説明

フック付きワッシャーセット及びこれを用いた取付物の取付構造

【課題】専用の固着具を用いることなくフック部を設けることができ、且つ、取付け状態において見栄えの良いフック付きワッシャーセット及び取付物の取付構造を提供する。
【解決手段】取付物を被取付部に取り付けるためのねじ2の軸部2bが通されるワッシャー部7及びこのワッシャー部7に接続されたフック部8を有するフック付きワッシャー5を備える。フック付きワッシャー5に取り付けられてワッシャー部7に軸部が通されたねじ2の頭部2aを覆うキャップ6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフックを設ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面化粧台等が設置される洗面所においては、持ち手を有するコップや柄に孔があけられた歯ブラシ等、引っ掛けられる小物が多く利用されている。従来、これら小物を引っ掛けるために洗面化粧台等に吸盤や両面テープを用いて小物を引っ掛けるためのフックが設けられていた。
【0003】
また、特許文献1には浴室壁に取り付けられるカウンターに取付ねじを用いてフックが取り付けられ、該フックに載置プレートが引っ掛けられた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−289498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述したフックは洗面化粧台やカウンター等に取り付けるために吸盤や両面テープ、取付ねじ等を別途用いる必要があり、また、これら吸盤や両面テープ、取付ねじ等が外観上露出して外観が害されることもある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、専用の固着具を用いることなくフックを設けることができ、且つ、取付け状態において見栄えの良いフック付きワッシャーセット及び取付物の取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のフック付きワッシャーセットは、取付物を被取付部に取り付けるためのねじの軸部が通されるワッシャー部及びこのワッシャー部に接続されたフック部を有するフック付きワッシャーと、このフック付きワッシャーに取り付けられて前記ワッシャー部に軸部が通されたねじの頭部を覆うキャップを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の取付物の取付構造は、前記フック付きワッシャーセットを用いた取付物の取付構造であって、前記取付物に形成された取付部が前記被取付部となる壁に沿って配置され、前記ねじの軸部が前記フック付きワッシャーのワッシャー部及び取付部に順に通された後、前記壁に固着されて、前記取付部が前記壁に固定されると共に前記取付部に前記フック付きワッシャーが固定され、前記フック付きワッシャーに前記キャップが取り付けられ、このキャップで前記ねじの頭部が覆われたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフック付きワッシャーセットは、ワッシャー部に引掛物を引っ掛けるためのフック部が接続されたフック付きワッシャーを備えている。このため、取付物を被取付部にねじで取り付けるにあたって、一般のワッシャーに替えてフック付きワッシャーのワッシャー部にねじを通すことで、取付物を被取付部に取り付けるためのねじを用いて、フック部を取付物に設けることができる。従って、専用の固着具を用いることなくフックを取付物に設けることができる。また、取付物に取り付けられたフック付きワッシャーにキャップを取り付けて、キャップでワッシャー部に軸部が通されたねじの頭部を覆うことができ、見栄えが良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態のフック付きワッシャーセット及びねじの分解斜視図である。
【図2】フック付きワッシャーセットを取付けた洗面化粧台の斜視図である。
【図3】フック付きワッシャーセットを用いた洗面化粧台の取付構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。図1乃至図3に示す本実施形態のフック付きワッシャーセット1は、取付物を被取付部に取り付ける際に一般のワッシャーに替えて用いられるものであり、以下では被取付部を建物内の壁16とし、取付物を壁16に沿って設置される洗面化粧台のキャビネット17とした例につき説明する。なお、以下のフック付きワッシャーセット1の説明ではキャビネット17に取り付けた状態における方向を基準として説明し、すなわち、図3の矢印a、矢印b、矢印c及び矢印dで示す方向の夫々を前方、後方、上方、及び下方と定義して説明する。
【0012】
図1に示されるように本実施形態のフック付きワッシャーセット1は、フック付きワッシャー5と、フック付きワッシャー5に着脱自在に取り付けられるキャップ6で構成されている。
【0013】
フック付きワッシャー5は、ワッシャー部7と、ワッシャー部7から下方に向けて一体に伸び出たフック部8で構成されている。
【0014】
ワッシャー部7は円環板状に形成され、その中心にはねじ2の頭部2aよりも小径で且つねじ2の軸部2bよりも大径の円形の孔9が形成されている。ワッシャー部7の中央部は外縁部よりも後方に一段凹んだねじ当て部11とされ、ねじ当て部11よりも前側に突出した外縁部は被係止部10とされている。
【0015】
フック部8は、上端がワッシャー部9の被係止部10又はねじ当て部11に接続され、側面視略J字状に曲げられた片部からなる。
【0016】
キャップ6は、ワッシャー部9と略同径の円盤部12と、円盤部12の周縁から後方に突出する周壁部13で構成され、図3のように周壁部13の後縁部には内方に突出する係止部15が形成されている。
【0017】
図2に示すキャビネット17は、図示しない洗面ボウルを有する洗面台の後端部上方に配設され、この洗面台とキャビネット17で洗面化粧台が構成される。キャビネット17は前面にミラー18が設けられたミラー付きキャビネットであり、キャビネット17のミラー18の両側には小物を収納するための前方に開口する収納部19が形成されている。各収納部19には小物を載置するためのトレイ等が設けられている。本実施形態では各収納部19の後壁部が壁16に取り付けられる取付部21となっており、各取付部21には図3のようにねじ2の軸部2bを通すための前後方向に貫通する通し孔22が形成されている。
【0018】
各取付部21を壁16に取り付けるには、図3に示すように壁16に沿わせた取付部21の前面に、フック付きワッシャー5のワッシャー部7の背面を当て、この状態でねじ2の軸部2bをワッシャー部7の孔9及び取付部21の通し孔22に順に通して、軸部2bの先部を壁16に捻じ込み固着する。これによって、取付部21は壁16に対して固定される。また、フック付きワッシャー5はねじ当て部11がねじ2の頭部2aと取付部21の間に挟まれて支持され、これによって取付部21に対して固定される。
【0019】
このように取付部21に取り付けられたフック付きワッシャー5にはキャップ6が取り付けられる。キャップ6を取り付けるには、キャップ6をワッシャー部9に前側から被せる。これによって係止部15はワッシャー部7の被係止部10の後面と係わり合って止まり、キャップ6はワッシャー部7に対して着脱自在に取り付けられることとなる。このようにフック付きワッシャーセット1に取り付けられたキャップ6は円盤部12がワッシャー部7及びねじ2の頭部2aの前方に配置され、円盤部12でワッシャー部7及びねじ2の頭部2aの前側が覆われる。また、フック部8はキャップ6から下方に突出する。
【0020】
このようにキャビネット17にフック付きワッシャー5を取り付けることで、フック付きワッシャー5が有するフック部8の先端部に、持ち手を有するコップや柄に孔があけられた歯ブラシ等の引掛物を引っ掛けて支持することが可能になる。
【0021】
本実施形態のフック付きワッシャーセット1は、ワッシャー部7にフック部8が接続されたフック付きワッシャー5を備えている。このため、取付物であるキャビネット17を被取付部となる壁16にねじ2で取り付けるにあたって、一般のワッシャーに替えてフック付きワッシャー5のワッシャー部7にねじ2を通すだけで、キャビネット17を壁16に取り付けるためのねじ2を用いて、キャビネット17にフックを設けることができる。また、前述のようにキャビネット17に取り付けられたフック付きワッシャー5にキャップ6を取り付けることで、キャップ6でワッシャー部7に通されたねじ2の頭部2aを覆うことができ、見栄えが良い。また、ワッシャー部7に通されるねじ2は建物の壁16に固着されるため、フック付きワッシャー5を強固に取り付けることができ、フック部8の支持強度が増す。
【0022】
なお、本実施形態では取付物をキャビネット17としたが、これに限定されるものではなく、取付物はねじ2により被取付部に取り付けられるものであればよい。また、被取付部も壁16に限られるものではない。
【符号の説明】
【0023】
2 ねじ
2a 頭部
2b 軸部
4 ワッシャー部
6 キャップ
8 フック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付物を被取付部に取り付けるためのねじの軸部が通されるワッシャー部及びこのワッシャー部に接続されたフック部を有するフック付きワッシャーと、このフック付きワッシャーに取り付けられて前記ワッシャー部に軸部が通されたねじの頭部を覆うキャップを備えたことを特徴とするフック付きワッシャーセット。
【請求項2】
請求項1に記載のフック付きワッシャーセットを用いた取付物の取付構造であって、前記取付物に形成された取付部が前記被取付部となる壁面に沿って配置され、前記ねじの軸部が前記フック付きワッシャーのワッシャー部及び取付部に順に通された後、前記壁面に固着されて、前記取付部が前記壁面に固定されると共に前記取付部に前記フック付きワッシャーが固定され、前記フック付きワッシャーに前記キャップが取り付けられ、このキャップで前記ねじの頭部が覆われたことを特徴とする取付物の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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