説明

フィルムフィード装置及び該装置を備えた包装装置

【課題】待機しているフィルムの先端を掴んでフィルムを引き出すフィルムフィード装置において、引き出したフィルムを正しく切断でき、且つフィルム挟持部の移動(フィルム掴み動作)が阻害されない装置及び該装置を備えた包装装置を提供する。
【解決手段】ロールから引き出されるフィルム先端を待機保持するフィルム待機部と、待機するフィルム先端を掴んでフィルムを引き出すフィルム挟持部と、引き出したフィルムを切断するカッターを備えたフィルムフィード装置において、カッターはフィルムに対し上下動可能に配置し、カッターがフィルムを切断する際、カッターがフィルムに当たる位置の近傍位置を支持するフィルム受部を備えたカッターガイドを設け、カッターガイドは、カッターの作動時はフィルムを支持する第一の位置と、フィルム挟持部がフィルム待機部に向けて移動する際、フィルム挟持動作を阻害しない第二の位置とに、位置を可変自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムロールからフィルムを引き出し、所定長さに切断したフィルムで被包装物を包装する包装装置に装備されるフィルムフィード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムロールからフィルムを引き出し、その引き出したフィルムで被包装物を包装する包装装置として、例えば、フィルムを展張保持し、フィルムの下方より被包装物を突き上げて被包装物の周面をフィルムで覆い、且つフィルムの端部を被包装物の底面側に折り込む突き上げタイプの包装装置、或いは深絞りした容器に被包装物を入れ、その容器の上面にフィルムを被せ、容器の上縁にフィルムを熱溶着するヒートシール包装装置、又、下地材の上に被包装物を載せ、その上にフィルムを被せ、フィルムの周縁を下地材の上面に熱溶着するヒートシール包装装置等が存在する。
【0003】
上記した各種包装装置に装備されるフィルムフィード装置は、ロール配置部にセットしたフィルムロールに繋がるフィルム先端をフィルム待機部に待機させ、該待機部に待機するフィルム先端を、所定範囲往復移動するフィルム挟持部で掴んでフィルムを引き出し、引き出したフィルムは前記フィルム待機部近傍位置でカッターによって切断され、切断された所定長さのフィルムが包装に使用される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記フィルム挟持部が掴んで引き出したフィルムの切断は、フィルム挟持部がフィルム先端を掴んで引き出し、展張した状態のフィルム面にカッターを略直角に入れて切断するものである。即ち、フィルムロールから引き出したフィルムを空中に展張した状態でカッターを入れるため、フィルムの切れが悪いという問題が生じる。
【0005】
この問題に対する解決策として、カッターが動作する時にフィルムを支持するカッターガイドを、カッターと対応するフィルム真下に配置することも考えられるが、その場合、カッターガイドはフィルム先端を掴むフィルム挟持部の移動線上に位置するようになり、カッターガイドがフィルム挟持部の移動を邪魔し、フィルムを掴むことが出来なくなる為、前記位置にカッターガイドを配置できないという問題を有する。
【0006】
また、前記したようにフィルムの切れが悪いと、カッターがフィルムを切断して初期位置に上昇復帰する時、フィルムの一部がカッターに付着して一緒に引き上げられ、切断されたフィルムの先端部の一部が、フィルム待機部上で上方に捲れ上がり、フィルム挟持部による掴み動作(クランプ)が正しく行われないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−119711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、フィルム待機部に待機しているフィルムの先端を、フィルム挟持部で掴んでフィルムを引き出すフィルムフィード装置において、引き出したフィルムを正しく切断でき、且つフィルム挟持部の移動(フィルム掴み動作)が阻害されないフィルムフィード装置及び該装置を備えた包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成する為に本発明のフィルムフィード装置は、フィルムロールから引き出されるフィルム先端を待機保持するフィルム待機部と、該フィルム待機部に待機するフィルム先端を掴んでフィルムを引き出すフィルム挟持部と、前記フィルム挟持部が引き出したフィルムを前記フィルム待機部よりフィルム搬送方向下流側で切断するカッターを備えたフィルムフィード装置において、
前記カッターは前記フィルム挟持部により引き出されるフィルムに対し上下動可能に配置し、前記カッターと対向し、前記カッターが作動してフィルムを切断する際、前記カッターがフィルムに当たる位置の近傍位置を支持するフィルム受部を備えたカッターガイドを設け、
前記カッターガイドは、前記カッターの作動時はフィルムを支持する第一の位置と、前記フィルム挟持部が前記フィルム待機部に向けて移動する際、フィルム挟持動作を阻害しない第二の位置とに、位置を可変自在としたことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
前記フィルム挟持部は、フィルム待機部上に支持されるフィルム先端をフィルム挟持部毎挟み、フィルム挟持部の後退によりフィルム先端のみを掴んでフィルムを引き出す。
前記カッターガイドは、カッターの作動時、フィルムの切断箇所の近傍位置を支える第一の位置と、フィルム挟持部がフィルム待機部に向けて移動する時はフィルム挟持動作を阻害しない第二の位置とに、位置を可変できれば良く、その形態は揺動(回動)タイプ、水平スライドタイプ、上下スライドタイプの何れでもよい。
前記カッターとカッターガイドの位置は、フィルム挟持部により引き出されるフィルムを挟んで対向していれば良く、フィルムを挟んで上側にカッター、下側にカッターガイド、またはその逆でもよい。又、第一の位置から第二の位置への移動はモータ等の駆動により移動するようにしてもよい。
【0011】
上記手段によれば、フィルム挟持部がフィルム待機部に向けて移動する時、カッターガイドはフィルム挟持部の挟持動作(前進)を妨げない第二の位置に退避するので、フィルム挟持部がフィルム待機部上に支持されているフィルム先端を掴む動作が阻止されることはない。また、カッターが作動してフィルムを切断する時、前記カッターガイドは前記フィルム挟持部が掴んで引き出したフィルムの切断箇所の近傍位置を支える第一の位置に位置するので、フィルムはカッターで正しく切断される。
【0012】
そして、前記カッターガイドが揺動(回動)タイプである場合は、下端部(フィルム受部と反対側)を固定部材に軸で揺動可能に支持し、前記フィルム挟持部の移動による接触で第二の位置に移動し、前記フィルム挟持部の後退により前記第二の位置から第一の位置に復帰するようにする(請求項2)。
前記カッターガイドを第二の位置から第一の位置に復帰させる方法は、コイルスプリング等の弾性部材による方法、或いはエアーシリンダによる方法等、今日、採用されている各種方法を採用することが出来る。
【0013】
上記手段によれば、フィルム挟持部がフィルム待機部に向けて前進する時、該フィルム挟持部は第一の位置に位置するカッターガイドに接するが、該カッターガイドはフィルム挟持部との接触で倒れ、フィルム挟持部の移動を阻害しない第二の位置に移動するため、カッターガイドに関係なくフィルム先端を掴んでフィルムを引き出すことが可能となる。また、フィルム挟持部がフィルム先端を掴んで後退し、カッターガイドから離れると、カッターガイドを倒していた押圧力が解除される為、カッターガイドは第一の位置(初期位置)に自動的に復帰し、カッターの下降動作に対応する為に待機する。
【0014】
又、前記カッターガイドのフィルム受部は、フィルムロール側の切断端部を付着保持し、前記第二の位置への移動により前記フィルムの端部をフィルム待機部の裏面側に折り込むようにしてもよい(請求項3)。この場合、前記第二の位置はフィルム待機部の下方位置となり、カッターガイドは、揺動(回動)タイプ、或いは水平スライドタイプが挙げられる。
前記フィルム受部がフィルムロール側の切断端部を付着保持する形態は、フィルム自体が有する自己粘着性を利用する方式、或いはフィルムを接着保持する易剥離性の接着剤を塗布する方式、更には空気圧(負圧)を利用した吸引方式等、何れでもよい、
その具体例としては、前記カッターガイドのフィルム待機部寄りのフィルム受部に、フィルム待機部方向に向けて水平片部を突設し、その水平片部にフィルムが付着し易い表面処理を施す(請求項4)。その表面処理としては、フィルムの自己粘着性による付着を安定させるために、水平片部の表面を鏡面(平滑面)にする、或いは易剥離性の接着剤を塗布する等が挙げられる。
【0015】
上記手段によれば、フィルム挟持部が引き出し展張したフィルムをカッターで切断する時、前記フィルムを支えるカッターガイドのフィルム受部は粘着性を有する為、フィルムが切断された時、フィルムロール側の切断端部はフィルム受部に付着保持される。そして、次の包装のためにフィルム挟持部がフィルム待機部に向けて移動すると、フィルムの切断端部を付着保持したカッターガイドは、フィルム挟持部の移動による接触、又はエアーシリンダ等の動力でフィルム待機部の下方に移動される。それにより、カッターガイドのフィルム受部に付着されたフィルム先端はフィルム待機部の先端から裏側に巻き込まれるようになる。従って、フィルムロール側の切断端部がフィルム待機部上で捲れあがるようなことはなく、確実にフィルム待機部の先端から裏側に沿って折り返され、或いは垂れ下がるようになり、フィルム挟持部によるフィルム先端の掴み動作が確実に行われる。
【0016】
上記構成のフィルムフィード装置は、各種のフィルム包装装置に装備することが出来る請求項5)。
前記包装装置は、フィルムを展張保持し、フィルムの下方より被包装物を突き上げて被包装物の周面をフィルムで覆い、且つフィルムの端部を被包装物の底面側に折り込む突き上げタイプの包装装置、或いは深絞りした容器に被包装物を入れ、その容器の上面にフィルムを被せ、容器の上縁にフィルムを熱溶着するヒートシール包装装置、又、下地材の上に被包装物を載せ、その上にフィルムを被せ、フィルムの周縁を下地材の上面に熱溶着するヒートシール包装装置等、何れでもよい。
【0017】
上記手段によれば、フィルムロールからのフィルムの引き出し、及び切断を常に安定して行うことが可能となり、綺麗な包装を安定して行うことが可能な包装装置を提供できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のフィルムフィード装置は請求項1記載の構成により、フィルム挟持部がフィルム待機部に向けて移動する時、カッターガイドはフィルム挟持部の挟持動作(前進)を妨げない第二の位置に退避するので、フィルム挟持部がフィルム待機部上に支持されているフィルム先端を掴む動作が阻止されることはない。また、カッターが作動してフィルムを切断する時、前記カッターガイドは前記フィルム挟持部が掴んで引き出したフィルムの切断箇所の近傍位置を支える第一の位置に位置するので、フィルムはカッターで正しく切断される。
また、請求項2記載の構成により、フィルム挟持部がフィルム待機部に向けて前進する時、該フィルム挟持部は第一の位置に位置するカッターガイドに接するが、該カッターガイドはフィルム挟持部との接触で倒れ、フィルム挟持部の移動を阻害しない第二の位置に移動するため、カッターガイドに関係なくフィルム先端を掴んでフィルムを引き出すことが可能となる。
【0019】
また、請求項3、4記載の構成により、フィルムが切断された時、フィルムロール側の切断端部はフィルム受部に付着保持される。そして、次の包装のためにフィルム挟持部がフィルム待機部に向けて移動すると、フィルムの切断端部を付着保持したカッターガイドはフィルム挟持部の移動による接触でフィルム待機部の下方に回動され、カッターガイドのフィルム受部に付着されたフィルム先端はフィルム待機部の先端から裏側に巻き込まれる。従って、フィルムロール側の切断端部がフィルム待機部上で捲れあがるようなことはなく、確実にフィルム待機部の先端から裏側に沿って垂れ下がるようになり、フィルム挟持部によるフィルム先端の掴み動作が確実に行われる。
又、請求項5記載の構成により、フィルムロールからのフィルムの引き出し、及び切断を常に安定して行うことが可能となり、綺麗な包装を安定して行うことが可能な包装装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るフィルムフィード装置の一例を備えた包装装置の一例を示す斜視図。
【図2】一部を切除して示す同斜視図。
【図3】同正面図。
【図4】同一部切欠平面図。
【図5】下地材載せ部の移動手段を示し、(a)は初期位置(下限位置)の状態、(b)は下地材載せ部の上昇途中の状態を示す。
【図6】吸引手段及びヒータ部の構成を示す斜視図。
【図7】同底面図で、(a)は仕切り壁を第1の位置にセットした状態、(b)は仕切り壁を第2の位置に移動させた状態を示す。
【図8】吸引手段でフィルムを吸着保持した状態の縦断面図。
【図9】吸着保持したフィルムに下地材載せ部を上昇させて当接させ、ヒートシール(熱溶着)する状態の同断面図。
【図10】ヒートシール後、下地材載せ部を降下させた状態の同断面図。
【図11】フィルムを切断するカッター部分を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図。
【図12】フィルムフィード装置のフィルム挟持部に開閉動作を示し、(a)は可動下板が開く状態、(b)はフィルム先端を固定上板と可動下板の閉動で挾着する状態、(c)はフィルムを引き出す状態。
【図13】フィルム挟持部の解放機構を示す説明図。
【図14】カッターガイドの構成を示し、(a)は第一の位置に位置するカッターガイドにフィルム挟持部が当接する直前の状態を示す図、(b)はカッターガイドがフィルム挟持部の移動による接触圧で傾倒され第二の位置に傾倒した状態図。
【図15】カッターガイドの他の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態の一例を、自動のフィルムフィード装置を備えたヒートシール包装装置について図面に基づいて説明する。
図1乃至図3に示すヒートシール包装装置Aは、平板状の下地材上に被包装物Wを載せ、その被包装物Wにストレッチフィルムを被せ、被包装物Wより外側のフィルム縁を前記下地材表面に熱溶着してシール包装する装置で、被包装物Wに被せるフィルムの引き出し、シール加工の上下動作をモータ駆動によって行う電動駆動タイプのヒートシール包装装置を示す。
そのヒートシール包装装置Aは、基台1上に下地材載せ部2が移動手段3で上下移動可能に支持され、その下地材載せ部2より上方位置に、前記下地材載せ部2上に載せられて上昇される下地材9上の被包装物Wに被せるフィルムを供給するフィルムロール配置部4と、前記フィルムロール配置部4のフィルムロール5からフィルム5aを所定長さ引き出すフィルムフィード装置Bと、前記フィルムフィード装置Bによって引き出したフィルム5aを下地材載せ部2の上方に水平に展張保持する吸引手段7と、前記下地材載せ部2の上昇で被包装物Wを覆ったフィルム5aの縁を下地材の表面に熱溶着するヒータ部8が配置されて構成されている。
【0022】
前記下地材載せ部2は、下地材9および被包装物Wを載せて上昇し、上方に位置するヒータ部8に押し付けても変形しない強度を有するよう、金属材を用いて平面視矩形枠状に構成されている。そして、前記矩形状の枠はサイズの異なる二種類の下地材(横寸法は同じ、縦寸法が異なる)に対応するよう、矩形枠内の縦方向所定位置(例えば、縦方向2/3の位置)に、例えば表面にシリコンゴム等の耐熱性部材が施されている補助桟10が設けられている。尚、下地材載せ部2の上面は枠形状に限らず、例えば上面全面を平板で覆った構成としてもよい。
【0023】
そして、前記下地材載せ部2は、該下地材載せ部2の縦方向(フィルムの引き出し方向)の略中央位置に、軸11が幅方向に貫通して取り付けられ、その軸11の両突出部にそれぞれ取付板12,12’の一端部が連結され、該取付板12,12’の他方端が前記基台1上に起立固定した支持枠13,13’の上部に軸14,14’で回動可能に吊り下げ支持されている。
又、前記下地材載せ部2を貫通する軸11の両側の突出部には歯付プーリ15,15’が回転可能に取り付けられ、前記軸14,14’には歯付プーリ16,16’が固定され、その歯付プーリ15と歯付プーリ16、歯付プーリ15’と歯付プーリ16’とに亘って歯付ベルト17,17’が巻き掛けられている。
【0024】
前記取付板12,12’を介して支持枠13,13’に軸14,14’で吊り下げ支持された下地材載せ部2を上下揺動させる移動手段3は、前記基台1上に設置したモータ18と、該モータ18によって駆動回転される回転板19と、該回転板19の中心軸19’に連結固定した作動腕20と、該作動腕20の端部と前記取付板12,12’の突出腕12a,12’aとを連結する連結ロッド21とで構成されている。そして、前記移動手段3は下地材載せ部2の幅方向両側に取り付けられた取付板12,12’を同時に揺動し得るように、上記構成が両側に設けられている。
【0025】
上記構成により、図5に示すように、移動手段3のモータ18が駆動回転すると、回転板19を介して作動腕20が中心軸19’を中心として回動し、連結ロッド21が揺動される。そして、連結ロッド21の揺動により取付板12,12’は軸14,14’を中心として回動される。前記取付板12,12’の回動時、歯付プーリ16,16’は軸14,14’に固定されている為、取付板12,12’の回動と一緒に歯付プーリ16,16’も回転される。この歯付プーリ16,16’の回動は歯付ベルト17,17’を介して歯付プーリ15,15’を回転させるため、前記取付板12,12’の回動と歯付プーリ15,15’の回転により下地材載せ部2は下限位置での水平状態のまま上昇される。
【0026】
又、前記支持枠13,13’には取付板12,12’に亘って横架される軸11を、下地材載せ部2の下限位置において掛止支持する係止溝22が切欠き形成されている。
前記係止溝22は、前記支持枠13,13’の幅方向の中央位置から下地材載せ部2の揺動方向に沿って円弧状に形成されている。
【0027】
前記フィルムロール配置部4は、前記基台1上に起立固定した支持枠13,13’、及び該支持枠13,13’の取り付け間隔と略同じ間隔、同じ高さに起立固定した支持柱23,23’とに亘って架設した受台24上に配置され、そのフィルムロール配置部4の下方に、前記フィルムロール配置部4にセットしたフィルムロール5からフィルム5aを引き出すフィルムフィード装置B、および前記フィルムフィード装置Bが引き出したフィルム5aを水平に展張保持する吸引手段7、更に前記下地材載せ部2の上昇で前記フィルムに当接された下地材9を熱溶着するヒータ部8が設置されている。
【0028】
前記フィルムロール配置部4は、前記受台24上に起立固定した一対の側板25間に所定の間隔をおいて架設した2本の支杆26,26’に回転ローラ27を回転可能に装着して、フィルムロール5を転動可能に載承するように構成されている。尚、フィルムロール配置部4におけるフィルムロール5の支持構造は、図示の回転ローラ27による支持構造に限らず、フィルムロール5の中心孔に軸を通して支持する一般的な支持構造でもよい。
【0029】
又、前記側板25間には、前記フィルムロール配置部4より下方に位置して軸28が架設され、該軸28にはフィルムロール5に繋がるフィルム5aを引き出し方向に案内する案内ローラ29が電磁クラッチ(図示省略)を介して取り付けられている。即ち、後述するフィルムフィード装置Bのフィルム挟持部36がフィルムを掴みフィルムをフィードする時は案内ローラ29と電磁クラッチが離れ(OFF)、案内ローラ29が回転し、フィルムがフィードされる。又、フィルム挟持部36が、待機しているフィルムを掴みに進む時は、電磁クラッチがONになり、案内ローラ29が回転しなくなる。
又、図4に示すように、前記軸28の軸端と前記受台24の反対側の端部に回転可能に横架した軸30の軸端にはそれぞれ歯付プーリ31,32が固着され、その歯付プーリ31,32、及びフィルムフィード装置Bのフィルムフィード用モータ(例えば、ステッピングモータ)37cの回転軸に取り付けられた駆動プーリに亘って歯付ベルト33が巻回され、該歯付ベルト33の回動により前記軸28が回転するようになっている。又、軸28と軸30の反対側端部には歯付プーリ31’、32’が固着され、歯付ベルト33’が巻回されている。尚、歯付ベルト33,33’には後述するフィルムフィード装置Bのフィルム挟持部36が連結され、歯付ベルト33,33’の正逆回動でフィルム挟持部36が往復動するようになっている。
【0030】
又、前記案内ローラ29とフィルムロール配置部4との間には前記側板25に亘って中間案内ローラ35が軸35’で回転可能に支持され、その軸35’に、フィルム5aの先端を前記案内ローラ29の周面に巻き付けて該案内ローラ下面から前方に突出させ初期セット状態にする案内板34が回動可能に取り付けられている。
前記案内板34は、側面略L字型に形成され、略直角に折り曲げられた水平片34aは該案内板34の回動で前記案内ローラ29の下側に入り、水平片34aの先部が案内ローラ29より前方に水平に突出するように構成されている。そして、この水平片34aに、フィルムフィード装置Bのフィルム待機部38が形成されている。
【0031】
前記フィルム待機部38は、前記水平片34aの上面に弾性部材からなるフィルム支持板38’が先端側を水平片34aより前方に向け水平に突出させて構成されている。それにより、案内板34の水平片34aより突出するフィルム支持板38’の先端側は上下方向に自由に撓み、フィルムフィード装置Bのフィルム挟持部36によるフィルム先端の挟持が確実に行われる。即ち、案内板34はフィルムロール5に繋がるフィルムの先端を初期セット状態にすると同時に、セット後はフィルム先端を下方より支持してフィルム挟持部36による挾着が安定して行われるようにする。
【0032】
前記フィルム挟持部36は、図12に示すように、固定上板36aの下側に可動下板36bが軸36cで上下回動可能に軸支され、且つ軸36cより後方位置に固定上板36aと可動下板36bとに亘ってスプリング36dが弾圧装着されている。それにより、可動下板36bの先端側は固定上板36aの下面に圧接され、フィルム5aを挾着し得るように構成されている。尚、固定上板36aと可動下板36bによるフィルム挾着をより確実に行えるように、可動下板36bの上面に弾性体(例えば発泡ウレタン)を接着固定してもよい。その場合、弾性体はフィルム5aの幅方向全幅を挾着し得るように可動下板36bの幅方向全幅に亘って取り付けるとよい。
【0033】
又、前記可動下板36bの先端側(フィルムの先端を挾着する側)の側面には、スプリング36dの弾発力で閉じられている可動下板36bを強制的に開動させるためのガイドローラ36eが取り付けられている。そして、このガイドローラ36eを水平線に対して下方に案内する案内傾斜板39が、前記フィルム支持板38’の先端近傍が位置する側板25の側面に配置されている。
案内傾斜板39は、前記フィルム挟持部36がフィルム5aの先端を挟持するために吸引手段7及びヒータ部8の下面に沿って往動し、その往動の終端手前位置で閉鎖している可動下板36bをスプリング36dの弾発力に抗して強制的に開動させるもので、閉鎖状態の可動下板36bの外側面に取り付けられたガイドローラ36eが通る線上の水平線前方位置に、前方下向きに配置され、この案内傾斜板39にガイドローラ36eが当接して前進を続行することで、可動下板36bの先端側(フィルムを挾着する側)は軸36cを中心として下方に開動してフィルム支持板38’の下側に位置し、案内傾斜板39を通過後はスプリング36dの弾発力で閉動され、フィルム支持板38’の上側に位置する固定上板36aとでフィルム5a及びフィルム支持板38’の先部を挾着する(図12(a),(b)参照)。
尚、案内傾斜板39は、図12(c)に示すように、ガイドローラ36eが前進当接する方向には傾斜状態が固定され、ガイドローラ36eが案内傾斜板39の下面に沿って案内されて通過後(フィルムの先端を挾着後)、フィルム挟持部36が復動(後退)に切り替わって案内傾斜板39の上面側を通過する時、該傾斜板39はガイドローラ36eの移動を阻害しないよう下向きに倒伏可能に取り付けられており、且つ、ガイドローラ36eの通過後、倒伏した案内傾斜板39が初期状態(ガイドローラ36eを進行方向下向きに案内する傾斜状態)に復帰するよう引張りコイルバネのスプリング39aで引っ張られている。
【0034】
前記フィルム挟持部36を往復動させる駆動部37は、図3,4に示すように、受台24の左右側面における先端から後端に向かって配置した案内軸37a、37’aと、その案内軸37a,37’aに摺動可能に取り付けた摺動体37b,37’bと、前記受台24の外側に回動可能に配置した歯付ベルト33,33’と、前記歯付ベルト33を駆動回転するフィルムフィード用モータ37cとで構成され、前記摺動体37b,37’bは前記歯付ベルト33,33’の下側(復路側)に連結されている。そして、左右の摺動体37b,37’bの下面に前記フィルム挟持部36の固定上板36aの両側部が連結固定されている。
それにより、フィルムフィード用モータ37c(例えば、ステッピングモータ)が駆動回転することで、歯付ベルト33,33’が回動され、歯付ベルト33,33’の回動により摺動体37b,37’bは案内軸37a,37’aに沿って摺動し、その摺動体37b,37’bに連結したフィルム挟持部36も摺動する。そして、往動(前進)時はフィルム挟持部36の開閉動作でフィルム5aの先端を挟持し、復動(後退)時はフィルム挟持部36がフィルム5aの先端を挟持したまま後退するため、包装に必要な量(長さ)のフィルムを引き出すことができる。
【0035】
又、前記フィルムフィード装置Bのフィルム挟持部36が駆動部37の作動で引き出したフィルム5aの先端側は該フィルム挟持部36で挟持されたままの状態にあるが、その引き出した所定長さのフィルム5aを下地材9に熱溶着し、包装済みの商品を取り出すためにはフィルム挟持部36による挾着を解放する必要がある。その解放機構40が前記歯付ベルト33’側に配置されている。
その解放機構40は、図13に示すように、前記フィルム挟持部36の可動下板36bにおけるガイドローラ36eを取り付けた側と反対側の先端側に取り付けたローラ40aと、そのローラ40aを介して可動下板36bを下方に開動させる作動板40bと、その作動板40bを上下動させる動力源の電磁ソレノイド40cと、前記電磁ソレノイド40cをON/OFF制御する初期位置センサ40d,終点位置センサ40eと、摺動体37’bに設けたフラグ40fとで構成されている。
前記作動板40bは、断面略L字型の帯板で、その長手方向の一端が側板25’に軸41で上下回動可能に軸支され、作動板40bの他端が電磁ソレノイド40cのプランジャに連結されている。
【0036】
又、前記電磁ソレノイド40cを作動させる位置は、前記初期位置センサ40d,終点位置センサ40eの設置位置で決定され、フィルム支持板34付近に初期位置センサ40dが、フィルムの引き出し終点寄りに終点位置センサ40eが配置されている。それにより、フィルムフィード終了後(後述の第2の位置に仕切り壁42’が位置する場合)、つまり、フィルム挟持部36がフィルム先端を挟持して復動し、設定された最長のフィルムを引き出した後、摺動体37’bに設けたフラグ40fが終点位置センサ40eを遮ることで電磁ソレノイド40cが作動し、プランジャが引き込まれて作動板40bを下方に回動させる。作動板40bの回動はローラ40aを介して可動下板36bを開動し、フィルムの挾着が解除される。尚、後述の第1の位置に仕切り壁42’が位置する場合は、フィルムは終点位置センサ40eまでフィードされず、第1の位置の時は初期位置センサ40dからの所定パルス数でフィルムフィードが終了するので、その終了を検知するセンサを、終点位置センサ40eと同様に設け、該センサの検知により、電磁ソレノイド40cを作動させ、フィルムの挾着を解除させることができる。或いは、第1の位置の時は、初期位置センサ40dからの所定パルス数、フィルムフィード用モータが駆動した後に、電磁ソレノイド40cも駆動するようプログラムしておいてもよい。又、第1の位置、第2の位置、何れの場合でも電磁ソレノイド40cを作動させるためのスイッチを設け、該スイッチの押下により、フィルム挟持部36によるフィルム挾着を解除させるようにしてもよい。
【0037】
前記フィルムフィード装置Bの作動で引き出された所定長さのフィルム5aは吸引手段7で略水平状に展張保持される。
前記吸引手段7は、図6に示すように、外箱42と内箱43とで形成される二重箱枠41と、その二重箱枠41で形成される空間に吸引力を発生させる電動ファン44とで構成されている。
前記二重箱枠41を構成する外箱42は、平面視矩形状の箱体で、上面と4つの側壁の内の3面が閉鎖され、下面と側壁の1面が開放されており、その側壁の開放部分に仕切り壁42’が気密状態を維持した状態で移動可能に配置されている。
又、外箱42の上面にはファン取付孔45が開設され、そのファン取付孔45に電動ファン44が装着され、該電動ファン44の作動により二重箱枠41に負圧が発生するように構成されている。尚、外箱42の上面における前記電動ファン44の取付位置は、前記移動可能な仕切り壁42’を初期位置(第1の熱溶着領域)に位置させた時に区画される領域内に存在するようにする。
【0038】
前記内箱43は、図7に示すように、上面と4つの側壁の内の3面が閉鎖され、下面と側壁の1面が開放された箱枠43a,43bを、開放された側面同士を向かい合わせ嵌合し、伸縮スライド可能に構成されている。そして、その組み合わせた箱枠43a,43bは、前記外箱42内に嵌合し、一方の箱枠43aは前記外箱42の3つの側壁と一定の間隔(隙間)を維持して上下方向に移動可能に支持されている。又、他方の箱枠43bは前記仕切り壁42’との間に前記外箱42と箱枠43aとで形成される間隔(隙間)と同じ間隔(隙間)を維持して上下方向に移動可能に連結支持されている。
前記外箱42の側壁及び仕切り壁42’と内箱43(箱枠43a,43b)の側壁とで区画される間隔(隙間)が、前記フィルム5aを展張保持する吸引手段7の吸引部7aである。
又、前記内箱43を構成する一方の箱枠43bの下端面は外側上方に向け屈曲されて分離片(分離手段)55が形成されている。この分離片(分離手段)55は、後述する弾性部材による下方への付勢力で外箱42の下端面より下方に突出される時、ヒータ部に付着するフィルム(下地材に熱溶着)を下方に押下げ、ヒータ部表面よりフィルムを離すのに貢献する。
前記内箱43の箱枠43bと仕切り壁42’とが一定の間隔(隙間)を設けて結合されており、又、仕切り壁42’の下端部にヒータ部8が取り付けられているので、仕切り壁42’が移動されて箱枠43bがスライドし図7(a)の状態から図7(b)の状態に移動しても、可動するヒータ部8と、仕切り壁42’及び外箱42と内箱43(箱枠43a,43b)で形成される吸引部7aは当初の位置関係を保ちながら、下地材の大きさに応じてヒータ部の位置を移動することができる。
図7(a)は後述の包装ファイル中の下地材種別のうち「小」が選択された場合で、仕切り壁移動に関する情報は「1」が読み出され、フラグ51bがセンサ51aを遮るまで仕切り壁42’が移動された状態である(第1の位置)。
図7(b)は包装ファイル中の下地材種別のうち「大」が選択された場合で、仕切り壁移動に関する情報は「2」が読み出され、フラグ51’bがセンサ51’aを遮るまで仕切り壁42’が移動された状態である(第2の位置)。
【0039】
前記仕切り壁42’をフィルム5aの引き出し方向に沿って移動させる機構は、図6に示すように、外箱42におけるフィルム5aの引き出し方向に沿う側壁と開放側壁側に固着した固定側板46とに亘ってボールネジ機構47が2本架設されて構成されている。具体的には、ネジ軸47aを外箱42の側壁と固定側板46とに亘って回転可能に架設し、そのネジ軸47aに螺合するナット部材47bを前記仕切り壁42’に固定する。そして、2本のボールネジ機構47のネジ軸47aを同期回転させるために前記ネジ軸47aの端部に歯付プーリ48a,48bを固定し、駆動用モータ49(例えば、ステッピングモータ)の回転軸に駆動プーリ49aを固定し、その駆動プーリ49aと前記歯付プーリ48a,48bとに亘って歯付ベルト50を巻装する。それにより、駆動用モータ49が駆動すると歯付ベルト50を介して2本のネジ軸47aが回転され、ナット部材47bが固定された仕切り壁42’はフィルム5aの引き出し方向に移動され、フィルムを吸着する領域(フィルムの引き出し方向の幅)が広狭調節される。
【0040】
上記仕切り壁42’の移動制御は、図6及び図7に示すように、固定側板46と仕切り壁42’とにわたって位置検出手段51が取り付けられて構成されている。具体的には、固定側板46に2組の位置検出センサ51a,51’aを取り付け、移動する仕切り壁42’に長短二種類のフラグ51b,51’bが取り付けられている。それにより、長いフラグ51bが位置検出センサ51aを遮った場合、仕切り壁42’は第1の位置にあり、短いフラグ51’bが位置検出センサ51’aを遮った場合、仕切り壁42’は第2の位置に移動されたことが検知される。
【0041】
又、前記吸引手段7を構成する二重箱枠41の内箱43が外箱42に対して鉛直方向に移動可能に支持されるが、その支持構造は、図8に示すように、外箱42の側壁及び仕切り壁42’にそれぞれブラケット52を固定し、他方、内箱43を構成する箱枠43a,43bそれぞれの上面に案内杆53を起立固定し、その案内杆53を対応するブラケット52に上下動可能に挿通し、且つ前記案内杆53にコイルスプリング(弾性部材)54を装着して箱枠43a,43bに下向きの力が作用するように構成されている。そして、前記内箱43は初期状態(フィルム5aを吸引保持する前の状態)において該内箱43の下端が外箱42の下端に取り付けられるヒータ部の下面(フィルムを熱溶着する面)より僅か下方に突出するように設定され(図8参照)、下地材載せ部2の上昇で下地材がフィルム5aに押し付けられた時、その外力で内箱43はヒータ部の下面と略面一となる位置(フィルムの熱溶着を邪魔しない位置)まで押し上げられ(図9参照)、ヒートシール完了に伴う下地材載せ部2の下降により前記外力が解放されるとコイルスプリング54の弾発力で初期位置に押下げられる(図10参照)。
また、前記吸引手段7を構成する外箱42のフィルム幅方向に沿った左右両側の側壁には該外箱42内と連通する通孔63が開設され、その通孔63を開放状態で覆うカバー64が外箱42の外側に取り付けられて補助吸引部65が形成されている。この補助吸引部65は、フィルムロール5から引き出されるフィルム5aがフィルムの幅方向にずれて引き出された場合でも、前記補助吸引部65の働きで該フィルムを確実に吸引保持することができる。
【0042】
前記吸引手段7の吸引部7aの外側には該吸引部7aを囲むようにヒータ部8が形成されている。
そのヒータ部8は、ニクロム線などの抵抗線を用い、前記吸引手段7の外箱42の下端、及び仕切り壁42’の下端に配置されている。尚、ヒータ部8の上面側(フィルムと接触する面とは反対側)は、断熱材で被覆され、誤って手指が接触しても火傷等しないように安全対策が施されている。
又、前記ヒータ部8は、平面視略矩形状の下地材の四辺に沿って熱溶着し得るよう前記外箱42の下部外側面、仕切り壁42’の下部外側面に配置するが、各辺に対応するヒータ部8が独立分断されている場合、辺同士が交差する角部は熱溶着されないことになる。この角部の非溶着を無くす為に、ヒータ部の端部相互を金属製の導体56で連結し、前記角部も熱溶着されるようにしてもよい。
【0043】
又、前記案内ローラ29と、吸引部7a及びヒータ部8を備えた吸引手段7の外箱42との間には、フィルムフィード装置Bの作動で引き出したフィルム5aを切断するカッター57が配置されている。そして、そのカッター57の刃先と対向する位置、即ち、フィルム挟持部36によって引き出されるフィルム5aより下側位置で、その引き出されたフィルム5aを略水平に支える位置にカッターガイド58が配置されている(図11参照)。
【0044】
前記カッター57は、被包装物Wに被せ下地材の周縁に熱溶着したフィルム5aを前記フィルム支持板35より前方位置で切断するもので、該カッター57は電磁ソレノイド59で上下動されるようになっている。
【0045】
前記カッターガイド58は、前記カッター57が下降してフィルムを切断する際、前記カッター57がフィルム5aに当たる位置を挟む上流側と下流側の近傍位置を下方より支持するフィルム受部58a,58bを備えている。
前記フィルム受部58aとフィルム受部58bとの間隔は、前記カッター57の板厚より僅かに広い間隔とし、それによりフィルム5aを略直線状態に支持し、フィルムの切断を確実、且つ切断面(端面)が直線状に綺麗になるようにしてある。
【0046】
そして、前記カッターガイド58は、フィルム受部58a,58bと反対側がフレームなどの固定部材(図示省略)に軸58cで、前記フィルム待機部38側に傾倒可能に支持されている。前記傾倒の範囲は、前記カッター57の作動時は引き出されたフィルム5aを下方より支持する第一の位置(X1)と、前記フィルム挟持部36が前記フィルム待機部38に向けて移動する際、該フィルム挟持部のフィルム挟持動作を阻害しない第二の位置(X2)である。
又、前記カッターガイド58は、前記フィルム挟持部36によるフィルム引き出しのための移動(前進=往動)による接触で前記第二の位置(X2)に傾倒し、前記フィルム挟持部36がフィルムを挟持して移動(後退=復動)することにより前記第二の位置から前記第一の位置(X1)に復帰するよう、スプリング58dで付勢されている。尚、スプリング58dの弾発力で第一の位置(X1)方向に復動されるが、第一の位置(X1)で正確に停止するようストッパ61が設けられている。
【0047】
また、前記フィルム受部58a,58bはカッターガイド58を形成する板材の板厚(端面)のままでもよいが、カッター57より上流側(フィルム待機部寄り)を支持するフィルム受部58bは上端にフィルム待機部38方向に向けて略直角に突出する水平片部60を形成し、その水平片部60の表面は、フィルム5aが付着し易い表面処理が施されている。
前記表面処理としては、包装に使用するフィルム自体が有する自己粘着性によってフィルム受部に付着するよう鏡面処理、平滑面処理する方法、或いは粘着剤を塗布する方法等、何れでもよい。
【0048】
上記構成により、カッター57の下降によって切断されたフィルムの端部のうち、フィルムロールに繋がるフィルム5aの先端部はフィルム受部58bの表面に付着される(図14(a)参照)。そしてフィルム5aの先端部を付着保持し、第一の位置(X1)に位置するカッターガイド58は、フィルム挟持部36が次の包装のためのフィルムを引き出すためにフィルム待機部38に向けて移動することで前記カッターガイド58と接触し、該カッターガイド58をフィルム待機部38側に傾倒させる。それにより、カッターガイド58のフィルム受部58bに付着保持されたフィルム5aの先端部はフィルム支持板38’の先端で裏側に折り返され、フィルム支持板38’の裏面に付着される、またはフィルム支持板38’の先端から下方に垂れ下がった状態となる。そして、フィルム保持板38’の先端裏側に折り返され付着する、或いはフィルム支持板38’の先端から下方に垂れ下がったフィルム5aは、強制的に開動されて前進するフィルム挟持部36によってフィルム支持板38’ごと挟持される(図14(b)参照)。
【0049】
図15は、前記カッターガイド58の移動の変形例を示し、カッターガイド58は直線往復機構、例えばエアーシリンダ62で鉛直方向に上下移動自在に支持されている。それにより、カッターガイド58は、前記カッター57の作動時は引き出されたフィルム5aを下方より支持する第一の位置(X1)(図中の二点鎖線の位置)に上昇し、フィルム挟持部36がフィルム待機部38に向けて移動する際は該フィルム挟持部36のフィルム挟持動作を阻害しない第二の位置(X2)、即ちフィルム挟持部36の移動線上から外れる下方の位置(図中の実線の位置)に降下する。
上記構成により、フィルム切断時は第一の位置(X1)に上昇移動してフィルムを下方から支えて安定した切断動作を確保し、フィルムの引き出し時はフィルム挟持部の移動(挟持動作)を阻害しない第二の位置(X2)へ降下移動し、安定したフィルムの挟持、引き出しを確保する。
【0050】
また、カッターガイド58が、カッター57の作動時はフィルムを下方より支持する第一の位置(X1)に位置し、フィルム挟持部36がフィルム待機部38に向けて移動する時は該フィルム挟持部36の移動(挟持動作)を阻害しない第二の位置(X2)に移動する方式として、水平スライド方式が挙げられる。この水平スライド方式は、カッターガイド58が第一の位置(X1)の状態からフィルム待機部38の下方におけるフィルム挟持部36の挟持動作を阻害しない位置、即ち第二の位置(X2)まで平行移動させる方式で、カッターガイド58を水平移動(平行移動)させる方法は、前記したフィルム挟持部の移動による接触圧を利用する方法、専用の動力を利用する方法等、何れでもよい。但し、専用の動力を利用する場合は、フィルム挟持部36の移動とタイミングを合わせる必要がある。
【0051】
図示したヒートシール包装装置は、上記構成によりフィルムロールから引き出される所定長さのフィルムは、長さ方向の後側(カッターで切断される側)がカッターの取付位置との関係で後側の熱溶着箇所より多少突出するが、少なくともフィルムの幅方向両側とフィルムの先端側は、下地材の外周縁と略同じ位置に熱溶着することができる。それにより、熱溶着部分より外側にフィルムの周縁、或いは下地材の周縁が突出することはなくなり、見栄えのよい包装が可能となる。しかも、包装に使用される所定長さのフィルムは、フィルム待機部に支持されたフィルム先端をフィルム挟持部が挟持して引き出し、その引き出したフィルムの切断箇所近傍の上流側と下流側を、カッターガイドで下側から支持してカッターで切断する為、フィルムを確実に、且つ綺麗に切断することができる。そして、切断されたフィルムロール側の先端部は前記切断動作でカッターガイドのフィルム受部に付着保持されるため、次の包装のフィルムを引き出すためにフィルム挟持部がフィルム待機部に向けて移動することで、フィルムの先端部を付着保持したカッターガイドはフィルム挟持部の挟持動作を阻害しないフィルム待機部の下方に揺動(移動)する。それにより、カッターガイドに付着保持されたフィルムの先端部はフィルム待機部の先端部裏側に折り返されて付着され、またはフィルム待機部の先端から下方に垂れ下がり、強制的に開動されて前進するフィルム挟持部によって前記フィルム先端部は確実に挟持される。従って、安定したフィルムの引き出しが確保される。
【0052】
本発明のフィルムフィード装置及びそのフィルムフィード装置を備えた包装装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、カッターガイドの揺動が、フィルム挟持部の移動による接触圧で行われる例を示したが、カッターガイドの揺動はフィルム挟持部の移動に連係作動する動力で行うようにしてもよい。
(2)カッターガイドのフィルム受部は切断されたフィルムの先端部を付着保持するが、該フィルム受部表面はゴミ等が付着して汚れるとフィルムを付着保持する機能が低下するため、カッターガイドの移動系路上にフィルム受部を摺擦する清掃具(例えば、ブラシローラ等)を配置してもよい。
(3)実施の形態では、フィルムフィード装置におけるフィルム挟持部の移動をモータによって自動で行なわれる例を示したが、フィルム挟持部の移動はモータによる自動に限らず、手動によって移動する方式でもよい。
(4)実施の形態では、フィルムフィード装置を備えた包装装置として、フィルムフィード及び被包装物の上昇が電動で行われる自動タイプのヒートシール包装装置の例を示したが、これに限定されず、水平に張架保持したフィルムに被包装物を突き上げて該被包装物の周面をフィルムで覆い包装するエレベータタイプの包装装置、或いはフィルムフィード及び包装用フィルムの下降(移動)を手動で行なう手動タイプのヒートシール包装装置にも利用することができるものである。つまり、フィルムを被包装物が包装される包装部まで引き出し、該引き出されたフィルムにより包装される包装装置に利用されるもので、具体的な包装装置に限定されるものではない。
(5)実施の形態では、フィルム挟持部によって引き出されるフィルムより上側にカッターを、フィルムより下側にカッターガイドを配置した例を示したが、その逆の配置形態でもよいものである。
(6)実施の形態では、カッターガイドが備えるフィルム受部はカッターがフィルムに当たる位置を挟む上流側と下流側の二ヶ所を支持する例を示したが、これに限定されず、上流側または下流側のいずれか一方を支持するものでもよい。
【符号の説明】
【0053】
A…ヒートシール包装装置 B…フィルムフィード装置
W…被包装物 4…フィルムロール配置部
5…フィルムロール 5a…フィルム
36…フィルム挟持部 38…フィルム待機部
57…カッター 58…カッターガイド
58a,58b…フィルム受部 X1…第一の位置
X2…第二の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムロールから引き出されるフィルム先端を待機保持するフィルム待機部と、該フィルム待機部に待機するフィルム先端を掴んでフィルムを引き出すフィルム挟持部と、前記フィルム挟持部が引き出したフィルムを前記フィルム待機部よりフィルム搬送方向下流側で切断するカッターを備えたフィルムフィード装置において、
前記カッターは前記フィルム挟持部により引き出されるフィルムに対し上下動可能に配置し、前記カッターと対向し、前記カッターが作動してフィルムを切断する際、前記カッターがフィルムに当たる位置の近傍位置を支持するフィルム受部を備えたカッターガイドを設け、
前記カッターガイドは、前記カッターの作動時はフィルムを支持する第一の位置と、前記フィルム挟持部が前記フィルム待機部に向けて移動する際、フィルム挟持動作を阻害しない第二の位置とに、位置を可変自在であることを特徴とするフィルムフィード装置。
【請求項2】
前記カッターガイドは、下端部を固定部材に軸で揺動可能に支持され、前記フィルム挟持部の移動による接触で第二の位置に移動し、前記フィルム挟持部の後退により前記第二の位置から第一の位置に復帰することを特徴とする請求項1記載のフィルムフィード装置。
【請求項3】
前記カッターガイドのフィルム受部は、フィルムロール側の切断端部を付着保持し、前記第二の位置への移動により前記フィルムの端部をフィルム待機部の裏面側に折り込むことを特徴とする請求項1または2記載のフィルムフィード装置。
【請求項4】
前記カッターガイドのフィルム待機部寄りのフィルム受部は、その上端にフィルム待機部方向に向けて水平片部を有し、その水平片部は粘着性を有していることを特徴とする請求項2又は3記載のフィルムフィード装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載のフィルムフィード装置を備えていることを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−116375(P2011−116375A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272718(P2009−272718)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】