説明

フィルムロールの製造装置およびフィルムロールの製造方法

【課題】平滑で巻きずれしやすく、薄くてしわになりやすいフィルムを姿良く巻き取ることのできるフィルムロールの製造装置を提供すること。
【解決手段】巻き芯上に巻き取られるフィルムロール表層の幅方向の少なくとも一方の端部を押圧する押圧手段と、該押圧手段を巻き芯またはフィルムロールの径方向に押圧するための荷重付与手段と、フィルムロール全幅の層間気体排除手段とを有することを特徴とするフィルムロールの製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムロールの製造装置およびフィルムロール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチックフィルムをフィルムロールとして姿良く巻き取るためにフィルム層間の空気を排除・抑制することが行われる。これは、大気中でフィルムを巻き取ると、フィルムに空気が随伴し、これが巻き取り中にフィルム層間に噛み込むため、種々の欠点を引き起こすためである。フィルム層間に噛み込む空気の量が多いと、一般にフィルムは空気潤滑により巻きずれが生じたり、噛み込んだ空気が抜けることでフィルムがあまり、しわとなるようなことがあった。
【0003】
この中で巻きずれやしわを防止する技術として、特許文献1に開示された巻取装置が知られている。この技術は、フィルムロール全幅に押圧する押圧ローラーにて、前記フィルム層間から随伴する空気を排除する際に、押圧ローラーの撓みによるローラー中央部の押圧力の低下で、該部のフィルム層間に多くの空気が残存するのを防止することで巻きずれやしわを防止することを目的としている。このために、押圧ローラー撓みで押し切れ無いフィルムロール中央部に、狭幅の押圧ローラーを別途押圧することにより、全幅の層間空気を均一に抑制し、しわなどを防止することを目的としている。本発明者らの知見によれば、この技術はあくまで広幅で剛性の低い押圧ローラーのたわみにより生じる問題を、中央の狭幅ローラーで補完する意味合いがあると考えられる。したがって、このような技術では全幅の層間空気をある程度まで均一に抑制することで、表面の粗い厚みの分厚いフィルムの巻きずれやしわを防止することは可能であったとしても、表面が平滑なフィルムなどでは、それだけでは不十分であり巻きずれを防止することはできない。これは表面が平滑なフィルムではわずかな層間空気で空気潤滑が発生してしまうためである。
【0004】
上記と同等の層間空気抑制性能を有するものとしては、図3に示すようなセンターロードタイプの押圧ローラーや図4に示した太鼓型ローラーがある。これらをフィルムロール全幅に押圧することで、フィルムロール全幅の層間空気を均一に排除、抑制可能であるが、本発明者らの知見によれば、これらの押圧ローラーだけでは上記と同様、平滑なフィルムの巻きずれを防止するには空気の排除が不十分である。
【0005】
また、上記とは別に押圧ローラー以外の装置で巻きずれを防止する技術として、フィルムの端部にエンボス加工により巻きずれを防止する技術が特許文献2に開示されている。この技術はフィルムの端部に施されたエンボス加工が、フィルムロールとして巻き取られた際に、フィルムロールの外径の一部が幅方向端部のみ大きくなる、すなわち、こぶとなり、このこぶの摩擦力により巻きずれを防止することができる。従って、フィルムの面が平滑かどうかにかかわらず、フィルムの巻きずれを防止することができる。しかしながら、本発明者らの知見によれば、フィルムロールを幅方向にみた場合に、こぶとこぶの間のフィルムロール中央部はフィルムロールの外径が小さいため、押圧ローラーを使ってもこの部分のフィルム層間空気を排除することが難しいため、これによるしわが発生しやすい。従って、特許文献2の技術はしわになりにくい分厚いフィルムか、しわが入っても問題とならない中間製品の巻き取り工程においてしか使用できない欠点を有す。
【0006】
他方、エンボス加工の代わりにフィルム端部を強制的に帯電させ、フィルム同士の静電密着力により巻きずれを防止する技術が特許文献3に開示されている。この技術では帯電による密着でフィルムの面粗度によらず巻きずれを防止でき、また、特許文献2のようなこぶが発生しないので、フィルムロールの層間空気を適度に抑制することができる。しかしながら、本発明者らの知見によれば、この技術はこぶなどの問題が無い代わりに処理部が強く帯電するという問題があり、この帯電部がフィルムロールの端部付近に10〜20mm程度生じることとなり、この部分は後工程でコーティング時の塗布抜けなど、用途によっては製品化できない場合が多いという問題がある。
【0007】
ところで、一見本願の発明とよく似た技術として、特許文献4のような巻取装置が開示されている。この技術は2本の押圧ローラーでフィルムロールを支持しながらその一方のローラーを駆動することでフィルムに張力を与え、巻き取る技術である。この技術の特徴は、2本の押圧ローラーの両端を中央部より太くすることである。これによりフィルムロールの両端部のみを押圧することができ、フィルムロールの中央部に多くの層間空気が残存し、その結果、フィルムロールの中央部の外径が大きくなり、入り側テーパーローラーの蛇行防止技術にみられるようなフィルムが中央へ寄ろうとする力が発生し、フィルムの巻きずれを防止することを目的としている。この入り側テーパーローラーの蛇行防止技術は、非特許文献1に紹介されている。この現象について図9を用いて説明する。図9は、テーパーローラー21にフィルム31が抱き付いて搬送される様子を示した概略図である。図9に示したように、フィルムが抱きついているフィルムロールが図のようなテーパーローラーの場合、フィルムの進行方向がテーパーローラーの端部を向くため、ローラーの回転方向がフィルムにとってはローラー大径側を向く。このため、テーパーローラの太径部の方向にフィルムが寄せられるというものである。中央部の外径が随伴空気により大きくなったフィルムロールは、まさにこのテーパーローラーの形状をしている。したがって、この公知技術は巻きずれを防止するためにフィルムロールの中央部に多くの層間空気を随伴させることを前提にしている。
【0008】
しかしながら、我々本発明者らの知見によれば、この公知技術ではフィルムロールに押圧ロールが当接しない中央部分では前述の通り空気がフィルム内に多く随伴するため、この空気によりしわが発生するような厚みの薄いフィルムでは適用することが困難である。また、そもそもこの公知技術は押圧ローラーの駆動でフィルムを巻き取る表面駆動方式の巻取装置であり、巻き芯を駆動する中心駆動方式の巻取装置に比べ、フィルムに巻き締まりがなく、層間空気を抑制して巻くことが難しい。よって、この公知技術はフィルムに層間空気を多く入れて巻き取ることが可能な分の厚いフィルムや、しわになっても良い中間製品の巻き取りに限られる。
【0009】
したがって、従来、表面が平滑でしわになりやすい薄いフィルムを、巻きずれやしわ、帯電なくフィルムロールとして巻き上げることは困難であった。
【特許文献1】特開平5−51154号公報
【特許文献2】特開昭63−74850号公報
【特許文献3】特開2002−179822号公報
【特許文献4】特開昭56−17846号公報
【非特許文献1】向井英夫著、スリッター・リワインダーの技術読本、初版、加工技術研究会、1998年4月、p23−p24
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、押圧ローラーを用いてフィルムの巻きずれを防止しながら、フィルムロールにしわや帯電などの欠点を生じさせないフィルムロールの製造装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、前記フィルムロールの製造装置を用いることで、高品位なフィルムロールを製造するフィルムロールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、巻き芯上に巻き取られるフィルムロール表層の幅方向の少なくとも一方の端部を押圧する端部押圧手段と、該押圧手段を巻き芯またはフィルムロールの径方向に押圧するための端部荷重付与手段と、前記フィルムロール全幅の層間気体排除手段とを有するフィルムロールの製造装置が提供される。
【0013】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記端部押圧手段がローラーであるフィルムロールの製造装置が提供される。
【0014】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記層間気体排除手段は、前記フィルムロール全幅を押圧する全幅押圧ローラーと、該全幅押圧ローラーを前記巻き芯および前記フィルムロールに押圧するための荷重付与手段であるフィルムロールの製造装置が提供される。
【0015】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記全幅押圧ローラーがセンターロード型ローラー、もしくは太鼓型ローラーであるフィルムロールの製造装置が提供される。
【0016】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記層間気体排除手段は、前記フィルムロール製造装置を取り囲む真空室と、該真空室内を減圧する減圧手段とを有するものであるフィルムロールの製造装置が提供される。
【0017】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記巻き芯を回転可能に支持する巻き芯支持手段と、該巻き芯支持手段を回転駆動する回転駆動手段とを有するフィルムロールの製造装置が提供される。
【0018】
また、本発明の別の形態によれば、算術平均表面粗さRaが1〜100nmであり、厚みが0.5〜15μmのフィルムを巻き芯上にフィルムロールとして巻き取るフィルムロール体の製造方法であって、前記フィルムロール全幅を押圧しながら巻き取り、巻き取りの下流側で前記フィルムロールの少なくとも一方の端部を押圧するフィルムロールの製造方法が提供される。
【0019】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記フィルムロールの少なくとも一方の端部を押圧する際に、フィルムロールに対する単位長さあたりの線圧が、フィルムロール全幅を押圧する際の単位長さあたりの線圧よりも大きくなるように押圧するフィルムロールの製造方法が提供される。
【0020】
また、本発明の別の形態によれば、算術平均表面粗さRaが1〜100nmであり、厚みが0.5〜15μmのフィルムを巻き取った初期フィルムロールを巻き芯上に終期フィルムロールとして巻き取るフィルムロールの製造方法であって、真空下において、前記初期フィルムロールを巻き出しながら搬送し、巻き出した前記フィルムを巻き芯上に巻き取るに際し、前記巻き芯上に巻き取られる前記終期フィルムロールの少なくとも一方の端部を押圧しながら前記フィルムを巻き取るフィルムロールの製造方法が提供される。
【0021】
また、本発明の好ましい形態によれば、フィルムロールの外径の幅方向の分布の、最大値から最小値を差し引いた値が、0.05mm以下であるフィルムロールの製造方法が提供される。
【0022】
また、本発明の別の形態によれば、前記フィルムロールの製造方法により製造したフィルムロールが提供される。
【0023】
本発明において、「フィルム」とは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ナイロンフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンフィルム、アクリル系フィルムなどのプラスチックフィルムをいう。また、本発明は布帛や紙などの他のシート材料にも好適である。
【0024】
また、本発明において、「フィルムロール表層」とは、巻き芯上に巻かれるフィルムの最表層をいう。
【0025】
また、「幅方向」とは、フィルムロールの回転軸の方向をいう。
【0026】
また、本発明において、「端部押圧手段」とは、フィルムロールの幅方向の端部を径方向に押圧する手段のことをいう。例えば、フィルムの回転と同速に当接することができるローラーやベルトなどが使用できる。
【0027】
また、本発明において、「荷重付与手段」とは、物体を他の物体に押し当てる手段をいう。例えば、圧空シリンダや、モーターを使用したアクチュエーター、ねじ、重錘、バネあるいはそれらの組み合わせなどを用いることができる。
【0028】
また、本発明において、「フィルムロール全幅の層間気体排除手段」とは、搬送されるフィルムに随伴する気体が巻き取るに際して、フィルム層間に随伴することを圧力により防止する手段や、フィルムロールからフィルムを巻き返してもう一度巻き取るときに、随伴する気体そのものの密度を下げることで、層間に残存する気体の少ない状態で巻き取ることを可能にする手段などをいう。典型的には、前者はフィルム層間に随伴する気体を、随伴する気体と垂直な方向から圧力により排除する手段で、例えば押圧ローラーを用いることができる。また、典型的には、後者は例えば巻き返しおよび巻き取りを含むフィルムロール製造工程を取り囲む真空室と、該真空室内を減圧する減圧手段が挙げられる。該減圧手段としては、例えば真空ポンプやブロアなどを用いることができる。ここで「気体」とは空気に代表されるフィルムロールの製造工程雰囲気を占める気体のことをいい、窒素や、アルゴンなどの不活性ガスなどフィルムロールの製造工程で使用されるガスを含む。
【0029】
また、本発明において、「ローラー」とは、円筒状の外形をなしており、その円筒部もしくは円筒部内面にかん合した軸を軸受などの回転支持手段によりフィルムロールの回転方向と平行またはほぼ平行な方向に回転可能に支持されたものをいう。
【0030】
また、本発明において、「押圧ローラー」とは荷重付与手段により、フィルムロールに押し当てられるローラーをいう。
【0031】
また、本発明において、「センターロード型ローラー」とは、押圧ローラーが外筒と中軸の2重構造からなり、外筒が中軸の中央でのみ、かん合している構造をいう。外筒は両端部が径方向に拘束されていないため、通常のローラーとは逆のたわみを示す。つまり、押圧される巻き芯のたわみに沿って、押圧ローラーの外筒がたわむため、フィルムロールを全幅に渡って、ある程度均一に押圧して、層間気体を幅方向にある程度均一に排除することが可能となる。
【0032】
一方、「太鼓型ローラー」とは、ローラーのたわみの分布に沿って、ローラーの外径を中央部から端に向かって細くしていくもので、センターロード型ローラーと同様に、層間気体を幅方向にある程度均一に排除することが可能となる。
【0033】
また、本発明において、「初期フィルムロール」とは、リワインダーにおける原反のことであり、巻出に相当するフィルムロールのことである。
【0034】
また、本発明において、「終期フィルムロール」とは、リワインダーにおいて巻き取られるフィルムのことである。
【0035】
また、本発明において、「単位長さあたりの線圧」とは、押圧する際にフィルムロールに当接する部分に作用する荷重の合計を、当接している部位の幅方向長さで割った値をいう。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、以下に説明するとおり、巻きずれやしわや帯電のない外観の優れたフィルムロールを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の最良の実施形態の例をプラスチックフィルムからなるフィルムロールの製造装置に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態のフィルムロールの製造装置の概略正面図、図2はその概略平面図である。
【0039】
図1において、フィルム31は巻き芯4の上にフィルムロール3として巻き上げられる。巻き芯4は通常、巻き芯支持手段(図示せず)により回転可能に同心状に保持される。巻き芯支持手段はベルトや歯車などによりモーターなどの回転駆動手段(図示せず)に連結され、フィルムの張力や速度を制御対象として回転駆動されるのが好ましい。巻き芯支持手段を駆動することでフィルム31を巻き締めながら巻くことができ、フィルムロール3の層間気体の量を抑制することが可能となる。このとき巻き芯支持手段と回転駆動手段は必ずしもベルトや歯車を介さずとも、軸や軸継ぎ手などにより直接連結することも可能である。
【0040】
図1ではフィルムロール3全幅の層間気体排除手段として押圧ローラー2を用いている。押圧ローラー2の長さは、図2の通りフィルムロール3の幅とほぼ同程度とするのが好適である。これにより、フィルムロール3の全幅に渡ってある程度層間気体を排除するのである。場合によっては、押圧ローラー2の回転軸方向長さはフィルムロール3の幅よりも若干長くとも良い。押圧ローラ2の長さをフィルムロール3の幅よりも不要に長くすることは、不要なローラの撓みを引き起こすため、避けたほうがよい。一方、フィルムロール3よりも若干短くすることも可能である。押圧ローラー2の役割はフィルムロール3の全幅に渡って層間気体を排除することであるので、少し短いことでも実質的に全幅の層間気体を排除できる場合には用いることができる。しかし、フィルムロール3の幅よりも押圧ローラー2の長さをあまりに短くすると、フィルムロール3を押圧していない部分で層間気体が多く残存し、しわなどの問題を起こしてしまうため注意が必要である。
【0041】
前記押圧ローラー2をフィルムロール3に押圧するには荷重付与手段5を用いる。荷重付与手段5は、例えば圧空シリンダや、モーターによるアクチュエーター、ねじ、重錘、バネあるいはそれらの組み合わせなどを用いることができる。図1および図2では圧空シリンダを使用している。図1において、押圧ローラー2は軸受などにより回転自在に支持されており、軸受はアーム7によりかん合支持される。アーム7は支点軸8により旋回可能に支持され、支点軸8と押圧ローラー2との間もしくは、支点軸8に対して押圧ローラーと反対側で圧空シリンダ5のロッド先端と結合される。本実施の形態では、押圧ローラー3は回転駆動していないが、回転駆動してもよい。前述のように、巻き芯支持手段を回転駆動することでフィルムロール3の張力あるいは速度は制御することが可能であるので、押圧ローラー3を回転駆動ことは必須ではない。いずれにしても、フィルムロール3の層間空気を張力による巻き締まりによりある程度排除したい場合は、巻き芯支持手段(図示せず)を駆動すればよい。
【0042】
図1のように支点軸8に対して押圧ローラー2と反対側で圧空シリンダ5のロッド先端とアーム7が結合される場合には、圧空シリンダのロッドを引く側に圧空を使用すれば、モーメントにより押圧ローラー2はフィルムロール3に押しあてられ、生じた面圧によりフィルムロール3に随伴する気体をある程度排除することが可能となる。押圧ローラー2のたわみを吸収し、全幅に均一に押圧して、層間気体を排除するには押圧ローラー2を図3のようなセンターロード構造としたり、図4のような太鼓型ローラーとすることが好適である。これらの構造の押圧ローラー2を使用することで、フィルムロール3の層間気体はフィルムロール幅方向にある程度均一に排除され、特に厚みの薄いフィルムの巻き取り中のしわを防止することが可能となる。
【0043】
また、押圧ローラー2の表面は種々の工業材料を用いることができる。例えば、押圧ローラー2を製作する場合、加工性や製作費用を重視する場合は鉄鋼やステンレス鋼などの金属を用いることができる。また、振動吸収やフィット性を重視する場合にはゴムやプラスチックが好適である。もしくは摩耗性を重視する場合は、金属の上に更に鍍金やセラミック溶射による被覆などを用いることができる。押圧ローラーの芯金材質についても種々の構造材料を用いることができるが、ある程度の荷重に耐えうるために好ましくは鉄鋼やステンレス鋼などの金属材料に加え、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料も用いることが可能である。これらたわみを防止または吸収する押圧ローラーによりフィルムロール3の全幅において、しわとならない程度までに層間気体を排除することができる。
【0044】
一方、図1および図2においてフィルムロール3の全幅に当接する押圧ローラー2とは別に、フィルムロール3の少なくとも一方の端部に、端部押圧手段1が荷重付与手段6により巻き芯4またはフィルムロール3の径方向に押し当てられる。ここで端部押圧手段はフィルムロール3の端部に押圧し、フィルム層間の気体を大いに排除できる手段であれば手段は問わないが、好ましくはフィルムロール3と同速に当接するもの、例えば図1のようなローラーや、複数のローラーやプーリーで支持されたベルトのようなものでも良い。本実施形態ではより好ましい端部押圧ローラー1を使用している。
【0045】
ここで荷重付与手段6は、前述の荷重付与手段5と同様のものを用いることが可能である。端部押圧ローラー1は軸受(図示せず)などに回転自在に支持される。この軸受(図示せず)は、荷重付与手段6などに支持され、荷重付与手段6はマシンフレーム22などに連結、支持される。
【0046】
端部押圧ローラー1の回転駆動は小型のものでは特に不要であるし、大型のものや回転メカニカルロスが大きい場合は、モーターなどの回転駆動装置で駆動すればよい。端部押圧ローラー1の表面は押圧ローラー2と同様の工業材料を用いることができる。
【0047】
押圧ローラー2によりフィルムロール3の層間気体は、厚みの薄いフィルムにおいてもしわが発生しない程度まで排除され、その後、フィルムロール3の端で端部押圧ローラー1により空気が更に排除される。これによりフィルムロール3の端部のフィルム層間はブロッキング状態、つまりフィルム同士が空気を介せず接触する状態もしくはごく微少な空気のみ介する状態となり、フィルム同士の摩擦力により、より平滑な面を持つフィルムからなるフィルムロール3の巻きずれを防止することができる。前述のごとく、押圧ローラー2をフィルムロール3よりも若干短くする場合には、端部押圧ローラー1の押圧力を大きくとれば良い。端部押圧ローラー1は幅が狭いため、押圧力を大きくとってもたわみなどの問題が発生しない。しかしながら、前述の通り、フィルムロール3の幅に対して、押圧ローラー1の長さをあまりに小さくしすぎると、端部押圧ローラー1と押圧ローラー2のいずれも押していない部分が大きくなりすぎるため好ましくない。
【0048】
端部押圧ローラー1とフィルムロール3の接触幅は巻きずれの発生のしやすさに応じて決めれば良いが、押圧ローラー2により空気はある程度排除されているため、端部押圧ローラーによる押圧幅は少なくてよく、逆にブロッキング部が大きいとフィルムロールの品位を落とすこともあるため、この接触幅は好ましくは5mm以下、更に好ましくは1mm以下とするのが良い。1mm以下の接触幅を容易に実現するために、図5に示すように端部押圧ローラー1を若干傾斜させればよい。この部分は帯電処理のように強く帯電しているわけではないので、製品化可能な場合が多く、仮にブロッキング部の製品化を嫌う用途においても、その幅はわずか1mm以下であるので、生産性を落とすこともない。
【0049】
また、効率よく層間気体を排除するためには、図1のように押圧ローラー2が端部押圧ローラー1の上流に配置しているのが好ましい。端部押圧ローラー1が上流に配置されると、下流の押圧ローラー2が層間気体を排除するのを妨げる恐れがあるからである。また、端部押圧手段1は好ましくは図2、図5のようにフィルムロール3の幅方向両端に押圧することで更に強い巻きずれ防止効果を得ることができる。
【0050】
図6は、本発明の第2の一実施形態のフィルムロールの製造装置の概略断面図である。
【0051】
図6において、フィルム31は巻出側原反32から送り出され、フィルムロール3として巻き芯4の上に巻き上げられる。巻き芯4は前述と同様、巻き芯支持手段(図示せず)により回転可能に同心状に保持され、巻き芯支持手段(図示せず)は回転駆動手段(図示せず)に連結され、フィルム31の張力や速度を制御対象として回転駆動される。
【0052】
図6ではフィルムロール3全幅の層間気体排除手段として、真空室9とこの真空室内を減圧する減圧装置12を用いている。前記層間気体排除手段は、フィルムロール3巻取近傍の気体の密度を低下させることで、押圧ローラー2を使用した場合と同様、フィルム31の層間への気体の残存自体を抑制することが可能である。これはフィルムロール内に随伴する気体の量は、気体の粘度が小さいほど少なくでき、気体の粘度は雰囲気の気体の密度を下げることで小さくできるからである。これにより厚みの薄いフィルムのしわの発生を防止することができる。
【0053】
減圧室9は、内部を真空状態にした場合に、外圧(大気圧)により破壊しないよう鉄鋼などの高強度工業材料を肉厚に使ったドーム構造が好ましい。また、気密性を十分確保することも重要である。上記層間気体の残存を防止するために、少なくともフィルムロールの巻取部分を減圧することが重要であるが、一般にフィルムの搬送工程の一部のみを真空下におくことは難しいため、本実施形態のように巻出を含めたフィルムロールの製造装置全体を減圧室9の内部に設置することが好ましい。減圧室9は減圧装置12に配管で接続される。減圧装置12はロータリーポンプや拡散ポンプなどの真空ポンプを用いることができ、好ましくはこれらを組み合わせることで所定の真空度を得ることができる。フィルムロール3には少なくとも一方の端部、好ましくはその両端に端部押圧ローラー1を荷重付与手段6により押し当てられ、フィルムロール3の巻きずれを防止することが可能となる。このとき、真空室内での荷重付与手段としては圧空を用いない、ねじとばねを組み合わせた機構や錘などの重力を使用した機構が好適である。搬送ローラー14は回転可能に支持され、モーターなどの回転駆動手段(図示しない)により回転駆動される。このとき、回転駆動手段(図示しない)は真空室内に設置することが難しければ、これを真空室外に置き、搬送ローラー14の軸部を真空室の壁でシールするようにすれば良い。巻き芯4の回転駆動についても同様にすればよい。
【0054】
更に好ましくはこれらの真空巻き取りシステムを用いて、蒸着フィルムなどを製造することも可能である。この場合、図6に示すように巻出原反32から送り出されたフィルム31は、冷却ドラム10上で、るつぼ11から蒸発した溶融金属に接し蒸着され、その後巻取装置にてフィルムロール3として巻き上げられる。
【0055】
このように本発明の第2の実施形態においては、真空室を利用して製造された蒸着フィルムについても、しわと巻きずれの防止を両立することが可能となる。
【0056】
また、本発明の製造装置もしくは製造方法により製造されるフィルムロール3のフィルム31は算術平均表面粗さRaが1〜100nmであり、厚みが0.5〜15μmのフィルムが好適である。フィルムの算術平均表面粗さRaが100nm以下であると、ある程度層間気体を排除しただけでは巻きずれが発生してしまうが、本発明の製造装置を用いることでフィルム端部の空気潤滑を防止することができ巻きずれを防止できるばかりか、そのフィルムの厚みが15μm以下厚みのフィルム31であってもフィルムロール全幅の層間空気排除手段によりしわの発生を防止することができる。また、フィルム31の厚みは0.5μm以上が好適である。これは、フィルム31の厚みが0.5μm以下であると、フィルムロール3の端部に端部押圧ローラー1を押圧するとフィルム31が破れやすくなるためである。また、表面粗さは1nm以上が好適である。これは、端部押圧手段1によりフィルムロール3の端部の層間気体はほとんどゼロにちかい厚みまで排除されるので、表面粗さ1nm以下ではブロッキングの程度が激しすぎてフィルムロールを次工程で巻き出すことがやや難しくなるためである。
【0057】
ここでフィルム31およびフィルムロール3の算術平均表面粗さRaはJIS B 0601(1994)で規定された方法で測定することができる。測定の好適な例を示すと、測定器には市販の粗さ計(小坂研究所製 ET−30HKなど)を用い、カットオフ値は0.25m、測定長は1mm、測定スピードは100μm/s、測定本数10本などである。無論、測定条件は適宜変更しても良い。
【0058】
また、本発明の製造方法で製造したフィルムロールは、こぶなどが発生しないため、フィルムロールの円筒度を良好に保つことが可能であり、フィルムロールの外径の幅方向の分布の最大値から最小値を差し引いた値が、0.05mm以下とするときに、端部に特別な帯電のないものとすることが可能となる。
【実施例】
【0059】
[実施例1]
以上のフィルムロールの製造装置を用いて、フィルムロールを製造した結果を説明する。図1および図2のフィルムロールの製造装置を用いた。フィルムは厚みが4μmで算術平均表面粗さが60nmで、幅が1mの2軸延伸後のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製、“ルミラー(登録商標)”)である。フィルムの巻取速度は350m/分となるよう、搬送ローラーの速度を調整した。フィルム31は3000mの巻長で巻き取りを行った。
【0060】
巻き芯4は紙を原材料とした円筒からなり、内径152mm、外径172mm、長さが1mのものを使用した。押圧ローラー2は図4の太鼓型ローラーを用いる。これは芯材として外径が90mmの炭素鋼を用い、その表面に厚さ10mmのクロロプレンゴムを被覆したものである。このゴムはゴム硬度(JIS−A規格)が80°のものを使用した。押圧ローラー2の長さはフィルム31の幅より20mm長い1020mmとした。また、太鼓型ローラーの形状寸法として、端部の外径を110mm、中央の外径を112mmとした。押圧ローラー2は端部に玉軸受をかん合し、この玉軸受をアルミニウム合金製のアーム7でかん合支持した。これにより、押圧ローラー2は回転可能となる。また、押圧ローラー2はアーム7を介して荷重付与手段5により巻き芯4に押圧される。このとき、荷重付与手段5には圧空シリンダを使用し、押圧ローラー2が巻き芯4およびフィルムロール3に押圧されるときの線圧が500N/mとなるよう、圧空シリンダの空気圧を調整した。荷重付与手段5はマシンフレーム22に固定されている。
【0061】
フィルムロール3に対して張力を付与するために、巻き芯4は巻き芯支持手段(図示しない)により回転支持され、この巻き芯支持手段(図示しない)とモーター(図示しない)を軸(図示しない)および軸継ぎ手(図示しない)を介して連結し、モーターのトルクを制御した。このとき、フィルム31に50N/mの張力が生じるようにモーターのトルクを制御手段(図示しない)により調整した。
【0062】
次に端部押圧ローラー1を図1および図2の通りフィルムロール3の幅方向両端部に当接するように配置した。端部押圧ローラーの幅は30mmで直径は30mm、フィルムロール3と接する幅は見かけ上5mmとしたが、端部押圧ローラー1は図5のごとく、フィルムロール3の軸中心に対して5°傾けた。傾きはわずかでよく、1〜10°程度とするのが好ましい。これにより端部押圧ローラー1とフィルムロール3の実際に接する幅は1mmにも満たないものとした。端部押圧ローラー1のフィルムと接する部分の材質はクロム鍍金とし、芯材は鉄鋼を用いた。端部押圧ローラーは軸受(図示しない)により片持ち構造とし、軸受は荷重付与手段6のスライド部(図示しない)にかん合されている。荷重付与手段6はスライド部(図示しない)を有する圧空シリンダで、押圧ローラー1が巻き芯4およびフィルムロール3に押圧されるときの面圧が片側あたり5Nとなるよう、圧空シリンダの空気圧を調整した。荷重付与装置6はマシンフレームに固定されている。このときの線圧は約5,000N/mである。フィルムロールの品位の評価を×、△、○で評価した。まず、巻きずれについては、ずれ量が1mm以上を×、0.5〜1mmを△、0.5mm以下を○とした。また、しわについては、発生本数が10本以上を×、10本未満を△、0本を○とした。帯電および外観欠点については、後加工の蒸着工程で膜形成をはじくもの、もしくは外観上強く密着しているものを×、後加工の蒸着工程で膜形成をはじかないが外観上うっすらみえるものを△、後加工の蒸着工程で膜形成をはじかないが目視ではほとんど見分けがつかないものを○とした。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
[実施例2]
本発明の一実施形態の別の実施例の図面に基づいて詳細に説明する。実施例1と同じポリエチレンテレフタレートフィルムを図6の蒸着用真空室9に持ち込み、フィルムロール3として巻き上げる。このとき、金属蒸着は行わず、巻出原反32から、搬送ローラー14を通って、巻き芯4上に巻き回す実験を実施した。真空室9は大扉(図示しない)があり、フィルム3を設置した後に扉を閉め、減圧装置12により真空室内の空気を排気し、減圧を行う。減圧装置12には能力700m^3/時間のロータリーポンプと能力5600m^3/時間のルーツポンプを直列に接続し、真空室内9の圧力が0.01Paとなるまで減圧を行った。
【0065】
巻取は押圧ローラー2は用いず、フィルムロール3の両端部に実施例1と同様の寸法、条件の端部押圧ローラー1を押圧し巻取を行った。フィルム31には実施例1と同様、50N/mの張力を付与した。フィルム31は実施例1と同様、速度350m/分、3000mの巻長で巻き取りを行った。評価方法については実施例1と同様である。結果を表1に示す。
[比較例1]
特許文献2に基づき、図7に示すように端部の外径が中央よりも大きい押圧ローラー13を製作した。押圧ローラー13は2本あり、この2本でフィルムロール3を支持しながら巻き芯4上に巻き上げた。2本の押圧ローラー13の内、上流側のローラーは回転駆動せず、回転可能に支持した。また下流の押圧ローラー13は回転可能に支持すると共に、モーター(図示しない)と連結することで回転駆動した。フィルムは実施例1と同じポリエチレンテレフタレートフィルムをフィルムロール3として速度350m/分、3000mの巻長で巻き上げる。フィルムロール3と押圧ローラー13の接する幅は片側当たり5mmとした。フィルムロール3および巻き芯4の重量は巻き芯4にかん合した巻き芯支持手段(図示しない)によって負担し、押圧ローラー13とフィルムロール3の面圧は押圧ローラー13の下から荷重付与装置を押圧ローラー13に接続することで実現した。このとき面圧は両側で10N〜30Nまで調整した。評価方法については実施例1と同様である。結果を表1に示す。
[比較例2]
特許文献4に基づき、図8に示すような装置を用いて、フィルム両端部を強制帯電させフィルムの巻取を行った。フィルムは実施例1と同じポリエチレンテレフタレートフィルムをフィルムロール3として速度350m/分、3000mの巻長で巻き上げる。フィルム31は心材および表面材質共に金属製の搬送ローラー14上でリング状電極15により帯電処理される。リング状電極15は金属製で、幅10mmで外径が100mm、表面に厚さ2mmのゴムが被覆してあり、金属部が高圧電源16および高圧増幅器17に接続され、これらによりフィルム31と搬送ローラー14の間で放電させ、フィルム31に帯電処理する。このとき、パルス波形発生器18を高圧電源16に接続することで帯電処理を間欠的に行い、周方向に50%の割合で帯電、残り50%の割合で無帯電とした。また、巻取では押圧ローラーをフィルムロール3の全面に当接するよう押圧した。評価方法については実施例1と同様である。結果を表1に示す。
[まとめ]
表1の通り、比較例1および比較例2のような従来の巻きずれ防止技術によると、巻きずれ防止としわや帯電欠点などの品位の両立を実現することが難しい。特に比較例1では押圧ローラー13とフィルムロール3の接触幅を小さくした反面、フィルムロール3に随伴する空気量が多く過ぎて、巻きずれについても完全に防止することは難しい結果となった。一方、本発明のフィルムロールの製造方法によると、端部押圧ローラー2による非常にわずかな押圧幅で、フィルムロールの巻きずれを防止しながら、かつしわや帯電なく姿よくフィルムロールを製造することが可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、フィルムロールの製造装置に限らず、紙や布帛のシートロール体製造装置などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態にかかわるフィルムロール製造装置の概略正面図である。
【図2】図1に示すフィルムロール製造装置の概略平面図である。
【図3】押圧ローラーの一例を示した概略断面図である。
【図4】押圧ローラーの一例を示した概略正面図である。
【図5】図1、図2に示すフィルムロール製造装置の概略側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態にかかわるフィルムロール製造装置の概略断面図である。
【図7】従来技術の実施形態にかかわるフィルムロール製造装置の概略側面図である。
【図8】従来技術の別の実施形態にかかわるフィルムロール製造装置の概略正面図である。
【図9】テーパーローラーにフィルムが抱き付いて搬送される様子を示した概略図である。
【符号の説明】
【0068】
1 端部押圧手段、端部押圧ローラー
2 押圧ローラー
3 フィルムロール
31 フィルム
32 巻き出し側原反
4 巻き芯
5 荷重付与手段
6 荷重付与手段
7 アーム
8 旋回軸
9 真空室
10 冷却ドラム
11 るつぼ
12 減圧装置
13 押圧ローラー
14 搬送ローラー
15 リング状電極
16 高圧電源
17 高圧増幅器
18 パルス波形発生器
21 入り側テーパーローラー
22 マシンフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き芯上に巻き取られるフィルムロール表層の幅方向の少なくとも一方の端部を押圧する端部押圧手段と、該押圧手段を巻き芯またはフィルムロールの径方向に押圧するための端部荷重付与手段と、前記フィルムロール全幅の層間気体排除手段とを有することを特徴とするフィルムロールの製造装置。
【請求項2】
前記端部押圧手段がローラーであることを特徴とする請求項1に記載のフィルムロールの製造装置。
【請求項3】
前記層間気体排除手段は、前記フィルムロール全幅を押圧する全幅押圧ローラーと、該全幅押圧ローラーを前記巻き芯および前記フィルムロールに押圧するための荷重付与手段であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムロールの製造装置。
【請求項4】
前記全幅押圧ローラーがセンターロード型ローラー、もしくは太鼓型ローラーであることを特徴とする請求項3に記載のフィルムロールの製造装置。
【請求項5】
前記層間気体排除手段は、前記フィルムロール製造装置を取り囲む真空室と、該真空室内を減圧する減圧手段とを有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムロールの製造装置。
【請求項6】
前記巻き芯を回転可能に支持する巻き芯支持手段と、該巻き芯支持手段を回転駆動する回転駆動手段とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムロールの製造装置。
【請求項7】
算術平均表面粗さRaが1〜100nmであり、厚みが0.5〜15μmのフィルムを巻き芯上にフィルムロールとして巻き取るフィルムロール体の製造方法であって、前記フィルムロール全幅を押圧しながら巻き取り、巻き取りの下流側で前記フィルムロールの少なくとも一方の端部を押圧することを特徴とするフィルムロールの製造方法。
【請求項8】
前記フィルムロールの少なくとも一方の端部を押圧する際に、フィルムロールに対する単位長さあたりの線圧が、フィルムロール全幅を押圧する際の単位長さあたりの線圧よりも大きくなるように押圧することを特徴とする請求項7に記載のフィルムロールの製造方法。
【請求項9】
算術平均表面粗さRaが1〜100nmであり、厚みが0.5〜15μmのフィルムを巻き取った初期フィルムロールを巻き芯上に終期フィルムロールとして巻き取るフィルムロールの製造方法であって、真空下において、前記初期フィルムロールを巻き出しながら搬送し、巻き出した前記フィルムを巻き芯上に巻き取るに際し、前記巻き芯上に巻き取られる前記終期フィルムロールの少なくとも一方の端部を押圧しながら前記フィルムを巻き取ることを特徴とするフィルムロールの製造方法。
【請求項10】
フィルムロールの外径の幅方向の分布の、最大値から最小値を差し引いた値が、0.05mm以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のフィルムロールの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のフィルムロールの製造方法により製造したフィルムロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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