説明

フレキシブル太陽電池モジュールおよびその固定機構

【課題】紐状部材31の引っ張り力がモジュール1に加わった場合でも、その引っ張り力がモジュール1に対して局所的に集中してかかるのを回避して、モジュール1が劣化するのを回避する。
【解決手段】フレキシブル太陽電池モジュールとしてのモジュール1は、紐状部材31を介して固定部材40に固定される。このモジュール1は、光を受けて電力を発生する光電変換部としての発電層13と、発電層13を保護するラミネート部51と、ラミネート部51に設けられる剛体部21と、紐状部材31が取り付けられる紐状部材取付部22とを備えている。剛体部21は、モジュール1の少なくとも1つの端辺(例えば端辺1a)に沿って伸びるように、ラミネート部51に設けられており、この剛体部21に紐状部材取付部22が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル太陽電池モジュール(フレキシブルPV(Photovoltaic))と、そのモジュールの固定機構とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりが世界的な広がりを見せている。このような中でも、二酸化炭素排出に伴う地球温暖化現象に対する危機感は深刻であり、クリーンエネルギーへの期待は益々高まってきている。中でも、太陽電池は、その資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから、期待を持たれている。
【0003】
太陽電池をモジュール化した太陽電池モジュールは、一般に、建物の屋根等の設置面に固定部材を介して設置される。特に、近年では、太陽電池モジュールをフレキシブルに構成したフレキシブルPVも開発されている。フレキシブルPVは、建物の屋根や壁面のみならず、曲面にも固定部材を介して設置することが可能であることから、設置の自由度が高く、さらに持ち運びも容易であるという利点がある。
【0004】
上記の利点をさらに活かすためには、フレキシブルPVを簡易な方法で固定部材に固定することが求められる。例えば、特許文献1の固定方法では、フレキシブルPVの周縁部の所定の位置に穴をあけて、その穴に中空構造のリベットを貫通して固定し、紐状部材をリベットに通して周囲の固定部材(例えばパイプ状支持体)と固定することで、フレキシブルPVを固定するようにしている。
【0005】
この固定方法によれば、紐状部材によってフレキシブルPVの簡易な脱着が可能であるばかりでなく、フレキシブルPVと固定部材との相対的な位置を、紐状部材の長さの調節によって自由に設定することができる。さらに、フレキシブルPVのサイズは、周囲の固定部材よりも小さければよく、その範囲内でサイズを自由に設定することができる。紐状部材を用いた固定方法は、このような利点が得られる点で有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−339684公報(請求項1、段落〔0065〕〜〔0074〕、図8等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1のように、フレキシブルPVの周縁部に点在するリベットに紐状部材を通してフレキシブルPVを固定する場合、紐状部材による引っ張り力は、フレキシブルPVに対して局所的にかかる。つまり、紐状部材の引っ張り力は、フレキシブルPVにおいて紐状部材が取り付けられるリベットに集中してかかる。
【0008】
このとき、特許文献1では、リベットに集中する紐状部材の引っ張り力を分散させる部材が何ら設けられていないため、上記の引っ張り力により、リベットを起点とする局所的なしわがフレキシブルPVに発生し、これによって、フレキシブルPVが破断するなどの劣化が生じるという問題が生ずる。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、紐状部材の引っ張り力がモジュールに加わった場合でも、その引っ張り力を分散させてモジュールに局所的なしわが発生するのを回避することができ、これによって、モジュールの劣化を回避することができるフレキシブル太陽電池モジュールと、それを備えた固定機構とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールは、紐状部材を介して固定部材に固定されるフレキシブル太陽電池モジュールであって、光を受けて電力を発生する光電変換部と、前記光電変換部を保護するラミネート部と、該モジュールの少なくとも1つの端辺に沿って伸びるように、前記ラミネート部に設けられる剛体部と、前記紐状部材が取り付けられる紐状部材取付部とを備え、前記紐状部材取付部は、前記剛体部に設けられていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、紐状部材を紐状部材取付部に取り付けて、この紐状部材を介してモジュールを固定部材に固定したときに、紐状部材の引っ張り力(外力)は、紐状部材取付部を介して剛体部に伝達される。このとき、剛体部は、モジュールの少なくとも1つの端辺に沿って伸びるように設けられているので、剛体部に伝達された上記外力は、剛体部によって上記端辺方向に分散されることになる。つまり、モジュールに対して上記外力が局所的(例えば紐状部材取付部の位置)に集中して加わることがなくなる。これにより、上記外力によってモジュールに局所的なしわが発生するのを回避することができ、モジュールが破断するなどの劣化を回避することができる。
【0012】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、前記紐状部材取付部よりも前記端辺に沿う方向に長い構成であってもよい。
【0013】
この構成では、紐状部材取付部を介して剛体部に伝達された上記外力を、紐状部材取付部の上記端辺方向の長さよりも確実に広い範囲に分散させることができ、モジュールに局所的なしわが生じて劣化するのを確実に回避することができる。
【0014】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部がモジュールの厚さ方向に垂直な面内で歪むように、前記剛体部に対して、該剛体部が沿う端辺方向の中心に一定の力を加えたときの、該剛体部の歪み量をε1とし、前記剛体部がモジュールの厚さ方向に歪むように、前記剛体部に対して、該剛体部が沿う端辺方向の中心に前記一定の力を加えたときの、該剛体部の歪み量をε2としたとき、
ε1<ε2
であってもよい。
【0015】
この場合、紐状部材の引っ張り方向における剛体部の歪みを小さくしてモジュールに局所的なしわが発生するのを抑えながら、モジュールの厚さ方向に剛体部を撓ませることができ、モジュールが設置される面が平面でなくても、モジュールを設置面に沿うように設置することが可能となる。
【0016】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、剛性の異なる領域が、モジュールの端辺方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されていてもよい。
【0017】
剛体部における剛性の異なる領域が、モジュールの端辺方向に交互に並んで、かつ、隣接していることにより、モジュールの端辺方向に剛体部全体で剛性を保持しつつ、剛性のより弱い領域で剛体部を折り曲げやすくすることができる。これにより、モジュールの設置面が平面以外であっても、剛体部をモジュールの厚さ方向に撓ませて、モジュールを設置面に沿うように設置することができる。
【0018】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、モジュールの端辺方向に複数設けられているとともに、各剛体部の前記端辺方向への移動を案内するガイド部を介して、前記ラミネート部に設けられており、前記ガイド部は、剛性の異なる領域が、前記端辺方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されていてもよい。
【0019】
この場合、モジュールの端辺方向にガイド部全体で剛性を保持しつつ、剛性のより弱い領域でガイド部を折り曲げやすくすることができる。これにより、モジュールの設置面が平面以外であっても、各剛体部を適切な位置に移動させることで、ガイド部をモジュールの厚さ方向に撓ませて、モジュールを設置面に沿うように設置することができる。
【0020】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記ガイド部における剛性のより強い領域の前記端辺方向の幅は、前記各剛体部の前記端辺方向の幅よりも小さくてもよい。
【0021】
この場合、各剛体部の幅よりも小さいピッチでガイド部を折り曲げることが可能となり、モジュールの設置面の形状に応じて、モジュールを最適な位置で折り曲げて設置することができる。
【0022】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、モジュールの端辺方向への移動を案内するガイド部を介して、前記ラミネート部に設けられているとともに、剛性の異なる領域が、前記端辺方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されており、前記ガイド部は、前記端辺方向に互いに間隙を介して複数設けられていてもよい。
【0023】
この場合、モジュールの端辺方向に剛体部全体で剛性を保持しつつ、剛性のより弱い領域で剛体部を折り曲げやすくすることができる。これにより、モジュールの設置面が平面以外であっても、剛体部を移動させることにより(各ガイド部の間に剛性のより弱い領域を位置させることにより)、剛体部をモジュールの厚さ方向に撓ませて、モジュールを設置面に沿うように設置することができる。
【0024】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記各ガイド部の前記端辺方向の幅は、前記剛体部における剛性のより強い領域の前記端辺方向の幅よりも小さくてもよい。
【0025】
この場合、剛体部の剛性がより強い領域の幅よりも小さいピッチで剛体部を折り曲げることが可能となり、モジュールの設置面の形状に応じて、モジュールを最適な位置で折り曲げて設置することができる。
【0026】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部および前記ラミネート部には、モジュールの厚さ方向に同時に貫通する剛体側貫通孔およびラミネート貫通孔がそれぞれ形成されており、前記紐状部材取付部は、前記剛体側貫通孔および前記ラミネート貫通孔で構成されていてもよい。
【0027】
剛体側貫通孔およびラミネート貫通孔は、剛体部およびラミネート部に対して、穴あけ用のパンチで同時に穴を貫通させることによって形成可能である。このような穴あけによって剛体側貫通孔およびラミネート貫通孔を容易に形成できるので、剛体側貫通孔およびラミネート貫通孔で構成される紐状部材取付部を簡便に作製することができる。
【0028】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、モジュールの端辺と同じ長さで前記端辺に沿うように、前記ラミネート部に設けられていてもよい。
【0029】
モジュールに対して紐状部材の引っ張りによる外力が加わった場合でも、モジュールの端辺方向の全域にわたって剛体部が設けられているので、モジュールの端辺方向のどの位置においても局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0030】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、モジュールの全ての端辺に沿うように、各端辺に対応して複数設けられていてもよい。
【0031】
紐状部材の引っ張りによる外力が、モジュールのいずれの端辺に加わった場合でも、その外力を、対応する剛体部によって分散させて、モジュールに局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0032】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、モジュールの全ての端辺に沿うように、枠状に設けられていてもよい。
【0033】
紐状部材の引っ張りによる外力が、モジュールのいずれの端辺に加わった場合でも、その外力を、枠状の(1個の)剛体部における上記端辺に沿う部分で分散させて、モジュールに局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0034】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、モジュールの端辺の一部に沿うように、前記ラミネート部に設けられていてもよい。
【0035】
モジュールに対して紐状部材の引っ張りによる外力が加わった場合でも、端辺の一部に沿って剛体部が設けられている領域において、モジュールに局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0036】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記紐状部材取付部は、前記剛体部に複数設けられていてもよい。
【0037】
紐状部材の個々の引っ張り力は、対応する紐状部材取付部を介して剛体部に伝達され、剛体部によってモジュールの端辺方向に分散されるので、個々の引っ張り力がモジュールに対して局所的に集中してかかることがない。これにより、各紐状部材の初期の取付バラツキや経時劣化により、紐状部材の個々の引っ張り力に差が生じても、モジュールに局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0038】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、前記剛体部は、前記ラミネート部における前記光電変換部の受光領域外に設けられていてもよい。
【0039】
この場合、光電変換部における光電変換を剛体部によって阻害することなく、モジュールに加わる外力を剛体部によってモジュールの端辺方向に分散させて、モジュールに局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0040】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールの固定機構は、上述した本発明のフレキシブル太陽電池モジュールと、前記モジュールと紐状部材を介して固定される固定部材とを備えていてもよい。
【0041】
このような構成の固定機構においては、紐状部材の引っ張り力によってモジュールに局所的なしわが発生するのを回避しながら、モジュールを固定部材に固定することができる。
【0042】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールの固定機構において、前記紐状部材は、弾性を有していてもよい。
【0043】
この場合、紐状部材の弾性によってモジュールを引っ張る力が生じ、モジュールにテンションを付与することができる。これにより、モジュールの運搬時の巻癖や自重による撓みを無くすことができる。
【0044】
本発明のフレキシブル太陽電池モジュールの固定機構は、前記紐状部材を介して前記モジュールを引っ張る方向に、前記モジュールの設置面に沿って前記固定部材を移動させる移動機構をさらに備えていてもよい。
【0045】
移動機構によって固定部材を移動させ、紐状部材を介してモジュールを引っ張ることにより、モジュールの運搬時の巻癖や自重による撓みを無くすことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、紐状部材を介してモジュールを固定部材に固定したときに、紐状部材の引っ張りによる外力がモジュールに加わった場合でも、その外力が剛体部によって上記端辺方向に分散され、モジュールに局所的に集中してかかることがない。これにより、上記外力によってモジュールに局所的なしわが生じて、モジュールが劣化するのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態1に係るモジュールの固定機構の概略の構成を示す平面図であり、(b)は、上記固定機構の垂直断面図である。
【図2】図1(b)のA部を拡大して示す断面図である。
【図3】1本の紐状部材を用いてモジュールを固定部材に固定するときの上記固定機構の平面図である。
【図4】(a)は、上記固定機構の他の構成を示す平面図であり、(b)は、上記他の固定機構の垂直断面図である。
【図5】剛体部および紐状部材取付部を設ける前のモジュールの平面図と、その平面図におけるA−A’線矢視断面図である。
【図6】剛体部および紐状部材取付部を設けた状態でのモジュールの平面図と、その平面図におけるA−A’線矢視断面図である。
【図7】上記剛体部および上記紐状部材取付部のバリエーションを示す平面図および断面図であって、(a)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付けた状態での平面図および断面図である。
【図8】上記剛体部および上記紐状部材取付部のさらなるバリエーションを示す平面図および断面図であって、(a)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付けた状態での平面図および断面図である。
【図9】上記剛体部および上記紐状部材取付部のさらなるバリエーションを示す平面図および断面図であって、(a)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付けた状態での平面図および断面図である。
【図10】上記剛体部および上記紐状部材取付部のさらなるバリエーションを示す平面図および断面図であって、(a)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付けた状態での平面図および断面図である。
【図11】上記剛体部および上記紐状部材取付部のさらなるバリエーションを示す平面図および断面図であって、(a)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付けた状態での平面図および断面図である。
【図12】上記剛体部および上記紐状部材取付部のさらなるバリエーションを示す平面図および断面図であって、(a)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付けた状態での平面図および断面図である。
【図13】上記剛体部および上記紐状部材取付部のさらなるバリエーションを示す平面図および断面図であって、(a)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材取付部に紐状部材を取り付けた状態での平面図および断面図である。
【図14】(a)は、上記剛体部を設ける位置の変形例を示す断面図であり、(b)は、上記剛体部を設ける位置のさらなる変形例を示す断面図である。
【図15】(a)〜(d)は、上記剛体部の平面形状および形成位置のバリエーションを示す平面図である。
【図16】上記剛体部の平面形状および形成位置のさらなるバリエーションを示す平面図である。
【図17】(a)は、上記剛体部の平面形状および形成位置のさらなるバリエーションを示す平面図であり、(b)は、上記剛体部を備えた固定機構の垂直断面図である。
【図18】比較例の固定機構の平面図である。
【図19】(a)は、本発明の実施の形態2に係るモジュールの斜視図であり、(b)は、上記モジュールが有する剛体部のXY面内での歪みを説明するための説明図であり、(c)は、上記剛体部のZX面内での歪みを説明するための説明図である。
【図20】(a)および(b)は、上記剛体部の歪みに伴って中心線が変形する前後の様子を模式的に示す説明図である。
【図21】(a)は、上記モジュールを備えた固定機構の平面図であり、(b)は、上記固定機構の垂直断面図であり、(c)は、上記モジュールを、曲面からなる設置面に設置したときの、上記剛体部の形状を模式的に示す断面図であり、(d)は、上記モジュールを、平面が折れ曲がった形状の設置面に設置したときの、上記剛体部の形状を模式的に示す断面図である。
【図22】(a)は、本発明の実施の形態3に係る固定機構の概略の構成を示す平面図であり、(b)は、上記固定機構の垂直断面図であり、(c)は、上記固定機構に適用されるモジュールの水平断面図であり、(d)は、上記モジュールを、曲面からなる設置面に設置したときの、剛体部の形状を模式的に示す断面図である。
【図23】(a)は、上記固定機構の他の構成を示す平面図であり、(b)は、上記他の固定機構に適用されるモジュールの水平断面図であり、(c)は、上記モジュールを、曲面からなる設置面に設置したときの、剛体部の形状を模式的に示す断面図である。
【図24】(a)は、本発明の実施の形態4に係るモジュールの平面図であり、(b)は、上記モジュールの垂直断面図である。
【図25】(a)は、剛体部を取り去った状態での上記モジュールの平面図であり、(b)は、図25(a)におけるA−A’線矢視断面図である。
【図26】上記モジュールを、平面が折れ曲がった形状の設置面に設置する過程を順に示す断面図である。
【図27】上記モジュールの他の構成を示す平面図である。
【図28】(a)は、上記モジュールのさらに他の構成を示す平面図であって、剛体部を除いた状態での平面図であり、(b)は、上記モジュールに適用される上記剛体部の平面図であり、(c)は、上記剛体部の断面図である。
【図29】上記モジュールを、平面が折れ曲がった形状の設置面に設置する過程を順に示す断面図である。
【図30】上記剛体部の他の構成を示す平面図である。
【図31】(a)は、本発明の実施の形態5に係るモジュール1の、紐状部材を取り付ける前の状態での平面図および断面図であり、(b)は、上記紐状部材を取り付けた状態での上記モジュールの平面図および断面図である。
【図32】(a)は、本発明の実施の形態6に係る固定機構の平面図であり、(b)は、上記固定機構の垂直断面図である。
【図33】(a)は、上記固定機構が備える移動機構の平面図であり、(b)は、図33(a)におけるB−B’線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、以下に示す各実施の形態において、同一の構成には同一の部材番号を付記し、重複する説明を省略することとする。
【0049】
〔実施の形態1〕
(固定機構について)
図1(a)は、本実施形態のフレキシブル太陽電池モジュール(以下、単にモジュールと称する)の固定機構Mの概略の構成を示す平面図であり、図1(b)は、上記固定機構Mの垂直断面図である。固定機構Mは、紐状部材31を介して、モジュール1と固定部材40とを固定して構成されている。
【0050】
なお、説明の便宜上、平面視で矩形のモジュール1の外縁を構成する4つの端辺を、以下では、反時計回りに1a、1b、1c、1dと称することとする。つまり、端辺1a・1cは、互いに対向する位置関係にあり、端辺1b・1dは、互いに対向する位置関係にある。本実施形態では、モジュール1を端辺1a側と端辺1c側との2か所で、対応する固定部材40に固定している。なお、固定機構Mの構成は、端辺1a側と端辺1c側とで同じであるため、以下では、端辺1a側の構成について説明し、端辺1c側の構成については省略する。
【0051】
モジュール1には、後述する発電層13(図5、図6参照)の受光領域外において、モジュール1の端辺1aに沿って伸びるように剛体部21が設けられている。そして、剛体部21には、紐状部材31が取り付けられる紐状部材取付部22が少なくとも1個(図では例えば3個)設けられている。なお、モジュール1における、剛体部21および紐状部材取付部22以外の構成については後述する。
【0052】
剛体部21は、金属やプラスチックなど、後述するラミネート部51(図6等参照)よりも剛性を有する材料で構成されるが、上記の材料に限定されるわけではない。剛体部21は、モジュール1の上記ラミネート部51の表面に接着剤で固定されている。このとき、接着剤としては、一般的なもの(公知の接着剤)を用いることができる。剛体部21には、紐状部材取付部22が螺合するためのねじ穴が設けられている。また、剛体部21は、紐状部材取付部22よりも、モジュール1の端辺1aに沿う方向に長く形成されている。
【0053】
紐状部材取付部22は、表面にねじ溝を有する棒状部分の一端に、該棒状部分よりも大径のねじ頭を有するねじ状部材で構成されている。この紐状部材取付部22を剛体部21のねじ穴に螺合させて締め込むことにより、紐状部材取付部22のねじ頭と剛体部21との間の棒状部分に、紐状部材31を引っ掛けて取り付けることができる。
【0054】
紐状部材31は、例えば金属製のワイヤー、弾性を有するゴム、ナイロン製の紐のように、折り曲げ可能な材料で構成されている。なお、紐状部材31の材料は、モジュール1の設置場所(屋根、壁)に応じて適宜選択されればよい。紐状部材31は、両端を結んでループ状に用いられてもよいし、一端を固定部材40と固定し、他端を紐状部材取付部22と固定して用いられてもよい。また、紐状部材31は、例えばS字フックのように、固定部材40および紐状部材取付部22の両者に引っ掛けることができる形状のもので構成されてもよい。
【0055】
固定部材40は、モジュール1の端辺1aに沿う方向に伸びるように設けられて、紐状部材31が引っ掛けられる棒状部材41と、棒状部材41を保持してモジュール1の設置面P(例えば壁の表面)に固定される例えば断面L字形の固定用金具42と、固定用金具42を設置面Pに固定するためのねじ43とを有して構成されている。
【0056】
図2は、図1(b)のA部を拡大して示す断面図である。同図に示すように、棒状部材41には、紐状部材31が挿通される穴41aが設けられている。したがって、紐状部材31の固定部材40側を穴41aに通し、モジュール1側を紐状部材取付部22に引っ掛けて全体として閉ループを形成することで、紐状部材31を介してモジュール1と固定部材40とを固定することができる。なお、棒状部材41に上記の穴41aを設けずに、紐状部材31の固定部材40側を棒状部材41に巻きつけるようにしてもよい。
【0057】
また、図1(a)(b)では、紐状部材取付部22の数に対応する数の紐状部材31を用いてモジュール1を固定しているが、図3に示すように、1本の紐状部材31を用いて、紐状部材取付部22と棒状部材41とを交互に引っ掛けるようにすることで、モジュール1を固定部材40に固定するようにしてもよい。
【0058】
次に、モジュール1の設置方法について説明する。まず、固定部材40を設置面Pに固定する。なお、設置面Pは、ここでは壁面としているが、建屋の屋根など、太陽光や照明光が効率よく取り込める場所であればどこでもよい。続いて、モジュール1の紐状部材取付部22に紐状部材31を引っ掛けて、紐状部材31のおおよその長さを調節した後、紐状部材31の固定部材40側を棒状部材41に取り付ける(紐状部材31を穴41aに挿通して固定するか、棒状部材41に巻きつけて固定する)。これにより、モジュール1は、固定部材40と固定された状態で設置面Pに設置されることになる。
【0059】
以上では、固定機構Mが、端辺1a側と端辺1c側とで同じ構成の場合について説明したが、端辺1a側と端辺1c側とで異なる構成としてもよい。例えば、図4(a)は、固定機構Mの他の構成を示す平面図であり、図4(b)は、上記他の固定機構Mの垂直断面図である。この固定機構Mでは、図1(a)(b)の構成において、モジュール1の端辺1c側を、紐状部材31を用いることなく、直接固定部材44に固定している。この固定部材44は、モジュール1の端辺1c側が挿入される溝部を有する受け部45と、受け部45を設置面Pに固定するためのねじ46と、モジュール1の端辺1c側を受け部45に固定するためのねじ47とで構成されている。このように、モジュール1を複数の端辺と対応する固定部材に固定する場合には、紐状部材31を用いた固定方法と、他の固定方法とを併用しても構わない。
【0060】
(モジュールの詳細な構成について)
次に、上述したモジュール1の詳細な構成について説明する。図5は、上述した剛体部21および紐状部材取付部22を設ける前のモジュール1の平面図と、その平面図におけるA−A’線矢視断面図とを併せて示したものである。なお、上記の平面図では、便宜上、保護層15およびラミネート層16の図示を省略している。
【0061】
モジュール1は、可撓性支持体としての基板11上に、透明電極12と、発電層13と、対向電極14とを順に形成してこれらを保護層15で覆い、さらに全体をラミネート層16で封止することによって構成されており、その厚さは例えば1〜2mmとなっている。太陽電池の製造方法の詳細については、例えば特開2010−109207号公報(アモルファスシリコン方式)、特開2009−146625号公報(色素増感方式)、特開2010−177497号公報(有機薄膜方式)にて公知であるため、その説明を省略する。
【0062】
本実施形態では、透明電極12および対向電極14は、例えばITO(Indium Tin Oxide)の薄膜で形成されている。発電層13は、例えばアモルファスシリコンを用いて形成されており、光を受けて電力を発生する光電変換部を構成している。また、基板11、保護層15およびラミネート層16は、例えばポリイミド樹脂、EVA樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate )、ETFE樹脂(Ethylene tetrafluoroethylene)でそれぞれ形成されている。なお、各構成部材は、上記の材料に限定されるわけではない。また、保護層15およびラミネート層16については、これらのうちの少なくとも一方が設けられればよい。保護層15およびラミネート層16の少なくとも一方は、光電変換部としての発電層13を保護するラミネート部51を構成している。樹脂からなる基板11上に各層を薄膜で形成し、全体を樹脂で覆うことにより、モジュール1は、全体としてフレキシブルに構成されている。
【0063】
1組の透明電極12、発電層13および対向電極14によって、太陽電池セルが構成されている。そして、隣り合う太陽電池セルが直列に接続される、つまり、隣り合う一方の太陽電池セルの透明電極12と他方の太陽電池セルの対向電極14とが電気的に接続されることにより、サブユニットが形成されている。さらに、複数のサブユニットは相互に直列または並列に接続されている。
【0064】
また、モジュール1には、光電変換部(発電層13)にて得られた電力を取り出すための電極19a・19bが2か所に形成されている。電極19a・19bは、正側または負側の電極にそれぞれ対応しており、例えば導電テープによって形成されている。モジュール内で直列接続された各太陽電池セルのうち、接続方向(直列接続された列方向)の一端に位置するセルの透明電極12上には、電極層17、配線層18および一方の電極19aがこの順で形成されている。また、上記接続方向の他端に位置するセルの透明電極12上には、電極層17が形成されており、他方の電極19bは、上記電極層17から引き出される配線層18上に形成されている。これらの電極層17および配線層18も、基板11上で上記の保護層15およびラミネート層16によって覆われている。
【0065】
上記のように、複数の太陽電池セルをつなぎ合わせてモジュール化することにより、各太陽電池セルにて得られる出力(電力)を足し合わせて、モジュール全体として大きな出力を得ることができる。
【0066】
なお、太陽電池としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、CIS(CuInS)、CIGS(Cu(In,Ga)Se)、CdTeなどを用いるものや、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池などがあるが、アモルファスシリコンや化合物系(例えばCIS)などの薄膜系の太陽電池では、太陽電池セル製造時に、直列接続されたサブユニットまでをパターニング等によって同時に製造することができる。モジュール封止の手法としては、例えば接着樹脂を介して保護用の防湿フィルムを基板11の両面からラミネートする方法などがある。
【0067】
なお、基板11は、上記したようなポリイミド等のプラスチック(プラスチックフィルム)で構成されてもよいし、薄膜金属(金属フィルム)で構成されてもよい。これらのフレキシブルな基板を用いた場合、例えば長尺状のフィルムにロール・ツー・ロール方式で太陽電池サブユニットを形成し、それを任意の場所でカットして相互に直列または並列接続して封止することによって、モジュール化することができる。
【0068】
一方、図6は、上述した剛体部21および紐状部材取付部22を設けた状態でのモジュール1の平面図と、その平面図におけるA−A’線矢視断面図とを併せて示したものである。なお、上記の平面図では、便宜上、保護層15およびラミネート層16の図示を省略している。同図のように、剛体部21は、ラミネート部51における発電層13の受光領域Rの外側に設けられている。このため、発電層13による光電変換を剛体部21が阻害することはない。
【0069】
(剛体部と紐状部材取付部のバリエーションについて)
次に、上述した剛体部21と紐状部材取付部22の形状等のバリエーションについて説明する。図7〜図13は、剛体部21および紐状部材取付部22のバリエーションを示す平面図および断面図である。なお、これらの図面において、(a)は、紐状部材取付部22に紐状部材31を取り付ける前の状態での平面図および断面図を示し、(b)は、紐状部材取付部22に紐状部材31を取り付けた状態での平面図および断面図を示している。
【0070】
紐状部材取付部22の形状は、断面横U字形であってもよいし(図7(a)(b)参照)、断面横V字形であってもよいし(図8(a)(b)参照)、円柱の一部に紐状部材31が引っ掛かる切り欠き22aを設けた形状であってもよいし(図9(a)(b)参照)、円柱の一部に紐状部材31が通る貫通孔22bを設けた形状であってもよい(図10(a)(b)参照)。
【0071】
以上は、剛体部21と紐状部材取付部22とが別部材で構成される例であるが、剛体部21と紐状部材取付部22とは、一体化されていてもよい。このとき、紐状部材取付部22は、断面略横U字形となるように、剛体部21の一部を折り返すことによって形成されていてもよい(図11(a)(b)参照)。また、剛体部21において、ラミネート部51の外側に貫通孔21aを設けておき、この貫通孔21aを紐状部材取付部22として用いてもよい(図12(a)(b)参照)。さらに、一部がラミネート部51の表面と接触し、残りがラミネート部51の上方に間隙を介して位置するように、剛体部21をラミネート部51上で折り曲げて形成し、ラミネート部51の上方に間隙を介して位置する剛体部21に貫通孔21aを設けて、この貫通孔21aを紐状部材取付部22として用いてもよい(図13(a)(b)参照)。
【0072】
また、以上では、剛体部21がラミネート部51の表面に接着剤で固定される例について説明したが、モジュール1の厚さ方向における剛体部21の位置は、ラミネート部51の表面に限定されるわけではない。例えば図12(a)(b)の変形例として示すと、図14(a)に示すように、発電層13(図6参照)をラミネート部51でラミネートするときに、剛体部21を同時にラミネートしてもよい。また、図14(b)に示すように、ラミネート部51の裏面(発電層13への光入射側とは反対側)に剛体部21を接着剤によって固定してもよい。
【0073】
また、図15(a)〜図15(d)は、剛体部21の平面形状および形成位置のバリエーションを示している。剛体部21は、図15(a)に示すように、モジュール1の1つの端辺1aのみに沿って設けられてもよいし、図15(b)に示すように、モジュール1の全ての端辺1a〜1dに沿うように、各端辺1a〜1dに対応して複数設けられてもよいし、図15(c)に示すように、全ての端辺1a〜1dに沿うように、枠状に設けられてもよい。また、図15(d)に示すように、モジュール1の平面形状が円形の場合、剛体部21は、モジュール1の円形の端辺1e(すなわち外周)に沿って設けられてもよい。
【0074】
以上、各図面で示したいずれの剛体部21についても、該剛体部21は、モジュール1の少なくとも1つの端辺(例えば端辺1a)に沿って伸びるように設けられている。そして、この剛体部21に紐状部材取付部22が設けられている。これにより、紐状部材31の引っ張りによる外力が紐状部材取付部22を介して剛体部21に伝達されても、その外力は剛体部21によってモジュール1の上記端辺の方向に分散される。したがって、上記外力が、モジュール1に対して局所的(例えば紐状部材取付部22の位置)に集中して加わることがなくなる。その結果、上記外力によってモジュール1に局所的なしわが発生するのを回避することができ、モジュール1が破断するなどの劣化を回避することができる。
【0075】
特に、剛体部21は、紐状部材取付部22よりも上記の端辺に沿う方向に長いので、紐状部材取付部22を介して剛体部21に伝達された上記外力を、紐状部材取付部22の上記端辺方向の長さよりも確実に広い範囲に分散させることができ、モジュール1に局所的なしわが生じて劣化するのを確実に回避することができる。
【0076】
また、図15(b)のように、剛体部21がモジュール1の全ての端辺1a〜1dに沿うように、各端辺1a〜1dに対応して複数設けられている構成では、紐状部材31の引っ張りによる外力が、モジュール1の端辺1a〜1dのいずれかに加わった場合でも、その外力を、対応する剛体部21によって分散させることができる。したがって、上記外力が端辺1a〜1dのいずれかに加わった場合でも、モジュール1に局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0077】
また、図15(c)のように、剛体部21がモジュール1の全ての端辺1a〜1dに沿うように、枠状に設けられている場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。つまり、上記外力が、モジュール1の端辺1a〜1dのいずれかに加わった場合でも、その外力を、枠状の剛体部21における端辺1a〜1dに沿う部分で分散させて、モジュール1に局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0078】
ところで、図16は、剛体部21の平面形状および形成位置のさらなるバリエーションを示している。同図に示すように、剛体部21は、モジュール1の端辺1aの一部に沿うように設けられていてもよい。つまり、端辺1aの方向において、剛体部21が紐状部材取付部22よりも長い形状であれば、剛体部21は端辺1aと同じ長さで形成されていなくてもよい。なお、図16では、固定部材40の棒状部材41は、個々の紐状部材31および紐状部材取付部22に対応して複数に分断されているが、分断されていなくてもよい。
【0079】
このように、剛体部21が端辺1aの一部に沿うように設けられている場合でも、モジュール1に局所的なしわが発生するのを回避することができる。つまり、モジュール1に対して紐状部材31の引っ張りによる外力が加わった場合でも、端辺1aの一部に沿って剛体部21が設けられている領域では、上記外力を端辺1aの方向に分散させることができるので、モジュール1に局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0080】
また、図17(a)は、剛体部21の平面形状および形成位置のさらなるバリエーションを示す平面図であり、図17(b)は、上記剛体部21を備えた固定機構Mの垂直断面図である。このように、剛体部21は、モジュール1の端辺1aと同じ長さで端辺1aに沿うように設けられていてもよい。この場合は、モジュール1の端辺1aの方向の全域に剛体部21が設けられているので、モジュール1に対して紐状部材31の引っ張りによる外力が加わった場合でも、モジュール1において、端辺1aの方向のどの位置においても、モジュール1に局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0081】
ところで、図18は、比較例の固定機構M’の平面図である。この固定機構M’では、モジュール1の端辺1aに沿って、剛体部21が互いに間隙をおいて複数設けられている。そして、各剛体部21に紐状部材取付部22が設けられており、各紐状部材取付部22に紐状部材31が取り付けられて、モジュール1が固定部材40と固定されている。
【0082】
このように、端辺1aに沿って複数の剛体部21が設けられて、その各々に紐状部材取付部22が設けられている場合、各紐状部材取付部22に対する紐状部材31の初期の取付バラツキや、各紐状部材31の経時劣化により、各紐状部材31の引っ張り力に相対的な差が生じると、その差に応じた量だけ、個々の剛体部21が紐状部材31の引っ張り方向にずれやすくなり、モジュール1に局所的なしわが生じやすくなる。
【0083】
しかし、図17(a)等のように、紐状部材取付部22が1個の剛体部21に複数設けられている場合、各紐状部材31の初期の取付バラツキ等により、紐状部材31の個々の引っ張り力に差が生じても、その影響を受けることはない。つまり、紐状部材31の個々の引っ張り力は、対応する紐状部材取付部22を介して1個の剛体部21に伝達され、その剛体部21によってモジュールの端辺方向に分散されるので、個々の引っ張り力がモジュール1に対して局所的に集中してかかることがない。これにより、各紐状部材31の取付バラツキ等に起因して、紐状部材31の個々の引っ張り力に差が生じても、モジュール1に局所的なしわが発生するのを回避することができる。
【0084】
〔実施の形態2〕
本実施形態では、実施の形態1で示した固定機構Mにおいて、モジュール1に剛体部21を設けることによる、モジュール1のフレキシブル性の低下を抑えるための構成や条件について説明する。
【0085】
なお、以下での説明の便宜上、剛体部21は、モジュール1の端辺1aに沿って、断面長方形の四角柱状に形成されているものとする。また、モジュール1の端辺1aに沿う方向をX方向とし、モジュール1の厚さ方向をZ方向とし、ZX面に垂直な方向をY方向とする。なお、Z方向は、モジュール1の断面方向に対応し、Y方向は、モジュール1の面に沿った方向(面方向)に対応する。また、剛体部21において、ZX面と平行な面を面21Aとし、XY面と平行な面を面21Bとする。
【0086】
図19(a)は、剛体部21を有するモジュール1の斜視図であり、図19(b)は、剛体部21のXY面内での歪みを説明するための説明図であり、図19(c)は、剛体部21のZX面内での歪みを説明するための説明図である。また、図20(a)(b)は、剛体部21の歪みに伴って中心線Cが変形する前後の様子を模式的に示す説明図である。なお、中心線Cとは、剛体部21のYZ断面での中心(2本の対角線の交点)をX方向に結んだ仮想の線である。本実施形態では、剛体部21のXY面内での歪み量ε1(mm)とZX面内での歪み量ε2(mm)との関係を、
ε1<ε2
となるように設定した。
【0087】
ここで、上記の歪み量ε1・ε2は、以下のように定義される。まず、図19(b)に示すように、剛体部21がモジュール1の厚さ方向に垂直なXY面内で歪むように、剛体部21に対して、そのX方向の両端を支点Q1・Q2によって支持しながら、X方向の中心にY方向から一定の力F(N)を加え、この力Fの方向(Y方向)における、剛体部21の中心線Cの移動量を、剛体部21の歪み量ε1とした(図20(a)(b)参照)。
【0088】
同様に、図19(c)に示すように、剛体部21がモジュール1の厚さ方向(Z方向)に歪むように、剛体部21に対して、そのX方向の両端を支点Q1・Q2によって支持しながら、X方向の中心にZ方向から上記と同じ一定の力F(N)を加え、この力Fの方向(Z方向)における、剛体部21の中心線Cの移動量を、剛体部21の歪み量ε2とした(図20(a)(b)参照)。
【0089】
ε1<ε2の関係は、具体的には、剛体部21の面21Aの面積をS1(mm)とし、面21Bの面積をS2(mm)としたときに、S1<S2とする、つまり、剛体部21をY方向よりもZ方向に薄い板状に形成することによって実現することができる。
【0090】
図21(a)は、モジュール1の剛体部21の歪み量がε1<ε2の関係に設定された固定機構Mの平面図であり、図21(b)は、上記固定機構Mの垂直断面図である。剛体部21の歪み量がε1<ε2の関係を満足していることにより、上記したY方向には、例えば紐状部材31の引っ張り力による剛体部21の歪みを抑えつつ、Z方向には、剛体部21を歪みやすくすることができる。これにより、Y方向への紐状部材31の引っ張り力によってモジュール1に局所的なしわが発生するのを抑えながら、モジュール1の設置面Pが単一の平面以外であっても、モジュール1を設置面Pに沿うように設置することが可能となる。つまり、設置面Pが、図21(c)に示すように曲面であっても、図21(d)に示すように平面が折れ曲がった形状であっても、Z方向に剛体部21を撓ませて、モジュール1を設置面Pに沿うように設置することが可能となる。なお、図21(c)(d)においては、便宜上、モジュール1の図示を省略している。
【0091】
つまり、剛体部21の2方向の歪み量ε1・ε2の関係を適切に設定することにより、剛性を有する剛体部21を設ける構成であっても、所定の方向には剛体部21を撓ませて、剛体部21を設けることによるモジュール1のフレキシブル性の低下を抑えることができる。
【0092】
なお、モジュール1をZ方向に押し付ける力、つまり、モジュール1を設置面Pに押さえ付ける力は、紐状部材31をXY平面に対して傾く方向に引っ張ることによって生じる、紐状部材31の引っ張り力(分力)であってもよいし、モジュール1をZ方向に押し付ける押し付け機構による力であってもよい。
【0093】
〔実施の形態3〕
図22(a)は、本実施形態の固定機構Mの概略の構成を示す平面図であり、図22(b)は、上記固定機構Mの垂直断面図であり、図22(c)は、上記固定機構Mに適用されるモジュール1の水平断面図である。なお、図22(c)では、便宜上、紐状部材取付部22の図示を省略している。
【0094】
本実施形態では、剛体部21は、剛性の異なる領域21P・21Qが、モジュール1の端辺1aの方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されている。ここで、剛体部21の領域21Pの剛性は、領域21Qの剛性よりも高いとする。これは、例えば、剛体部21の領域21P・21Qを同じ材料で構成しつつ、図22(a)に示すように、モジュール1の面内で端辺1aに垂直な方向の幅を、領域21P・21Qで同じとし、図22(c)に示すように、領域21Pよりも領域21Qの厚さを薄くすることで実現することができる。
【0095】
上記のように剛体部21を形成することにより、モジュール1の端辺1aの方向には、剛体部21全体で剛性を保持し、紐状部材31の引っ張りによる外力を端辺1aの方向に分散させる機能を保持しつつ、剛性のより弱い領域21Qで剛体部21を折り曲げやすくすることができる。これにより、図22(d)に示すように、モジュール1の設置面Pが平面以外(例えば曲面)であっても、剛体部21をモジュール1の厚さ方向に撓ませて、モジュール1を設置面Pに沿うように設置することができる。なお、図22(d)では、便宜上、モジュール1のラミネート部51の図示を省略している。
【0096】
また、図23(a)は、本実施形態の他の固定機構Mの概略の構成を示す平面図であり、図23(b)は、上記他の固定機構Mに適用されるモジュール1の水平断面図である。なお、図23(b)では、便宜上、紐状部材取付部22の図示を省略している。モジュール1の剛体部21は、領域21P・21Qを同じ材料で構成しつつ、図23(a)に示すように、モジュール1の面内で端辺1aに垂直な方向の幅を、領域21Pよりも領域21Qのほうが小さくなるようにし、図23(b)に示すように、領域21P・領域21Qで厚さを同じにすることで構成されていてもよい。
【0097】
このように剛体部21を構成した場合でも、領域21Pの剛性が領域21Qの剛性よりも高くなるので、モジュール1の端辺1aの方向には、剛体部21全体で剛性を保持し、紐状部材31の引っ張りによる外力を端辺1aの方向に分散させる機能を保持しつつ、剛性のより弱い領域21Qで剛体部21を折り曲げやすくすることができる。これにより、図23(c)に示すように、モジュール1の設置面Pが平面以外(例えば曲面)であっても、剛体部21をモジュール1の厚さ方向に撓ませて、モジュール1を設置面Pに沿うように設置することができる。なお、図23(c)では、便宜上、モジュール1のラミネート部51の図示を省略している。
【0098】
なお、図22(d)、図23(c)では、設置面Pは、モジュール1側が凹となる凹面としているが、モジュール1側が凸となる凸面であっても、上記と同様に、剛体部21をモジュール1の厚さ方向に撓ませて、モジュール1を設置面Pに沿うように設置することができる。この点は、前述の実施の形態2および後述の実施の形態4でも同じである。
【0099】
〔実施の形態4〕
図24(a)は、本実施形態のモジュール1の平面図であり、図24(b)は、上記モジュール1の垂直断面図である。本実施形態では、剛体部21は、モジュール1の端辺1aに沿って複数設けられているとともに、ガイド部23を介してラミネート部51に設けられている。ガイド部23は、各剛体部21の端辺1aの方向への移動を案内するものであり、ラミネート部51よりも高い剛性を有している。
【0100】
ここで、図25(a)は、剛体部21を取り去った状態でのモジュール1の平面図であり、図25(b)は、図25(a)におけるA−A’線矢視断面図である。このように、ガイド部23は、剛性の異なる領域23P・23Qが、端辺1aの方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されている。ここで、ガイド部23の領域23Pの剛性は、領域23Qの剛性よりも高いとする。これは、例えば、ガイド部23の領域23P・23Qを同じ材料で構成しつつ、図25(a)に示すように、モジュール1の面内で端辺1aに垂直な方向の幅を、領域23P・23Qで同じとし、図25(b)に示すように、領域23Pよりも領域23Qの厚さを薄くすることで実現することができる。
【0101】
このように、ガイド部23は、剛性の異なる領域23P・23Qがモジュール1の端辺1aの方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されているので、上記方向にガイド部23全体で剛性を保持しつつ、剛性のより弱い領域23Qでガイド部23を折り曲げやすくすることができる。
【0102】
また、本実施形態では、ガイド部23における剛性のより強い領域23Pの端辺1aの方向の幅W1(mm)は、各剛体部21の端辺1aの方向の幅W2(mm)(図24(a)参照)よりも小さくなるように設定されている。
【0103】
図26は、モジュール1を設置面Pに設置する過程を順に示している。同図に示すように、設置面Pが折れ曲がっている場合、その折り曲げ位置(図の破線で示す位置)に、モジュール1のいずれかの剛体部21が位置していると、この位置ではモジュール1を折り曲げることはできない。
【0104】
そこで、まず、設置面Pの折り曲げ位置と、ガイド部23の領域23P・23Qのうちで剛性がより弱い領域23Qの位置とが合うように、モジュール1の位置を調整する。そして、各剛体部21をガイド部23に沿って端辺1aの方向に移動させ、2つの剛体部21・21の境界、すなわち、剛体部21が存在しない領域を、設置面Pの折り曲げ位置、すなわち、ガイド部23の領域23Qに合わせる。これにより、ガイド部23を領域23Qで折り曲げて、設置面Pに沿うようにモジュール1を設置することが可能となる。
【0105】
以上のように、複数の剛体部21が、上記したガイド部23を介してラミネート部51に設けられていることにより、各剛体部21をガイド部23に沿って移動させることで、各剛体部21と干渉させずに(各剛体部21が折り曲げを阻害することなく)、ガイド部23を、剛性がより弱い領域23Qで折り曲げることができる。その結果、モジュール1の設置面Pが平面以外であっても、モジュール1を設置面Pに沿うように折り曲げて設置することができる。
【0106】
しかも、ガイド部23における剛性のより強い領域23Pの幅W1は、各剛体部21の幅W2よりも小さいので、各剛体部21をガイド部23に沿って移動させることで、各剛体部21の幅W2よりも小さいピッチでガイド部23を折り曲げることが可能となる。その結果、モジュール1の設置面Pの形状に応じて、モジュール1を最適な位置で折り曲げて設置することができる。
【0107】
また、図27は、モジュール1の他の構成を示す平面図である。同図に示すように、モジュール1のガイド部23は、領域23P・23Qを同じ材料で構成しつつ、モジュール1の面内で端辺1aに垂直な方向の幅を、領域23Pよりも領域23Qのほうが小さくなるようにして構成されていてもよい。
【0108】
このようにガイド部23を構成した場合でも、領域23Pの剛性が領域23Qの剛性よりも高くなるので、モジュール1の端辺1aの方向には、ガイド部23全体で剛性を保持しつつ、剛性のより弱い領域23Qでガイド部23を折り曲げやすくすることができる。その結果、上記と同様に、モジュール1の設置面Pが平面以外であっても、各剛体部21を適切な位置に移動させることで、モジュール1を設置面Pに沿うように折り曲げて設置することができる。
【0109】
また、図28(a)は、モジュール1のさらに他の構成を示す平面図であって、剛体部21を除いた状態での平面図であり、図28(b)は、上記剛体部21の平面図であり、図28(c)は、上記剛体部21の断面図である。剛体部21は、ガイド部23を介してラミネート部51に設けられるとともに、剛性の異なる領域21P・21Qが、モジュール1の端辺1aの方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されていてもよい。そして、ガイド部23は、上記方向に互いに間隙を介して複数設けられていてもよい。
【0110】
ここで、剛体部21の領域21Pの剛性は、領域21Qの剛性よりも高いが、これは、実施の形態3と同様に、領域21P・21Qを同じ材料で構成しつつ、図28(b)に示すように、モジュール1の面内で端辺1aに垂直な方向の幅を、領域21P・21Qで同じとし、図28(c)に示すように、領域21Pよりも領域21Qの厚さを薄くすることで実現することができる。
【0111】
図29は、モジュール1を設置面Pに設置する過程を順に示している。まず、2つのガイド部23・23の間に設置面Pの折り曲げ位置がくるように、モジュール1の位置を調整する。そして、剛体部21をガイド部23に沿って端辺1aの方向に移動させ、剛体部21のいずれかの領域21Qを折り曲げ位置(任意のガイド部23・23の間)に位置させる。これにより、剛体部21を領域21Qで折り曲げて、設置面Pに沿うようにモジュール1を設置することが可能となる。
【0112】
以上のように、剛体部21は、剛性の異なる領域21P・21Qが、モジュール1の端辺1aの方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されているので、モジュール1の端辺1aの方向に剛体部21全体で剛性を保持しつつ、剛性のより弱い領域21Qで剛体部21を折り曲げやすくすることができる。
【0113】
しかも、剛体部21をガイド部23に沿って移動させることで、剛体部21を各ガイド部23と干渉させずに(各ガイド部23が剛体部21の折り曲げを阻害することなく)、剛体部21を領域21Qで折り曲げることができる。その結果、モジュール1の設置面Pが平面以外であっても、モジュール1を設置面Pに沿うように折り曲げて設置することができる。
【0114】
このとき、図28(a)(c)に示すように、各ガイド部23の端辺1aの方向の幅W3(mm)は、剛体部21における剛性のより強い領域21Pの上記方向の幅W4(mm)よりも小さく設定されていることが望ましい。この場合、領域21Pの幅W4よりも小さいピッチで剛体部21を折り曲げることが可能となり、モジュール1の設置面Pの形状に応じて、モジュール1を最適な位置で折り曲げて設置することができる。
【0115】
また、図30は、剛体部21の他の構成を示す平面図である。同図に示すように、モジュール1の剛体部21は、領域21P・21Qを同じ材料、同じ厚さで構成しつつ、モジュール1の面内で端辺1aに垂直な方向(領域21Pが並ぶ方向に垂直な方向)における領域21Qの幅が領域21Pよりも小さくなるように構成されていてもよい。
【0116】
このように剛体部21を構成した場合でも、領域21Pの剛性が領域21Qの剛性よりも高くなるので、モジュール1の端辺1aの方向には、剛体部21全体で剛性を保持しつつ、剛性のより弱い領域21Qで剛体部21を折り曲げやすくすることができる。その結果、上記と同様に、モジュール1の設置面Pが平面以外であっても、剛体部21を適切な位置に移動させることで、モジュール1を設置面Pに沿うように折り曲げて設置することができる。
【0117】
〔実施の形態5〕
図31(a)は、本実施形態のモジュール1の、紐状部材31を取り付ける前の状態での平面図および断面図である。また、図31(b)は、紐状部材31を取り付けた状態でのモジュール1の平面図および断面図である。
【0118】
モジュール1の剛体部21およびラミネート部51には、モジュール1の厚さ方向に同時に貫通する貫通孔21a(剛体側貫通孔)および貫通孔51a(ラミネート貫通孔)がそれぞれ形成されている。この構成では、貫通孔21aおよび貫通孔51aに紐状部材31を通すことで、紐状部材31を介してモジュール1を固定部材40に固定することができる。したがって、本実施形態では、貫通孔21aと貫通孔51aとで紐状部材取付部22が構成されていると言うことができる。
【0119】
ここで、貫通孔21aおよび貫通孔51aは、例えばラミネート部51上に剛体部21を接着した状態で、または発電層13と同時に剛体部21をラミネートした状態で、穴あけ用のパンチによって、剛体部21およびラミネート部51に同時に穴を貫通させることによって形成可能である。このように、パンチによって貫通孔21aおよび貫通孔51aを容易に形成できるので、貫通孔21aおよび貫通孔51aからなる紐状部材取付部22を簡便に作製することができる。また、紐状部材取付部22として、紐状部材31を引っ掛けるためのねじ部材が不要なので、モジュール1を構成する部品の点数を削減することもできる。
【0120】
〔実施の形態6〕
図32(a)は、本実施形態の固定機構Mの平面図であり、図32(b)は、上記固定機構Mの垂直断面図である。本実施形態の固定機構Mは、移動機構60を備えている。この移動機構60は、紐状部材31を介してモジュール1を引っ張る方向に、モジュール1の設置面Pに沿って固定部材40を移動させるものである。具体的には、以下の通りである。
【0121】
図33(a)は、移動機構60の平面図であり、図33(b)は、図33(a)におけるB−B’線矢視断面図である。移動機構60は、設置面Pに沿って移動可能な移動板61と、設置面Pに沿う移動板61の移動(特に紐状部材31を介してモジュール1を引っ張る方向への移動)を案内するためのガイドレール62と、移動板61をまたぐように設置されて設置面Pに固定される固定板63と、固定板63に設けられた穴に挿通されて、移動板61を設置面Pに押し付けて固定するねじ部材64とを有して構成されている。紐状部材31が固定される固定部材40の一部(ここでは固定用金具42)は、ねじ部材48によって移動板61に固定されている。
【0122】
また、本実施形態では、紐状部材31は、ゴムなどの弾性を有する材料で構成されている。ここで、紐状部材31の弾性は、伸度が1.2〜5程度であることが望ましい。なお、伸度とは、紐状部材31が最大に伸びたときの長さ/紐状部材31の初期の長さ、を指す。
【0123】
上記の構成によれば、紐状部材31を介してモジュール1と固定部材40とを固定した状態で、移動機構60の移動板61を、ガイドレール62に沿って、紐状部材31を介してモジュール1を引っ張る方向に移動させ、適切な位置で、ねじ部材64によって移動板61を設置面Pに押し付けて固定することで、紐状部材31を介してモジュール1にテンションを付与することができる。これにより、フレキシブルなモジュール1で発生しやすい、運搬時の巻癖や自重による撓みを無くすことができる。
【0124】
また、紐状部材31が弾性を有していることにより、紐状部材31の弾性によってモジュール1を引っ張る力が生じ、これによってもモジュール1にテンションを付与することができる。したがって、モジュール1の運搬時の巻癖や自重による撓みを確実に無くすことができる。なお、固定機構Mが上述した移動機構60を備えていなくても、弾性を有する紐状部材31を用いることによって、モジュール1にテンションを与え、これによってモジュール1の巻癖等を無くすようにすることは可能である。
【0125】
なお、以上の各実施形態で説明した構成を適宜組み合わせることにより、固定機構やモジュールを構成することも勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の固定機構は、フレキシブルに構成された太陽電池モジュールを固定部材に固定する場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 モジュール(フレキシブル太陽電池モジュール)
1a 端辺
1b 端辺
1c 端辺
1d 端辺
13 発電層(光電変換部)
15 保護層(ラミネート部)
16 ラミネート層(ラミネート部)
21 剛体部
21a 貫通孔(剛体側貫通孔、紐状部材取付部)
21P 領域
21Q 領域
22 紐状部材取付部
23 ガイド部
23P 領域
23Q 領域
31 紐状部材
40 固定部材
51 ラミネート部
51a 貫通孔(ラミネート貫通孔、紐状部材取付部)
60 移動機構
M 固定機構
R 受光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状部材を介して固定部材に固定されるフレキシブル太陽電池モジュールであって、
光を受けて電力を発生する光電変換部と、
前記光電変換部を保護するラミネート部と、
該モジュールの少なくとも1つの端辺に沿って伸びるように、前記ラミネート部に設けられる剛体部と、
前記紐状部材が取り付けられる紐状部材取付部とを備え、
前記紐状部材取付部は、前記剛体部に設けられていることを特徴とするフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記剛体部は、前記紐状部材取付部よりも前記端辺に沿う方向に長いことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記剛体部がモジュールの厚さ方向に垂直な面内で歪むように、前記剛体部に対して、該剛体部が沿う端辺方向の中心に一定の力を加えたときの、該剛体部の歪み量をε1とし、
前記剛体部がモジュールの厚さ方向に歪むように、前記剛体部に対して、該剛体部が沿う端辺方向の中心に前記一定の力を加えたときの、該剛体部の歪み量をε2としたとき、
ε1<ε2
であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記剛体部は、剛性の異なる領域が、モジュールの端辺方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記剛体部は、モジュールの端辺方向に複数設けられているとともに、各剛体部の前記端辺方向への移動を案内するガイド部を介して、前記ラミネート部に設けられており、
前記ガイド部は、剛性の異なる領域が、前記端辺方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記ガイド部における剛性のより強い領域の前記端辺方向の幅は、前記各剛体部の前記端辺方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記剛体部は、モジュールの端辺方向への移動を案内するガイド部を介して、前記ラミネート部に設けられているとともに、剛性の異なる領域が、前記端辺方向に交互に並んで、かつ、隣接して形成されており、
前記ガイド部は、前記端辺方向に互いに間隙を介して複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記各ガイド部の前記端辺方向の幅は、前記剛体部における剛性のより強い領域の前記端辺方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記剛体部および前記ラミネート部には、モジュールの厚さ方向に同時に貫通する剛体側貫通孔およびラミネート貫通孔がそれぞれ形成されており、
前記紐状部材取付部は、前記剛体側貫通孔および前記ラミネート貫通孔で構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記剛体部は、モジュールの端辺と同じ長さで前記端辺に沿うように、前記ラミネート部に設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記剛体部は、モジュールの全ての端辺に沿うように、各端辺に対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記剛体部は、モジュールの全ての端辺に沿うように、枠状に設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項13】
前記剛体部は、モジュールの端辺の一部に沿うように、前記ラミネート部に設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項14】
前記紐状部材取付部は、前記剛体部に複数設けられていることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項15】
前記剛体部は、前記ラミネート部における前記光電変換部の受光領域外に設けられていることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュールと、
前記モジュールと紐状部材を介して固定される固定部材とを備えていることを特徴とするフレキシブル太陽電池モジュールの固定機構。
【請求項17】
前記紐状部材は、弾性を有していることを特徴とする請求項16に記載のフレキシブル太陽電池モジュールの固定機構。
【請求項18】
前記紐状部材を介して前記モジュールを引っ張る方向に、前記モジュールの設置面に沿って前記固定部材を移動させる移動機構をさらに備えていることを特徴とする請求項16または17に記載のフレキシブル太陽電池モジュールの固定機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−62453(P2013−62453A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201394(P2011−201394)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】