説明

フォトプレチスモグラフィ

フォトプレチスモグラフ装置が標的対象を照射するための光源を含んでいる。変調器は、出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する。検出器は、前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として電気出力を生成する。局部発振器を有する前記検出器の出力を受け、前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調信号を生成する。前記復調器は、前記変調信号と前記発振器との間のいかなる位相差にも反応しない。前記復調器の出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号が生成される。数多くの復調器を設けて、異なる波長の複数の光源から、あるいは、検出器のアレイから信号を誘導できる。前記フォトプレチスモグラフは伝送モードあるいは反射モードで操作できる。反射モードである場合、前記装置は緑色部分の光学スペクトルを用いることができ、偏光フィルタを用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトプレチスモグラフィに関し、ヒト又は動物の身体の特に脈拍数、呼吸数、及び血液成分を測定する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「plethysmography(フォトプレチスモグラフィ)」という用語は、「increase(増加)」を意味するギリシャ語「Plethysmos」と、「write(書く)」を意味する「graph」との組合せである。プレチスモグラフは身体内の血液量の変化を測定するのに用いられる機器、方法又は装置である。フォトプレチスモグラフィ(これ以降、「PPG」とも称される)は、光の使用に付してこれらの量の変化を測定する。従って、フォトプレチスモグラフは光を用いてこれらの測定を行う機器、方法又は装置である。
【0003】
ヒトあるいは動物の身体は一般的に光に対して不伝導性であると想定されるが、ほとんどの軟組織は可視光と近赤外光の双方を伝送し反射する。従って、光が皮膚のある領域上へ投射され、放たれる光が、皮膚、血液、及びその他の組織との相互作用の後に検出される場合、プレチスモグラムとして知られている、血液量と関連して時間変化する光強度の変化が観察される。時間変化する光強度信号は、測定部位での組織及び血液の光学特性と、光源の波長を含む数多くのファクタに依存している。血液が光を吸収し、吸収された光の総量と、それ故に検出された残りの光の強度とが、照射された血液量と関連して変化するので、信号が生じる。プレチスモグラムの変化は、組織に流れる血液量の変化によって生じている。
【0004】
この技術は、Hertzmanによって1937年に紹介された。Hertzmanはフォトプレチスモグラフィという用語を用いた最初の人であり、結果として生ずるプレチスモグラムが、皮膚の血管内の血液の容量変化を表わすことを示唆した。
【0005】
プレチスモグラムは通常そのAC(交流)及びDC(直流)成分によって記述される。非拍動血液、骨及び組織とによる光の吸収は一定であると想定され、DC成分を生じさせる。DC成分は、センサの下での非拍動血液量と、その上に、皮膚、骨及びその他の組織から反射、散乱される光とを表している。AC成分は、センサ下での血液量の一時的変化により起こる、時間変化する光の吸収によって生じる。
【0006】
血液量の変化は、循環系調節、血圧調節、温度調節及び呼吸によって生じうる。従って、プレチスモグラムを分析して、脈拍数、呼吸数、血圧、灌流、一回心拍出量、一回呼吸量のようなパラメータ情報を決定できる。このことは、「“Skin Photoplethysmography − a review”,Computer Methods and Programs in Biomedicine,28(1989)257−269」により詳述されている。プレチスモグラムを更に分析して、血液成分を決定できる。このような技術の1つがパルスオキシメトリであり、血液中の酸素の相対量を決定する。その他の血液成分は更にフォトプレチスモグラフィを用いることによって計測できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フォトプレチスモグラフィについては、伝送モードと反射モードという2つのモードがある。伝送モードにおいては、光源は組織の片側にあり、光検出器は、光源の向かい側である反対側に配置される。伝送モードの使用は、例えば、人の指、足の親指、耳垂のような組織が光を伝播できるほどに薄い領域に限られている。
【0008】
反射モードにおいては、光源及び光検出器は並列に配置される。組織に入力する光は反射され、伝播は光検出器で検出される。この光源−検出器構成はもっと融通が利き、測定を組織のほとんどの領域で行うことができる。しかしながら、反射モードの使用は伝送モードの使用よりも、信号レベルがほとんどの有効な波長で有意に低いので、設計するのが難しい。従って、SN比を最大にすることにかなりの注意を払わなければならない。結果として、ほとんどの共通のPPGセンサは伝送モードで使用され、故に光が組織を通過できる位置に限定される。
【0009】
光検出器が光源からの光を測定するのに用いられる場合、フォトプレチスモグラフは更に、例えば蛍光灯やコンピュータモニタといった、その他の光源からの干渉信号に反応しうる。センサは更に、組織を通じて伝播する光の変化、すなわち、プレチスモグラムに対応しなければならない。これらの生理的変化はDC乃至25Hzの間の周波数成分を含んでいる。しかしながら、センサは周辺光のノイズに反応しないことが所望される。よって、フォトプレチスモグラフは対象の帯域のプレチスモグラムを検出する間に周辺光のノイズを除去すべきである。
【0010】
第2の干渉の発生源は、その他の電気機器である。その他の電気デバイスはフォトプレチスモグラムが検出できる無線周波数信号を生成しうる。このような性質の干渉の発生源に対するシステムの感度を最小化することが所望されている。
【0011】
第3の干渉の発生源は、フォトプレチスモグラム自体により生成された電気ノイズである。このようなノイズは電子素子により生成され、熱ノイズ、フリッカノイズ、ショットノイズ、並びに、例えば、AD変換器中の欠落コードによって生成される倍音のような、スパイクノイズを含みうる。これらの発生源からの干渉に対するシステムの感度を最小化することが更に所望されている。
【0012】
これら3つの干渉の発生源により生成されるノイズを減ずる既知の技術は、周辺光、電気的な無線周波数信号、あるいはフォトプレチスモグラフのシステムノイズの中に、存在しない、あるいは支配的ではない周波数で変調した搬送波でセンサの光源を駆動することである。これは矩形波でセンサの光源を変調することによって、つまり、オン及びオフのパルスにすることによって、為すことができる。検出された信号は帯域フィルタにかけられて、対象の周波数範囲の外側にある干渉を減衰する。次の復調はプレチスモグラムを回復する。一般的には、正弦波のような周期信号を用いて、光源を変調できる。
【0013】
変調光のフォトプレチスモグラフィは従来技術にもあるが、それが適用される手段において、特にノイズの減衰あるいは除去、及び復調のための適した信号処理回路に関しては、臨床上の限界が未だに存在している。例えば、欧州特許公報第0335357号、欧州特許公報第0314324号、国際公報第0144780号及び国際公報第09846125号は、変調光のフォトプレチスモグラフィを開示している。しかしながら、それらは変調及び復調搬送波位相が同期されることを必要とする復調方法及び機器を用いている。同期タイミングの誤差は、ノイズを復調信号に加える(タイミングジッタあるいは位相ノイズ)。先行技術は更に帯域フィルタ特性を十分に用いて、別個のチャネルに頼って常に周辺光を測定すること、及び後に信号からそれを除去することによって、周辺の干渉光を除去することができず、更に複雑性を増し、干渉を減衰することにほぼ間違いなくほとんど効果がない。これらの限界は、蛍光灯、コンピュータモニタ、太陽光、白熱ランプ、電気的なRF干渉、熱ノイズ、フリッカノイズ、及びショットノイズのような発生源からの広帯域及び狭帯域ノイズに対する妨害排除能力を減ずる。
【0014】
先行技術の更なる限界は、反射モードセンサ用の波長の選択である。反射モード及び伝送モードの双方のセンサは、600nm乃至1000nmの間の波長である、スペクトルの赤色及び/又は赤外部分の光源を用いる。しかしながら、赤色/赤外部の反射センサは赤色及び赤外波長の光が血液によって不十分に吸収されるため、十分に機能しない。このことによって低変調の反射信号、それ故小さなAC成分が生ずる。従って、赤色/赤外反射プローブは、伝送プローブと比較する場合不十分な結果を与える。より大きなプレチスモグラムのAC成分の振幅は、反射モードセンサが500nm乃至600nmの間の波長の光(緑色光)を用いる場合に、記録できることは、「“In Vivo Reflectance of Blood and Tissue as a Function of Light Wavelength”,IEEE Transactions on Biomedical Engineering,Volume 37,No.6,June 1996」に示された。
【0015】
連続的な非変調緑色光のフォトプレチスモグラフは、国際公報第9822018A1号に述べられた。しかし、この発明の目的は反射パルスオキシメトリであり、その発明はプレチスモグラムのAC及びDC成分を測定するのに適した、信頼性のあるフォトプレチスモグラフを生成するのに必要なステップを説明していない。このような緑色光センサは、例えば心拍数のようなAC成分と、更に、極端に小さくこのシステムで検出されなかった呼吸信号を確実に検出する必要があろう。
【0016】
「Benten et al:“Integrated synchronous receiver channel for optical instrumentation applications”Proceedings of SPIE − The International Society for Optical Engineering,Volume 3100,75−88,1997」には、スイッチング乗算器を用いて+1乃至−1の間の信号経路のゲインを同期変化させる変調光の反射フォトプレチスモグラフが記述されている。このことは、変調信号を矩形波と混合してプレチスモグラムを回復することに等しい。しかしながら、前述の他の先行技術と同様に、この方法は変調する搬送波と復調する局部発振器信号とを同位相にすることが必要である。
【0017】
改良されたプレチスモグラムを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
ある態様によると、本発明はフォトプレチスモグラフ装置を提供し:
標的対象を照射するための光源と;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する変調器と;
前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として電気出力を生成するための検出器と;
当該検出器の出力を受け、局部発振器を有し、前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調信号を生成するための、前記変調信号と前記発振器との間のいかなる位相差にも反応しない復調器と;
当該復調器の出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成する手段と;
を具えている。
【0019】
別の態様によると、本発明はプレチスモグラムを生成する方法を提供し:
標的対象を光源で照射するステップと;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を変調器で駆動するステップと;
検出器で前記標的対象からの光を受け、受けた光の強度の関数としての電気出力を生成するステップと;
局部発振器を有し、前記変調信号とそのいずれかの側帯波とを表わす復調信号を生成し、前記変調信号と前記発振器との間のいずれの位相差にも反応しない復調器で、検出器の出力を受けるステップと;
前記復調器信号から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成するステップと;
を具えている。
【0020】
別の態様によると、本発明はフォトプレチスモグラフ装置を提供し:
各々が標的対象の一部分を照射するための1又はそれ以上の光源と;
各光源の出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する1又はそれ以上の変調器と;
前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として1又はそれ以上の電気出力を生成するための1又はそれ以上の検出器と;
各々が1又はそれ以上の電気出力を受け、前記変調光源のうちの1つの前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調信号を生成し、それによって、前記複数の光源及び/又は複数の検出器に対応して複数の復調器の出力を生成するための複数の復調器と;
当該復調器の出力から、各々の前記復調出力用の時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示すプレチスモグラム信号を生成する手段と;
を具えている。
【0021】
別の態様によると、本発明はプレチスモグラムを生成する方法を提供し:
標的対象の一部分を1又はそれ以上の光源で照射するステップと;
前記光源を1又はそれ以上の変調器で駆動して、各光源の出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するようにするステップと;
1又はそれ以上の検出器で前記標的対象からの光を受け、受けた光の強度の関数としての1又はそれ以上の電気出力を生成するステップと;
各々が前記変調光源とそのいずれかの側帯波のうちの1つの前記変調信号を表わす変調出力を生成する複数の復調器で1又はそれ以上の前記電気出力を受け、して、それによって前記複数の光源に対応して複数の復調器の出力を生成するステップと;
前記復調器の出力から、各々のピクセルアレイの復調出力用の時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示すプレチスモグラム信号を生成するステップと;
を具えている。
【0022】
別の態様によると、本発明は非接触用途のフォトプレチスモグラフ装置を提供し:
第1の偏光フィルタを介して標的対象を照射するための光源と;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する変調器と;
前記第1の偏光フィルタと異なる偏光度を有する第2の偏光フィルタを介して、前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として電気出力を生成するように構成される検出器と;
当該検出器の出力を受け、前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調出力を生成する復調器と;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成する手段と;
を具えている。
【0023】
別の態様によると、本発明はプレチスモグラムを生成する方法を提供し:
第1の偏光フィルタを介して、標的対象を光源で照射するステップと;
前記光源を変調器で駆動して、出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するようにするステップと;
前記第1の偏光フィルタと異なる偏光度を有する第2の偏光フィルタを介して、検出器で前記標的対象からの光を受け、前記検出器が受けた光の強度の関数としての電気出力を生成するステップと;
復調器で検出器の出力を受け、前記変調信号とそのいずれかの側帯波とを表わす復調出力を生成するステップと;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成するステップと;
を具えている。
【0024】
別の態様によると、本発明は非接触用途のフォトプレチスモグラフ装置を提供し:
600nm未満の波長の光学放射で標的対象を照射するための光源と;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する変調器と;
前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として電気出力を生成するように構成された検出器であって、前記光源と検出器は、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、基板上で互いに側方隣接して配置される検出器と;
当該検出器の出力を受け、前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調出力を生成する復調器と;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成する手段と;
を具えている。
【0025】
別の態様によると、本発明はプレチスモグラムを生成する方法を提供し:
光源からの600nm未満の波長の光学放射で標的対象を照射するステップと;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を変調器で駆動するステップと;
検出器で前記標的対象からの光を受け、受けた光の強度の関数としての電気出力を生成し、前記光源と検出器が、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、基板上で互いに側方隣接して配置されるステップと;
復調器で前記検出器の出力を受け、前記変調信号とそのいずれかの側帯波とを表わす復調出力を生成するステップと;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成するステップと;
を具えている。
【発明の効果】
【0026】
本発明は変調光のフォトプレチスモグラフ装置を提供する。選択された実施例においては、変調光、帯域フィルタリング及びIQ復調の特徴を結合して、灌流組織のプレチスモグラムを与えている。反射モードで用いられる場合、より大きな拍動性信号及び改良されたSN比を与える、光学スペクトルの青色及び/又は緑色部分の光が用いられる。
【0027】
本発明の選択された実施例は、フォトプレチスモグラフ装置が伝送モードで用いられる場合、ノイズの減少を通じて改良された信頼性を提供している。更に、光学スペクトルの青色/緑色部分(すなわち、400nm乃至600nmの間の波長)の光の選択は、フォトプレチスモグラフ装置が反射モードで用いられる場合に、ノイズの減少及びAC成分の信号振幅の増加を通じて、改良された信頼性を与えている。
【0028】
選択される実施例は、単一波長のフォトプレチスモグラフィと、複数波長のフォトプレチスモグラフィと、ピクセルアレイのフォトプレチスモグラフィと、非接触のフォトプレチスモグラフィとを含む、異なるフォトプレチスモグラフィ技術に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施例は、実例によって、及び添付の図によって示されている。
【0030】
[単一波長のフォトプレチスモグラフ装置]
図1によると、フォトプレチスモグラフ装置100は、光源102に変調駆動信号でエネルギを与えるように結合される駆動回路101を具え、光源の出力強度を特定の変調周波数(f)と変調振幅(M1(t))とを有する変調信号の関数として変えるようにしている。従って、光源を駆動する波形はその周波数と振幅とによって特徴付けられる変調搬送波である。
【0031】
光源102はヒトあるいは動物の身体の組織の領域のような標的対象103を照射するように構成される。光源102は好ましくは所定の波長あるいは波長範囲の1又はそれ以上のそれぞれの光放射デバイスを具えている。
【0032】
光検出器104は、その相互作用後に標的対象103から光を受けるように構成される。光源102、標的対象103及び光検出器104の相対位置によって、この受けた光は標的対象を通じて伝送された光、標的対象の表面から反射された光、及び標的対象内の構成あるいは流体で散乱及び/又は反射された光のうちの1又はそれ以上にすることができる。光検出器はその活性領域へ入射する光の量の関数、例えば比例して、電流を生成する。
【0033】
検出器105は光検出器104からの電流を、その電流に比例する電圧に変換できる。検出器105は増幅器(図示せず)を組み込むことができる。その増幅器のゲインは変調周波数より大きな周波数でロールオフできる。検出器105と増幅器は注意深い設計で、そこに接続される帯域フィルタ106への入力でのノイズを最小化できる。一般的な意味において、光検出器104と検出器105の関数は、標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数である電気出力を生成できるどの検出器によっても提供されうる。
【0034】
帯域フィルタ106は、対象の帯域幅外部の信号を減衰するために提供される。フィルタの帯域幅は好ましくは変調周波数fに中心が置かれ、変調搬送波とプレチスモグラムの振幅変調によって生じる側帯波とを通過させるほど十分に広く、干渉やノイズの周波数成分を減衰するほど十分に狭い。ノイズを減ずるために、帯域フィルタ106の帯域幅は可能な限り狭くなければならない。プレチスモグラムの上方及び下方の側帯波を通過させるのに十分に広く、典型的には限定されないが50Hzに、することのみが必要である。帯域フィルタ106は増幅器(図示せず)を組み入れて、更なるゲインを提供できる。帯域フィルタ106と増幅器は好ましくは、次段階、すなわち、復調器107の入力時にノイズを最小化するように設計される。帯域フィルタ106の供給はいつも必要とは限らず、用いられた場合、信号対雑音比(SNR)の増加が起こりうることは分かるであろう。
【0035】
復調器107の好ましい配置が図2に詳細に示されている。復調器107は帯域フィルタ106の出力を復調し、このようにして標的対象から受けた、検出した光からのプレチスモグラムを回復するように構成されている。好ましい復調器107は変調搬送波と復調搬送波との間の位相差と反応しない方法を用いている。言い換えると、復調器は後に説明するように、復調器中の変調信号と発振器との間のいかなる位相差とも反応しない。このようにして、変調と復調とのプロセス間に所定の位相関係を維持する必要はない。
【0036】
復調器107は変調信号M1(t)を2つのチャネルに分けるためのマルチプレクサを具えることができる。第1のチャネルは第1の変調入力信号M1(t)aを処理し、第2のチャネルは第2の変調入力信号M2(t)bを処理する。第1の変調入力信号M1(t)aは第1の復調器の局部発振器(LO)信号204の出力D1(t)と共に第1の乗算器201への入力として提供される。局部発振器信号204の周波数は好ましくは、変調信号の周波数と実質的に等しく、従って、入力信号M1(t)の変調搬送波周波数に等しくなる。M1(t)aの第1のLO信号204との乗算の結果は、I(同位相)信号となる。第2のチャネルにおいては、第2の変調入力信号は乗算器206を用いて、好ましくは実質的に変調信号の周波数と等しい周波数を更に有する第2の復調器局部発振器(LO)信号と乗算される。しかしながら、第2の復調器のLO信号は、第1の復調器のLO信号に関連して、移相器205により位相シフトされる。第1の復調器のLOと第2の復調器のLOとの間の位相差は好ましくは90度である。第2の復調器のLO信号とM1(t)bの乗算結果は、Q(直角位相)信号である。局部発振器は正弦波出力を生成するように示されているが、要求される周波数の他の波形を生成できることは理解されるであろう。
【0037】
別個のI及びQ信号は好ましくは、それぞれフィルタ素子202及び207で別個にローパスフィルタにかけられて、所望されない高調波と乗算プロセスの産物とを除去する。選択的に、結果として生ずる信号は、それぞれデシメータ203と208でデシメートされ、サンプル速度を減することができる。この結果がI’及びQ’信号である。
【0038】
I’及びQ’信号はミキサ209で1つの信号に元にデマルチプレクスされ、復調されたプレチスモグラムS1(t)を提供できる。このデマルチプレクス処理はI’及びQ’信号の二乗の合計の平方根を決定するアルゴリズムあるいは回路を含むことができる。
【0039】
図2の復調器の配置は、復調器の変調信号と発振器との間のいずれの位相差にも反応しない復調器を提供する時に、変更されうる。図18乃至20は、第1のチャネルにおいて検出器の出力が、この検出器の出力と第1の位相関係を有する局部発振器と混合され、第2のチャネルにおいて検出器の出力が、この検出器の出力と第2の位相関係を有する局部発振器と混合される2つのチャネルを各々が提供する、別の配置を示している。図2に示すように、第1及び第2の位相関係は好ましくは90度離れている。
【0040】
図の観察から、これが、異なる相対位相シフト素子205、1905a、1905b、2005(図2、19及び20)で2つのチャネルを与える共通の局部発振器204、1804、1904,2004を用いることによって、あるいは、共通の局部発振器と、一方又は双方のチャネルで提供されて、M1(t)a及びM1(t)bの一方又は双方の信号を遅延させ、それによってその間の相対位相シフトを生成する位相遅延素子1805(図18)とを用いることによって、得られることは分かるであろう。図20はフィルタリングが、素子202、207(又は1802、1807、1902、1907)によって実行された場合、フィルタ2002によってミキサ209、1809、1909、2009の後に代替的に実行されうることを例示している。同様にして、デシメーションがミキサ209、1809、1909、2009の後に更に実行されうる。
【0041】
高調波的に関連する狭帯域ノイズを検出、減衰する手段は提供できる。この手段は適応性にでき、干渉特性の変化は検出できるようになり、フィルタリング(あるいは他の除去手段)はSN比を維持するように構成される。
【0042】
閉ループ制御の手段を提供して、プレチスモグラムを検出するのに十分な輝度で光源102を維持できる。この制御ループ1200の機能ブロック図は図12に示されている。図1に示されたものと同様の素子が、対応する参照番号で与えられている。検出され、帯域フィルタをかけられた変調搬送波D−BPF−M1(t)の振幅は、フィードバック経路内の信号処理回路1201によって測定、処理され、参照値又は比較器1202内の値の範囲と比較される。誤差信号がフォワード経路内の信号処理回路又はアルゴリズム1203によって生成、処理されうる。この技術を用いることによって、駆動回路によって生成された波形の振幅は調節されて、検出された搬送波振幅が所定の範囲内又は参照値の近くにあることを保証できる。このことはあまりにも多くの光が標的対象から受けた場合、検出器は飽和されず、あまりにも少ない光が標的対象103から受けた場合、プレチスモグラムが未検出にならないことを保証する。従って一般的な態様においては、フィードバック制御ループ1200は、検出器の出力の関数として、及び、復調された出力S1(t)からのプレチスモグラムの検出を維持するのに十分なレベルで、光源102の出力強度を維持する手段の例を提供している。
【0043】
[複数波長のフォトプレチスモグラフィ]
図3は2又はそれ以上の異なる波長の光を標的対象(例えば試験下の組織)に照射するための2又はそれ以上の光源302、304を含むフォトプレチスモグラフ装置300を示している。光検出器306は標的対象から受けた、例えば、フォトプレチスモグラフ装置が伝送モードである場合、標的対象を通じて伝送された、あるいは、フォトプレチスモグラフ装置が反射モードで用いられる場合、標的対象から反射された、光を検出するように構成されている。駆動回路301、303がそれぞれ提供され、選択された周波数及び振幅での変調を有する変調された駆動信号M1(t)及びM2(t)でそれぞれ光源302、304をエネルギ化している。2のドライバと光源のみが例示されているが、一般的には複数のドライバと光源が用いられうることは理解されるであろう。各光源は単一の所定の波長あるいは波長の範囲で光を放射する、1又はそれ以上の光学エミッタからなる。各光源の波形は他の光源をエネルギ化するのに用いたものと異なる周波数を有することができる。この波形は変調搬送波であり、周波数と振幅によって特徴づけられる。各光源は選択的に別個の関連する駆動回路を有することができる。各光源は選択的に異なる波長を有することができる。
【0044】
光検出器306を提供して、標的対象305(例えば、ヒト又は動物の身体の組織)での相互作用後の光を検出する。光検出器はその活性領域に入射する光の量に比例する電流を生成する。
【0045】
検出器307を提供して光検出器306からの電流を、その電流に比例する電圧に変換できる。検出器307は増幅器(図示せず)を取り込むことができる。その増幅器のゲインは最も高い変調周波数より大きな周波数でロールオフできる。検出器と増幅器は注意深い設計で、帯域フィルタ308への入力でのノイズを最小化し、このようにして、SN比を最大化できる。
【0046】
帯域フィルタ308は対象の帯域幅の外部の信号を減衰するために提供することができる。フィルタの帯域幅は好ましくは選択されて、フィルタの下方のロールオフが最も低い変調搬送波周波数の下方にあり、フィルタの上方のロールオフが最も高い変調搬送波周波数の上方にあるようにする。最も高い及び最も低い変調搬送波周波数の間の帯域幅とフィルタのロールオフは、変調搬送波とプレチスモグラムの振幅変調によって生じる側帯波とを通過させるほど十分に広く、干渉やノイズの周波数成分を減衰するほど十分に狭くすべきである。ノイズを減ずるために、フィルタの帯域は可能な限り狭くすべきである。最も高い変調搬送波の上方側帯波と最も低い変調搬送波の下方の側帯波とを通過させるのに十分な範囲を有することだけが必要である。最も高い変調搬送波周波数の上方25Hz乃至最も低い変調搬送波周波数の下方25Hzが適切である。帯域フィルタは増幅器(図示せず)を組み込むことができ、更なるゲインを提供している。帯域フィルタと増幅器を設計して、次段階の入力でのノイズを最小化できる。例えば、櫛形又は移動平均型のフィルタのような、複数の基本波周波数で零の、又は大きな減衰を有する周波数応答を提供するフィルタを含むことができる。これらのフィルタを設計して、干渉発生源の基本波及び高調波を減衰できる。
【0047】
複数の復調器209及び310は帯域フィルタの出力を復調するために提供されて、各々の変調搬送波周波数で、あるいは各々の光の波長で、プレチスモグラムを回復している。好ましくは、復調器は、図2に関連して述べたような、各々の変調搬送波と復調する局部発振器との間の位相差と反応しない復調方法を用いる。従って前述したように、変調と復調との間のプロセスの所定の位相関係を維持することは必要ない。
【0048】
この場合において、各復調器は好ましくは、それぞれの対応する変調搬送波M1(t)及びM2(t)と同一周波数を持つ局部発振器D1(t)及びD2(t)を有している。
【0049】
この複数波長のフォトプレチスモグラフ装置の出力は、複数のプレチスモグラムS1(t)及びS2(t)である。各々は組織を試験するのに用いられた所定の波長の光用のプレチスモグラムである。複数波長のフォトプレチスモグラフは2つの波長、光源302によって提供されるある波長と、光源303によって提供される第2の波長の例について述べられているが、本発明を変更して、更なるドライバ、光源及び復調器を追加することにより、2以上の波長を用いることができる。これらの変調した複数波長はパルス及び呼吸数の検出用の最適なSNRのための光学波長の選択を可能にするだけではなく、レシオメトリック測定を行って、血液成分を決定できる。従って、一般的な態様においては、フォトプレチスモグラフ装置は、データがプレチスモグラムから抽出されるように最小のSNRを提供する復調出力S1(t)、S2(t)のうちの1つを自動選択する手段を提供できる。
【0050】
図12に関連して上述したように、閉ループ制御を更に用いて、所定の輝度で各光源を維持することができる。
【0051】
[ピクセルアレイのフォトプレチスモグラフィ]
光検出器、検出器、帯域フィルタ及び復調器の組合せを用いて、マルチピクセルのフォトプレチスモグラフ画像装置の一ピクセルを形成できる。このようなアレイはピクセルとチップ上で行われるアナログ又はディジタル信号処理を伴うマイクロチップとして生成できる。
【0052】
図4は小さな(4×4)ピクセルアレイのフォトプレチスモグラフ装置の概略正面図を示し、16個のピクセル401を具えている。要求があれば、アレイはこれよりかなり大きくできることは理解されるであろう。
【0053】
各々のピクセル401が好ましくは光検出器と、検出器回路と、帯域フィルタと、復調器とを具えている。このような装置は16の連立した(並列した)プレチスモグラムを提供して、アレイの各ピクセルを照射する組織からの光によって検出される。アレイは平方である必要はない。例えば、アレイは4×16ピクセル又は、1×256ピクセル等を具えることができる。各ピクセルは共通の変調周波数で変調された共通の光源からの光に応答できる。代替的に、各ピクセルはそれぞれ別個の駆動光源に対応でき、異なる変調周波数は、各ピクセル用に用いるようにできる。代替的に、各ピクセルは総ての光源が共通の変調信号を用いて駆動される場合、それぞれの光源に対応できる。
【0054】
検出器のアレイは上述した処理のいくつかの並行チャネルを用いることによって、信号処理の全体的に新しい次元を切開している。ピクセルアレイは標的対象からの血液パラメータ(例えば、脈拍数、呼吸数及び血液成分)の空間マップの生成を可能にする。複数のチャネルは並行して処理でき、それによりアービトレーションスキームを用いて、最適なSNRを選択できる。更に複数のチャネルは別個の成分分析、主要な成分分析又はブラインドソースセパレーションにより処理され、例えばノイズや他の干渉信号内に埋もれた場合に、基本信号を抽出できる。これにより、1以上の波長が用いられた場合、ロバストな脈拍及び呼吸数測定法や、空間血液成分測定法を生成することが可能となる。別個の成分分析等を更に用いて、動作性アーチファクトを減ずることができる。動作性アーチファクトは大抵、フォトプレチスモグラフシステムにとって重大な問題であり、その問題と低減方法はSmithやHayesによって述べられてきた(Matthew J.Hayes and Peter R.Smith,“Artifact reduction in photoplethysmography”.Applied Optics,Vol.37,No.31,November 1998)。
【0055】
各ピクセルからのプレチスモグラムを分析するアナログ又はディジタル領域内のオン又はオフチップで実装される信号処理手段は、呼吸数、脈拍数及び血液成分等を抽出するように実装できる。一般的に、事前及び事後の双方の処理は各ピクセルで行うことができ、それによって全領域の空間信号処理アルゴリズムを用いることができる。
【0056】
[非接触のフォトプレチスモグラフィ]
上述の単一波長のフォトプレチスモグラフ装置、複数波長のフォトプレチスモグラフ装置、及びピクセルアレイのフォトプレチスモグラフ装置はそれぞれ非接触反射モードで用いることができる。
【0057】
フォトプレチスモグラフィにおいて、光検出器104は標的対象、例えば組織面と接触している。光源102からの大部分の光は組織面から反射され、光検出器104は組織と接触しているため、この面の反射光は検出されない。わずかな部分の光は、透過し、組織と相互作用し、その後検出され、増幅され、処理された場合に、プレチスモグラム信号を生じる光検出器への入射で現れる。
【0058】
非接触のフォトプレチスモグラフィにおいては、光検出器104は組織と接触しない。このことにより、組織を透過した光と同様に組織面で反射される、かなり大部分の光の検出が生じる。検出した光は反射光によって生じる、より大きなDCオフセットを具え、より小さなプレチスモグラム信号はその上に重ねられる。組織面から反射した光は、血液と相互作用せず、このようにしてプレチスモグラムに有用な情報を何も含んでいない。
【0059】
組織面の反射により生じたDCオフセットは、フォトプレチスモグラフの動的範囲を減ずることが分かるであろう。従って、非接触のフォトプレチスモグラフを用いた場合に、反射光をフィルタをかけて除去することが有益である。このことは偏光フィルタを用いることによって為すことができる。
【0060】
偏光フィルタは選択的に偏光し、あるいは、所定の軸に沿って偏光される光にフィルタをかけている。この極性は光が反射された場合は残り、光が分散された場合は失われている。組織に入射した光が偏光された場合、表面で反射された光はこの極性を残しており、入射光に対して90度での極性で向けられたフィルタによって減衰させることができる。しかしながら組織を透過した光や血液及びその他の媒体によって散乱された光は極性を失い、このようにして水平偏光フィルタを通過して、光検出器によって検出される。
【0061】
図5によると、第1の偏光フィルタ504は所定の偏光軸P1に沿って、変調した光源501からの光を偏光する。偏光された光は標的対象503に向けられ、大部分の光は表面から反射され、標的対象内から分散される。
【0062】
第2の偏光フィルタ505は標的対称からの光を受ける検出器の正面に配置される。第2の偏光フィルタは偏光軸P2を有し、光検出器に入射する偏光された光を減衰する。この減衰は、第2の偏光フィルタ505の偏光軸P2が変呼応された光の軸に対して90度(直交)である場合に、最大となる。従って、第1及び第2の偏光フィルタ504、505は好ましくは、それぞれの偏光軸P1、P2が互いに直交するように配置される。このようにして、偏光が残っている表面から反射された光は、実質的あるいは完全に減衰され、標的対象内で媒体から分散し、偏光状態を失った光は、有意に低減された減衰を有している。
【0063】
上述の装置は、周囲光(蛍光灯、コンピュータモニタ及び白熱電球によって生成されるもののような)、電磁気干渉、及び、例えば、A/D変換器出生成される高調波のような、プレチスモグラフィの装置及び方法に固有のスパイクノイズの発生源から生じる狭帯域干渉の有意な減少を提供できる。変調及び復調周波数を選択して、これらの干渉する高調波を避け、フィルタリングと併用して、白色ノイズ、フリッカノイズ、及びショットノイズを含む装置に固有の広帯域ノイズを減衰できる。
【0064】
図2の配置においては、復調処理は変調搬送波と復調する局所発振器との間の位相差と反応しないため、この2つの間の位相関係を知り、維持する必要はない。従って、信号処理回路あるいは組織内の光の伝播によって生じた検出信号のいかなる一定の位相遅れも較正あるいは考慮する必要はない。
【0065】
その技術的特長が様々な形態で実施できることは分かるであろう。例えば、駆動回路、光源、光検出器、帯域フィルタ及び復調処理は、必要に応じて、ディジタル信号処理アルゴリズム、カスタムアナログ集積回路、離散型アナログ電子部品として、あるいはアナログ及びディジタル信号処理機能の組合せとして実装できる。
【0066】
更なる変更は、検出器回路の出力をサンプリングして、信号処理アルゴリズムの一部としてディジタル信号プロセッサあるいはマイクロプロセッサ上に、帯域フィルタ、復調器、及び信号処理を実装することであろう。
【0067】
更なる変更は、VLSI混合信号設計としてマイクロチップ上に、光検出器と、検出器と、帯域フィルタと、復調器と、信号プロセッサとを実装することであろう。
【0068】
[バリアント及びノイズ管理]
各々のこれらの特徴のいくつか又は総ての組合せを利用して、信号をノイズから分離できるように所望のシステムから生成できる。しかしながら、注意深い設計は光源の送達及び受けた光信号の収集時になすべきである。例えば、全部の光電流内で検出されたフォトプレチスモグラム電流の大きさはとても小さく、それゆえ、不十分に設計されたフロントエンドは、ノイズ間の歪んだあるいは埋もれた信号を生じうる。光源へのパルス化した電圧の送達は、シールドされ、受けるフォトダイオード接続と一緒に作動しないケーブルによってなされるべきである。これが生じた場合、I=CDV/dtに等しい変位電流が光検出器で誘発されうる。
【0069】
光源電力の大きさによって、検出器の大きさ及び電圧変化速度は、許容されるカップリングキャパシタンスの最大値を確立する。良い設計の実施は、誘発される変位電流は、検出電流の1%以下に限定されるのを保証している。
【0070】
他の設計基準は以下のようにすることができる。
a)入力バイアス電流が検出したDC光レベルの〜1%以下にすべきである。
b)電圧及び電流ノイズは、検出したDC光レベルによって設定されるショットノイズ未満にすべきである。
c)トランスインピーダンス増幅器の選択は、その1/fコーナ周波数が変調搬送波周波数未満であるようになされるべきである。
d)搬送波昇降時間はそのカップリングを減ずるように回転させることができる。
e)良いPCB設計の実施は高電力ノイズ部品から感覚センサのフロントエンド、特にトランスインピーダンス増幅器までの、信号のカップリングを避けるように維持される。多層のPCBを用いて、電源及び大地帰路をできるだけ短くし、従って接地バウンスや他の形態のノイズカップリングを最小化できる。多層PCB設計を用いて、反射プローブは光源電圧パルスから受けるフォトダイオード接続までの変位電流のカップリングを減ずることができる。
【0071】
例示的な構成が以下に続いている。しかしながら、このことは、これらの特徴のいくつか又は総ての組合せが、有益な設計を導くような唯一の構成ではないことに留意すべきである。
【実施例】
【0072】
図6は、出力強度が変調周波数での変調信号の関数として変化するような、変調搬送波信号で光源602を駆動する駆動回路601を含む、好ましいプレチスモグラフィ装置600のアーキテクチャを例示する機能ブロック図である。光源は標的対象603を照射し、標的対象から戻った光は、光検出器604によって受けられ、受けた光の強度の関数として電気信号を生成する。検出器605は光検出器604の電流出力を電圧出力に変換する。これは帯域フィルタ606によってフィルタにかけられ、A/D変換器607でディジタル信号へ変換される。復調器608(図2に関連して述べられたタイプにできる)は駆動回路601の変調信号M1(t)と好ましくはほぼ同一周波数である、局部発振器信号D1(t)を有している。ブロック平均フィルタ609を用いて、出力プレチスモグラムS1(t)を生成する。
【0073】
図7は、図6の装置のために光源と光検出器を提供する反射プローブ700を例示している。反射プローブ700は、試験下の組織を照射するために、単一波長の変調した光信号を放射する4つの光放射装置702を具えている。アレイの検出器にすることもできるフォトダイオード704は、試験下の組織から反射される光を検出するのに用いられる活性領域703を有している。第1及び第2の直交偏光フィルタ素子511と512を組み込む、適した偏光フィルタ素子510は、図5bに示されている。プローブが非接触モードで用いられる場合、この素子510は光放射装置702とフォトダイオード704の上を覆って配置される。一般的な態様においては、この配置は標的本体の表面のほぼ同一位置に向けられた、光源及び検出器の活性面を提供している。
【0074】
光放射装置は好ましくは、400nm乃至600nmの間のピークのスペクトル応答を有する発行ダイオード(LED)である。一般的に、波長は調査下の組織の光学特性に基づいて選択される。この例示的なフォトプレチスモグラフ装置700は、ヒトの心拍数や呼吸数の測定に特に適しており、従って、波長は400nm乃至600nmの間で強い吸収を示すヒトの組織及び血液の光学特性に基づいて選択される。研究では主に500nm乃至600nmの間の吸収スペクトルで行われた。しかしながら、強い吸収スペクトルは440nmでも存在し、この波長の周辺で動作する装置は更に好ましい結果を生成する。特に、3つバージョンの反射プローブ:512nmのピークのスペクトル応答を有するLEDを伴うもの;562nmのピークのスペクトル応答を有するLEDを伴うもの;574nmのピークのスペクトル応答を有するLEDを伴うもの;がある。これらは商業的に利用可能であり経済的であるため、好ましい波長であるが、他のものも供給と経済的な許容があれば用いることができる。
【0075】
LEDとフォトダイオードは、4層のプリント回路基板(PCB)上に並べて取り付けられる。スクリーンされた電力及び信号ケーブルや多層PCB設計の使用は、ノイズの取り込みや電気的な漏話に対する免疫性を改善する。フォトダイオードパッケージの高さは、LEDのそれよりも好ましくは高くして、活性領域への光の直接的なカップリング(光学的漏話)を減ずる。LED702とフォトダイオード活性領域703の間の遠位分離は、光が信号を利用する組織を通じて伝わらなければならない経路長を増加する。
【0076】
光源は駆動回路601からの変調搬送波によって所定の周波数及び振幅で励起される。駆動回路601は図10に示したように電流加算増幅器を用いて実装されたD/A変換器である。8ビットDAC入力信号は、マイクロコントローラによって生成され、レジスタ1001を介して255の別個の振幅レベルを提供する。搬送波周波数は入力信号がクロックされた速度によって決定される。出力信号M(t)は、0ボルトとオペアンプ1002の全範囲の出力範囲との間で変化できる振幅を有する所定の搬送波周波数の矩形波である。オペアンプ1002の閉ループ電圧ゲインは、レジスタ1003及び1004の反転したフィードバック部分で設定される。これで255のディジタル入力は全範囲のアナログ出力を与えるように調整できる。
【0077】
フォトダイオード604へ入射する光は、600nm以上の波長を減衰する可視光の光学フィルタを通過する。このフィルタはフォトダイオードに組み込まれ、活性領域の正面に配置される。フォトダイオードのピークのスペクトル応答は好ましくは500nm乃至600nmの間である。特に、フォトダイオードのピークのスペクトル応答は、580nmにすることができる。光のフィルタは、この波長より上の光からの干渉を減衰するのに役立つ600nm以上のフォトダイオード応答をロールオフできる。
【0078】
フォトダイオード604に入射する光は、アナログ電流を生成する。フォトダイオード電流は、図8に示されるようなトランスインピーダンス増幅器800である電流対電圧変換器605に結合される。このトランスインピーダンス増幅器800は好ましくは、ゲインが変調周波数以上でロールオフするように設計される。このローパスフィルタ応答はノイズとエイリアジングを低減する。増幅器800はフィードバックコンデンサ801が電圧ノイズゲインを減ずるフォトダイオード結合キャパシタンスの値とできるだけ近くなるように設計される。これは、フィードバックコンデンサ801とレジスタ802によって制御されるトランスインピーダンスのロールオフと振幅安定性の要求に対して、平衡を保たれなければならない。
【0079】
帯域フィルタ606は、チェビシェフ、バタワース及び他の応答が用いらうることは分かるが、好ましくはRC周波数応答を有する能動サレンキー型である。例示的なフィルタ900がより詳細に図9に示されている。フィルタ900はオペアンプ906を用いて設計されるが、帯域フィルタ周波数応答は他の方法によって生成できることは分かるであろう。フィルタ900は、この例では570Hzの変調周波数に可能な限り近い中心周波数を有するように設計され、低許容の素子がこれを得ることを助けるように選択される。オペアンプの反転入力フィードバック網907及び908はフィルタゲイン及び帯域幅を設定する。これは好ましくは、可能な限り狭く帯域幅を与えるように設計される一方で、素子901、902、903、904及び905の許容量に過度に感知するフィルタ中心周波数を生成しない。フィルタの高域通過のロールオフは変調周波数以下のノイズを減衰し、低域通過のロールオフは変調周波数以上のノイズを減衰し、アンチエイリアジングなフィルタリングを提供する。帯域フィルタ応答がこの例では単一の帯域フィルタとして実装されているが、単一又は複数段階の別個の高域又は低域通過フィルタで実装できることは分かるであろう。
【0080】
帯域フィルタの出力は変調したプレチスモグラムを表わすアナログ電圧である。検出した搬送波変調したプレチスモグラムは帯域フィルタをかけられ、それによって、高及び低周波成分は減衰されるため、フィルタの出力信号は、変調搬送波の基本周波数と等しい周波数を有する正弦波である。
【0081】
プレチスモグラムは帯域フィルタをかけられた、搬送波変調したプレチスモグラム信号を復調することによって回復される。復調及び更なる信号処理は、ディジタル信号処理を用いて行われる。しかし、この処理の総てが、2つのチャネルの固定化を形成する各チャネルのために、ギルバートセルのI及びQ混合器や低域通過フィルタのような回路を用いたアナログ領域で行われている。従って、A/D変換器607は帯域フィルタの後に続き、フィルタ606の出力でのアナログ電圧をサンプリングするのに用いられる。フィルタは好ましくは、A/D変換器607前の最終段階であることに留意すべきである。このことは、変換器607が帯域フィルタノイズを有し、限定された周波数応答なくいずれかの能動回路の出力に存在する広帯域の白色ノイズやフリッカノイズを有さずに、提供されることを保証している。当該技術分野の当業者により、これは復調器608の出力に現れるノイズのレベルを減ずることは理解できるであろう。
【0082】
A/D変換及び次の復調のために、サンプル速度は好ましくは変調周波数の倍数の整数の少なくとも4倍にすべきである。例えば、サンプル速度が変調周波数の4、8、12、16倍等にすべきである。好ましい配置においては、変調周波数は570Hzであり、サンプル周波数は4560Hzであり、サンプル周波数は変調搬送波周波数の8倍(2×4)倍である。
サンプル周波数=n*4*変調周波数(nは整数)
最小サンプル周波数=4*変調周波数
【0083】
図11は、図2の変調器で行われるような、例示的な復調アルゴリズムのフローチャートを示している。前述したように、復調器は変調信号を2つのチャネルに分割して、第1の変調入力信号と第2の変調入力信号とを与えるマルチプレクサを具えている。
【0084】
第1の変調信号を考えると、これは第1の復調器搬送波で乗算される。復調器の局部発振器(LO)は振幅1、ピーク間振幅2の矩形波であり、従って、+1及び−1のサンプル値である。デューティサイクルは50%である。その周波数は変調搬送波周波数と等しい。この例においては、変調及びそれゆえの復調周波数は570Hzであり,サンプル速度は4560Hzである。従って、復調波形は8つのサンプル:搬送波の正のサイクルに対応する4つの+1の値と、搬送波の負のサイクルに対応する4つの−1の値とを具えている。従って、復調するLOの1サイクルはサンプル+1、+1、+1、+1、−1、−1、−1、−1で表わされ、このパターンは無限に繰り返され、連続したディジタル信号を生成する。第1の変調器信号を第1の復調器のLOで乗算し、I信号(ステップ1102)を得るために、変調信号の各々の測定値は、復調器の局部発振器信号の時間どおりに対応する値で乗算され、変調信号は+1か−1かのいずれかによって乗算される。+1及び−1による乗算の使用は、処理がオンチップで比較的単純となり、要求された場合にアプローチが単一集積回路に簡単に移動する。
【0085】
第2の変調信号を考えると、これは第2の復調器のLOで乗算される。復調器のLOは振幅1、ピーク間振幅2の矩形波であり、従って、+1及び−1のサンプル値である。デューティサイクルは50%である。その周波数は変調搬送波周波数と等しい。この例においては、変調及びそれゆえの復調周波数は570Hzであり,サンプル速度は4560Hzである。従って、復調波形は8つのサンプル:搬送波の正のサイクルに対応する4つの+1の値と、搬送波の負のサイクルに対応する4つの−1の値とを具えている。しかしながら、第2の復調器搬送波は第1の復調器搬送波に対して90度で位相シフトされている。従って、復調するLOの1サイクルはサンプル−1、−1、+1、+1、+1、+1、−1、−1で表わされ、このパターンは無限に繰り返され、連続した復調LOを生成する。これは上で与えられた第1の復調搬送波信号と同一ではなく、90度位相シフトしたバージョンであることに留意せよ。第1の変調器信号を第1の復調器のLOで乗算し、Q信号を得るために、変調信号の各々の測定値は、復調器の搬送波信号の時間どおりに対応する値で乗算(ステップ1105)され、変調信号は+1か−1かのいずれかによって乗算された。
【0086】
A/D変換器とディジタル復調器を用いた本例では、変調周波数の4倍の最小値で、あるいは4倍の変調周波数の整数乗算で、帯域フィルタをかけられた検出信号をサンプリングする要求は、90度の位相シフトが、サンプリングされた復調器LOをそのサイクルの1/4シフトされることにより正確に実装される。
【0087】
別々に、I及びQ信号はそれぞれ低域通過フィルタにかけられ、乗算処理の所望されない高調波及び産物を除去し、サンプル速度を減ずるようにデシメートされる。これは、8サンプルを長くするブロック(ステップ1103、1106)で各信号を合算することによって得られる。各チャネルにおいて、第1の8サンプルは合算され、第2の8サンプルも合算され、無限となる。これは1サイクルにわたりI及びQ信号を積分することと等しいことを理解すべきである。これは平均化プロセスであり、低域通過フィルタ周波数応答を与え、結果高周波数の乗算産物を減衰することが分かるであろう。これは変調搬送波の高調波の良い減衰を提供している。最終的に、8のサンプルを1のサンプルに合算するとき、このプロセスはデシメーション段階として作用する。この減少したサンプル速度は後の信号処理段階の演算の複雑さを簡単にし、SN比を変えるA/D変換器ノイズフロアを減ずる。
【0088】
フィルタをかけられ、デシメートされたI信号はI’とし、フィルタをかけられ、デシメートされたQ信号はQ’とする。
【0089】
最終的に、I’及びQ’信号は1の信号にデマルチプレクスされ、復調されたプレチスモグラムとなる。各I’サンプルは自乗されI’を与える(ステップ1104)。各Q’サンプルは自乗されQ’を与える(ステップ1107)。各I’サンプルはそれに対応するQ’サンプルに合算され、I’+Q’を与える(ステップ1108)。各合算されたサンプルは(I’+Q’0.5(ステップ1109)のように平方根計算され、プレチスモグラムのサンプルを与える。
【0090】
例示的なフォトプレチスモグラフ装置600の最終段階は、ブロック平均フィルタ609である。ブロック平均フィルタは19サンプルの連続的なブロックを合算して(ステップ1110)、1のサンプルを与える。これは平均化したフィルタ及びデシメータの機能を提供し、その特性を用いて、高調波関連ノイズ、特に60Hzのコンピュータモニタにより生成されるノイズを減少する。この平均フィルタは、サンプリング周波数の倍数時に零(大きな減衰)を与える周波数応答を有している。4560Hzの元のサンプリング周波数は8に、次いで9にデシメートされ、30Hzの最終的なサンプル周波数を与える。従って、平均フィルタ応答は30Hzの倍数で大きな減衰を与える。
【0091】
光源602は570Hzの搬送波で変調される。これは540Hz(60Hzの9番目の高調波)乃至600Hz(60Hzの10番目の高調波)の間の中間に配置される。これらの高調波は30Hzで現れる(総ての他の高調波は、30Hzの偶数倍で現れる)。ブロック平均フィルタ609は、この干渉を減衰する単純な方法である。フィルタリングのこの最終段階の出力(ステップ1111、1112)はプレチスモグラム(S1(t))である。
【0092】
最終的なサンプル速度及び結果としての最終段階のブロック平均フィルタの周波数特性は、復調器608とブロック平均フィルタ609に用いられるデシメータの比率に依存することが分かるであろう。従って、これらの比率を調整してブロック平均フィルタによる異なる高調波の減衰を与えることができる。変調搬送波周波数、サンプル速度及びデシメーション比の値の範囲は、以下の表1に与えられている。変調搬送波周波数、サンプル速度及びデシメーション比は、所定の、不確定な再生速度を減衰するのに選択される。
【0093】
【表1】

【0094】
典型的な出力信号を図13に示す。図13aは結合されたAC及びDC成分を示す。図13bは拡大されたAC成分を示す。高い方の周波数の周期性は測定された対象の脈拍数である。低い方の周波数の周期性は測定された対象の呼吸数であり、サーミスタプローブで検証された。脈拍数を決定するアルゴリズムは文献で共通に見られ、ピークの検出等からなる。
【0095】
[アプリケーション]
平均的なここに示したプレチスモグラフ装置は、信頼可能な反射モードセンサを、以前はフォトプレチスモグラムのセンシングに適さなかった身体の多くの部分で用いることができる。例えば、前頭は安全ヘルメットをかぶらなくてはならない、鉱山又は化学処理工場で働く従業者のように、過酷な条件でのモニタリングに大いに便利な部位である。装置は安全ヘルメットのバンド又は腕時計の下の手首上、あるいは身体のそのような便利な場所に都合よく配置することができる。前頭センサと頭部配置は「Branche et al:“Measurement Reproducibility and Sensor Placement Considerations in Designing a Wearable Pulse Oximeter for Military Applications”,IEEE 30th Annual Northeast Bioengineering Conference,Springfield,MA,United States,2004」に述べられた。この論文は、軍隊アプリケーション用の帽子に取り付けられた前頭センサを報告した。
【0096】
別の過酷な環境は、蘇生の必要がある新生児用の病院でのマタニティスイート内である。前頭にトランスデューサのように配置することは、医者に新生児の世話に集中することを可能にする一方、脈拍数を示す可聴ブリープを連続して聞ける。このような装置は、健康及び保全分野の他の過酷かつ日常的な環境に大いに適している。一方、社会的、家庭内、運動及び生物測定のアプリケーション用に衣類に何度も取り付けるためのソフトなアプリケーションが存在する。
【0097】
[結果]
図13、14、15は前述した例示のフォトプレチスモグラフ装置での実験結果を示している。フォトプレチスモグラフを用いて、対象の前頭を照射することによりプレチスモグラムを記録した。従って、これらのグラフは前頭のプレチスモグラムを示す。
【0098】
図13aは、プレチスモグラムのAC及びDC成分を示す。これは期待される従来のプレチスモグラム信号である。図13bは拡大されたAC成分を示す。センサ下の動脈脈拍伝送により生じた拍動性信号は、はっきりと見ることができる。これは、約10秒間の期間を有する他の低周波数信号と重ねられる。これは対象の吸気及び呼気としての血液量の変化によって生じる呼吸信号である。この実験において、対象は適切に一定速度及び深さで呼吸し、各々8秒ごとに吸気及び呼気を行った。このことは明らかに10乃至60秒の間に見られる。
【0099】
図14aは拡大されたプレチスモグラムのAC成分を示している。図14bはその後のAC成分が帯域フィルタをかけられて、拍動性信号を減衰したことを示している。フォトプレチスモグラムの呼吸信号ははっきりと見ることができる。
【0100】
図15はこの低周波数のAC信号がフォトプレチスモグラムの呼吸信号であることを断言している。図15aはフォトプレチスモグラムの呼吸信号を示している。図15bは経口型サーミスタからの信号を示している。このサーミスタは対象の呼吸が経由するプラスチックチューブ内に配置された。対象が息を吐くと、身体で暖められたハイカラの息が温度の上昇を起こす。対象が息を吸うと、部屋からの冷たい空気がサーミスタを横切って引き込まれ、センサは温度の低下を記録する。このようにして、呼吸数は測定され、フォトプレチスモグラム信号と相関して、フォトプレチスモグラムの呼吸数信号を確認した。
【0101】
図15aと15bの検査と比較は、プレチスモグラムのAC成分は拍動性及び呼吸性の双方の信号を含み、例示したフォトプレチスモグラフは簡単にこれらの信号を検出することを示している。2つの信号は、この場合、180度位相が異なるべきである。小さな位相遅れはサーミスタの熱キャパシタンスにより引き起こされる。
【0102】
一般的な態様において、ここに述べたようなフォトプレチスモグラフ装置の復調器の出力(例えば、プレチスモグラムS1(t))は、一般的に時間の関数として血液量を示す信号を提供する。これは、当業者に公知の技術を用いて分析できる。出力を更に用いて、血液成分又は血液組成を推定できる。検出した光強度の周期的な昇降は、単に組織内への動脈血の流入のせいであると推測される。ピークと底の測定値を用いることによって、動脈血による減衰が測定される。これを2つの異なる光学波長で行った場合、基地の技術を用いて、酸素飽和度(脱酸化された血液に対する酸化された血液の比)が推定される。
【0103】
[緑色光のフォトプレチスモグラフィ]
フォトプレチスモグラフィの技術は血液の相対的な酸素飽和度を決定する、パルスオキシメータに用いられる。これらの装置は通常伝送モードで用いられ、光は組織の領域を照射するのに用いられ、他の側で出現する光を検出、処理して、飽和の割合を決定する。この技術は手の指や足の指、耳たぶのような光が通過するほど薄い皮膚の領域に限定されている。
【0104】
伝送モードのパルスオキシメトリでの光の波長の選択は重要である。血液によル光の吸収は、450nm乃至600nm、更に600nm乃至650nm及びそれ以上の大きさで減少する。この吸収は光子経路長と吸収計数との関数であり、伝送モードでは非常に大きい。この結果は、450nm乃至600nmの間の光の減衰が非常に高く、そのような範囲について、600nm未満の波長の非常に小さな光が、手の指、足の指又は耳たぶのような付属肢を通過する。一般的な光は650nm又はそれより高いもので用いられる。
【0105】
同様に、フォトプレチスモグラフィの調査のほとんどは、伝送モードで動く装置でなされており、従って、600nmより大きい波長の光が使用されてきた。
【0106】
反射モードを用いた場合、経路長と、結果としての全体の吸収は小さくなる。これは光は付属肢を通過しないためであるが、組織の表層から検出器まで分散(又は反射)される。これは、450nm乃至600nmの光は用いることができることを示している。しかし、その強度はまだ非常に小さく、小さなノイズ検出技術が十分なSN比を得るのに必要である。
【0107】
平均して、強く吸収される波長の光を用いるのは、主な吸収媒体が血液だからである。これは、血液量の変化が450nm乃至600nmの光強度で、600nmを超えるものよりも対応する大きな変化を生ずることを示している。従って、光の振幅が大きな度合で血液によって変調され、反射するフォトプレチスモグラム信号の拍動成分は、450nm乃至600nmの間の光が用いられた場合に、600nmより上の光が用いられる場合よりも、より大きい。この異事が図16と17によって例示されている。
【0108】
図16は510nmの波長で緑色光を用いたフォトプレチスモグラムを示し、図17は644nmの波長で赤色光を用いたフォトプレチスモグラムを示す。双方のプロットでy軸の範囲は同一である。緑色光が赤色光よりも大きな拍動性信号を与えることが明らかに分かる。心拍によって生じたパルスは、赤色光を用いた場合よりもはっきりと見栄、大きな振幅であり、対応するSN比の改善を伴っている。
【0109】
更に、緑色光からの結果は低周波数ベースのライン変動として呼吸信号を示している。呼吸信号は赤色光を用いた場合、容易には観察できなかった。
【0110】
ここに述べた数多くの特徴は、互いに併用して容易に用いることができる。
【0111】
図2と関連して述べたように、復調器が変調信号と復調器の発振器との間のどんな位相差にも反応しない、矩形復調での変調光の使用は、従来技術の方法の上にいくつかの利点を提供する。変調したフォトプレチスモグラム信号は変調周波数で帯域フィルタをかけられてDC周辺光、100Hzの蛍光灯、60Hzのコンピュータモニタの光、及びフリッカノイズの良い減衰を与えることができる。従って、それは、赤色LEDと赤外LEDとの間で多重送信する時分割マルチプレクシングの方法として用いられる、パルスオキシメータで共通して用いられるタイムスロット検出で、DC(未変調の)光又は変調した光を用いた先行技術の機構より、干渉に対して良い除去を与えている。
【0112】
矩形復調は更に、変調及び復調搬送波の位相間の差にも反応しない。このことは、復調処理を単一アルゴリズムへ単純化でき、搬送波の同期は必要としない。
【0113】
矩形変調はここに述べた複数波長のプレチスモグラフ装置並びにピクセルアレイ装置、反射モード装置及び緑色光装置と併用して容易に用いることができる。
【0114】
緑色光のフォトプレチスモグラフィと矩形復調との組合せは、特定の利点があることがわかる。緑色光の使用は、検出したフォトプレチスモグラム信号及び帯域フィルタでの変調信号の大きさを最大にし、矩形復調はノイズの効果を最小化する。故に、この組合せはSN比を最大化し、これは心拍数及び呼吸数が高い信頼度で抽出できることを示している。心拍数の検出の場合においては、誤った正量又は誤った心拍を減ずる。呼吸信号の場合においては、以前は検出することが難しかった信号をはっきりと回復させ、この技術は誤った正量又は誤った呼吸の数を減ずる。
【0115】
このように、フォトプレチスモグラム信号の改善されたSN比は心拍数及び呼吸に関する信号の特徴の検出を改善し、従って、それらの特徴を用いて心拍数及び呼吸数を決定するいかなるアルゴリズムの信頼度も改善する。
【0116】
図1−3、6、12、18−20のような様々な図で、連続時間領域の信号、すなわち、時間の関数として変化する振幅を有するアナログ信号を示すように変調信号はM1(t)と、復調信号はD1(t)と標識されている。述べた配置は、例えばマイクロプロセッサにおいて、ディジタル信号処理アルゴリズムを用いることによりたやすく実装できることは理解すべきである。このような場合、M1、D1は離散サンプリング信号M1(n)、D1(n)となることを理解すべきである。同様に、図12において関数ブロックG(s)及びB(s)は、信号処理アルゴリズムB(z)1201とG(z)1203により表わすことができる。
【0117】
他の実施例は、意図的に添付の請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、単一波長のフォトプレチスモグラフ装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1のフォトプレチスモグラフ装置の使用に適した、復調器の機能ブロック図である。
【図3】図3は、複数波長のフォトプレチスモグラフ装置の機能ブロック図である。
【図4】図4は、ピクセルアレイのフォトプレチスモグラフ装置の概略平面図である。
【図5】図5aは偏光フィルタを有する非接触のフォトプレチスモグラフ装置の概略側面図であり、図5bは図7の反射モードのフォトプレチスモグラフ装置で使用する偏光フィルタの平面図である。
【図6】図6は、単一波長のフォトプレチスモグラフ装置の機能ブロック図である。
【図7】図7は、反射モードのフォトプレチスモグラフ装置の概略正面図、側面図、端面図である。
【図8】図8は、ここに述べたフォトプレチスモグラフ装置の使用に適した伝送増幅器の回路図である。
【図9】図9は、ここに述べたフォトプレチスモグラフ装置の使用に適した帯域フィルタ回路の回路図である。
【図10】図10は、ここに述べたフォトプレチスモグラフ装置の使用に適した光源駆動回路の回路図である。
【図11】図11は、ここに述べたフォトプレチスモグラフ装置の使用に適した復調アルゴリズムを例示したプロセスフロー図である。
【図12】図12は、ここに述べたフォトプレチスモグラフ装置の使用に適した光源輝度制御ループの機能ブロック図である。
【図13】図13aはフォトプレチスモグラフ装置の結合したAC及びDC出力を示したフォトプレチスモグラムであり、図13bは、図13aからの拡大したAC成分を示したフォトプレチスモグラムである。
【図14】図14aは結合した拍動性の、及び、呼吸の信号を示したフォトプレチスモグラムであり、図14bは、図14aの呼吸信号のみを示したフォトプレチスモグラムである。
【図15】図15aは呼吸信号のみを示したフォトプレチスモグラムであり、図15bは経口型サーミスタによって測定される場合の対応する呼吸信号である。
【図16】図16は、波長510nmの緑色光源を用いて記録したフォトプレチスモグラムである。
【図17】図17は、波長644nmの赤色光源を用いて記録したフォトプレチスモグラムである。
【図18】図18は、図1のフォトプレチスモグラフ装置に用いるのに適した別の復調器の機能ブロック図である。
【図19】図19は、図1のフォトプレチスモグラフ装置に用いるのに適した別の復調器の機能ブロック図である。
【図20】図20は、図1のフォトプレチスモグラフ装置に用いるのに適した別の復調器の機能ブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的対象を照射するための光源と;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する変調器と;
前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として電気出力を生成するための検出器と;
当該検出器の出力を受け、局部発振器を有し、前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調信号を生成するための、前記変調信号と前記発振器との間のいかなる位相差にも反応しない復調器と;
当該復調器の出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成する手段と;
を具えることを特徴とするフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項2】
前記復調器が:
前記検出器の出力を、発振器の周波数と、前記検出器の出力に比例する第1の位相とを有する局部発振器の出力と混合し、第1の位相信号出力を生成するように構成される第1のチャネルと;
前記検出器の出力を、前記発振器の周波数と、前記第1の位相と異なる、前記検出器の出力に比例する第2の位相とを有する局部発振器の出力と混合し、第2の位相信号出力を生成するように構成される第2のチャネルとを具え;
前記第1及び第2の位相信号出力は前記復調出力を形成する;
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項3】
前記局部発振器の周波数は前記変調周波数と実質的に等しいことを特徴とする請求項2に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項4】
前記第1のチャネルに混合するための第1の位相出力と、前記第2のチャネルに混合するための第2の位相出力とを有する単一の局部発振器を具えることを特徴とする請求項2に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項5】
前記第1の位相出力及び前記第2の位相出力が実質的に90度の相対位相角度であることを特徴とする請求項4に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項6】
前記単一の局部発振器の前記第1の位相出力及び前記第2の位相出力の位相が同じであり、前記復調器が、前記検出器の出力を2のチャネル信号に分割するためのスプリッタと、前記2のチャネルへの入力として用いられる前記分割された検出器の出力信号間に位相シフトを提供するための、少なくとも1のチャネルの位相シフトデバイスとを有することを特徴とする請求項4に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項7】
前記分割された検出器の出力信号間の位相シフトが、実質的に90度であることを特徴とする請求項6に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項8】
前記混合プロセスによって生成される前記第1及び第2のチャネルの前記第1及び第2の位相出力中の高調波を除去するローパスフィルタを更に含むことを特徴とする請求項2に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項9】
前記検出器の出力又は前記復調出力の関数として前記光源の出力強度を調整するように構成されるフィードバック回路を更に具えることを特徴とする請求項1に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項10】
前記フィードバック回路が前記復調出力からのプレチスモグラムの検出を維持するのに十分なレベルで、前記光源の出力強度を維持するように構成されることを特徴とする請求項9に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項11】
前記光源の出力が450nm乃至600nmの間の光学スペクトルの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項12】
前記第1の光源より異なる波長の光で、前記標的対象を照射するための第2の光源と;
出力強度が第2の変調信号の関数として変化するように前記第2の光源を駆動する第2の変調器と;
前記第2の変調信号を表す第2の復調出力を生成するための第2の復調器と;
を含むことを特徴とする請求項1に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項13】
前記第2の復調器が前記変調信号と前記第2の復調器の局部発振器との間のいかなる位相差にも反応しないことを特徴とする請求項12に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項14】
前記第2の復調器の出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成する手段を更に含むことを特徴とする請求項12に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項15】
前記変調周波数を通過させるだけ十分に広い通過帯域と、前記検出器の出力中のプレチスモグラムの振幅変調によって生ずるいずれかの側帯波とを有する、前記検出器の出力と前記復調器入力との間に結合される帯域フィルタを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項16】
前記通過帯域が実質的に前記変調周波数の両側の25Hzに限定されることを特徴とする請求項15に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項17】
前記光源と検出器が、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、基板上で互いに側方隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項18】
プレチスモグラムを生成する方法であって:
標的対象を光源で照射するステップと;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を変調器で駆動するステップと;
検出器で前記標的対象からの光を受け、受けた光の強度の関数としての電気出力を生成するステップと;
局部発振器を有し、前記変調信号とそのいずれかの側帯波とを表わす復調信号を生成し、前記変調信号と前記発振器との間のいずれの位相差にも反応しない復調器で、検出器の出力を受けるステップと;
前記復調器信号から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
各々が標的対象の一部分を照射するための1又はそれ以上の光源と;
各光源の出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する1又はそれ以上の変調器と;
前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として1又はそれ以上の電気出力を生成するための1又はそれ以上の検出器と;
各々が1又はそれ以上の電気出力を受け、前記変調光源のうちの1つの前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調信号を生成し、それによって、前記複数の光源及び/又は複数の検出器に対応して複数の復調器の出力を生成するための複数の復調器と;
当該復調器の出力から、各々の前記復調出力用の時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示すプレチスモグラム信号を生成する手段と;
を具えることを特徴とする、フォトプレチスモグラフ装置。
【請求項20】
各々が異なる波長での光学出力を有する複数の光源を具えると共に、前記複数の復調器の各々がそれぞれ異なる前記光学波長の変調信号を表わす復調器の出力を生成することを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項21】
最良のSN比を提供する復調出力のうちの1つを選択する手段を更に含むことを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項22】
前記複数の復調器の出力から、個々の成分分析、主要な成分分析、及びブラインドソースセパレーションのうちの1又はそれ以上を行い、前記SN比を改善する手段を更に含むことを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項23】
前記複数の光源が、基板上のピクセルアレイ内に配置される複数の光源を含むことを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項24】
前記ピクセルアレイ中の前記光源の相対空間配置と相関した、前記血液量及び/又は血液成分の空間分布をマッピングする手段を更に具えることを特徴とする請求項23に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項25】
複数の光源を具え、これらの光源が異なる変調周波数で駆動されることを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項26】
各々の前記復調器がそれぞれの前記光源に対応する復調出力を生成する、請求項25に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項27】
各々がそれぞれの前記光源波長を受けるように作用する複数の検出器を具え、各々の前記復調器がそれぞれの前記光源に対応する復調出力を生成する、請求項20に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項28】
各々の前記復調器が局部発振器を有し、前記それぞれの変調信号を表わす復調出力を生成し、前記復調器が前記各々の変調信号と前記復調器の発振器との間のいかなる位相差にも反応しないことを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項29】
前記1又はそれ以上の光源と1又はそれ以上の検出器が、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、ある基板上で互いに側方隣接して配置されることを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項30】
基板上のピクセルアレイにそれぞれ配置された、複数の検出器及び対応する複数の復調器を含むことを特徴とする請求項19に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項31】
前記ピクセルアレイ中の前記検出器の相対空間配置と相関した、前記血液量及び/又は血液成分の空間分布をマッピングする手段を更に具えることを特徴とする請求項30に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項32】
プレチスモグラムを生成する方法であって:
標的対象の一部分を1又はそれ以上の光源で照射するステップと;
前記光源を1又はそれ以上の変調器で駆動して、各光源の出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するようにするステップと;
1又はそれ以上の検出器で前記標的対象からの光を受け、受けた光の強度の関数としての1又はそれ以上の電気出力を生成するステップと;
各々が前記変調光源とそのいずれかの側帯波のうちの1つの前記変調信号を表わす変調出力を生成する複数の復調器で1又はそれ以上の前記電気出力を受け、して、それによって前記複数の光源に対応して複数の復調器の出力を生成するステップと;
前記復調器の出力から、各々のピクセルアレイの復調出力用の時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示すプレチスモグラム信号を生成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
非接触用途のフォトプレチスモグラフ装置であって:
第1の偏光フィルタを介して標的対象を照射するための光源と;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する変調器と;
前記第1の偏光フィルタと異なる偏光度を有する第2の偏光フィルタを介して、前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として電気出力を生成するように構成される検出器と;
当該検出器の出力を受け、前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調出力を生成する復調器と;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成する手段と;
を具えることを特徴とするフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項34】
前記第1及び第2の偏光フィルタが、互いに90度での相対偏光度で配置されることを特徴とする請求項33に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項35】
前記検出器が局部発振器を有し、前記変調信号を表わす復調出力を生成し、前記復調器が前記変調信号と前記復調器の発振器との間のいかなる位相差にも反応しないことを特徴とする請求項33に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項36】
前記光源と検出器が、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、基板上で互いに側方隣接して配置されることを特徴とする請求項33に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項37】
前記光源が600nm未満の波長の光学出力を有することを特徴とする請求項33に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項38】
前記光源が440nm乃至574nmの間、あるいは、500nm乃至600nmの間の波長の光学出力を有することを特徴とする請求項37に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項39】
プレチスモグラムを生成する方法であって:
第1の偏光フィルタを介して、標的対象を光源で照射するステップと;
前記光源を変調器で駆動して、出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するようにするステップと;
前記第1の偏光フィルタと異なる偏光度を有する第2の偏光フィルタを介して、検出器で前記標的対象からの光を受け、前記検出器が受けた光の強度の関数としての電気出力を生成するステップと;
復調器で検出器の出力を受け、前記変調信号とそのいずれかの側帯波とを表わす復調出力を生成するステップと;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項40】
非接触用途のフォトプレチスモグラフ装置であって:
600nm未満の波長の光学放射で標的対象を照射するための光源と;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を駆動する変調器と;
前記標的対象から光を受け、受けた光の強度の関数として電気出力を生成するように構成された検出器であって、前記光源と検出器は、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、基板上で互いに側方隣接して配置される検出器と;
当該検出器の出力を受け、前記変調信号及びそのいずれかの側帯波を表わす復調出力を生成する復調器と;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成する手段と;
を具えることを特徴とするフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項41】
前記光源が440nm乃至574nm間、あるいは、500nm乃至600nm間の波長の光学放射で前記標的対象を照射するように構成されることを特徴とする請求項40に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項42】
前記光源が前記第1の偏光フィルタを介して標的対象に照射するように構成され、前記検出器が前記第1の偏光フィルタと異なる偏光度を有する第2の偏光フィルタを介して、前記標的対象から光を受けるように構成されることを特徴とする請求項40に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項43】
前記光源と検出器が、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、基板上で互いに側方隣接して配置されることを特徴とする請求項40に記載のフォトプレチスモグラフ装置。
【請求項44】
プレチスモグラムを生成する方法であって:
光源からの600nm未満の波長の光学放射で標的対象を照射するステップと;
出力強度がある変調周波数での変調信号の関数として変化するように前記光源を変調器で駆動するステップと;
検出器で前記標的対象からの光を受け、受けた光の強度の関数としての電気出力を生成し、前記光源と検出器が、その活性面が標的本体の表面のほぼ同一地点に向くように、基板上で互いに側方隣接して配置されるステップと;
復調器で前記検出器の出力を受け、前記変調信号とそのいずれかの側帯波とを表わす復調出力を生成するステップと;
前記復調出力から、時間及び/又は血液成分の関数としての血液量を示す信号を生成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2009−533121(P2009−533121A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504821(P2009−504821)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001355
【国際公開番号】WO2007/122375
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(500342709)ザ ユニバーシティ オブ ノッティンガム (7)
【Fターム(参考)】