説明

プラズマディスプレイ用光学フィルタ

【課題】少ない近赤外線吸収色素の使用量で効率よく近赤外線を遮蔽し、かつ可視光領域への影響を低減した近赤外線遮蔽層を有することで、近赤外線遮蔽機能と経済性に優れる上に、用いるプラズマディスプレイの省エネ化にも寄与できるプラズマディスプレイ用光学フィルタを提供する
【解決手段】近赤外線遮蔽層を有するプラズマディスプレイ用光学フィルタであって、前記近赤外線遮蔽層が、下記第1の波長領域:800〜869nmに極大吸収波長を有する色素、第2の波長領域:870〜909nmに極大吸収波長を有する色素、第3の波長領域:910〜949nmに極大吸収波長を有する色素、および、第4の波長領域:950〜1000nmに極大吸収波長を有する色素を含有することを特徴とするプラズマディスプレイ用光学フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ用光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマディスプレイ(以下、必要に応じてPDPという)には、PDPから放射される電磁波、近赤外線等を遮蔽すること、外光の反射を防止すること、PDPの発色を所望の色に変換すること等を目的として、PDPの前面に配置される光学フィルタが必要とされてきた。これらの中でもPDPから放射される近赤外線はリモコンや伝送系光通信における誤動作の誘因となるため、光学フィルタにおいては近赤外線遮蔽層が必須の構成要件となっている。
【0003】
PDP用光学フィルタの近赤外線遮蔽層においては、近赤外線波長領域(750〜1100nm)に吸収を有する色素を配合することで近赤外線遮蔽を行っているが、近赤外線波長領域全域の光を吸収させるために、極大吸収波長の異なる色素を組合せて使用している。例えば、特許文献1では近赤外線遮蔽層に3種類の近赤外線吸収色素を用いている。
【0004】
ここで、これまでの近赤外線遮蔽層では、近赤外線吸収色素の配合量を多くすることで、十分な近赤外線吸収機能を発揮させていたが、近赤外線吸収色素の配合量を多くすると経済的にも不利であるばかりでなく、可視光領域の透過率まで低下させてしまう。可視光領域の透過率の低下により、光学フィルタの色調設計の自由度が減少する点や、画像が暗くなるのを防止するためにPDPの発光強度を高めることが必要となり、消費電力が上がる点で問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−287310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされ、近赤外線吸収色素の配合を効率良くすることで可視光領域への透過率の影響を低減でき近赤外線遮蔽機能に優れるプラズマディスプレイ用光学フィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプラズマディスプレイ用光学フィルタは、近赤外線遮蔽層を有するプラズマディスプレイ用光学フィルタであって、
前記近赤外線遮蔽層が、下記第1の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第2の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第3の波長領域に極大吸収波長を有する色素、および、第4の波長領域に極大吸収波長を有する色素を含有することを特徴とする。
第1の波長領域:800〜869nm
第2の波長領域:870〜909nm
第3の波長領域:910〜949nm
第4の波長領域:950〜1000nm
【発明の効果】
【0008】
本発明のプラズマディスプレイ用光学フィルタは、少ない近赤外線吸収色素の使用量で効率よく近赤外線を遮蔽し、かつ可視光領域への透過率の影響を低減した近赤外線遮蔽層を有することで、近赤外線遮蔽機能と経済性に優れる上に、用いるプラズマディスプレイの省エネ化にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のPDP用光学フィルタが適用されたPDP装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のPDP用光学フィルタ(分離型)の実施形態の一例を示す断面図である。
【図3】本発明のPDP用光学フィルタ(一体型)の実施形態の別の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のプラズマディスプレイ用光学フィルタ(以下、単に「光学フィルタ」ということもある)の実施の形態について以下に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
本発明の光学フィルタは、以下に説明する近赤外線遮蔽層に特徴を有する。
【0011】
[近赤外線遮蔽層]
<近赤外線吸収色素>
本発明の光学フィルタが有する近赤外線遮蔽層は、下記第1の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第2の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第3の波長領域に極大吸収波長を有する色素、および、第4の波長領域に極大吸収波長を有する色素を含有する。
第1の波長領域:800〜869nm
第2の波長領域:870〜909nm
第3の波長領域:910〜949nm
第4の波長領域:950〜1000nm
【0012】
なお、これらの色素はいずれも750〜1100nmの波長の近赤外線を吸収するいわゆる近赤外吸収色素に分類される色素である。
各波長領域において色素は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。近赤外線遮蔽層は、最低でも上記各波長領域に極大吸収波長を有する色素を1種ずつ選択して合計で4種の色素を含有し、本発明においては、これら色素の組合せとして、各色素の極大吸収波長が、800〜1000nmの間にできるかぎり均等に近いかたちに位置する組合せが好ましい。ここで「均等に近いかたちに位置する組合せ」とは、近赤外線の4つの最大吸収波長の間隔が均等である、ことと、4つの波長における近赤外線の最大吸収量が均等である、ことを意味する。
【0013】
このような観点から、上記第1の波長領域が810〜860nmであり、上記第2の波長領域が870〜900nmであり、上記第3の波長領域が910〜940nmであり、かつ上記第4の波長領域が950〜980nmであって、これらの各波長領域に極大吸収波長を有する色素からそれぞれ少なくとも1種ずつ選ばれる色素の組合せが好ましい。
【0014】
本発明において最も好ましくは、上記のように選択された少なくとも4種の色素の極大吸収波長が、800〜1000nmの間に均等に位置する組合せである。
用いる色素の数は上記の通り4種以上であり、上限は特に制限されない。ただし、作業性や経済性の観点から近赤外線遮蔽層に配合する色素の数は4〜6種が好ましく、800〜1000nmの波長領域で極大吸収波長の波長差が均等に近い、上記に則して選択された4〜5種がより好ましい。
【0015】
用いられる色素の吸光係数は、いずれの波長領域に極大吸収波長を有する色素においても、極大吸収波長における吸光係数は10〜90が好ましく25〜75がより好ましい。
【0016】
本発明に用いる上記近赤外線吸収色素としては、例えば、ポリメチン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、金属錯体系色素、アミニウム系色素、イモニウム系色素、ジイモニウム系色素、アンスラキノン系色素、ジチオール金属錯体系色素、ナフトキノン系色素、インドールフェノール系色素、アゾ系色素、トリアリルメタン系色素、酸化タングステン系色素などが挙げられる。これらのうちでも、ジチオール金属錯体系色素、アミニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素、酸化タングステン系色素が好ましい。
【0017】
これらの色素から、上記第1の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第2の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第3の波長領域に極大吸収波長を有する色素、および、第4の波長領域に極大吸収波長を有する色素をそれぞれ選択し、選択された少なくとも4種の色素を組合せて近赤外線遮蔽層に含有させる。通常、近赤外線遮蔽層はバインダ樹脂に色素を分散した構成であることから、これら少なくとも4種の色素は近赤外線遮蔽層を形成する際のバインダ樹脂への分散性や作業性の観点から同種の系列の色素から選択される組合せが好ましい。このような組合せの容易性および耐久性の観点から本発明に用いる近赤外線吸収色素としてはフタロシアニン系色素が特に好ましい。
【0018】
(フタロシアニン系色素)
フタロシアニン系色素としては、フタロシアニン骨格(下記化学式(1)参照)を有する化合物であれば特に制限されない。なお、式(1)中のMはCu、Ni、Zn、Pd、Pt、VO、CoおよびMgのいずれかを示す。これらのうちでも、Mとしては、経済性、安全性、溶解性、光学特性の点からCuまたはVOが好ましい。
【0019】
【化1】

【0020】
上記第1〜第4の波長領域のいずれかに極大吸収波長を有するフタロシアニン系色素としては、いずれも市販品を使用できる。
第1の波長領域に極大吸収波長を有するフタロシアニン系色素としては、例えば、いずれも日本触媒社製の商品名で、「イーエクスカラーIR−14」(λmax:819nm)、「イーエクスカラーIR−10A」(λmax:849nm)等が挙げられる。なお、商品名の後ろの括弧内に示すλmaxは極大吸収波長である。
【0021】
第2の波長領域に極大吸収波長を有するフタロシアニン系色素としては、例えば、いずれも日本触媒社製の商品名で、「イーエクスカラーIR−28」(λmax:880nm)、「イーエクスカラーIR−12」(λmax:883nm)、「TX−EX−820」(λmax:891nm)等が挙げられる。
【0022】
第3の波長領域に極大吸収波長を有するフタロシアニン系色素としては、例えば、いずれも日本触媒社製の商品名で、「TX−EX−906」(λmax:922nm)等が挙げられる。
【0023】
第4の波長領域に極大吸収波長を有するフタロシアニン系色素としては、例えば、いずれも日本触媒社製の商品名で、「イーエクスカラーIR−915」(λmax:963nm)、「イーエクスカラーIR−910」(λmax:968nm)、「イーエクスカラーIR−906」(λmax:968nm)等が挙げられる。
【0024】
近赤外線遮蔽層は、このような第1の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第2の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第3の波長領域に極大吸収波長を有する色素、および、第4の波長領域に極大吸収波長を有する色素を含有する。各色素の含有量は、得ようとする光学フィルタに望まれる近赤外線吸収能や色素毎の吸光係数により適宜調整される。なお、用いられる全色素の近赤外線の吸収量として、これら色素の極大吸収波長のうち最小の波長から最大の波長までがほぼ均一な吸収量を示し、さらに820nm〜980nmまでの波長領域についても十分に吸収が得られるような各色素の含有量が好ましい。
【0025】
なお、本発明の光学フィルタにおいて、近赤外線遮蔽層は820〜980nmの波長領域の近赤外線透過率が20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。近赤外線遮蔽層における各色素の含有量は、好ましくは近赤外線透過率が上記範囲となるように適宜調整される。
【0026】
近赤外線遮蔽層は、通常、これら近赤外線吸収色素を透明なバインダ樹脂に均一に分散した層からなる。近赤外線遮蔽層が含有する近赤外線吸収色素の量は、上記のような近赤外線吸収が得られる範囲で含有し、バインダ樹脂100質量部に対する近赤外線吸収色素の全量は、0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましい。
【0027】
本発明の光学フィルタにおいては、近赤外線遮蔽層が上記本発明の条件で4種以上の近赤外線吸収色素を含有することで、可視光領域の光の不要な吸収を抑制でき、透過率に優れる。
【0028】
<バインダ樹脂>
近赤外線遮蔽層は、透明なバインダ樹脂に少なくとも上記近赤外線吸収色素が均一に分散されてなる層である。透明なバインダ樹脂としては、特に制限されず、光学フィルタに通常用いられる電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料が好ましく挙げられる。これら、樹脂材料に上記近赤外線吸収色素を均一に分散させフィルム状に成形する方法としては、従来公知の方法が使用できる。
【0029】
本発明の光学フィルタにおける近赤外線遮蔽層は、バインダ樹脂が粘着剤であってもよい。光学フィルタにおいて、透明基板等に機能層を積層する場合や複数の機能層を積層する場合には、透明粘着剤層を介して接着することで積層が行われ、積層の層数を減少させるために、近赤外線遮蔽層を、近赤外線吸収色素を含む粘着剤層とすることは一般的に行われており、本発明においてもこれと同様にして近赤外線遮蔽層を粘着剤層とできる。
【0030】
本発明に用いる粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ブタジエン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられ、アクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤は、アクリル系単量体単位を主成分として含む重合体である。アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、クロトン酸、これらのアルキルエステルが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸を総称する。(メタ)アクリレートも同様である。
【0031】
アクリル系単量体の中でも、(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステルを主成分とすることが好ましい。ここで、主成分とするとは、(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステルが、アクリル系粘着剤全量に対して95質量%以上含むことを意味し、98質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0032】
また、粘着剤の凝集力を高めるため、架橋点となりうる官能基(例えば、ヒドロキシル基、グリシジル基等)を有する単量体の使用が好ましい。架橋点となりうる官能基を有する単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。
【0033】
このような架橋点を有する単量体を使用する場合には架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤を架橋点に反応させてポリマーを架橋させることにより凝集力を確保できる。架橋剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属キレート、ポリイソシアネート、カルボキシ基含有ポリマー、酸無水物、ポリアミンなどが挙げられ、架橋点となりうる官能基の種類に応じて適宜選択される。
【0034】
また、アクリル系粘着剤の酸価は7mgKOH/g以下が好ましい。なお、酸価は0mgKOH/gであってもよく、0〜4mgKOH/gが好ましい。アクリル系粘着剤の酸価が7mgKOH/g以下であることにより、耐湿試験後の変色を抑えることができる。ここでいう酸価とは、指示薬としてフェノールフタレインを用いたアルコール性水酸化カリウム(KOH)の滴定により求められる値である。
【0035】
アクリル系粘着剤の酸価を7mgKOH/g以下にするには、アクリル系単量体を重合する際に酸価が前記範囲になるようにアクリル酸の共重合量を調整する。酸価が7mgKOH/g以下のアクリル系粘着剤は市販されており、その中から適宜選択して用いてもよい。例えば、商品名:「NCK101」東洋インキ社製(酸価=0mgKOH/g)、商品名:「EXK04−488」東洋インキ社製(酸価:6.2mgKOH/g)などが挙げられる。これらのアクリル系粘着剤と組合せて用いる架橋剤としては、ポリイソシアネートが好ましく、例えば、商品名:「コロネートHL」日本ポリウレタン社製などの市販品を用いることができる。
【0036】
また、アクリル系粘着剤のガラス転移温度(Tg)は、−40〜40℃が好ましく、−30〜10℃がより好ましい。
近赤外線遮蔽層を、近赤外線吸収色素を含む粘着剤層とする場合、通常、このような粘着剤に上記近赤外線吸収色素や後述の任意成分を均一に分散させた組成物を調製し、これを粘着剤フィルム状に成形して用いる。成形方法としては、従来公知の方法が使用可能である。例えば、粘着剤および上記近赤外線吸収色素を有機溶剤に溶解させた溶液を適宜選択されるセパレータや基板上に塗布、乾燥して作製される。
また、近赤外線遮蔽層の層厚は、近赤外吸収性能、成形時の有機溶剤の残留の観点から0.3〜100μmが好ましく、0.5〜50μmがより好ましい。
【0037】
<任意成分>
本発明の光学フィルタにおいて、近赤外線遮蔽層は上記近赤外線吸収色素の他に必要に応じて色調補正色素、光安定剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤等の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
【0038】
(色調補正色素)
色調補正色素は、可視光の特定波長域の一部を吸収し、透過可視光の色調を改善するものである。色調補正色素としては、例えば、アゾ系、縮合アゾ系、ジイモニウム系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系、ポルフィリン系、テトラアザポルフィリン系などの周知の有機顔料および有機染料、無機顔料が好ましく挙げられる。
【0039】
色調補正色素の中でも、耐候性が良好であるとともにバインダ樹脂との相溶性または分散性が良好な、例えばアンスラキノン系色素、キノフタロン系色素およびテトラアザポルフィリン系色素から選ばれる1種、または2種以上を適宜組み合わせて用いことが好ましい。アンスラキノン系色素およびテトラアザポルフィリン系色素から選ばれる1種、または2種以上を適宜組み合わせて用いことがより好ましい。
【0040】
アンスラキノン系色素としては、例えば、日本化薬社製の商品名「Kayaset Violet A−R」、「Kayaset Blue N」、「Kayaset Blue FR」、「Kayaset Green A−B」等の市販品が挙げられる。
また、テトラアザポルフィリン系色素としては、例えば、山田化学社製の商品名「TAP−2」「TAP−18」「TAP−45」等の市販品が挙げられる。
【0041】
色調補正色素としては、ヒドロキシル基(−OH)およびアミノ基(−NH)を有さない色素が好ましい。本発明に係る近赤外線遮蔽層を形成するための組成物中の色素は、実質的にヒドロキシル基(−OH)およびアミノ基(−NH)を有さない色素のみを含むことが好ましい。実質的に、ヒドロキシル基およびアミノ基を有さない色素のみを含むとは、ヒドロキシル基およびアミノ基を有さない色素を、近赤外線遮蔽層形成用組成物中の色素全量に対して、95質量%以上含むことを意味し98質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。ヒドロキシル基およびアミノ基を有さない色素を用いることで、色素を含む近赤外線遮蔽層形成用組成物が湿気により変色せず、退色等の劣化が抑えられる。
【0042】
PDPは機種により、可視光の発光の強度や波長分布が異なる。したがって、本発明のPDP用光学フィルタに任意に用いる色調補正色素は、PDPの機種によって用いる色調補正色素の種類や組み合わせは適宜選択される。中でも、テトラアザポルフィリン系色素は、PDPが発する波長590nm付近のオレンジ色の不要光を効率的に吸収できるため好ましい。また、耐久性の観点からは、アンスラキノン系色素が好ましい。テトラアザポルフィリン系色素およびアンスラキノン系色素を組み合わせて用いることがより好ましい。
【0043】
近赤外線遮蔽層における色調補正色素の含有量は、光学フィルタに求められるC光源による視感透過率や透過光の色調に合わせて調整される。色調補正色素の含有量は、用いる色素の種類により適宜選択され、バインダ樹脂100質量部に対して、0.001〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましい。
【0044】
PDP用光学フィルタでは、人が視認する際に画像に影響を与えないように、C光源を用いて測定される透過光が無彩色であることが求められる。本発明の光学フィルタにおいては、具体的には、C光源による透過光色度が、JIS Z8701(1999年)に定義されるXYZ表色系における色座標(x,y)で、(x,y)=(0.310±0.100,0.316±0.100)が好ましい。また、本発明の光学フィルタのC光源による視感透過率については、20〜70%が好ましく、30〜60%がより好ましい。
【0045】
(光安定剤)
光安定剤としては、公知の光安定剤を用いることができ、特にジチオール錯体系の光安定剤が好ましい。ジチオール錯体は、自身の安定性に優れ、色素、特にフタロシアニン系色素に対するクエンチャー効果、すなわちフタロシアニン系色素の光に対する安定性を向上させる効果に優れるため好ましい。
光安定剤は、近赤外線遮蔽層に求められる他の物性を確保しながら、光安定剤がその機能を発揮できる量(配合割合)の範囲として、バインダ樹脂100質量部に対して、0.001〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましい。
【0046】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、オキザニリド系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤等が好ましく挙げられる。市販品として、Ciba社製、商品名「TINUVIN 479」等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、近赤外線遮蔽層に求められる他の物性を確保しながら、紫外線吸収剤がその機能を発揮できる量(配合割合)の範囲として、バインダ樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましい。
【0047】
[光学フィルタ]
本発明の光学フィルタは上記近赤外線遮蔽層を有するPDP用の光学フィルタである。以下、図面を参照しながら本発明の光学フィルタの実施の形態について説明する。
図1は本発明のPDP用光学フィルタが適用されたPDP装置の例を示す断面図である。図1(a)はPDP21と距離を置いて視認側に光学フィルタ10が独立に配設されたPDP装置20の一例を示し、図1(b)はPDP21の前面に直接貼付するタイプの光学フィルタ10が配設されたPDP装置20の一例を示す。以下、図1(a)に示すようなPDP21と離れて設置される光学フィルタ10を「分離型の光学フィルタ」といい、図1(b)に示すようなPDP21と一体となるように設置される光学フィルタ10を「一体型の光学フィルタ」という。なお、本明細書において、視認側とはPDP装置を視認する人間が存在する側をいい、上記視認側の反対側を、非視認側という。
【0048】
(分離型の光学フィルタ)
図2は、図1(a)に示すような分離型のPDP用光学フィルタとして用いられる本発明の光学フィルタ10の一例を示す断面図である。
本発明の光学フィルタが分離型の光学フィルタの場合、通常、PDPを保護する機能を有する透明支持基板に上記近赤外線遮蔽層を含む各種機能層が積層されて構成される。機能層が有する機能としては、例えば、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能、色調機能、反射防止機能、コントラスト向上機能、防眩機能(アンチグレア機能)等が挙げられる。機能層としては、設計によって、上記機能の1種を有する機能層でもよく、2種以上の機能を兼ね備えた機能層でもよい。
図2に示す光学フィルタ10は、非視認側から順に透明支持基板1、電磁波遮蔽層2、近赤外線遮蔽層3、反射防止層4が積層された構成を有する。
【0049】
透明支持基板1は、透明性を有し、高い剛性を有する基板である。高い剛性を有することでPDPを衝撃から保護できる。透明支持基板1を構成する材料としては、例えば、ガラスおよび樹脂が挙げられる。樹脂としては具体的に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリアクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレンメタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファンなどが好ましく挙げられる。上記の材料の中でも、ガラス、PET、PC、PMMAが好ましく、ガラスが特に好ましい。
【0050】
透明支持基板1の厚さは、1〜10mmが好ましく、1.5〜5mmがより好ましい。1mm以上であることによりPDPを衝撃から充分に保護することができる。10mm以下であることで、光学フィルタ10の重量を軽くできる。また、透明基板のヤング率は、1×10Pa以上が好ましく、5×10Pa以上がより好ましく、1×1010Pa以上がさらに好ましい。ヤング率の上限は特に制限はないが、上限は5×1011Paが好ましい。基板のヤング率が上記範囲内であると、PDPを保護するのに充分硬い光学フィルタ10とできるため好ましい。
【0051】
電磁波遮蔽層2は、PDPから放射される電磁波をカットする機能を有する機能層であり、PDP用光学フィルタが通常有する機能層である。
電磁波遮蔽層2は、例えば、透明基体上にスパッタ法により電磁波遮蔽膜が形成される。透明基体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはポリカーボネート系樹脂からなる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが、透明性や加工性の観点から好ましく挙げられる。電磁波遮蔽膜としては、例えば、金属酸化物(InとSnとの酸化物、TiとZnとの酸化物、AlとZnとの酸化物、酸化ニオブ等)の層と金属(Ag、Ag合金等)の層とが交互に積層された構造で、金属層の層数はnであり、金属酸化物層の層数はn+1(ただし、nは1以上の整数である。)である。また、電磁波遮蔽層2としては、例えば、透明基体上に銅がメッシュ状に形成されたものでもよい。通常、このような電磁波遮蔽層2は、透明基体上に銅箔を貼りあわせた後、メッシュ状に加工して製造される。
【0052】
電磁波遮蔽層2としては、市販品を用いることが可能である。市販品としては、例えば、電磁波遮蔽エッチングメッシュフィルムとして、大日本印刷社製:商品名「AR50GA0T−75」等が挙げられる。
電磁波遮蔽層2の層厚は、上記いずれの構成においても、透明基体の厚さが占める割合が殆どであり、25〜200μmの間で調整できる。
【0053】
近赤外線遮蔽層3としては、上記説明した近赤外線遮蔽層が用いられる。
反射防止層4としては、透明基体上に反射防止膜が形成されたものや、反射防止膜のみからなるものが挙げられる。反射防止膜としては、屈折率の低い無機化合物と屈折率の高い無機化合物とを交互に積層した積層体や、屈折率の低い無機化合物からなる層、屈折率の低い樹脂からなる層などが挙げられる。屈折率の低い樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂などが挙げられる。屈折率の低い無機化合物としては、二酸化珪素などが挙げられる。
【0054】
反射防止層4としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に含フッ素重合体を含む低屈折率材料からなる反射防止膜が形成されたものが特に好ましい。具体的には、旭硝子社製の商品名:アークトップ(URP2199)や、日本油脂社製の商品名:リアルック(RL7800、RL9000、RL9200)などの市販品が挙げられる。低屈折率とは、具体的には屈折率が1.1〜1.6であることが好ましく、1.2〜1.5がより好ましく、1.3〜1.48がさらに好ましい。
反射防止層4の層厚は、上記いずれの構成においても、25〜200μmの間で調整できる。
【0055】
さらに、図2に示さないが、例えば、上記電磁波遮蔽層2と透明支持基板1の間にコントラスト向上機能を有するコントラスト向上層を設けてもよい。コントラスト向上層としては、例えば、透明基体上に平行に並設された複数の直線状の暗色部と、これら暗色部間に配置される透光性領域とが形成されたものが挙げられる。透光性領域は、例えば、併設方向の断面において透明基体側に向けて徐々に幅が広がる台形状であり、透明基体側の端部において隣接する他の透光性領域と繋がるように形成されている。また、暗色部は、例えば、隣接する透光性領域間の凹部に暗色粒子と透明樹脂とが充填されることにより構成される。
【0056】
また、反射防止層4の代わりに防眩層を設けてもよい。防眩層とは、透明基体上に可視光線の反射による映りこみを低減するための防眩膜(アンチグレア膜)を設けた機能層であり、表面に凹凸を有する。凹凸により防眩層表面に映る反射像を拡散させて輪郭をぼかす効果がある。上記同様のシリカ等の無機微粒子、あるいはアクリル系樹脂やスチレン系樹脂等の有機微粒子をバインダ樹脂中に分散した溶液を透明基体にコーティングし、溶媒を揮発させたり、サンドブラスト、あるいはエッチング等により基材自身に凹凸を形成する。さらに最表層に反射防止処理を施してもよい。防眩層としては、例えば、大日本印刷社製の商品名「DS−LR」、「DS−21」、日油社製の商品名:リアルック(RL5500、RL7300)等の市販品が好ましく用いられる。
【0057】
図2に示す光学フィルタ10は、例えば、透明支持基板1上に電磁波遮蔽層2、近赤外線遮蔽層3、反射防止層4を、基板および各層の間に透明粘着剤層を介してその順に重ね合わせて、一端部側から他端部側にかけてゴム等の弾性材料によって被覆された加圧ローラーを移動させて加圧することにより製造できる。近赤外線遮蔽層3が粘着剤を含有する場合は、上記透明粘着剤層は、透明支持基板1と電磁波遮蔽層2の間に配設される。
【0058】
さらに、光学フィルタ10がコントラスト向上層および防眩層を有する場合には、上記重ね合わせの際に、透明支持基板1上にコントラスト向上層を透明粘着剤層を介して重ね合わせ、その上に電磁波遮蔽層2、近赤外線遮蔽層3、反射防止層4を必要な部分に透明粘着剤層を用いて重ね合わせ、上記同様に加圧処理する。また、このような加圧ローラーによる貼り合わせ後に、温度30〜80℃、圧力0.6〜1.2MPaの雰囲気下で20〜120分間程度の熱処理を行うことで、各機能フィルム間における気泡を消失させ、外観を良好にできる。
【0059】
以上、図2に示すPDP用光学フィルタを例にして本発明の実施の形態を説明したが、本発明の光学フィルタにおいては、本発明の趣旨に反しない限度において透明支持基板と各機能層の積層順、各種機能層の構成材料等を適宜変更できる。また、必要に応じて上に説明した以外の機能層を設けてもよい。近赤外線遮蔽層が接着機能を有する場合には、透明支持基板と機能層の間または機能層間に配設される。
【0060】
(一体型の光学フィルタ)
図3は、図1(b)に示すような一体型のPDP用光学フィルタとして用いられる本発明の光学フィルタ10の一例を示す断面図である。
本発明の光学フィルタが一体型の光学フィルタの場合、上記分離型の光学フィルタで通常用いられる透明支持基板を有しないこと以外は全て上記分離型の光学フィルタと同様とできる。
図3に示す光学フィルタ10は、非視認側から順に、コントラスト向上層5、電磁波遮蔽層2、近赤外線遮蔽層3、反射防止層4が積層された構成を有する。各機能層については上記分離型の光学フィルタと同様である。また積層の方法についても上記分離型の光学フィルタと同様である。
【0061】
なお、PDP21への光学フィルタ10の配設は、セパレータ上に透明接着剤層を介して、コントラスト向上層5から順に、電磁波遮蔽層2、近赤外線遮蔽層3、反射防止層4を積層したものとして準備し、これからセパレータを外してPDP21の表面に直接貼付することで行える。
【0062】
以上、図3に示すPDP用光学フィルタを例にして本発明の実施の形態を説明したが、本発明の光学フィルタにおいては、本発明の趣旨に反しない限度において各機能層の積層順、各種機能層の構成材料等を適宜変更できる。また、必要に応じて上に説明した以外の機能層を設けてもよい。近赤外線遮蔽層が接着機能を有する場合には、機能層間に配設される。
【実施例】
【0063】
以下、本発明のディスプレイ用フィルタについて、実施例を参照してより具体的に説明する。例1〜3は実施例、例4、5は比較例である。
[例1]
以下の方法により図2に示される断面構造を有する光学フィルタ10を製造した。
メチルエチルケトン(MEK)の14質量部に紫外線吸収剤(Ciba社製、商品名「TINUVIN 479」)の2.625質量部、テトラアザポルフィリン系色素(山田化学社製、商品名「TAP−18」)の0.0282質量部、近赤外吸収色素として以下の第1〜第4の波長領域に極大吸収波長(λmax)を有する5種類のフタロシアニン系色素を以下の量で添加し、ミキサーで10分間撹拌して溶解させた。
【0064】
(フタロシアニン系色素)
第1の波長領域(800〜869nm)
商品名「IR−14」(λmax:819nm):0.0841質量部
商品名「IR−10A」(λmax:849nm):0.0379質量部
第2の波長領域(870〜909nm)
商品名「IR−12」(λmax:883nm):0.0346質量部
第3の波長領域(910〜949nm)
商品名「TX−EX−906」(λmax:922nm):0.0431質量部
第4の波長領域(950〜1000nm)
商品名「IR−915」(λmax:963nm):0.0977質量部
なお、実施例におけるフタロシアニン系色素は全て日本触媒社製の市販品であり、商品名「IR−…」は「イーエクスカラーIR-…」の略記号である。
【0065】
これにアクリル系粘着剤(東洋インキ社製、商品名「NCK101」、酸価;0mgKOH/g、Tg:−20℃)の70質量部および架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHL」)の0.81質量部を添加し、ミキサーで10分撹拌して溶解させ溶液とした。
シリコーンをPETフィルムに積層したセパレータ上に、アプリケーターを用いてこの溶液を塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥させた。
その後、これを反射防止(AR)フィルム4(日油社製、商品名「RL7800」、膜厚100μm)上にラミネートして、近赤外線遮蔽粘着剤層3(膜厚:25μm)付きARフィルム4を得た。
【0066】
電磁波吸収フィルムである銅箔メッシュ(メッシュ幅:11μm、メッシュピッチ:250μm、メッシュ厚さ:12μm)を厚さ100μmのPETフィルムに透明接着剤を介して積層させたメッシュフィルム2(大日本印刷社製、商品名「AR50GA0T−75」)を準備し、銅箔メッシュが積層されていない面を、透明粘着剤層を介して透明ガラス基板1(厚さ2.5mm、ソーダライムガラス)に貼合した。上記メッシュフィルム2の銅箔メッシュ側表面に、上記近赤外線遮蔽粘着剤層3付きARフィルム4のセパレータを剥がし、近赤外線遮蔽粘着剤層3を貼合し、オートクレーブ処理(60℃、0.5MPa、30分間)して光学フィルタ10を得た。
【0067】
[例2〜5]
近赤外線遮蔽粘着剤層3に配合するテトラアザポルフィリン系色素(山田化学社製、商品名「TAP−18」)およびフタロシアニン系色素の配合量(g)を表1に示す各配合に変更した以外は例1と同様にして例2〜5の光学フィルタを作製した。
【0068】
[評価]
例1〜5で得られた光学フィルタを試料として各試料の光学特性(視感透過率、色度、近赤外線領域(820−980nm)における透過率、ネオンカット波長(592nm)における透過率)、および耐久性(耐熱性、耐光性)を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0069】
(光学特性)
分光光度計(島津製作所社製、SolidSpec−3700)を用い、各試料から切り出した20×20mm角の試験片のスペクトルを、C光源を用いて380〜1000nmの波長範囲で測定した。JIS Z8701(1999年)に従い、視感透過率Tv(%)およびXYZ表色系における色座標(x,y)を算出した。また、近赤外線領域(820−980nm)における最大透過率、ネオンカット波長(592nm)における透過率を求めた。
初期光学特性として、視感透過率43%以上を○、視感透過率43%未満を×とした。
【0070】
(耐熱性)
定温恒温器(ヤマト社製、DS−44)を用い、温度を80℃に設定し、96時間試験後の各試料の視感透過率Tv、色座標(x,y)におけるx、y、および850nm、900nm、950nmにおける透過率を測定し、試験前後の測定値を比較した。
試験前後の変化量がすべて5%未満の場合は〇、いずれか一つでも5%以上〜10%未満の場合は△、いずれか一つでも10%以上の場合は×とした。
【0071】
(耐光性)
耐光性試験機(スガ試験機社製、キセノンウェザーメーター X25)を用い、380nm以上の光を100MJ/cm照射させた後の、各試料の視感透過率Tv、色座標(x,y)におけるx、y、および850nm、900nm、950nmにおける透過率を測定し、試験前後の測定値を比較した。
試験前後の変化量がすべて5%未満の場合は〇、いずれか一つでも5%以上〜10%未満の場合は△、いずれか一つでも10%以上の場合は×とした。
【0072】
【表1】

【符号の説明】
【0073】
1…透明支持基板、2…電磁波遮蔽層、3…近赤外線遮蔽層、4…反射防止層、5…コントラスト向上層、10…光学フィルタ
20…PDP装置、21…PDP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線遮蔽層を有するプラズマディスプレイ用光学フィルタであって、
前記近赤外線遮蔽層が、下記第1の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第2の波長領域に極大吸収波長を有する色素、第3の波長領域に極大吸収波長を有する色素、および、第4の波長領域に極大吸収波長を有する色素を含有することを特徴とするプラズマディスプレイ用光学フィルタ。
第1の波長領域:800〜869nm
第2の波長領域:870〜909nm
第3の波長領域:910〜949nm
第4の波長領域:950〜1000nm
【請求項2】
前記第1の波長領域が810〜860nmであり、前記第2の波長領域が870〜900nmであり、前記第3の波長領域が910〜940nmであり、前記第4の波長領域が950〜980nmである請求項1記載のプラズマディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項3】
前記色素がいずれもフタロシアニン系色素である請求項1または2記載のプラズマディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項4】
前記近赤外線遮蔽層における、820〜980nmの波長領域の近赤外線透過率が20%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項5】
前記近赤外線遮蔽層が粘着剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイ用光学フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−37212(P2013−37212A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173663(P2011−173663)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】