説明

ピンチアセンブリ及びピンチ

【課題】 一緒に使用する大小複数のピンチをまとめて収納できるように構成することにより、ピンチの使用時や収納時における取り扱い性を高める。
【解決手段】 相互に開閉自在の一対の挟持片からなる一つの大形ピンチと複数の小形ピンチとで構成され、上記大形ピンチの挟持片には、上記小形ピンチを取り付けるための複数の取付部を耳状に延出するように形成し、これらの取付部にそれぞれ小形ピンチ先端の挟持部を挟着させることにより、一つの大形ピンチに複数の小形ピンチを着脱自在に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物などの干し物を止めるのに使用されるピンチを複数集合化したピンチアセンブリと、それに用いるピンチとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シーツやタオルケットなどの比較的大形の干し物を物干し竿に吊り掛けて干す場合、大小複数のピンチを使用するのが効率的である。即ち、本発明の使用形態を示す図6に記載されているように、干し物の上部を大形のピンチで物干し竿に止め、干し物の側端部を複数箇所において小形のピンチで止めるようにすれば、風による干し物の移動や落下等を確実に防止することができる。
ところで、乾燥した干し物を取り込んだあと不要になった上記ピンチは、通常、容器に入れたり、物干し竿の近くに吊した厚紙等のプレートに挟着するなどして収納している。この場合、大小のピンチは別々に収納するのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一緒に使用する大小複数のピンチを個々に分離した状態で別々の場所に収納すると、干し物を止める際にそれらを取り出して揃えるのが大変であるだけでなく、干し物を取り込んだあと再び収納する際にも不便である。しかも、ピンチが紛失し易いため、必要とするサイズ及び数のピンチを揃えるのに手間がかかることも多い。
【0004】
そこで本発明の目的は、一緒に使用する大小複数のピンチをまとめて収納できるように構成することにより、使用時や収納時の取り扱い性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によれば、外形寸法及び開閉ストロークの大きい一つの大形ピンチと、外形寸法及び開閉ストロークの小さい複数の小形ピンチとからなるピンチアセンブリが提供される。上記各ピンチは、中間の連結部において相互に開閉自在なるように連結された一対の挟持片と、これらの挟持片を先端の挟持部が閉じる方向に付勢するばねとにより構成され、上記挟持片の基端部には開閉操作のための操作部を有し、上記大形ピンチの挟持片には、上記連結部よりも基端部寄りの位置に、上記小形ピンチを取り付けるための複数の取付部が側方に延出するように形成されていて、これらの取付部にそれぞれ小形ピンチ先端の挟持部を挟着させることにより、一つの大形ピンチに複数の小形ピンチが着脱自在に取り付けられている。
【0006】
本発明において好ましくは、上記取付部が、各挟持片における操作部の左右両側の位置に、互いに逆向きかつ対称に延設され、該取付部の両面周縁部には、取り付けた小形ピンチがずれ落ちるのを防止するための縁枠が設けられていることである。
【0007】
本発明においては、上記大形ピンチにおける一対の挟持片の先端部が、二股状に分岐することによって相対する2組の分岐枝を有し、これらの分岐枝の先端に上記挟持部が形成されており、また、上記相対する2組の分岐枝は、互いに相反する方向に向けて凸形に湾曲していても良い。
【0008】
また、本発明によれば、中間の連結部において相互に開閉自在なるように連結され、先端に干し物を挟持するための挟持部を有すると共に基端部に開閉操作のための操作部を有する一対の挟持片と、これらの挟持片を上記挟持部が閉じる方向に付勢するばねとからなるピンチであって、上記挟持片には、上記連結部よりも基端部寄りの位置に、他の小形ピンチを取り付けるための複数の取付部が側方に延出するように形成され、これらの取付部に小形ピンチを挟着させることによって複数の小形ピンチを取付可能としたことを特徴とするピンチが提供される。
【0009】
上記ピンチにおいては、上記取付部が、各挟持片における操作部の左右両側の位置に互いに逆向きかつ対称に延設され、該取付部の両面周縁部には、取り付けた小形ピンチがずれ落ちるのを防止するための縁枠が設けられていることが望ましい。
【0010】
また、上記一対の挟持片の先端部が、二股状に分岐することによって相対する2組の分岐枝を有し、これらの分岐枝の先端に上記挟持部が形成され、上記相対する2組の分岐枝は、互いに相反する方向に向けて凸形に湾曲していても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、大形のピンチに複数の取付部を形成し、この取付部に複数の小形ピンチを挟着させて取り付けることができるようにしたので、干し物を干す場合に一緒に使用する大小複数のピンチをピンチアセンブリとしてまとめて収納することができ、また、干し物を干す場合には、大小必要なピンチをまとめて取り出すことができるため、取り扱い易く、使用性に勝れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一実施形態であるピンチアセンブリを示すもので、このピンチアセンブリは、外形寸法及び開閉ストロークの大きい一つの大形ピンチ1と、外形寸法及び開閉ストロークの小さい複数の小形ピンチ2とからなっており、上記大形ピンチ1に小形ピンチ2を着脱自在に取り付けることによってこのピンチアセンブリが構成されている。
【0013】
上記大形ピンチ1は、図2及び図3からも分かるように、中間の連結部11において支軸14を中心に相互に開閉自在なるように連結された一対の合成樹脂製の挟持片10,10と、これらの挟持片10,10を先端の挟持部12,12が閉じる方向に付勢する金属製のばね15とで構成され、各挟持片10,10の基端部に開閉操作のための操作部13が設けられている。
【0014】
上記各挟持片10の先端部は、二股状に分かれていて、相互にほぼ平行に延びる2つの分岐枝16,16を有しており、各分岐枝16の先端にそれぞれ上記挟持部12が形成されている。従って、一対の挟持片10,10は、相対する2組の分岐枝16,16を有していて、これらの分岐枝16,16の間に干し物が挟持されることになる。また、上記各分岐枝16は、図3に示すように、互いに相反する方向である背面側に向けて凸形に湾曲しており、この形状により、図6に示すように、物干し竿7に掛けた干し物8を該物干し竿7を跨いだ状態で挟持できるようになっている。
【0015】
また、上記一対の挟持片10,10の基端部は、上記連結部11の位置から互いに先広がりをなすように湾曲しながら一定幅のまま上向きに延び、その上端部に上記操作部13が形成されている。この操作部13においては、指を当て易いように挟持片10の外面がやや窪んだ形に形成されると共に、当てた指が滑らないようにするための複数の突条17が横向に設けられている。
【0016】
更に、上記各挟持片10の基端部には、上記小形ピンチ2を取り付けるための複数の取付部18が形成されている。この取付部18は、両面が平坦な薄板状をなすもので、上記操作部13の左右両側部から、互いに逆方向に向けて対称形をなすように延出している。従って、この大形ピンチ1における一対の挟持片10,10には、合計で4つの取付部18が形成されていることになる。また、これらの取付部18の両面周縁部には、取り付けた小形ピンチ2がずれ落ちるのを防止するための縁枠19が全周にわたり形成され、挟着した小形ピンチ2がずれ動いてもこの縁枠19に係止するようになっている。
【0017】
なお、上記取付部18の大きさは、小形ピンチ2の取り付け易さを考えるとできるだけ大きい方がよいが、大形ピンチ1を単独で取り扱う場合のことを考慮すると、左右方向への極端な張り出しはできるだけ避けるべきである。図示した実施形態においては、一対の取付部18,18の張り出し長さ即ち左右の取付部18,18の端部間の距離Xが、上記一対の分岐枝16,16の端部間の距離Yより僅かに大きく形成されているが、それらは同程度であっても良く、あるいはXがYよりやや小さくても構わない。
【0018】
上記ばね15は、弧状に湾曲していて、上記支軸14を上方から取り囲むように配置され、その両端が一対の挟持片10,10に対して上記支軸14よりも先端寄りの位置で当接している。
【0019】
一方、上記小形ピンチ2は、基本的には上記大形ピンチ1と同じ構成を有するものであるが、この大形ピンチ1に比べて全体のサイズは小さく、従って干し物8を挟持するための開閉ストロークも小さい。即ち、図4及び図5に示すように、この小形ピンチ2は、中間の連結部21において支軸24を中心に相互に開閉自在なるように連結された一対の合成樹脂製の挟持片20,20と、これらの挟持片20,20を先端の挟持部22,22が閉じる方向に付勢する金属製のばね25とで構成され、各挟持片20,20の基端部に開閉操作のための操作部23が設けられている。
【0020】
上記小形ピンチ2は、先端の挟持部22,22を上記大形ピンチ1の取付部18に挟着させることにより、該取付部18に着脱自在に取り付けられている。図示した実施形態では、大形ピンチ1に四つの取付部18が形成され、各取付部18に一つの小形ピンチ2が取り付けられているので、一つの大形ピンチ1に合計で四つの小形ピンチ2が取り付けられていることになる。
なお、上記取付部18に対する小形ピンチ2の取付姿勢は、図1における左側の挟持片10に取り付けた2つの小形ピンチ2のように下向きであっても、右側の挟持片10に取り付けた2つの小形ピンチ2のように上向きであっても、あるいは横向きや斜め向きであっても良く、任意の姿勢で取り付ることができる。
【0021】
上記構成を有するピンチアセンブリを使用してシーツやタオルケットなどの干し物を干す場合には、このピンチアセンブリを収納場所から取り出したあと、各小形ピンチ2を大形ピンチ1から取り外し、図6に示すように、干し物8の上部を大形ピンチ1で物干し竿7に止め、干し物8の側端部を複数箇所において小形ピンチ2で止めるようにする。その際、複数の小形ピンチ2を大形ピンチ1から順次取り外しながら干し物8の側端部を止めたあと、最後に大形ピンチ1で干し物8の上部を止めることも、あるいは、小形ピンチ2が取り付けられたままの大形ピンチ1で干し物8の上部を物干し竿7に止めたあと、各小形ピンチ2を順次取り外して干し物8の側端部を止めることもできる。
【0022】
また、乾燥した干し物8を取り込んだあと、不要になった上記ピンチ1,2は、図1に示すように、大形ピンチ1の取付部18に小形ピンチ2を取り付けることによって再び上記ピンチアセンブリの形にし、所定の場所に収納する。
【0023】
かくして上記ピンチアセンブリは、干し物を干す場合に同時に使用する大小複数のピンチ1,2をひとまとめにしてあるので、不使用時にはこれらのピンチ1,2を一箇所にまとめて収納することができ、また、干し物を干す場合には、大小必要なピンチ1,2をまとめて取り出すことができるため、取り扱い易く、使用性に勝れる。
しかも、上記取付部18の周囲に縁枠19が形成されているため、取り付けた小形ピンチ2が収納時や取り出し時にずれ動いたとしても、この縁枠19に係止して脱落することがなく、常にまとまった状態のまま取り扱うことができる。
【0024】
図示した実施形態では、大形ピンチ1を構成する一対の挟持片10,10における操作部13,13の両側に、2つの取付部18,18が耳状に張り出した形に形成されているが、一方の挟持片10だけに上記取付部18を形成することもできる。また、上記取付部18を形成する位置は、操作部13の両側に限るものではなく、上記連結部11よりも基端部寄り(操作部13寄り)の位置であればどのような位置であっても良く、一対の挟持片10,10で取付部18の位置が互いに異なっていても良い。更に、上記取付部18の形態も平坦な薄板状に限らず、L字形に折れ曲がっていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】大形ピンチの正面図である。
【図3】大形ピンチの側面図である。
【図4】小形ピンチの正面図である。
【図5】小形ピンチの側面図である。
【図6】大小ピンチを使用して干し物を干した状態の図である。
【符号の説明】
【0026】
1 大形ピンチ
2 小形ピンチ
10,20 挟持片
11,21 連結部
12,22 挟持部
13,23 操作部
14,24 支軸
15,25 ばね
16 分岐枝
18 取付部
19 縁枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形寸法及び開閉ストロークの大きい一つの大形ピンチと、外形寸法及び開閉ストロークの小さい複数の小形ピンチとからなり、
上記各ピンチは、中間の連結部において相互に開閉自在なるように連結された一対の挟持片と、これらの挟持片を先端の挟持部が閉じる方向に付勢するばねとにより構成され、上記挟持片の基端部には開閉操作のための操作部を有し、
上記大形ピンチの挟持片には、上記連結部よりも基端部寄りの位置に、上記小形ピンチを取り付けるための複数の取付部が側方に延出するように形成されていて、これらの取付部にそれぞれ小形ピンチ先端の挟持部を挟着させることにより、一つの大形ピンチに複数の小形ピンチが着脱自在に取り付けられている、
ことを特徴とするピンチアセンブリ。
【請求項2】
上記取付部が、各挟持片における操作部の左右両側の位置に、互いに逆向きかつ対称に延設され、該取付部の両面周縁部には、取り付けた小形ピンチがずれ落ちるのを防止するための縁枠が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のピンチアセンブリ。
【請求項3】
上記大形ピンチにおける一対の挟持片の先端部が、二股状に分岐することによって相対する2組の分岐枝を有し、これらの分岐枝の先端に上記挟持部が形成されており、また、上記相対する2組の分岐枝は、互いに相反する方向に向けて凸形に湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載のピンチアセンブリ。
【請求項4】
中間の連結部において相互に開閉自在なるように連結され、先端に干し物を挟持するための挟持部を有すると共に基端部に開閉操作のための操作部を有する一対の挟持片と、これらの挟持片を上記挟持部が閉じる方向に付勢するばねとからなるピンチであって、
上記挟持片には、上記連結部よりも基端部寄りの位置に、他の小形ピンチを取り付けるための複数の取付部が側方に延出するように形成され、これらの取付部に小形ピンチを挟着させることによって複数の小形ピンチを取付可能としたことを特徴とするピンチ。
【請求項5】
上記取付部が、各挟持片における操作部の左右両側の位置に、互いに逆向きかつ対称に延設され、該取付部の両面周縁部には、取り付けた小形ピンチがずれ落ちるのを防止するための縁枠が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のピンチ。
【請求項6】
上記一対の挟持片の先端部が、二股状に分岐することによって相対する2組の分岐枝を有し、これらの分岐枝の先端に上記挟持部が形成されており、また、上記相対する2組の分岐枝は、互いに相反する方向に向けて凸形に湾曲していることを特徴とする請求項4又は5に記載のピンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−14419(P2007−14419A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196647(P2005−196647)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)