説明

フラッシュ扉

【課題】
撓みや捩れを矯正することができるフラッシュ扉を提供すること。
【解決手段】
上下左右の枠材2〜5からなる枠組の表裏両面に面材6、7を張り付けて構成されたフラッシュ扉1であって、面材6、7間に配置され、フラッシュ扉1の上部及び下部の第一面材6側に両端が固定されるとともに、中間部にネジ穴9が形成された板バネ8と、軸方向への移動を伴わずに回転自在に設けられ、ネジ穴9に螺合される操作ネジ10とを備え、操作ネジ10を回転させることによって板バネ8を第二面材7と離反又は接近させ、これにより板バネ8を上下方向に伸縮させてフラッシュ扉1の撓みを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュ扉に関するものであり、さらに詳しくは、撓みや捩れを矯正できるフラッシュ扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の建物、家具に取り付けられる扉には、上下左右の枠材からなる枠組の表裏両面に、木質の面材を張り付けて構成されるフラッシュ扉が多く用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなフラッシュ扉には、枠材として、木材、パーティクルボード、合板、繊維板等の木質材料、或いはこれら木質材料を2〜3種類貼り合わせた複合板が用いられ、面材として、通常、合板、繊維板等の木質板の表面に天然銘木を薄くスライスした突き板や木目模様を印刷したシートを貼った化粧板、或いは表面に化粧をしていない木質の素板が用いられている。
【特許文献1】特開平7−217063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記フラッシュ扉に使用される木質材料は、水分を吸収又は排出することにより、膨張又は収縮する性質がある。そのため、表面と裏面に膨張率等の性質が異なる材質の面材を用いた場合や、表面側と裏面側で湿度等の条件が異なる環境下において使用される場合には、表裏の面材の膨張・収縮の度合いに差が生じ、その結果、撓みや捩れを生じることがあった。
【0005】
そして、このような撓みや捩れが生じると、フラッシュ扉の使用性が悪くなり、場合によってはフラッシュ扉自体を交換せざるを得ないものであった。
【0006】
本発明は、かかる事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、撓みや捩れを矯正することができるフラッシュ扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、第1に、上下左右の枠材からなる枠組の表裏両面に面材を張り付けて構成されたフラッシュ扉であって、前記面材間に配置され、該フラッシュ扉の上部及び下部の一方の面材側に両端が固定されるとともに、中間部にネジ穴が形成された板バネと、軸方向への移動を伴わずに回転自在に設けられ、前記ネジ穴に螺合される操作ネジとを備え、前記操作ネジを回転させることによって板バネを他方の面材と離反又は接近させ、これにより板バネを上下方向に伸縮させて該フラッシュ扉の撓みや捩れを防止するようにする。
【0008】
第2には、前記板バネがフラッシュ扉の横方向に複数配置されてなるようにする。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明のフラッシュ扉においては、フラッシュ扉の撓みや捩れを矯正することができるので、フラッシュ扉自体を交換する必要がなく、フラッシュ扉の寿命を長くすることができる。
【0010】
また、フラッシュ扉を施工した後に撓みや捩れが生じた場合においても、操作ネジを回転させることにより板バネを上下方向に伸縮させてフラッシュ扉の撓みや捩れを矯正することができるので、現場での作業性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態1)
本発明の実施形態1におけるフラッシュ扉1について、図1に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態におけるフラッシュ扉1は、上枠材2、下枠材3、左右の枠材4、5によって形成される枠組の表裏面に、第一面材6及び第二面材7を貼り付けて構成され、第一面材6及び第二面材7の間に板バネ8が配置されている。
【0013】
板バネ8は中央付近にネジ穴9を有し、フラッシュ扉1の上部及び下部の第一面材6側に上下両端が固定されるとともに、中央付近が第二面材7側に突出するように設けられている。ここで、本実施形態においては、フラッシュ扉1の上部及び下部として、それぞれ上枠材2の下面及び下枠材3の上面としているが、これに限定されるものではなく、例えば、面材の上部及び下部としてもよい。
【0014】
また、特に限定されないが、本実施形態においては、板バネ8の横幅はフラッシュ扉1の横幅の約3分の1としてあり、また、板バネ8をフラッシュ扉1の横方向における略中央に取り付けている。
【0015】
また、第二面材7の中央付近には、操作ネジ10がネジ穴9に螺合された状態で回転自在に取り付けられている。ここで、操作ネジ10は、回転に伴って軸方向に移動しないようにピン等(図示せず)を用いて第二面材7に取り付けられており、先端は第一面材6側に取り付けられた保護部材11に当接した状態となっている。
【0016】
そして、操作ネジ10を回転させることによって板バネ8を第二面材7と離反又は接近させ、これにより板バネ8を上下方向に伸縮させてフラッシュ扉1の撓みを矯正するようになっている。
【0017】
例えば、フラッシュ扉1が第二面材7側に凸となる方向に撓んだ場合、板バネ8が第二面材7から離反するように操作ネジ10を回転させることにより板バネ8を上下方向に伸長させてフラッシュ扉1を矯正すればよい。逆に、フラッシュ扉1が第一面材6側に凸となる方向にたわんだ場合には、板バネ8が第二の面材7に接近するように操作ネジ10を回転させることにより板バネ8を上下方向に収縮させてフラッシュ扉1を矯正すればよい。
【0018】
以上のように、本実施形態におけるフラッシュ扉1は、板バネ8によってフラッシュ扉1の撓みを矯正することができるので、フラッシュ扉1自体を交換することなく、フラッシュ扉1の使用性を向上させることができ、フラッシュ扉1の寿命を長くすることができる。
【0019】
また、フラッシュ扉1を施工した後に撓みが生じた場合においても、操作ネジ10を回転させることにより板バネ8を上下方向に伸縮させてフラッシュ扉1の撓みを矯正することができるので、現場での作業性に優れるものである。
【0020】
また、フラッシュ扉1を施工する際、現場での建付け誤差等が生じても、フラッシュ扉1側で調整が可能となる。
【0021】
なお、板バネ8の幅や厚み、フラッシュ扉1の横方向における取り付け位置等については特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択すればよいものである。
【0022】
また、本実施形態においては、板バネ8を上下方向に配置しているが、フラッシュ扉1の撓み方向によって、例えば横方向や斜め方向に配置しておくこともできる。
【0023】
(実施形態2)
本発明の実施形態2におけるフラッシュ扉1について、図2に基づいて説明する。本実施形態においては、主に実施形態1と異なる点について説明する。
【0024】
本実施形態におけるフラッシュ扉1は、フラッシュ扉1の横方向において等間隔に3本の板バネ18a、18b、18cを備えている。各板バネ18a、18b、18cには実施形態1と同様にネジ穴19a、19b、19cが設けられており、第二面材7には、操作ネジ20a、20b、20cがそれぞれネジ穴19a、19b、19cに対応するように回転自在に取り付けられている。
【0025】
本実施形態におけるフラッシュ扉1は、操作ネジ20a、20b、20cを個々に操作することができるようになっている。そのため、フラッシュ扉1が一方の面材側に上下に撓んだ場合のみならず、フラッシュ扉1の左右がそれぞれ異なる面材側に捩れた場合においても、各板バネ18a、18b、18cを個々に伸縮させることにより、フラッシュ扉1を矯正することができるのである。
【0026】
以上のように、本実施形態におけるフラッシュ扉1は、3本の板バネ18a、18b、18cによってフラッシュ扉1の撓みや捩れを矯正することができるので、フラッシュ扉1自体を交換する必要がなく、フラッシュ扉1の寿命を長くすることができる。
【0027】
また、フラッシュ扉1を施工した後に撓みや捩れが生じた場合においても、操作ネジ20a、20b、20cを個々に回転させることにより、板バネ18a、18b、18cを上下方向に個々に伸縮させてフラッシュ扉1の撓みや捩れを矯正することができるので、現場での作業性に優れるものである。
【0028】
なお、3本の板バネ18a、18b、18cの幅や厚み、フラッシュ扉1の横方向における取り付け位置等については特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択すればよいものである。
【0029】
また、本実施形態においては、3本の板バネ18a、18b、18cを上下方向に配置しているが、フラッシュ扉1の撓みや捩れ方向によって、例えば横方向や斜め方向に配置しておくこともでき、また、縦方向、横方向、斜め方向に組み合わせて配置しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態1におけるフラッシュ扉1の(a)側面の透視説明図、(b)正面図である。
【図2】本発明の実施形態2におけるフラッシュ扉1の(a)側面の透視説明図、(b)正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 フラッシュ扉
2 上枠材
3 下枠材
6 第一面材
7 第二面材
8、18a〜c 板バネ
9、19a〜c ネジ穴
10、20a〜c 操作ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下左右の枠材からなる枠組の表裏両面に面材を張り付けて構成されたフラッシュ扉であって、
前記面材間に配置され、該フラッシュ扉の上部及び下部の一方の面材側に両端が固定されるとともに、中間部にネジ穴が形成された板バネと、
軸方向への移動を伴わずに回転自在に設けられ、前記ネジ穴に螺合される操作ネジとを備え、
前記操作ネジを回転させることによって板バネを他方の面材と離反又は接近させ、これにより板バネを上下方向に伸縮させて該フラッシュ扉の撓みや捩れを防止するものであることを特徴とするフラッシュ扉。
【請求項2】
前記板バネがフラッシュ扉の横方向に複数配置されてなることを特徴とする請求項1記載のフラッシュ扉。

【図1】
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【図2】
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