説明

ブレーカ停止装置

【課題】比較的に安価かつ高い耐久性・信頼性をもち、コンプレッサ停止時にはブレーカの稼動を停止可能なブレーカ停止装置を提供する。
【解決手段】このブレーカ停止装置20Aは、内部に弁室7を有する本体ブロック1と、弁室7内に摺嵌される弁体4と、本体ブロック1に設けられてコンプレッサの吐出配管に接続されるコンプレッサ圧検出ポート2と、を備えている。本体ブロック1には、ブレーカパイロットラインの一次側および二次側にそれぞれ接続される一次側ポート、二次側ポートがそれぞれ弁室7に連通形成されている。そして、弁体4は、コンプレッサ圧力に応じて一次および二次側ポート相互の連通状態を開閉可能に摺嵌され、コンプレッサ圧力が所定値未満のときには相互を遮断する位置に移動し、所定値を超えたときには相互を連通する位置に移動するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーカ停止装置に係り、特に、水中仕様油圧ブレーカと、その内部を加圧するためのコンプレッサと、を備える水中仕様掘削装置での、コンプレッサ停止時における水中仕様油圧ブレーカの稼動を防止し得る水中仕様掘削装置用ブレーカ停止装置として好適なブレーカ停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水中仕様掘削装置に用いられる水中仕様油圧ブレーカ(以下、単に「ブレーカ」ともいう)は、台車(掘削船等)から延びたブームおよびアームに取り付けられて、川底や海底等の水中で岩盤等の被掘削物を掘削する掘削作業に用いられる。そのため、ブレーカピストンの往復動する打撃室内への水圧による水の進入を防止する必要がある。
そこで、この種の水中仕様掘削装置では、例えば特許文献1に記載の技術のように、台車のエンジンに油圧ポンプとコンプレッサとを接続し、圧油および圧気の両方をブレーカに供給している。そして、ブレーカに対し、コンプレッサによる加圧がなされ、打撃室内への水の進入を防止している。なお、同文献の技術は、ブレーカの稼働に必要な空気圧が保証されているわけではない。
【0003】
ところで、上記のようなコンプレッサを装備していても、例えばコンプレッサのスイッチを入れ忘れたり、あるいはコンプレッサの突然の故障等がある場合には、オペレータが稼動用のペダルを踏みさえすればブレーカは稼動するので、その結果、打撃室に水が浸入する。そして、打撃室に水が浸入した状態でブレーカを稼動すると、打撃室内では非圧縮性の水が圧縮されるため、その水撃作用によって打撃室の内圧が急上昇し、これにより、パッキンが破損したり、ブレーカ本体内および台車側の油圧回路内に更に浸水したりするといった支障を生ずることになる。
【0004】
そこで、このような掘削装置において、コンプレッサ停止時にはブレーカの稼動を防止するためのブレーカ停止装置を備えることが望ましい。
例えば、慣用的な技術(以下、「慣用技術」という)としては、コンプレッサ回路内に電気的な圧力スイッチを設け、この圧力スイッチを、台車(掘削船)側の油圧回路およびコンプレッサ回路に接続する構成を例示できる。このような圧力スイッチによってコンプレッサの作動状態を監視することで、コンプレッサ停止時にはブレーカの稼動を強制的に停止可能である。
【特許文献1】実開昭48−91201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記例示したような慣用技術では、コンプレッサの圧力を電気的な圧カスイッチで検出するので、その配線が複雑であり、さらに、この種の圧力スイッチは、台車(掘削船)側の油圧回路およびコンプレッサ回路に接続することになるので、台車の改造がその都度必要になる。また、例えば水中仕様油圧ブレーカは、使用環境が河川や港湾での掘削船上なので、電気的な圧カスイッチを採用することにはその耐久性や信頼性の点で検討の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、例えば電機的な機構によるものと比べて、安価かつ高い耐久性・信頼性をもち、コンプレッサ停止時にはブレーカの稼動を停止させ得るブレーカ停止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、岩盤等の被掘削物を掘削するための油圧ブレーカと、前記油圧ブレーカ内部を加圧するためのコンプレッサと、を備える掘削装置に用いられるブレーカ停止装置であって、ブレーカパイロットラインの途中に接続されて、内部に弁室が形成されてなる本体部と、前記弁室内に所定距離の往復移動が可能に摺嵌される弁体と、前記コンプレッサの吐出配管に接続されてそのコンプレッサ圧力を前記弁体に作用可能に前記本体部に設けられるコンプレッサ圧検出ポートと、を備え、前記本体部には、前記ブレーカパイロットラインの一次側に接続される一次側ポートと、前記ブレーカパイロットラインの二次側に接続される二次側ポートと、がそれぞれ前記弁室に連通して形成されており、前記弁体は、前記コンプレッサ圧検出ポートの前記コンプレッサ圧力に応じて前記一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を開閉可能に摺嵌され、前記コンプレッサ圧力が所定値未満のときには前記ブレーカパイロットラインを遮断する位置に移動し、所定値を超えたときには前記ブレーカパイロットラインを開放する位置に移動するようになっていることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、このブレーカ停止装置は、ブレーカのパイロットラインをコンプレッサ圧力に応じて移動する弁体によって直接開閉可能なので、コンプレッサ停止時にはブレーカを停止させることができる。そして、このブレーカ停止装置は、例えば上記の電機的な機構によるものと比べて、電気的変換機構を用いることなく構成可能であり、また、簡単な回路にて構成されるので安価かつ耐久性・信頼性が高い。
【0009】
ここで、ブレーカ本体あるいはフレーム内に、ブレーカ停止装置を実現する構成を設ければ、台車側の改造が不要となり、ブレーカ取り付け作業も短縮される。
すなわち、本発明のうち請求項2に記載の発明は、岩盤等の被掘削物を掘削するための油圧ブレーカと、前記油圧ブレーカ内部を加圧するためのコンプレッサと、を備える掘削装置に用いられるブレーカ停止装置であって、前記油圧ブレーカのブレーカ本体に設けられて、内部に弁室が形成されてなる本体部と、前記弁室内に所定距離の往復移動が可能に摺嵌される第一の弁体および第二の弁体と、前記コンプレッサの吐出配管に接続されてそのコンプレッサ圧力を前記第一の弁体に作用可能に前記本体部に設けられるコンプレッサ圧検出ポートと、を備え、前記本体部には、前記油圧ブレーカの高圧側に接続される一次側ポートと、前記油圧ブレーカの低圧側に接続される二次側ポートと、がそれぞれ前記弁室に連通して形成されており、前記第一の弁体は、前記コンプレッサのコンプレッサ圧力に応じて前記第一の位置および第二の位置にそれぞれ移動可能に構成され、前記コンプレッサ圧力が所定値未満のときには前記第一の位置に移動し、所定値を超えたときには前記第二の位置に移動するようになっており、前記第二の弁体は、前記第一の弁体の移動に応じて前記一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を開閉可能に摺嵌され、前記第一の弁体が前記第一の位置のときには前記相互の連通状態を連通させて前記ブレーカシステム圧をブレーカ始動圧未満にする停止位置に移動し、前記第一の弁体が前記第二の位置のときには前記相互の連通状態を遮断して前記ブレーカシステム圧をブレーカ始動圧以上にする稼働位置に移動するようになっていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、コンプレッサ圧力に応じて移動する第一の弁体を有し、さらに、第二の弁体が第一の弁体の移動に応じて一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を直接開閉可能であり、これにより、ブレーカのシステム圧を下げることができるので、上記請求項1に記載の発明と同様に、コンプレッサ運転時にのみブレーカを稼動することを可能とし、また、例えば電機的な機構によるものと比べて、簡単な回路にて構成されるので安価かつ耐久性・信頼性が高い。
【0011】
そして、このブレーカ停止装置は、ブレーカ本体に取付けられるので、台車側への特別な改造を不要とすることができる。つまり、台車側の改造が不要となり、ブレーカ取り付け作業も短縮される。特に、水中仕様油圧ブレーカを、例えばリースで貸出す場合、このブレーカ停止装置は極めて有効である。
また、請求項3に記載の発明は、岩盤等の被掘削物を掘削するための油圧ブレーカと、前記油圧ブレーカ内部を加圧するためのコンプレッサと、を備える掘削装置に用いられるブレーカ停止装置であって、前記油圧ブレーカのブレーカ本体に設けられて、内部に弁室が形成されてなる本体部と、前記弁室内に所定距離の往復移動が可能に摺嵌される第一の弁体および第二の弁体と、前記コンプレッサの吐出配管に接続されてそのコンプレッサ圧力を前記第一の弁体に作用可能に前記本体部に設けられるコンプレッサ圧検出ポートと、を備え、前記本体部には、前記油圧ブレーカの低圧側に接続される一次側ポートと、前記ブレーカフレーム内部のコントロールバルブのパイロットライン側に接続される二次側ポートと、がそれぞれ前記弁室に連通して形成されており、前記第一の弁体は、前記コンプレッサのコンプレッサ圧力に応じて第一の位置および第二の位置にそれぞれ移動可能に構成され、前記コンプレッサ圧力が所定値未満のときには前記第一の位置に移動し、所定値を超えたときには前記第二の位置に移動するようになっており、前記第二の弁体は、前記第一の弁体の移動に応じて前記一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を開閉可能に摺嵌され、前記第一の弁体が前記第一の位置のときには前記相互の連通状態を連通させて前記パイロットラインの圧力をブレーカ始動圧未満にする停止位置に移動し、前記第一の弁体が前記第二の位置のときには前記相互の連通状態を遮断して前記パイロットラインの圧力をブレーカ始動圧以上にする稼働位置に移動するようになっていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、コンプレッサ圧力に応じて移動する第一の弁体を有し、さらに、第二の弁体が第一の弁体の移動に応じて一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を直接開閉可能であり、これにより、コンプレッサ運転時にのみコントロールバルブのパイロットラインの圧力をブレーカ始動圧以上にすることでブレーカを稼動可能なので、上記請求項1または2に記載の発明と同様に、電気的変換機構を用いることなく構成可能であり、また、簡単な回路にて構成されるので安価かつ耐久性・信頼性が高い。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のブレーカ停止装置であって、前記弁室は、前記第一の弁体が摺嵌される部分に、エアチャンバー領域を有し、当該エアチャンバー領域は、前記第一の弁体の所定距離の往復移動による圧力変化を抑制可能な容積を有し且つ大気開放されない閉空間になっていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、弁室の第一の弁体が摺嵌される部分に、エアチャンバー領域を有しているので、特に、本発明に係るブレーカ停止装置を、水中仕様油圧ブレーカに適用するに際し、このようなエアチャンバー領域を設ければ、内部への水の浸入が防止され、ブレーカ本体あるいはフレーム内に、ブレーカ停止装置を実現する構成とする上で好適である。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブレーカ停止装置であって、前記油圧ブレーカは、水中で岩盤等の被掘削物を掘削するための水中仕様油圧ブレーカであることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、水中仕様油圧ブレーカは、使用環境が例えば河川や港湾での掘削船上であり、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブレーカ停止装置は、電気的変換機構を用いることなく構成可能なので、上記例示したような電気的な圧カスイッチを採用したブレーカ停止装置に比べ、その耐久性や信頼性の点で特に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、比較的に安価かつ高い耐久性・信頼性をもち、コンプレッサ停止時にはブレーカの稼動を停止可能なブレーカ停止装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るブレーカ停止装置の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は本発明に係るブレーカ停止装置を備える水中仕様掘削装置を搭載した掘削船(台車)を説明する図であり、同図では、その掘削船によって川底ないし海底を掘削している状態を示している。
【0017】
同図に示すように、この水中仕様掘削装置は、水中で岩盤等の被掘削物を掘削するための水中仕様油圧ブレーカ(以下、単に「ブレーカ」ともいう)40と、そのブレーカ40内部を加圧するためのコンプレッサ30と、を備えている。
詳しくは、掘削船50は、掘削船本体51と、掘削船本体51上に旋回自在に設けられた台車部52と、その台車部52から起伏自在に支持されたブーム53と、ブーム53先端側に設けられたアーム54と、を備え、このアーム54の先端にブレーカ40が装着されている。このブレーカ40は、ブレーカ本体41を支持するブラケット42を有し、このブラケット42がアーム54先端に取付けられている。さらに、掘削船本体51上には、ブレーカ40内部を加圧するためのコンプレッサ30が装備されており、コンプレッサ30の吐出配管29は、ブレーカ40のブレーカ本体41に接続されている。
【0018】
図2は、ブレーカ本体、およびその内部を加圧するためのコンプレッサを説明する図である。なお、同図(a)はコンプレッサ30の運転時における通常掘削状態を示し、同図(b)はコンプレッサ停止時にブレーカを稼働したときの水の浸入状態を示している(本発明に係るブレーカ停止装置を有しない場合の例である)。
同図に示すように、このブレーカ本体41は、軸方向での中央部にシリンダ24を有し、シリンダ24の先端側にフロントヘッド26、また、後端側にバックヘッド22がそれぞれ同軸に連結されている。そして、シリンダ24内には、ピストン25が摺嵌され、公知の油圧打撃機構が構成されており、油圧供給源(同図では不図示)から切換弁28を介してシリンダ24へ圧油を供給することにより、ピストン25が前後進可能になっている。
【0019】
そして、フロントヘッド26内には、先端側からチゼル23が挿着され、このチゼル23の後端側とピストン25との間に打撃室27が形成されている。また、フロントヘッド26の内周面の先端側には、フロントキャップ21が同軸に設けられている。そして、チゼル23は、このフロントキャップ21によりピストン25と同軸線上に保持されており、上記ピストン25の打撃によって軸方向に所定距離の往復移動が可能になっている。
【0020】
ここで、この種の水中仕様油圧ブレーカは、ピストンの往復動する打撃室内への水圧による水の進入を防止する必要がある。
つまり、同図(b)に示すように、打撃室27に水が浸入した状態でブレーカ40を稼動すると、打撃室27内では非圧縮性の水が圧縮されるため、その水撃作用によって打撃室27の内圧が急上昇し、これにより、パッキンが破損したり、ブレーカ本体41内および掘削船50側の油圧回路内に更に浸水したりするといった支障を生ずることになる。
【0021】
そこで、この水中仕様油圧ブレーカ40では、打撃室27内に吐出配管29を介して上記コンプレッサ30が接続されており、このコンプレッサ30からの圧縮空気により打撃室27内の加圧がなされ、これにより、打撃室27内への水の進入を防止している。さらに、この水中仕様掘削装置では、コンプレッサ30が停止した場合に、ブレーカ40の稼動を防止するためのブレーカ停止装置を装備している。
【0022】
以下、本発明に係るブレーカ停止装置の第一の実施形態について図3〜図5を参照しつつ詳しく説明する。
このブレーカ停止装置20Aは、上記掘削船50に装備され、図3に示すように、掘削船50側のブレーカパイロットライン31の途中に接続されており、このブレーカパイロットライン31を開閉可能な回路開閉手段を備えて構成されている。ブレーカパイロットライン31は、ブレーカ40を稼動するためのパイロット圧を作用可能に操作弁36に接続されている。さらに、操作弁36は、油圧ポンプ32からの高圧ラインBHの途中に接続されている。そして、この操作弁36は、掘削船50内に設置されているブレーカラインのペダル(不図示)を操作することで、ブレーカパイロットライン31のパイロット圧をON/OFFすることによりブレーカ40を稼動・停止させる遠隔操作が可能になっている。なお、ブレーカ本体41から戻る低圧ラインBLは、操作弁36を経由して油タンク34に連通しており、高圧ラインBHと低圧ラインBLとの間には、リリーフバルブ38が接続されている。このリリーフバルブ38は、図4に示すように、ブレーカ本体41に付設されたバランスピストン型リリーフバルブであり、これにより、高圧ラインBHに設定圧力以上の過大な圧力が作用しないようになっている。
【0023】
上記ブレーカ停止装置20Aは、図5に示すように、略円筒状の本体ブロック1を有する。この本体ブロック1には、その軸線に沿って上下に貫通する弁室7が内部に形成されている。この弁室7は、軸方向での略中央部に第一の大径室7aを有し、この第一の大径室7aには、ブレーカパイロットライン31のOUT側(二次側)に接続する二次側ポート31Bが連通している。また、弁室7は、この第一の大径室7aに対し、軸方向での一端の側(同図での下側)に第二の大径室7bを有し、この第二の大径室7bには、ブレーカパイロットライン31のIN側(一次側)に接続する一次側ポート31Aが連通している。さらに、弁室7は、第一の大径室7aに対し、軸方向での他端の側(同図での上側)に、上部に開口する第三の大径室7cを有し、この第三の大径室7cは、その底面側の側面に細径のベントポート6が貫通形成され大気開放している。そして、この弁室7に弁体4が軸方向に所定距離の往復移動が可能に摺嵌されている。
【0024】
この弁体4は、略中央に小径部4aを有し、その小径部4aの両端に第一の大径部4cおよび第二の大径部4bをそれぞれ有する。弁体4の一端の側の第二の大径部4bは、弁室7の第二の大径室7bに対応する位置に形成され、弁体4が軸方向で移動することで、第二の大径室7bの上部内縁部7eと第二の大径部4bのテーパ状の上部内縁部4eとを、移動に応じて非当接および当接状態とすることで弁座を構成しており、第二の大径室7bと第一の大径室7aとの連通、および遮断の切り替えが可能になっている。そして、弁体4は、その第二の大径部4bの内部に、下方の端部側から軸方向に形成された中刳り穴4dを有し、この中刳り穴4dに円筒コイルばね3が下方から挿入され、さらに、その端部側の開口部を閉塞するプラグ1Aが装着されることで一端の側への弁体4の移動が拘束されている。
【0025】
一方、上記弁体4の他端の側の第一の大径部4cは、第三の大径室7cに対応する位置に形成され、さらに、その第一の大径部4cの外周面に、円柱状のキャップ5が嵌合している。このキャップ5は、後述の受圧面積差を生じる程度に十分な大径に形成されており、その外周面が第三の大径部7cの内周面に摺接している。なお、相互の間にはパッキング5d、5eが介装されている。そして、この端部側に閉塞蓋1Bが装着されている。ここで、上記円筒コイルばね3は、他端側のキャップ5に向けて、弁体4およびキャップ5を押し上げており、閉塞蓋1Bによって他端の側への弁体4およびキャップ5の端部側への移動が拘束されている。そして、この閉塞蓋1Bには、キャップ5の他端の側の面5aと対向する位置に、コンプレッサ圧検出ポート2が軸方向に貫通形成されている。このコンプレッサ圧検出ポート2は、コンプレッサ30に接続される吐出配管29に接続され、キャップ5の他端の側の面5aは、コンプレッサ30のコンプレッサ圧力に応じた圧力を受ける。これにより、このブレーカ停止装置20Aは、その弁体4が、コンプレッサ30のコンプレッサ圧力に応じて開位置および閉位置にそれぞれ移動するようになっている。
【0026】
つまり、弁体4は、コンプレッサ圧検出ポート2からキャップ5の上面に作用するコンプレッサ圧力が所定値未満のとき(コンプレッサ圧を検出しないとき)には、円筒コイルばね3のばねによる押圧力により上方向に押されているので、同図(a)に示す他端の側に向けて押圧された位置に保持され、ブレーカパイロットライン31を遮断(INからOUTを閉止)する。
【0027】
一方、弁体4は、コンプレッサ圧検出ポート2からキャップ5の上面に作用するコンプレッサ圧力が所定値を超えたとき(コンプレッサ圧を検出したとき)には、キャップ5が弁体4を下方向に押すと共に、弁体4の受圧面積差により発生する油圧力により下側に押され、この下向きの付勢力が円筒コイルばね3による上方向への押圧力よりも強くなることで下方向に移動し、上記一端の側に向けて同図(b)の位置まで、弁体4およびキャップ5を移動させる。これにより、ブレーカパイロットライン31を開放(INからOUTを連通)し、操作ペダルによるパイロット圧に応じてブレーカ40を稼動可能になっている。
【0028】
次に、この第一の実施形態の水中仕様油圧ブレーカ用ブレーカ停止装置の作用・効果について説明する。
上記掘削船50にて水中での破砕作業を行なう場合には、ブーム53およびアーム54の俯仰操作等によって、水中仕様油圧ブレーカ40を所望の位置に移動し、川底や海底等の水中90で岩盤等の被掘削物100にチゼル23を押し付け、ピストン25でチゼル23を打撃する。これにより、チゼル23には、チゼル23が被掘削物100の方向に前進し、ピストン25での打撃によって被掘削物100の方向に進行する圧縮の応力波が発生し、川底や海底等の水中90で岩盤等の被掘削物100を掘削することができる。
【0029】
そして、この掘削船50に搭載されているブレーカ停止装置20Aは、ブレーカパイロットライン31を開閉するブレーカ停止装置20Aを掘削船50に取付けている。さらに、このブレーカ停止装置20Aは、コンプレッサ30のコンプレッサ圧力に応じてブレーカパイロットライン31の開位置および閉位置にそれぞれ移動する弁体4を有しているので、コンプレッサ圧力に応じてブレーカパイロットライン31を直接開閉可能である。そのため、コンプレッサ30が運転時のみパイロット圧を作用させてブレーカ40を稼動することを可能としている。したがって、コンプレッサ30が停止時には、ブレーカラインのペダル操作に関わりなくブレーカ40を停止させることができる。
【0030】
そのため、コンプレッサ30の停止時、あるいは故障時にはブレーカ40の打撃を停止させて、ブレーカ本体41内部のパッキンの破損や、ブレーカ本体41や油圧回路への水の浸入等によるトラブルを回避できる。したがって、掘削作業でのオペレータの不要な注意を和らげることができる。
そして、このブレーカ停止装置20Aは、例えば上記例示したような電気的な圧力スイッチやそれに係る配線をもたず、圧縮空気圧のみの信号による動作なので、電機的な機構によるものと比べて、電気的変換機構を用いることなく構成され、また、簡単な回路にて構成されているので安価かつ耐久性・信頼性が高い。特に、腐食環境での稼働(例えば本実施形態での掘削船上)では有効である。
なお、このブレーカ停止装置20Aでは、上記ベントポート6は大気に開放されている必要がある。そのため、このブレーカ停止装置20Aは、ブレーカ40やそのブレーカ本体41内に固定して川底や海底で稼動させる場合は、錆びの発生等の点で不向きなため、掘削船50に取り付けることが好ましい。
【0031】
次に、本発明に係るブレーカ停止装置の第二の実施形態について図6〜図8を参照しつつ詳しく説明する。なお、この第二の実施形態は、上記第一実施形態に対しブレーカ停止装置が異なり、他の構成は同様なので、以下の説明では他の構成の説明については省略する。
図6に示すように、このブレーカ停止装置20Bは、ブレーカ本体41に装備され、上記第一の実施形態でのリリーフバルブ38に替えて、ブレーカラインの高圧ラインBHと戻りラインである低圧ラインBLとの間に接続されており、コンプレッサ30を運転時にのみ、コンプレッサ30の吐出配管29に接続されたコンプレッサ圧力(圧縮空気圧)Pの作用によってブレーカ40を稼動可能になっている。
【0032】
詳しくは、このブレーカ停止装置20Bは、図7に示すように、箱形の本体ブロック13を有し、この本体ブロック13の一端にアダプタ16が装着されている。なお、上記本体部には、本体ブロック13およびアダプタ16が対応する。
アダプタ16には、軸方向に延びる弁室19が内部に形成され、この弁室19の略中央に大径のチャンバー室17が設けられている。そして、弁室19内には、油空圧針弁9が軸方向に所定距離の往復移動が可能に摺嵌されている。この油空圧針弁9は、上記第一の弁体に対応しており、その略中央に大径部9aを有し、大径部9aの両側がそれぞれ小径部になっている。油空圧針弁9の中心には、軸方向に貫通する油通路9tを設けている。そして、中央の大径部9aは、その外周面が上記チャンバー室17の内周面に摺接しており、チャンバー室17を、アダプタ16側のエアチャンバーL11と、反対の側のエアチャンバーR12とに区分している。ここで、エアチャンバーR12は、下方のエアチャンバー10に連通して形成されている。このエアチャンバー10は、エアチャンバーR12にのみ連通する閉空間であり、その容積は、コンプレッサ30のコンプレッサ圧に対し、油空圧針弁9のストロークによる圧力変化を殆ど生じさせない広さに設定されている。
【0033】
さらに、このアダプタ16は、端部にコンプレッサ圧検出ポート7を有し、このコンプレッサ圧検出ポート7からエアチャンバーL11まで貫通する連通路7aを有している。コンプレッサ圧検出ポート7は、コンプレッサ30の吐出配管29に接続されて、そのコンプレッサ圧力を油空圧針弁9のエアチャンバーL11側の大径部9a壁面に作用可能になっている。
【0034】
また、このアダプタ16は、その軸線に沿って形成された止り穴7bをコンプレッサ圧検出ポート7とは反対側の端部に有しており、この止り穴7b内に、円筒コイルばね8が挿入されている。そして、この円筒コイルばね8は、油空圧針弁9のアダプタ16側の小径部9bの端面を、チャンバー室17側に押圧するように装着されている。さらに、油空圧針弁9には、弁室19内での、油空圧針弁9のアダプタ16側とは反対側の小径部9cの端面に対しその軸方向で対向する位置に、針弁シート部18が設けられており、この針弁シート部18は、チャンバー室17とは反対の側のシート面18aがブレーカの高圧ラインBHに連通してパイロット油圧を受圧している。
【0035】
そして、このブレーカ停止装置20Bには、針弁シート部18に対し、そのアダプタ16側の反対の側に配置された本体ブロック13に、バランスピストン型のリリーフバルブ14を有しており、このリリーフバルブ14が、針弁シート部18の移動に応じて所定距離の往復移動が可能に摺嵌され、ブレーカシステム圧を制御するように構成されている。ここで、このリリーフバルブ14が、上記第二の弁体に対応している。
【0036】
ここで、このブレーカ停止装置20Bの組み付けは、まず、本体ブロック13にリリーフバルブ14を組み付け、エア抜きプラグ15を開放状態にして、油空圧針弁9をシート面18aまで押し込み、2mm戻した位置でエア抜きプラグ15を締める。これは、油空圧針弁9が開放時にエアチャンバーR12内の圧力が負圧にならないようにするためである。その後、円筒コイルばね8を内蔵した状態でアダプタ16を締め込み固定する。上記構成においてエアチャンバーR12とエアチャンバー10とは連通しているのでコンプレッサ30のコンプレッサ圧に対し、油空圧針弁9のストロークによる圧力変化は殆ど発生せず、油空圧針弁9を動かす上で有効な圧力差が得られるようになっている。なお、上記エアチャンバー領域には、エアチャンバーR12とエアチャンバー10とがつくる空間が対応している。
【0037】
そして、図8(a)に示すように、上記第一の弁体に対応する油空圧針弁9は、コンプレッサ圧検出ポート7にコンプレッサ圧を検出しないとき(コンプレッサ圧力が所定値未満のとき)には、針弁シート部18で受けるパイロット油圧が円筒コイルばね8の押圧カに勝るように設定されている。そのため、油空圧針弁9は、コンプレッサ圧検出ポート7側の位置(第一の位置)に移動してシート面18aが開き、これに応じて上記第二の弁体に対応するリリーフバルブ14が、アダプタ16側に移動(停止位置に移動)し、これにより、ブレーカの高圧ラインBHを低圧ラインBLに連通させることでブレーカシステム圧をブレーカ始動圧未満にすることでブレーカ40を停止可能なっている。
【0038】
一方、図8(b)に示すように、コンプレッサ圧検出ポート7がコンプレッサ圧を検出しているとき(コンプレッサ圧力が所定値を超えたとき)には、油空圧針弁9は、円筒コイルばね8の押圧カとエアチャンバーL11からの空気圧とによりコンプレッサ圧検出ポート7とは反対の側の位置(第二の位置)に移動して針弁シート部18のシート面18aを閉じる。そのため、これに応じてリリーフバルブ14が、アダプタ16側とは反対の側に移動(稼働位置に移動)し、これにより、高圧ラインBHと低圧ラインBLとの連通状態を遮断することでブレーカシステム圧をブレーカ始動圧以上にする圧油が供給されてブレーカ40の稼動を可能にしている。
【0039】
なお、油空圧針弁9は、この例では2mmストロークする必要があるが、このとき、ストロークの際に、コンプレッサ30の吐出配管29の圧縮空気圧に抗するエアチャンバー12Rは、上記エアチャンバー10に接続されているので圧力変化を抑えられるようになっている。また、油空圧針弁9の中心には、油通路9tを設けているので、油空圧針弁9への低圧ラインBLによる圧力の影響は左右にてバランスしている(つまり、戻りライン圧の影響を受けない)。
【0040】
そして、この第二実施形態でのエアチャンバーによる構造は、上記第一実施形態でのベントポート6と異なり、大気開放を不要としているので、第一実施形態のように台車側はもちろん、本実施形態の例のように、ブレーカ本体41に付設したり、あるいは、ブレーカ本体41のフレーム内に装備したりして川底は海底等の水中で好適に使用することができる。
【0041】
次に、この第二の実施形態の水中仕様油圧ブレーカ用ブレーカ停止装置の作用・効果について説明する。
この第二の実施形態では、ブレーカラインの高圧ラインBHと低圧ラインBLとの連通状態の開閉をするブレーカ停止装置20Bをブレーカ本体41に装備しており、このブレーカ停止装置20Bは、コンプレッサ圧検出ポート7にコンプレッサ圧を検出しないときには、ブレーカ40のシステム圧を下げることが可能なので、上記第一の実施形態同様に、コンプレッサ運転時にのみブレーカ40を稼動することを可能とし、コンプレッサ30が停止時には、ブレーカラインのペダル操作に関わりなくブレーカ40を停止させることができる。また、例えば電機的な機構によるものと比べて、簡単な回路にて構成されるので安価かつ耐久性・信頼性が高い。
【0042】
そして、このブレーカ停止装置20Bは、ブレーカ本体41に、上記第一の実施形態でのリリーフバルブ38に替えて取付けられるので、掘削船50側への特別な改造を不要とすることができる。これは、例えばブレーカ40をリースで貸し出す場合に有効である。
次に、本発明に係るブレーカ停止装置の第三の実施形態について図9および図10を参照しつつ詳しく説明する。なお、この第三の実施形態は、上記第二実施形態に対しブレーカ停止装置自体は同様であり、その一次側ポートと二次側ポートとの接続のみが異なるので、以下の説明では異なる点について説明し、他の構成の説明については適宜省略する。
【0043】
この第三の実施形態でのブレーカ停止装置20Bは、図9(b)に示すように、ブレーカ本体41(バルブブロック)に装備される。そして、図10に示すように、コントロールバルブのパイロットラインBPに一次側ポート31Aが接続され、低圧ラインBLに二次側ポート31Bが接続されている。
このような構成であっても、この第三の実施形態のブレーカ停止装置20Bは、コンプレッサ30を運転時にのみ、コンプレッサ30の配管29に接続されたコンプレッサ圧検出ポート7にコンプレッサ圧Pがパイロット圧として作用してブレーカ40を稼動可能になっている。
【0044】
すなわち、上記第二実施形態同様、油空圧針弁9は、コンプレッサ圧検出ポート7にコンプレッサ圧を検出しないとき(コンプレッサ圧力が所定値未満のとき)には、コンプレッサ圧検出ポート7側の位置(第一の位置)に移動してシート面18aが開き、これに応じてリリーフバルブ14が、アダプタ16側に移動(停止位置に移動)し、これにより、コントロールバルブのパイロットラインBPを低圧ラインBLに連通させることでコントロールバルブのパイロットラインBPの圧力をブレーカ始動圧未満にすることでブレーカ40を停止可能なっている。
【0045】
そして、コンプレッサ圧検出ポート7がコンプレッサ圧を検出しているとき(コンプレッサ圧力が所定値を超えたとき)には、油空圧針弁9は、コンプレッサ圧検出ポート7とは反対の側の位置(第二の位置)に移動して針弁シート部18のシート面18aを閉じ、これに応じてリリーフバルブ14が、アダプタ16側とは反対の側に移動(稼働位置に移動)し、これにより、コントロールバルブのパイロットラインBPと低圧ラインBLとの連通状態を遮断させることでコントロールバルブのパイロットラインBPの圧力をブレーカ始動圧以上にすることでブレーカ40の稼動を可能としている。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る水中仕様油圧ブレーカ用ブレーカ停止装置20A、20Bによれば、比較的に安価かつ高い耐久性・信頼性をもち、コンプレッサ30が停止時にはブレーカ40の稼動を停止することができる。
なお、本発明に係る水中仕様油圧ブレーカ用ブレーカ停止装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るブレーカ停止装置を備える水中仕様掘削装置を搭載した掘削船を説明する図であり、同図では、その掘削船によって川底ないし海底を掘削している状態を示している。
【図2】ブレーカ本体、およびその内部を加圧するためのコンプレッサを説明する図であり、同図(a)はコンプレッサ運転時における通常掘削状態を示し、同図(b)はコンプレッサ停止時にブレーカを稼働したときの水の浸入状態を示している(本発明に係るブレーカ停止装置を有しない場合の例である)。
【図3】本発明に係るブレーカ停止装置の第一実施形態を説明する回路図である。
【図4】ブレーカ本体に装備されたバランスピストン型リリーフバルブを説明する図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)は同図(a)でのX−X断面図である。
【図5】本発明に係るブレーカ停止装置の第一実施形態を説明する図であり、同図ではその軸線を含む縦断面図を示しており、同図(a)はコンプレッサ停止時の状態を示し、同図(b)はコンプレッサ運転時の状態を示している。
【図6】本発明に係るブレーカ停止装置の第二実施形態を説明する回路図である。
【図7】本発明に係るブレーカ停止装置の第二実施形態を説明する図であり、同図ではその軸線を含む縦断面図を示している。
【図8】図7に示すブレーカ停止装置の動作を説明する図であり、同図(a)はコンプレッサ停止時の状態を示し、同図(b)はコンプレッサ運転時の状態を示している。
【図9】本発明に係るブレーカ停止装置の第三実施形態を説明する図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)は同図(a)でのA−A断面図である。
【図10】本発明に係るブレーカ停止装置の第三実施形態を説明する図であり、同図は、図9(b)でのブレーカコントロールバルブのB部断面、C部断面、およびブレーカ停止装置の縦断面をそれぞれ示すとともに、相互の接続状態を示している。
【符号の説明】
【0048】
1 本体ブロック(本体部)
2 コンプレッサ圧検出ポート
4 弁体
5 キャップ
6 ベントポート
7 コンプレッサ圧検出ポート
7 弁室
9 油空圧針弁(第一の弁体)
10 エアチャンバー
11 エアチャンバーL
12 エアチャンバーR
13 本体ブロック
14 リリーフバルブ(第二の弁体)
16 アダプタ
17 チャンバー室
18 針弁シート部
19 弁室
20A、20B ブレーカ停止装置
21 フロントキャップ
22 バックヘッド
23 チゼル
24 シリンダ
25 ピストン
26 フロントヘッド
27 打撃室
28 切換弁
29 吐出配管
30 コンプレッサ
31 ブレーカパイロットライン
31A 一次側ポート
31B 二次側ポート
32 油圧ポンプ
34 油タンク
36 操作弁
38 リリーフバルブ
40 水中仕様油圧ブレーカ
41 ブレーカ本体
42 ブラケット
50 掘削船
51 掘削船本体
52 台車部
53 ブーム
54 アーム
90 水中
100 被掘削物
BH 高圧ライン
BL 低圧ライン
BP パイロットライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤等の被掘削物を掘削するための油圧ブレーカと、前記油圧ブレーカ内部を加圧するためのコンプレッサと、を備える掘削装置に用いられるブレーカ停止装置であって、
ブレーカパイロットラインの途中に接続されて、内部に弁室が形成されてなる本体部と、前記弁室内に所定距離の往復移動が可能に摺嵌される弁体と、前記コンプレッサの吐出配管に接続されてそのコンプレッサ圧力を前記弁体に作用可能に前記本体部に設けられるコンプレッサ圧検出ポートと、を備え、
前記本体部には、前記ブレーカパイロットラインの一次側に接続される一次側ポートと、前記ブレーカパイロットラインの二次側に接続される二次側ポートと、がそれぞれ前記弁室に連通して形成されており、
前記弁体は、前記コンプレッサ圧検出ポートの前記コンプレッサ圧力に応じて前記一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を開閉可能に摺嵌され、前記コンプレッサ圧力が所定値未満のときには前記ブレーカパイロットラインを遮断する位置に移動し、所定値を超えたときには前記ブレーカパイロットラインを開放する位置に移動するようになっていることを特徴とするブレーカ停止装置。
【請求項2】
岩盤等の被掘削物を掘削するための油圧ブレーカと、前記油圧ブレーカ内部を加圧するためのコンプレッサと、を備える掘削装置に用いられるブレーカ停止装置であって、
前記油圧ブレーカのブレーカ本体に設けられて、内部に弁室が形成されてなる本体部と、前記弁室内に所定距離の往復移動が可能に摺嵌される第一の弁体および第二の弁体と、前記コンプレッサの吐出配管に接続されてそのコンプレッサ圧力を前記第一の弁体に作用可能に前記本体部に設けられるコンプレッサ圧検出ポートと、を備え、
前記本体部には、前記油圧ブレーカの高圧側に接続される一次側ポートと、前記油圧ブレーカの低圧側に接続される二次側ポートと、がそれぞれ前記弁室に連通して形成されており、
前記第一の弁体は、前記コンプレッサのコンプレッサ圧力に応じて第一の位置および第二の位置にそれぞれ移動可能に構成され、前記コンプレッサ圧力が所定値未満のときには前記第一の位置に移動し、所定値を超えたときには前記第二の位置に移動するようになっており、
前記第二の弁体は、前記第一の弁体の移動に応じて前記一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を開閉可能に摺嵌され、前記第一の弁体が前記第一の位置のときには前記相互の連通状態を連通させて前記ブレーカシステム圧をブレーカ始動圧未満にする停止位置に移動し、前記第一の弁体が前記第二の位置のときには前記相互の連通状態を遮断して前記ブレーカシステム圧をブレーカ始動圧以上にする稼働位置に移動するようになっていることを特徴とするブレーカ停止装置。
【請求項3】
岩盤等の被掘削物を掘削するための油圧ブレーカと、前記油圧ブレーカ内部を加圧するためのコンプレッサと、を備える掘削装置に用いられるブレーカ停止装置であって、
前記油圧ブレーカのブレーカ本体に設けられて、内部に弁室が形成されてなる本体部と、前記弁室内に所定距離の往復移動が可能に摺嵌される第一の弁体および第二の弁体と、前記コンプレッサの吐出配管に接続されてそのコンプレッサ圧力を前記第一の弁体に作用可能に前記本体部に設けられるコンプレッサ圧検出ポートと、を備え、
前記本体部には、前記油圧ブレーカの低圧側に接続される一次側ポートと、前記ブレーカフレーム内部のコントロールバルブのパイロットライン側に接続される二次側ポートと、がそれぞれ前記弁室に連通して形成されており、
前記第一の弁体は、前記コンプレッサのコンプレッサ圧力に応じて第一の位置および第二の位置にそれぞれ移動可能に構成され、前記コンプレッサ圧力が所定値未満のときには前記第一の位置に移動し、所定値を超えたときには前記第二の位置に移動するようになっており、
前記第二の弁体は、前記第一の弁体の移動に応じて前記一次側ポートおよび二次側ポート相互の連通状態を開閉可能に摺嵌され、前記第一の弁体が前記第一の位置のときには前記相互の連通状態を連通させて前記パイロットラインの圧力をブレーカ始動圧未満にする停止位置に移動し、前記第一の弁体が前記第二の位置のときには前記相互の連通状態を遮断して前記パイロットラインの圧力をブレーカ始動圧以上にする稼働位置に移動するようになっていることを特徴とするブレーカ停止装置。
【請求項4】
前記弁室は、前記第一の弁体が摺嵌される部分に、エアチャンバー領域を有し、当該エアチャンバー領域は、前記第一の弁体の所定距離の往復移動による圧力変化を抑制可能な容積を有し且つ大気開放されない閉空間になっていることを特徴とする請求項2または3に記載のブレーカ停止装置。
【請求項5】
前記油圧ブレーカは、水中で岩盤等の被掘削物を掘削するための水中仕様油圧ブレーカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のブレーカ停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114299(P2008−114299A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296781(P2006−296781)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(594149398)古河ロックドリル株式会社 (50)
【Fターム(参考)】