説明

ピンチロールレバー

【課題】容易に、メディアの端部近傍を駆動ロールとピンチロールとにより挟持させることができるピンチロールレバーを提供する。
【解決手段】印刷対象であるメディアを駆動ロールとの間に挟持した状態で所定の方向に搬送するピンチロールを支持するピンチロールレバーにおいて、上記所定の方向の一方の端部に上記ピンチロールが配設されるとともに、上記所定の方向と直交する方向に延設された支軸に摺動自在に配設された摺動手段と、上記摺動手段の上記所定の方向の他方の端部に設けられたガイド手段と、上記摺動手段の上記所定の方向と直交する方向における一方の端部に設けられ、上記所定の方向の上記一方の端部に延長して形成されて、上記駆動ロールと上記ピンチロールとにより上記メディアが挟持された際に上記メディアを押さえるメディア押さえ手段とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンチロールレバーに関し、さらに詳細には、被印刷物たる記録紙などのメディアの搬送方向と直交する方向にインクヘッドが移動し、当該メディア上にインクヘッドから吐出されるインクにより所望の印刷を行う印刷装置において、当該メディアを駆動ロールとの間で挟持して搬送方向に搬送するピンチロールを支持するピンチロールレバーに関するものである。
【0002】
なお、本明細書において「メディア」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料、アルミ、鉄などの金属材料、布、木材などのような各種の材料が含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
従来より、被印刷物たる記録紙などのメディアの搬送方向と直交する方向に移動するインクヘッドからインクを吐出することにより、当該メディア上に所望の印刷を行う印刷装置が知られている。
【0004】
こうした印刷装置においては、インクヘッドの移動方向に延設されたプラテン上に、駆動ロールとピンチロールとによる搬送機構がメディアの幅方向の両端部近傍に設けられている。
【0005】
搬送機構を構成する駆動ロールは、駆動モーターにより回転するようになされており、また、ピンチロールは、ピンチロールレバーなどを介してバネなどの付勢力により常時駆動ロール側に付勢されており、駆動ロールとピンチロールとに挟持されたメディアは、駆動ロールが回転することにより搬送方向に搬送されるようになされている。
【0006】
こうした構成の搬送機構を備えた印刷装置においては、メディアを搬送可能にセットするために、ピンチロールレバーを回動してピンチロールを上方側に移動させ、駆動ロールとピンチロールとの間に空間を設け、搬送方向とメディアの長手方向とが平行になるようにして当該空間内にメディアの幅方向の端部近傍を配置させる。そして、ピンチロールレバーを回動してピンチロールを下方側に移動させ、駆動ロールとピンチロールとでメディアの幅方向における両端部近傍を挟持する。なお、メディアの長手方向とは、メディアの幅方向と直交する方向である。
【0007】
これにより、この印刷装置においては、駆動ロールとピンチロールとにより搬送方向でメディアを搬送することができるものである。
【0008】
しかしながら、印刷装置において、メディアを搬送可能にセットするには、搬送方向とメディアの長手方向とが平行になり、かつ、駆動ロールとピンチロールとの間に形成されるわずかな空間にメディアの両端部を配置するようにするため、作業者は目視により、メディアの配置状態およびピンチロールの位置を確認しなければならなかった。
【0009】
このため、作業に習熟してない作業者においては、的確にメディアをセットすることができず、メディアにシワが入ったり、メディアを搬送する際にメディアが斜行するなどして、品質の高い印刷結果を取得することができない場合が生じていた。
【0010】
また、作業に習熟していない作業者においては、的確にメディアをセットするために、多くの時間を要し、作業時間が長くなってしまっていた。
【0011】
このため、容易に、メディアの端部近傍を駆動ロールとピンチロールとにより挟持させることができるピンチロールレバーの提案が望まれていた。
【0012】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に、メディアの端部近傍を駆動ロールとピンチロールとにより挟持させることができるピンチロールレバーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、印刷対象であるメディアを駆動ロールとの間に挟持した状態で所定の方向に搬送するピンチロールを支持するピンチロールレバーにおいて、上記所定の方向の一方の端部に上記ピンチロールが配設されるとともに、上記所定の方向と直交する方向に延設された支軸に摺動自在に配設された摺動手段と、上記摺動手段の上記所定の方向の他方の端部に設けられたガイド手段と、上記摺動手段の上記所定の方向と直交する方向における一方の端部に設けられ、上記所定の方向の上記一方の端部に延長して形成されて、上記駆動ロールと上記ピンチロールとにより上記メディアが挟持された際に上記メディアを押さえるメディア押さえ手段とを有するようにしたものである。
【0015】
また、本発明は、上記した発明において、上記ガイド手段は、上記印刷装置の筐体外部に設けられたレール上に摺動自在に配設されるようにしたものである。
【0016】
また、本発明は、上記した発明において、さらに、上記メディア押さえ手段において上記メディアが当接する面に、端部が上記メディアの端部と接するように配設されるスペーサーとを有するようにしたものである。
【0017】
また、本発明は、上記した発明において、上記スペーサーは、上記メディアと略一致した厚さであるようにしたものである。
【0018】
また、本発明は、メディアの搬送方向と直交する走査方向で移動しながらインクを吐出するインクヘッドと、ロール状に巻かれた上記メディアを支持し、上記メディアの端部側をフランジで固定するメディア供給手段と備え、上記メディア供給部から供給される上記メディアに上記インクヘッドによりインクを吐出して所定の画像を形成する印刷装置において、上記メディアを駆動ロールとの間に挟持した状態で上記搬送方向に搬送するピンチロールを支持するピンチロールレバーであって、上記搬送方向の一方の端部に上記ピンチロールが設けられるとともに、回動自在に上記走査方向に延設された支軸上に、摺動自在に配設された摺動手段と、上記摺動手段の上記搬送方向の他方の端部に設けられ、上記印刷装置の筐体外部に設けられたレール上に摺動可能に設けられたガイド手段と、上記摺動手段の上記走査方向における一方の端部に設けられるとともに、上記搬送方向の上記一方の端部に延長して形成され、上記駆動ロールと上記ピンチロールとにより上記メディアが挟持された際に上記メディアを押さえるメディア押さえ手段とを有し、作業者により上記ガイド手段を介して上記摺動手段を上記支軸上で移動させ、上記ガイド部材を上記メディア供給手段の上記フランジに当接させるようにしたものである。
【0019】
また、本発明は、上記した発明において、さらに、上記メディア押さえ手段において上記メディアが当接する面に、端部が上記メディアの端部と接するように配設されるスペーサーとを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明したように構成されているので、容易に、メディアの端部近傍を駆動ロールとピンチロールとにより挟持させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明によるピンチロールレバーを備えた印刷装置を示す概略構成説明図である。
【図2】図2は、図1の印刷装置において給紙部を搭載した状態を示す平面図である。
【図3】図3(a)(b)は、本発明によるピンチロールレバーを示す概略構成説明図である。
【図4】図4(a)は、ピンチロールレバーにおける摺動部材および板状部材の接続状態を示す説明図であり、また、図4(b)は、板状部材を示す概略構成説明図である。
【図5】図5は、ピンチロールレバーとメディアフランジとが接触した状態を示す説明図である。
【図6】図6(a)は、ピンチロールレバーにおける摺動部材および板状部材の接続状態を示す説明図であり、また、図6(b)は、板状部材を示す概略構成説明図である。
【図7】図7は、ピンチロールレバーとメディアフランジとが接触した状態を示す説明図である。
【図8】図8(a)は、図3(a)のI−I線および図3(b)II−II線断面図であり、また、図8(b)は、図8(a)において、記録紙がセットされた状態を示す断面説明図である。
【図9】図9(a)(b)は、給紙部にロール状に巻かれた記録紙をセットする状態を示す説明図であり、また、図9(c)は、給紙部を印刷装置に配設した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるピンチロールレバーの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0023】
ここで、図1には、本発明によるピンチロールレバーを備えた印刷装置の概略構成説明図が示されている。
【0024】
また、図2には、図1の印刷装置において給紙部を搭載した状態を表す平面図が示されている。
【0025】
また、図3(a)(b)には、本発明によるピンチロールレバーの概略構成説明図が示されている。
【0026】
この図1に示す印刷装置100は、所謂、ペーパームーブタイプの印刷装置であり、給紙部124(後述する。)によってメディアとして幅方向たる主走査方向において所定の長さを有する記録紙200が後述するベース部材102上に供給され、主走査方向と直交する方向たる副走査方向、即ち、記録紙200の長手方向に搬送するようになされている。
【0027】
なお、図1に示す印刷装置100は、給紙部124を取り付けていない状態を示している。
【0028】
こうした印刷装置100は、主走査方向に延長して配置された固定系のベース部材102と、ベース部材102の左右両端でベース部材12に直交して配設された側方部材104L、104Rと、左右2つの側方部材104L、104Rを連結する中央壁(図示せず。)に主走査方向に延長して配設されたガイドレール(図示せず。)において摺動自在に配設されたキャリッジ108と、ベース部材102上の記録紙200と対向するようにしてキャリッジ108に配設されるとともに、記録紙200上にインクを吐出するインクヘッド110と、ベース部材102上に記録紙200と対向するようにしてキャリッジ108の左方側に配設されるとともに、記録紙200上に紫外線を照射する紫外線照射ランプ112とを有して構成されている。
【0029】
なお、こうした印刷装置100の全体の動作は、マイクロコンピューター(図示せず。)によって制御されている。
【0030】
駆動装置(図示せず。)によってキャリッジ108が移動すると、キャリッジ108に配設されたインクヘッド110および紫外線照射ランプ112もキャリッジ108の移動に伴って記録紙200上を主走査方向に移動する。
【0031】
即ち、インクヘッド110は、側方部材104L側から側方部材104R側へと主走査方向における行き方向で移動するとともに、側方部材104R側から側方部材104L側へと主走査方向における帰り方向で移動する。
【0032】
また、印刷を行わないなどの所定のタイミングで、キャリッジ108は側方部材104R側に設けられたユニット106内に留まり、キャリッジ108に配設されたインクヘッドが当該ユニット106内に位置するようになされている。
【0033】
印刷装置100の背面側には、左方側突部120と右方側突部122とが形成されており、この左方側突部120と右方側突部122とに着脱可能に給紙部124が配設される(図2を参照する。)。
【0034】
給紙部124は、ロール状に巻かれた記録紙200の支軸となるメディアバー124−1と、メディアバー124−1の所望の位置において着脱可能に配設されたメディアフランジ124−2、124−3とにより構成されている。
【0035】
メディアバー124−1は、左方側突部120の右側面120aと右方側突部122の左側面122aとにおいて、着脱可能に配設されるとともに、キャリッジ108の主走査方向と平行して配設される。
【0036】
メディアフランジ124−2、124−3は、メディアバー124−1に配設されたロール状に巻かれた記録紙200の幅方向(主走査方向に相当する。)の長さに応じて、メディアフランジ124−2、124−3の間の距離を変更することができる。
【0037】
また、ベース部材102の後方側には、駆動モーター(図示せず。)により駆動する駆動ロール114が主走査方向に延設されており、駆動ロール114と対向するようにピンチロールレバー10、30が設けられている(図1、8(a)(b)を参照する。)。
【0038】
ピンチロールレバー10は、前方側にピンチロール14が設けられるとともに主走査方向に延設された支軸130に摺動自在に設けられた摺動部材12と、摺動部材12に固定的に配設された板状部材16と、摺動部材12の後方側に設けられた切り欠き部12a(図4(a)を参照する。)に嵌合する突部18aが形成され、支軸130と平行に設けられたレール132に摺動自在に設けられたガイド部材18とを有して構成されている(図3(a)を参照する。)。
【0039】
なお、支軸130は回動自在に印刷装置100に配設されており、記録紙200を搬送可能に印刷装置100にセットする際に、支軸130を回動することによりピンチロールレバー10が回動し、ピンチロール14を昇降するようになされている。
【0040】
即ち、支軸130が矢印A方向に回動すると、摺動部材12の前方側に設けられたピンチロール14は上昇することとなり、支軸130が矢印B方向に回動すると、当該ピンチロール14は下降することとなる(図4(a)を参照する。)。
【0041】
摺動部材12は、支軸130に摺動自在に設けられており、前方側に駆動ロール114と記録紙200を挟持して搬送することが可能なピンチロール14が設けられている。
【0042】
さらに、摺動部材12の後方側には、ガイド部材18の前方側に設けられた突部18aと嵌合可能に形成された切り欠き部12aが形成されており、後方側の左側面において、板状部材16が固定的に配設されている。
【0043】
なお、切り欠き部12aとガイド部材18に設けられた突部18aとは、単に、嵌合するだけの構成としてもよいし、切り欠き部12aおよび突部18aにおいて雌雄一対の凹凸部などを設けて、容易に嵌合状態を解除できないような構成としてもよい。
【0044】
板状部材16は、所定の長さL1を有しており、摺動部材12の長さL2より長くなるように設計されている(図4(a)を参照する。)。
【0045】
また、板状部材16は、摺動部材12の左方側に位置する延設部16aと、摺動部材12の前方側にまで張り出して形成された板部16bと、延設部16aと板部16bとを接続する接続部16cとにより構成されており、接続部16cによって、延設部16aが板部16bよりも高さ方向において上方側に位置するように設計されている(図8(a)を参照する。)。
【0046】
そして、板状部材16は、延設部16aの後端部16aaの左方側に立設された立設部16aaaにより、摺動部材12の後方側左側面においてネジ20により固定的に配設されている(図4(a)(b)を参照する。)。
【0047】
また、板部16bの下面には、所定の厚さを有する略矩形形状のスペーサー22が設けられている。このスペーサー22の所定の厚さは、メディアたる記録紙200と略一致する厚さとなっている(図8(b)を参照する。)。
【0048】
なお、板状部材16においては、駆動ロール114とピンチロール14とにより記録紙200が挟持された際に、板部16bにより記録紙200の端部を上方側から押さえるような構成となっている。
【0049】
ガイド部材18は、前方側において板状部材16が配設された摺動部材12と接続され、後方側の下方側においてガイド溝18dが設けられており、このガイド溝18dにより印刷装置100の筐体外部に設けられたレール132に摺動自在に配設されている。
【0050】
ガイド部材18の前方側においては、突部18aと突部18bとが形成されており、突部18aは、摺動部材12に形成された切り欠き部12aに嵌合し、突部18bは、延設部16aの後端部16aa近傍に設けられた凹部16abに係合しており、これにより、板状部材16が固定的に配設された摺動部材12とガイド部材18とが接続されている。
【0051】
また、ガイド部材18の後方側の上方側においては、搬送される記録紙200の印刷面と直交し、かつ、副走査方向に平行に板状部材18cが設けられている。
【0052】
そして、ガイド部材18は、図2に示すように、印刷装置100に給紙部124が配設される際には、このガイド部材18をレール132上で移動させて、板状部材18cとメディアフランジ124−2とを接触させることができる。
【0053】
なお、板状部材18cの右側面18caをメディアフランジ124−2の左側面124−2bと当接した際に、メディアフランジ124−2の右側面124−2aと、スペーサー22の右端部22aとが主走査方向において略一致する位置にスペーサー22が板状部材16に設けられている(図5を参照する。)。
【0054】
さらに、ピンチロールレバー30は、前方側にピンチロール34が設けられるとともに主走査方向に延設された支軸130に摺動自在に設けられた摺動部材32と、摺動部材32に固定的に配設された板状部材36と、摺動部材32の後方側に設けられた切り欠き部32a(図6(a)を参照する。)に嵌合する突部38aが形成され、支軸130と平行に設けられたレール132に摺動自在に設けられたガイド部材38とを有して構成されている。(図3(b)を参照する。)。
【0055】
なお、ピンチロールレバー30を構成する摺動部材32、、板状部材35、ガイド部材38はそれぞれ、ピンチロールレバー10を構成する摺動部材12、板状部材16、ガイド部材18と同じ寸法により形成されている。さらに、ピンチロール34は、ピンチロール14と同じ寸法で同じ形状となっている。
【0056】
また、支軸130は回動自在に印刷装置100に配設されており、記録紙200を搬送可能に印刷装置100にセットする際に、支軸130を回動することによりピンチロールレバー30が回動し、ピンチロール34を昇降するようになされている。
【0057】
即ち、支軸130が矢印A方向に回動すると、摺動部材32の前方側に設けられたピンチロール34は上昇することとなり、支軸130が矢印B方向に回動すると、当該ピンチロール34は下降することとなる(図6(a)を参照する。)。
【0058】
摺動部材32は、支軸130に摺動自在に設けられており、前方側に駆動ロール114と記録紙200を挟持して搬送することが可能なピンチロール34が設けられている。
【0059】
さらに、摺動部材32の後方側には、ガイド部材38の前方側に設けられた突部38aと嵌合可能に形成された切り欠き部32aが形成されており、後方側の左側面において、板状部材36が固定的に配設されている。
【0060】
なお、切り欠き部32aとガイド部材38に設けられた突部38aとは、単に、嵌合するだけの構成としてもよいし、切り欠き部32aおよび突部38aにおいて雌雄一対の凹凸部などを設けて、容易に嵌合状態を解除できないような構成としてもよい。
【0061】
板状部材36は、板状部材12と同様に所定の長さL1を有しており、摺動部材32の長さL2より長くなるように設計されている(図6(a)を参照する。)。
【0062】
また、板状部材36は、摺動部材32の左方側に位置する延設部36aと、摺動部材32の前方側にまで張り出して形成された板部36bと、延設部36aと板部36bとを接続する接続部36cとにより構成されており、接続部36cによって、延設部36aが板部36bよりも高さ方向において上方側に位置するように設計されている(図8(a)を参照する。)。
【0063】
そして、板状部材36は、延設部36aの後端部36aaの左方側に立設された立設部36aaaにより、摺動部材32の後方側左側面においてネジ40により固定的に配設されている。(図6(a)(b)を参照する。)。
【0064】
また、板部36bの下面には、所定の厚さを有する略矩形形状のスペーサー42が設けられている。このスペーサー42の所定の厚さは、メディアたる記録紙200と略一致する厚さとなっている(図8(b)を参照する。)。
【0065】
なお、板状部材36においては、駆動ロール114とピンチロール34とにより記録紙200が挟持された際に、板部36bにより記録紙200の端部を上方側から押さえるような構成となっている。
【0066】
ガイド部材38は、前方側において板状部材36が配設された摺動部材32と接続され、後方側の下方側においてガイド溝38bが設けられており、このガイド溝38bにより印刷装置100の筐体外部に設けられたレール132に摺動自在に配設されている。
【0067】
ガイド部材38の前方側においては、突部38aと突部38bとが形成されており、突部38aは、摺動部材32に形成された切り欠き部32aに嵌合し、突部38bは、延設部36の後端部36aa近傍に設けられた凹部36abに係合しており、これにより、板状部材36が固定的に配設された摺動部材32とガイド部材38とが接続されている。
【0068】
また、ガイド部材38の後方側の上方側においては、搬送される記録紙200の印刷面と直交し、かつ、副走査方向に平行に板状部材38cが設けられている。
【0069】
そして、ガイド部材38は、図2に示すように、印刷装置100に給紙部124が配設される際には、このガイド部材38をレール132上で移動させて、板状部材38cとメディアフランジ124−3とを接触させることができる。
【0070】
なお、板状部材38cの左側面38caをメディアフランジ124−3の右側面124−3bと当接した際に、メディアフランジ124−3の左側面124−3aと、スペーサー42の左端部42aとが主走査方向において略一致する位置にスペーサー42が板状部材36に設けられている(図7を参照する。)。
【0071】
以上の構成において、印刷装置100で記録紙200をセットする、つまり、記録紙200を搬送可能な状態とする際には、まず、支軸130を矢印A方向に回動してピンチロールレバー10に設けられたピンチロール14およびピンチロールレバー30に設けられたピンチロール34を上昇させた状態で、作業者は、印刷装置100の背面側に着脱可能に設けられた給紙部124を取り外し、給紙部124にロール状に巻かれた記録紙200を配設する。
【0072】
即ち、給紙部124に記録紙200を配設するには、メディアバー124−1からメディアフランジ124−2を取り外してロール状に巻かれた記録紙200の中心部にメディアバー124−1に挿入し(図9(a)を参照する。)、その後、メディアフランジ124−2をメディアバー124−1に装着する(図9(b)を参照する。)。このとき、レール132上を移動可能なガイド部材18をレール132の最も左方側に位置させるとともに、ガイド部材38をレール132の最も右方側に位置させるようにする。
【0073】
次に、図9(c)に示すように、記録紙200が配設された給紙部124を印刷装置100の背面側に取り付け、レール132の最も左方側に位置するガイド部材18を右方側に移動させて、ガイド部材18の板状部材18cの右側面18caとメディアフランジ124−2の左側面124−2bとを当接させる(図5に示す状態である。)。さらに、132の最も右方側に位置するガイド部材38を左方側に移動させて、ガイド部材38の板状部材38cの左側面38caとメディアフランジ124−3の右側面124−3bとを当接させる(図7に示す状態である。)。
【0074】
このとき、メディアフランジ124−2の右側面124−2aにおいては、記録紙200の幅方向における左方側端部が位置しており、メディア124−3の左側面124−3aにおいては、記録紙200の幅方向における右方側端部が位置している。
【0075】
こうした状態で、記録紙200を、たるみが生じないように給紙部124からまっすぐに引き出し、引き出した記録紙200を印刷装置100の背面に設けられた給紙口(図示せず。)に差し込む。
【0076】
このとき、記録紙20の左方側端部を板部16bの下方側に位置させるとともに、記録紙200の右方側端部を板部36bの下方側に位置させる。
【0077】
その後、支軸130を矢印B方向に回動することによりピンチロールレバー10に設けられたピンチロール14およびピンチロールレバー30に設けられたピンチロール34を下降させて、ピンチロール14と駆動ロール114とにより記録紙200の左方側端部近傍を挟持するとともに、ピンチロール34と駆動ロール114とにより記録紙200の右方側端部近傍を挟持するようにする。
【0078】
その後、駆動ロール114を駆動して、記録紙200の先端を所定の位置まで搬送して、印刷装置100における記録紙200のセットを終了する。
【0079】
こうして、印刷装置100においては、記録紙200を搬送可能な状態にセットした後に、記録紙200を副走査方向で搬送しながら記録紙200の印刷面に印刷を行うようにする。
【0080】
以上において説明したように、本発明によるピンチロールレバー10においては、支軸130に摺動自在に設けられ、駆動ロール114と記録紙200を挟持するピンチロール14が設けられた摺動部材12と、印刷装置100の筐体外部に設けられたレール132上に摺動可能に設けられたガイド部材18とを備えるようにした。
【0081】
そして、ガイド部材18の板状部材18cがメディアフランジ124−2と当接するように構成した。
【0082】
また、本発明によるピンチロールレバー30においては、支軸130に摺動自在に設けられ、駆動ロール114と記録紙200を挟持するピンチロール34が設けられた摺動部材32と、摺動部材32と接続され、印刷装置100の筐体外部に設けられたレール132上に摺動自在に設けられたガイド部材38とを備えるようにした。
【0083】
そして、ガイド部材38の板状部材38cをメディアフランジ124−3と当接する構成とした。
【0084】
これにより、本発明によるピンチロールレバー10、30においては、容易にピンチロール14、34を記録紙200の幅方向における端部近傍に位置させることができる。
【0085】
また、本発明によるピンチロールレバー10は、板状部材16を設けるようにし、当該板状部材16の下面にスペーサー22を設けるようにした。
【0086】
そして、スペーサー22の右端部22aとメディアフランジ124−2の右側面124−2aとが主走査方向において略一致するようにスペーサー22が板状部材16に配設されるようにした。
【0087】
また、本発明によるピンチロールレバー30は、板状部材36を設けるようにし、当該板状部材35の下面にスペーサー42を設けるようにした。
【0088】
そして、スペーサー42の左端部42aとメディアフランジ124−3の左側面124−3aとが主走査方向において略一致するようにスペーサー42が板状部材36に配設されるようにした。
【0089】
これにより、本発明によるピンチロールレバー10、30においては、容易に板状部材16、36を記録紙200の端部に位置させて、記録紙200の端部を押さえることができるようになる。
【0090】
つまり、この板状部材16、36により、インクヘッド110などが記録紙200の幅方向の端部と接触することを防止することができる。
【0091】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に示すように変形するようにしてもよい。
【0092】
(1)上記した実施の形態においては、メディアとして記録紙200を一例として説明したが、メディアとしては、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料、アルミ、鉄などの金属材料、布、木材などのような各種の材料を用いるようにしてもよいことは勿論である。
【0093】
(2)上記した実施の形態においては、ガイド部材18、38をレール132上を摺動可能なようにしたがこれに限られるものではないことは勿論であり、レール132を設けずに、ガイド部18、38により、摺動部材12、32を支軸130上で移動可能にするようにしてもよい。
【0094】
(3)上記した実施の形態ならびに上記した(1)(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、駆動ロールとにより媒体を狭持するピンチロールを有する搬送機構を備えた印刷装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10、30 ピンチロールレバー、12、32 摺動部材、14、34 ピンチロール、16、36 板状部材、18、38 ガイド部材、22、42 スペーサー、100 印刷装置、114 駆動ロール、124 給紙部、130 支軸、132 レール、200 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象であるメディアを駆動ロールとの間に挟持した状態で所定の方向に搬送するピンチロールを支持するピンチロールレバーにおいて、
前記所定の方向の一方の端部に前記ピンチロールが配設されるとともに、前記所定の方向と直交する方向に延設された支軸に摺動自在に配設された摺動手段と、
前記摺動手段の前記所定の方向の他方の端部に設けられたガイド手段と、
前記摺動手段の前記所定の方向と直交する方向における一方の端部に設けられ、前記所定の方向の前記一方の端部に延長して形成されて、前記駆動ロールと前記ピンチロールとにより前記メディアが挟持された際に前記メディアを押さえるメディア押さえ手段と
を有することを特徴とするピンチロールレバー。
【請求項2】
請求項1に記載のピンチロールレバーにおいて、
前記ガイド手段は、前記印刷装置の筐体外部に設けられたレール上に摺動自在に配設される
ことを特徴とするピンチロールレバー。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のピンチロールレバーにおいて、さらに、
前記メディア押さえ手段において前記メディアが当接する面に、端部が前記メディアの端部と接するように配設されるスペーサーと
を有することを特徴とするピンチロールレバー。
【請求項4】
請求項3に記載のピンチロールレバーにおいて、
前記スペーサーは、前記メディアと略一致した厚さである
ことを特徴とするピンチロールレバー。
【請求項5】
メディアの搬送方向と直交する走査方向で移動しながらインクを吐出するインクヘッドと、ロール状に巻かれた前記メディアを支持し、前記メディアの端部側をフランジで固定するメディア供給手段と備え、前記メディア供給部から供給される前記メディアに前記インクヘッドによりインクを吐出して画像を形成する印刷装置において、前記メディアを駆動ロールとの間に挟持した状態で前記搬送方向に搬送するピンチロールを支持するピンチロールレバーであって、
前記搬送方向の一方の端部に前記ピンチロールが設けられるとともに、回動自在に前記走査方向に延設された支軸上に、摺動自在に配設された摺動手段と、
前記摺動手段の前記搬送方向の他方の端部に設けられ、前記印刷装置の筐体外部に設けられたレール上に摺動可能に設けられたガイド手段と、
前記摺動手段の前記走査方向における一方の端部に設けられるとともに、前記搬送方向の前記一方の端部に延長して形成され、前記駆動ロールと前記ピンチロールとにより前記メディアが挟持された際に前記メディアを押さえるメディア押さえ手段と
を有し、
作業者により前記ガイド手段を介して前記摺動手段を前記支軸上で移動させ、前記ガイド部材を前記メディア供給手段の前記フランジに当接させる
ことを特徴とするピンチロールレバー。
【請求項6】
請求項5に記載のピンチロールレバーにおいて、さらに、
前記メディア押さえ手段において前記メディアが当接する面に、端部が前記メディアの端部と接するように配設されるスペーサーと
を有することを特徴とするピンチロールレバー。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−6650(P2013−6650A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139625(P2011−139625)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年5月24日 http://www.rolanddg.co.jp/ http://www.rolanddg.co.jp/cgi−bin/news/index.cgi http://www.rolanddg.co.jp/news/2011nr0524_bn20.html
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】