である。また、化合物(I)は以下の方法によっても製造することができる。
【0080】
【化22】

【0081】
化合物(XV)は化合物(V)に対して化合物(VII)から化合物(I)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0082】
化合物(XVI)(式中、R10はアミノ基の保護基を示す)は化合物(XV)に対してアミノ基を保護することにより製造することができる。アミノ基の保護基としてはtert−ブトキシカルボニル基(BOC基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、2,4−ジメトキシベンジル基などが挙げられるが特に限定されるものではない。本保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley−Interscience社1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著)、494頁〜653頁に記載の方法などに準じて実施できる。
【0083】
化合物(XVII)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XVI)に対して化合物(V)から化合物(VII)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0084】
化合物(I)は化合物(XVII)から自体公知の方法、例えば、Wiley−Interscience社1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著)、494頁〜653頁に記載の方法などに準じてアミノ基の保護基を除去することによって製造することができる。また、化合物(V)は以下の方法によっても製造することができ、さらに前記と同様の方法を用いて化合物(I)を製造することができる。
【0085】
【化23】

【0086】
化合物(XVIII)は自体公知の方法、例えばジャーナル オブ オーガニックケミストリー(J.Org.Chem.)、55巻、6317頁(1990年)等に記載の方法、またはこれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0087】
化合物(XIX)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XVIII)に対して、化合物(IX)から化合物(X)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0088】
化合物(XX)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XIX)に対して、化合物(X)から化合物(XII)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0089】
化合物(XXI)は化合物(XX)に対して、化合物(XII)から化合物(II)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。或いは化合物(XVIII)に対して化合物(X)から化合物(XII)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0090】
化合物(V)は化合物(XXI)に対して、化合物(II)から化合物(III)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。また、化合物(V)は以下の方法によっても製造することができ、さらに前記と同様の方法を用いて化合物(I)を製造することができる。
【0091】
【化24】

【0092】
化合物(XXII)(式中の記号は前記と同意義を示す)は自体公知の方法、例えばテトラへドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、40巻、4905−4908頁(1999年)等に記載の方法、またはこれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0093】
化合物(XXIII)(式中、R11はヒドロキシ基の保護基を、その他の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XXII)に対して、例えばオーガニック バイオモレキュラー ケミストリー(Org.Biomol.Chem.)、1巻、3527−3534頁(2003年)に記載の方法などを用いてブロモ(或いはクロロ、ヨード)ジフルオロ酢酸エステルを反応させた後に、生じたヒドロキシ基を保護することによって製造することができる。ヒドロキシ基の保護基としては反応が進行する限り特に限定されるものではないが、トシル基、メシル基などが好ましい例として挙げられる。
【0094】
化合物(XXIV)(式中、R12はアミド基の保護基を、その他の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XXIII)に対して、アミノ基の脱保護を経由する環化反応を行った後に、アミド基を保護することにより製造することができる。アミノ基の脱保護及び環化の条件については反応が進行する限り特に限定されるものではないが、例えば塩化水素の酢酸エチル溶液中などで脱保護と同時に環化させる反応条件などが例として挙げられる。アミド基の保護基に関しては反応が進行する限り、限定されるものではないが、tert−ブトキシカルボニル基(BOC基)などが好ましい例として挙げられる。
【0095】
化合物(XXVI)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XXIV)に対して式(XXV)(式中のZはLi、MgBrなどの求核性を付与する原子又は分子を示す)で表される化合物を反応させることによって製造することができる。
【0096】
【化25】

【0097】
化合物(XXV)は例えばテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.)、21巻、4137頁(1980年)、或いはテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.)、42巻、8697頁(2001年)に記載されている方法、またはこれらに準じた方法に従って反応系中で生成させればよい。
【0098】
本反応の溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、n−ヘキサン、トルエンなどの炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は、用いる基質や溶媒により異なるが、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜24時間である。
【0099】
化合物(XXVII)は自体公知の方法、例えばテトラへドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、36巻、5119−5122頁(1995年)等に記載の方法、またはこれらに準じた方法に従って製造することができる。或いは、化合物(XXVI)に対して還元反応を行った後に塩基を作用させることにより製造することができる。本反応に使用する還元剤としては反応が進行する限り特に限定されるものではないが、水素化ホウ素ナトリウムなどが好ましい例として挙げられる。
【0100】
塩基としては例えば水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウムなどの塩基性塩類、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどの金属塩基類、ピリジン、ルチジンなどの芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの第3級アミン類などが挙げられる。これら塩基の使用量は、化合物(XXV)1モルに対し0.8〜20モル、好ましくは1〜10モルである。
【0101】
本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリルなどの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。また、本反応はクラウンエーテル類を共存させて行うことも可能であり有利である。クラウンエーテルとしては例えば15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテルなどが挙げられる。これらクラウンエーテルの使用量は、化合物(XXVI)1モルに対し0.01〜10モル、好ましくは1〜5モルである。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なるが、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜8時間である。反応温度は通常−78℃〜100℃、好ましくは−10℃〜70℃である。
【0102】
化合物(XXVIII)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XXVII)に対して、化合物(IX)から化合物(X)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0103】
化合物(V)は化合物(XXVIII)に対して、例えばジメチルホルムアミドと塩化オキサリルの反応生成物を作用させる方法などに代表されるホルミル化反応を行うことにより製造することができる。また、シアノ基やカルボン酸を導入した後にアルデヒドに変換するなどの方法によって製造することも可能である。また、化合物(XVI)は以下の方法によって製造することもでき、さらに前記と同様の方法を用いて化合物(I)を製造することができる。
【0104】
【化26】

【0105】
化合物(XXIX)(式中、R12は前記と同意義を、R13は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を示す)は自体公知の方法、例えばジャーナル オブ オーガニックケミストリー(J.Org.Chem.)、66巻、315頁(2001年)等に記載の方法、またはこれらに準じた方法に従って製造することができる。R12のアミド保護基としてはtert−ブトキシカルボニル基(BOC基)、トシル基、ベンジル基、アリル基などが例として挙げられるが特に限定されるものではない。
【0106】
化合物(XXX)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XXIX)を塩基と作用させることにより製造することができる。塩基としては例えば水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウムなどの塩基性塩類、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどの金属塩基類、ピリジン、ルチジンなどの芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの第3級アミン類などが挙げられる。これら塩基の使用量は、化合物(XXIX)1モルに対し0.8〜10モル、好ましくは1〜5モルである。
【0107】
本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリルなどの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なるが、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜8時間である。反応温度は通常−78℃〜100℃、好ましくは−10℃〜70℃である。
【0108】
化合物(XXXIa)(式中の記号は前記と同意義を示す)或いは化合物(XXXIb)(式中の記号は前記と同意義を示す)は化合物(XXX)に対して、化合物(XXIV)から化合物(XXVI)を製造する方法と同様の方法によって製造することができる。
【0109】
化合物(XXXII)は化合物(XXXIa)または化合物(XXXIb)の脱保護と脱水反応を行うことにより製造することができる。反応条件については特に限定されるものではなく保護基の種類や使用する溶媒により異なるが、例えば、トリフルオロ酢酸や塩酸などの酸と処理することにより、脱保護と脱水反応を連続的に行う条件などが例として挙げられる。
【0110】
化合物(XVI)(式中の記号は前記と同意義を示す)は式(XXXIII)(式中の記号は前記と同意義を示す)で表される化合物を水素化ナトリウムやn−ブチルリチウムなどの塩基で処理した後に、化合物(XXXII)と反応させることによって製造することができる。
【0111】
【化27】

【0112】
本反応におけるR10で表される保護基は除去可能である限り特に限定されるものではないが、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、2,4−ジメトキシベンジル基などが好ましい例として挙げられる。
【0113】
本反応の溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、n−ヘキサン、トルエンなどの炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は、用いる基質や溶媒により異なるが、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜5時間である。反応温度は通常−100℃〜100℃、好ましくは−78℃〜30℃である。
【0114】
化合物(I)は、公知の手段、例えば、転溶、濃縮、溶媒抽出、分溜、液性変換、晶出、再結晶、クロマトグラフィーなどによって単離、精製することができる。化合物(I)が遊離化合物として得られる場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法によって、目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られる場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または目的とする他の塩に変換することができる。
【0115】
化合物(I)はプロドラッグとして用いてもよい。化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);化合物(I)のヒドロキシ基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、化合物(I)のヒドロキシ基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);化合物(I)のカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0116】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)によりそれぞれを単品として得ることができる。
【0117】
化合物(I)は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても化合物(I)に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
【0118】
化合物(I)は、溶媒和物(例えば、水和物等)であっても、無溶媒和物であってもよく、いずれも化合物(I)に包含される。
【0119】
同位元素(例、H、14C、35S、125Iなど)などで標識された化合物および、HをH(D)に変換した重水素変換体も、化合物(I)に包含される。
【0120】
本発明の化合物(I)もしくはその塩、またはそれらのプロドラッグ(以下、本発明化合物と略記することがある)は、プロトンポンプ阻害作用を有し、効果的に胃酸の分泌を抑制する。また、毒性(例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、薬物相互作用、癌原性など)が低く、さらに、水溶性が高く、安定性、体内動態(吸収性、分布、代謝、排泄など)、薬効発現の面でも優れているので、医薬として有用である
【0121】
本発明化合物は、哺乳動物(例、ヒト、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)において、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる潰瘍等);ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群;胃炎;びらん性食道炎;びらん性逆流性食道炎などの逆流性食道炎;非びらん性胃食道逆流症あるいは食道炎を伴わない胃食道逆流症などの症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD));Barrett食道;機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia);胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多型によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む);胃MALTリンパ腫;胃酸過多;消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎または侵襲ストレス(例、手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)等による上部消化管出血;気道疾患(Airway Disorders);喘息(Asthma)等の治療および予防、麻酔前投与、ヘリコバクター・ピロリ除菌あるいは除菌の補助等に有用である。ここで、上記逆流性食道炎(びらん性食道炎)および症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))を合わせて単にGERDと称する場合がある。
【0122】
本発明の医薬組成物中の、本発明化合物の含有量は、組成物全体の約0.01ないし100重量%である。該投与量は、投与対象、投与ルート、疾患等によっても異なるが、例えば、抗潰瘍剤として、成人(60kg)に対し経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜約1500mg/日、好ましくは約5〜約150mg/日である。本発明化合物は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
【0123】
本発明化合物は、毒性が低く、そのままあるいは自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体を混合した医薬組成物、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、口腔内崩壊錠、口腔内崩壊フィルム、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤、貼布剤等の製剤として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。とりわけ、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等として経口剤として好適に投与される。
【0124】
本発明の医薬組成物の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、水溶性高分子、塩基性無機塩;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等があげられる。また、必要に応じて、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、酸味剤、発泡剤、香料等の添加物を用いることもできる。該「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、でんぷん、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、酸化チタン等が挙げられる。該「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸等が挙げられる。該「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。該「崩壊剤」としては、(1)クロスポビドン、(2)クロスカルメロースナトリウム(FMC−旭化成(株)製)、カルメロースカルシウム(五徳薬品製)等スーパー崩壊剤と称される崩壊剤、(3)カルボキシメチルスターチナトリウム(例、松谷化学(株)製)、(4)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例、信越化学(株)製)、(5)コーンスターチ等が挙げられる。該「クロスポビドン」としては、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)、1−ビニル−2−ピロリジノンホモポリマーと称されているものも含め、1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーという化学名を有し架橋されている重合物のいずれであってもよく、具体例としては、コリドンCL(登録商標;BASF社製)、ポリプラスドンXL(登録商標;ISP社製)、ポリプラスドンXL−10(登録商標;ISP社製)、ポリプラスドンINF−10(登録商標;ISP社製)等である。該「水溶性高分子」としては、例えば、エタノール可溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載することがある)等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン等〕、エタノール不溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載することがある)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガム等〕等が挙げられる。該「塩基性無機塩」としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。好ましくはマグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩である。さらに好ましくはマグネシウムの塩基性無機塩である。該ナトリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。該カリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。該マグネシウムの塩基性無機塩としては、例えば、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト〔MgAl(OH)16・CO・4HO〕および水酸化アルミナ・マグネシウム、好ましくは、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。該カルシウムの塩基性無機塩としては、例えば、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。該「溶剤」としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。該「溶解補助剤」としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。該「懸濁化剤」としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。該「等張化剤」としては、例えば、ブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。該「緩衝剤」としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。該「無痛化剤」としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。該「防腐剤」としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。該「抗酸化剤」としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。該「着色剤」としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号等の食用色素;食用レーキ色素、ベンガラ等が挙げられる。該「甘味剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。該「酸味剤」としては、例えば、クエン酸(無水クエン酸)、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。該「発泡剤」としては、例えば、重曹等が挙げられる。該「香料」としては、合成物および天然物のいずれでもよく、例えば、レモン、ライム、オレンジ、メントール、ストロベリー等が挙げられる。
【0125】
本発明化合物は、自体公知の方法に従い、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤または滑沢剤等の担体を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。腸溶性製剤とする場合、腸溶層と薬剤含有層との間に両層の分離を目的として、自体公知の方法により中間層を設けることもできる。
【0126】
本発明化合物を例えば口腔内崩壊錠とする場合、例えば、結晶セルロースおよび乳糖を含有する核を、本発明化合物および必要により塩基性無機塩で被覆し、さらに水溶性高分子含有被覆層で被覆して組成物を得、得られた組成物をポリエチレングリコール含有腸溶性被覆層で被覆し、次にクエン酸トリエチル含有腸溶性被覆層で被覆し、さらにポリエチレングリコール含有腸溶性被覆層で被覆し、最後にマンニトールで被覆して細粒を得、得られた細粒と添加剤とを混合し、成形する方法によって製造することができる。
【0127】
上記「腸溶性被覆層」としては、例えば、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸共重合体〔例えば、オイドラギット(Eudragit)(登録商標)L30D−55(レーム社製)、コリコート(登録商標)MAE30DP(BASF社製)、ポリキッド(登録商標)PA30(三洋化成社製)等〕、カルボキシメチルエチルセルロース、セラック等の水系腸溶性高分子基剤;メタアクリル酸共重合体〔例えば、オイドラギット(登録商標)NE30D、オイドラギット(登録商標)RL30D、オイドラギット(登録商標)RS30D等〕等の徐放性基剤;水溶性高分子;クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油等の可塑剤等の一種または二種以上混合したもの等からなる層が挙げられる。
【0128】
上記「添加剤」としては、例えば、水溶性糖アルコール(例、ソルビトール、マンニトールおよびマルチトール、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトール等)、結晶セルロース(例、セオラス(登録商標)KG 801、アビセル(登録商標)PH 101、アビセル(登録商標)PH 102、アビセル(登録商標)PH 301、アビセル(登録商標)PH 302、アビセル(登録商標)RC−591(結晶セルロース・カルメロースナトリウム)等)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例、LH−22、LH−32、LH−23、LH−33(信越化学(株))およびこれらの混合物等)等が挙げられ、さらに結合剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、賦形剤、崩壊剤等も用いられる。
【0129】
本発明化合物は、さらに他の1ないし3種の活性成分と併用してもよい。該「他の活性成分」としては、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物、ビスマス塩、キノロン系化合物等が挙げられる。該「抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質」としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン(piperacillin)、メシリナム、アンピシリン(ampicillin)、テモシリン(temocillin)、バカンピシリン(bacampicillin)、アスポキシリン(aspoxicillin)、スルタミシリン(sultamicillin)、レナンピシリン(lenampicillin)等)、セフェム系抗生物質(例、セフィキシム、セファクロル等)、マクロライド系抗生物質(例、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、ロキタマイシン(rokitamycin)、フルリスロマイシン(flurithromycin)、テリスロマイシン(telithromycin)等)、テトラサイクリン系抗生物質(例、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ストレプトマイシン等)、アミノグリコシド系抗生物質(例、ゲンタマイシン、アミカシン等)、イミペネム等が挙げられる。中でも、ペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質等が好ましい。該「イミダゾール系化合物」としては、例えば、メトロニダゾール(metronidazole)、ミコナゾール等が挙げられる。該「ビスマス塩」としては、例えば、ビスマス酢酸塩、ビスマスクエン酸塩、ビスマス次サリチル酸塩(bithmuth subsalicylate)等が挙げられる。該「キノロン系化合物」としては、例えば、オフロキサシン、シプロキサシン等が挙げられる。とりわけ、ヘリコバクター・ピロリ除菌のためには、本発明の化合物(I)またはその塩と、ペニシリン系抗生物質(例、アモキシシリン等)およびエリスロマイシン系抗生物質(例、クラリスロマイシン等)とが好ましく用いられる。
【0130】
ヘリコバクター・ピロリ除菌を目的として、本発明化合物は単独で抗H.pylori作用(静菌作用あるいは除菌作用)を有するが、その胃内pHの調節作用等によって他の抗生物質の抗菌作用を増強でき、併用する抗生物質の作用に基づく除菌効果の補助的な作用も演じる。該「他の活性成分」と本発明の化合物(I)またはその塩とを自体公知の方法に従って混合し、ひとつの医薬組成物(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等)中に製剤化して併用してもよく、それぞれを別々に製剤化し、同一対象に対して同時にまたは時間差を置いて投与してもよい。
【0131】
また、本発明化合物は消化管運動促進薬、下部食道括約筋に作用する薬物(例、一過性下部食道括約筋弛緩抑制剤等)、ClC−2チャンネル開口薬(ClC−2 channel opener)(腸液分泌促進薬)、ヒスタミンH受容体拮抗薬、制酸薬、鎮静薬、健胃消化薬あるいは非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)と併用しても良い。該「消化管運動促進薬」としては、例えば、ドンペリドン、メトクロプラミド、モサプリド、イトプリド、テガセロッド等が挙げられる。該「下部食道括約筋に作用する薬物」としては、例えば、バクロフェンやその光学活性体などのGABA-B受容体作動薬やグルタミン受容体拮抗薬等が挙げられる。該「ClC−2チャンネル開口薬(腸液分泌促進薬)」としては、ルビプロストン等が挙げられる。該「ヒスタミンH受容体拮抗薬」としては、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ニザチジン、ラフチジン(lafutidine)等が挙げられる。該「制酸薬」としては、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。該「鎮静薬」としては、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド等が挙げられる。該「健胃消化薬」としては、ゲンチアナ、センブリ、ジアスターゼ等が挙げられる。該「非ステロイド性抗炎症剤」としては、例えば、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、メフェナミン酸、ジクロフェナク、エトドラク、ピロキシカム、セレコシブ等が挙げられる。
【0132】
消化管運動促進薬、下部食道括約筋に作用する薬物、ClC−2チャンネル開口薬(腸液分泌促進薬)、ヒスタミンH受容体拮抗薬、制酸薬、鎮静薬、健胃消化薬あるいは非ステロイド性抗炎症剤と本発明の化合物(I)またはその塩とを自体公知の方法に従って混合し、ひとつの医薬組成物(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等)中に製剤化して併用してもよく、それぞれを別々に製剤化し、同一対象に対して同時にまたは時間差を置いて投与してもよい。
【0133】
本発明化合物はまた、以下の薬剤と併用しても良い。
(i)プロトンポンプ阻害薬、例、オメプラゾール(omeprazole)、エソメプラゾール(esomeprazole)、パントプラゾール(pantoprazole)、ラベプラゾール(rabeprazole)、テナトプラゾール(tenatoprazole)、イラプラゾール(ilaprazole)およびランソプラゾール(lansoprazole);
(ii)経口制酸合剤、例、Maalox、AludroxおよびGaviscon;
(iii)粘膜保護剤、例、ポラプレジンク(polaprezinc)、エカベトナトリウム(ecabe sodium)、レバミピド(rebamipide)、テプレノン(teprenone)、セトラキサート(cetraxate)、スクラルファート(sucralfate)、クロロピリン銅(chloropylline−copper)およびプラウノトール(plaunotol);
(iv)抗胃剤、例、抗ガストリンワクチン、イトリグルミド(itriglumide)およびZ−360;
(v)5−HTアンタゴニスト、例、ドラセトロン(dolasetron)、パロノセトロン(palonosetron)、アロセトロン(alosetron)、アザセトロン(azasetron)、ラモセトロン(ramosetron)、ミトラザピン(mitrazapine)、グラニセトロン(granisetron)、トロピセトロン(tropisetron)、E−3620、オンダンセトロン(ondansetron)およびインジセトロン(indisetron);
(vi)5−HTアゴニスト、例、テガセロド(tegaserod)、モサプリド(mosapride)、シニタプリド(cinitapride)およびオキシトリプタン(oxtriptane);
(vii)緩下剤、例、Trifyba、Fybogel、Konsyl、Isogel、Regulan、CelevacおよびNormacol;
(viii)GABAアゴニスト、例、バクロフェン(baclofen)およびAZD−3355;
(ix)GABAアンタゴニスト、例、GAS−360およびSGS−742;
(x)カルシウムチャネルブロッカー、例、アラニジピン(aranidipine)、ラシジピン(lacidipine)、ファロジピン(falodipine)、アゼルニジピン(azelnidipine)、クリニジピン(clinidipine)、ロメリジン(lomerizine)、ジルチアゼム(diltiazem)、ガロパミル(gallopamil)、エフォニジピン(efonidipine)、ニソルピジン(nisoldipine)、アムロジピン(amlodipine)、レルカニジピン(lercanidipine)、ベバントロール(bevantolol)、ニカルジピン(nicardipine)、イスラジピン(isradipine)、ベニジピン(benidipine)、ベラパミル(verapamil)、ニトレンジピン(nitrendipine)、バルニジピン(barnidipine)、プロパフェノン(propafenone)、マニジピン(manidipine)、ベプリジル(bepridil)、ニフェジピン(nifedipine)、ニルバジピン(nilvadipine)、ニモジピン(nimodipine)およびファスジル(fasudil);
(xi)ドーパミンアンタゴニスト、例、メトクロプラミド(metoclopramide)、ドンペリドン(domperidone)およびレボスルピリド(levosulpiride);
(xii)タキキニン(NK)アンタゴニスト、特に、NK−3、NK−2およびNK−1アンタゴニスト、例、ネパズタント(nepadutant)、サレズタント(saredutant)、タルネタント(talnetant)、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]ナフチリジン−6, 13−ジオン(TAK−637)、5−[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント(lanepitant)、ダピタント(dapitant)および(2S,3S)−3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン;
(xiii)一酸化窒素シンターゼ阻害薬、例、GW−274150、ティラルギニン(tilarginine)、P54、グアニジオエチルジスルフィド(guanidioethyldisulfide)およびニトロフルビプロフェン(nitroflurbiprofen);
(xiv)バニロイドレセプター1アンタゴニスト、例、AMG−517およびGW−705498;
(xv)グレリンアゴニスト、例、カプロモレリン(capromorelin)およびTZP−101;
(xvi)AchE阻害剤、例、Z−338およびKW−5092。
【0134】
上記(i)〜(xvi)の薬剤と本発明の化合物(I)またはその塩とを自体公知の方法に従って混合し、ひとつの医薬組成物(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等)中に製剤化して併用してもよく、それぞれを別々に製剤化し、同一対象に対して同時にまたは時間差を置いて投与してもよい。
【実施例】
【0135】
以下に参考例、実施例および試験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0136】
以下の参考例、実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約35℃を示すが、特に厳密に限定されるものではない。液体の混合比は体積比を示す。「%」は特記しない限り重量パーセントを示す。但し、収率はmol/mol%を示す。シリカゲルカラムクロマトグラフィーはMERCK社製シリカゲル60(0.063−0.200mm)、富士シリシア化学(株)Chromatorex(商品名)NH(塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーと記載)あるいはMORITEX社製Purif−Pack(シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーと記載)を用いて実施した。融点は柳本微量融点測定装置またはBuechi微量融点測定装置(B−545)を用いて測定し、補正は行わずに記載した。H−NMRスペクトルは内部標準としてテトラメチルシランを用い、Varian Gemini−200(200MHz)型、Mercury−300(300MHz)型スペクトルメーター、Bruker AVANCE AV300(300MHz)およびJNM−AL400型(400MHz)核磁気共鳴装置JEOL DATUM(日本電子データム(株))を用いて測定した。測定結果の表記には以下の略号を使用する。
s:シングレット(singlet)、d:ダブレット(doublet)、dd:ダブルダブレット(double doublet)、ddd:トリプルダブレット(triple doublet)、dt:ダブルトリプレット(double triplet)、t:トリプレット(triplet)、q:カルテット(quartet)、dq:ダブルカルテット(double quartet)、m:マルチプレット(multiplet)、br:ブロード(broad)、brs:ブロードシングレット(broad singlet)、J:カップリング定数(coupling constant)、Hz:ヘルツ(Hertz)。
【0137】
参考例1
(2−オキソエチル)カルバミン酸 tert−ブチル
(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸 tert−ブチルの(10.0g)のジメチルスルホキシド(50mL)とトリエチルアミン(12.3g)の混合溶液に三酸化硫黄ピリジン錯体(15.0g)を氷冷下で加え、1時間攪拌した。反応液を室温にてさらに3時間攪拌した後に、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=17:3→13:7)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量6.50g、収率66%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.46(9H,s),4.08(2H,d,J=4.5Hz),5.19(1H,brs),9.66(1H,s).
【0138】
参考例2
4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2,2−ジフルオロ−3−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}ブタン酸エチル
亜鉛粉末(23.0g)を0.1mol/L塩酸、エタノール、ジエチルエーテルで洗浄した後に、減圧下で乾燥させた。アルゴン雰囲気下、洗浄した亜鉛粉末のテトラヒドロフラン(300mL)懸濁液に(2−オキソエチル)カルバミン酸 tert−ブチル(35.0g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を加え、さらに氷冷下でブロモジフルオロ酢酸エチル(75.9g)を徐々に滴下した後、15分間攪拌した。反応液に、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、減圧濃縮した。残留物をテトラヒドロフラン(30mL)とピリジン(40mL)混合溶液に溶解し、トリエチルアミン(19mL)、4−ジメチルアミノピリジン(3.35g)と塩化 4−メチルベンゼンスルホニル(39.2g)を室温で加え、2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解し、1mol/L塩酸で二度洗浄した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=4:1)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量44.8g、収率46%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.33(3H,t,J=7.2Hz),1.46(9H,s),2.46(3H,s),3.26−3.43(1H,m),3.71(1H,brs),4.28(2H,q,J=7.1Hz),4.77(1H,brs),5.08−5.24(1H,m),7.35(2H,d,J=8.1Hz),7.80(2H,d,J=8.1Hz).
【0139】
参考例3
3,3−ジフルオロ−4−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}−2−オキソピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチル
4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2,2−ジフルオロ−3−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}ブタン酸エチル(44.8g)の酢酸エチル(50mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(100mL)を加え3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物を2回トルエンで共沸した。得られた混合物をアセトニトリル(20mL)に溶解し、トリエチルアミン(15.6g)を加え、3時間攪拌した。さらに二炭酸ジ−tert−ブチル(33.6g)と4−ジメチルアミノピリジン(3.76g)を室温で加え1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解し、1mol/L塩酸で洗浄した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=2:1)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量32.0g、収率80%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.55(9H,s),2.48(3H,s),3.81−3.91(1H,m),4.09−4.18(1H,m),4.94−5.06(1H,m),7.40(2H,d,J=8.1Hz),7.83(2H,d,J=8.1Hz).
【0140】
参考例4
4−メチルベンゼンスルホン酸 4,4−ジフルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−3−イル
ジイソプロピルアミン(8.76g)のテトラヒドロフラン(230mL)溶液に1.6mol/L n−ブチルリチウムヘキサン溶液(51mL)を−78℃で加え1時間攪拌した。この溶液に、2−フルオロピリジン(11.2g)を滴下し2時間攪拌した。生じた淡黄色の懸濁液に3,3−ジフルオロ−4−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}−2−オキソピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチル(22.6g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液をゆっくりと滴下し、さらに1時間攪拌した。反応混合物に水を加えた後、室温へと温度を上げ、減圧濃縮した。残留物を、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮した。得られた混合物をジクロロメタン(30mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(100mL)を氷冷下で滴下し、徐々に室温まで昇温し4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチルで希釈し、中性になるまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→3:1)で精製することにより表題化合物を無色固体として得た(収量10.9g、収率51%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.48(3H,s),4.17−4.28(1H,m),4.42−4.54(1H,m),5.06−5.13(1H,m),7.31(1H,ddd,J=7.6,4.9,1.9Hz),7.39(2H,d,J=7.9Hz),7.85(2H,d,J=8.3Hz),8.22−8.31(1H,m),8.34−8.39(1H,m).
【0141】
参考例5
2−フルオロ−3−(3−フルオロ−1H−ピロール−2−イル)ピリジン
4−メチルベンゼンスルホン酸 4,4−ジフルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−3−イル(18.0g)のテトラヒドロフラン(180mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(3.68g)を氷冷下で加え、さらにメタノール(90mL)を加え、3時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後に、残留物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧濃縮し、4−メチルベンゼンスルホン酸 4,4−ジフルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)ピロリジン−3−イルを得た。水素化ナトリウム(9.74g)のテトラヒドロフラン(100mL)懸濁液に4−メチルベンゼンスルホン酸 4,4−ジフルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)ピロリジン−3−イルのテトラヒドロフラン(100mL)溶液を氷冷下で滴下し、さらに15−クラウン−5(32.2g)を加え、3時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後に、減圧濃縮した。残留物を酢酸エチルで希釈し、1mol/L塩酸で洗浄した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→3:1)で精製することにより表題化合物を無色固体として得た(収量6.35g、収率72%)。
H−NMR(CDCl)δ:6.10(1H,t,J=2.9Hz),6.69(1H,dt,J=4.6,3.4Hz),7.20−7.30(1H,m),8.00(1H,dt,J=4.7,1.7Hz),8.25(1H,ddd,J=10.3,7.8,1.9Hz),8.69(1H,brs).
【0142】
参考例6
2−フルオロ−3−{3−フルオロ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−ピロール−2−イル}ピリジン
水素化ナトリウム(3.32g)のテトラヒドロフラン(70mL)懸濁液に2−フルオロ−3−(3−フルオロ−1H−ピロール−2−イル)ピリジン(5.98g)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を氷冷下で滴下し30分間攪拌した。さらに15−クラウン−5(18.3g)とトリフルオロメタンスルホン酸トリス(1−メチルエチル)シリル(25.4g)を加え、1時間攪拌した。減圧下で溶媒を半量留去した後に水を加え、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、減圧濃縮した。残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン→ヘキサン−酢酸エチル=19:1)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量10.9g、収率98%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.04(18H,d,J=7.0Hz),1.09−1.19(3H,m),6.17(1H,dd,J=3.2,1.5Hz),6.70(1H,dd,J=4.8,3.3Hz),7.21(1H,ddd,J=7.3,4.9,1.7Hz),7.78(1H,ddd,J=9.3,7.3,2.1Hz).
【0143】
参考例7
4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒド
アルゴン雰囲気下でN,N−ジメチルホルムアミド(717mg)のジクロロメタン(20mL)溶液に塩化オキザリル(1.13g)を氷冷下で加え、10分間攪拌した。得られた懸濁液に2−フルオロ−3−{3−フルオロ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−ピロール−2−イル}ピリジン(1.50g)のジクロロメタン(5mL)溶液を加え還流条件下で10時間攪拌した。反応混合物を氷冷下で冷却した後に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(30mL)を加え15分間攪拌した。溶媒を減圧下で半量濃縮し、残留物に酢酸エチルを加えて分液した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留固体をジイソプロピルエーテル(30mL)で洗浄し吸引濾過することにより、表題化合物を無色固体として得た(収量726mg、収率78%)。
H−NMR(CDCl)δ:7.29−7.40(2H,m),8.11(1H,dt,J=4.8,1.6Hz),8.29(1H,ddd,J=10.0,7.9,1.9Hz),9.22(1H,brs),9.90(1H,s).
【0144】
参考例8
{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル
4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−カルバルデヒド(261mg)のテトラヒドロフラン(1mL)−メタノール(2mL)溶液に40%メチルアミンメタノール溶液(4mL)を室温で加え、20分間攪拌した。反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム(142mg)を加え1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後に、水(4mL)と酢酸エチル(4mL)を加えた。得られた混合物に室温で二炭酸ジ−tert−ブチル(410mg)を加え、1時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルと水層に分離し、分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→3:1)で精製することにより表題化合物を無色固体として得た(収量347mg、収率86%)。H−NMR(CDCl)δ:1.49(9H,s),2.88(3H,s),4.31(2H,s),6.46−6.94(1H,m),7.15−7.32(1H,m),8.00(1H,dt,J=4.7,1.7Hz),8.23(1H,ddd,J=10.2,7.9,1.9Hz),8.66(1H,brs).
【0145】
参考例9
2−(ベンジルスルファニル)−3−メチルピリジン
水素化ナトリウム(60%油性、1.44g)のテトラヒドロフラン(45mL)懸濁液に室温でフェニルメタンチオール(465mg)を滴下して15分間攪拌した。反応液に2−ブロモ−3−メチルピリジン(2.0g)を加え、60℃で1時間半攪拌した。反応液を水で希釈した後、減圧濃縮した。残った水層を酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン→ヘキサン−酢酸エチル=97:3)で精製することにより表題化合物を灰色油状物として得た(収量1.79g、収率72%)。
H−NMR(CDCl)δ: 2.23(3H,s),4.49(2H,s),6.93(1H,dd,J=7.6,4.9Hz),7.19−7.35(5H,m),7.39−7.48(1H,m),8.32(1H,dd,J=4.9,1.1Hz).
【0146】
参考例10
塩化 3−メチルピリジン−2−スルホニル
2−(ベンジルスルファニル)−3−メチルピリジン(1.79g)の酢酸(16mL)−水(8mL)溶液に室温でN−クロロコハク酸イミド(3.33g)を加え2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→3:2)で精製することにより粗表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量153mg)。
H−NMR(CDCl)δ:2.78(3H,s),7.57(1H,dd,J=7.9,4.5Hz),7.82(1H,ddd,J=7.7,1.5,0.8Hz),8.61(1H,dd,J=4.5,1.1Hz).
【0147】
参考例11
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(3−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、20mg)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(161mg)、15−クラウン−5(110mg)、粗塩化 3−メチルピリジン−2−スルホニル(153mg)のテトラヒドロフラン(1.5mL)溶液を室温で加え、72時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→11:9)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量113mg、収率47%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.47(9H,s),2.43(3H,s),2.90(3H,s),4.32(2H,brs),7.20(1H,ddd,J=7.4,5.0,1.7Hz),7.29(1H,d,J=5.7Hz),7.36(1H,dd,J=7.8,4.6Hz),7.61(1H,dd,J=7.8,0.8Hz),7.76−7.85(1H,m),8.19(1H,ddd,J=4.9,2.0,1.0Hz),8.29(1H,dd,J=4.5,0.9Hz).
【0148】
参考例12
2−(ベンジルスルファニル)−4−メチルピリジン
水素化ナトリウム(60%油性、512mg)のテトラヒドロフラン(45mL)懸濁液に室温でフェニルメタンチオール(1.52g)を滴下し、さらに反応液に2−ブロモ−4−メチルピリジン(2.0g)を加え、60℃で72時間攪拌した。反応液を水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン→ヘキサン−酢酸エチル=24:1)で精製することにより表題化合物を褐色油状物として得た(収量1.40g、収率56%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.26(3H,s),4.43(2H,s),6.82(1H,d,J=5.1Hz),6.99(1H,s),7.17−7.32(3H,m),7.35−7.44(2H,m),8.31(1H,d,J=5.1Hz).
【0149】
参考例13
フッ化 4−メチルピリジン−2−スルホニル
2−(ベンジルスルファニル)−4−メチルピリジン(1.40g)の酢酸(10mL)−水(5mL)溶液に氷冷下でN−クロロコハク酸イミド(3.48g)を加え、徐々に室温に戻した後4時間攪拌した。さらに反応液にフッ化カリウム(379mg)を室温で加え18時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、酢酸エチルで希釈し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。分離した水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=4:1→1:1)で精製することにより粗表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量343mg、収率30%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.54(3H,s),7.50(1H,dt,J=4.9,0.7Hz),7.95(1H,d,J=0.8Hz),8.69(1H,d,J=4.9Hz).
【0150】
参考例14
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、60mg)のテトラヒドロフラン懸濁液(3mL)に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(323mg)、15−クラウン−5(330mg)、フッ化 4−メチルピリジン−2−スルホニル(343mg)を室温で加え、41時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=4:1→1:1)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量333mg、収率70%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.47(9H,s),2.38(3H,s),2.86(3H,s),4.27(2H,brs),7.27−7.34(3H,m),7.36(1H,s),7.87(1H,ddd,J=9.2,7.5,1.9Hz),8.26(1H,d,J=3.8Hz),8.45(1H,d,J=4.9Hz).
【0151】
参考例15
2−(ベンジルスルファニル)−5−フルオロピリジン
水素化ナトリウム(60%油性、440mg)のテトラヒドロフラン(40mL)懸濁液に室温でフェニルメタンチオール(1.37g)を滴下し、さらに反応液に2−ブロモ−5−フルオロピリジン(1.76g)を加え、60℃で5時間攪拌した。反応液を水で希釈し減圧濃縮した。残った水層を酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン→ヘキサン−酢酸エチル=97:3)で精製することにより粗表題化合物を褐色油状物として得た(収量244mg)。
【0152】
参考例16
フッ化 5−フルオロピリジン−2−スルホニル
粗2−(ベンジルスルファニル)−5−フルオロピリジン(244mg)の酢酸(3mL)−水(1.5mL)溶液に氷冷下でN−クロロコハク酸イミド(594mg)を加え、徐々に室温に戻した後2時間攪拌した。さらに反応液にフッ化カリウム(65mg)を室温で加え1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→3:1)で精製することにより粗表題化合物を無色固体として得た(収量69mg、収率35%)。
H−NMR(CDCl)δ:7.75(1H,ddd,J=8.7,7.4,2.7Hz),8.20(1H,dd,J=8.8,4.1Hz),8.66(1H,d,J=2.8Hz).
【0153】
参考例17
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、40mg)のテトラヒドロフラン(2.5mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(162mg)、15−クラウン−5(220mg)、フッ化 5−フルオロピリジン−2−スルホニル(120mg)を室温で加え、28時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→7:3)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量69mg、収率29%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.48(9H,s),2.88(3H,s),4.27(2H,brs),7.24−7.34(2H,m),7.52(1H,ddd,J=8.7,7.5,2.8Hz),7.68(1H,dd,J=8.7,4.1Hz),7.85(1H,ddd,J=9.2,7.4,2.0Hz),8.27(1H,ddd,J=4.8,1.8,0.9Hz),8.45(1H,d,J=2.6Hz).
【0154】
参考例18
2−(ベンジルスルファニル)−4−メトキシピリジン
2−クロロ−4−メトキシピリジン(786mg)のトルエン(10mL)溶液にフェニルメタンチオール(683mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.56g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(202mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(256mg)を加え、アルゴン雰囲気下80℃で26時間攪拌した。反応液をシリカゲルで濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン→ヘキサン−酢酸エチル=19:1)で精製することにより表題化合物を橙色油状物として得た(収量454mg、収率38%)。
H−NMR(CDCl)δ:3.79(3H,s),4.43(2H,s),6.57(1H,dd,J=5.9,2.5Hz),6.68(1H,d,J=2.3Hz),7.19−7.34(3H,m),7.36−7.44(2H,m),8.27(1H,d,J=5.7Hz).
【0155】
参考例19
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
2−(ベンジルスルファニル)−4−メトキシピリジン(453mg)の酢酸(4mL)−水(2mL)溶液に氷冷下でN−クロロコハク酸イミド(1.10g)を加え、徐々に室温に戻した後に5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=3:1→1:1)で精製することにより粗塩化 4−メトキシピリジン−2−スルホニルを淡黄色油状物として得た。次に、水素化ナトリウム(60%油性、30mg)のテトラヒドロフラン(2.5mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(162mg)、15−クラウン−5(165mg)、上記で得られた粗塩化 4−メトキシピリジン−2−スルホニルのテトラヒドロフラン(2mL)溶液を室温で加え、18時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=17:3→1:1)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量96mg、2工程収率9%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.47(9H,s),2.87(3H,s),3.84(3H,s),4.27(2H,brs),6.94(1H,dd,J=5.6,2.4Hz),7.07(1H,d,J=2.4Hz),7.28(1H,dd,J=5.3,2.1Hz),7.31(1H,d,J=5.7Hz),7.87(1H,ddd,J=9.2,7.5,1.8Hz),8.26(1H,d,J=4.7Hz),8.39(1H,d,J=5.7Hz).
【0156】
参考例20
3−(ベンジルスルファニル)−5−フルオロピリジン
3−ブロモ−5−フルオロピリジン(522mg)のトルエン(5mL)溶液にフェニルメタンチオール(370mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(831mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(108mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(138mg)を加え、アルゴン雰囲気下80℃で2時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、シリカゲルで濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン→ヘキサン−酢酸エチル=10:1)で精製することにより表題化合物を橙色油状物として得た(収量587mg、収率90%)。
H−NMR(CDCl)δ:4.13(2H,s),7.23−7.33(6H,m),8.25−8.26(1H,m),8.30−8.31(1H,m).
【0157】
参考例21
塩化 5−フルオロピリジン−3−スルホニル
3−(ベンジルスルファニル)−5−フルオロピリジン(573mg)の酢酸(7.5mL)−水(2.5mL)溶液に室温でN−クロロコハク酸イミド(1.40g)を加え1時間半攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をトルエンで共沸した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→7:3)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量376mg、収率74%)。
H−NMR(CDCl)δ:8.04(1H,ddd,J=7.0,2.7,2.0Hz),8.85(1H,d,J=2.6Hz),9.10(1H,dd,J=1.1,0.8Hz).
【0158】
参考例22
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、20mg)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(162mg)、15−クラウン−5(132mg)、塩化 5−フルオロピリジン−3−スルホニル(127mg)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を室温で加え、1時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→7:3)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量224mg、収率93%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.48(9H,s),2.88(3H,s),4.27(2H,s),7.28−7.36(2H,m),7.38(1H,d,J=7.2Hz),7.73−7.86(1H,m),8.34(1H,d,J=4.2Hz),8.46(1H,s),8.69(1H,d,J=2.7Hz).
【0159】
参考例23
3−(ベンジルスルファニル)−4−メチルピリジン
3−ブロモ−4−メチルピリジン(1.0g)のトルエン(12mL)溶液にフェニルメタンチオール(794mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.65g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(213mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(269mg)を加え、アルゴン雰囲気下80℃で1時間半攪拌した。反応液をシリカゲルで濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=19:1→3:1→1:1)で精製することにより表題化合物を黄色油状物として得た(収量740mg、収率59%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.27(3H,s),4.07(2H,s),7.06(1H,d,J=4.9Hz),7.14−7.35(5H,m),8.30(1H,d,J=5.3Hz),8.45(1H,s).
【0160】
参考例24
塩化 4−メチルピリジン−3−スルホニル
3−(ベンジルスルファニル)−4−メチルピリジン(740mg)の酢酸(9mL)−水(3mL)溶液に室温でN−クロロコハク酸イミド(1.84g)を加え2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をトルエンで共沸した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→3:1)で精製することにより粗表題化合物を無色油状物として得た(収量676mg)。
H−NMR(CDCl)δ:2.82(3H,s),7.34−7.44(1H,m),8.77(1H,d,J=4.9Hz),9.19(1H,s).
【0161】
参考例25
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、24mg)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(161mg)、15−クラウン−5(132mg)、粗塩化 4−メチルピリジン−3−スルホニル(125mg)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を室温で加え、1時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=17:3→1:1)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量127mg、収率53%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.49(9H,s),2.36(3H,s),2.92(3H,s),4.32(2H,s),7.19(1H,d,J=5.1Hz),7.23−7.31(1H,m),7.41(1H,brs),7.82(1H,dt,J=8.3,1.9Hz),8.18−8.26(2H,m),8.58(1H,d,J=5.1Hz).
【0162】
参考例26
3−(ベンジルスルファニル)−5−メチルピリジン
3−ブロモ−5−メチルピリジン(888mg)のトルエン(10mL)溶液にフェニルメタンチオール(705mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.47g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(189mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(239mg)を加え、アルゴン雰囲気下80℃で1時間半攪拌した。反応液をシリカゲルで濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=19:1→17:3)で精製することにより表題化合物を黄色油状物として得た(収量1.06g、収率95%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.26(3H,d,J=0.8Hz),4.09(2H,s),7.20−7.33(5H,m),7.37(1H,dt,J=2.1,0.8Hz),8.25(1H,d,J=1.3Hz),8.33(1H,d,J=2.1Hz).
【0163】
参考例27
塩化 5−メチルピリジン−3−スルホニル
3−(ベンジルスルファニル)−5−メチルピリジン(1.06g)の酢酸(15mL)−水(5mL)溶液に室温でN−クロロコハク酸イミド(2.63g)を加え2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=19:1→17:3)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量700mg、収率74%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.52(3H,s),7.96−8.22(1H,m),8.78(1H,d,J=1.5Hz),9.06(1H,d,J=2.3Hz).
【0164】
参考例28
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、24mg)のテトラヒドロフラン(3mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(323mg)、15−クラウン−5(264mg)、塩化 4−メチルピリジン−3−スルホニル(249mg)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を室温で加え、1時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→1:1)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量370mg、収率77%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.48(9H,s),2.35(3H,d,J=0.4Hz),2.86(3H,s),4.26(2H,brs),7.26(1H,s),7.32(1H,ddd,J=7.3,5.2,1.5Hz),7.38(1H,brs),7.76−7.90(1H,m),8.25−8.34(1H,m),8.46(1H,d,J=2.1Hz),8.63(1H,d,J=1.5Hz).
【0165】
参考例29
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、31mg)のテトラヒドロフラン(3mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(100mg)、15−クラウン−5(170mg)、塩化 6−メチルピリジン−3−スルホニル塩酸塩(91mg)を室温で加え、1時間半攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=17:3→1:1)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量123mg、収率83%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.48(9H,s),2.62(3H,s),2.86(3H,s),4.26(2H,s),7.20(1H,d,J=8.0Hz),7.27−7.34(2H,m),7.51(1H,dd,J=8.0,1.9Hz),7.76−7.86(1H,m),8.27−8.36(1H,m),8.50(1H,d,J=2.3Hz).
【0166】
参考例30
3−(ベンジルスルファニル)−2−メチルピリジン
3−ブロモ−2−メチルピリジン(1.0g)のトルエン(12mL)溶液にフェニルメタンチオール(794mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.65g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(213mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(269mg)を加え、アルゴン雰囲気下80℃で4時間攪拌した。反応液をシリカゲルで濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→3:1)で精製することにより表題化合物を黄色固体として得た(収量742mg、収率59%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.56(3H,s),4.08(2H,s),7.03(1H,dd,J=7.6,5.0Hz),7.21−7.34(5H,m),7.48(1H,dd,J=7.8,1.6Hz),8.30(1H,dd,J=4.8,1.6Hz).
【0167】
参考例31
塩化 2−メチルピリジン−3−スルホニル
3−(ベンジルスルファニル)−2−メチルピリジン(731mg)の酢酸(9mL)−水(3mL)溶液に室温でN−クロロコハク酸イミド(1.81g)を加え4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=19:1→7:3)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量175mg、収率27%)。
H−NMR(CDCl)δ:3.03(3H,s),7.40(1H,dd,J=8.1,4.7Hz),8.33(1H,dd,J=8.1,1.7Hz),8.80(1H,dd,J=4.7,1.7Hz).
【0168】
参考例32
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(2−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、34mg)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(226mg)、15−クラウン−5(185mg)、塩化 2−メチルピリジン−3−スルホニル(174mg)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を室温で加え、18時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=17:3→1:1)で精製することにより表題化合物を黄色油状物として得た(収量288mg、収率86%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.49(9H,s),2.61(3H,s),2.92(3H,s),4.32(2H,s),7.03(1H,dd,J=8.1,4.7Hz),7.21−7.26(1H,m),7.34(1H,dd,J=8.1,1.7Hz),7.42(1H,brs),7.79(1H,ddd,J=9.2,7.3,2.1Hz),8.19−8.26(1H,m),8.63(1H,dd,J=4.9,1.5Hz).
【0169】
参考例33
2−(ベンジルスルファニル)−5−メトキシピリジン
2−ブロモ−5−メトキシピリジン(1.13g)のトルエン(15mL)溶液にフェニルメタンチオール(820mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.71g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(220mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(278mg)を加え、アルゴン雰囲気下80℃で3時間攪拌した。反応液をシリカゲルで濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=49:1→19:1)で精製することにより表題化合物を黄色油状物として得た(収量1.47g、収率定量的)。
H−NMR(CDCl)δ:3.83(3H,s),4.37(2H,s),6.99−7.10(2H,m),7.19−7.31(3H,m),7.33−7.40(2H,m),8.21(1H,dd,J=2.6,0.9Hz).
【0170】
参考例34
塩化 5−メトキシピリジン−2−スルホニル
2−(ベンジルスルファニル)−5−メトキシピリジン(1.47g)の酢酸(9mL)−水(3mL)溶液に室温でN−クロロコハク酸イミド(3.20g)を加え2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=19:1→17:3)で精製することにより表題化合物を無色固体として得た(収量984mg、収率79%)。
H−NMR(CDCl)δ:4.00(3H,s),7.38(1H,dd,J=8.9,2.8Hz),8.08(1H,d,J=8.7Hz),8.43(1H,d,J=2.8Hz).
【0171】
参考例35
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、168mg)のテトラヒドロフラン(10mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(970mg)、15−クラウン−5(925mg)、塩化 5−メトキシピリジン−2−スルホニル(984mg)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液を室温で加え、30分間攪拌した。反応液を半量まで減圧濃縮した後に、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=17:3→1:1)で精製することにより表題化合物を黄色油状物として得た(収量1.38g、収率93%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.47(9H,s),2.87(3H,s),3.91(3H,s),4.26(2H,brs),7.16(1H,dd,J=8.8,2.9Hz),7.24−7.30(1H,m),7.32(1H,d,J=5.5Hz),7.52(1H,d,J=8.9Hz),7.87(1H,ddd,J=9.2,7.4,2.1Hz),8.23(1H,d,J=2.4Hz),8.26(1H,ddd,J=4.9,1.9,0.9Hz).
【0172】
参考例36
トリフルオロメタンスルホン酸 5−クロロピリジン−3−イル
5−クロロピリジン−3−オール(1.30g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液にトリエチルアミン(1.21g)、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(3.93g)を室温で加え、20分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチルで希釈した後に1mol/L塩酸で洗浄した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=99:1→19:1)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量1.73g、収率66%)。
H−NMR(CDCl)δ:7.69(1H,t,J=2.3Hz),8.52(1H,d,J=2.3Hz),8.64(1H,d,J=1.9Hz).
【0173】
参考例37
3−(ベンジルスルファニル)−5−クロロピリジン
トリフルオロメタンスルホン酸 5−クロロピリジン−3−イル(1.73g)のトルエン(15mL)溶液にフェニルメタンチオール(861mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.88g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(121mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(153mg)を加え、アルゴン雰囲気下80℃で3時間攪拌した。反応液をシリカゲルで濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン→ヘキサン−酢酸エチル=19:1)で精製することにより表題化合物を黄色油状物として得た(収量1.63g、収率定量的)。
H−NMR(CDCl)δ:4.12(2H,s),7.21−7.36(5H,m),7.53(1H,t,J=2.1Hz),8.36(2H,d,J=1.9Hz).
【0174】
参考例38
塩化 5−クロロピリジン−3−スルホニル
3−(ベンジルスルファニル)−5−クロロピリジン(1.63g)の酢酸(9mL)−水(3mL)溶液に室温でN−クロロコハク酸イミド(3.53g)を加え2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、水で希釈し酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をトルエンで共沸した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=49:1→9:1)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量1.26g、収率90%)。
H−NMR(CDCl)δ:8.29(1H,t,J=2.2Hz),8.91(1H,d,J=2.2Hz),9.12(1H,d,J=1.9Hz).
【0175】
参考例39
({1−[(5−クロロピリジン−3−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル
水素化ナトリウム(60%油性、52mg)のテトラヒドロフラン(3mL)懸濁液に室温で、{[4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル]メチル}メチルカルバミン酸 tert−ブチル(323mg)、15−クラウン−5(286mg)、塩化 5−クロロピリジン−3−スルホニル(318mg)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を室温で加え、20分間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を再度酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=9:1→7:3)で精製することにより表題化合物を無色油状物として得た(収量391mg、収率78%)。
H−NMR(CDCl)δ:1.48(9H,s),2.88(3H,s),4.27(2H,s),7.26(1H,s),7.33(1H,ddd,J=7.3,5.2,1.5Hz),7.61(1H,t,J=2.1Hz),7.80(1H,ddd,J=9.2,7.5,1.9Hz),8.26−8.38(1H,m),8.50(1H,d,J=1.9Hz),8.76(1H,d,J=2.3Hz).
【0176】
実施例1
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(3−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン フマル酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(3−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(107mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=4:1→1:1)で精製することにより1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(3−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンを淡黄色油状物として得た(収量45mg、収率54%)。得られた1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(3−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンの酢酸エチル(2mL)溶液をフマル酸(14mg)のエタノール(2mL)溶液に滴下し減圧濃縮した。残留物を酢酸エチル−エタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量51mg、収率88%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.35(3H,s),2.38(3H,s),3.73(2H,s),6.53(2H,s),7.32−7.39(1H,m),7.48(1H,d,J=5.7Hz),7.63(1H,dd,J=7.8,4.4Hz),7.74−7.83(1H,m),7.93(1H,d,J=7.6Hz),8.27(1H,d,J=4.2Hz),8.41(1H,d,J=4.5Hz),3H未検出.
【0177】
実施例2
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 塩酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(333mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチル−エタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量191mg、収率66%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.37(3H,s),2.56(3H,s),4.05(2H,s),7.45(1H,ddd,J=7.3,5.0,1.7Hz),7.54(1H,s),7.59−7.66(1H,m),7.77−7.90(2H,m),8.33−8.40(1H,m),8.55(1H,d,J=4.9Hz),9.11(2H,brs).
【0178】
実施例3
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 塩酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(69mg)の酢酸エチル(1.5mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(2mL)を加え、混合物を室温で2時間半攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチル−エタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量31mg、収率51%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.58(3H,s),4.07(2H,s),7.41−7.49(1H,m),7.80(1H,d,J=5.5Hz),7.82−7.91(2H,m),8.05(1H,dt,J=8.6,2.8Hz),8.36(1H,ddd,J=4.9,1.9,0.9Hz),8.78(1H,d,J=2.8Hz),8.97(2H,brs).
【0179】
実施例4
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 塩酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(94mg)の酢酸エチル(2mL)、および2−プロパノール(1mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(2mL)を加え、混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチル−エタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量65mg、収率79%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.57(3H,s),3.87(3H,s),4.06(2H,s),7.17(1H,d,J=2.3Hz),7.33(1H,dd,J=5.7,2.7Hz),7.46(1H,ddd,J=6.9,5.2,1.5Hz),7.80(1H,d,J=5.7Hz),7.89(1H,ddd,J=9.3,7.6,1.7Hz),8.30−8.39(1H,m),8.51(1H,d,J=5.7Hz),9.01(2H,brs).
【0180】
実施例5
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 塩酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(224mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4N塩化水素−酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチル−エタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量127mg、収率65%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.58(3H,s),4.05(2H,s),7.46−7.55(1H,m),7.87−7.97(2H,m),8.03(1H,dt,J=7.6,2.3Hz),8.42(1H,d,J=4.2Hz),8.49(1H,s),9.04(1H,d,J=2.3Hz),9.09(2H,brs).
【0181】
実施例6
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン フマル酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(127mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(0.5mL)溶液に4N塩化水素−酢酸エチル溶液(2mL)を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンを淡黄色油状物として得た(収量97mg、収率97%)。得られた1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンの酢酸エチル(2mL)溶液をフマル酸(30mg)のエタノール(2mL)溶液に滴下し減圧濃縮した。残留物をエタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量103mg、収率81%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.33(3H,s),2.40(3H,s),3.76(2H,s),6.53(2H,s),7.43(1H,ddd,J=7.3,5.1,1.8Hz),7.52(1H,d,J=5.1Hz),7.72(1H,d,J=5.7Hz),7.85(1H,ddd,J=9.5,7.4,1.9Hz),8.14(1H,s),8.32(1H,ddd,J=4.9,1.9,0.9Hz),8.70(1H,d,J=5.1Hz),3H未検出.
【0182】
実施例7
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン フマル酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(370mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4N塩化水素−酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンを淡黄色油状物として得た(収量256mg、収率88%)。得られた1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンの酢酸エチル(2mL)溶液をフマル酸(78mg)のエタノール(2mL)溶液に滴下し減圧濃縮した。残留物をエタノール−水から再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量288mg、収率87%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.33(3H,s),2.35(3H,s),3.70(2H,s),6.54(2H,s),7.50(1H,ddd,J=7.3,5.1,1.9Hz),7.63−7.71(2H,m),7.90(1H,ddd,J=9.6,7.5,2.0Hz),8.36−8.41(1H,m),8.42(1H,d,J=2.3Hz),8.76(1H,d,J=1.3Hz),3H未検出.
【0183】
実施例8
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 0.5フマル酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(123mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=1:1)で精製することにより1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンを無色油状物として得た(収量88mg、収率91%)。得られた1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンの酢酸エチル(2mL)溶液をフマル酸(27mg)のエタノール(2mL)溶液に滴下し減圧濃縮した。残留物をエタノール−水から再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量78mg、収率77%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.30(3H,s),2.56(3H,s),3.61(2H,s),6.51(1H,s),7.45−7.53(2H,m),7.60(1H,d,J=5.7Hz),7.79(1H,dd,J=8.3,2.3Hz),7.91(1H,ddd,J=9.6,7.5,1.9Hz),8.35−8.40(1H,m),8.48(1H,d,J=2.3Hz),2H未検出.
【0184】
実施例9
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(2−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン フマル酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(2−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(288mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。分離した水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(2−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンを無色油状物として得た(収量220mg、収率97%)。得られた1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(2−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンの酢酸エチル(3mL)溶液をフマル酸(67mg)のエタノール(3mL)溶液に滴下し減圧濃縮した。残留物をエタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量253mg、収率88%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.41(3H,s),2.49(3H,s),3.77(2H,s),6.53(2H,s),7.31(1H,dd,J=8.1,4.7Hz),7.42(1H,ddd,J=7.2,5.1,1.7Hz),7.47(1H,dd,J=8.3,1.5Hz),7.71(1H,d,J=5.7Hz),7.84(1H,ddd,J=9.6,7.5,1.9Hz),8.28−8.34(1H,m),8.73(1H,dd,J=4.7,1.7Hz),3H未検出.
【0185】
実施例10
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 塩酸塩
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(1.38g)の酢酸エチル(6mL)、2−プロパノール(3mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(9mL)を加え、混合物を室温で1時間半攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物をエタノール−水から再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量1.06g、収率88%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.54(3H,s),3.91(3H,s),4.03(2H,s),7.38−7.46(1H,m),7.51−7.58(1H,m),7.62−7.70(1H,m),7.75−7.87(2H,m),8.33(1H,dt,J=4.7,0.8Hz),8.36(1H,d,J=3.0Hz),9.20(2H,brs).
【0186】
実施例11
1−{1−[(5−クロロピリジン−3−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 塩酸塩
({1−[(5−クロロピリジン−3−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(391mg)の酢酸エチル(2mL)、2−プロパノール(1mL)溶液に4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を室温で1時間半攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物をエタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量298mg、収率95%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.57(3H,s),4.05(2H,s),7.52(1H,ddd,J=7.3,5.1,1.9Hz),7.93(1H,ddd,J=9.6,7.5,2.0Hz),8.01(1H,d,J=5.5Hz),8.11(1H,t,J=2.2Hz),8.43(1H,ddd,J=4.9,1.8,0.8Hz),8.57(1H,d,J=2.1Hz),9.05(1H,d,J=2.1Hz),9.33(2H,brs).
【0187】
実施例12
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−6−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
6−ブロモ−3−フルオロ−2−メチルピリジンを用いて参考例15、参考例16、参考例17および実施例3と同様の方法で合成する。
【0188】
実施例13
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
2−ブロモ−5−フルオロ−4−メチルピリジンを用いて参考例15、参考例16、参考例17および実施例3と同様の方法で合成する。
【0189】
実施例14
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
4−tert−ブトキシ−2,5−ジフルオロピリジンよりtert−ブチル基を除去、メチル化して2,5−ジフルオロ−4−メトキシピリジンを合成し、参考例15、参考例16、参考例17および実施例3と同様の方法で合成する。
【0190】
実施例15
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−メトキシピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
3−ブロモ−5−メトキシピリジンを用いて参考例20、参考例21、参考例22および実施例5と同様の方法で合成する。
【0191】
実施例16
1−{4−フルオロ−1−[(5−フルオロ−6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
5−クロロ−3−フルオロ−2−ヨードピリジンよりボロン酸カップリング反応を用いて5−クロロ−3−フルオロ−2−メチルピリジンを合成し、参考例20、参考例21、参考例22および実施例5と同様の方法で合成する。
【0192】
実施例17
1−{1−[(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
2−ブロモ−4,6−ジメチルピリジンを用いて参考例15、参考例16、参考例17および実施例3と同様の方法で合成する。
【0193】
実施例18
1−{1−[(5−クロロピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
塩化 5−クロロピリジン−2−スルホニルを用いて、参考例17および実施例3と同様の方法で合成する。
【0194】
実施例19
1−{1−[(5,6−ジメチルピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
6−ブロモ−2,3−ジメチルピリジンを用いて、参考例15、参考例16、参考例17および実施例3と同様の方法で合成する。
【0195】
実施例20
1−{1−[(4,5−ジメチルピリジン−2−イル)スルホニル]−4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
2−ブロモ−4,5−ジメチルピリジンを用いて、参考例15、参考例16、参考例17および実施例3と同様の方法で合成する。
【0196】
実施例21
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(751mg)を飽和重曹水に溶解し、酢酸エチルで二度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量647mg、収率95%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.38(3H,s),2.45(3H,s),3.64(2H,s),7.23−7.30(2H,m),7.33(1H,d,J=5.7Hz),7.36(1H,s),7.88(1H,ddd,J=9.3,7.4,1.9Hz),8.22−8.29(1H,m),8.45(1H,d,J=4.5Hz),1H未検出.
【0197】
実施例22
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン
({4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}メチル)メチルカルバミン酸 tert−ブチル(780mg)を飽和重曹水に溶解し、酢酸エチルで二度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル=3:1→3:7)で精製することにより表題化合物を淡黄色油状物として得た(収量619mg、収率87%)。
H−NMR(CDCl)δ:2.46(3H,s),3.65(2H,s),7.28−7.36(2H,m),7.41(1H,dt,J=7.3,2.2Hz),7.80(1H,ddd,J=9.2,7.4,2.0Hz),8.28−8.39(1H,m),8.48(1H,s),8.68(1H,d,J=2.6Hz),1H未検出.
【0198】
実施例23
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン フマル酸塩
フマル酸(58mg)のエタノール(2mL)溶液に1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン(189mg)の酢酸エチル(2mL)溶液を加え、混合物を減圧濃縮した。残留物をエタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量224mg、収率91%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.35−2.40(6H,m),3.73(2H,s),6.53(2H,s),7.44(1H,ddd,J=7.3,5.1,1.8Hz),7.49−7.55(2H,m),7.59(1H,d,J=4.9Hz),7.86(1H,ddd,J=9.5,7.4,1.9Hz),8.27−8.39(1H,m),8.54(1H,d,J=4.9Hz),3H未検出.
【0199】
実施例24
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン コハク酸塩
コハク酸(59mg)のエタノール(2mL)溶液に1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン(189mg)の酢酸エチル(2mL)溶液を加え、混合物を減圧濃縮した。残留物をエタノール−水から再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量232mg、収率93%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.34(3H,s),2.36(4H,s),2.37(3H,s),3.66(2H,s),7.39−7.49(2H,m),7.52(1H,s),7.55−7.63(1H,m),7.86(1H,ddd,J=9.5,7.4,1.9Hz),8.34(1H,ddd,J=4.9,1.9,0.9Hz),8.54(1H,d,J=4.9Hz),3H未検出.
【0200】
実施例25
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン 0.5フマル酸塩
フマル酸(36mg)のエタノール(2mL)溶液に1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン(120mg)の酢酸エチル(2mL)溶液を加え、混合物を減圧濃縮した。残留物をエタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量113mg、収率82%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.32(3H,s),3.63(2H,s),6.52(1H,s),7.50(1H,ddd,J=7.3,5.1,1.9Hz),7.67(1H,d,J=5.7Hz),7.94(1H,ddd,J=9.6,7.5,2.0Hz),7.98−8.05(1H,m),8.31−8.42(1H,m),8.48(1H,s),9.00(1H,d,J=2.8Hz),2H未検出.
【0201】
実施例26
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン コハク酸塩
コハク酸(46mg)のエタノール(4mL)溶液を1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン(150mg)に加え、混合物を減圧濃縮した。残留物をエタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量167mg、収率85%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.33(3H,s),2.38(4H,s),3.64(2H,s),7.50(1H,ddd,J=7.2,5.0,1.9Hz),7.66(1H,d,J=5.7Hz),7.94(1H,ddd,J=9.6,7.5,2.0Hz),7.98−8.03(1H,m),8.34−8.42(1H,m),8.44−8.53(1H,m),9.01(4H,d),3H未検出.
【0202】
実施例27
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン L−酒石酸塩
L−酒石酸(59mg)のエタノール(4mL)溶液を1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミン(150mg)に加え、混合物を減圧濃縮した。残留物をエタノールから再結晶することにより、表題化合物を白色固体として得た(収量184mg、収率88%)。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.44(3H,s),3.81(2H,s),4.00(2H,s),7.51(1H,ddd,J=7.3,5.2,1.9Hz),7.75(1H,d,J=5.7Hz),7.93(1H,ddd,J=9.5,7.4,1.9Hz),8.00(1H,dt,J=7.8,2.3Hz),8.38−8.43(1H,m),8.49(1H,s),9.02(1H,d,J=2.6Hz),5H未検出.
【0203】
参考例に記載した化合物の構造を表1〜2に示す。
【0204】
【表1】

【0205】
【表2】

【0206】
実施例に記載した化合物の構造を表3に示す。
【0207】
【表3】

【0208】
試験例1
プロトン・カリウム−アデノシントリホスファターゼ(H,K−ATPase)阻害活性試験
ウォールマーク(Wallmark)らの方法[Biochim.Biophys.Acta,728,31(1983年)]に準じて胃粘膜ミクロソーム画分をブタの胃から調製した。まず、胃体部を摘出後、水道水で洗浄した後、3mol/L食塩水に浸し、ペーパータオルで粘膜表面を拭いた。胃粘膜を剥離し、細切後、1mmol/L EDTAおよび10mmol/Lトリス塩酸を含む0.25mol/L蔗糖液(pH6.8)中でポリトロン(キネマティカ)を用いてホモジナイズした。得られたホモジネートを20,000×gで30分間遠心分離後、上清を100,000×gで90分間遠心分離した。沈殿部を0.25mol/L蔗糖液で懸濁後、7.5%フィコールを含む0.25mol/L蔗糖液上に重層し、100,000×gで5時間遠心分離した。両層の界面部画分を回収し、0.25mol/L蔗糖液で遠心洗浄を行った。得られたミクロソーム画分はプロトン、カリウム−アデノシントリホスファターゼ標品として用いた。
【0209】
タンパク質濃度に換算して2.5μg/mLの酵素標品を含む50mmol/Lヘペス−トリス緩衝液(5mmol/L塩化マグネシウム、10mmol/L塩化カリウム、10μmol/Lバリノマイシン、pH=6.5)40μLに10%ジメチルスルホキシド水溶液に溶解した被験化合物5μLを加えて、37℃、30分間インキュベートした。2mmol/Lのアデノシントリホスフェートトリス塩溶液(50mmol/Lヘペス−トリス緩衝液(5mmol/L塩化マグネシウム、pH6.5))5μLを加えることにより酵素反応を開始した。37℃で20分間酵素反応を行い、マラカイトグリーン液(0.12%マラカイトグリーン硫酸(2.5mol/L)溶液と7.5%モリブデン酸アンモニウムと11%Tween20とを100:25:2の比率で混合した)15μLを加え、反応を停止させた。室温で15分間、放置後、生成した無機リンとマラカイトグリーンとの反応物を620nmの波長で比色定量した。また、塩化カリウムの存在しない反応溶液中の無機リン酸量も同様に測定し、塩化カリウム存在下での無機リン酸量から差し引くことによって、プロトン、カリウム−アデノシントリホスファターゼ活性を測定した。コントロール活性値と被検化合物各濃度における活性値から阻害率(%)を求め、プロトン、カリウム−アデノシントリホスファターゼに対する50%阻害濃度(IC50)を求めた。その結果を表4に示す。
【0210】
試験例2
Advanced Chemistry Developmet,Inc.のPhyschem Batch(Ver.10)を用いてpKa値を計算により求めた。その結果を表4に示す。
【0211】
試験例3
ATP含量試験
ヒト肝ガン由来細胞株HepG2(ATCC No.HB−8065)は、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum;FBS;TRACE SCIENTIFIC LTD.)、1mmol/Lピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)、2mmol/L L−グルタミン(Invitrogen)、50IU/mLペニシリン(Invitrogen)、50μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を含むDulbecco’s modified Eagle medium(DMEM;Invitrogen)培地を用いて5%CO、37℃で維持・継代した。被検試薬は、DMSOにて10mMに調製し、さらに、0.5%FBS、1mmol/Lピルビン酸ナトリウム、2mmol/L L−グルタミン、50IU/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンを含むDMEM培地を用いてDMSOの最終濃度が0.1%となるように希釈した。96ウェル白色プレート(Costar)上でHepG2(2x10cells/well)を被検試薬と共に5%CO、37℃で培養した。1日培養後、細胞内のATP含量をATPLiteTM(PerkinElmer Life Sciences)を用いて測定した。その結果をコントロール(薬物無添加)に対する相対値(%)として表4に示す(n≧3,平均値±SD)。
【0212】
試験例4
Caspase−3/7活性試験
試験例3と同様の方法で1日培養した細胞内のCaspase−3/7活性をCaspase−Glo 3/7Assay(Promega)を用いて測定した。その結果をスタウロスポリンを曝露させた時のCaspase−3/7活性の最大値を100%、被検試薬無添加時の活性を0%とした各被検試薬の相対的な活性(%)として表4に示す(n≧3,平均値±SD)。
【0213】
試験例5
麻酔ラット胃灌流モデルにおける灌流液pH測定
8週齢のJcl:SD雄性ラットを約24時間絶食後、実験に用いた。被験薬物はDMAA:PEG400=1:1液にて溶解し、1mL/kgの投与量になるように調製した。ウレタン(1.2 g/kg、i.p.)麻酔下に十二指腸および前胃部から胃内にカニューレを挿入し、食道部を結紮して生理食塩液(0.5 mL/min)で胃灌流を行った。灌流液は微量流通形ガラス電極(6961−15Cおよび2461A−15T,HORIBA)を用いて連続的にpHの測定を行った。ヒスタミン2塩酸塩8 mg/kg/hを1時間以上静脈内持続投与してpHが安定した後、被験薬物を静脈内投与した。被験薬物投与後5時間後まで灌流液pHの測定を行った。その結果を図1、2、3に示す。
【0214】
【表4】

【0215】
表4の結果から、本発明の化合物(I)は優れたH/K−ATPase阻害活性及び低いpKa値を有し、さらに高濃度においても細胞傷害性が極めて低いことが分かる。また、図1、2、3の結果から、適度な作用の持続性を有していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0216】
本発明の化合物(I)は、優れたプロトンポンプ阻害作用を示す。ここで、オメプラゾールやランソプラゾールなどの従来型プロトンポンプ阻害薬が、胃壁細胞の酸性環境で活性体に変換されてH/K−ATPaseのシステイン残基と共有結合し、非可逆的に酵素活性を阻害するのに対し、化合物(I)は、プロトンポンプ(H/K−ATPase)活性を可逆的かつK拮抗型阻害様式により阻害し、結果的に酸分泌を抑制することから、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium−Competitive Acid Blocker:P−CAB)あるいはアシッドポンプアンタゴニスト(APA)と呼ばれることもある。化合物(I)は、作用発現が早く、初回投与時から最大薬効を示す。さらに、代謝多型の影響(患者間のバラツキ)が少ない。また、化合物(I)は、(i)ピロール環の5位の置換基が2−F−3−ピリジル基、(ii)ピロール環の4位の置換基がフッ素原子、(iii)ピロール環の1位が1つ以上の置換基を有する2−ピリジルスルホニル基または3−ピリジルスルホニル基という特徴的な化学構造にデザインされており、かかる化学構造とすることによって、強いプロトンポンプ阻害活性を有し、且つ細胞傷害性が大きく低減されることが見出された。さらに、化合物(I)のピロール環の4位をフッ素原子で置換することによって、フッ素原子の電子吸引効果により、メチルアミノメチル部分の塩基性(pKa値)を低下させ、強い塩基性由来の毒性発現のリスクを低減させていること、化合物(I)のAに少なくとも1個の置換基を導入することにより、作用持続時間が最適にコントロールされているのも特徴である。したがって、本発明は、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる潰瘍等)、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、びらん性食道炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic gastroesophageal reflux disease (Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、あるいは胃酸過多の臨床上有用な予防・治療剤;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制剤などを提供することができる。化合物(I)は、毒性が低く、水溶性、体内動態、薬効発現の面でも優れているので、医薬として有用である。化合物(I)は、酸性条件下でも安定であるため、腸溶製剤にすることなく通常の錠剤等として経口投与することができる。このため、錠剤等の製剤を小さくすることができることから、嚥下力の弱い病人、特に老人や小人に服用しやすくなるという利点を有する。しかも、腸溶製剤のような徐放効果はないので、胃酸分泌抑制作用の発現が速く、痛み等の症状の改善が速い。
【0217】
以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正及び変更も、すべて後記の請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。
【0218】
本出願は、特願2008−218851及び特願2008−269099を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Aは少なくとも1個の置換基を有するピリジル基
【化2】


(式中、R、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、RおよびR6は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し、Rは、水素原子、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す)を示す]で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
Aが、式(A−1)[式中、RおよびRは、ともに水素原子を示し、Rは、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、またはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示す。]で表される請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
が、C1−6アルキル基、またはC1−6アルコキシ基である請求項2記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メチルピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N-メチルメタンアミンまたはその塩。
【請求項5】
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジン−2−イル)スルホニル]−1H-ピロール−3−イル}−N-メチルメタンアミンまたはその塩。
【請求項6】
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(4−メトキシピリジン−2−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩。
【請求項7】
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(5−フルオロピリジンー3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩。
【請求項8】
1−{4−フルオロ−5−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−[(6−メチルピリジン−3−イル)スルホニル]−1H−ピロール−3−イル}−N−メチルメタンアミンまたはその塩。
【請求項9】
請求項1記載の化合物またはその塩のプロドラッグ。
【請求項10】
請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬。
【請求項11】
酸分泌抑制剤である請求項10記載の医薬。
【請求項12】
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium−Competitive Acid Blocker)である請求項10記載の医薬。
【請求項13】
消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍あるいは手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍の治療もしくは予防剤;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制剤である請求項10記載の医薬。
【請求項14】
哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそれらのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍あるいは手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍の治療または予防方法;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制方法。
【請求項15】
消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、症候性胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease(Symptomatic GERD))、Barrett食道、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍あるいは手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍の治療もしくは予防剤;または消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制剤を製造するための請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそれらのプロドラッグの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−501296(P2012−501296A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508745(P2011−508745)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【国際出願番号】PCT/JP2009/065279
【国際公開番号】WO2010/024451
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】