説明

ピンホール検査装置用電極

【課題】検査面に対する追従性、及び応答性が良好で、様々な形状、特性を持つ容器のポンホール検査に有用なピンホール検査装置用電極を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するためのピンホール検査装置用電極は、少なくとも導電性を有する液体を封入した容器に電圧を印加してピンホールの有無を検査するピンホール検査装置に用いられる電極であって、検査対象とする容器の幅方向に沿って配置された回転軸と、前記回転軸に対して複数、櫛歯状に配置される針状電極51と、前記回転軸に対して、前記複数の針状電極51を個別に回動可能に配置する支持部52と、前記回転軸に対して回動させられた前記針状電極51を、予め定められた定常位置に復帰させる弾性部材58とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピンホール検査装置用の電極に係り、特に可撓性を有する容器、や表面に特殊な凹凸を有する容器のピンホール検査を行うピンホール検査装置に有用な電極に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性を有する液体を封入した容器のピンホールを検査する装置は、種々提案されている。一概にピンホール検査装置と称しても、検査対象とする容器は、一定の形状を保つように形成された形状固定型の容器から、可撓性を有する容器(可撓性包装体:ソフトバッグ)までの多岐にわたる。このような種々の形態、特性を有する容器にはそれぞれ、検査対象とする容器の形状、特性に合わせた検査電極が用いられる。例えば、形状固定型の容器のピンホール検査を行う際に最も多く用いられる電極としては、特許文献1に示されるようなブラシ状の電極である。また、複雑な形状の容器や、可撓性を有するいわゆるソフトバッグ等のピンホール検査を行う際には、特許文献2に示されるような鎖状電極が用いられることがある。
【0003】
このように、ピンホール検査装置に用いられる電極は、検査対象とする容器の形状や特性に応じて適宜選択されることで、種々の形状、特性を有する容器のピンホール検査を行うことが可能とされている。
【特許文献1】特開2002−148241号公報
【特許文献2】特開平10−288564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に示されているような電極を選択的に用いれば、様々な形状、特性を有する容器のピンホール検査を行うことが可能となると考えられる。しかし、上記特許文献に示されているような電極には次のような問題がある。まず、ブラシ状電極は、検査対象とする面が山形である場合、ブラシの先端が割れてしまい、検査面に電極が追従することができなくなってしまう虞がある。次に、鎖状電極は、電極の先端部以外の部分を検査対象とする容器面に這わすこととなるため、検査面の形状変化に対する応答性が悪く、走査速度の低下を招く虞がある。
そこで本発明では、検査面に対する追従性、及び応答性が良好で、様々な形状、特性を持つ容器のポンホール検査に有用なピンホール検査装置用電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明に係るピンホール検査装置用電極は、少なくとも導電性を有する液体を封入した容器に電圧を印加してピンホールの有無を検査するピンホール検査装置に用いられる電極であって、検査対象とする容器を搬送するラインと交差する方向に沿って配置された回転軸と、前記回転軸に対して複数、櫛歯状に配置される針状の導電性部材と、前記回転軸に対して、前記複数の導電性部材を個別に回動可能に配置する支持部と、前記回転軸に対して回動させられた前記導電性部材を、予め定められた定常位置に復帰させる復帰手段とを有することを特徴とする。
【0006】
また、上記構成のピンホール検査装置用電極において、前記復帰手段は、導電性部材の復帰方向に付勢力を付与する弾性体とすることができる。また、前記復帰手段は、錘としても良い。
さらに、上記構成のピンホール検査装置用電極では、前記導電性部材の先端に曲面部を設けるようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
上記のような構成のピンホール検査装置用電極によれば、検査対象とする容器の検査面に対する追従性、及び応答性が良好で、様々な形状、特性を持つ容器のピンホール検査に適用することができる。また、検査面に対する追従性、応答性が良好であるため、速い速度での走査にも対応することができ、検査時間の短縮化を図ることも可能となる。また、復帰手段にバネ等の弾性体を用いることにより、検査面に対する追従性をさらに向上させることが可能となる。また、復帰手段を錘とした場合には、電極全体の構成を簡単なものとしつつ、検査面に対する追従性を確保することが可能となる。
さらに、電極部剤の先端に曲面部を設けるようにすることで、検査対象とする容器が傷つき易い素材であったとしても、検査により容器表面を傷めることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のピンホール検査装置用電極に係る実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明に係る一部の実施形態であり、本発明の技術的範囲は以下の実施形態のみに拘束されるものでは無い。
【0009】
図1は、本実施形態に係るピンホール検査装置用電極を搭載したピンホール検査装置の一例を示す概略側面図であり、図2は、同ピンホール検査装置の平面構成の概略を示す図である。
本実施形態に係るピンホール検査装置用電極は、種々の形態、特性を有する容器のピンホール検査を可能とするが、本実施形態では一般にピンホール検査が困難とされる可撓性包装体(ソフトバッグ)を検査対象容器として例に挙げ、このソフトバッグに形成されたピンホールを検査するピンホール検査装置用電極として以下に説明する。図1に示すピンホール検査装置100にてピンホール検査を行うソフトバッグ110は、図3に示すような形態のものとする。すなわち、1つのソフトバッグ110に対して、種類や濃度の異なる2種類の液体を封入することを可能としたものであり、具体的構成は次のようなものである。
【0010】
液体を封入する封入口115a,115bをソフトバッグ110の両端に配置し、樹脂等の絶縁性物質で構成された可撓性を有するフィルムを重ね合わせ、その周縁部117を熱圧着等により接合する。これにより、封入口115a,115b以外の周縁部117が封止された可撓性包装体が構成される。そして、内部に封入する2種類の液体の容量に応じて、包装体の内部に分割部116を形成し、第1封入部112と第2封入部114を構成する。分割部116の形成は、周縁部117の接合と同様に熱圧着によるものとすることができるが、分割部116を形成する際の熱圧着は、周縁部117よりも圧着部を狭くしておくと良い。このような構成とすることにより、各封入部(第1封入部112と第2封入部114)にそれぞれ導電性を有する液体を封入した後、各封入部を押圧することで、前記分割部116の圧着部が剥離し、2種類の液体をソフトバッグ110の内部で混合することができるようになるからである。
【0011】
上記のような構成のソフトバッグ110の第1封入部112と第2封入部114のそれぞれに液体を封入し、それぞれの封入口115a,115bを封止すると、各封入部112,114には図3に示すように気体(例えば空気)118が混入し、空気層(気体溜り)を構成することがある。ソフトバッグ110を構成するフィルム内部に空気溜りが構成された部分では、フィルムと液体との間に絶縁層が形成されることとなるため、ピンホールが形成されていた場合であっても火花放電が生ずることは無く、当該部位に対するピンホール検査は困難とされている。
【0012】
図1に示すピンホール検査装置100は、上記のような2液制のソフトバッグ110のピンホール検査を行うことを可能とするために、2つの検査部を備える構成とした。図1に示すピンホール検査装置100の基本構成は、第1検査部10と第2検査部30、及び前記ソフトバッグ110を各検査部10,30に搬入するための搬送手段40とから成る。そして、前記第1検査部10と前記第2検査部30との間には、搬送されるソフトバッグ110の姿勢を補正するための姿勢補正部20を設けるようにしている。
【0013】
上記のような基本構成を有するピンホール検査装置100において、前記第1検査部10は、図4に示すように、振動付与手段60、高電圧印加電極50、及び検知電極70a,70bとを基本として構成される。本実施形態における前記振動付与手段60は、図5に示すように、回転軸62と、この回転軸62に固定された複数のブロック(プレート)64とから構成される。前記ブロック64は、その断面形状を六角形としている。そして、このような断面多角形のブロック64を備える振動付与手段60では、それぞれのブロック64においてソフトバッグ110を押圧するタイミングをずらすため、隣接するブロック64との間で、六角形の頂点部分の配置をずらす構成とすることが望ましい。例えば回転軸62とブロック64とをキー66により固定する場合において、隣接するブロック64間の配置を円周方向に30°づつずらして配置する場合には、次のような構成とすると良い。まず、各ブロック64には回転軸62を挿通させる貫通孔65を設け、貫通孔65構成後に、配置を30°ずらした2つのキー溝68a,68bを形成する。このような構成とすることにより、1種類のブロック64を2つの形態で回転軸62に固定することが可能となるからである。
【0014】
上記のようにして構成する振動付与手段60の構成材料は、少なくともブロック64が樹脂等の絶縁性物質により構成されるようにする。また、振動付与手段60によるソフトバッグ110の押圧は、回転軸62を回転させながら、ブロック64における六角形の頂点部分により連続的になされるものであり、ソフトバッグ110の表面に振動(衝撃)を加えることを目的としてなされる。このため、ブロック64の頂点部分を含むエッジ部分は、ソフトバッグ110に損傷を与える事が無いように、Rを設けるようにすることが望ましい。また、振動付与手段60の回転軸62の固定位置は、検査対象とするソフトバッグ110の厚みやブロック64の形状等を踏まえて決定する。本実施形態の場合は、前記ブロック64の頂点部分がソフトバッグ110を押圧し、ブロック64の平面部分はソフトバッグ110に接触しない程度の高さとなる位置に、前記回転軸62を固定することが望ましい。このように構成された振動付与手段60によれば、検査部10,30に搬入されたソフトバッグ110の上側表面を連続的に押圧し、当該部分に振動(衝撃)を付与する。振動を付与されたソフトバッグ110の内部では、内包された液体の上面に波紋が広がり、内部液体が攪拌、あるいは波打ったような状態となる(攪拌作用と称す)。このような攪拌作用により、ソフトバッグ110の内部表層部に形成された空気溜りに溜まった空気は、小さな気泡となり一時的に拡散することとなる。
【0015】
なお、上記のように構成される振動付与手段60の回転軸62には、詳細を図示しないモータ69を駆動源として回転が付与される。回転軸62の回転方向は、ソフトバッグ110の送り方向が、詳細を後述する搬送手段40によるソフトバッグ110の搬送方向と同一となるようにする。また、振動付与手段60におけるブロック64の回転速度、すなわち送り速度は、前記搬送手段40の送り速度に合わせるようにすることが望ましい。このような回転制御を行うことにより、ソフトバッグ110の搬送姿勢が傾くことを防止することができる。
【0016】
前記検知電極70a,70bは、前記ソフトバッグ110の搬送方向に沿って、第1検知電極70aと第2検知電極70bが設けられる。また、前記第1検知電極70aと第2検知電極70bは互いに、ソフトバッグ110の下側表面に接触するように設けられ、各検知電極70a,70bは検知対象とするソフトバッグ110の搬送方向の長さよりも短い間隔をあけて配置される。
【0017】
一方、前記高電圧印加電極50は、前記第1検知電極70aと前記第2検知電極70bとの間に配置され、前記ソフトバッグ110の上側表面に接触するように設けられる。前記高電圧印加電極50は、高圧電源の陽極側に接続され、前記2つの検知電極70a,70bは前記高圧電源の陰極側に接続されると共に接地される。そして、前記検知電極70a,70bと接地点との間には電流計測手段(電流計)が設けられ、ピンホール部に発生する放電による電流変化を検知可能な構成としている。なお、高電圧印加電極50と第1検知電極70a、及び第2検知電極70bとの配置を上記のようにすることで、高電圧印加電極50がソフトバッグ110に接触している間は、少なくとも一方の検知電極70(70a,70b)がソフトバッグ110に接触していることとなり、検査ミスを防ぐことが可能となる。
【0018】
本実施形態の場合、前記高電圧印加電極50と前記第1検知電極70a、及び第2検知電極70bとの形状、構成は、略同一とすることができる。その具体的形状、構成については、図6を参照して説明する。本実施形態における高電圧印加電極50、第1検知電極70a、及び第2検知電極70b(以下、総括する場合には単に電極と称す)は、弾性変形可能な針状の導電性部材(以下、針状電極51(71a,71b)と称す)より構成されており、各検査部(第1検査部10、第2検査部30)では、前記針状電極51を複数、ソフトバッグ110の幅方向、すなわちソフトバッグ110の搬送方向と直交する方向に沿うように配置し、櫛歯状を成すようにしている。針状電極51の配置幅は、検査領域よりも僅かに広く設定することが望ましい。
【0019】
本実施形態で説明するピンホール検査装置100では、2液制のソフトバッグ(図3参照)110を検査するため、各検査部における針状電極51の配置幅は、第1封入部112または第2封入部114の幅よりもわずかに広い幅程度としておけば良い。針状電極51は、その1本1本が、個別に回動可能な支持部52(72a,72b)に固定されている。前記支持部52は、その中心に、ソフトバッグ110の幅方向に沿って配置された回転軸を挿通させている。そして針状電極51は前記支持部52を介して、ソフトバッグ110に電圧を印加したり、放電電流の検知を行う電極部53(73a,73b)と、前記電極部53の重量を相殺する錘を備えたカウンタ部54(74a,74b)とに分別することができる。
【0020】
前記電極部53は、前記支持部52の設置位置を基点とする垂線に対して、ソフトバッグ110の搬送方向に僅かに傾いた位置を定常位置として設置されることが望ましい。そして、各針状電極51の電極部53は、ソフトバッグ110が接触した際に当該ソフトバッグ110の接触に伴ってソフトバッグ110の搬送方向に回動すると共に、前記ソフトバッグ110の表面に沿って付勢するように構成される。
【0021】
針状電極51に対する付勢力の付与は、弦巻バネ等の弾性部材58(78a,78b)によって成すようにすれば良い。具体的には、前記支持部52を固定する固定部55(75a,75b)に、前記ソフトバッグ110の搬送方向に支持端57(77a,77b)を有するステー56(76a,76b)を配置する。そして、前記ステー56の支持端57から前記針状電極51におけるカウンタ部54に前記弾性部材58を接続し、針状電極51が定常位置から回動した際に、引張りの力が生ずる構成ように構成するのである。このような構成とすることにより、針状電極51には定常位置に戻ろうとする力が付与されることとなり、ソフトバッグの進行により電極部53が回動させられた場合には、前記ソフトバッグ110の表面形状に沿うように付勢力が付与されることとなる。そして、ソフトバッグ110の幅方向に沿って複数設けられた針状電極51のそれぞれが個別に回動、付勢を繰り返すこととなるため、本実施形態における電極は、検査面から脱落したり、検査面に追従することができなくなったりする虞が無い。例えば本実施形態に係る電極を用いてソフトバッグ110表面のピンホール検査を行う場合、ソフトバッグ110の表面に凹凸があったとしても、図7に示すように電極部51は、ソフトバッグ110表面に付勢することとなる。なお、電極部51の先端は、接触によるソフトバッグ110表面の損傷を防止するために、ソフトバッグ110の搬送方向に沿って屈曲させ、ソフトバッグ110との接触部に丸みを持たせておくと良い。また、本実施形態では、前記電極が定常位置を越えて垂直状態とならないように、固定部55の上部にストッパ59(79a,79b)を設ける構成としている。
【0022】
本実施形態で説明するピンホール検査装置100では、2液制のソフトバッグ110における第1封入部112と第2封入部114とを個別段階的に検査するようにしているため、第1検査部10でのピンホール検査を実施した際に、ソフトバッグ110の搬送姿勢がくずれ、搬送方向に対してソフトバッグ110が傾いた状態となることがある。このため、前記姿勢補正部20では、傾いたソフトバッグ110の姿勢を補正するようにすることで、第2検査部30でのピンホール検査を適切に行うことを可能な状態とするのである。
【0023】
このような機能を有する前記姿勢補正部20の具体的構成は次のようなものであれば良い。すなわち、ソフトバッグ110に接触し、その搬送を強制的に止めることで姿勢を補正する姿勢補正板80と、この姿勢補正板80を固定する回動部82、回動部82と連動するアーム部84に接続されたシリンダ機構90、前記回動部82を固定する固定部86、及び前記シリンダ機構90を回動可能に支持する支持部94である。このような構成から成る姿勢補正部20は、シリンダ機構90のロッド92が伸長することにより、回動部82に連動するアーム部84が押し上げられ、回動部82に固定された姿勢補正板80が回動する。このような構成の姿勢補正部20によれば、姿勢補正板80が垂下された状態では、ソフトバッグ110の進行を妨げる。進行が妨げられたソフトバッグ110の姿勢は、当該姿勢補正板80の配置形態に沿った状態、すなわち搬送方向に対して直交した状態に補正される。その後、シリンダ機構90のロッド92を伸長させることで姿勢補正板80は跳ね上げられる。姿勢補正板80が跳ね上げられると、進行を妨げられていたソフトバッグ110は再び進行を開始し(搬送が開始され)、姿勢補正板80の下側を通過して第2検査部30へと搬入される。
【0024】
前記第2検査部30の構成は、その殆どが上記第1検査部10と同様であり、第1検査部10と第2検査部30との相違点は、振動付与手段60、及び電極50,70a,70bの配置位置のみである。すなわち、本実施形態に係るピンホール検査装置100では、2液制のソフトバッグ110における各封入部112,114を個別段階的に検査するために第1検査部10と第2検査部30を設けている。このため、第1検査部10を第1封入部112の検査部とした場合には第2検査部30を第2封入部114の検査部とするため、その振動付与手段60と電極の配置位置を、ソフトバッグ110の搬送方向に対して線対称な位置関係となるようにずらしている。なお、振動付与手段60及び電極50,70a,70bの配置幅は、各封入部112,114の幅に合わせて設定するようにすれば良い。他の構成については上述した第1検査部10と同様であるため、その詳細な説明は省略することとする。
【0025】
前記搬送手段40は、本実施形態の場合、搬送方向に沿って配置された複数のローラ42によって構成される。また、本実施形態における搬送手段40では、各検査部10,30において検知電極70a,70bを設けるために、当該部分にはローラ42を配置しないようにしている。
【0026】
上記のような構成のピンホール検査装置に搭載された電極50,70a,70bでは、図1中右方向から左方向へ向かってソフトバッグ110が搬送され、ソフトバッグ110が第1検査部10に到達すると、まず、ソフトバッグ110の下面側から第1検知電極70aが接触する。第1検知電極70aがソフトバッグ110に接触すると、第1検知電極70aを構成する各針状電極71aは、ソフトバッグ110の下面側形状に沿って回動し、ソフトバッグ110の下側表面に付勢する。
【0027】
そしてソフトバッグ110がそのまま進行すると、ソフトバッグ110の上面側に高電圧印加電極50が接触する。高電圧印加電極50を構成する針状電極51も、前記第1検知電極70aと同様に、ソフトバッグ110の表面形状(上側表面)に沿って回動し、付勢する。
【0028】
双方の電極50,70aを接触させたまま搬送されて振動付与手段60の配置位置に至ると、ソフトバッグ110の上側表面には振動付与手段60により連続的な振動が付与され、ソフトバッグ110上面内部に形成された空気溜りに溜まった空気が拡散される。空気が拡散され、濡れ性を得たソフトバッグの上面内部は導電性を得るため、ピンホール検査を行うことが可能な状態となる。前記高電圧印加電極50を構成する針状電極51は、個別に回動可能であり、ソフトバッグ110の表面に付勢するため、検査表面から脱落することなくピンホール検査を行うことができる。
【0029】
また、ソフトバッグ110が振動付与手段60の配置位置に到達する頃には、ソフトバッグ110の下面側に第2検知電極70bが接触し、第2検知電極70bを構成する各針状電極51がソフトバッグ110の下側表面に追従することとなる。このため、ソフトバッグ110の進行により第1検知電極70aがソフトバッグ110から離れた場合であっても、ソフトバッグ110のピンホール検査を行うことができる。なお、ソフトバッグ110にピンホールが存在していた場合、ピンホール部分で火花放電が生じ、検知電極70a,70b側に流れる電流に変化が生ずるため、ピンホールの有無を検知することができる。
【0030】
このように、複数の針状電極を検査対象とする容器の幅方向に配置し、各針状電極を個別に回動可能な支持部に固定し、各針状電極の電極部を検査対象とする容器表面に付勢させるようにしたことで、電極が検査位置からずれることがなくなり、容器の形状、特性に関わらず、簡易迅速なピンホール検査を行うことが可能となる。
【0031】
次に、図8、及び図9を参照して、本発明のピンホール検査装置用電極に係る第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る電極50,70a,70bの基本的構成は、上述した第1の実施形態に係る電極と同じである。すなわち、回動可能な支持部52,72a,72bと、この支持部52,72a,72bに支持される針状電極51,71a,71bとを基本とする。
【0032】
本実施形態に係る電極50,70a,70bの特徴は、ソフトバッグ110の表面に対する付勢力を与える復帰手段として、錘158,178a,178bを設ける構成とした点である。復帰手段としてバネ等の弾性部材を用いるのでなく、錘を用いるようにすることで、電極の構成を簡略化することができるようになる。
【0033】
復帰手段として錘を用いる構成を採る場合には、検知電極70a,70bと高電圧印加電極50とで、その構成が異なることとなる。具体的には、検知電極70a,70bの場合、図8に示すように、錘178a,178bは、カウンタ部74a,74bに配置する構成となる。このような構成とすることにより、錘178a,178bが引力により垂直方向へ落下しようとする力を利用して、電極部73a,73bを定常位置まで復帰させることが可能となり、検査時においてはソフトバッグ110表面に電極部73a,73bを付勢させることができる。なお、錘178a,178bの形状は、隣接する針状電極71a,71bとの接触を防ぐことができる形状であれば特に限定するものでは無い。例えば平板状等であれば良い。
【0034】
一方、高電圧印加電極50の場合、図9に示すように、錘158は電極部53に配置する構成となる。錘158を電極部53に配置することにより、上記検知電極70a,70bと同様な作用を奏することが可能となるからである。
このように、復帰手段に錘を用いた場合であっても、上記第1の実施形態に示した電極と同様な作用を奏することができ、種々の形状、特性を有する容器を効率的に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るピンホール検査装置用電極を搭載したピンホール検査装置の概略側面を示す図である。
【図2】本発明に係るピンホール検査装置用電極を搭載したピンホール検査装置の概略平面を示す図である。
【図3】2液制のソフトバッグの構成例を示す図である。
【図4】検査部の構成例を示す図である。
【図5】検査部における振動付与手段の構成例を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る電極の構成例を示す図である。
【図7】検査表面に追従する電極の様子を示す参考図である。
【図8】第2の実施形態に係る検知電極の構成例を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る高電圧印加電極の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10………第1検査部、20………姿勢補正部、30………第2検査部、40………搬送手段、50………高電圧印加電極、60………振動付与手段、62………回転軸、64………ブロック、69………モータ、70a………第1検知電極、70b………第2検知電極、80………姿勢補正板、82………回動部、84………アーム部、86………固定部、90………シリンダ機構、92………ロッド、94………支持部、100………ピンホール検査装置、110………ソフトバッグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも導電性を有する液体を封入した容器に電圧を印加してピンホールの有無を検査するピンホール検査装置に用いられる電極であって、
検査対象とする容器を搬送するラインと交差する方向に沿って配置された回転軸と、
前記回転軸に対して複数、櫛歯状に配置される針状の導電性部材と、
前記回転軸に対して、前記複数の導電性部材を個別に回動可能に配置する支持部と、
前記回転軸に対して回動させられた前記導電性部材を、予め定められた定常位置に復帰させる復帰手段とを有することを特徴とするピンホール検査装置用電極。
【請求項2】
前記復帰手段は、導電性部材の復帰方向に付勢力を付与する弾性体であることを特徴とする請求項1に記載のピンホール検査装置用電極。
【請求項3】
前記復帰手段は、錘であることを特徴とする請求項1に記載のピンホール検査装置用電極。
【請求項4】
前記導電性部材の先端に曲面部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載のピンホール検査用電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−39464(P2008−39464A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210864(P2006−210864)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000110952)ニッカ電測株式会社 (12)
【Fターム(参考)】