説明

ピンクランプ装置

【課題】パネル状のワークの周囲に設けられた空間が小さくても用いることができるピンクランプ装置を提供する。
【解決手段】パネル状のワーク209は、これに形成された位置決め孔211に位置決めピン210が挿入されて、着座面208に着座する。クランプアーム206の爪部207は、着座面208から突出する。ロッド203は、クランプアーム206の軸部213に対し略平行に延びる。連結部205は、ロッド203とクランプアーム206とを連結する。回転軸204は、着座面208に対し固定的に設けられ、軸部213とロッド203とがなす仮想平面ASに直交し、連結部205を仮想平面AS内で回転自在に支持する。駆動部202の駆動により、ロッド203はその軸心方向に変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル状のワークに形成された位置決め孔に位置決めピンを挿入して着座面に着座させ、この位置決めピンに揺動自在に配設されたクランプアームを動かして着座面との間でワークをクランプするピンクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピンクランプ装置は、自動車の車体組立工程に導入され、パネル状のワークを固定するのに用いられる。ピンクランプ装置は、位置決めピンと、着座面と、クランプアームと、を備える。クランプアームは、位置決めピンの内部に揺動自在に配設され、先端に爪部を有する。そして、パネル状のワークに形成された位置決め孔に位置決めピンが挿入され、クランプアームが動いて着座面に着座したワークを爪部と着座面とでクランプすることで、ワークは固定される。
【0003】
ピンクランプ装置の一例は、特許文献1に記載の電動アクチュエータである。この電動アクチュエータでは、ロッド82とジョイント部材106とクランプアーム20とが、この順に下方から上方に向けて並ぶ。ロッド82の下方部分には、ラック部122が形成される。ラック部122は、ロッド82の軸線方向に平面状に延び、ピニオンギア60と噛み合う。ロッド82の上方部分は、ジョイント部材106を介して、長尺のクランプアーム20の下方部分に回動自在に連結する。クランプアーム20の中腹には、上下方向に延びる「く」字型のリンク溝146が設けられる。クランプアーム20の上端からは、幅狭のアーム部152が上方に延出する。アーム部152は、その周回りをカバー部材110で覆われる。アーム部152は、このカバー部材110の上端から突出していて、その先端に爪部154を形成する。爪部154の上方には、先端部160(位置決めピン)が、カバー部材110に対し固定されて位置する。先端部160の内部には、爪部154が配設される。また、ピンクランプ装置では、リンクピン144が、カバー部材110に対し水平に固定され、リンク溝146に入り込む。この電動アクチュエータでは、駆動部12が駆動してピニオンギア60が回転し、ロッド82が上下に変位する。これに伴い、アーム部152は、リンクピン144及びリンク溝146によって動きを規制されて上下方向に直交する方向に揺動しつつ上下に変位し、爪部154をカバー部材110の上端面(着座面)に当接させたり離反させたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−247700号公報(図3、図5、図7、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電動アクチュエータでは、クランプアーム20に駆動部12の動力を伝達するために、ラック部122とピニオンギア60とで構成されるラックアンドピニオン構造を採用している。そして、ラック部122を形成するロッド82がクランプアーム20の下方でその軸心に沿って延びている。このため、電動アクチュエータの高さは、クランプアーム20とロッド82とを直列に繋いだ長さ以上になる。したがって、ワークの下方に大きく空間を設けないと、この電動アクチュエータでワークを保持することができない。
【0006】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、パネル状のワークの周囲に設けられた空間が小さくても用いることができるピンクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のピンクランプ装置は、(i)パネル状のワークが着座する着座面と、(ii)前記着座面から突出し、前記ワークに形成された位置決め孔に挿入される位置決めピンと、(iii)前記位置決めピンの内部に揺動自在に配設され前記位置決めピンが挿入された状態の前記ワークを前記着座面との間でクランプする爪部と、前記爪部から前記着座面に対し前記位置決めピンとは反対側まで延びる軸部と、を形成するクランプアームと、(iv)前記軸部と略平行に延びるロッドと、(v)前記軸部と前記ロッドとを連結する連結部と、(vi)前記着座面に対し固定的に設けられ、前記軸部と前記ロッドとがなす仮想平面に直交し、前記連結部を前記仮想平面内で回転自在に支持する回転軸と、(vii)前記ロッドをその軸心方向に変位させる駆動部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ピンクランプ装置において位置決めピンから延びる部分の長さが短くなり、ワークの周囲にこの軸部の長さ程度の空間を確保できれば、ピンクランプ装置によりパネル状のワークをクランプすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ピンクランプ装置の正面断面図である。
【図2】ピンクランプ装置の右断面図である。
【図3】ピンクランプ装置の平面図である。
【図4】シーソー部材の平面断面図である。
【図5】シーソー部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の一形態を、図1ないし図5に基づいて説明する。図1は、ピンクランプ装置201の正面断面図である。図2は、ピンクランプ装置201の右断面図である。図3は、ピンクランプ装置201の平面図である。
【0011】
まず、ピンクランプ装置201の概要について説明する。ピンクランプ装置201は、ワーク209をクランプする装置である。このピンクランプ装置201では、駆動部202の駆動力を受けてロッド203が上下方向に変位し、回転軸204を中心に回転自在の連結部205がこのロッド203の上下方向の変位をクランプアーム206に伝え、クランプアーム206の上端部分に形成された爪部207と着座面208とでパネル状のワーク209(図1参照)をクランプする。爪部207は、位置決めピン210の内部に揺動自在に配設される。そして、ワーク209に形成された位置決め孔211に位置決めピン210が挿入され、このワーク209を着座面208に着座させた状態で駆動部202の駆動がなされてクランプアーム206が動き、爪部207と着座面208とでワーク209がクランプされる。
【0012】
ピンクランプ装置201は、クランク型のケース212を有する。このケース212は、第1ケース226、第2ケース233、第3ケース235及びカバー部材235a(いずれも後述)が連結して構成され、その全体がクランク形状をなしている。ケース212の上端には、着座面208が形成される。また、クランプアーム206は、前述した爪部207と、この爪部207から着座面208よりも下方に延びる軸部213と、を形成する。ケース212は、軸部213の少なくとも一部と連結部205とロッド203とを収納する。換言すれば、軸部213は、ケース212の上端から上方に突出する。
【0013】
駆動部202について説明する。駆動部202は、モータ215を有する。モータ215には、正逆両方に駆動するステッピングモータが採用される。モータ215の下面からは、駆動軸216が下方に突出する。モータ215に通電がなされると、駆動軸216はその軸回り方向に回転する。また、モータ215の上部にはその回転駆動を規制する電磁ブレーキ部217を備える。電磁ブレーキ部217は、駆動軸216の回転をロックする。モータ215も電磁ブレーキ部217も、外部制御装置(図示せず)に電気的に接続している。外部制御装置は、モータ215や電磁ブレーキ部217に対して制御信号を送り、これらを駆動させたり停止させたりする。
【0014】
駆動軸216の軸回りには、駆動ギアケース218に収納された駆動ギア(図示せず)が装着される。この駆動ギアの回転は、伝達ギアケース219に収納されたタイミングベルト及びタイミングプーリ(いずれも図示せず)に伝わる。
【0015】
モータ215と電磁ブレーキ部217とは、上下方向に長い第1ハウジング222に収納される。また、駆動ギアケース218と伝達ギアケース219とは、水平方向に長い第2ハウジング223に収納される。第2ハウジング223は、第1ハウジング222の下面に接続し、図1における紙面の奥側(図2における右側)に延出する。
【0016】
次に、ロッド203について説明する。ロッド203は、上下に延びる断面略円形状の長尺の部材である。ロッド203は、その周回りを第3ハウジング224に覆われる。この第3ハウジング224は、上下方向に長い断面略矩形の筒状をなし、第1ハウジング222と横並びして第2ハウジング223の上面から延出する。第3ハウジング224の上端部分は、径小部225となっている。この径小部225の内周面には、ロッド203の外周が摺動自在に接触する。また、ロッド203の上端部分は、径小部225から上方に突出する。そして、第3ハウジング224の上方には、この径小部225を内側に位置付け、さらにロッド203の上端部分を取り囲む断面略矩形の筒状の第1ケース226が取り付けられる。第1ケース226における図1の右側の側面には、平面状の取付部材226aが取り付けられる。取付部材226aは、駆動部202よりも下方に延び、台車装置(図示せず)や工場の壁面、工場の床面、治具上等に取り付けられる。また、第1ケース226の側面には、オートスイッチ226bが配置されている。オートスイッチ226bは、ロッド203の変位に応じた電気信号を、前述の外部制御装置に制御指示を出す工程制御盤(図示せず)に出力する。
【0017】
ロッド203の下端部には、第3ハウジング224に収納される動力変換機構227aを介してプーリ軸227が取り付けられる。プーリ軸227は、ロッド203の軸線方向に延び、第3ハウジング224から下方に延出して第2ハウジング223に入り込み、伝達ギアケース219の内部に挿入される。このプーリ軸227の外周には、前述したタイミングプーリが取り付けられている。また、第2ハウジング223の上面には軸受リング228が嵌め込まれる。軸受リング228の内周面には、プーリ軸227がその周回り方向に摺動自在に嵌合する。そして、タイミングベルト等により伝達されるモータ215の駆動力を受けてプーリ軸227はその軸回り方向に回転し、動力変換機構227aがこの回転力を変換してロッド203に伝えて、これによってロッド203は、その軸心方向に変位する。
【0018】
次に、連結部205について説明する。連結部205は、ジョイント部材229とシーソー部材231とを含む。ジョイント部材229は、シーソー部材231とロッド203とを連結する。ジョイント部材229の下端部は、ロッド203の上端部分に連結する。ここで、第1連結ピン230は、ジョイント部材229とロッド203とを、ロッド203の軸芯方向と直交する方向に貫通してこれらを互いに回動自在に連結する。また、第2連結ピン232は、ジョイント部材229とシーソー部材231とを、第1連結ピン230と平行な方向に貫通してこれらを互いに回動自在に連結する。
【0019】
シーソー部材231は、ジョイント部材229から図1における左側(図2における紙面の奥側)に延びる長尺の部材である。シーソー部材231は、横長の第2ケース233に覆われる。この第2ケース233は、断面略矩形の筒状をなし、第1ケース226において取付部材226aとは反対側の側面の上端部から上方に延びる。そして、シーソー部材231の一方の端部には、前述したように、ジョイント部材229が連結する。また、シーソー部材231の他方の端部には、クランプアーム206の軸部213の下端部が連結する。ここで、第3連結ピン234は、軸部213とシーソー部材231とを、第1連結ピン230と平行な方向に貫通してこれらを互いに回動自在に連結する。シーソー部材231の中腹には、回転軸204が貫通する。回転軸204は、第2ケース233の内側面に取り付けられ、図1において紙面に直交する方向(図2における左右方向)に延びる。シーソー部材231は、回転軸204に対し摺動自在に接触する。この点については、図4及び図5に基づいて後述する。
【0020】
次に、クランプアーム206、位置決めピン210及び着座面208について説明する。クランプアーム206は、爪部207と、この爪部207から下方に延びる軸部213と、を形成する。軸部213は、ロッド203に対し略平行に延びる。軸部213の下端部には、前述したように、シーソー部材231が連結する。軸部213の外周は、第3ケース235に覆われる。第3ケース235は、円筒形状をなし、第2ケース233の上面から上方に延びる。第3ケース235の上端は、円環状をなすカバー部材235aに閉じられる。カバー部材235aの上面は、着座面208となる。カバー部材235aの中央には、円形のアーム孔235bが開口する。軸部213は、このアーム孔235b内を通って上方に突出し、爪部207をカバー部材235aよりも上方に位置付ける。爪部207は、クランプアーム206の軸心方向と略直交方向に突出し、着座面208に平行に延びる。そして、爪部207は、クランプアーム206の動きに応じて揺動しながら上下に移動し、位置決めピン210に収納されたりこの位置決めピン210から突出したりする。
【0021】
軸部213の中腹には、リンク溝236が設けられる。リンク溝236は、上下方向に「く」字型に延びる。リンク溝236には、リンクピン237が水平に貫通する。リンクピン237は、第3ケース235の内側面に固定される。
【0022】
位置決めピン210は、アーム孔235bに装着され、着座面208よりも上方に突出する。位置決めピン210の上端部には、湾曲面238が形成される。そして、位置決めピン210は、ワーク209に形成された位置決め孔211に湾曲面238を当接させ、ワーク209を着座面208に着座させる。
【0023】
ところで、ロッド203、ジョイント部材229、シーソー部材231及びクランプアーム206は、いずれも、これらに直交する連結ピン(第1連結ピン230、第2連結ピン232、第3連結ピン234)によって回転自在に連結される。このため、ロッド203、ジョイント部材229、シーソー部材231及びクランプアーム206は、これらの部材がなす仮想平面AS(図2〜図4参照)で回転自在となる。
【0024】
図4は、シーソー部材231の平面断面図である。図5は、シーソー部材231の分解斜視図である。シーソー部材231は、連結部205の一部である。シーソー部材231は、側面視で横長の菱形状に見える板状の長尺部材である。ジョイント部材229に連結するシーソー部材231の第1端部231aは先細りしている。また、ジョイント部材229の上端部分には、上方に開く凹字溝が形成され、ここにシーソー部材231の第1端部231aが入り込む。また、クランプアーム206に連結する第2端部231bには、その端部側に開く凹字溝が形成される。また、クランプアーム206の下端部分は先細りしていて、これがシーソー部材231の第2端部231bの凹字溝に入り込む。
【0025】
シーソー部材231には、第2連結ピン232や第3連結ピン234と平行に挿通孔239が開口する。この挿通孔239は、シーソー部材231の長さ方向の中央で第1端部231a側と第2端部231b側との重量バランスを等しくする場合を含め、第3連結ピン234から第2連結ピン232までの距離を1:N(但、N≧1)に内分する箇所に設けられる。これにより、爪部207によるワーク209のクランプ力を弱めることなく、シーソー部材231でのモーメント比に対応させて駆動部202の駆動力を低減させることができる。なお、図1ないし図5では、上記のNの値を1として、第3連結ピン234から第2連結ピン232までの距離を1:1に内分する箇所に挿通孔239を設けた場合を示している。
【0026】
回転軸204は、金属素材で形成された断面真円形状のシャフトである。回転軸204の外周には、円筒状の軸受リング240が装着される。軸受リング240は、回転軸204に対して摺動自在となっている。軸受リング228の一例は、無給油ブッシュである。そして、軸受リング228の外周には、クッション性を有する円筒状の緩衝材241が装着される。緩衝材241は、例えば、ウレタン素材、より好ましくは、ブルコラン(登録商標)によって形成される。緩衝材241の外径は、挿通孔239に一致する。そして、挿通孔239には、緩衝材241及び軸受リング240が装着された回転軸204が、図4に示すように嵌合する。このようにして、緩衝材241は、回転軸204と連結部205のシーソー部材231との間に配設される。
【0027】
図1を参照する。上記のように構成されるピンクランプ装置201を用いてパネル状のワーク209をクランプする場合、まず、位置決めピン210が、ワーク209に形成された位置決め孔211に挿入される。このとき、位置決めピン210に形成された湾曲面238はワーク209に接触し、位置決めピン210はスムーズに位置決め孔211に入り込み、ワーク209が着座面208に着座する。
【0028】
続いて、モータ215は、外部制御装置からの制御信号を受けて駆動し、駆動軸216を回転させる。駆動軸216の回転力は、伝達ギアケース219内のタイミングベルトやタイミングプーリ(図示せず)、プーリ軸227、動力変換機構227aを介してロッド203に伝わる。これにより、ロッド203が上方にスライド移動し、ジョイント部材229も上方に移動する。シーソー部材231の第1端部231aはジョイント部材229に連結していて、このために、シーソー部材231は、回転軸204を中心に矢印R1の向きに回転する。そして、シーソー部材231の第2端部231bはクランプアーム206の軸部213に連結していて、このために、クランプアーム206は下方に移動する。このとき、リンク溝236及びリンクピン237は、クランプアーム206の水平方向の動きを規制する。このため、爪部207は、水平方向に揺動しながら下方に移動して位置決めピン210から水平方向に突出し、着座面208とともにワーク209を挟み込む。図1には、ワーク209が、爪部207と着座面208とによってクランプされる様子が示されている。
【0029】
モータ215は、外部制御装置からの制御信号を受けて駆動し、駆動軸216をクランプ時とは逆の方向に回転させる。これにより、ロッド203が下方にスライド移動し、シーソー部材231は矢印R1とは逆の方向に回転し、爪部207がワーク209から離反して位置決めピン210内に移動する。
【0030】
オートスイッチ226bは、ロッド203の位置をセンシングして、この位置に応じた電気信号を工程制御盤に出力する。工程制御盤は、この電気信号と、この工程制御盤よりも上位の制御システム(図示せず)からの生産指示とに基づいて、外部制御装置を制御する。
【0031】
このように、本実施の形態のピンクランプ装置201は、位置決めピン210を駆動するための駆動源(モータ215)及び駆動機構(ピニオンギア221、ラック部227を形成するロッド203等)をクランプアーム206の下方に備えていなくても、パネル状のワーク209をクランプする。このため、ピンクランプ装置201において位置決めピン210から延びる部分の長さが短くなり、ワーク209の周囲にクランプアーム206の軸部213の長さ程度の空間を確保できれば、このピンクランプ装置201によってパネル状のワーク209をクランプすることができる。これにより、例えば、ワーク209に対するスポット溶接の打点箇所を増やすことができる。
【0032】
そして、連結部205(挿通孔239)を、第3連結ピン234から第2連結ピン232までの距離を1:N(但、N≧1)に内分する箇所に設けた場合、このモーメント比に対応させて駆動部202の駆動力を低減させても、爪部207は十分な力をもってワーク209をクランプする。従って、駆動部202での使用電力が低減し、二酸化炭素の排出量は削減され、環境問題に対する貢献がなされる。
【0033】
ところで、ピンクランプ装置では、爪部が、ワークをクランプする際に破損したり、亀裂が入ったりすることが知られている。この要因の一つとして、ワークをクランプする際に爪部に加わる力が大きいことが考えられる。本実施の形態のピンクランプ装置201でも、ワーク209をクランプする際、駆動部202の駆動によって爪部207が動き、爪部207がワーク209を着座面208に押し付ける。この点、本実施の形態のピンクランプ装置201では、制御回路が、爪部207がワーク209を押し付けることによるモータ215での過負荷を検知すると、電磁ブレーキ部217を制御してモータ215に対する給電を抑える。これにより、爪部207に加わる力が抑えられ、爪部207の破損の頻度が低減する。
【0034】
さらに、本実施の形態のピンクランプ装置201では、クランプアーム206とロッド203とは、連結部205(ジョイント部材229、シーソー部材231)を介して連結され、その全体が概ねクランク形状をなしている。そして、ピンクランプ装置201では、ロッド203のスライド運動のみならず、ロッド203とシーソー部材231とに動きを規制されたジョイント部材229の仮想平面AS内での運動、シーソー部材231の仮想平面AS内での回転運動など、複数の部品の多様で複雑な動きが一斉に生じる。このため、爪部207の動きも複雑になり、爪部207がワーク209を着座面208に押し付ける際に爪部207に加わる力も複雑になる。この点、本実施の形態のピンクランプ装置201では、回転軸204がケース212(第2ケース233)に固定され、この回転軸204とシーソー部材231との間に、クッション性を有する緩衝材241が配設される。これにより、シーソー部材231に加わる力のうちシーソー部材231を回転軸204の軸回り方向に回転させる回転力以外の力の少なくとも一部は、緩衝材241に吸収される。その結果、爪部207にはワーク209をクランプするのに十分な力が作用し、それ以外の力が低減され、爪部207の破損の頻度が低減する。
【符号の説明】
【0035】
201 ピンクランプ装置
202 駆動部
203 ロッド
204 回転軸
205 連結部
206 クランプアーム
207 爪部
208 着座面
209 ワーク
210 位置決めピン
211 位置決め孔
212 ケース
213 軸部
241 緩衝材
AS 仮想平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル状のワークが着座する着座面と、
前記着座面から突出し、前記ワークに形成された位置決め孔に挿入される位置決めピンと、
前記位置決めピンの内部に揺動自在に配設され前記位置決めピンが挿入された状態の前記ワークを前記着座面との間でクランプする爪部と、前記爪部から前記着座面に対し前記位置決めピンとは反対側まで延びる軸部と、を形成するクランプアームと、
前記軸部と略平行に延びるロッドと、
前記軸部と前記ロッドとを連結する連結部と、
前記着座面に対し固定的に設けられ、前記軸部と前記ロッドとがなす仮想平面に直交し、前記連結部を前記仮想平面内で回転自在に支持する回転軸と、
前記ロッドをその軸心方向に変位させる駆動部と、
を備えるピンクランプ装置。
【請求項2】
前記着座面を形成し、前記回転軸が設けられ、前記軸部の少なくとも一部と前記連結部と前記ロッドとを収納するクランク型のケースを更に備える、
請求項1記載のピンクランプ装置。
【請求項3】
クッション性を有し前記回転軸と前記連結部との間に配設される緩衝材を更に備える、
請求項1又は2記載のピンクランプ装置。
【請求項4】
前記回転軸は、円柱形状をなし、
前記緩衝材は、前記回転軸の外周に装着される円筒部材である、
請求項1ないし3のいずれか一に記載のピンクランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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