ファンモータを用いた静電気除電器
【課題】被除電対象物に合わせ、除電ポイントを複数採ることができ、しかも風量を落とさずに、遠くのポイントまで除電することができるファンモータを用いた静電気除電器を提供する。
【解決手段】イオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えた高電圧発生装置１と、気流の経路に配置され、かつ高電圧を印加されてイオンを生成する放電針４、および、生成されたイオンを吹出すファンモータ３により構成される複数のイオン発生ユニット２１，２２，２３とを備え、前記複数のイオン発生ユニットに互いに連結される連結部６１，６２を設け、これら連結部を介して互いに連結した前記複数のイオン発生ユニットを、イオン生成用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置１のイオン生成用電源に接続し、かつファンモータ駆動用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置１のファンモータ駆動用電源に接続した。
【解決手段】イオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えた高電圧発生装置１と、気流の経路に配置され、かつ高電圧を印加されてイオンを生成する放電針４、および、生成されたイオンを吹出すファンモータ３により構成される複数のイオン発生ユニット２１，２２，２３とを備え、前記複数のイオン発生ユニットに互いに連結される連結部６１，６２を設け、これら連結部を介して互いに連結した前記複数のイオン発生ユニットを、イオン生成用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置１のイオン生成用電源に接続し、かつファンモータ駆動用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置１のファンモータ駆動用電源に接続した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、フリーレイアウトに適したファンモータを用いた静電気除電器で、被除電対象物の形状、位置に合わせ、小面積でも、広範囲な面積でも簡単に対応することができる静電気除電器に関する。
【背景技術】
【０００２】
静電気除電器、いわゆるイオナイザは、静電破壊や機器の誤動作などのトラブルの原因となる静電気をイオンで中和し除電を行う装置である。イオナイザはイオンを発生させる方式により、ＡＣ方式とＤＣ方式に分かれ、ＡＣ方式は、交流電圧を放電針に印加し+と-のイオンを交互に発生させ、ＤＣ方式は、放電針に直流電圧を印加し、+または-どちらかのイオンのみを発生させます。
【０００３】
従来この種の静電気除電器（イオナイザ）としては、引用文献１（特開２００９−１６０９６）のように、コンプレッサを用いたエアー配管１０１を必要とするバータイプの静電気除電器１００（図３）、並びに引用文献２（特開２００５−３４７２７０）のように、除電面積が小さい被除電対象物を除電するためのファンモータ１１１を用いた小型ボックスタイプの静電気除電器１１０（図４）、もしくは引用文献３（特開２００９−４３５８０）のように、静電気除電器１２０を接続コネクタ１２１で連結する連結型の静電気除電器（図５）がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−１６０９６号公報
【特許文献２】特開２００５−３４７２７０号公報
【特許文献３】特開２００９−４３５８０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、このような従来の静電気除電器にあっては、特許文献１のバータイプの静電気除電器１００では、コンプレッサを用い、エアーの配管１０１を使用するタイプで、風量・風圧が大きく取れ、除電能力は高く、広範囲の被除電対象物に対応できるものの、エアーの配管１０１が必要であることから静電気除電器の設置場所に制限がある。
【０００６】
さらに、イオン噴射部が固定されているため被除電対象物の形状によっては、噴射ノズル１０２の回転やイオン搬送チューブを使用する必要があるという問題点があった。
【０００７】
特許文献２の静電気除電器１１０は、気流が流れるファンモータ１１１の後方に放電針１１２を配置し、ファンモータ１１１の前方に指ガード１１３および整流板１１４を配置している。
【０００８】
特許文献２のように、除電面積が小さい被除電対象物を除電するためのファンモータ１１１を用いた小型ボックスタイプの静電気除電器１１０にあっては、被除電対象物に対してフレキシブルに設置できるが、静電気除電器１１０が１台に対し、除電ポイントも１点と制約されることから、被除電対象物の面積が広範囲であったり、複数のポイントを除電するためにはその除電面積に対応できるように、複数の静電気除電器１１０を用意することが必要になるため、コスト高になるのと、静電気除電器１１０のスペースも大きく取ることが必要になるという問題点があった。
【０００９】
図５（ａ）（ｂ）に示す静電気除電器１２０を接続コネクタ１２１で連結する連結型の静電気除電器にあっては、静電気除電器１２０を接続コネクタ１２１で連結することにより、被除電対象物の面積の大小に対応する自由度はあるが、特許文献１と同様に、コンプレッサを用いてエアーの配管が必要であること、および各静電気除電器１２０のイオン噴射ノズル１２２は固定されているため、被除電対象物の形状によっては、噴射ノズル１２２の調整機構を設けなくてはならないという問題点があった（特許文献３参照）。
【００１０】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、ファンモータと、それにイオンを生成する放電針を設けた一つのイオン発生ユニットを構成し、1個の高電圧発生装置に、任意の数だけ前記イオン発生ユニットを、直接、またはフレキシブルパイプを使って連結できるようにし、被除電対象物に合わせ、除電ポイントを複数採ることができ、しかも風量を落とすことが無く、遠くのポイントまで除電可能にすることができるファンモータを用いた静電気除電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は、上記課題を解決するため、イオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えた高電圧発生装置と、気流の経路に配置され、かつ高電圧を印加されて放電によりイオンを生成する放電針、および、該放電針によって生成されたイオンを吹出すファンモータにより構成される複数のイオン発生ユニットとを備え、前記イオン発生ユニットに互いに連結される連結部を設け、これら連結部を介して互いに連結した複数の前記イオン発生ユニットを、イオン生成用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のイオン生成用電源に接続し、かつファンモータ駆動用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のファンモータ駆動用電源に接続したことにある。
また、本発明は、前記イオン発生ユニット相互を連結する連結部に、フレキシブルなパイプを用いたことにある。
さらに、本発明は、前記イオン発生ユニットの側壁面に、前記連結部としての連結用パイプを設け、これら連結用パイプを互いに嵌合させて連結したことにある。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１によれば、被除電対象物の変化に合わせ、除電ポイント数を簡単に変更可能にしたものであり、静電気除電器の使用条件への適応能力を上げることになる。さらに、高電圧発生部を１個にできるので、コスト面、スペース面で有利となる。
請求項２によれば、イオン発生ユニットの設置場所を自由に変更することができるため、被除電対象物の除電するポイントを狙って除電することができる。
請求項３によれば、被除電対象物が広範囲の場合に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器を示す概念断面図である。
【図２】本発明の他の実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器を示す斜視図である。
【図３】従来のコンプレッサによるエアー配管を用いたバータイプの静電気除電器を示す斜視図である。
【図４】従来のファンモータを用いた小型ボックスタイプの静電気除電器を示す斜視図である。
【図５】従来の連結型の静電気除電器を示し、（ａ）は２個の静電気除電器を連結した概念図、（ｂ）は３個の静電気除電器を連結した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器を図面にもとづいて詳細に説明する。
図１は、本発明の一実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器で、３つのイオン発生ユニットを連結して用いた場合の概念図である。
１は高電圧発生装置で、図示しないイオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えている。２１，２２，２３は、軸流送風機などのファンモータ３、及び放電によりイオンを発生させる一対の放電針４を有する複数のイオン発生ユニットで、これらイオン発生ユニット２１，２２，２３は、ファンモータ３の空気吐き出し口方向にイオン生成用の放電針４を２個設けてある。放電針４は、気流の経路に配置されて、高圧電源が印加されて、放電によりイオンを発生するものである。
放電針４は、例えば、一方が電源の陽極、他方が陰極に接続され、相互間に高電圧が印加されてコロナ放電等を生じ、イオンを発生させる。放電針４は、気流の経路であれば、ファンモータ３の前方あるいは後方のいずれに配置されていてもよい。
【００１５】
前記イオン発生ユニット２１，２２，２３相互間は、フレキシブルパイプ５で連結されて取り付け位置を任意に設定できるように構成されている。前記各イオン発生ユニット２１，２２，２３の両側には、入力側連結部６１，および出力側連結部６２が設けられており、これら入力側連結部６１，および出力側連結部６２をフレキシブルパイプ５の両端の連結部５ａ，５ｂで連結して前記イオン発生ユニット２１，２２，２３相互間を互いに連結し、前記イオン発生ユニット２１，２２，２３の向きおよび取り付け位置を被除電対象物の位置に応じて任意に変更できるようになっている。図１のイオン発生ユニット２１，２２，２３は、フレキシブルパイプ５を曲げることで、イオン発生ユニット２１，２２に対して、イオン発生ユニット２３を横向きにして被除電対象物の周囲を囲むように配置されている。
前記各イオン発生ユニット２１，２２，２３を連結するフレキシブルパイプ５には、前記高電圧発生装置１からの高電圧ケーブルとファンモータ駆動用の電源ケーブルが通り、各イオン発生ユニット２１，２２，２３の入力側連結部６１，および出力側連結部６２には、着脱自在のコネクタ等が設けられて電気的に接続されており、必要に応じてイオン発生ユニット２１，２２，２３を増減して接続できるようになっている。
７は終端のイオン発生ユニット２３の連結部６２に被せられたエンドキャップである。
【００１６】
次に、上記の実施例の作用を説明する。
高電圧発生装置１は、各イオン発生ユニット２１，２２，２３の放電針４を、イオンを生成するのに必要な電圧２ＫＶ以上に昇圧する。
この各イオン発生ユニット２１，２２，２３の放電針４の先に＋或いは−の２ＫＶ以上の高電圧をかけることにより、放電針４の先にコロナ放電を発生させて、＋或いは−のイオンを生成させる。
生成したイオンをファンモータ３の風で除電ポイントに吹き付けることにより、被除電対象物の電荷を中和し、静電気による帯電圧を下げる。
【００１７】
本発明の静電気除電器は、最もコンパクトな組合せとして、高電圧発生装置１とイオン発生ユニット２１，２２，２３が１つの組合せから使用できる。
さらに、より大きな面積の被除電対象物や被除電対象ポイントが複数の場合は、イオン発生ユニット２１，２２，２３を２個あるいは３個と複数に増やして、イオン発生ユニットのみを追加して、高電圧発生装置１からの高電圧ケーブル、ファンモータ３の駆動用電源ケーブルを配設したフレキシブルパイプ５で連結することにより、同時に複数の被除電対象物のポイントを除電することが可能になる。
【００１８】
このようにイオン発生ユニット２１，２２，２３の個数を変えることにより、簡単に被除電対象物の大きさに合った除電をすることができる。
さらに、イオン発生ユニット２１，２２，２３の連結は、長さを自由に調節でき、可動できるフレキシブルパイプ５を用いることで、イオン発生ユニット２１，２２，２３の設置場所を自由に変更することができるため、被除電対象物の除電するポイントを狙って除電することができる。
【００１９】
次に、図２に示す本発明の他の実施の形態を図１と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
イオン発生ユニット２１，２２，２３の連結としてフレキシブルパイプ５を使用して接続する方法の他に、イオン発生ユニット２１，２２，２３同士を、隣り合うイオン発生ユニット２１，２２，２３の入力側連結部６１と出力側連結部６２で直接嵌め合うことで連結することもできる。こうして、フレキシブルパイプ５を用いないで、複数台のイオン発生ユニット２１，２２，２３を直接嵌め合うことで、広範囲の被除電対象物に対応できる。
【００２０】
また、上記実施の形態では、軸流送風機をファンモータ３として使用しているが、ファンモータ３の代わりに、シロッコファン、ブロワなどを使用することもできる。
【００２１】
以上説明したように、本発明によれば、以下に列挙する効果が得られる。
より大きな面積の被除電対象物や被除電対象ポイントが複数の場合は、イオン発生ユニット２１，２２，２３を２個あるいは３個と増やして、イオン発生ユニット２１，２２，２３のみを追加して、高電圧発生装置１からの高電圧ケーブル、ファンモータ３の駆動用電源ケーブルを配設したフレキシブルパイプ５で連結することにより、同時に複数の被除電対象物のポイントを除電することが可能になる。
例えばイオン発生ユニット２個で除電していたが、被除電対象物が大きくなったために、除電ポイントを倍の４点にしたい場合、イオン発生ユニット２１，２２，２３を２個追加し、４個にすればよい。しかも、イオン発生ユニット２１，２２，２３の除電能力は使用する数で変化しないため、２個から４個にした場合、イオン発生ユニット２１，２２，２３間での相互干渉を無視すると、除電能力も単純に２倍になる。
【００２２】
・本発明は元々フリーレイアウト条件に使用されることを目的とした、ファンモータを用いた小型ボックスタイプの静電気除電器において、被除電対象物の変化に合わせ、除電ポイント数を簡単に変更可能にさせるものであり、静電気除電器の使用条件への適応能力を上げることになる。さらに、高電圧発生部を１個にできるので、コスト面、スペース面で有利となる。
【００２３】
・被除電対象物が広範囲の場合、コンプレッサによるエアー配管を必要とするバータイプの静電気除電器が使われているが、本発明では、エアー配管の必要がなく、広範囲の除電を行うことができる。
・各イオン発生ユニット２１，２２，２３にイオンを噴射するためのファンモータ３を備えているので、イオン発生ユニット２１，２２，２３の連結の数が多い場合でも少ない場合でも、一定の風量で安定して噴射することができる。
【００２４】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、イオン発生ユニット２１，２２，２３は、３個用いたが必要に応じて増減して用いることができる。また、フレキシブルパイプ５の長さも必要に応じて長いものを用いることで広範囲の被除電対象物に適用することができる。など、その他本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施しうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【００２５】
１ 高電圧発生装置
２１，２２，２３ イオン発生ユニット
３ ファンモータ
４ 放電針
５ フレキシブルパイプ
６１，６２ 連結部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、フリーレイアウトに適したファンモータを用いた静電気除電器で、被除電対象物の形状、位置に合わせ、小面積でも、広範囲な面積でも簡単に対応することができる静電気除電器に関する。
【背景技術】
【０００２】
静電気除電器、いわゆるイオナイザは、静電破壊や機器の誤動作などのトラブルの原因となる静電気をイオンで中和し除電を行う装置である。イオナイザはイオンを発生させる方式により、ＡＣ方式とＤＣ方式に分かれ、ＡＣ方式は、交流電圧を放電針に印加し+と-のイオンを交互に発生させ、ＤＣ方式は、放電針に直流電圧を印加し、+または-どちらかのイオンのみを発生させます。
【０００３】
従来この種の静電気除電器（イオナイザ）としては、引用文献１（特開２００９−１６０９６）のように、コンプレッサを用いたエアー配管１０１を必要とするバータイプの静電気除電器１００（図３）、並びに引用文献２（特開２００５−３４７２７０）のように、除電面積が小さい被除電対象物を除電するためのファンモータ１１１を用いた小型ボックスタイプの静電気除電器１１０（図４）、もしくは引用文献３（特開２００９−４３５８０）のように、静電気除電器１２０を接続コネクタ１２１で連結する連結型の静電気除電器（図５）がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−１６０９６号公報
【特許文献２】特開２００５−３４７２７０号公報
【特許文献３】特開２００９−４３５８０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、このような従来の静電気除電器にあっては、特許文献１のバータイプの静電気除電器１００では、コンプレッサを用い、エアーの配管１０１を使用するタイプで、風量・風圧が大きく取れ、除電能力は高く、広範囲の被除電対象物に対応できるものの、エアーの配管１０１が必要であることから静電気除電器の設置場所に制限がある。
【０００６】
さらに、イオン噴射部が固定されているため被除電対象物の形状によっては、噴射ノズル１０２の回転やイオン搬送チューブを使用する必要があるという問題点があった。
【０００７】
特許文献２の静電気除電器１１０は、気流が流れるファンモータ１１１の後方に放電針１１２を配置し、ファンモータ１１１の前方に指ガード１１３および整流板１１４を配置している。
【０００８】
特許文献２のように、除電面積が小さい被除電対象物を除電するためのファンモータ１１１を用いた小型ボックスタイプの静電気除電器１１０にあっては、被除電対象物に対してフレキシブルに設置できるが、静電気除電器１１０が１台に対し、除電ポイントも１点と制約されることから、被除電対象物の面積が広範囲であったり、複数のポイントを除電するためにはその除電面積に対応できるように、複数の静電気除電器１１０を用意することが必要になるため、コスト高になるのと、静電気除電器１１０のスペースも大きく取ることが必要になるという問題点があった。
【０００９】
図５（ａ）（ｂ）に示す静電気除電器１２０を接続コネクタ１２１で連結する連結型の静電気除電器にあっては、静電気除電器１２０を接続コネクタ１２１で連結することにより、被除電対象物の面積の大小に対応する自由度はあるが、特許文献１と同様に、コンプレッサを用いてエアーの配管が必要であること、および各静電気除電器１２０のイオン噴射ノズル１２２は固定されているため、被除電対象物の形状によっては、噴射ノズル１２２の調整機構を設けなくてはならないという問題点があった（特許文献３参照）。
【００１０】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、ファンモータと、それにイオンを生成する放電針を設けた一つのイオン発生ユニットを構成し、1個の高電圧発生装置に、任意の数だけ前記イオン発生ユニットを、直接、またはフレキシブルパイプを使って連結できるようにし、被除電対象物に合わせ、除電ポイントを複数採ることができ、しかも風量を落とすことが無く、遠くのポイントまで除電可能にすることができるファンモータを用いた静電気除電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は、上記課題を解決するため、イオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えた高電圧発生装置と、気流の経路に配置され、かつ高電圧を印加されて放電によりイオンを生成する放電針、および、該放電針によって生成されたイオンを吹出すファンモータにより構成される複数のイオン発生ユニットとを備え、前記イオン発生ユニットに互いに連結される連結部を設け、これら連結部を介して互いに連結した複数の前記イオン発生ユニットを、イオン生成用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のイオン生成用電源に接続し、かつファンモータ駆動用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のファンモータ駆動用電源に接続したことにある。
また、本発明は、前記イオン発生ユニット相互を連結する連結部に、フレキシブルなパイプを用いたことにある。
さらに、本発明は、前記イオン発生ユニットの側壁面に、前記連結部としての連結用パイプを設け、これら連結用パイプを互いに嵌合させて連結したことにある。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１によれば、被除電対象物の変化に合わせ、除電ポイント数を簡単に変更可能にしたものであり、静電気除電器の使用条件への適応能力を上げることになる。さらに、高電圧発生部を１個にできるので、コスト面、スペース面で有利となる。
請求項２によれば、イオン発生ユニットの設置場所を自由に変更することができるため、被除電対象物の除電するポイントを狙って除電することができる。
請求項３によれば、被除電対象物が広範囲の場合に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器を示す概念断面図である。
【図２】本発明の他の実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器を示す斜視図である。
【図３】従来のコンプレッサによるエアー配管を用いたバータイプの静電気除電器を示す斜視図である。
【図４】従来のファンモータを用いた小型ボックスタイプの静電気除電器を示す斜視図である。
【図５】従来の連結型の静電気除電器を示し、（ａ）は２個の静電気除電器を連結した概念図、（ｂ）は３個の静電気除電器を連結した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器を図面にもとづいて詳細に説明する。
図１は、本発明の一実施の形態によるファンモータを用いた静電気除電器で、３つのイオン発生ユニットを連結して用いた場合の概念図である。
１は高電圧発生装置で、図示しないイオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えている。２１，２２，２３は、軸流送風機などのファンモータ３、及び放電によりイオンを発生させる一対の放電針４を有する複数のイオン発生ユニットで、これらイオン発生ユニット２１，２２，２３は、ファンモータ３の空気吐き出し口方向にイオン生成用の放電針４を２個設けてある。放電針４は、気流の経路に配置されて、高圧電源が印加されて、放電によりイオンを発生するものである。
放電針４は、例えば、一方が電源の陽極、他方が陰極に接続され、相互間に高電圧が印加されてコロナ放電等を生じ、イオンを発生させる。放電針４は、気流の経路であれば、ファンモータ３の前方あるいは後方のいずれに配置されていてもよい。
【００１５】
前記イオン発生ユニット２１，２２，２３相互間は、フレキシブルパイプ５で連結されて取り付け位置を任意に設定できるように構成されている。前記各イオン発生ユニット２１，２２，２３の両側には、入力側連結部６１，および出力側連結部６２が設けられており、これら入力側連結部６１，および出力側連結部６２をフレキシブルパイプ５の両端の連結部５ａ，５ｂで連結して前記イオン発生ユニット２１，２２，２３相互間を互いに連結し、前記イオン発生ユニット２１，２２，２３の向きおよび取り付け位置を被除電対象物の位置に応じて任意に変更できるようになっている。図１のイオン発生ユニット２１，２２，２３は、フレキシブルパイプ５を曲げることで、イオン発生ユニット２１，２２に対して、イオン発生ユニット２３を横向きにして被除電対象物の周囲を囲むように配置されている。
前記各イオン発生ユニット２１，２２，２３を連結するフレキシブルパイプ５には、前記高電圧発生装置１からの高電圧ケーブルとファンモータ駆動用の電源ケーブルが通り、各イオン発生ユニット２１，２２，２３の入力側連結部６１，および出力側連結部６２には、着脱自在のコネクタ等が設けられて電気的に接続されており、必要に応じてイオン発生ユニット２１，２２，２３を増減して接続できるようになっている。
７は終端のイオン発生ユニット２３の連結部６２に被せられたエンドキャップである。
【００１６】
次に、上記の実施例の作用を説明する。
高電圧発生装置１は、各イオン発生ユニット２１，２２，２３の放電針４を、イオンを生成するのに必要な電圧２ＫＶ以上に昇圧する。
この各イオン発生ユニット２１，２２，２３の放電針４の先に＋或いは−の２ＫＶ以上の高電圧をかけることにより、放電針４の先にコロナ放電を発生させて、＋或いは−のイオンを生成させる。
生成したイオンをファンモータ３の風で除電ポイントに吹き付けることにより、被除電対象物の電荷を中和し、静電気による帯電圧を下げる。
【００１７】
本発明の静電気除電器は、最もコンパクトな組合せとして、高電圧発生装置１とイオン発生ユニット２１，２２，２３が１つの組合せから使用できる。
さらに、より大きな面積の被除電対象物や被除電対象ポイントが複数の場合は、イオン発生ユニット２１，２２，２３を２個あるいは３個と複数に増やして、イオン発生ユニットのみを追加して、高電圧発生装置１からの高電圧ケーブル、ファンモータ３の駆動用電源ケーブルを配設したフレキシブルパイプ５で連結することにより、同時に複数の被除電対象物のポイントを除電することが可能になる。
【００１８】
このようにイオン発生ユニット２１，２２，２３の個数を変えることにより、簡単に被除電対象物の大きさに合った除電をすることができる。
さらに、イオン発生ユニット２１，２２，２３の連結は、長さを自由に調節でき、可動できるフレキシブルパイプ５を用いることで、イオン発生ユニット２１，２２，２３の設置場所を自由に変更することができるため、被除電対象物の除電するポイントを狙って除電することができる。
【００１９】
次に、図２に示す本発明の他の実施の形態を図１と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
イオン発生ユニット２１，２２，２３の連結としてフレキシブルパイプ５を使用して接続する方法の他に、イオン発生ユニット２１，２２，２３同士を、隣り合うイオン発生ユニット２１，２２，２３の入力側連結部６１と出力側連結部６２で直接嵌め合うことで連結することもできる。こうして、フレキシブルパイプ５を用いないで、複数台のイオン発生ユニット２１，２２，２３を直接嵌め合うことで、広範囲の被除電対象物に対応できる。
【００２０】
また、上記実施の形態では、軸流送風機をファンモータ３として使用しているが、ファンモータ３の代わりに、シロッコファン、ブロワなどを使用することもできる。
【００２１】
以上説明したように、本発明によれば、以下に列挙する効果が得られる。
より大きな面積の被除電対象物や被除電対象ポイントが複数の場合は、イオン発生ユニット２１，２２，２３を２個あるいは３個と増やして、イオン発生ユニット２１，２２，２３のみを追加して、高電圧発生装置１からの高電圧ケーブル、ファンモータ３の駆動用電源ケーブルを配設したフレキシブルパイプ５で連結することにより、同時に複数の被除電対象物のポイントを除電することが可能になる。
例えばイオン発生ユニット２個で除電していたが、被除電対象物が大きくなったために、除電ポイントを倍の４点にしたい場合、イオン発生ユニット２１，２２，２３を２個追加し、４個にすればよい。しかも、イオン発生ユニット２１，２２，２３の除電能力は使用する数で変化しないため、２個から４個にした場合、イオン発生ユニット２１，２２，２３間での相互干渉を無視すると、除電能力も単純に２倍になる。
【００２２】
・本発明は元々フリーレイアウト条件に使用されることを目的とした、ファンモータを用いた小型ボックスタイプの静電気除電器において、被除電対象物の変化に合わせ、除電ポイント数を簡単に変更可能にさせるものであり、静電気除電器の使用条件への適応能力を上げることになる。さらに、高電圧発生部を１個にできるので、コスト面、スペース面で有利となる。
【００２３】
・被除電対象物が広範囲の場合、コンプレッサによるエアー配管を必要とするバータイプの静電気除電器が使われているが、本発明では、エアー配管の必要がなく、広範囲の除電を行うことができる。
・各イオン発生ユニット２１，２２，２３にイオンを噴射するためのファンモータ３を備えているので、イオン発生ユニット２１，２２，２３の連結の数が多い場合でも少ない場合でも、一定の風量で安定して噴射することができる。
【００２４】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、イオン発生ユニット２１，２２，２３は、３個用いたが必要に応じて増減して用いることができる。また、フレキシブルパイプ５の長さも必要に応じて長いものを用いることで広範囲の被除電対象物に適用することができる。など、その他本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施しうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【００２５】
１ 高電圧発生装置
２１，２２，２３ イオン発生ユニット
３ ファンモータ
４ 放電針
５ フレキシブルパイプ
６１，６２ 連結部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
イオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えた高電圧発生装置と、
気流の経路に配置され、かつ高電圧を印加されて放電によりイオンを生成する放電針、および、該放電針によって生成されたイオンを吹出すファンモータにより構成される複数のイオン発生ユニットとを備え、
前記イオン発生ユニットに互いに連結される連結部を設け、これら連結部を介して互いに連結した複数の前記イオン発生ユニットを、イオン生成用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のイオン生成用電源に接続し、かつファンモータ駆動用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のファンモータ駆動用電源に接続したことを特徴とする静電気除電器。
【請求項２】
前記イオン発生ユニット相互を連結する連結部に、フレキシブルなパイプを用いたことを特徴とする請求項１に記載の静電気除電器。
【請求項３】
前記イオン発生ユニットの側壁面に、前記連結部としての連結用パイプを設け、これら連結用パイプを互いに嵌合させて連結したことを特徴とする請求項１に記載の静電気除電器。
【請求項１】
イオン生成用電源およびファンモータ駆動用電源を備えた高電圧発生装置と、
気流の経路に配置され、かつ高電圧を印加されて放電によりイオンを生成する放電針、および、該放電針によって生成されたイオンを吹出すファンモータにより構成される複数のイオン発生ユニットとを備え、
前記イオン発生ユニットに互いに連結される連結部を設け、これら連結部を介して互いに連結した複数の前記イオン発生ユニットを、イオン生成用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のイオン生成用電源に接続し、かつファンモータ駆動用電源ケーブルを介して前記高電圧発生装置のファンモータ駆動用電源に接続したことを特徴とする静電気除電器。
【請求項２】
前記イオン発生ユニット相互を連結する連結部に、フレキシブルなパイプを用いたことを特徴とする請求項１に記載の静電気除電器。
【請求項３】
前記イオン発生ユニットの側壁面に、前記連結部としての連結用パイプを設け、これら連結用パイプを互いに嵌合させて連結したことを特徴とする請求項１に記載の静電気除電器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１１−２３８５５３（Ｐ２０１１−２３８５５３Ａ）
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１１１１３６（Ｐ２０１０−１１１１３６）
【出願日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【出願人】（０００１０３７９２）オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【出願人】（０００１０３７９２）オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Ｆターム（参考）】
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