説明

ブラインド制御装置、ブラインド制御方法、ブラインド制御プログラム

【課題】太陽を追尾する駆動部のメンテナンスにかかる手間をかけず、誤検知率を低減するブラインド制御装置を提供する。
【解決手段】建物への日射量を測定する固定設置された日射量計と、前記日射量計から得られた計測結果から、直達日射量と拡散日射量とを算出する直散分離計算部と、前記直散分離計算部によって得られた直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定部と、前記曇天判定部の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、晴天や曇天等の天候に応じてブラインドの制御を行うブラインド制御装置、ブラインド制御方法、ブラインド制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の窓際にプラインドを設け、このブラインドのスラット傾斜角度を制御することで、外部から室内への採光の状態を制御するブラインドの自動制御システムに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなブラインドの自動制御システムにおいて、曇天であることを検知した後に、天空光を取り入れるのに適したブラインドの状態とする制御を行うものもある。このような制御を行う場合、日射計や照度計を屋外に設置し、これらの計測値と予め決められた閾値とを比較することで、曇天であるか否かを判断することが行われている。より具体的には、次のような方式が一例として挙げられる。
【0003】
第1の方式としては、太陽追尾型センサーにより直射光の有無を検知し、予め決められた閾値とを比較し、晴天か曇天かを判断する方式がある。
また、第2の方式としては、固定式日射量計あるいは照度計を用いて、これらによって得られた計測値と、予め決められた閾値とを比較し、晴天か曇天かを判断する方式がある。この方式においては、計測値に対し、何もフィルタリングが行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−195306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の第1の方式においては、直射光を直接検知するため、高精度で曇天の判断を行うことが可能であるが、太陽を追尾するための駆動部が必要である。そのため、駆動部の故障が発生する可能性があるとともに、駆動部に対する日々のメンテナンス必要であるとともに、その費用がかかり、高コストとなってしまうという問題がある。
また、上述の第2の方式においては、太陽を追尾しないため駆動部を設ける必要がないため故障の可能性を低減できるが、直達光をセンシングしないため、曇天の判断の誤検知率が高くなってしまうという問題がある。
また、日射量計を設置した際、建物の条件によっては、日射量計に周辺建物の影の影響を受けてしまうと、正しい測定を行うことができなくなってしまい、曇天の判断の誤検知率が高くなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、太陽を追尾する駆動部のメンテナンスにかかる手間をかけず、誤検知率を低減するブラインド制御装置、ブラインド制御方法、ブラインド制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、建物への日射量を測定する固定設置された日射量計と、前記日射量計から得られた計測結果から、直達日射量を算出する直散分離計算部と、前記直散分離計算部によって得られた直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定部と、前記曇天判定部の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述のブラインド制御装置において、前記日射量計は、水平面に設けられた日射量計と、鉛直面に設けられた日射量計とがあり、前記直散分離計算部は、前記日射量計のそれぞれから得られる計測結果から、前記日射量計の設置方法に応じて、直達日射量と拡散日射量とを算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述のブラインド制御装置において、外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行う通信部と、前記直散分離計算部によって得られた直達日射量を用いるか前記通信部によって得られた日射量データを用いるかを選択する指示を入力する入力部と、前記曇天判定部は、前記入力部から指示に応じて、前記直散分離計算部によって得られた直達日射量または前記通信部によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行う通信部と、前記通信部によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、判定対象の建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定部と、前記曇天判定部の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、ブラインド駆動装置におけるブラインド制御方法であって、建物への日射量を測定する固定設置された日射量計から得られた計測結果に基づいて、直達日射量を算出し、前記算出された直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定し、前記判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ブラインド駆動装置におけるブラインド制御方法であって、通信部が、外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行い、曇天判定部が、前記通信部によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、判定対象の建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定し、制御部が、前記曇天判定部の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、ブラインド駆動装置であるコンピュータに、建物への日射量を測定する固定設置された日射量計から得られた計測結果に基づいて、直達日射量を算出する直散分離計算手段、前記直散分離計算手段によって得られた直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定手段、前記曇天判定手段の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御手段、として機能させるためのブラインド制御プログラムである。
【0014】
また、本発明は、ブラインド駆動装置であるコンピュータに、外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行う通信手段、前記通信によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、判定対象の建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定手段、前記判定された結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御手段、として機能させるためのブラインド制御プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明によれば、固定設置された日射量計の検出結果から、直達日射量と拡散日射量とを算出し、直達日射量と閾値との比較結果に基づいて、曇天であるか否かを判定してブラインドの制御を行うようにした。これにより、太陽を追尾するように日射量計を駆動する駆動部のメンテナンスが必要なくなるため、この駆動部のメンテナンスを行う手間を省くことができる。また、直達日射量を算出して曇天か否かを判定するようにしたので、曇天の判定精度が低減してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態によるブラインド制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】ブラインド制御装置1の動作について説明するフローチャートである。
【図3】第2の実施形態におけるブラインド制御装置1の動作について説明するフローチャートである。
【図4】第3の実施形態におけるブラインド制御装置1の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態によるブラインド制御装置について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態によるブラインド制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、ブラインド制御装置1は、日射量計2と、ブラインド駆動装置3と、入力部4と、日射量データ蓄積装置5とに接続される。
日射量計2は、建物への日射量を測定する機能を有し、測定対象の建物あるいは建物の近傍に固定して設置される。この日射量計2は、1つあるいは複数が固定して設置される。この日射量計2は、例えば、測定対象の建物の屋上等、日射量計2に対して影が差さないような箇所に設置される。1つの日射量計2を用いる場合、この日射量計2は水平面に設置される。2つ以上の日射量計2を用いる場合、少なくとも1つの日射量計2が水平面に設置され、残りの日射量計2が鉛直面に設置される。鉛直面としては、例えば、建物の北方向、西方向、南方向、東方向のいずれかの方角の面である。例えば、日射量計2を3つ用いる場合、日射量計2を、水平面と、東の鉛直面と、西の鉛直面とに設けるか、水平面と、南の鉛直面と、北の鉛直面とに設ける。日射量計2を5つ設ける場合、日射量計2を、水平面と、東の鉛直面と、西の鉛直面と、南の鉛直面と、北の鉛直面とに設ける。ここで、鉛直面としては、設けられる方角が正しいことが望ましいが、一定の範囲内であれば、多少の誤差があってもよい。
【0018】
ブラインド駆動装置3は、ブラインド制御装置1の制御部15から供給される制御信号に従い、日射量計2によって計測を行った対象の建物の窓際に設置されたブラインドの制御を行う。このブラインドの制御としては、例えば、制御信号に応じて、ブラインドの各スラットの傾斜角度をモータの駆動により変更したり、モータを駆動してブラインドを巻き上げるあるいは下げる制御である。その制御の一例として、曇天である場合には、天空光を無駄なく取り入れられるように、スラット傾斜角度を制御したり、必要に応じてブラインドを巻き上げたりし、晴天である場合には、天空光を無駄なくとりいれつつ、眩しすぎないような採光状態になるようにスラット傾斜角度を制御したり、ブラインドを下げたりする。
【0019】
入力部4は、直散分離計算部11によって得られた直達日射量を用いるか通信部13によって得られた日射量データを用いるかを選択する指示を入力する。例えば、入力部4は、制御対象となる建物のブライント位置の緯度及び経度データ、日時毎の太陽の方位角や高度を記憶した太陽位置データ、日射量計2が設置された位置の周辺の建築物の高さや形状を記憶した周辺建築物データ等を記憶している。この太陽位置データは、日時から演算により求めるようにしてもよい。周辺建築物データは、日射量計2が設置される位置を中心とした周辺建築物の方位別の最大仰角の情報である。例えば、周辺建築物データは、日射量計2が設置された場所毎の建築物の境界が天空に占める部分を仰角と方位角で求めたものである。
また、入力部4は、現在の日時に応じた太陽の位置を読み出し、制御時の日射と太陽の位置に応じて周辺建築物によって日射量計2にできる影の状態を算出する。そして、入力部4は、算出された影の状態に基づいて、日射量計2に対して当該影が差すか否かを判定し、日射量計2に対して影が差さないと判定した場合には、直散分離計算部11によって得られた直達日射量を用いる指示を曇天判定部14に入力し、日射量計2に対して影が差すと判定した場合には、通信部13によって得られる日射量データを用いる指示を曇天判定部14に入力する。
【0020】
日射量データ蓄積装置5は、ブラインド制御装置1の外部に設けられており、インターネット等のネットワークを介してブラインド制御装置1の通信部13と通信可能に接続される。この日射量データ蓄積装置5は、各地域の日射量を所定の時間間隔で測定し、測定結果を元に得られる全天日射量または当該測定結果を元に得られる直達日射量の少なくともいずれか一方のデータを、地域毎に日射量データとして逐次記憶している。
例えば、日射量データ蓄積装置5は、複数の測定対象の地域における日射量データを1分のサンプリング間隔でサンプリングし、サンプリング結果が得られる毎に、測定対象の地域別に日射量データを蓄積する。また日射量データ蓄積装置5は、ブラインド制御装置1からの要求に応じて日射量データをブラインド制御装置1へ送信する。
【0021】
ブラインド制御装置1は、直散分離計算部11と、記憶部12と、通信部13と、曇天判定部14と、制御部15を含んで構成される。
直散分離計算部11は、日射量計2から得られた計測結果から、直達日射量を算出する。直散分離計算部11は、直達日射量と拡散日射量との両方を算出することもできる。ここでいう拡散日射量は、散乱日射量ともいう。
直散分離計算部11は、日射量計2が複数設けられる場合、それぞれの日射量計2から得られる計測結果から、日射量計2の設置方法に応じて、直達日射量を算出する。ここでは、必要に応じて拡散日射量を算出することもできる。
この直散分離計算部11は、複数の日射量計2から測定結果を得る場合には、日射量計2がブラインド制御装置1に接続されたポートに従って、どこに設置された日射量計2であるかを識別できるようになっている。あるいは、日射量計2が、測定結果をブラインド制御装置1へ出力する際に、日射量計2自身を識別する識別情報とともに測定結果をブラインド制御装置1へ送信するようにしてもよい。この識別情報によって、どこに設置された日射量計2の測定結果であるかが把握可能である。さらに、直散分離計算部11は、どこに設置された日射量計2から計測結果が得られるかを表す設置モードが予め設定されており、この設置モードに応じた直散分離式を選択して直達日射量を算出する。
また、この直散分離計算部11は、内部のクロックに基づいて現在の日時を検出する機能を有しており、検出した現在日時に対応する各種パラメータを記憶部12(パラメータ記憶部121)から読み出し、読み出したパラメータも用いて上述の直達日射量を算出する。
【0022】
記憶部12は、各種データを記憶する。記憶部12は、パラメータ記憶部121と閾値記憶部122とを含んで構成される。
パラメータ記憶部121は、直散分離計算部11が直達日射量を算出する際に必要となる各種データを記憶する。例えば、このデータとしては、時刻と緯度経度情報を元に計算された太陽の位置を表すパラメータや、窓面方位角、大気圏外における日射量等である。太陽の位置を表すパラメータとしては、例えば、時間の経過に応じた太陽高度や太陽方位角であり、この太陽高度や太陽方位角を1年のそれぞれの日毎のデータである。閾値記憶部122は、直達日射量に基づいて、曇天か否かを判定する基準となる閾値である
【0023】
通信部13は、外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行う。通信部13は、日射量データ蓄積装置5から取得した日射量データが、全天日射量であるか直達日射量であるかを判定し、全天日射量である場合、直散分離計算部11に出力し、直達日射量である場合に曇天判定部14に出力する。ここでは、日射量データに含まれる、全天日射量であるか直達日射量であるかを識別する情報に基づいて行うことができる。
【0024】
曇天判定部14は、直散分離計算部11によって得られた直達日射量と記憶部12に記憶された閾値とを比較し、比較結果に基づいて、建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する。
曇天判定部14は、入力部4から通信部13によって得られた日射量データを用いる指示が入力されると、通信部13によって得られた日射量データと記憶部12に記憶された閾値とを比較し、比較結果に基づいて、建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する。
【0025】
制御部15は、曇天判定部14の判定結果に応じて建物に設置されたブラインドの制御を行う制御信号を生成し、ブラインド駆動部3へ出力する。
【0026】
ここで、直散分離計算部11が行う直達日射量と拡散日射量との算出についてさらに説明する。
【0027】
《日射量計2が1つであり、水平面に設置される場合》
直散分離計算部11は、以下の(1)〜(5)式を用いた直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する。
ここでは、Iが直達日射量、Iが拡散日射量、Iが全天日射量計測値[W/m]、Iが大気圏外における日射量、dが元旦からの通算日数(例えば、1月1日を1、12月31日を365とする)、hが太陽高度[°]、KTtが地表における日射量と大気圏外日射量との比、KTtCが式(3)と式(4)との接続点であるものとする。
【0028】
【数1】

【0029】
ここでは、直散分離計算部11は、(1)式と(2)式とからKTtとKTtCとを算出し、(5)式からIを算出する。そして、直散分離計算部11は、KTtとKTtCとが同じまたはKTt>KTtCである場合には、(3)式に基づいてIを算出し、KTt<KTtCである場合には、(4)式に基づいてIを算出する。なお、拡散日射量を求める場合、直散分離計算部11は、(6)式に基づいて求める。
【0030】
《日射量計2が3つであり、水平面と東方向の鉛直面と西方向の鉛直面とに1つずつ設置される場合》
直散分離計算部11は、以下の(7)式を用いた直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する。
ここでは、Iが直達日射量、Iが拡散日射量、Iが全天日射量計測値[W/m]、IEVが東鉛直面日射量計測値[W/m]、IWVが西鉛直面日射量計測値[W/m]、hが太陽高度[°]、αが太陽方位角[°]、αが窓面方位角[°]である。
【0031】
【数2】

【0032】
ここでは、直散分離計算部11は、(7)式に基づいてIを算出する。なお、拡散日射量を求める場合、直散分離計算部11は、(8)式に基づいて求める。
【0033】
《日射量計2が3つであり、水平面と南方向の鉛直面と北方向の鉛直面とに1つずつ設置される場合》
直散分離計算部11は、以下の(9)式を用いた直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する。
ここでは、Iが直達日射量、Iが拡散日射量、Iが全天日射量計測値[W/m]、ISVが南直面日射量計測値[W/m]、INVが北鉛直面日射量計測値[W/m]、hが太陽高度[°]、αが太陽方位角[°]、αが窓面方位角[°]である。
【0034】
【数3】

【0035】
ここでは、直散分離計算部11は、(9)式に基づいてIを算出する。なお、拡散日射量を求める場合、直散分離計算部11は、(10)式に基づいて求める。
【0036】
《日射量計2が5つであり、水平面と東方向の鉛直面と西方向の鉛直面と南方向の鉛直面と北方向の鉛直面とに1つずつ設置される場合》
直散分離計算部11は、以下の(11)〜(12)式を用いた直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する。
ここでは、Iが直達日射量、Iが拡散日射量、Iが全天日射量計測値[W/m]、IEVが東鉛直面日射量計測値[W/m]、IWVが西鉛直面日射量計測値[W/m]、ISVが南直面日射量計測値[W/m]、INVが北鉛直面日射量計測値[W/m]、hが太陽高度[°]、αが太陽方位角[°]、αが窓面方位角[°]である。
【0037】
【数4】

【0038】
ここで、直散分離計算部11は、太陽方位角に応じて(11)式または(12)式を使い分けることで、Iを算出する。ここでは、(11)式は、上述の(7)式に対応しており、(12)式は、上述の(9)式に対応している。
すなわち、直散分離計算部11は、太陽方位角が−45°以下、あるいは45°以上の場合、(11)式に基づいてIを算出し、太陽方位角が−45°より大きく45°未満である場合には、(12)式に基づいてIを算出する。
なお、拡散日射量を求める場合、直散分離計算部11は、(13)式に基づいて求める。
【0039】
次に、上述した構成におけるブラインド制御装置1の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
ブラインド制御装置1の曇天判定部14は、日射量計2に対し影となる影響がないかどうかを判定する(ステップS10)。具体的には、曇天判定部14は、入力部4から入力される指示が、直散分離計算部11によって得られた直達日射量を用いる指示であるか通信部13によって得られた日射量データを用いる指示であるかを判定する。
曇天判定部14は、日射量計2に対し影となる影響がない場合、すなわち、入力部4から入力された指示が、直散分離計算部11によって得られた直達日射量を用いる指示である場合、直散分離計算部11へ直達日射量の算出を要求する。この要求を受けて、直散分離計算部11は、日射量計2の計測結果を取得(ステップS11)するとともに、現在の日時を検出し、この日時に対応する各種パラメータをパラメータ記憶部121から読み出す(ステップS12)。そして、直散分離計算部11は、日射量計2の測定結果と、読み出した各種パラメータを用いて、上述の直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する(ステップS13)。
【0040】
一方、曇天判定部14は、日射量計2に対し影となる影響がある場合、すなわち、通信部13によって得られた日射量データを用いる指示が入力されている場合、通信部13へ日射量データの取得を要求する。この要求を受けて、通信部13は、日射量データ蓄積装置5から日射量データを取得し(ステップS14)、取得した日射量データが全天日射量であるか直達日射量であるかを判定する(ステップS15)。日射量データが全天日射量である場合、通信部13は、直散分離計算部11へ全天日射量を表すデータを直散分離計算部11へ出力し、直達日射量を算出する指示をする。直散分離計算部11は、通信部13からの指示を受けると、通信部13から出力された全天日射量を取得し、現在の日時を検出し、この日時に対応する各種パラメータをパラメータ記憶部121から読み出す(ステップS12)。そして、直散分離計算部11は、日射量計2の測定結果と、読み出した各種パラメータを用いて、上述の直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する(ステップS13)。
【0041】
一方、日射量データが直達日射量である場合、通信部13は、曇天判定部14へ直達日射量を表すデータを直散分離計算部11へ出力する。
【0042】
次に、曇天判定部14は、直散分離計算部11によって算出された直達日射量または通信部13から出力された直達日射量を取得すると(ステップS16)、この取得された直達日射量と閾値記憶部122に記憶された閾値とを比較し、曇天であるか否かを判定し(ステップS16)、判定結果を制御部15へ出力する。
【0043】
制御部15は、曇天判定部14から得られる判定結果に基づいて、曇天である場合には(ステップS17−YES)、曇天に応じたブラインド制御を指示する制御信号をブラインド駆動装置3に出力し(ステップS18)、曇天ではない、すなわち晴天である場合には、晴天に応じたブラインド制御を指示する制御信号をブラインド駆動装置3に出力する(ステップS19)。ブラインド駆動装置3は、制御部15からの制御信号に応じて、ブラインドを制御する。
以下、ブラインド制御装置1は、所定の時間毎に、上述したステップS10からステップS20の処理を実行する。
【0044】
上述した実施形態によれば、日射量計を太陽に追従させるように駆動する必要がないため、駆動部を設けなくてよく、駆動部をメンテナンスする手間を省くことができ、コストを低減することができる。
また、上述した実施形態によれば、天空光を無駄なく取り入れることができるため、照明する量を減らすことが可能となり、照明エネルギーを削減することができる。
【0045】
また、上述の第1及び第2の方式においては、ブラインドの自動制御システムを導入したビルの周囲の環境が変化したことにより、日射量計や照度計等が影の影響を受けてしまい、正確に計測を行うことができなくなる場合もある。また、この場合、日射量計や照度計を影の影響を受けない場所に設置し直すことも考えられるが、必ずしもそのような設置場所を確保することができない場合もある。
しかし、上述の実施形態によれば、日射量計に対し影となる影響がある場合には、日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置からネットワークを介して取得し、取得した日射量データと閾値とを比較して曇天であるか否かを判定するようにした。これにより、日射量計が影の影響を受けることとなった場合であっても、日射量計の設置位置を変更せず、外部から日射量データを得て、曇天であるか否かを判定することができる。
【0046】
次に、第2の実施形態について説明する。この実施形態においては、日射量計2の測定結果を用いず、日射量データ蓄積装置5から得られる日射量データを用いる場合について、図3のフローチャートを用いて説明する。
図3において、通信部13は、日射量データ蓄積装置5から日射量データを取得し(ステップS21)、この取得した日射量データが全天日射量であるか直達日射量であるかを判定する(ステップS22)。日射量データが全天日射量である場合、通信部13は、直散分離計算部11へ全天日射量を表すデータを直散分離計算部11へ出力し、直達日射量を算出する指示をする。直散分離計算部11は、通信部13からの指示を受けると、通信部13から出力された全天日射量を取得し、現在の日時を検出し、この日時に対応する各種パラメータをパラメータ記憶部121から読み出す(ステップS23)。そして、直散分離計算部11は、日射量計2の測定結果と、読み出した各種パラメータを用いて、上述の直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する(ステップS24)。
【0047】
一方、日射量データが直達日射量である場合、通信部13は、曇天判定部14へ直達日射量を表すデータを直散分離計算部11へ出力する。
【0048】
次に、曇天判定部14は、直散分離計算部11によって算出された直達日射量または通信部13から出力された直達日射量を取得すると(ステップS25)、この取得された直達日射量と閾値記憶部122に記憶された閾値とを比較し、曇天であるか否かを判定し(ステップS26)、判定結果を制御部15へ出力する。制御部15は、曇天判定部14から得られる判定結果に基づいて、曇天である場合には(ステップS27−YES)、曇天に応じたブラインド制御を指示する制御信号をブラインド駆動装置3に出力し(ステップS28)、曇天ではない、すなわち晴天である場合には、晴天に応じたブラインド制御を指示する制御信号をブラインド駆動装置3に出力する(ステップS29)。ブラインド駆動装置3は、制御部15からの制御信号に応じて、ブラインドを制御する。
【0049】
この第2の実施形態によれば、日射量計2の計測結果を用いず、日射量データ蓄積装置5に蓄積された日射量データを用いるようにしたので、日射量計2を設置しなくても、曇天の判断を行うことができる。すなわち、曇天を判定する対象の建物の日射量を得るための日射量計2を設置することができない、あるいは、当該建物の条件によっては日射量計2に周辺建物の影の影響によりセンシングできない状況であっても、当該建物に対する曇天の判断をすることができる。
【0050】
次に、第3の実施形態について説明する。この実施形態においては、日射量データ蓄積装置5から得られる日射量データを用いず、日射量計2の測定結果を用いる場合について、図4のフローチャートを用いて説明する。
日射量計2は、所定のサンプリングのタイミング毎に、日射量を計測し(ステップS30)、計測結果を直散分離計算部11に出力する。
直散分離計算部11は、日射量計2の計測結果を取得(ステップS11)すると、現在の日時を検出し、この日時に対応する各種パラメータをパラメータ記憶部121から読み出す(ステップS31)。そして、直散分離計算部11は、日射量計2の測定結果と、読み出した各種パラメータを用いて、上述の直散分離式に基づいて、直達日射量を算出する(ステップS32)。
【0051】
曇天判定部14は、直散分離計算部11によって直達日射量が算出されると、この算出された直達日射量を取得し(ステップS33)、この取得された直達日射量と閾値記憶部122に記憶された閾値とを比較し、曇天であるか否かを判定し(ステップS34)、判定結果を制御部15へ出力する。
【0052】
制御部15は、曇天判定部14から得られる判定結果に基づいて、曇天である場合には(ステップS35−YES)、曇天に応じたブラインド制御を指示する制御信号をブラインド駆動装置3に出力し(ステップS36)、曇天ではない、すなわち晴天である場合には(ステップS35−NO)、晴天に応じたブラインド制御を指示する制御信号をブラインド駆動装置3に出力する(ステップS37)。ブラインド駆動装置3は、制御部15からの制御信号に応じて、ブラインドを制御する。
以下、ブラインド制御装置1は、所定の時間毎に、上述したステップS30からステップS37の処理を実行する。
【0053】
また、図1におけるブラインド制御装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりブラインド制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0054】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0055】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 ブラインド制御装置 2 日射量計2
3 ブラインド駆動装置 4 入力部
5 日射量データ蓄積装置 11 直散分離計算部
12 記憶部 13 通信部
14 曇天判定部 15 制御部
121 パラメータ記憶部 122 閾値記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物への日射量を測定する固定設置された日射量計と、
前記日射量計から得られた計測結果から、直達日射量を算出する直散分離計算部と、
前記直散分離計算部によって得られた直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定部と、
前記曇天判定部の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御部と、
を有することを特徴とするブラインド制御装置。
【請求項2】
前記日射量計は、水平面に設けられた日射量計と、鉛直面に設けられた日射量計とがあり、
前記直散分離計算部は、前記日射量計のそれぞれから得られる計測結果から、前記日射量計の設置方法に応じて、直達日射量と拡散日射量とを算出する
ことを特徴とする請求項1記載のブラインド制御装置。
【請求項3】
外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行う通信部と、
前記直散分離計算部によって得られた直達日射量を用いるか前記通信部によって得られた日射量データを用いるかを選択する指示を入力する入力部と、
前記曇天判定部は、前記入力部から指示に応じて、前記直散分離計算部によって得られた直達日射量または前記通信部によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラインド制御装置。
【請求項4】
外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行う通信部と、
前記通信部によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、判定対象の建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定部と、
前記曇天判定部の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御部と、
を有することを特徴とするブラインド制御装置。
【請求項5】
ブラインド駆動装置におけるブラインド制御方法であって、
算出部が、建物への日射量を測定する固定設置された日射量計から得られた計測結果に基づいて、直達日射量を算出し、
判定部が、前記算出された直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定し、
制御部が、前記判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う
ことを特徴とするブラインド制御方法。
【請求項6】
ブラインド駆動装置におけるブラインド制御方法であって、
通信部が、外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行い、
曇天判定部が、前記通信部によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、判定対象の建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定し、
制御部が、前記曇天判定部の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う
ことを特徴とするブラインド制御方法。
【請求項7】
ブラインド駆動装置であるコンピュータに、
建物への日射量を測定する固定設置された日射量計から得られた計測結果に基づいて、直達日射量を算出する直散分離計算手段、
前記直散分離計算手段によって得られた直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定手段、
前記曇天判定手段の判定結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御手段、
として機能させるためのブラインド制御プログラム。
【請求項8】
ブラインド駆動装置であるコンピュータに、
外部に設けられ日射量データを蓄積する日射量データ蓄積装置とネットワークを介して通信を行う通信手段、
前記通信によって得られた日射量データに基づく直達日射量と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、判定対象の建物近傍の天候が曇天であるか否かを判定する曇天判定手段、
前記判定された結果に応じて前記建物に設置されたブラインドの制御を行う制御手段、
として機能させるためのブラインド制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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