説明

ファクシミリ装置

【課題】手順信号を正常に受信できないことによる通信エラーの発生を抑制する。
【解決手段】ファクシミリ装置100は、手順信号生成部21と送信部23とを備えている。手順信号生成部21は、PPR制御データ31及びPPR全データ32を含むPPR信号30を生成する。PPR全データ32は、相手方装置とのファクシミリ通信手順を定義している。PPR制御データ31は、PPR全データ32の一部からなり、PPR信号30の種類を特定する種類情報を含む。送信部23は、手順信号生成部21が生成したPPR信号30を相手方装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ通信手順に基づいた通信を行うファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ECM(Error Correction Mode)通信手順により通信を行うファクシミリ装置が普及している。ECM通信手順では、画像データが例えば256フレームで構成される1ブロック単位で送受信される。回線のノイズ及び瞬断等の回線障害の影響により画像データにエラーが発生した場合には、画像データの受信側は、CRC(Cyclic Redundancy Check)による検査によりエラーフレームを検出する。受信側は、検出後に、エラーフレームのフレーム番号を指定した部分ページ要求(PPR:Partial Page Request)信号を送信側に送信し、エラーフレームの再送を要求する。このようなECM通信手順により画像データの品質が高められている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−302853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに開示されるECM通信手順では、画像データの送信側がPPR信号等の手順信号を正常に受信することが前提であり、回線のノイズ及び瞬断等の回線障害によって、画像データの送信側が手順信号を受信できない事態は想定されていない。しかし、実際にはそれらの不具合により送信側が手順信号を受信できず、それ故に通信エラーが発生して通信が終了してしまう事態が発生している。
【0005】
そこで、本発明は、ファクシミリ装置において、画像データの送信側が手順信号を正常に受信できないことによる通信エラーの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係るファクシミリ装置は、手順信号生成部及び送信部を備えている。手順信号生成部は、第1手順信号と第2手順信号とを含む手順信号を生成する。第1手順信号は、相手方装置とのファクシミリ通信手順を定義している。第2手順信号は、第1手順信号の一部からなり、手順信号の種類を特定する種類情報を含む。送信部は、手順信号を相手方装置に送信する。
【0007】
ファクシミリ装置が生成する手順信号には、第1手順信号及び第2手順信号が含まれる。第2手順信号は、少なくとも手順信号の種類を特定する種類情報を含むが、第1手順信号の一部から構成されているため第1手順信号よりもデータ量が小さい。よって、第2手順信号は、第1手順信号に比べて回線のノイズ及び瞬断等の回線障害の影響を受けることが少ない。つまり、第1手順信号及び第2手順信号を送信された相手方装置は、回線障害により第1手順信号を正常に受信できなくても、第2手順信号を正常に受信できる可能性が高い。
【0008】
相手方装置は、第1手順信号を正常に受信した場合には第1手順信号に対する応答をファクシミリ装置に送信し、第2手順信号を正常に受信した場合には第2手順信号に対応する応答をファクシミリ装置に送信する。このように相手方装置が、少なくともデータ量が小さい第2手順信号を正常に受信できればファクシミリ装置に応答が可能であるので、ファクシミリ装置が手順信号を正常に受信できる可能性が高くなる。つまり、通信エラーに起因して装置間の通信が終了することが抑制される。
【0009】
上記の本願発明は、例えば、以下のような態様で適用可能である。
画像データを送信する送信機と、送信機から画像データを受信する受信機と、の間で通信が行われているとする。この場合、上記ファクシミリ装置は受信機であり、上記相手方装置は送信機である。受信機は、送信機から画像データを受信すれば、手順信号生成部は、画像データの受信に対する応答データを手順信号として生成する。次に、受信機の送信部が、送信機に手順信号を送信する。手順信号は、第1手順信号及びデータ量が小さい第2手順信号を含む。第1手順信号には例えば受信した画像データのどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれており、第1手順信号は第2手順信号に比べて比較的データ量が大きい。第2手順信号には、例えば送信機に手順信号の種類を知らせるための種類情報が含まれているが、どのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれておらず、そのため第2手順信号は第1手順信号に比べて比較的データ量が小さい。送信機は、第1手順信号を正常に受信した場合には、エラーが発生したエラーフレームの画像データのみを受信機に送信する。一方、送信機は、第1手順信号を受信できず第2手順信号のみを正常に受信した場合には、受信機に全フレームに対応する全画像データを再送する。送信機と受信機との通信は回線障害により切断される可能性があるが、第2手順信号はデータ量が小さいので送信機は正常に第2手順信号を受信できる可能性が高い。そして、送信機が第2手順信号さえ受信できれば送信機と受信機との通信を継続可能であるので、回線障害により送信機と受信機との通信が終了するのが抑制される。
【0010】
また、上記の本願発明は、前述の送信機及び受信機において次のような態様で適用可能である。次の例の場合、上記ファクシミリ装置は送信機であり、上記相手方装置は受信機である。受信機が、非標準機能識別(NSF:Non−Standard Facilities)信号、被呼装置識別(CSI:Called Station Identification)信号及びディジタル識別信号(DIS:Digital Identification Signal)を送信機に送信する。これらの信号に対して送信機は、非標準機能設定(NSS:Non−Standard facilities Set−up)信号、送信装置識別(TSI:Transmitting Subscriber Identification)信号及びディジタル命令信号(DCS:Digital Command Signal)を受信機に送信する。このとき、送信機が送信するDCSは手順信号であり、第1手順信号と第1手順信号よりデータ量が小さい第2手順信号とを含む。
【0011】
受信機は、所定のタイマー時間内に第1手順信号を受信した場合には、第1手順信号に基づいて送信機との間でその後の通信を行う。一方、受信機は、所定のタイマー時間内に第1手順信号を受信できなかったが、第2手順信号を正常に受信した場合には、タイマー時間を延長して送信機からDCSの再送を受ける。第2手順信号が第1手順信号に比べてデータ量が小さいため、受信機は第2手順信号を正常に受信できる可能性が高い。そして、第1手順信号は所定のタイマー時間内に受信できなかったが第2手順信号を正常に受信できた場合には、タイマー時間を延長すれば第1手順信号を受信できる可能性がある。そこで、受信機は、前述のようにDCSを受信するためのタイマー時間を延長する。このように、受信機は、タイマー時間を延ばすか否かを、第2手順信号を正常に受信したか否かに基づいて判断する。
【0012】
このように受信機が少なくとも第2手順信号を受信できれば、タイマー時間の延長により第1手順信号を正常に受信可能となり、ひいては送信機と受信機との通信を継続可能である。よって、回線障害により送信機と受信機との通信が終了するのが抑制される。
【0013】
第1手順信号を構成するフィールドには、手順信号の種類を特定する種類情報を含むファクシミリコントロールフィールドと、ファクシミリ通信手順に関する任意の情報を含むファクシミリインフォメーションフィールドと、が含まれる。第2手順信号を構成するフィールドには、第1手順信号を構成するフィールドのうち、ファクシミリインフォメーションフィールドを除き、少なくともファクシミリコントロールフィールドが含まれていてもよい。
【0014】
手順信号がPPR(Partial Page Request)信号である場合、第1及び第2手順信号のファクシミリコントロールフィールドには、手順信号の種類がPPR信号であることを示す種類情報が定義される。また、第1手順信号のファクシミリインフォメーションフィールドには、受信データのどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれる。
手順信号がDCSである場合、第1及び第2手順信号のファクシミリコントロールフィールドには、手順信号の種類がDCSであることを示す種類情報が定義される。また、第1手順信号のファクシミリインフォメーションフィールドには、伝送速度、用紙サイズ、ファクシミリ通信手順の種類等の送受信を行う際の機能情報を記述可能である。
【0015】
手順信号がPPR(Partial Page Request)信号であってもよい。
PPR信号を第1手順信号と第2手順信号とにより構成し、相手方装置が少なくともデータ量が小さい第2手順信号を正常に受信できるようにする。これにより、PPR信号を正常に受信できないために装置間での通信が終了することが抑制される。
【0016】
第1手順信号は、手順信号がPPR信号であることを示す種類情報と、相手方装置から受信した受信データを構成するフレームのうちどのフレームにエラーが発生しているかを示すエラーフレーム情報と、を含んでもよい。
【0017】
第2手順信号は、エラーフレーム情報を除き、少なくとも手順信号がPPR信号であることを示す種類情報を含でもよい。
【0018】
手順信号生成部は、手順信号を第1手順信号と第2手順信号とにマルチフレーム化することで生成してもよい。
ファクシミリ装置は、手順信号を第1手順信号と第2手順信号とにマルチフレーム化して生成し相手方装置に送信する。相手方装置が、手順信号のうち第1手順信号又は第2手順信号のいずれかを受信できれば装置間での通信を継続可能である。よって、回線障害による通信の終了が抑制される。
【0019】
本発明の他の見地に係るファクシミリ装置は、受信部及び応答部を備えている。受信部は、第1手順信号と第2手順信号とを含む手順信号を相手方装置から受信する。第1手順信号は相手方装置とのファクシミリ通信手順を定義している。第2手順信号は、第1手順信号の一部からなり、手順信号の種類を特定する種類情報を含む。応答部は、受信部が手順信号のうち第1手順信号を正常に受信した場合と、受信部が手順信号のうち第2手順信号のみを正常に受信した場合とで、異なる応答方法を実行する。
【0020】
ファクシミリ装置の受信部は、第1手順信号及び第2手順信号を含む手順信号を受信する。第2手順信号は、少なくとも手順信号の種類を特定する種類情報を含むが、第1手順信号の一部から構成されているので第1手順信号よりもデータ量が小さい。よって、第2手順信号は、第1手順信号に比べて回線のノイズ及び瞬断等の回線障害の影響を受けることが少ない。つまり、ファクシミリ装置は、回線障害により第1手順信号を正常に受信できなくても、第2手順信号を正常に受信できる可能性が高い。
【0021】
ファクシミリ装置は、受信部が第1手順信号を正常に受信した場合には第1手順信号に対する応答を応答部が相手方装置に送信し、第2手順信号を正常に受信した場合には応答部が第2手順信号に対応する応答を相手方装置に送信する。このようにファクシミリ装置が、少なくともデータ量が小さい第2手順信号を正常に受信できれば相手方装置に応答が可能である。したがって、通信エラーに起因する装置間での通信が終了することが抑制される。
【0022】
上記の本願発明は、例えば以下のような態様で適用可能である。
画像データを送信する送信機と、送信機から画像データを受信する受信機と、の間で通信が行われているとする。この場合、上記ファクシミリ装置は送信機であり、上記相手方装置は受信機である。受信機は、受信部が送信機から画像データを受信すると、応答部が応答データとして第1手順信号及び第2手順信号を含む手順信号を送信機に送信する。第1手順信号には、例えば受信した画像データのどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれているが、第2手順信号にはどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれていない。そのため、第2手順信号は第1手順信号に比べて比較的データ量が小さい。送信機は、第1手順信号を正常に受信した場合には、エラーが発生したエラーフレームの画像データのみを受信機に送信する。一方、送信機は、第1手順信号を受信できず第2手順信号のみを正常に受信した場合には、受信機に全フレームに対応する全画像データを再送する。このように送信機がデータ量が小さい第2手順信号さえ受信できれば送信機と受信機との通信を継続可能であるので、回線障害により送信機と受信機との通信が終了するのが抑制される。
【0023】
また、上記の本願発明は、前述の送信機及び受信機において次のような態様で適用可能である。次の例の場合、上記ファクシミリ装置は受信機であり、上記相手方装置は送信機である。受信機がDISを送信機に送信するのに応じて、送信機はDCSを受信機に送信する。送信機が送信するDCSは、第1手順信号と第1手順信号よりデータ量が小さい第2手順信号とを含む。
【0024】
受信機は、所定のタイマー時間内に第1手順信号を受信した場合には、第1手順信号に基づいて送信機との間でその後の通信を行う。一方、受信機は、所定のタイマー時間内に第1手順信号を受信できなかったが、第2手順信号を正常に受信した場合には、タイマー時間を延長して送信機からDCSの再送を受ける。このように受信機が少なくとも第2手順信号を受信できれば、タイマー時間の延長により第1手順信号を正常に受信可能となり、ひいては送信機と受信機との通信を継続可能である。よって、回線障害により送信機と受信機との通信が終了するのが抑制される。
【0025】
応答部は、受信部が手順信号のうち第1手順信号を正常に受信した場合には、第1手順信号に対する第1応答信号を生成する。一方、応答部は、受信部が手順信号のうち第2手順信号のみを正常に受信した場合には、第2手順信号に対する第2応答信号を生成する。ファクシミリ装置は、第1又は第2応答信号を相手方装置に送信する送信部をさらに備えている。
【0026】
例えば、ファクシミリ装置の応答部は、第1手順信号を正常に受信した場合には、エラーが発生したエラーフレームの画像データを含む第1応答信号を相手方装置に送信する。一方、ファクシミリ装置の応答部は、第1手順信号を受信できず第2手順信号のみを正常に受信した場合には、1ブロックの全フレームに対応する全画像データ含む第2応答信号を相手方装置に送信する。
【0027】
第1手順信号を構成するフィールドには、手順信号の種類を特定する種類情報を含むファクシミリコントロールフィールドと、ファクシミリ通信手順に関する任意の情報を含むファクシミリインフォメーションフィールドと、が含まれる。
また、第2手順信号を構成するフィールドには、第1手順信号を構成するフィールドのうち、ファクシミリインフォメーションフィールドを除き、少なくともファクシミリコントロールフィールドが含まれる。
【0028】
手順信号がPPR(Partial Page Request)信号である。
【0029】
第1手順信号は、手順信号がPPR信号であることを示す種類情報と、相手方装置に送信した送信データを構成するフレームのうちどのフレームにエラーが発生しているかを示すエラーフレーム情報と、を含む。第2手順信号は、エラーフレーム情報を除き、少なくとも手順信号がPPR信号であることを示す種類情報を含む。
【0030】
応答部は、受信部が手順信号のうち第1手順信号を正常に受信した場合には、第1手順信号に対する第1応答信号に含まれる画像データを、エラーフレームに対応する画像データのみから構成してもよい。
【0031】
応答部は、受信部が手順信号のうち第2手順信号のみを正常に受信した場合には、第2手順信号に対する第2応答信号に含まれる画像データを、一連の全フレームに対応する全画像データから構成してもよい。
【0032】
応答部は、受信部が第1手順信号を正常に受信できず、所定数の第2手順信号を正常に受信した場合に、第2応答信号に含まれる画像データを全画像データから構成してもよい。
【0033】
第1手順信号を正常に受信できない場合に、第2手順信号を受信したのに応じて即座に全画像データを含む第2応答信号を相手方装置に送信すると、装置間での通信量が大きくなるという問題が想定される。例えば、相手方装置が1回目の手順信号を送付し、ファクシミリ装置が、第1手順信号及び第2手順信号を含む手順信号のうち、第2手順信号のみを正常に受信したとする。次に、相手方装置が2回目の手順信号を送付し、ファクシミリ装置が第1手順信号を正常に受信したとする。この場合、ファクシミリ装置は、2回目の手順信号の受信まで待機すれば、第1手順信号の受信に応じてエラーフレームに対応する画像データのみを相手方装置に送信すればよい。しかし、ファクシミリ装置が、2回目の手順信号の受信まで待機しないまま第2手順信号に応じれば、全画像データを相手方装置に送信することとなり、装置間の通信量が多くなり回線障害の影響を受けやすくなる。
【0034】
そこで、上記の問題を解決するために、ファクシミリ装置は、第1手順信号を正常に受信できない場合において、第2手順信号の受信回数が所定数に達するまで待機する。これにより、全画像データが相手方装置に再送されることによる通信量の増加が抑制され、ひいては回線障害により装置間の通信が終了するのが抑制される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ファクシミリ装置において手順信号を正常に受信できないことによる通信エラーの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態のファクシミリ装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】手順信号のフレーム構成を示す説明図である。
【図4】全画像データが再送される場合の送信機及び受信機間の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】PPR制御データ及びPPR全データの受信/未受信の組み合わせの一例である。
【図6】エラーフレームに対応する画像データが再送される場合の送信機及び受信機間の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】送信機の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】受信機の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明を適用したディジタル命令信号DCSのフレーム構成を示す説明図である。
【図10】マルチフレーム化されたDCSが送受信される場合の送信機及び受信機間の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本実施形態では、回線のノイズ及び瞬断などの回線障害が発生する環境下において、手順信号が正常に送受信されないために通信エラーが発生することが多いことに新たに着目している。特にPPR信号などのデータ量が大きい手順信号は、その他の手順信号と比較して回線障害の影響を受けやすい。よって、本発明では、以下に示す構成により手順信号を正常に受信可能な仕組みを提供し、通信エラーの発生により装置間での通信が終了することを抑制する。
以下、本実施形態におけるファクシミリ装置を例に挙げて説明する。
【0038】
(1)ファクシミリ装置のハードウェア構成
図1は、本実施形態のファクシミリ装置の要部構成を示すブロック図である。
ファクシミリ装置100は、CPU1、フラッシュROM(Read Only Memory)2、第1SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)3及びSRAM(Static Random Access Memory)4を備えている。ファクシミリ装置100は、さらに、モデム5、NCU(Network Control Unit)6、操作パネル7、RTC(Real Time Clock)8、統合チップセット9、第2SDRAM10、スキャナ11、プリンタ12及びネットワークボード13等を備える。
また、ファクシミリ装置100は、システムバス14、第1ローカルバス15、第2ローカルバス16及びシリアルバス17等のバスを備えており、ファクシミリ装置100内の各部はこれらのバスによって互いに接続されている。
【0039】
CPU1は、フラッシュROM2等に格納される各種プログラムを読み出して実行し、ファクシミリ装置100の各部を制御する。また、CPU1は、後述の制御部20を有しておりファクシミリの通信全体を制御する。特に、制御部20は、手順信号の生成、手順信号の送受信及び受信した手順信号への応答などの手順信号に関する各種処理も行う。
フラッシュROM2は、CPU1に読み込まれる各種プログラムを記憶している。第1SDRAM3は、予め登録された各種設定情報を記憶するCPU1の主メモリであり、各種プログラムを実行するワークエリアとして機能する。SRAM4は、短縮ダイヤル等の各種のユーザ設定及びエラー情報等を記憶可能である。
【0040】
モデム5は、ディジタル信号とアナログ信号を相互変換する変復調装置であり、通常のファクシミリ通信用のファクシミリモデムの機能を有する。モデム5は、NCU6と直接接続されている。
NCU6は、公衆交換電話網(PSTN:Public Subscriber Telephone Network)19に接続されており、電話回線を介して発呼及び着呼を含む通信を制御する。
【0041】
操作パネル7は、ディスプレイ、タッチセンサを有するタッチパネル及びハードキー等を備える。
RTC8は、時計回路であり、ファクシミリ装置100の電源が切られていても時刻を刻み続けることができる。
ネットワークボード13は、LAN(Local Area Network)18を介してネットワークと接続され、TCP/IPプロトコルに従ってクライアントPC及び他の機器との通信機能を実行する。
【0042】
スキャナ11は、CPU1の制御の下、原稿から画像を読み取るスキャナ機能を実現する。プリンタ12は、CPU1の制御の下、スキャナ11により原稿から読み取られた画像データ及びファクシミリ通信機能によって受信された画像データを用紙に印刷するプリント機能を実現する。
【0043】
統合チップセット9は、画像データに対して用紙に印刷するための画像処理を行う。
第2SDRAM10は、統合チップセット9で処理された画像データ等のデータを記憶する。第2SDRAM10は、例えば、送信される画像データ及びプリンタ12により印刷される画像データなどを記憶する。
【0044】
(2)機能構成
次に、本実施形態の手順信号に関連する処理を行う制御部20の機能構成について説明する。以下の本実施形態では、ファクシミリ装置100において、画像データを送信する側を送信機100aと言い、画像データを受信する側を受信機100bと言う。また、一例として、ファクシミリ通信手順としてECM通信手順が用いられ、手順信号としてPPR信号が生成される場合を挙げて本実施形態を説明する。
【0045】
図2は制御部の機能構成を示すブロック図である。送信機100a及び受信機100bは同一の機能構成を有している。制御部20はCPU1に含まれており、手順信号生成部21、応答部22、送信部23及び受信部24等を備えている。
手順信号生成部21は手順信号を生成する。手順信号には、相手方装置とのファクシミリ通信手順を定義している第1手順信号と、第1手順信号の一部からなり、手順信号の種類を特定する種類情報と、が含まれる。つまり、手順信号生成部21は、手順信号を、第1手順信号及び第2手順信号にマルチフレーム化して生成する。より具体的に図3を用いて手順信号について説明する。
【0046】
図3は手順信号のフレーム構成を示す説明図である。手順信号30は、第1手順信号であるPPR全データ32と、第2手順信号であるPPR制御データ31と、を含む。PPR制御データ31の前にはプリアンブルが配置され、PPR全データ32の前後にはフラグ(F)が配置されている。
【0047】
PPR制御データ31は、アドレス(A)、制御(C)、ファクシミリコントロールフィールド(FCF:Facsimile Control Field)、フレームチェックシーケンス(FCS:Frame Check Sequence)で構成されている。制御(C)には、PPR制御データ31が途中のフレームであるか、最終フレームであるかが記述される。図3の場合、PPR制御データ31の後にPPR全データ32が続くため、制御(C)には途中のフレームであることを示す“03”が記述される。ファクシミリコントロールフィールドFCSは、信号の種類を識別するための種類情報が入力されるフィールドである。PPR制御データ31は手順信号の一つであるPPR信号に分類され、ファクシミリコントロールフィールドFCSには“BC”が記述される。フレームチェックシーケンスFCSは、データ中にエラーがあるか否かのエラー検出結果を記述するためのフィールドである。このようにPPR制御データ31には、少なくとも手順信号の種類を特定するための種類情報が含まれ、その他、PPR制御データ31の送受信に必要な情報が含まれる。
【0048】
PPR全データ32は、アドレス(A)、制御(C)、ファクシミリコントロールフィールドFCF、ファクシミリインフォメーションフィールド(FIF:Facsimile Information Field)及びフレームチェックシーケンスFCSで構成されている。PPR全データ32は、マルチフレーム化されていない通常のPPR信号と同様の構成を有している。
【0049】
図3の場合、PPR全データ32は最終フレームであるため、制御(C)には最終フレームであることを示す“13”が記述される。また、PPR全データ32はPPR制御データ31と同様にPPR信号であるので、ファクシミリコントロールフィールドFCSには“BC”が記述される。ファクシミリインフォメーションフィールドFIFは、ファクシミリ通信手順に関する任意の情報を記述可能なフィールドである。PPR信号のファクシミリインフォメーションフィールドFIFには、画像データの送信機100aから受信した画像データを構成するフレームのうち、どのフレームにエラーが発生しているかを示すエラーフレーム情報が記述される。例えば、ファクシミリインフォメーションフィールドFIFは256ビットで構成されており、1ブロックが256フレームで構成される画像データの各フレームについて、エラーであれば“1”が記述され、正常であれば“0”が記述される。
なお、PPR制御データ31及びPPR全データ32はともにPPR信号であるので、手順信号30もまたPPR信号と言える。以下、手順信号30をPPR信号30と言う。
【0050】
PPR制御データ31は、PPR全データ32と比較してファクシミリインフォメーションフィールドFIFを有しておらず、PPR全データ32の一部から構成されている。また、ファクシミリインフォメーションフィールドFIFは最大256ビットで構成されており、その他のフィールドに比べてデータ量が大きい。このファクシミリインフォメーションフィールドFIFを有していないPPR制御データ31は、PPR全データ32よりも比較的にデータ量が小さい。
ここで、受信機100bの手順信号生成部21は、受信部24が受信した画像データにエラーフレームが含まれる場合には、PPR制御データ31及びPPR全データ32を含むPPR信号30を生成する。受信機100bの送信部23は、生成されたPPR信号30を画像データの送信機100aに送信する。送信機100aの受信部24は受信機100bから送信されたPPR信号30を受信する。前述の通り、PPR制御データ31はPPR全データ32よりもデータ量が小さいため、PPR全データ32に比べて回線のノイズ及び瞬断等の回線障害の影響を受けることが少ない。よって、PPR制御データ31及びPPR全データ32を含むPPR信号30を送信された送信機100aは、回線障害によりPPR全データ32を正常に受信できなくても、PPR制御データ31を正常に受信できる可能性が高い。
【0051】
送信機100aの応答部22は、PPR全データ32を正常に受信した場合にはPPR全データ32に対する応答データを生成する。具体的には、送信機100aの応答部22は、PPR全データ32に含まれるエラーフレーム情報に基づいて、エラーフレームに対応する画像データを含む応答データを生成する。送信機100aの送信部23は当該応答データを受信機100bに送信する。
一方、送信機100aの応答部22は、PPR全データ32を受信できず、PPR制御データ31を正常に受信した場合には、PPR制御データ31に対応する応答データを生成する。具体的には、送信機100aの応答部22は、1ブロックの全フレームに対応する全画像データを含む応答データを生成する。送信機100aの送信部23は当該応答データを受信機100bに送信する。
【0052】
このように送信機100aが、少なくともデータ量が小さいPPR制御データ31正常に受信できれば受信機100bに応答が可能であるため、PPR信号30を正常に受信できないために通信エラーが発生し、装置間での通信が終了することを抑制できる。
また、受信機100bの手順信号生成部21は複数のPPR信号30を生成し、複数のPPR信号30が送信機100aに送信される。複数のPPR信号30が送信機100aに送信されたにも関わらず、送信機100aの受信部24が、PPR信号30のうちPPR全データ32を受信できず、PPR制御データ31のみを正常に受信しているとする。このとき、送信機100aの応答部22は、受信部24でのPPR制御データ31の連続的な受信回数が所定数に到達した場合に限り、1ブロックの全フレームに対応する全画像データから応答データを生成するように制御してもよい。そして、この全画像データからなる応答データが受信機100bに送信される。
【0053】
送信機100aが、PPR全データ32を正常に受信できない場合に、PPR制御データ31を受信したのに応じて即座に全画像データを含む応答信号を受信機100bに送信すると、装置間での通信量が大きくなる場合がある。例えば、受信機100bが1回目のPPR信号30を送付し、送信機100aが、PPR全データ32及びPPR制御データ31を含むPPR信号30のうち、PPR制御データ31のみを正常に受信したとする。次に、受信機100bが2回目のPPR信号30を送付し、送信機100aがPPR全データ32を正常に受信したとする。この場合、送信機100aは、2回目のPPR信号30の受信まで待機すれば、PPR全データ32の受信に応じてエラーフレームに対応する画像データのみを受信機100bに送信すればよい。しかし、送信機100aが、2回目のPPR信号30の受信まで待機せずに、1回目に正常に受信したPPR制御データ31に応じて全画像データを受信機100bに送信すれば、装置間の通信量が多くなり回線障害の影響を受けやすくなる。よって、送信機100aは、PPR全データ32を正常に受信できない場合において、PPR制御データ31の連続的な受信回数が所定数に達するまで待機する。これにより、全画像データが受信機100bに再送されることによる通信量の増加を抑制し、ひいては回線障害により装置間の通信が終了するのを抑制できる。なお、PPR制御データ31の受信回数は、連続の受信回数であってもよいし、あるいは、積算の受信回数であってもよい。
【0054】
(3)処理の概要
次に送信機100a及び受信機100b間の処理の概要について説明する。送信機100a及び受信機100b間の処理には次の2通りがある。第1の処理は、送信機100aがPPR制御データ31しか受信できず、全画像データを受信機100bに再送する場合である。第2の処理は、送信機100aがPPR全データ32を受信し、エラーフレームに対応する画像データのみを受信機100bに再送する場合である。なお、以下では、一例として3つのPPR信号30が送受信される場合を説明する。
まず第1の処理について説明する。
【0055】
(3−1)全画像データの再送
図4は全画像データが再送される場合の送信機及び受信機間の処理の流れを示すフローチャートである。図4では、送信機100aがPPR全データ32を受信できない状態で、PPR制御データ31の連続の受信回数が2回に達した場合に、送信機100aが全画像データを受信機100bに送信する処理が行われる。
ステップS1:送信機100a及び受信機100b間で送信開始処理が行われた後、送信機100aは画像データ(PIX:PIXel)を受信機100bに送信する。
ステップS2:送信機100aは、最終の画像データを送信すると、メッセージ終了信号であるPPS.EOP(Partial Page Signal. End Of Procedures)を受信機100bに送信する。
ステップS3〜S5:受信機100bは、PPR制御データ31及びPPR全データ32のマルチフレームでPPR信号を生成し、送信機100aに送信する。ここでは、受信機100bは、3つのPPR信号(図4中のマルチフレーム化PPR1〜PPR3)を生成して送信機100aに送信する。
【0056】
ステップS6:送信機100aは、マルチフレーム化PPR1〜PPR3を送信されているが、PPR全データ32を正常に受信できていない。一方、マルチフレーム化PPR1〜PPR3のうちPPR制御データ31の連続の受信回数が2回に達しているとする。この場合、送信機100aはPPR制御データ31のみを正常に受信したと判断する。
このときの、PPR制御データ31及びPPR全データ32の受信/未受信の組み合わせの一例は例えば図5に表される。PPR1〜PPR3はそれぞれマルチフレーム化PPR1〜PPR3に対応している。また、図5中の「未」は信号を正常に受信できていないことを示し、「受」は信号を正常に受信できていることを示す。図5(a)によれば、送信機100aは、マルチフレーム化PPR1〜PPR3の全ての送信に対して、PPR全データ32を正常に受信できていない。一方、送信機100aは、マルチフレーム化PPR1の送信に対して、PPR制御データ31を正常に受信できていない。しかし、送信機100aは、マルチフレーム化PPR2、PPR3の送信に対して、PPR制御データ31を正常に受信している。よって、PPR全データ32を正常に受信できていない状態において、PPR制御データ31の連続の受信回数が2回に達している。
【0057】
図5(b)では、送信機100aは、PPR全データ32を正常に受信できていないが、マルチフレーム化PPR1、PPR3の送信に対してPPR制御データ31を正常に受信している。ここで、送信機100aは、マルチフレーム化PPR2のうちPPR制御データ31及びPPR全データ32のいずれも正常に受信できておらず、マルチフレーム化PPR2の送信を把握していない。よって、送信機100aは、マルチフレーム化PPR1、PPR3の送信に対するPPR制御データ31の受信を連続的なものとみなし、連続の受信回数が2回に達していると判断する。
【0058】
ステップS7:送信機100aは、1ブロックの全フレームに対応する全画像データを含む応答データを生成し、当該応答データを受信機100bに再送する。
ステップS8:送信機100aは、最終の画像データを送信すると、PPS.EOPを受信機100bに送信する。
ステップS9:受信機100bは、メッセージ確認信号であるMCF(Message ConFirmation)信号を送信機100aに送信する。
ステップS10:送信機100aは、MCF信号の受信に応じて、回線切断命令であるDCN(DisCoNnect)信号を受信機100bに送信する。
【0059】
(3−2)エラーフレームに対応する画像データの再送
図6はエラーフレームに対応する画像データが再送される場合の送信機及び受信機間の処理の流れを示すフローチャートである。図6では、送信機100aがPPR全データ32を正常に受信した場合に、エラーフレームに対応する画像データを受信機100bに送信する処理が行われる。
ステップS11〜S15:図4のステップS1〜S5と同様に、受信機100bは、送信機100aの画像データの送信に対して、3つのPPR信号(図6中のマルチフレーム化PPR1〜PPR3)を生成して送信機100aに送信する。
ステップS16:送信機100aは、受信機100bからのマルチフレーム化PPR1〜PPR3の送信のいずれかに基づいて、PPR全データ32を正常に受信している。
ステップS17:送信機100aは、PPR全データ32に含まれるエラーフレーム情報に基づいて、エラーフレームに対応する画像データを含む応答データを生成する。
ステップS18〜20:図4のステップS8〜S10と同様に、送信機100a及び受信機100bとの間で回線切断の処理が行われる。
【0060】
(4)送信機の処理の流れ
次に、送信機100aが実行する処理の流れについて説明する。図7は送信機の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS31:送信機100aの送信部23及び受信部24などの通信部は、受信機100bへの画像データの送信開始処理を実行する。
ステップS32:送信機100aの送信部23は、第2SDRAM10等の記憶部から画像データを取得し、受信機100bに画像データを送信する。
ステップS33:送信機100aの送信部23は、最終の画像データを送信すると、PPS.EOPを受信機100bに送信する。
ステップS34:送信機100aの受信部24は、PPS.EOPに対する応答信号を受信機100bから受信する。
【0061】
ステップS35:送信機100aの応答部22は、PPS.EOPに対する応答信号がPPR信号であるか否かを判断する。応答信号がPPR信号である場合にはステップS36に進む。一方、応答信号がPPR信号でなくその他の信号である場合にはステップS38に進む。
ステップS36:送信機100aの応答部22は、PPR信号からPPR全データ32を取得しているか否かを判断し、PPR全データ32を取得している場合にはステップS37に進む。そうでない場合にはステップS39に進む。なお、PPR全データ32を取得する場合には、通常のPPR信号からPPR全データ32を取得する場合と、本実施形態のPPR信号からPPR全データ32を取得する場合とが含まれる。通常のPPR信号とは、PPR全データ32のみを含む手順信号である。また、本実施形態のPPR信号とは、PPR制御データ31及びPPR全データ32にマルチフレーム化された手順信号である。
【0062】
ステップS37:送信機100aの応答部22は、PPR全データ32に含まれるエラーフレーム情報に基づいて、エラーフレームに対応する画像データを含む応答データを生成する。送信機100aの送信部23は当該応答データを受信機100bに送信する。
ステップS38:PPS.EOPに対する応答信号がPPR信号以外のその他の応答信号である場合には、送信機100aの制御部20は、その他の応答信号に基づいてファクシミリの通常のFAX手順を実行する。
ステップS39:送信機100aの応答部22は、PPR信号からPPR制御データ31を取得する。
【0063】
ステップS40:送信機100aの応答部22は、PPR制御データ31を連続で受信した回数が所定数nに到達しているか否かを判断し、到達している場合にはステップS41に進む。一方、そうでない場合にはステップS34に進み、送信機100aの受信部24は、PPS.EOPに対する応答信号を待機する。
ステップS41:送信機100aの応答部22は1ブロックの全フレームに対応する全画像データを含む応答データを生成し、送信部23は当該応答データを受信機100bに送信する。
【0064】
(5)受信機の処理の流れ
次に、受信機100bが実行する処理の流れについて説明する。図8は受信機の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS51:受信機100bの送信部23及び受信部24などの通信部は、送信機100aからの画像データの受信開始処理を実行する。
ステップS52:受信機100bの受信部24は、送信機100aから画像データを受信する。
ステップS53:受信機100bの受信部24は、最終の画像データの受信の後、PPS.EOPを送信機100aから受信する。
【0065】
ステップS54:受信機100bの手順信号生成部21は、受信部24が受信した画像データにエラーフレームが含まれるか否かを判定する。画像データにエラーフレームが含まれる場合にはステップS55に進み、そうでない場合にはステップS58に進む。
ステップS55:受信機100bの手順信号生成部21は、通信の相手機である送信機100aがマルチフレーム化PPR機能を有しているか否かを判断する。つまり、手順信号生成部21は、PPR制御データ31及びPPR全データ32にマルチフレーム化された本実施形態のPPR信号を送信機100aが解読可能か否かを判断する。送信機100aがマルチフレーム化PPR機能を有している場合にはステップS56に進み、そうでない場合にはステップS57に進む。
【0066】
ステップS56:送信機100aがマルチフレーム化PPR機能を有している場合には、受信機100bの手順信号生成部21は、PPR制御データ31及びPPR全データ32にマルチフレーム化された本実施形態のPPR信号を生成する。受信機100bの送信部23はマルチフレーム化されたPPR信号を送信機100aに送信する。
ステップS57:送信機100aがマルチフレーム化PPR機能を有していない場合には、受信機100bの手順信号生成部21は、PPR全データ32のみを含む通常のPPR信号を生成する。受信機100bの送信部23は通常のPPR信号を送信機100aに送信する。
ステップS58:受信機100bの制御部20はファクシミリの通常のFAX手順を実行する。
【0067】
(6)実施形態の作用効果
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)ファクシミリ装置100(ファクシミリ装置の一例)は、手順信号生成部21(手順信号生成部の一例)と送信部23(送信部の一例)とを備えている。手順信号生成部21は、PPR全データ32(第1手順信号の一例)及びPPR制御データ31(第2手順信号の一例)を含む手順信号30(手順信号の一例)を生成する。PPR全データ32は、相手方装置とのファクシミリ通信手順を定義している。PPR制御データ31は、PPR全データ32の一部からなり、手順信号30の種類を特定する種類情報を含む。送信部23は、手順信号30を相手方装置に送信する。
【0068】
ファクシミリ装置100が生成する手順信号30には、PPR制御データ31及びPPR全データ32が含まれる。PPR制御データ31は、少なくとも手順信号30の種類を特定する種類情報を含むが、PPR全データ32の一部から構成されているためPPR全データ32よりもデータ量が小さい。よって、PPR制御データ31は、PPR全データ32に比べて回線のノイズ及び瞬断等の回線障害の影響を受けることが少ない。つまり、PPR全データ32及びPPR制御データ31を送信された相手方装置は、回線障害によりPPR全データ32を正常に受信できなくても、PPR制御データ31を正常に受信できる可能性が高い。
【0069】
相手方装置は、PPR全データ32を正常に受信した場合にはPPR全データ32に対する応答をファクシミリ装置100に送信し、PPR制御データ31を正常に受信した場合にはPPR制御データ31に対応する応答をファクシミリ装置100に送信する。このように相手方装置が、少なくともデータ量が小さいPPR制御データ31を正常に受信できればファクシミリ装置100に応答が可能であるので、ファクシミリ装置100が手順信号30を正常に受信できる可能性が高くなる。つまり、通信エラーに起因して装置間の通信が終了することが抑制される。
【0070】
上記の本願発明は、例えば以下のような態様で適用可能である。
画像データを送信する送信機100aと、送信機100aから画像データを受信する受信機100bと、の間で通信が行われているとする。この場合、上記ファクシミリ装置100は受信機100bであり、上記相手方装置は送信機100aである。受信機100bは、送信機100aから画像データを受信れば、手順信号生成部21が、画像データの受信に対する応答データを手順信号として生成する。次に、送信部23が送信機100aに手順信号30を送信する。手順信号30は、PPR全データ32及びデータ量が小さいPPR制御データ31を含む。
【0071】
PPR全データ32には例えば受信した画像データのどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれており、PPR全データ32はPPR制御データ31に比べて比較的データ量が大きい。PPR制御データ31には、例えば送信機100aに手順信号30の種類を知らせるための種類情報が含まれているが、どのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれておらず、そのためPPR制御データ31はPPR全データ32に比べて比較的データ量が小さい。送信機100aは、PPR全データ32を正常に受信した場合には、エラーが発生したエラーフレームの画像データのみを受信機100bに送信する。一方、送信機100aは、PPR全データ32を受信できずPPR制御データ31のみを正常に受信した場合には、受信機100bに全フレームに対応する全画像データを再送する。送信機100aと受信機100bとの通信は回線障害により切断される可能性があるが、PPR制御データ31はデータ量が小さいので送信機100aは正常にPPR制御データ31を受信できる可能性が高い。そして、送信機100aがPPR制御データ31さえ受信できれば送信機100aと受信機100bとの通信を継続可能であるので、回線障害により送信機100aと受信機100bとの通信が終了するのが抑制される。
【0072】
(B)PPR全データ32を構成するフィールドには、手順信号30の種類を特定する種類情報を含むファクシミリコントロールフィールドと、ファクシミリ通信手順に関する任意の情報を含むファクシミリインフォメーションフィールドと、が含まる。
また、PPR制御データ31を構成するフィールドには、PPR全データ32を構成するフィールドのうち、ファクシミリインフォメーションフィールドを除き、少なくともファクシミリコントロールフィールドが含まれる。
ここで、手順信号30がPPR信号である場合、第1及びPPR制御データ31のファクシミリコントロールフィールドには、手順信号30の種類がPPR信号であることを示す種類情報が定義される。また、PPR全データ32のファクシミリインフォメーションフィールドには、受信データのどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれる。
【0073】
(C)手順信号30がPPR(Partial Page Request)信号である。
PPR信号30(手順信号30)をPPR全データ32とPPR制御データ31とにより構成し、相手方装置が少なくともデータ量が小さいPPR制御データ31を正常に受信できるようにする。これにより、PPR信号30を正常に受信できないために装置間での通信が終了することを抑制できる。
【0074】
(D)PPR全データ32は、手順信号30がPPR信号であることを示す種類情報と、相手方装置から受信した受信データを構成するフレームのうちどのフレームにエラーが発生しているかを示すエラーフレーム情報と、を含む。
【0075】
(E)PPR制御データ31は、エラーフレーム情報を除き、少なくとも手順信号30がPPR信号であることを示す種類情報を含む。
【0076】
(F)手順信号生成部21は、手順信号30をPPR全データ32とPPR制御データ31とにマルチフレーム化することで生成する。
ファクシミリ装置100は、手順信号30をPPR全データ32とPPR制御データ31とにマルチフレーム化して生成し相手方装置に送信する。相手方装置が、手順信号30のうちPPR全データ32又はPPR制御データ31のいずれかを受信できれば装置間での通信を継続可能である。よって、回線障害による通信の終了が抑制される。
【0077】
(G)ファクシミリ装置100(ファクシミリ装置の一例)は、受信部24(受信部の一例)と応答部22(応答部の一例)とを備えている。受信部24は手順信号30(手順信号の一例)を相手方装置から受信する。手順信号30は、PPR全データ32(第1手順信号の一例)及びPPR制御データ31(第2手順信号の一例)を含む。応答部22は、受信部24が手順信号30のうちPPR全データ32を正常に受信した場合と、受信部24が手順信号30のうちPPR制御データ31のみを正常に受信した場合とで、異なる応答方法を実行する。
【0078】
ファクシミリ装置100は、PPR制御データ31及びPPR全データ32を含む手順信号30を受信する。PPR制御データ31は、少なくとも手順信号30の種類を特定する種類情報を含むが、PPR全データ32の一部から構成されているためPPR全データ32よりもデータ量が小さい。よって、PPR制御データ31は、PPR全データ32に比べて回線のノイズ及び瞬断等の回線障害の影響を受けることが少ない。つまり、ファクシミリ装置100は、回線障害によりPPR全データ32を正常に受信できなくても、PPR制御データ31を正常に受信できる可能性が高い。
【0079】
ファクシミリ装置100の応答部22は、PPR全データ32を正常に受信した場合にはPPR全データ32に対する応答を相手方装置に送信し、PPR制御データ31を正常に受信した場合にはPPR制御データ31に対応する応答を相手方装置に送信する。このようにファクシミリ装置100が、少なくともデータ量が小さいPPR制御データ31を正常に受信できれば相手方装置に応答が可能であるので、手順信号30を正常に受信できないために通信エラーが発生し、装置間での通信が終了することを抑制できる。
【0080】
上記の実施形態は、例えば以下のような態様で適用可能である。
画像データを送信する送信機100aと、送信機100aから画像データを受信する受信機100bと、の間で通信が行われているとする。この場合、上記ファクシミリ装置100は送信機100aであり、上記相手方装置は受信機100bである。受信機100bは、受信部24が送信機100aから画像データを受信すると、応答部22が応答データとしてPPR全データ32及びPPR制御データ31を含む手順信号30を送信機100aに送信する。PPR全データ32には、例えば受信した画像データのどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれているが、PPR制御データ31にはどのフレームにエラーが発生しているかを示す情報が含まれていない。そのため、PPR制御データ31はPPR全データ32に比べて比較的データ量が小さい。送信機100aは、PPR全データ32を正常に受信した場合には、エラーが発生したエラーフレームの画像データのみを受信機100bに送信する。一方、送信機100aは、PPR全データ32を受信できずPPR制御データ31のみを正常に受信した場合には、受信機100bに全フレームに対応する全画像データを再送する。このように送信機100aがデータ量が小さいPPR制御データ31さえ受信できれば送信機100aと受信機100bとの通信を継続可能であるので、回線障害により送信機100aと受信機100bとの通信が終了するのが抑制される。
【0081】
(H)応答部22は、受信部24が手順信号30のうちPPR全データ32を正常に受信した場合には、PPR全データ32に対する第1応答信号を生成する。一方、受信部24が手順信号30のうちPPR制御データ31のみを正常に受信した場合には、PPR制御データ31に対する第2応答信号を生成する。ファクシミリ装置100は送信部23をさらに備えており、送信部23は応答部22が生成した第1又は第2応答信号を相手方装置に送信する。
例えば、ファクシミリ装置100は、PPR全データ32を正常に受信した場合には、エラーが発生したエラーフレームの画像データを含む第1応答信号を相手方装置に送信する。一方、ファクシミリ装置100は、PPR全データ32を受信できずPPR制御データ31のみを正常に受信した場合には、1ブロックの全フレームに対応する全画像データ含む第2応答信号を相手方装置に送信する。
【0082】
(I)PPR全データ32を構成するフィールドには、手順信号30の種類を特定する種類情報を含むファクシミリコントロールフィールドと、ファクシミリ通信手順に関する任意の情報を含むファクシミリインフォメーションフィールドと、が含まれる。
また、PPR制御データ31を構成するフィールドには、PPR全データ32を構成するフィールドのうち、ファクシミリインフォメーションフィールドを除き、少なくともファクシミリコントロールフィールドが含まれる。
【0083】
(J)手順信号30がPPR(Partial Page Request)信号である。
【0084】
(K)PPR全データ32は、手順信号30がPPR信号であることを示す種類情報と、相手方装置に送信した送信データを構成するフレームのうちどのフレームにエラーが発生しているかを示すエラーフレーム情報と、を含む。PPR制御データ31は、エラーフレーム情報を除き、少なくとも手順信号30がPPR信号であることを示す種類情報を含む。
【0085】
(L)応答部22は、受信部24が手順信号30のうちPPR全データ32を正常に受信した場合には、PPR全データ32に対する第1応答信号に含まれる画像データを、エラーフレームに対応する画像データのみから構成する。
(M)応答部22は、受信部24が手順信号30のうちPPR制御データ31のみを正常に受信した場合には、PPR制御データ31に対する第2応答信号に含まれる画像データを、一連の全フレームに対応する全画像データから構成する。
【0086】
(N)応答部22は、受信部24がPPR全データ32を正常に受信できず、所定数のPPR制御データ31を正常に受信した場合に、第2応答信号に含まれる画像データを全画像データから構成する。
PPR全データ32を正常に受信できない場合に、PPR制御データ31を受信したのに応じて即座に全画像データを含む第2応答信号を相手方装置に送信すると、装置間での通信量が大きくなる場合がある。例えば、相手方装置が1回目の手順信号30を送付し、ファクシミリ装置100が、PPR全データ32及びPPR制御データ31を含む手順信号30のうち、PPR制御データ31のみを正常に受信したとする。次に、相手方装置が2回目の手順信号30を送付し、ファクシミリ装置100がPPR全データ32を正常に受信したとする。この場合、ファクシミリ装置100は、2回目の手順信号30の受信まで待機すれば、PPR全データ32の受信に応じてエラーフレームに対応する画像データのみを相手方装置に送信すればよい。しかし、ファクシミリ装置100が、2回目の手順信号30の受信まで待機しないままPPR制御データ31に応じれば、全画像データを相手方装置に送信することとなり、装置間の通信量が多くなり回線障害の影響を受けやすくなる。
【0087】
そこで上記問題を解決するために、ファクシミリ装置100は、PPR全データ32を正常に受信できない場合において、PPR制御データ31の受信回数が所定数に達するまで待機する。これにより、全画像データが相手方装置に再送されることによる通信量の増加を抑制され、ひいては回線障害により装置間の通信が終了するのが抑制される。
【0088】
(7)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0089】
(a)上記実施形態では手順信号としてPPR信号を例に挙げて本発明を適用したが、本発明を適用可能な手順信号はPPR信号に限られず、その他の手順信号にも本発明を適用可能である。例えば、ディジタル命令信号(DCS:Digital Command Signal)にも本発明を適用可能であり、ディジタル命令信号DCSが、第1手順信号及び第2手順信号にマルチフレーム化して生成される。
【0090】
図9は、本発明を適用したディジタル命令信号DCSのフレーム構成を示す説明図である。DCS40は、第1手順信号であるDCS全データ42と、第2手順信号であるDCS制御データ41と、を含む。DCS制御データ41の前にはプリアンブルが配置され、DCS全データ42の前後にはフラグ(F)が配置されている。
【0091】
DCS制御データ41は、アドレス(A)、制御(C)、ファクシミリコントロールフィールドFCF、フレームチェックシーケンスFCSで構成されている。DCS制御データ41は手順信号の一つであるDCSに分類され、ファクシミリコントロールフィールドFCSにはDCS制御データ41がDCSであることを示す種類情報が記述される。このようにDCS制御データ41には、少なくとも手順信号の種類を特定するための種類情報が含まれ、その他、DCS制御データ41の送受信に必要な情報が含まれる。
【0092】
DCS全データ42は、アドレス(A)、制御(C)、ファクシミリコントロールフィールドFCF、ファクシミリインフォメーションフィールドFIF及びフレームチェックシーケンスFCSで構成されている。DCS全データ42は、マルチフレーム化されていない通常のDCSと同様の構成を有している。ファクシミリコントロールフィールドFCSには、DCS全データ42が手順信号の一つであるDCSであることを示す種類情報が記述される。ファクシミリインフォメーションフィールドFIFには、送信機100a及び受信機100b間で送受信を行う際の機能情報が記述される。例えば、機能情報には、伝送速度、用紙サイズ、ファクシミリ通信手順の種類等が含まれる。伝送速度は、データを送受信する際のビットレートである。ファクシミリ通信手順には例えばECM通信手順であることが記述される。これらの機能情報は、受信機100bから送信されるディジタル識別信号(DIS:Digital Identification Signal)に基づいて設定される。
【0093】
DCS制御データ41は、DCS全データ42と比較してファクシミリインフォメーションフィールドFIFを有しておらず、DCS全データ42の一部から構成されている。また、ファクシミリインフォメーションフィールドFIFは最大256ビットで構成されており、その他のフィールドに比べてデータ量が大きい。このファクシミリインフォメーションフィールドFIFを有していないDCS制御データ41は、DCS全データ42よりもデータ量が小さい。
【0094】
ここで、送信機100aの受信部24が受信機100bからディジタル識別信号DISを受信すると、送信機100aの手順信号生成部21は、ディジタル識別信号DISに基づいてDCS制御データ41及びDCS全データ42を含むDCS40を生成する。送信機100aの送信部23は、生成されたDCS40を受信機100bに送信する。受信機100bの受信部24はDCS40を受信する。前述の通り、DCS制御データ41はDCS全データ42よりもデータ量が小さいため、DCS全データ42に比べて回線のノイズ及び瞬断等の回線障害の影響を受けることが少ない。よって、DCS制御データ41及びDCS全データ42を含むDCS40を送信された受信機100bは、回線障害によりDCS全データ42を正常に受信できなくても、DCS制御データ41を正常に受信できる可能性が高い。
【0095】
次に、マルチフレーム化されたDCS40が送受信される場合の送信機及び受信機間の処理の流れを説明する。図10はマルチフレーム化されたDCS40が送受信される場合の送信機及び受信機間の処理の流れを示すフローチャートである。図10では、受信機100bは、DCS40のうちDCS全データ42を正常に受信できない場合には、DCS全データ42を正常に受信するのに必要なタイマー時間、つまりDCS40を受信するまでの待機時間を調整する。
【0096】
ステップS61:送信機100aの送信部23は、CNG(ColliNG)を受信機100bに送信する。これにより、ファクシミリ通信手順が開始される。
ステップS62:受信機100bの送信部23は、被呼端末識別(CED:Called Station Idetification)を送信機100aに送信する。
ステップS63:受信機100bの手順信号生成部21は、非標準機能識別(NSF:Non−Standard Facilities)信号、被呼端末識別(CSI:Called Station Identification)信号及びディジタル識別信号(DIS:Digital Identification Signal)を生成する。受信機100bの送信部23はこれらの信号を送信機100aに送信する。
【0097】
ステップS64〜S66:送信機100aの手順信号生成部21は、受信機100bから受信した信号に基づいて、非標準機能設定(NSS:Non−Standard facilities Set−up)信号、送信装置識別(TSI:Transmitting Subscriber Identification)信号及びディジタル命令信号(DCS:Digital Command Signal)を生成する。送信機が送信するディジタル命令信号DCSは、第1手順信号と第1手順信号よりデータ量が小さい第2手順信号とを含む上述のDCS40である。複数の非標準機能設定NSS、送信装置識別TSI及びDCS40のセットが生成され、送信機100aの送信部23により受信機100bに送信される。
【0098】
前述の通り、DCS40のうち、データ量が小さいDCS制御データ41のみを正常に受信できた場合、タイマー時間を延長すれば受信機100bがDCS全データ42を正常に受信できる可能性が高い。1回目の非標準機能設定NSS、送信装置識別TSI及びDCS40のセット(NSS,TSI,DCS)1の送信において、受信機100bの受信部24がDCS40のうちDCS制御データ41のみを正常に受信したとする(S64)。この場合、受信機100bの制御部20は、受信部24がDCS40のうちDCS全データ42を正常に受信できるようにタイマー時間を延長する。2回目の(NSS,TSI,DCS)2の送信においても、受信機100bの受信部24がDCS制御データ41のみを正常に受信したとする(S65)。受信機100bの制御部20はタイマー時間をさらに延長する。図10の例では、タイマー時間の延長によって、3回目の(NSS,TSI,DCS)3の送信に基づいて、受信機100bの受信部24はDCS全データ42を正常に受信する(S66)。
【0099】
ステップS67:送信機100aの制御部20は、トレーニングチェック信号(TCF:Training Check Signal)を送信部23を介して受信機100bに送信する。トレーニングチェック信号TCFは、受信機100bとの通信が可能かどうかをチェックする信号である。
ステップS68:受信機100bの制御部20は通信が可能であると判断すれば受信準備確認信号CFR(ConFirmation to Receive)信号を生成し、送信部23を介して送信機100aに送信する。
ステップS69:送信機100aの送信部23は、受信準備確認信号CFRを受信すると送信データを送信する。
【0100】
ステップS70:送信機100aの送信部23は、送信データの送信が完了するとPPS.EOPを受信機100bに送信する。
ステップS71:受信機100bの受信部24は、送信データの受信が完了すると、メッセージ確認信号を送信機100aに送信する。
ステップS72:送信機100aは、MCF信号の受信に応じて、回線切断命令であるDCN信号を受信機100bに送信する。
【0101】
以上の処理によれば、受信機100bは、所定のタイマー時間内に、DCS40のうちDCS全データ42を受信した場合には、DCS全データ42に基づいて送信機100aとの間でその後の通信を行う。一方、受信機100bは、所定のタイマー時間内にDCS全データ42を受信できなかったが、DCS40のうちDCS制御データ41を正常に受信した場合には、タイマー時間を延長する。そして、受信機100bは、送信機100aからDCS40の再送を受ける。DCS制御データ41がDCS全データ42に比べてデータ量が小さいため、受信機100bはDCS制御データ41を正常に受信できる可能性が高い。そして、受信機100bは所定のタイマー時間内にDCS全データ42を受信できなかったがDCS制御データ41を正常に受信できた場合には、タイマー時間を延長すればDCS全データ42を受信できる可能性がある。そこで、受信機100bは前述のようにDCS40を受信するためのタイマー時間を延長する。このように受信機100bは、タイマー時間を延ばすか否かを、DCS制御データ41を正常に受信したか否かに基づいて判断する。
【0102】
このように受信機100bが少なくともDCS制御データ41を受信できれば、タイマー時間の延長によりDCS全データ42を正常に受信可能となり、ひいては送信機100aと受信機100bとの通信を継続可能である。よって、回線障害により送信機100aと受信機100bとの通信が終了するのを抑制できる。
【0103】
(b)上記実施形態では、第2制御手順が第1制御手順よりも前に位置している。例えば、図3を参照すれば、PPR制御データ31がPPR全データ32よりも前に位置している。しかし、PPR全データ32がPPR制御データ31よりも前に位置してもよい。PPR全データ32がPPR制御データ31よりも前に位置している場合には、PPR全データ32の制御(C)には途中のフレームであることを示す“03”が記述される。一方、PPR制御データ31の制御(C)には最終フレームであることを示す“13”が記述される。
同様に、図9において、DCS全データ42がDCS制御データ41よりも前に位置してもよい。
【0104】
(c)上記実施形態では、送信機100a及び受信機100b間で送受信されるデータとして画像データを例に挙げているが、データは画像データに限定されず、例えば音声データなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、ファクシミリ通信装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 CPU
2 フラッシュROM
3 第1SDRAM
4 SRAM
5 モデム
6 NCU
7 操作パネル
8 RTC
9 統合チップセット
10 第2SDRAM
11 スキャナ
12 プリンタ
13 ネットワークボード
14 システムバス
15 第1ローカルバス
16 第2ローカルバス
17 シリアルバス
18 LAN
19 公衆交換電話網
20 制御部
21 手順信号生成部
22 応答部
23 送信部
24 受信部
30 PPR信号
31 PPR制御データ
32 PPR全データ
40 DCS
41 DCS制御データ
42 DCS全データ
100 ファクシミリ装置
100a 送信機
100b 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方装置とのファクシミリ通信手順を定義している第1手順信号と、前記第1手順信号の一部からなり、手順信号の種類を特定する種類情報を含む第2手順信号と、を含む手順信号を生成する手順信号生成部と、
前記手順信号を相手方装置に送信する送信部と、
を備えるファクシミリ装置。
【請求項2】
前記第1手順信号を構成するフィールドには、前記手順信号の種類を特定する種類情報を含むファクシミリコントロールフィールドと、前記ファクシミリ通信手順に関する任意の情報を含むファクシミリインフォメーションフィールドと、が含まれ、
前記第2手順信号を構成するフィールドには、前記第1手順信号を構成するフィールドのうち、前記ファクシミリインフォメーションフィールドを除き、少なくとも前記ファクシミリコントロールフィールドが含まれる、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記手順信号がPPR(Partial Page Request)信号である、請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記第1手順信号は、前記手順信号がPPR信号であることを示す種類情報と、相手方装置から受信した受信データを構成するフレームのうちどのフレームにエラーが発生しているかを示すエラーフレーム情報と、を含む、請求項3に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記第2手順信号は、前記エラーフレーム情報を除き、少なくとも前記手順信号がPPR信号であることを示す種類情報を含む、請求項4に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記手順信号生成部は、前記手順信号を前記第1手順信号と前記第2手順信号とにマルチフレーム化することで生成する、請求項1〜5のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
相手方装置とのファクシミリ通信手順を定義している第1手順信号と、前記第1手順信号の一部からなり、手順信号の種類を特定する種類情報を含む第2手順信号と、を含む手順信号を、相手方装置から受信する受信部と、
前記受信部が前記手順信号のうち前記第1手順信号を正常に受信した場合と、前記受信部が前記手順信号のうち前記第2手順信号のみを正常に受信した場合とで、異なる応答方法を実行する応答部と、
を備えるファクシミリ装置。
【請求項8】
前記応答部は、前記受信部が前記手順信号のうち前記第1手順信号を正常に受信した場合には、前記第1手順信号に対する第1応答信号を生成し、前記受信部が前記手順信号のうち前記第2手順信号のみを正常に受信した場合には、前記第2手順信号に対する第2応答信号を生成し、
前記第1又は第2応答信号を相手方装置に送信する送信部をさらに備える、請求項7に記載のファクシミリ装置。
【請求項9】
前記第1手順信号を構成するフィールドには、前記手順信号の種類を特定する種類情報を含むファクシミリコントロールフィールドと、前記ファクシミリ通信手順に関する任意の情報を含むファクシミリインフォメーションフィールドと、が含まれ、
前記第2手順信号を構成するフィールドには、前記第1手順信号を構成するフィールドのうち、前記ファクシミリインフォメーションフィールドを除き、少なくとも前記ファクシミリコントロールフィールドが含まれる、請求項8に記載のファクシミリ装置。
【請求項10】
前記手順信号がPPR(Partial Page Request)信号である、請求項9に記載のファクシミリ装置。
【請求項11】
前記第1手順信号は、前記手順信号がPPR信号であることを示す種類情報と、相手方装置に送信した送信データを構成するフレームのうちどのフレームにエラーが発生しているかを示すエラーフレーム情報と、を含み、
前記第2手順信号は、前記エラーフレーム情報を除き、少なくとも前記手順信号がPPR信号であることを示す種類情報を含む、請求項10に記載のファクシミリ装置。
【請求項12】
前記応答部は、前記受信部が前記手順信号のうち前記第1手順信号を正常に受信した場合には、前記第1手順信号に対する第1応答信号に含まれる画像データを、前記エラーフレームに対応する画像データのみから構成する、請求項11に記載のファクシミリ装置。
【請求項13】
前記応答部は、前記受信部が前記手順信号のうち前記第2手順信号のみを正常に受信した場合には、前記第2手順信号に対する第2応答信号に含まれる画像データを、一連の全フレームに対応する全画像データから構成する、請求項12に記載のファクシミリ装置。
【請求項14】
前記応答部は、前記受信部が前記第1手順信号を正常に受信できず、所定数の前記第2手順信号を正常に受信した場合に、前記第2応答信号に含まれる画像データを前記全画像データから構成する、請求項13に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−110618(P2013−110618A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254629(P2011−254629)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】