説明

フラッシュファイルシステムのROMライター対応

【課題】マザーフラッシュメモリを作成したフラッシュファイルシステムのフラッシュメモリのソケットに、マザーフラッシュメモリをコピーしたフラッシュメモリを差し込んでも、データの論理的な並びは同じでも物理的な並びが変わっているために読み取ることができない現象が生じることを改善する。
【解決手段】フラッシュファイルシステムがROMライターによりコピーされたフラッシュメモリのデータを読み込むとき、予め該フラッシュメモリの各ブロックの物理アドレスを論理アドレスに変換するようにしたフラッシュファイルシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュファイルシステムを使用したROMライター対応であって、ROMライターで量産したフラッシュメモリをフラッシュファイルシステムで読み込むときの課題を解決する手法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、音楽や映像、地図や辞書のデータはフラッシュファイルシステムを使用して1つのフラッシュメモリに書き込みマザーメモリとすることは多い。また、それらのフラッシュメモリ(マザーメモリ)に書かれたデータはROMライターを用いて量産することが常である。またはROMライターと同様の手段によって、論理的に同一のフラッシュメモリを量産することがある。このように、フラッシュメモリを用いた量産は、マザーとなるフラッシュメモリをコピーして量産しなければならない。
【0003】
フラッシュファイルシステムのROMライター対応に関する文献は無いが、フラッシュファイルシステムに関するものは以下のとおりである。
【特許文献1】特開2007−013805
【特許文献2】特開2004−288150
【特許文献3】特開2004−013895
【特許文献4】特開2001−006374
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラッシュメモリは必ず不良ブロックの存在を考慮する必要があるため、同一のデータをROMライターにより書き込んでも、ROMライターは不良ブロックを飛ばしてデータを書き込むため、物理的に同一のフラッシュメモリは量産できない。このように、フラッシュメモリを用いて量産すると、マザーフラッシュメモリと必ずしも物理的に同一のフラッシュメモリができるわけではない。
【0005】
そのため、マザーフラッシュメモリを作成したフラッシュファイルシステムのフラッシュメモリのソケットに、それらのコピーしたフラッシュメモリを差し込んでも読み取ることができない現象が生じる。データの論理的な並びは同じでも、物理的な並びが変わっているからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本願はマザーフラッシュメモリを作成したフラッシュファイルシステムが、マザーフラッシュメモリを作成したフラッシュメモリのソケットにコピーしたフラッシュメモリを差し込み読み取るときに、予め読み取るフラッシュメモリの不良ブロックを読み取り、物理ブロックを論理ブロックに変換する変換表を作り、または不良ブロックのリストを作り、フラッシュファイルシステムのメモリ部や当該フラッシュメモリの先頭番地に書き込んでおき、当該フラッシュメモリを読み込むときには、概論物変換表や不良ブラック表を参照して、常に論理ブロックを読み込むと、正しく読み込むことができる。
【0007】
即ち、課題を解決するための手段は、フラッシュファイルシステムがROMライターによりコピーされたフラッシュメモリのデータを読み込むとき、予め該フラッシュメモリの各ブロックの物理アドレスを論理アドレスに変換することを特徴とし、該物理アドレスを該論理アドレスに変換した結果をフラッシュファイルシステムのメモリまたはフラッシュメモリの先頭ブロックに記録して使用する。さらには、フラッシュファイルシステムがROMライターによりコピーされたフラッシュメモリのデータを読み込むとき、予め該フラッシュメモリの不良ブロックの番号を該フラッシュファイルシステムのメモリまたはフラッシュメモリの先頭番地に記録する方法を取る。
【発明の効果】
【0008】
フラッシュファイルシステムで作成したマザーフラッシュメモリを用いてROMライターで量産したとき、フラッシュファイルシステムは量産されたフラッシュメモリを読むことができない。本願はこれらの課題を解決したため、フラッシュファイルシステムで作成したマザーフラッシュメモリを自由にROMライターで量産することが可能となった。
【実施例1】
【0009】
外部フラッシュメモリの読み書きは図2のようなCPU1、フラッシュメモリ用ソケット5、主記憶装置6により構成される。主記憶装置6の中にはソフトウェアとしてフラッシュファイルシステム2とOS3が搭載されている。CPU1を通して作られた音楽や映像、地図や辞書のデータは一旦、ワーキングRAM4に蓄えられる。その後、フラッシュファイルシステム2はワーキングRAM4のデータをバス7を介してフラッシュメモリ用ソケット5に差し込まれたマザーフラッシュメモリ(図示されていない)に書き込まれる。
【0010】
このようにして作られたマザーフラッシュメモリは、別途用意されたROMライターを使用し、多くのコピーが量産される。しかし課題にも述べたようにそれらの複製されたフラッシュメモリは、そのままフラッシュメモリ用ソケット5に差し込んでもファラッシュファイルシステム2はワーキングRAM4へ転送することはできない。それは、複製された全てのフラッシュメモリはマザーフラッシュメモリと物理的には同一ではないからである。
【0011】
そこで図1に上記の方法で作られたマザーフラッシュメモリの物理ブロック番号と論理ブロック番号の対比を示す。フラッシュメモリには必ず不良ブロックが存在するため、マザーフラッシュメモリの不良ブロックを4と6とすると、図のように(物理ブロック、論理ブロック)は(1,1)(2,2)(3,3)(5,4)(7,5)・・・。となる。次に、コピーされたフラッシュメモリ1は不良ブロックが2,7だとすると図のように(物理ブロック、論理ブロック)は(1,1)(3,2)(4,3)(5,4)(6,5)・・・。となる。また、コピーされたフラッシュメモリ2は不良ブロックが3,5であるので図のように(物理ブロック、論理ブロック)は(1,1)(2,2)(4,3)(6,4)(7,5)・・・。となる。さらに、コピーされたフラッシュメモリ3は不良ブロックが1,4であるので図のように(物理ブロック、論理ブロック)は(2,1)(3,2)(5,3)(6,4)(7,5)・・・。となる。
【0012】
このようにそれぞれのフラッシュメモリに応じて物理ブロック番号と論理ブロック番号の対比をワーキングRAM4や各フラッシュメモリのブロック0(先頭ブロック)に書き込んでおけば、フラッシュファイルシステム2はどのようなフラッシュメモリがフラッシュメモリ用ソケット5に差し込まれても、そのデータを読む順序がわかるため、フラッシュファイルシステム2を通して読みこみ、ワーキングRAM4に書き込むことができる。
【0013】
また、このように物理ブロックの番号と論理ブロックの番号の対比表を予め作っておかなくても、不良ブロックの番号のみをワーキングRAM4内に書き込んでおくか、または各々のフラッシュメモリーのブロック番号0(先頭ブロック)に書き込んでおくことにより、そのデータを元に物理ブロックと論理ブロックの対比表をいつでも作ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
近年、フラッシュメモリの用途は著しく増加している。それに伴い、フラッシュファイルシステムの増加も著しい。さらにフラッシュファイルシステムを使用したアプリケーションも増加する中で、マザーフラッシュメモリのコピーに課題がある。これらの課題を克服したフラッシュファイルシステムのROM対応技術は産業上の利用価値が極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】マザーフラッシュメモリと複製されたフラッシュメモリ。
【図2】フラッシュファイルシステムを使用した外部フラッシュメモリの読み書きの構成。
【符号の説明】
【0016】
1 CPU
2 フラッシュファイルシステム
3 OS
4 RAM
5 フラッシュメモリ用ソケット
6 主記憶装置
7 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュファイルシステムがROMライターによりコピーされたフラッシュメモリのデータを読み込むとき、予め該フラッシュメモリの各ブロックの物理アドレスを論理アドレスに変換することを特徴とするフラッシュファイルシステム。
【請求項2】
該物理アドレスを該論理アドレスに変換した結果をフラッシュファイルシステムのメモリに記録して使用する請求項1記載のフラッシュファイルシステム。

【請求項3】
該物理アドレスを該論理アドレスに変換した結果を該フラッシュメモリの先頭ブロックに記録して使用する請求項1記載のフラッシュファイルシステム。
【請求項4】
フラッシュファイルシステムがROMライターによりコピーされたフラッシュメモリのデータを読み込むとき、予め該フラッシュメモリの不良ブロックの番号を該フラッシュファイルシステムのメモリに記録するフラッシュファイルシステム。
【請求項5】
フラッシュファイルシステムがROMライターによりコピーされたフラッシュメモリのデータを読み込むとき、予め該フラッシュメモリの不良ブロックの番号を該フラッシュメモリの先頭番地に記録するフラッシュファイルシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−43021(P2009−43021A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207268(P2007−207268)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(302004850)株式会社京都ソフトウェアリサーチ (7)
【Fターム(参考)】