フロック加工された素材を組み込んだ衣料品
フロック加工された素材、およびフロック加工された素材を組み込んだ衣料品が開示される。フロック加工された素材は、下地および複数のフロック加工用繊維を含む。下地は、二次元の素材から形成され、かつ第一の表面および反対の第二の表面を有する。フロック加工用繊維は、第二の表面に固定される。さらに、フロック加工用繊維は、下地の第二の表面の少なくとも一部を露出する複数の開口部を形成し得る。衣料品に組み込まれる場合、フロック加工用繊維は内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成し得る。したがって、フロック加工用繊維は、衣料品を着用している個体に接触するように配置され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は衣料品の素材に関する。本発明は、より詳細には、衣料品における使用に適したフロック加工された素材に関する。本発明は、例えば、競技活動中の使用を意図した衣料品に適用される。
【背景技術】
【0002】
背景技術の記載
競技活動中の使用のために設計される衣料品は、一般的に個体の性能または快適性を向上する特性を示す。例えば、衣類は比較的タイトフィットを提供する弾性素材を組み込み得、それによって風圧抵抗を最小化するより低いプロファイルを個体に与える。衣類はまた、皮膚に隣接して累積する汗の量を減少させるために、個体から湿気を逃がす素材からも形成され得る。さらに、衣類は、特定の環境条件に対して特異的に選択される素材を組み込み得る。したがって、競技活動のために衣料品に組み込まれる素材は、個体の性能または快適性を向上させるために特に選択され得る。
【0003】
衣料品に組み込まれる素材の特性は、その衣料品の使用が意図される特定の活動に基づいて一般的に選択される。風圧抵抗を最小化する素材は、例えば、速度が第一の関心事である活動に適し得る。同様に、皮膚に隣接して累積する汗の量を減少させる素材は、比較的高い程度の激しい運動と一般的に関連する競技活動に最も適切であり得る。したがって、素材は、特定の競技活動に従事する個体の性能または快適性を向上するために選択され得る。
【0004】
織物は、衣料品のための共通に利用される素材の種類である。織物は、柔軟性、細かさ、および厚さに対する長さの高い割合によって特徴付けられる繊維、微細繊維、または糸由来の任意の製造品として定義され得る。織物は、一般的に二つのカテゴリーに分類される。第一のカテゴリーは、非織布およびフェルトを構成するために、結合、融合、または絡み合いによって繊維の網から直接生産される織物を含む。第二のカテゴリーは、それによって織布を生産する、糸の力学的な操作を介して形成される織物を含む。
【0005】
糸は、第二のカテゴリーにおける織物を形成するために利用される原料であり、かつ少なくとも一つの微細繊維または複数の繊維から形成される、実質的な長さおよび比較的小さい横断面を有する組立体として定義され得る。繊維は、比較的短い長さを有し、かつ織物における使用に適した長さの糸を生産するために、紡績またはツイスト加工を必要とする。繊維の共通の例は、綿およびウールである。微細繊維は、しかしながら、不確定な長さを有し、かつ織物における使用に適した糸を生産するために、他の微細繊維と単に組み合わせられるだけであり得る。現代の微細繊維は、主要な天然の例外である絹と共に、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびポリアクリルのような複数の合成素材を含む。糸は、単一微細繊維、または複数のまとめられた個別の微細繊維から形成され得る。糸は異なる素材から形成される別々の微細繊維もまた含み得、または糸は2つもしくはそれ以上の異なる素材からそれぞれ形成される微細繊維を含み得る。同様の概念は、繊維から形成される糸にもまた適用される。したがって、糸は、上記で提供された定義に一般に合致する様々な構造を有し得る。
【0006】
糸を織物へと機械的に操作するための様々な技術は、織合わせ、絡み合わせおよびツイスト、ならびにインタールーピングを含む。織合わせは、交わりかつ実質的に互いに直角に織合わさる二本の糸の交差である。織合わせにおいて利用される糸は、従来、縦糸および横糸と呼ばれる。絡み合わせおよびツイストは、織物を形成するために糸が互いに絡み合う、組みひもおよび結び目のような手法を包含する。インタールーピングは、インタールーピングの最も一般的な方法である編むことにより、互いに噛み合わされたループの複数のカラムの形成を含む。
【0007】
織物が形成される様式、および織物に組み込まれる特定の糸は、競技活動のための衣料品に用いられる織物の特性および織物の適合性に影響を及ぼす。密織りは、例えば、汗の除去を可能にするのに十分透過性ではあり得ない。密織りは、しかしながら、風または降水を遮断するのに十分であり得る。したがって、特定の織物の適合性は、特定の活動、および活動と関連する環境条件に関する様々な因子に依存する。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明の一つの局面は、下地および複数のフロック加工用繊維を有するフロック加工された素材である。下地は、二次元の素材から形成され、かつ第一の表面および反対の第二の表面を有する。フロック加工用繊維は、第二の表面に固定される。さらに、フロック加工用繊維は、下地の第二の表面の少なくとも一部を露出する複数の開口部を形成し得る。いくつかの態様において、開口部は、細長いかまたは楕円形の構造を示し得る。下地は、織物であり得、かつ耐水性コーティングを含み得る。
【0009】
本発明の他の局面はフロック加工された素材を含む衣料品である。より詳細には、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するよう、フロック加工された素材は衣料品に組み込まれ得る。フロック加工用繊維は、衣料品を着用している個体に接触し、かつ個体と下地の間の空間を形成するように配置され得る。
【0010】
本発明を新規に特徴付ける利点および特徴は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている。しかしながら、新規性の利点および特徴の理解を向上させるために、本発明に関する様々な態様および概念を説明し図示する以下の説明事項ならびに添付の図面を参照することができる。
【0011】
上記の発明の概要および以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と関連して読まれる場合、よりよく理解されるであろう。
【0012】
発明の詳細な説明
以下の考察および添付の図面は、本発明に従って、フロック加工された素材20から少なくとも部分的に形成される衣料品10を開示する。衣料品10は、フロック加工された素材20を除いては、従来のジャケットの一般的な構造を有するものとして図1において表される。当業者は、しかしながら、フロック加工された素材20が、例えば長袖および半袖のシャツ、帽子、コート、パンツ、下着、手袋、ソックスならびにフットウェアを含む、様々な異なる構造を示す複数の衣料品に組み込まれ得ることを認識する。したがって、衣料品10に関する以下の考察および添付の図面において開示される様々な概念は、ジャケットに加えて様々な衣類構造と関連して利用され得る。
【0013】
衣料品10は、胴部分11、ならびに2つの腕部分12aおよび12bを含む。胴部分11は個体の胴と一致し、したがって着用される場合、その胴を覆う。同様に、腕部分12aおよび12bは、それぞれ個体の右腕および左腕と一致し、かつ着用される場合その腕を覆う。ジッパー13は、個体が衣料品10にアクセスするのを可能にするように、胴部分11を介して垂直に伸張する。さらに、ジッパー13は、衣料品10の熱的特性を調節するための構造を個体に提供する。すなわち、ジッパー13は、空気の流動を促進し、かつ熱を放出するために開かれてもよく、または空気の流動を制限するために閉じられてもよい。衣料品10は、したがって、従来のジャケットの一般的な構造を示す。従来のジャケットと対照的に、しかしながら、衣料品10は、フロック加工された素材20から少なくとも部分的に形成される。
【0014】
フロック加工された素材20の基本部材は、図2および3で図示するように、下地21、複数のフロック加工用繊維22、および接着剤23である。下地21は、例えば、第一の表面24aおよび反対の第二の表面24bを有する織物またはポリマーシートであり得る。フロック加工用繊維22は、下地21に関して垂直であるかまたはそれ以外は実質的に直角配向を示し、かつフロック加工用繊維22は接着剤23により第二の表面24bに固定される。したがって、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22を接着剤23により下地21に垂直に固定した構造を有する。
【0015】
フロック加工された素材20は、第一の表面24aが外側を向き、かつ第二の表面24bが内側を向くように、衣料品10に組み込まれる。すなわち、フロック加工用繊維22は衣料品10内に配置され、衣料品10の内面を形成し、かつ個体と接触する。個体は参照番号14によって図4に表される。フロック加工された素材を組み込んだ多くの従来の衣料品において、フロック加工された素材のフロック加工された表面は、従来の衣料品に美的な質を提供するために外側を向く。しかしながら、衣料品10においては、フロック加工用繊維22および第二の表面24bは、個体の性能および快適性を向上させるために内側を向く。より詳細には、フロック加工用繊維22は個体と接触し、かつ下地21と個体の間の空間25を形成する。空間25は、空気の移動を容易にし、それによって汗の除去を促進することで、性能を向上し得る。空間25は、熱を保持し、かつ下地21がくっつかないか、またはそれ以外は著しく個体と接触しないことを確実にすることによって、快適性もまた向上させ得る。したがって、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22が内側を向き、空間25を形成し、かつ個体に隣接して配置されるように、衣料品10に組み込まれる。
【0016】
下地21は、一般的に二次元の素材から形成される。本発明に関して利用されるように、用語「二次元の素材」は、厚さより実質的に大きい長さおよび幅を示す一般的に平坦な素材を包含することが意図される。したがって、下地21に適した素材は、例えば様々な織物およびポリマーシートを含む。上記の発明の背景セクションにおいて述べられるように、織物は例えば、(a)非織布およびフェルトを構成するために、結合、融合、または絡み合いによって繊維の網から直接生産される、または(b)織布を生産するために、糸の力学的な操作を介して形成されるかのいずれかである、繊維、微細繊維、または糸から一般的に製造される。ポリマーシートは、圧出、圧延され、またはそれ以外は高分子物質から形成され、一般的に平坦な様相を示し得る。織物およびポリマーシートに加え、下地21は、革および合成スエードのような他の二次元の素材から形成され得る。
【0017】
下地21に適した一つの素材は、75デニールおよび糸当たり72の微細繊維を有する仮よりテクスチャード加工ポリエステル糸から形成される織物である。ポリエステルは、比較的高い耐久性もまた提供する疎水性の素材である。下地21は、ポリテトラフルオロエチレンコーティングのような、耐久性、撥水性素材によって増強され得る。ポリエステル糸から形成される場合、下地21の特定の特性は、下地21に適した素材の例を提供することを意図される。例えば綿、レーヨン、ウール、およびナイロンのような素材を含む、様々な他の素材もまた下地21に適している。織物として形成される場合、下地21の特性は、下地21を形成する糸の素材に主に依存する。綿は、例えば、柔らかい手触り、自然な美しさ、および生分解性を提供する。レーヨンは、高い光沢、および吸湿性を提供する。ウールは、絶縁性に加えて高い吸湿性もまた提供する。ナイロンは、高い強度を有する耐久性および耐摩耗性素材である。したがって、下地21のために選択される素材は、衣料品10およびフロック加工された素材20の特性に寄与する。
【0018】
フロック加工された素材20に伸縮性および回復性を提供するために、エラステン繊維は、下地21に組み込まれ得る。エラステン繊維は、E.I. duPont de Nemours CompanyからLYCRA商標下で入手可能である。そのような繊維は、繊維がナイロンシースによって取り囲まれるエラステンコアを含む、被覆エラステンの構造を有し得る。伸縮性を示す他の繊維または微細繊維もまた利用され得る。伸縮性または非伸縮性のいずれにせよ、複数のその他の素材は、下地21にもまた適している。
【0019】
フロック加工用繊維22は、様々な他の素材に加えて、下地21のための上記の素材のいずれかから形成され得る。フロック加工用繊維22に適した一つの素材は、約0.5ミリメートルの長さを有する1.5デニールのナイロン繊維である。本発明の範囲内で、しかしながら、フロック加工用繊維22は、例えば0.2ミリメートル〜5.0ミリメートルの長さにおいて異なり得、かつ0.8〜22の間のデニールを示し得る。したがって、フロック加工用繊維22の特定の構造は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。
【0020】
接着剤23は、フロック加工用繊維22を下地21にしっかりと接合する。様々な接着剤が、本発明の範囲内で利用され得る。接着剤23のために選択される特定の接着剤は、しかしながら、著しい使用および複数の洗浄の繰り返しを通して、フロック加工用繊維22を下地21に接合し続けるべきである。したがって、様々な接着剤が、接着剤23のために利用され得る。
【0021】
衣料品10は、例えば、ジャケットの構造を形成するために、縫い目によってつなぎ合わされる複数の個々の部材から形成される。すなわち、フロック加工された素材20の複数の部材は、胴部分11、ならびに腕部分12aおよび12bを形成するためにつなぎ合わされ得る。個々の部材の各々は、フロック加工された素材20から形成され得る。代替として、部材の1つまたは複数は、異なる素材から形成され得る。例えば、胴部分11を形成する部材は、フロック加工された素材20から形成されてもよく、一方腕部分12aおよび12bを形成する部材は異なる二次元の素材から形成されてもよい。別の代替として、衣料品10を形成する各々の部材はフロック加工された素材20から形成され得るが、下地21を形成する特定の素材は異なり得る。したがって、フロック加工された素材20が衣料品10に組み込まれる様式は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。
【0022】
図2に関して、下地21上のフロック加工用繊維22のパターンは、開口部26周辺に全体的に伸張しているフロック加工用繊維22によって、複数の細長い開口部26を規定する。図示するように、開口部26は、楕円形の形状であり、かつ長さ寸法の約70%である幅寸法を有する。したがって、約7ミリメートルの幅については、各開口部26の長さは、約10ミリメートルであり得る。下地21上のフロック加工用繊維22の特定の構造は、著しく、しかしながら、図5A〜5Fにおいて表されるように異なり得る。フロック加工用繊維22は、例えばそれぞれ図5Aおよび5Bにおいて表されるように、円形または六角形の形状を有するように、開口部26を形成し得る。フロック加工用繊維22は、それぞれ図5Cおよび5Dにおいて表されるように、下地21上で直線または湾曲した線もまた形成し得る。いくつかの態様において、それぞれ図5Eおよび5Fにおいて表されるように、フロック加工用繊維22は楕円形または円形の形状を有するフロック加工の別々の領域を形成し得る。いくつかの他の態様において、下地21上に明瞭なパターンが形成されないように、フロック加工用繊維22は、ランダムに配置されることさえあり得る。したがって、開口部26の形状またはフロック加工用繊維22のパターンは、本発明の範囲内で著しく異なり得る。
【0023】
上記のように、下地21上のフロック加工用繊維22のパターンは、開口部26周辺に全体的に伸張しているフロック加工用繊維22によって、複数の細長い開口部26を規定する。この構造は、他の構造に勝る利点を有し、向上された耐久性およびグリップ特性を含む。耐久性に関して、フロック加工用繊維の別々の領域を有する素材と比較した場合、本構造におけるフロック加工用繊維22は、洗浄の間より大きな程度下地21に損なわれずに残った。さらに、本構造は向上したグリップを提供し得る。したがって、フロック加工された素材20は、例えば物質をつかむのに用いることが意図されるグローブに組み込まれ得る。より詳細には、フロック加工用繊維は、サッカーボールを捕えるまたはそれ以外は扱うために利用される、サッカーゴールキーパーグローブのようなグローブの外側に配置され得る。
【0024】
上記で詳述したように、フロック加工用繊維22は個体と接触し、かつ下地21と個体の間の空間25を形成する。当業者は、下地21のドレープ、フロック加工用繊維22の長さ、ならびに開口部26の寸法および形状を含む、様々な因子が、空間25の適切な形成に協調して寄与することを認識するであろう。下地21のドレープ特性は、各開口部26における下方への反りを形成し得る。下地21が伸張する下方への距離は、開口部26の寸法および形状によって、少なくとも部分的に決定される。したがって、フロック加工用繊維22の長さは、下地21が伸張する下方への距離より少なくともわずかに長くあるよう選択されるべきである。例えば、下地21が伸張する下方への距離が、フロック加工用繊維22の長さより大きい場合、下地21が、個体と接触し、かつ空間25の有効性を実質的に制限し得る。したがって、フロック加工された素材20を設計する場合、下地21のドレープ、フロック加工用繊維22の長さ、ならびに開口部26の寸法および形状は、空間25が適切に形成されることを確実にするために、協調して考慮されるべきである。
【0025】
フロック加工された素材20は、一般的に従来のプロセスによって形成され得る。例えば、製造プロセスは、フロック加工用繊維22が位置付けされることが意図されるそれらの領域のみに、接着剤23を下地21に配置する段階を最初に含み得る。フロック加工用繊維22が接着剤23と接触するように、様々なフロック加工用繊維22は、静電荷によって下地21に垂直に整列配置され得る。すなわち、静電荷は、フロック加工用繊維22に適切な配向を与えるために利用され得る。フロック加工用繊維22の両端部分は、次いで接着剤23と接触し、正しい配向で下地21に結合される。次いで、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22が内側を向き、空間25を形成し、かつ個体に隣接して配置されるように、衣料品10に組み込まれる。
【0026】
図6に関して、他の衣料品30が開示される。衣料品30は、半袖シャツの構造を有し、かつ胴部分31、ならびに2つの腕部分32aおよび32bを含む。胴部分31は個体の胴と一致し、したがって着用される場合、その胴を覆う。同様に、腕部分32aおよび32bは、それぞれ個体の右腕および左腕と一致し、かつ着用される場合その腕を覆う。衣料品30は、したがって、従来の半袖シャツの一般的な構造を示す。従来の半袖シャツと対照的に、しかしながら、衣料品30は、フロック加工された素材20から少なくとも部分的に形成される。したがって、フロック加工された素材20は、第一の表面24aが外側を向き、かつ第二の表面24bが内側を向くように、衣料品30に組み込まれる。すなわち、フロック加工用繊維22は、個体と接触しかつ下地21と個体の間に空間を形成するように衣料品30内に配置される。
【0027】
別の衣料品40は、パンツの構造を有するものとして図7において表される。衣料品40は、骨盤部分41、ならびに一対の脚部分42aおよび42bを含む。衣料品10および30のように、衣料品40は、第一の表面24aが外側を向き、かつ第二の表面24bが内側を向くように、フロック加工された素材20を組み込む。すなわち、フロック加工用繊維22は、個体と接触しかつ下地21と個体の間に空間を形成するように衣料品40内に配置される。
【0028】
上記説明に基づいて、フロック加工された素材20は、様々な衣料品に組み込まれ得る。フロック加工された素材20が衣料品に組み込まれる様式は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。いくつかの態様において、フロック加工用繊維22は、個体と接触するように配置される。すなわち、フロック加工された素材20のフロック加工された部分は内側を向く。本構造は、様々な利点を提供する。例えば、フロック加工用繊維22は個体と接触し、かつ下地21と個体の間の空間25を形成する。空間25は、空気の移動を容易にし、それによって汗の除去を促進することで、性能を向上し得る。空間25は、熱を保持し、かつ下地21がくっつかないか、またはそれ以外は著しく個体と接触しないことを確実にすることによって、快適性もまた向上させ得る。したがって、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22が内側を向き、空間25を形成し、かつ個体に隣接して配置されるように、様々な衣料品に組み込まれ得る。
【0029】
本発明は、様々な態様を参照して、上記でおよび添付の図面に開示されている。しかしながら、本開示によって満たされる目的とは、本発明に関する様々な特徴および概念の一例を提供することであり、本発明の範囲を制限することではない。当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の態様に多数の変形および改変を施せることが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の素材を組み込んだ衣料品の斜視図である。
【図2】素材の一部の平面図である。
【図3】図2で区分線3-3によって定義された、素材の断面図である。
【図4】図3に対応する素材の他の断面図であり、かつ個体と接触するように素材を図示する。
【図5】図5A〜5Fは、素材に対する様々なさらなる構造を表す平面図である。
【図6】素材を組み込んだ他の衣料品の正面の平面図である。
【図7】素材を組み込んださらに他の衣料品の正面の平面図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は衣料品の素材に関する。本発明は、より詳細には、衣料品における使用に適したフロック加工された素材に関する。本発明は、例えば、競技活動中の使用を意図した衣料品に適用される。
【背景技術】
【0002】
背景技術の記載
競技活動中の使用のために設計される衣料品は、一般的に個体の性能または快適性を向上する特性を示す。例えば、衣類は比較的タイトフィットを提供する弾性素材を組み込み得、それによって風圧抵抗を最小化するより低いプロファイルを個体に与える。衣類はまた、皮膚に隣接して累積する汗の量を減少させるために、個体から湿気を逃がす素材からも形成され得る。さらに、衣類は、特定の環境条件に対して特異的に選択される素材を組み込み得る。したがって、競技活動のために衣料品に組み込まれる素材は、個体の性能または快適性を向上させるために特に選択され得る。
【0003】
衣料品に組み込まれる素材の特性は、その衣料品の使用が意図される特定の活動に基づいて一般的に選択される。風圧抵抗を最小化する素材は、例えば、速度が第一の関心事である活動に適し得る。同様に、皮膚に隣接して累積する汗の量を減少させる素材は、比較的高い程度の激しい運動と一般的に関連する競技活動に最も適切であり得る。したがって、素材は、特定の競技活動に従事する個体の性能または快適性を向上するために選択され得る。
【0004】
織物は、衣料品のための共通に利用される素材の種類である。織物は、柔軟性、細かさ、および厚さに対する長さの高い割合によって特徴付けられる繊維、微細繊維、または糸由来の任意の製造品として定義され得る。織物は、一般的に二つのカテゴリーに分類される。第一のカテゴリーは、非織布およびフェルトを構成するために、結合、融合、または絡み合いによって繊維の網から直接生産される織物を含む。第二のカテゴリーは、それによって織布を生産する、糸の力学的な操作を介して形成される織物を含む。
【0005】
糸は、第二のカテゴリーにおける織物を形成するために利用される原料であり、かつ少なくとも一つの微細繊維または複数の繊維から形成される、実質的な長さおよび比較的小さい横断面を有する組立体として定義され得る。繊維は、比較的短い長さを有し、かつ織物における使用に適した長さの糸を生産するために、紡績またはツイスト加工を必要とする。繊維の共通の例は、綿およびウールである。微細繊維は、しかしながら、不確定な長さを有し、かつ織物における使用に適した糸を生産するために、他の微細繊維と単に組み合わせられるだけであり得る。現代の微細繊維は、主要な天然の例外である絹と共に、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびポリアクリルのような複数の合成素材を含む。糸は、単一微細繊維、または複数のまとめられた個別の微細繊維から形成され得る。糸は異なる素材から形成される別々の微細繊維もまた含み得、または糸は2つもしくはそれ以上の異なる素材からそれぞれ形成される微細繊維を含み得る。同様の概念は、繊維から形成される糸にもまた適用される。したがって、糸は、上記で提供された定義に一般に合致する様々な構造を有し得る。
【0006】
糸を織物へと機械的に操作するための様々な技術は、織合わせ、絡み合わせおよびツイスト、ならびにインタールーピングを含む。織合わせは、交わりかつ実質的に互いに直角に織合わさる二本の糸の交差である。織合わせにおいて利用される糸は、従来、縦糸および横糸と呼ばれる。絡み合わせおよびツイストは、織物を形成するために糸が互いに絡み合う、組みひもおよび結び目のような手法を包含する。インタールーピングは、インタールーピングの最も一般的な方法である編むことにより、互いに噛み合わされたループの複数のカラムの形成を含む。
【0007】
織物が形成される様式、および織物に組み込まれる特定の糸は、競技活動のための衣料品に用いられる織物の特性および織物の適合性に影響を及ぼす。密織りは、例えば、汗の除去を可能にするのに十分透過性ではあり得ない。密織りは、しかしながら、風または降水を遮断するのに十分であり得る。したがって、特定の織物の適合性は、特定の活動、および活動と関連する環境条件に関する様々な因子に依存する。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明の一つの局面は、下地および複数のフロック加工用繊維を有するフロック加工された素材である。下地は、二次元の素材から形成され、かつ第一の表面および反対の第二の表面を有する。フロック加工用繊維は、第二の表面に固定される。さらに、フロック加工用繊維は、下地の第二の表面の少なくとも一部を露出する複数の開口部を形成し得る。いくつかの態様において、開口部は、細長いかまたは楕円形の構造を示し得る。下地は、織物であり得、かつ耐水性コーティングを含み得る。
【0009】
本発明の他の局面はフロック加工された素材を含む衣料品である。より詳細には、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するよう、フロック加工された素材は衣料品に組み込まれ得る。フロック加工用繊維は、衣料品を着用している個体に接触し、かつ個体と下地の間の空間を形成するように配置され得る。
【0010】
本発明を新規に特徴付ける利点および特徴は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている。しかしながら、新規性の利点および特徴の理解を向上させるために、本発明に関する様々な態様および概念を説明し図示する以下の説明事項ならびに添付の図面を参照することができる。
【0011】
上記の発明の概要および以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と関連して読まれる場合、よりよく理解されるであろう。
【0012】
発明の詳細な説明
以下の考察および添付の図面は、本発明に従って、フロック加工された素材20から少なくとも部分的に形成される衣料品10を開示する。衣料品10は、フロック加工された素材20を除いては、従来のジャケットの一般的な構造を有するものとして図1において表される。当業者は、しかしながら、フロック加工された素材20が、例えば長袖および半袖のシャツ、帽子、コート、パンツ、下着、手袋、ソックスならびにフットウェアを含む、様々な異なる構造を示す複数の衣料品に組み込まれ得ることを認識する。したがって、衣料品10に関する以下の考察および添付の図面において開示される様々な概念は、ジャケットに加えて様々な衣類構造と関連して利用され得る。
【0013】
衣料品10は、胴部分11、ならびに2つの腕部分12aおよび12bを含む。胴部分11は個体の胴と一致し、したがって着用される場合、その胴を覆う。同様に、腕部分12aおよび12bは、それぞれ個体の右腕および左腕と一致し、かつ着用される場合その腕を覆う。ジッパー13は、個体が衣料品10にアクセスするのを可能にするように、胴部分11を介して垂直に伸張する。さらに、ジッパー13は、衣料品10の熱的特性を調節するための構造を個体に提供する。すなわち、ジッパー13は、空気の流動を促進し、かつ熱を放出するために開かれてもよく、または空気の流動を制限するために閉じられてもよい。衣料品10は、したがって、従来のジャケットの一般的な構造を示す。従来のジャケットと対照的に、しかしながら、衣料品10は、フロック加工された素材20から少なくとも部分的に形成される。
【0014】
フロック加工された素材20の基本部材は、図2および3で図示するように、下地21、複数のフロック加工用繊維22、および接着剤23である。下地21は、例えば、第一の表面24aおよび反対の第二の表面24bを有する織物またはポリマーシートであり得る。フロック加工用繊維22は、下地21に関して垂直であるかまたはそれ以外は実質的に直角配向を示し、かつフロック加工用繊維22は接着剤23により第二の表面24bに固定される。したがって、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22を接着剤23により下地21に垂直に固定した構造を有する。
【0015】
フロック加工された素材20は、第一の表面24aが外側を向き、かつ第二の表面24bが内側を向くように、衣料品10に組み込まれる。すなわち、フロック加工用繊維22は衣料品10内に配置され、衣料品10の内面を形成し、かつ個体と接触する。個体は参照番号14によって図4に表される。フロック加工された素材を組み込んだ多くの従来の衣料品において、フロック加工された素材のフロック加工された表面は、従来の衣料品に美的な質を提供するために外側を向く。しかしながら、衣料品10においては、フロック加工用繊維22および第二の表面24bは、個体の性能および快適性を向上させるために内側を向く。より詳細には、フロック加工用繊維22は個体と接触し、かつ下地21と個体の間の空間25を形成する。空間25は、空気の移動を容易にし、それによって汗の除去を促進することで、性能を向上し得る。空間25は、熱を保持し、かつ下地21がくっつかないか、またはそれ以外は著しく個体と接触しないことを確実にすることによって、快適性もまた向上させ得る。したがって、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22が内側を向き、空間25を形成し、かつ個体に隣接して配置されるように、衣料品10に組み込まれる。
【0016】
下地21は、一般的に二次元の素材から形成される。本発明に関して利用されるように、用語「二次元の素材」は、厚さより実質的に大きい長さおよび幅を示す一般的に平坦な素材を包含することが意図される。したがって、下地21に適した素材は、例えば様々な織物およびポリマーシートを含む。上記の発明の背景セクションにおいて述べられるように、織物は例えば、(a)非織布およびフェルトを構成するために、結合、融合、または絡み合いによって繊維の網から直接生産される、または(b)織布を生産するために、糸の力学的な操作を介して形成されるかのいずれかである、繊維、微細繊維、または糸から一般的に製造される。ポリマーシートは、圧出、圧延され、またはそれ以外は高分子物質から形成され、一般的に平坦な様相を示し得る。織物およびポリマーシートに加え、下地21は、革および合成スエードのような他の二次元の素材から形成され得る。
【0017】
下地21に適した一つの素材は、75デニールおよび糸当たり72の微細繊維を有する仮よりテクスチャード加工ポリエステル糸から形成される織物である。ポリエステルは、比較的高い耐久性もまた提供する疎水性の素材である。下地21は、ポリテトラフルオロエチレンコーティングのような、耐久性、撥水性素材によって増強され得る。ポリエステル糸から形成される場合、下地21の特定の特性は、下地21に適した素材の例を提供することを意図される。例えば綿、レーヨン、ウール、およびナイロンのような素材を含む、様々な他の素材もまた下地21に適している。織物として形成される場合、下地21の特性は、下地21を形成する糸の素材に主に依存する。綿は、例えば、柔らかい手触り、自然な美しさ、および生分解性を提供する。レーヨンは、高い光沢、および吸湿性を提供する。ウールは、絶縁性に加えて高い吸湿性もまた提供する。ナイロンは、高い強度を有する耐久性および耐摩耗性素材である。したがって、下地21のために選択される素材は、衣料品10およびフロック加工された素材20の特性に寄与する。
【0018】
フロック加工された素材20に伸縮性および回復性を提供するために、エラステン繊維は、下地21に組み込まれ得る。エラステン繊維は、E.I. duPont de Nemours CompanyからLYCRA商標下で入手可能である。そのような繊維は、繊維がナイロンシースによって取り囲まれるエラステンコアを含む、被覆エラステンの構造を有し得る。伸縮性を示す他の繊維または微細繊維もまた利用され得る。伸縮性または非伸縮性のいずれにせよ、複数のその他の素材は、下地21にもまた適している。
【0019】
フロック加工用繊維22は、様々な他の素材に加えて、下地21のための上記の素材のいずれかから形成され得る。フロック加工用繊維22に適した一つの素材は、約0.5ミリメートルの長さを有する1.5デニールのナイロン繊維である。本発明の範囲内で、しかしながら、フロック加工用繊維22は、例えば0.2ミリメートル〜5.0ミリメートルの長さにおいて異なり得、かつ0.8〜22の間のデニールを示し得る。したがって、フロック加工用繊維22の特定の構造は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。
【0020】
接着剤23は、フロック加工用繊維22を下地21にしっかりと接合する。様々な接着剤が、本発明の範囲内で利用され得る。接着剤23のために選択される特定の接着剤は、しかしながら、著しい使用および複数の洗浄の繰り返しを通して、フロック加工用繊維22を下地21に接合し続けるべきである。したがって、様々な接着剤が、接着剤23のために利用され得る。
【0021】
衣料品10は、例えば、ジャケットの構造を形成するために、縫い目によってつなぎ合わされる複数の個々の部材から形成される。すなわち、フロック加工された素材20の複数の部材は、胴部分11、ならびに腕部分12aおよび12bを形成するためにつなぎ合わされ得る。個々の部材の各々は、フロック加工された素材20から形成され得る。代替として、部材の1つまたは複数は、異なる素材から形成され得る。例えば、胴部分11を形成する部材は、フロック加工された素材20から形成されてもよく、一方腕部分12aおよび12bを形成する部材は異なる二次元の素材から形成されてもよい。別の代替として、衣料品10を形成する各々の部材はフロック加工された素材20から形成され得るが、下地21を形成する特定の素材は異なり得る。したがって、フロック加工された素材20が衣料品10に組み込まれる様式は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。
【0022】
図2に関して、下地21上のフロック加工用繊維22のパターンは、開口部26周辺に全体的に伸張しているフロック加工用繊維22によって、複数の細長い開口部26を規定する。図示するように、開口部26は、楕円形の形状であり、かつ長さ寸法の約70%である幅寸法を有する。したがって、約7ミリメートルの幅については、各開口部26の長さは、約10ミリメートルであり得る。下地21上のフロック加工用繊維22の特定の構造は、著しく、しかしながら、図5A〜5Fにおいて表されるように異なり得る。フロック加工用繊維22は、例えばそれぞれ図5Aおよび5Bにおいて表されるように、円形または六角形の形状を有するように、開口部26を形成し得る。フロック加工用繊維22は、それぞれ図5Cおよび5Dにおいて表されるように、下地21上で直線または湾曲した線もまた形成し得る。いくつかの態様において、それぞれ図5Eおよび5Fにおいて表されるように、フロック加工用繊維22は楕円形または円形の形状を有するフロック加工の別々の領域を形成し得る。いくつかの他の態様において、下地21上に明瞭なパターンが形成されないように、フロック加工用繊維22は、ランダムに配置されることさえあり得る。したがって、開口部26の形状またはフロック加工用繊維22のパターンは、本発明の範囲内で著しく異なり得る。
【0023】
上記のように、下地21上のフロック加工用繊維22のパターンは、開口部26周辺に全体的に伸張しているフロック加工用繊維22によって、複数の細長い開口部26を規定する。この構造は、他の構造に勝る利点を有し、向上された耐久性およびグリップ特性を含む。耐久性に関して、フロック加工用繊維の別々の領域を有する素材と比較した場合、本構造におけるフロック加工用繊維22は、洗浄の間より大きな程度下地21に損なわれずに残った。さらに、本構造は向上したグリップを提供し得る。したがって、フロック加工された素材20は、例えば物質をつかむのに用いることが意図されるグローブに組み込まれ得る。より詳細には、フロック加工用繊維は、サッカーボールを捕えるまたはそれ以外は扱うために利用される、サッカーゴールキーパーグローブのようなグローブの外側に配置され得る。
【0024】
上記で詳述したように、フロック加工用繊維22は個体と接触し、かつ下地21と個体の間の空間25を形成する。当業者は、下地21のドレープ、フロック加工用繊維22の長さ、ならびに開口部26の寸法および形状を含む、様々な因子が、空間25の適切な形成に協調して寄与することを認識するであろう。下地21のドレープ特性は、各開口部26における下方への反りを形成し得る。下地21が伸張する下方への距離は、開口部26の寸法および形状によって、少なくとも部分的に決定される。したがって、フロック加工用繊維22の長さは、下地21が伸張する下方への距離より少なくともわずかに長くあるよう選択されるべきである。例えば、下地21が伸張する下方への距離が、フロック加工用繊維22の長さより大きい場合、下地21が、個体と接触し、かつ空間25の有効性を実質的に制限し得る。したがって、フロック加工された素材20を設計する場合、下地21のドレープ、フロック加工用繊維22の長さ、ならびに開口部26の寸法および形状は、空間25が適切に形成されることを確実にするために、協調して考慮されるべきである。
【0025】
フロック加工された素材20は、一般的に従来のプロセスによって形成され得る。例えば、製造プロセスは、フロック加工用繊維22が位置付けされることが意図されるそれらの領域のみに、接着剤23を下地21に配置する段階を最初に含み得る。フロック加工用繊維22が接着剤23と接触するように、様々なフロック加工用繊維22は、静電荷によって下地21に垂直に整列配置され得る。すなわち、静電荷は、フロック加工用繊維22に適切な配向を与えるために利用され得る。フロック加工用繊維22の両端部分は、次いで接着剤23と接触し、正しい配向で下地21に結合される。次いで、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22が内側を向き、空間25を形成し、かつ個体に隣接して配置されるように、衣料品10に組み込まれる。
【0026】
図6に関して、他の衣料品30が開示される。衣料品30は、半袖シャツの構造を有し、かつ胴部分31、ならびに2つの腕部分32aおよび32bを含む。胴部分31は個体の胴と一致し、したがって着用される場合、その胴を覆う。同様に、腕部分32aおよび32bは、それぞれ個体の右腕および左腕と一致し、かつ着用される場合その腕を覆う。衣料品30は、したがって、従来の半袖シャツの一般的な構造を示す。従来の半袖シャツと対照的に、しかしながら、衣料品30は、フロック加工された素材20から少なくとも部分的に形成される。したがって、フロック加工された素材20は、第一の表面24aが外側を向き、かつ第二の表面24bが内側を向くように、衣料品30に組み込まれる。すなわち、フロック加工用繊維22は、個体と接触しかつ下地21と個体の間に空間を形成するように衣料品30内に配置される。
【0027】
別の衣料品40は、パンツの構造を有するものとして図7において表される。衣料品40は、骨盤部分41、ならびに一対の脚部分42aおよび42bを含む。衣料品10および30のように、衣料品40は、第一の表面24aが外側を向き、かつ第二の表面24bが内側を向くように、フロック加工された素材20を組み込む。すなわち、フロック加工用繊維22は、個体と接触しかつ下地21と個体の間に空間を形成するように衣料品40内に配置される。
【0028】
上記説明に基づいて、フロック加工された素材20は、様々な衣料品に組み込まれ得る。フロック加工された素材20が衣料品に組み込まれる様式は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。いくつかの態様において、フロック加工用繊維22は、個体と接触するように配置される。すなわち、フロック加工された素材20のフロック加工された部分は内側を向く。本構造は、様々な利点を提供する。例えば、フロック加工用繊維22は個体と接触し、かつ下地21と個体の間の空間25を形成する。空間25は、空気の移動を容易にし、それによって汗の除去を促進することで、性能を向上し得る。空間25は、熱を保持し、かつ下地21がくっつかないか、またはそれ以外は著しく個体と接触しないことを確実にすることによって、快適性もまた向上させ得る。したがって、フロック加工された素材20は、フロック加工用繊維22が内側を向き、空間25を形成し、かつ個体に隣接して配置されるように、様々な衣料品に組み込まれ得る。
【0029】
本発明は、様々な態様を参照して、上記でおよび添付の図面に開示されている。しかしながら、本開示によって満たされる目的とは、本発明に関する様々な特徴および概念の一例を提供することであり、本発明の範囲を制限することではない。当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の態様に多数の変形および改変を施せることが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の素材を組み込んだ衣料品の斜視図である。
【図2】素材の一部の平面図である。
【図3】図2で区分線3-3によって定義された、素材の断面図である。
【図4】図3に対応する素材の他の断面図であり、かつ個体と接触するように素材を図示する。
【図5】図5A〜5Fは、素材に対する様々なさらなる構造を表す平面図である。
【図6】素材を組み込んだ他の衣料品の正面の平面図である。
【図7】素材を組み込んださらに他の衣料品の正面の平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロック加工された素材が、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するように衣料品に組み込まれる、少なくとも一つの側に固定される複数のフロック加工用繊維を有するフロック加工された素材を含む衣料品。
【請求項2】
フロック加工された素材が織物下地も有し、かつフロック加工用繊維が接着剤によって織物下地に固定される、請求項1記載の衣料品。
【請求項3】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触し、かつ個体と織物下地の間の空間を形成するように配置される、請求項2記載の衣料品。
【請求項4】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触するように配置される、請求項1記載の衣料品。
【請求項5】
フロック加工用繊維が開口部を形成する、請求項1記載の衣料品。
【請求項6】
開口部が細長い構造を有する、請求項5記載の衣料品。
【請求項7】
開口部が楕円形の構造を有する、請求項5記載の衣料品。
【請求項8】
フロック加工された素材の少なくとも一部が耐水性コーティングを含む、請求項1記載の衣料品。
【請求項9】
フロック加工用繊維が約0.5ミリメートルの長さである、請求項1記載の衣料品。
【請求項10】
第一の表面および反対の第二の表面を有し、二次元の素材から形成される下地;ならびに
第二の表面に固定される複数のフロック加工用繊維
を含むフロック加工された素材を有する衣料品であって、
フロック加工された素材は、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するように衣料品に組み込まれる、衣料品。
【請求項11】
下地が織物である、請求項10記載の衣料品。
【請求項12】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触するように配置される、請求項10記載の衣料品。
【請求項13】
フロック加工用繊維が開口部を形成する、請求項10記載の衣料品。
【請求項14】
下地が耐水性コーティングを含む、請求項10記載の衣料品。
【請求項15】
フロック加工用繊維が接着剤によって第二の表面に固定される、請求項10記載の衣料品。
【請求項16】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触し、かつ個体と下地の間の空間を形成するように配置される、請求項10記載の衣料品。
【請求項17】
フロック加工用繊維が約0.5ミリメートルの長さである、請求項10記載の衣料品。
【請求項18】
第一の表面および反対の第二の表面を有し、二次元の素材から形成される織物下地;ならびに
織物下地の第二の表面の少なくとも一部を露出する複数の開口部を形成し、第二の表面に固定される複数のフロック加工用繊維
を含むフロック加工された素材を有する衣料品であって、
フロック加工された素材は、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するように衣料品に組み込まれ、かつフロック加工用繊維は、衣料品を着用する個体に接触し個体と織物下地の間の空間を形成するように配置される、衣料品。
【請求項19】
織物下地が耐水性コーティングを含む、請求項18記載の衣料品。
【請求項20】
開口部が細長い構造を有する、請求項18記載の衣料品。
【請求項21】
開口部が楕円形の構造を有する、請求項18記載の衣料品。
【請求項22】
フロック加工用繊維が約0.5ミリメートルの長さである、請求項18記載の衣料品。
【請求項23】
開口部の寸法が約10ミリメートルである、請求項22記載の衣料品。
【請求項24】
第一の表面および反対の第二の表面を有し、二次元の素材から形成される下地;ならびに
下地の第二の表面の少なくとも一部を露出する複数の開口部を形成し、第二の表面に固定される複数のフロック加工用繊維
を含むフロック加工された素材。
【請求項25】
下地が織物である、請求項24記載のフロック加工された素材。
【請求項26】
下地が耐水性コーティングを含む、請求項24記載のフロック加工された素材。
【請求項27】
開口部が細長い構造を有する、請求項24記載のフロック加工された素材。
【請求項28】
開口部が楕円形の構造を有する、請求項24記載のフロック加工された素材。
【請求項1】
フロック加工された素材が、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するように衣料品に組み込まれる、少なくとも一つの側に固定される複数のフロック加工用繊維を有するフロック加工された素材を含む衣料品。
【請求項2】
フロック加工された素材が織物下地も有し、かつフロック加工用繊維が接着剤によって織物下地に固定される、請求項1記載の衣料品。
【請求項3】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触し、かつ個体と織物下地の間の空間を形成するように配置される、請求項2記載の衣料品。
【請求項4】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触するように配置される、請求項1記載の衣料品。
【請求項5】
フロック加工用繊維が開口部を形成する、請求項1記載の衣料品。
【請求項6】
開口部が細長い構造を有する、請求項5記載の衣料品。
【請求項7】
開口部が楕円形の構造を有する、請求項5記載の衣料品。
【請求項8】
フロック加工された素材の少なくとも一部が耐水性コーティングを含む、請求項1記載の衣料品。
【請求項9】
フロック加工用繊維が約0.5ミリメートルの長さである、請求項1記載の衣料品。
【請求項10】
第一の表面および反対の第二の表面を有し、二次元の素材から形成される下地;ならびに
第二の表面に固定される複数のフロック加工用繊維
を含むフロック加工された素材を有する衣料品であって、
フロック加工された素材は、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するように衣料品に組み込まれる、衣料品。
【請求項11】
下地が織物である、請求項10記載の衣料品。
【請求項12】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触するように配置される、請求項10記載の衣料品。
【請求項13】
フロック加工用繊維が開口部を形成する、請求項10記載の衣料品。
【請求項14】
下地が耐水性コーティングを含む、請求項10記載の衣料品。
【請求項15】
フロック加工用繊維が接着剤によって第二の表面に固定される、請求項10記載の衣料品。
【請求項16】
フロック加工用繊維が、衣料品を着用する個体に接触し、かつ個体と下地の間の空間を形成するように配置される、請求項10記載の衣料品。
【請求項17】
フロック加工用繊維が約0.5ミリメートルの長さである、請求項10記載の衣料品。
【請求項18】
第一の表面および反対の第二の表面を有し、二次元の素材から形成される織物下地;ならびに
織物下地の第二の表面の少なくとも一部を露出する複数の開口部を形成し、第二の表面に固定される複数のフロック加工用繊維
を含むフロック加工された素材を有する衣料品であって、
フロック加工された素材は、フロック加工用繊維が内側に向いて衣料品の内面の少なくとも一部を形成するように衣料品に組み込まれ、かつフロック加工用繊維は、衣料品を着用する個体に接触し個体と織物下地の間の空間を形成するように配置される、衣料品。
【請求項19】
織物下地が耐水性コーティングを含む、請求項18記載の衣料品。
【請求項20】
開口部が細長い構造を有する、請求項18記載の衣料品。
【請求項21】
開口部が楕円形の構造を有する、請求項18記載の衣料品。
【請求項22】
フロック加工用繊維が約0.5ミリメートルの長さである、請求項18記載の衣料品。
【請求項23】
開口部の寸法が約10ミリメートルである、請求項22記載の衣料品。
【請求項24】
第一の表面および反対の第二の表面を有し、二次元の素材から形成される下地;ならびに
下地の第二の表面の少なくとも一部を露出する複数の開口部を形成し、第二の表面に固定される複数のフロック加工用繊維
を含むフロック加工された素材。
【請求項25】
下地が織物である、請求項24記載のフロック加工された素材。
【請求項26】
下地が耐水性コーティングを含む、請求項24記載のフロック加工された素材。
【請求項27】
開口部が細長い構造を有する、請求項24記載のフロック加工された素材。
【請求項28】
開口部が楕円形の構造を有する、請求項24記載のフロック加工された素材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2008−517176(P2008−517176A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536739(P2007−536739)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036006
【国際公開番号】WO2006/044226
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036006
【国際公開番号】WO2006/044226
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【Fターム(参考)】
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